JPH11171947A - 多孔性無機有機複合体 - Google Patents

多孔性無機有機複合体

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JPH11171947A
JPH11171947A JP9343034A JP34303497A JPH11171947A JP H11171947 A JPH11171947 A JP H11171947A JP 9343034 A JP9343034 A JP 9343034A JP 34303497 A JP34303497 A JP 34303497A JP H11171947 A JPH11171947 A JP H11171947A
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inorganic
porous
particles
group
organic
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JP9343034A
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Inventor
Kazuo Okuyama
和雄 奥山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン交換能、触媒能、金属イオン吸着能が
高く、効率も優れ、かつ、実用的には操作性や機械的強
度に優れた多孔性無機有機複合体を提供する。 【解決手段】 平均粒径が1μmから1mm、空孔率が
0.20から0.90、平均孔径が10から5000n
mである無機多孔体粒子に共有結合で有機物質(好まし
くは、官能基を持つ高分子化合物、例えばポリグリシジ
ルメタクリレート等)を結合してなる多孔性無機有機複
合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機多孔体粒子に
共有結合で結合している有機物質を包含してなる、新規
な多孔性無機有機複合体とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン交換樹脂、キレート樹脂、無機イ
オン交換体などは、吸着クロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー等の分
離工程や、吸着工程に広範囲に使用されている。しかし
ながら、イオン交換樹脂やキレート樹脂については物理
的強度、粒子の寸法安定性等の面で、また、無機イオン
交換体は粒形や有効吸着容量等の面から満足のいくもの
ではない。すなわち、これらが原因で充填塔の高さ、粒
子充填密度、展開圧力等が厳しく制限される。
【0003】一方、イオン交換樹脂やキレート樹脂に関
しては、無機構造体の物理的強度を活用して、無孔性あ
るいは多孔性無機体の外表面にシリル化反応で官能基を
導入したり、孔内にラジカル重合性単量体及び/または
架橋剤をラジカル開始剤とともに含浸し架橋重合した後
官能基を導入する方法が提供されている。このような例
としては、前者に対しては特公昭52−48518号公
報が、後者に対しては特開昭52−146298号公報
が公表されている。
【0004】しかし、前者の複合体では導入できる交換
基の量が著しく小さく、大きな吸着量、分離量を獲得す
るには不十分である。また、後者の複合体では毛細管現
象で無機担体の孔に重合性単量体が入るが、当然のごと
く孔を閉塞させるように入り込み、被吸着物が孔内官能
基に向かって移動する空間が大きく制限され、結果とし
て吸着速度が遅い問題が生じる。
【0005】この欠点を克服するものとしては、無機多
孔体粒子の孔の内部表面を部分的にあるいは完全に樹脂
が占有し、かつ樹脂部分の内部に無機多孔体粒子の外部
と連続した空間を有する複合体が特公平6−62346
号公報に記載されている。しかしながら、吸着する化学
種は樹脂内部にある比較的小さな空間を拡散することに
なり吸脱着速度には限界がある。
【0006】従来から、クロマト担体、触媒担体用等の
無機多孔体では、より均一なマクロ孔(なお、本発明で
は、マクロ孔とは1000Å以上の孔径を有する孔を意
味する。)が有利とされ、さらに空孔率の大きな材料が
強く望まれている。また、上記用途に用いられる場合、
球状であることが非常に有利である。破砕型や変形粒子
の場合、取り扱い中に粒子角が崩れやすく、発生した微
粉は詰まりや圧力損失の増加の原因になりやすい。加え
て充てん状態が不安定になりやすい。
【0007】従来、無機多孔体粒子としては、シリカゲ
ルや多孔性ガラスがある。シリカゲルは、通常、珪酸ソ
ーダと硫酸または塩酸との反応によりシリカヒドロゲル
とし、水洗、乾燥、さらに必要ならば焼成して製造され
る。このようにして得られるシリカゲルは球状ではある
が孔径分布が広かったり、あるいは孔径が小さい(数百
Å)、さらには表面にシリカの殻があり、粒子内部への
物質の移動にたいして障壁となりうるといった特徴を有
する。加えて、その骨格形状はシリカ微粒子がくっつい
た構造(粒子状)であるため強度が比較的小さく、その
シリカ組成は98重量%程度である。シリカゲルの製造
法は、例えば特開昭58−104017号公報、特開昭
7−5817号公報に開示されている。
【0008】また、多孔性ガラスは、特定組成のホウケ
イ酸ガラスを溶融、成形後、一定の温度範囲内で熱処理
して相分離を生ぜしめ、その後酸処理、水洗して溶出相
を除去し、さらに乾燥して製造される。このような多孔
性ガラスは、骨格は柱状で絡み合った構造(柱状)をし
ているが、代表的には96%の無水珪酸の他に、無水ホ
ウ酸及び酸化ナトリウムを構成成分として含んでいるた
め、酸等の耐薬品性に限界があるだけでなく、一般に空
孔率が小さい。また、高温で溶融するために、粉体にす
るためには破砕する必要があり、結果として破砕型の粒
子となる。多孔性ガラス製造法は、例えば米国特許第
2,106,744号明細書(1934)や米国特許第
4,657,875号明細書(1987)に記載されて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、無機多孔体
に共有結合している有機物質の有する機能、例えばイオ
ン交換能、触媒能、金属イオン吸着能といった機能が高
く、効率も優れ、かつ、実用的には操作性や機械的強度
に優れた多孔性無機有機複合体を提供することを課題と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点を解決するために鋭意研究の結果、本発明をなすに至
った。即ち、本発明は下記の通りである。 1)平均粒径が1μmから1mm、空孔率が0.20か
ら0.90、平均孔径が10から5000nmである無
機多孔体粒子に共有結合で有機物質を結合してなる多孔
性無機有機複合体。
【0011】2)平均粒径が1μmから1mm、空孔率
が0.60から0.90、平均孔径が500から200
0nmでその骨格が柱状絡み合い構造である無機多孔体
粒子に共有結合で有機物質を結合してなる多孔性無機有
機複合体。 3)有機物質が官能基を持つ高分子化合物である上記1
または2に記載の多孔性無機有機複合体。
【0012】4)有機物質の官能基がイオン交換基また
はキレート基である上記3に記載の多孔性無機有機複合
体。 5)無機多孔体粒子の孔内に、単量体および希釈剤とを
含有する均一溶液を含有させた後、放射線照射してグラ
フト重合反応を生じさせ、その後、該希釈剤を除去せし
める上記1から4のいずれかに記載の多孔性無機有機複
合体の製造方法。
【0013】6)無機多孔体粒子の孔内に、単量体及び
希釈剤とを含有する均一溶液を含有させた後、放射線照
射してグラフト重合反応を生じさせ、該希釈剤を除去せ
しめた後、官能基導入剤と反応せしめてイオン交換基ま
たはキレート基を導入する上記4に記載の多孔性無機有
機複合体の製造方法。 以下、本発明につき詳述する。
【0014】本発明の多孔性無機有機複合体は、特定の
無機多孔体粒子に有機物質を共有結合で結合させたもの
である。多孔性無機有機複合体の担体として使用する無
機多孔体粒子の平均粒径は1μmから1mmである。好
ましくは20μm〜500μmである。無機多孔体粒子
の粒径が1μm以上で取り扱いが比較的容易であり、ま
た、例えばカラムに充填して使用する場合にはカラム前
後の圧力損失が比較的低くできる。平均粒径が1mm以
下であれば多孔性無機有機複合体の孔の内部における拡
散に要する時間が短くて済み、有機物質の機能、例えば
イオン交換、触媒、金属元素の吸着などが十分に機能し
うる。
【0015】無機多孔体粒子の空孔率α(無機多孔体粒
子全体積に占める孔の体積の割合)は、機械的強度と吸
着効率の両立の観点から0.20≦α≦0.90であ
る。好ましくは0.60≦α≦0.90である。より好
ましくは0.65≦α≦0.90である。空孔率が大き
いと、それだけ多くの有機物質を担持することが可能と
なり、無機有機複合体としての能力、例えばイオン交換
容量、触媒活性点量、吸着量等を大きくすることができ
る。
【0016】仮に、空孔率が0.50(i)と0.80
(ii)のシリカ多孔体にポリスチレンスルホン酸を担
持した場合を定量的に比較してみる。無機有機複合体1
mlで空孔量が0.25mlを確保したい場合を想定す
る。(i)ではシリカが0.50ml、ポリスチレンス
ルホン酸0.25ml、空孔量が0.25mlとなり、
無機有機複合体の体積あたり及び重量あたりのポリスチ
レンスルホン酸の交換容量は1.70meq/mlと
1.20meq/gである(シリカの比重を2.2、ポ
リスチレンスルホン酸の比重を1.25とする。(i
i)の計算においても同じ。)。一方、(ii)では、
シリカが0.20ml、ポリスチレンスルホン酸が0.
55ml、孔量が0.25mlとなり、無機有機複合体
の体積あたり及び重量あたりのポリスチレンスルホン酸
の交換容量は3.74meq/mlと3.33meq/
gとなる。(ii)は、(i)に比べて空孔率は1.6
倍にすぎないにもかかわらず、体積あたりのポリスチレ
ンスルホン酸の交換容量が2.2倍であることがわか
る。空孔率は機械的強度が許す限り大きめにすること
が、多孔性無機有機複合体粒子内の物質拡散速度が確保
されるため好ましい。
【0017】無機多孔体粒子の平均孔径は10〜500
0nmであり、好ましくは500〜2000nmであ
る。より好ましくは800〜2000nmである。平均
孔径が下限以上の場合に、無機多孔体粒子の孔中にある
有機物質へ反応物質が進入できる経路が確保されやす
く、その結果、例えば吸脱着効率等が良く短時間で分離
を行うことができる。平均孔径が上限以下で無機多孔体
粒子の機械的強度が維持される。
【0018】本発明において、担体として使用する無機
多孔体粒子としては、公知の多孔体セラミックス粒子が
好ましく使用される。具体的には、シリカ、アルミナ、
シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニアもしくはこれ
らの二以上の混合物による無機多孔体粒子が例示され
る。この中でシリカ多孔体粒子は、実質的に球状のもの
を容易に作れること、その粒径分布が狭いこと、及びシ
リカの高い耐酸性のため好ましい。
【0019】多孔体粒子の骨格構造においては、一般に
柱状絡み合い構造と粒子状構造がある。本発明において
担体として使用する無機多孔体粒子の骨格が、柱状絡み
合い構造であることは好ましい。通常のシリカ多孔体粒
子の骨格構造は粒子状構造であるが、柱状絡み合い構造
をとることで大きな空孔率でも実用に耐える強度を発現
することができる無機多孔体粒子が得られる。柱状絡み
合い構造とは、ほぼ同じ太さの柱状シリカが三次元的に
発達した構造を言い、例えば図1のごとき構造である。
このような構造では、応力集中するような弱い箇所が特
定されないか、もしくは少ないために本来シリカが有し
ている強度を発揮できるものと考えられる。
【0020】粒子状構造では、シリカ微粒子が粒子形状
を保持したまま互いに接触して三次元構造を形成してお
り、シリカ微粒子どうしの接触部分の径はシリカ微粒子
自体の径より小さい。そのため、圧縮などの力が加わっ
た場合にもっとも弱いシリカ微粒子の接触部分に応力集
中が生じ、全体的な強度が低下すると考えられる。例え
ば図2のごとき構造である。
【0021】実際に、シリカ多孔体粒子一個に圧縮荷重
をかけたときの破壊強度を微小圧縮試験機MCTM−5
00形(島津製作所製)で測定すると、空孔率0.68
のシリカゲルMB5000(富士シリシア化学製、粒子
状構造の例)の圧縮破壊強度は91kg/cm2 であ
り、本発明で使用した柱状絡み合い構造のシリカ多孔体
は空孔率0.74で圧縮破壊強度が128kg/cm2
であった。通常の粒状構造のシリカゲルは、柱状絡み合
い構造のシリカ多孔体より強度が小さいことが実験的に
も明らかである。
【0022】さらには、シリカ多孔体粒子表面の開孔状
態が内部と同様であり、表面に開孔状態の低い殻がない
ものが、例えば吸着剤として使用する場合の被吸着種の
粒子内への移動において好ましい。無機多孔体粒子の形
状は、特に限定されるものではないが、球状あるいはそ
れに近い形のものが好ましく、球状化率75以上が特に
好ましい。球状化率が低くなるほどその強度が小さくな
るからである。無機多孔体の球状化率(A)は下記
(1)式で定義される。
【0023】A=B *100/C (1) ここで、Bは粒子の断面積、Cはその粒子断面の最小外
接円の面積である。実際に測定する場合は走査型原子顕
微鏡を用い画像解析法にて行う。本発明では走査型顕微
鏡(日立製作所製)で撮影した各種無機多孔体粒子の2
00倍の写真を使って、画像解析装置IP1000(旭
化成工業株式会社製)で解析した。
【0024】このような無機多孔体粒子を使用すること
により、単位体積あたりの有機物質の包含量を大きくす
ることが出来、装置をよりコンパクトにすることが可能
になる。また、無機多孔体中に有機物質を包含した後の
空間の量(空孔量)を大きくとることができるので、例
えば、カラムに充填して使用する場合ではカラム圧力を
低く抑えることができる。さらには、例えば、有機物質
としてイオン交換体を用いた場合、吸着・脱着時の溶離
液などの種類や濃度の変化に対する強度上の耐性が増
し、大型カラムに充填した際の粒子の破砕、微粒化が防
止でき、安定して分離操作を繰り返すことが出来る。
【0025】以下に、柱状絡み合い構造を示す無機多孔
体粒子の製法の一例を示すが、このような無機多孔体粒
子の製造方法はこれに限定されるものではない。まず、
水ガラスあるいはシリカゾルを、スプレードライヤーや
振動造粒機の如き装置で造粒することにより、球状ある
いはそれに近い形状に成形することが出来る。粒子中へ
の孔形成は、原液の水ガラスあるいはシリカゾルに、塩
化ナトリウム、モリブデン酸、リン酸ソーダ等の無機塩
を含ませ、中間製品としての無機塩含有シリカ粒子を例
えば500℃以上に加熱、焼成した後、脱塩することに
よって作ることができる。この際、条件を選定すること
によって所望の孔径や狭い孔径分布のシリカ多孔体を得
ることが出来る。具体的には特公平3−39730号公
報または特公平6−15427号公報において開示され
ている方法が例示される。
【0026】特に平均粒径が1μmから1mm、空孔率
が0.60から0.90、平均孔径が500から200
0nmでその骨格が柱状絡み合い構造である無機多孔体
粒子を得るためには、上記の製法において、好ましくは
無機塩としてモリブデン酸アンモニウムとリン酸一ナト
リウム(Na/Moモル比で6/4〜0.5/9.5の
組成)を用い、塩/シリカの体積比が2/1(空孔率
0.60)〜12/1(空孔率0.90)の仕込み組成
の水溶液とする。この水溶液を造粒した後、675℃で
1時間(平均孔径500nm)〜750℃で4時間(平
均孔径2000nm)で焼成する。
【0027】加えて、球状化率を75以上にするには、
シリカゲルとモリブデン酸アンモニウム、リン酸一ナト
リウムの溶液の酸性度(pH)を調整することが好まし
い。pHを7以上とし、溶液のゲル化を進めた状態で噴
霧乾燥する。本発明で言う有機物質は、その組成、分子
構造等の化学的特性に限定されることはなく、各種の有
機化合物から選ぶことができる。無機多孔体に直接共有
結合で結合しているため、使用条件下で有機物質の溶出
はない。有機物質に含まれる官能基を多くし、効率的な
機能を発現するためには有機物質として高分子化合物が
好ましい。
【0028】高分子化合物としては、例えば、ポリスチ
レン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、
ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフ
タレート、6,6−ナイロン、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリ(2,6−キシレノール)、ポリエーテルスル
フォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル
酸、ポリビニル酢酸、アクリロニトリルとスチレンの共
重合体、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンと
ビニルベンジルクロリドの共重合体、アクリル酸とスチ
レンの共重合体等である。
【0029】また、上述した高分子化合物に限らず、以
下に例示するような各種の単量体を用いた広範囲の高分
子化合物も好ましい。さらにまた、以上の如き高分子化
合物に後述するような官能基を導入した化合物も、本発
明の範囲に含まれる。このような重合性単量体の具体例
は次の通りである。スチレン、メチルスチレン、ジフェ
ニルエチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、ビ
ニルナフタリン、ビニルフェナントレン、ビニルメシチ
レン、3,4,6−トリメチルスチレン、1−ビニル−
2−エチルアセチレン、ブタジエン、イソプレン等の炭
化水素化合物;クロルスチレン、メトキシスチレン、ブ
ロムスチレン、シアノスチレン、ホルミルスチレン、フ
ルオルスチレン、ジクロルスチレン、N,N−ジメチル
アミノスチレン、ニトロスチレン、クロルメチルスチレ
ン、トリフルオルメチルスチレン、アミノスチレン等の
スチレン誘導体;メチルビニルスルフィド、フェニルビ
ニルスルフィド等のビニルスルフィド誘導体;アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、α−アセトキシアクリ
ロニトリル等のアクリロニトリル誘導体など。
【0030】さらに、アクリル酸、メタクル酸;アクリ
ル酸メチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸クロルメ
チル、、アセトキシアクリル酸エチル等のアクリル酸エ
ステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジ
メチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタク
リル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ヒドロキ
シエチル等のメタクリル酸エステル;マレイン酸ジエチ
ル、フマル酸ジエチル;メチルビニルケトン、エチルイ
ソプロペニルケトン等のビニルケトン;塩化ビニリデ
ン、臭化ビニリデン、シアン化ビニリデン、等のビニリ
デン化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
ブトキシメチルアクリルアミド、N−フェニルアクリル
アミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N‐ジメチル
アミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導
体;酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル等の脂
肪酸ビニル誘導体;チオメタクリル酸フェニル、チオア
クリル酸メチル、チオ酢酸ビニル等のチオ脂肪酸誘導体
など。
【0031】さらにまた、2−ビニルピロール、N−ビ
ニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルスク
シンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカル
バゾール、N−ビニルインドール、2−ビニルイミダゾ
ール、5−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチ
ルイミダゾール、1−ビニル−2−ヒドロキシメチルイ
ミダゾール、5−ビニルピラゾール、3−メチル−5−
ビニルピラゾール、3−ビニルピラゾリン、ビニルベン
ゾオキサゾール、3−フェニル−5−ビニル−2−イソ
オキサゾリン、N−ビニルオキサゾリドン、2−ビニル
チアゾール、2−ビニル−4−メチルーチアゾール、2
−ビニル−4−フェニルチアゾール、2−ビニル−4,
5−ジメチルチアゾール、2−ビニルベンゾチアゾー
ル、1−ビニルテトラゾール、2−ビニルテトラゾー
ル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−
N,N−ジメチルアミノ−4−ビニルピリジン、2−ビ
ニル−4,6−ジメチルトリアジン、2−ビニル−4,
6−ジフェニルトリアジン、イソプロペニルトリアジ
ン、ビニルキノリン等の含窒素複素環式化合物;ビニル
フラン、2−ビニルベンゾフラン、ビニルチオフェン等
の異節環状ビニル化合物などがある。
【0032】これらの重合性単量体は、同時に2種類以
上用いることができることは言うまでもない。包含され
る高分子化合物は、リニアポリマーであっても架橋ポリ
マーであってもよいが、特にリニアポリマーが好まし
い。その理由は、架橋ポリマーでは高分子が架橋点によ
って固定され、官能基を持つ高分子鎖の動きに制限が加
えられるためである。一方、リニアポリマーでは高分子
鎖の片末端が無機多孔体に共有結合しているだけであ
り、その高分子鎖の動きは、例えばイオンを吸着する場
合、イオンの大きさに合わせて高分子鎖が動けるので、
架橋ポリマーに無い特異な挙動をし、大きな特徴とな
る。平膜における架橋ポリマーとリニアポリマーの特性
の違いについては、表面(32(4)巻(1994
年)、271頁、(株)行信社発行)に記載されてい
る。
【0033】多孔性無機有機複合体に包含される高分子
化合物には、特定の機能を発現せしめるために、官能基
を存在せしめることがしばしば好ましい。本発明で言う
官能基とは、機能性をもつ官能基および化学反応性に富
む原子または原子団である反応基を言う。官能基のもつ
機能性を具体的にあげれば、たとえば、イオン交換能、
キレート形成能、酸化還元能、触媒配位能などがあリ、
これらの機能性を有する官能基としては、スルホン酸
基、カルボン酸基、ホスホン酸基、第1級から第3級ま
でのアミン、ヒドロキノン基、チオール基などがある。
また、化学反応性に富む反応基としては、たとえば、イ
ソシアネート基、ジアゾニウム基、クロロメチル基、ア
ルデヒド基、エポキシ基、ハロゲン基、カルボキシル
基、アミノ基などがある。
【0034】たとえば、イオン交換樹脂、キレート配位
子を含むキレート樹脂、ヒドロキノン、チオールなどを
もつ酸化還元樹脂を包含した多孔性無機有機複合体であ
る。複合体に包含されるイオン交換樹脂は、カチオン又
はアニオンの交換基を有している樹脂の他、カチオン及
びアニオン双方の交換能力を有する樹脂であっても良
い。
【0035】好ましいカチオン交換樹脂としては、スル
ホン酸基、カルボキシル基またはリン酸基を有するもの
等である。具体的には、重合単位としてビニルベンゼン
スルホン酸、ビニル安息香酸、アクリル酸、メタクリル
酸などを有するポリマーが挙げられる。またアニオン交
換樹脂としては、1級、2級または3級のアミノ基を有
するもの、たとえば、ポリスチレンやポリアクリルアミ
ドの側鎖に−CH2−NR1 2 (R1 、R2は炭素数1
から5の直鎖アルキル基)で表わされる官能基を含有す
るもの、また−CH2 −N+ 1 2 3 - (R1
2 、R3 はいずれも炭素数1から5の直鎖アルキル
基;X- はCl、Br、I、ClO4 、1/2SO4 2-
または1/3PO4 3- )で表わされる4級アンモニウム
基を含有するもの、重合単位として、ビニルピリジン、
ビニルイミダゾールに代表される様な塩基性の窒素を含
む複素環を官能基として有するものがある。複素環とし
ては、ピリジン、イミダゾールに限らず、ピラゾール、
チアゾール、トリアゾール、カルバゾール、ベンズイミ
ダゾール、インドールなども好ましい。
【0036】本発明の多孔性無機有機複合体に好ましい
キレート生成基の一例を述ベれば、アルコール、フェノ
ール、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、アミド、エス
テル、オキシド、第一アミン、第二アミン、第三アミ
ン、チオエーテル、チオフェノール、アリールホスフィ
ン、アリールアルセンなどの官能基の複数から構成され
る原子団である。キレート生成基を構成する官能基は、
同一のものであってもよいし、異なったものでもよい。
【0037】さらに具体的に述べれば、ポリビニルアル
コールに代表されるヒドロキシル基を有するポリマー、
ビニルメチルケトン、メタクリロイルアセトンに代表さ
れるケトン性カルボニル基を有するポリマー、サリチル
酸、ホルムアルデヒド樹脂に代表されるヒドロキシ基及
びカルボキシル基を有するポリマー、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、マレイン酸チオフ
ェン、またはイミノジ酢酸基に代表されるカルボキシル
基を有するポリマー、アミノ基、オキシム基、アゾ基な
どを有するポリマー、チオアルコール、チオフェノール
基を有するポリマー、チオケトン、ジチオラート、チオ
アミド、チオ尿素基を有するポリマー、第1、第2、第
3アルキルアリールホスフィン基を有するポリマー、カ
テコール基を有するポリマーなどがある。さらに好まし
くは、ポリアミノカルボン酸、各種オキシム及びオキシ
ン、カテコールの構造をその分子中に含有するもの等で
ある。
【0038】ポリアミノカルボン酸には、イミノ2酢
酸、N−メチルイミノ2酢酸、N−シクロヘキシルイミ
ノ2酢酸、N−フェニルイミノ2酢酸等の置換基を有す
るイミノ2酢酸及びニトリロ3酢酸等の窒素原子1個を
有するポリアミノカルボン酸、エチレンジアミン−N,
N,N’,N’−4酢酸、1,2−プロピレンジアミン
−N,N,N’,N’−4酢酸、1−フェニルエチレン
ジアミン−N,N,N′,N’−4酢酸、シクロヘキシ
ルアミン−N,N,H′,N′−4酢酸等の窒素原子2
個を有するポリアミノカルボン酸、ジエチレントリアミ
ン−N,N,N″,N″−5酢酸等が例示される。
【0039】本発明の多孔性無機有機複合体を製造する
一つの方法は、重合性単量体と希釈剤の均一混合液を無
機多孔体の孔内に含浸せしめることからはじまる。希釈
剤としては、単量体と均一な混合液を形成し得るもので
あればよい。一般に、単量体が親油性のときは、有機液
体が好ましく、逆にこれらの原料物質が親水性のときは
水または水溶液が好ましい。希釈剤は、単独で用いるだ
けでなく、混合物として用いてもよい。しかし、好まし
い希釈剤の種類は、その他に複合体を製造する際の各種
の条件、例えば反応系の構成、温度や圧カに左右され
る。
【0040】また、複合体中の空間量は希釈剤の量に従
って変動し、希釈剤の量が多い程空間量も大きくなる。
一旦生成した複合体中の高分子化合物に、後反応を施し
て官能基を導入する場合がある。例えば、ポリグリシジ
ルメタクリレートを含有する複合体に後反応によってス
ルホン酸基を導入し、イオン交換能を有する複合体を得
ることができる。このような場合、後反応を十分に進行
させるだけの空間量だけでなく、反応後に得られる新た
な複合体がその機能(例えばイオン交換能)を発揮する
に十分な空間量を確保できるように、予め希釈剤の量を
設定することが好ましい。
【0041】希釈剤の具体例としては、水及びクロルベ
ンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン、メタ
ノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、フ
タル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、安息香酸エチ
ル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、シュウ酸ジ
エチル、炭酸エチル、ニトロエタン、シクロヘキサノン
等の有機液体が挙げられる。
【0042】単量体と希釈剤から成る均一混合液は、そ
の孔内に導入するために無機多孔体粒子と接触される。
その導入法としては、各種の方法を利用することができ
る。例えば、大気圧下で単に粒子と均一混合液を、好ま
しくは低速で攪拌しながら、接触させる方法、真空下で
粒子と均一混合液を接触させる方法、粒子をシリル反応
等で処理した後均一混合液と接触させる方法等が挙げら
れる。
【0043】シリル化によって粒子表面を処理する場合
には、導入される均一混合液の性質を考慮してシリル化
剤を選ぶことが必要である。例えば、混合液が脂溶性の
場合には、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリク
ロロシラン等が好ましい。混合液が水溶性の場合には、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン等が好ましい。シリル化の方法に関しては、特に
限定する必要はないが、シリル化剤を液体として、また
は気体状態で接触させればよい。シリル化剤が固体の場
合、有機液体や水に溶解または分散させて用いるのが好
ましい。
【0044】使用されるシリル化剤の量は、粒子の重量
に対し、0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%で
ある。シリル化反応は、10〜300℃好ましくは15
〜200℃の温度で0.5〜48時間好ましくは1〜2
4時間の条件で行われる。好ましいシリル化剤として
は、たとえば、ジメチルジクロルシラン、トリメチルク
ロルシラン、フェニルトリクロルシラン、ジフェニルジ
クロルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメ
チルジシラザン、N−トリメチルシリルアセトアミド、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルト
リクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリス(ベーターメトキシエ
トキシ)シラン、ガンマメタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、ガンマメタクリロキシプロピルトリス
(ベーターメトキシエトキシ)シラン、ベーター(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、ガンマーグリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ガンマーグリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマーアミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−ベーター(アミノエチ
ル)−ガンマーアミノプロピルトリメトキシシラン、ガ
ンマークロロプロピルトリメトキシシラン、シリルパー
オキサイドなどである。
【0045】重合性単量体を希釈剤の均一混合液を無機
多孔体の孔内に含浸せしめる他の方法は、過剰の均一混
合液中に浸漬する方法である。この状態で次の重合段階
に進むと、無機多孔体粒子の外部でも高分子化合物が生
成することになるので、無機多孔体粒子と外部に生成し
た高分子化合物を分離する必要がある。本発明の製造法
においては、均一混合液を包含する無機多孔体粒子はグ
ラフト反応に供される。グラフト反応をおこなうために
加熱または電磁放射線に付される。この加熱または電磁
放射線によって重合反応が起こる。ビニル基を含有する
単量体を用いたときの重合反応は、ラジカル重合または
イオン重合の機構に従って進むいずれの重合でも利用で
きるが、無機多孔体と高分子化合物が共有結合で結合す
るためには、無機多孔体の表面に活性点が生じる必要が
ある。例えば、無機多孔体としてシリカ多孔体を用いた
場合、表面に存在するシラノール基のO−Hが解離して
ラジカルが生成し、これが反応の活性点になる。また、
無機多孔体の表面をシリル化剤で処理している場合に
は、そのシリル化剤の一部が解離してラジカルを生成
し、反応活性点になる。
【0046】このような表面の基を解離させるには、電
磁放射線が好ましく、特に、電子線、γ線が好ましい。
電磁放射線の照射量や照射条件に特に制限はなく、製造
する複合体に適した条件を設定する。上記したような条
件で製造された無機有機複合体は、希釈剤を内部に含有
している。それ故、それらを溶解する溶媒中に複合体を
浸漬し、しばらく放置した後濾別するか、或いは複合体
をカラムに入れ、洗浄溶媒を流下させることにより、複
合体の内部より希釈剤を効果的に除去することができ
る。たとえば、希釈剤に有機液体を用いる場合、洗浄溶
媒としてメタノール、アセトン等の水溶性のものを用
い、その洗浄溶媒をさらに水洗することにより簡単に除
去することができる。
【0047】このようにして得られる複合体は、イオン
交換樹脂クロマトグラフィー用充填剤、吸着剤等の用途
に、そのままで使用されるか、あるいは、さらに後反応
に付して複合体中の高分子化合物に官能基が導入され
る。例えばイオン交換樹脂について述べれば、ビニルピ
リジンやビニルイミダゾールなどのすでにイオン交換の
性質を有している単量体を用いれば、後反応の必要な
く、イオン交換樹脂を含有した複合体となる。一方、ス
チレンのような単量体を用いて、無機多孔体の孔内で重
合を行なわせしめ、イオン交換能を有しない複合体を得
た後に、さらに後反応として、クロルスルホン酸、硫
酸、無水硫酸のいずれかと反応を行なうことによリ、カ
チオン交換樹脂を含有した複合体が得られる。
【0048】また、上述のスルホン酸化剤の代わリに、
クロロメチルエーテルなどでクロロメチル化し、さら
に、2級または3級のアミンを反応せしめれば、アニオ
ン交換樹脂を含有した複合体が得られる。本発明におけ
る多孔性無機有機複合体は、官能基を持つ有機グラフト
重合鎖が無機多孔体粒子に共有結合しているため、従来
の有機イオン交換体と比較して大きなイオンを効果的に
吸着でき、実質的な交換容量は極めて高く、機械的強度
に優れ、使用中に割れにくい、粒径を比較的均一にする
ことができる等という、極めて優れた吸着特性、吸着容
量、実用性が得られる。また、市販のシリカゲルや多孔
性ガラスを担体として用いた場合に比べて大きな空孔率
でかつ柱状絡み合い構造骨格のため大きな強度を有して
いる。
【0049】それ故、本発明の多孔性無機有機複合体
は、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィ
ー用固定相、分取クロマトグラフィー用固定相、触媒も
しくはその担体、細胞培養担体、吸着剤等として利用で
きる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例を挙げさら
に具体的に説明する。なお、各種物性の測定は以下の方
法により行った。 (1)平均粒径 顕微鏡写真により20〜200倍に拡大して粒径を目視
測定した。
【0051】(2)空孔率α 孔に進入する物質としてヘリウムガスを用いた密度計
(商品名;マルチボリウム密度計1305、マイクロメ
リテックス社製)を使用して、無機多孔体粒子の真比重
d(g/ml)を測定した。また、水銀ポロシメーター
(商品名;PASCAL−240、CE−Instru
ment社製)を用いて単位重量当たりの空孔量φ(m
l/g)を測定した。
【0052】これらの値を用いて空孔率αを次式で算出
した。 α=dφ/(1+dφ) (3)平均孔径 水銀ポロシメーター(商品名;PASCAL−240、
CE−Instrument社製)を用いた水銀圧入法
で測定した。測定圧力レンジは0.1〜200MPa、
測定孔半径は3.7〜7500nmで行った。
【0053】(4)骨格構造 無機多孔体粒子の骨格構造には柱状絡み合い構造と粒子
状がある。骨格構造は走査電子顕微鏡により明らかにで
きる。本発明では走査電子顕微鏡S−800(日立製作
所製)で観察した。柱状構造の典型例を図1に、粒子状
構造の典型例を図2に示した。
【0054】(5)交換容量 本発明のスルホン酸を有する複合体に関しては、中性塩
分解能を利用して交換容量を測定した。具体的には、直
径1cmのガラスカラムに複合体1g程度取り、1規定
塩酸を100ml流した。次にメタノール150mlを
流し、流出液が中性であることをpH試験紙で確認後、
5wt%塩化ナトリウム水溶液150mlを流し、この
溶離液をビーカーに回収した。この回収液を、0.1規
定水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定した。滴定
液量をAmlとする。次に、ガラスカラムには1規定塩
酸を100ml、さらにメタノール150mlを流し
た。その後ガラスカラムから複合体を抜き出し、乾燥し
て重量を精秤した。重量をBgとすると、交換容量(E
C:meq/g)は次式で計算される。
【0055】EC=0.1*A/B
【0056】
【製造例1】純水151.8gにスノーテックN−30
(シリカゾル水溶液、日産化学株式会社製)100.0
g、硝酸(和光純薬製、特級)15.8g、リン酸一ナ
トリウム(大平化学工業製、工業用)43.2g、そし
てモリブデン酸アンモニウム(日本無機化学工業製、工
業用)85.6gを加え均一溶液とした。この溶液に2
5%アンモニア水(和光純薬製、特級)15.2gを加
え、液pHを7.3とした。混合液は白濁してきて粘度
が上昇したので、さらに純水188.0gを加え、粘度
を抑えた不均一混合水溶液を調合した。
【0057】この混合水溶液を攪拌しながらスプレード
ライヤー(商品名;OC−16型、大川原化工機株式会
社製)に導入し、造粒した。液滴生成用回転皿は直径8
cmのものを用い、回転数2100rpmである。乾燥
塔入り口温度は230℃、熱風量310Nm3/時間、
混合液導入量90L/時間である。得られた造粒品を電
気炉で350℃で2時間、その後750℃で1時間焼成
した。このものを70℃の湯で洗浄後、過剰の水で洗浄
し、400メッシュ(目開き37μm)と200メッシ
ュ(目開き74μm)の篩いで分級した後、70℃にて
減圧乾燥した。得られた球状無機多孔体は、平均孔径7
05nm、空孔率0.74、シリカ組成99.5重量%
の柱状絡み合い構造であった。
【0058】
【製造例2】製造例1で合成したシリカ多孔体粒子25
gを三口フラスコに取り、クロロホルム(和光純薬株式
会社製、特級)100mlを加えた。一方、トリプロピ
ルクロロシラン(信越シリコーン製、試薬)10gにク
ロロホルム(和光純薬株式会社製、特級)50mlを加
えた液を調合した。この液を室温でシリカ多孔体粒子を
入れた三口フラスコに滴下した。その後、室温で攪拌し
ながら、22時間反応した。反応終了後、反応混合物を
濾別し、クロロホルムで洗浄後減圧乾燥した。得られた
トリプロピルシリル化シリカ多孔体粒子は水に加えると
浮いた。
【0059】
【製造例3】製造例1で合成したシリカ多孔体粒子2
2.4gを三口フラスコに取り、クロロホルム(和光純
薬株式会社製、特級)200mlを加えた。一方、アリ
ルジメチルクロロシラン(信越シリコーン製試薬)15
gにクロロホルム(和光純薬株式会社製、特級)50m
l加えた液を調合した。この液を室温でシリカ多孔体粒
子を入れた三口フラスコに滴下した。その後、室温で攪
拌しながら、20時間反応した。反応終了後、反応混合
物を濾別し、クロロホルムで洗浄後減圧乾燥した。得ら
れたアリルジメチルシリル化シリカ多孔体粒子は水に加
えると浮いた。
【0060】
【実施例1】製造例1で合成したシリカ多孔体粒子10
gをガラス反応容器にとり、グラス真空ラインを使って
減圧にした。一方、グリシジルメタクリレート(和光純
薬株式会社製、特級)をメタノール(和光純薬株式会社
製、特級)に10vol%溶解させた液を調合し、窒素
バブリングを20分行った。シリカ多孔体粒子の入った
反応容器の減圧を利用して、グリシジルメタクリレート
溶液を200mlシリカ多孔体粒子反応容器に導入し
た。密閉状態の反応容器にγ線を10kGy/hrの線
量で1時間照射した。この照射を5回、計5時間行っ
た。反応容器を開封し、反応液の上澄みを除去した後、
ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製、特級)3
00mlを加え、80℃で1時間保持し、シリカ多孔体
に結合していないグラフト重合物を溶解除去した。この
除去操作を3回行い、さらにメタノール(和光純薬株式
会社、特級)で1回洗浄した。
【0061】亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬株式会
社、特級)30gと亜硫酸ソーダ(和光純薬株式会社、
特級)100gを、イソプロピルアルコール(和光純薬
株式会社、特級)100gと水770gの混合液に溶解
した液を調合した。この液200gを上述のグラフト重
合したシリカ多孔体粒子に加え、80℃で15時間反応
した。得られた反応物を濾別し、水とメタノールで各々
洗浄した。得られた複合体の交換容量は0.64meq
/gであった。
【0062】
【実施例2】製造例2で合成したトリプロピルシリル化
シリカ多孔体粒子10gを用いて、実施例1と同様にグ
ラフト重合反応及びスルホン化反応を行った。得られた
複合体の交換容量は0.50meq/gであった。
【0063】
【実施例3】製造例3で合成したアリルジメチルシリル
化シリカ多孔体粒子10gを用いて、実施例1と同様に
グラフト重合反応及びスルホン化反応を行った。得られ
た複合体の交換容量は0.68meq/gであった。
【0064】
【発明の効果】本発明の多孔性無機有機複合体は、自由
度の大きなグラフト重合鎖を内包しているため、大きな
イオンに対しても優れた吸着機能を持ち、効率を高め、
かつ強い強度で粒子の破砕、微粒化が生じにくい優れた
機能粒子である。
【図面の簡単な説明】
【図1】無機多孔体粒子の骨格構造が、柱状絡み合い構
造である場合を示す写真である。
【図2】無機多孔体粒子の骨格構造が、粒子状構造であ
る場合を示す写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C01B 37/00 C01B 37/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が1μmから1mm、空孔率が
    0.20から0.90、平均孔径が10から5000n
    mである無機多孔体粒子に共有結合で有機物質を結合し
    てなる多孔性無機有機複合体。
  2. 【請求項2】 平均粒径が1μmから1mm、空孔率が
    0.60から0.90、平均孔径が500から2000
    nmでその骨格が柱状絡み合い構造である無機多孔体粒
    子に共有結合で有機物質を結合してなる多孔性無機有機
    複合体。
  3. 【請求項3】 有機物質が官能基を持つ高分子化合物で
    ある請求項1または2に記載の多孔性無機有機複合体。
  4. 【請求項4】 有機物質の官能基がイオン交換基または
    キレート基である請求項3に記載の多孔性無機有機複合
    体。
  5. 【請求項5】 無機多孔体粒子の孔内に、単量体及び希
    釈剤とを含有する均一溶液を含有させた後、放射線照射
    してグラフト重合反応を生じさせ、その後、該希釈剤を
    除去せしめる請求項1から4のいずれかに記載の多孔性
    無機有機複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 無機多孔体粒子の孔内に、単量体及び希
    釈剤とを含有する均一溶液を含有させた後、放射線照射
    してグラフト重合反応を生じさせ、該希釈剤を除去せし
    めた後、官能基導入剤と反応せしめてイオン交換基また
    はキレート基を導入する請求項4に記載の多孔性無機有
    機複合体の製造方法。
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