JPH11165457A - オーバーラミネート用インクジェット受像シート及びオーバーラミネート受像体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に製造でき、かつ表面特性の優れたオー
バーラミネート用インクジェット受像シート、及びオー
バーラミネート受像体を提供する。 【解決手段】 本発明のオーバーラミネート用インクジ
ェット受像シート１は、透明樹脂層２と、前記透明樹脂
層上に形成されたヒートシール性を有するインク受容層
３とからなり、前記インク受容層３にインクジェットプ
リンターにより水性インクで印刷した後で前記受像シー
ト１を基材シートにヒートシールして、オーバーラミネ
ート受像体となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、安価であるととも
に、表面特性が優れたオーバーラミネート用インクジェ
ット受像シート及びオーバーラミネート受像体に関す
る。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パソコ
ン等の出力装置としてのみならず、種々の材質の媒体上
に印刷を施す手段として、インクジェットプリンターが
広く使用されている。インクジェット記録方式には通常
水性カラーインクが使用され、水性インクの着色剤には
染料が用いられている。染料は水その他の溶剤に可溶で
あるので非常に薄い着色層を形成することができ、かつ
非常に多くの色調を出すことができるという利点を有す
るが、日光又は蛍光灯の光（紫外線の照射）により褪色
するという欠点がある。また吸水性に富むインクジェッ
トプリンター用記録シートの表面は水に弱く、湿気や、
水滴によって変形したり、画像が滲むんだりする問題が
ある。

【０００３】これらの欠点を解決する目的で、記録シー
トの表面に粘着層を形成した透明樹脂フィルムをオーバ
ーラミネートし、記録シートの防水性及び耐光性を向上
させる方法が採用されている。しかし、オーバーラミネ
ート用フィルム及び記録シートはともに高価であり、両
方を用いたオーバーラミネート受像体は通常の記録シー
トのみの場合に比べて一段と高価になり、特殊な需要を
除いてまだ広く普及していないのが現状である。また粘
着層の不均一により、オーバーラミネート用フィルムの
表面が凹凸ができやすく、光の散乱を招き、印刷物の表
面特性が損なわれる問題がある。

【０００４】従って本発明の目的は、安価に製造でき、
かつ表面特性の優れたオーバーラミネート用インクジェ
ット受像シート、及びオーバーラミネート受像体を提供
することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、オーバーラミネート用フィルムに
インク受容層を形成することにより、受像とオーバーラ
ミネートの両機能が一枚のシートに集約され、オーバー
ラミネート受像体を安価に製造できるとともに、粘着層
をなくすことによって受像体の表面性状を改善すること
ができることを発見し、本発明に想到した。

【０００６】すなわち、本発明のオーバーラミネート用
インクジェット受像シートは、透明樹脂層と、前記透明
樹脂層上に形成されたヒートシール性を有するインク受
容層とからなり、前記インク受容層にインクジェットプ
リンターにより水性インクで印刷した後で前記受像シー
トを基材シートにヒートシールすることを特徴とする。

【０００７】また本発明のインクジェットプリンター用
オーバーラミネート受像体は、透明樹脂層と、前記透明
樹脂層上に形成されたヒートシール性を有するインク受
容層とからなる受像シートと、基材シートを有し、前記
インク受容層にインクジェットプリンターにより水性イ
ンクで印刷した後で前記受像シートを前記基材シートに
ヒートシールしてなることを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】[1] インクジェットプリンター用
オーバーラミネート受像体の構成 本発明のインクジェットプリンター用オーバーラミネー
ト受像体は、透明樹脂層２と、透明樹脂層２上に積層さ
れたインク受容層３とからなるオーバーラミネート用受
像シート１と、基材シート４とを有する。

【０００９】(1) 透明樹脂層 透明樹脂層２は良好な透明度、表面硬度及び機械的強度
を有する樹脂からなる。このような特性を有する樹脂と
してはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィ
ン類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
類、ナイロン等のポリアミド類、フッ素樹脂、アクリル
樹脂等が挙げられる。その中でも特にアクリル樹脂が好
ましい。透明樹脂層２にアクリル樹脂を用いることによ
り、後述するインク受容層３に印刷された文字や絵柄に
鮮明な色調及び光沢を与えることができる。

【００１０】アクリル樹脂を生成するモノマーとして
は、（メタ）アクリル酸メチル、（メタ）アクリル酸エ
チル、（メタ）アクリル酸プロピル、（メタ）アクリル
酸ブチル、（メタ）アクリル酸2-エチルヘキシル、（メ
タ）アクリル酸n-オクチル、（メタ）アクリル酸n-ドデ
シル等の（メタ）アクリル酸アルキルエステル等を使用
することができ、その外に共重合モノマーとして、必要
に応じて（メタ）アクリル酸ヒドロキシメチル、（メ
タ）アクリル酸ヒドロキシエチル、（メタ）アクリル酸
ヒドロキシプロピル、（メタ）アクリル酸ヒドロキシブ
チル、N-メチロールアクリルアミン等のヒドロキシル基
含有アクリルモノマー、（メタ）アクリル酸、クロト
ン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキ
シル基含有エチレン性モノマー、スチレン、α- メチ
ルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-
メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等のスチレン系モ
ノマー、上記モノマーと共重合可能なエチレン性モノ
マー、及び（メタ）アクリロニトリル等を使用するこ
ともできる。

【００１１】本発明に用いるアクリル樹脂の表面硬度を
向上させるためには、分子中に２個以上のラジカル重合
性不飽和結合を有する自己架橋性モノマー又は架橋剤を
添加する。架橋性モノマーとしては、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、トリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレート等の重合性不飽和
化合物が挙げられる。架橋性モノマーはアクリル樹脂の
20重量％まで添加することができる。

【００１２】透明樹脂層２には紫外線吸収剤を含有する
ことができ、紫外線吸収剤により印刷に良好な耐光性が
付与される。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン
系化合物（2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロ
キシベンゾフェノン、2,2',4- トリヒドロキシベンゾフ
ェノン等）、サルチレート系化合物（フェニルサルチ
レート、2,4-ジt-ブチルフェニル-3,5- ジt-ブチル-4-
ヒドロキシベンゾエート等）、ベンゾトリアゾール系
化合物（（２'-ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾー
ル、（2'- ヒドロキシ-5'-メチルフェニル）ベンゾトリ
アゾール等）、アクリレート系化合物（メチル-2- カ
ルボメトキシ-3- パラメトキシアクリレート等）、ヒ
ンダードアミン系化合物（ビス（2,2,6,6-テトラメチル
ピペリジニル）セバケート等）、ヒンダード・フェノ
ール系化合物（テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジt-ブ
チル-4'-ヒドロキシフェニル）プロピオネート] メタ
ン、2,6-ジt-ブチル-4- メチルフェノール、オクタデシ
ル-3-(3,5-ジt-ブチル-4- ヒドロキシフェニル）プロピ
オネート、2,2'- メチレン- ビス(4- メチル-6-t- ブチ
ルフェノール）、4,4'- ブチリデンビス(6-t- ブチル-6
-t- ブチルフェノール）等）が挙げられる。

【００１３】透明樹脂層２中の紫外線吸収剤の含有量は
0.0005〜1.0 重量％であるのが好ましい。紫外線吸収剤
が0.0005重量％未満であると、耐光性の向上効果が十分
に達成できず、1.0 重量％を超えてもそれに応じた効果
の向上が得られない。紫外線カット層３の中の紫外線吸
収剤のより好ましい含有量は0.05〜0.5 重量％である。

【００１４】透明樹脂層２の厚さは10〜100 μｍが好ま
しく、12〜50μｍがより好ましい。透明樹脂層２の厚さ
が10μｍ未満では強度が十分ではなく、また、紫外線吸
収剤を含有する場合紫外線カット効果が不十分であり、
一方100 μｍを超えても性能のさらなる向上が得られな
い。

【００１５】(2) インク受容層 インク受容層３は水性インクとの親和性に優れていると
ともに、ヒートシール性を有する必要がある。また印刷
層５はインク受容層３の下面（転写体の表面に相当）に
形成され、図２に示すようにインク受容層３の裏から見
られるので、インク受容層３は、水性インクが浸透し
ても拡散しないとともに、印刷を十分に透過する透明
度を有する必要がある。このようなインク受容層３の素
材としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオ
キシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシ
ド共重合体等のポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂が挙げられる。

【００１６】インク受容層３の厚さは５〜80μｍが好ま
しく、10〜30μｍがより好ましい。インク受容層３の厚
さが５μｍ未満ではヒートシール性が不十分であり、基
材シート４から剥離するおそれがある。一方インク受容
層３の厚さが20μｍを超えると印刷像の透過度が低下し
てその輪郭がぼやけるので好ましくない。なおインク受
容層３はヒートシール性を有するので接着層は特に必要
でないが、基材シート４との接着を一層良好にするため
に、接着層をさらに設けてもよい。

【００１７】(3) 基材シート 基材シート４としては、紙；ポリ塩化ビニル樹脂；ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−α- オレフィン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
塩化ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂；ポリメチ
ルメタクリレート、メタクリル−スチレン共重合体等の
アクリル樹脂；ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル樹脂；アクリロニ
トリル樹脂；ポリスチレン樹脂；ＡＢＳ樹脂；ポリアミ
ド樹脂；ポリカーボネート樹脂；フェノール樹脂；ポリ
フェニレンオキシド樹脂等のフィルムや成形体が挙げら
れる。基材シートの厚さは必要に応じて適宜選択すれば
よい。

【００１８】[2] オーバーラミネート用受像シート及び
受像体の製造方法 本発明のオーバーラミネート用受像シート及びオーバー
ラミネート受像体の製造方法は特に限定されないが、例
えば下記のような方法により製造することができる。

【００１９】まず透明樹脂層２上にインク受容層３を積
層して受像シート１を製造する。インク受容層３の積層
は、インク受容層３の原料樹脂を含有する有機溶媒の溶
液をグラビアコーティング、ロールコーティング等によ
り透明樹脂層２上に塗布・乾燥し、必要に応じて加熱硬
化させるか、原料樹脂を溶融押出して、押出しラミネー
ト法等により透明樹脂層２上に積層するのが好ましい。

【００２０】次に受像シート１のインク受容層３の面に
印刷を行う。印刷した画像はインク受容層３の反対側か
ら見られるため、インク受容層３の面には反転した画
像、いわゆる鏡像を印刷する。

【００２１】最後にインク受容層３の面が基材シート４
と接するように受像シート１を基材シート４に押し当て
て加熱し、オーバーラミネート法により接着させる。接
着後の状態は図２に示す通りである。

【００２２】

【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。

【００２３】実施例１ アクリル酸エステル系樹脂（商品名“Ｓ−1030”、東亜
合成化学工業（株）製）に0.2 重量％のベンゾトリアゾ
ール系の紫外線吸収剤（商品名“チヌビンＰ”、CIBA-G
EIGY社製）をブレンドした樹脂からなる厚さ15μｍの透
明樹脂層２の上に“パオゲン”（第一工業製薬（株）
製）をロールコーティング法により積層し、厚さ10μｍ
のインク受容層３を形成した。

【００２４】このようにして得られたオーバーラミネー
ト用受像シート１のインク受容層３にセイコー−エプソ
ン（株）製のインクジェットプリンター（MJ-500C ）に
より印刷した後、厚さ200 μｍのポリ塩化ビニル樹脂フ
ィルムからなる基材シート４の表面に熱ロール（表面温
度75℃）を用いてオーバーラミネートした。

【００２５】得られたオーバーラミネート受像体の画像
は鮮明な色調及び光沢を示した。またデューサイクル・
サンシャイン・スーパーロングライフ・ウエザーメータ
「WEL-SUN-DC」（スガ試験機（株）製）で耐光性テスト
を行った。耐光性テストの条件は、降雨なしで、暴露時
間は240 時間であった。その結果、反射濃度の保持率は
80％以上であり、良好な耐光性を有することが分かっ
た。

【００２６】実施例２ アクリル酸エステル系樹脂（商品名“Ｓ−4090”、東亜
合成化学工業（株）製）に0.2 重量％のベンゾフェノン
系の紫外線吸収剤（商品名“UVINUL D-49 ”、BASF社
製）をブレンドした樹脂からなる厚さ50μｍの透明樹脂
層２の上に“アクアコーク”（住友精化（株）製）を押
出しラミネート法により積層し、厚さ10μｍのインク受
容層３を形成した。

【００２７】このようにして得られたオーバーラミネー
ト用受像シート１のインク受容層３に実施例１と同様に
インクジェットプリンターにより印刷した後、厚さ200
μｍのポリ塩化ビニル樹脂フィルムからなる基材シート
４の表面にオーバーラミネートした。

【００２８】得られたオーバーラミネート受像体の画像
は鮮明な色調及び光沢を示した。また実施例１と同じ条
件で耐光性テストを行った結果、反射濃度の保持率は80
％以上であり、良好な耐光性を有することが分かった。

【００２９】実施例３ アクリル酸エステル系樹脂（商品名“Ｓ−4090”、東亜
合成化学工業（株）製）に0.2 重量％のベンゾフェノン
系の紫外線吸収剤（商品名“UVINUL D-49 ”、BASF社
製）をブレンドした樹脂からなる厚さ50μｍのマット状
（表面に凹凸を有する）透明樹脂層２の上に“アクアコ
ーク”（住友精化（株）製）を押出しラミネート法によ
り積層し、厚さ30μｍのインク受容層３を形成した。

【００３０】このようにして得られたオーバーラミネー
ト用受像シート１のインク受容層３に実施例１と同様に
インクジェットプリンターにより印刷した後、厚さ200
μｍのポリ塩化ビニル樹脂フィルムからなる基材シート
４の表面にオーバーラミネートした。

【００３１】得られたオーバーラミネート受像体の画像
は鮮明な色調及び光沢を示した。また実施例１と同じ条
件で耐光性テストを行った結果、反射濃度の保持率は80
％以上であり、良好な耐光性を有することが分かった。

【００３２】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のオーバーラ
ミネート用インクジェット受像シートは、受像とオーバ
ーラミネートの両機能を備え、従来のオーバーラミネー
ト受像体に比べ安価に製造できるとともに、粘着層を有
しないため表面に凹凸ができにくく、優れた表面性状が
得られる。また透明樹脂層に紫外線吸収剤を含有させる
ことにより、印刷物の褪色を非常に低減させることがで
き、かつ鮮明な色調及び光沢を与えることができる。こ
のような受像シートから製造される本発明のオーバーラ
ミネート受像体は安価であるとともに、優れた表面性状
を有し、広く普及できるものと期待される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のオーバーラミネート用インクジェット
受像シートの一例を示す部分断面図である。

【図２】本発明の一例であるインクジェットプリンター
用オーバーラミネート受像体の部分断面図である。

【符号の簡単な説明】

１・・・受像シート ２・・・透明樹脂層 ３・・・インク受容層 ４・・・基材シート ５・・・印刷層

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明樹脂層と、前記透明樹脂層上に形成
   されたヒートシール性を有するインク受容層とからな
   り、前記インク受容層にインクジェットプリンターによ
   り水性インクで印刷した後で前記受像シートを基材シー
   トにヒートシールすることを特徴とするオーバーラミネ
   ート用インクジェット受像シート。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のオーバーラミネート用
   インクジェット受像シートにおいて、前記透明樹脂層は
   紫外線吸収剤を含有することを特徴とするオーバーラミ
   ネート用インクジェット受像シート。
3. 【請求項３】 透明樹脂層と、前記透明樹脂層上に形成
   されたヒートシール性を有するインク受容層とからなる
   受像シートと、基材シートを有し、前記インク受容層に
   インクジェットプリンターにより水性インクで印刷した
   後で前記受像シートを前記基材シートにヒートシールし
   てなることを特徴とするインクジェットプリンター用オ
   ーバーラミネート受像体。
4. 【請求項４】 請求項３に記載のインクジェットプリン
   ター用オーバーラミネート受像体において、前記透明樹
   脂層は紫外線吸収剤を含有することを特徴とするインク
   ジェットプリンター用オーバーラミネート受像体。