JPH1116522A - 蛍光表示管のアンカ構造 - Google Patents
蛍光表示管のアンカ構造Info
- Publication number
- JPH1116522A JPH1116522A JP16755197A JP16755197A JPH1116522A JP H1116522 A JPH1116522 A JP H1116522A JP 16755197 A JP16755197 A JP 16755197A JP 16755197 A JP16755197 A JP 16755197A JP H1116522 A JPH1116522 A JP H1116522A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cathode
- cathodes
- arm
- display tube
- fluorescent display
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】蛍光表示管においてフィラメント状陰極の共鳴
を好適に抑制し得るアンカ構造を提供する。 【解決手段】複数本の陰極28の相互に異なる張力を付
与する複数のアーム部36を備えて蛍光表示管10のア
ンカ22が構成される。そのため、それぞれのアーム部
36に溶着された複数本の陰極28にアーム部36a、
36b、36c、36dの各々から付与される張力が相
互に異なることから、複数本の陰極28の固有振動数は
相互に異なるものとなる。したがって、結果として振動
可能に設けられた固着部32の中間部を介して一本の陰
極28から他の陰極28に振動が伝達されても、固有振
動数が相互に異なることからそれらの間で共鳴が生じる
ことが好適に抑制される。
を好適に抑制し得るアンカ構造を提供する。 【解決手段】複数本の陰極28の相互に異なる張力を付
与する複数のアーム部36を備えて蛍光表示管10のア
ンカ22が構成される。そのため、それぞれのアーム部
36に溶着された複数本の陰極28にアーム部36a、
36b、36c、36dの各々から付与される張力が相
互に異なることから、複数本の陰極28の固有振動数は
相互に異なるものとなる。したがって、結果として振動
可能に設けられた固着部32の中間部を介して一本の陰
極28から他の陰極28に振動が伝達されても、固有振
動数が相互に異なることからそれらの間で共鳴が生じる
ことが好適に抑制される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光表示管(VF
D:Vacuum Fluorescent Display)においてフィラメン
ト状の陰極を架設するために備えられるアンカ構造の改
良に関する。
D:Vacuum Fluorescent Display)においてフィラメン
ト状の陰極を架設するために備えられるアンカ構造の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】基板の表示面に設けられた複数個の陽極
(アノード)上に蛍光体層が固着され、その表示面の上
方に架設されたフィラメント状の複数本の陰極(カソー
ド)から発生させられた電子を、それら複数個の陽極と
複数本の陰極との間に設けられたグリッド電極で制御し
てその蛍光体層を選択的に発光させる形式の蛍光表示管
が知られている。このような蛍光表示管は、陰極から発
生した電子が衝突させられる蛍光体層の表面が表示側に
位置するために動作電圧が低く鮮明に表示されると共
に、相互に発光色の異なる複数種類の蛍光体層を用意す
ることによりカラー表示が可能となる等の特徴があるた
め、音響機器や自動車或いは航空機の表示パネル等の表
示部品として多用されている。
(アノード)上に蛍光体層が固着され、その表示面の上
方に架設されたフィラメント状の複数本の陰極(カソー
ド)から発生させられた電子を、それら複数個の陽極と
複数本の陰極との間に設けられたグリッド電極で制御し
てその蛍光体層を選択的に発光させる形式の蛍光表示管
が知られている。このような蛍光表示管は、陰極から発
生した電子が衝突させられる蛍光体層の表面が表示側に
位置するために動作電圧が低く鮮明に表示されると共
に、相互に発光色の異なる複数種類の蛍光体層を用意す
ることによりカラー表示が可能となる等の特徴があるた
め、音響機器や自動車或いは航空機の表示パネル等の表
示部品として多用されている。
【0003】上記のような蛍光表示管においては、陰極
の長手方向に略沿った方向に弾性変形可能とされた複数
のアーム部を有するアンカが表示面上の一端側に備えら
れ、前記複数本の陰極は、そのアーム部が弾性変形させ
られた状態でその先端部に設けられた溶着面に一端が溶
着されると共に、表示面の他端側に実質的に弾性変形不
能に設けられたサポートに他端が溶着されることによっ
て互いに略平行となるようにそれぞれ架設されている。
蛍光表示管の動作中においては、熱電子を放出するため
に陰極の温度が例えば600(℃) 以上に保たれる。そのた
め、その動作中に熱膨張に起因して撓まないように、上
述のように弾性変形可能なアーム部で陰極に所定の張力
を付与しているのである。
の長手方向に略沿った方向に弾性変形可能とされた複数
のアーム部を有するアンカが表示面上の一端側に備えら
れ、前記複数本の陰極は、そのアーム部が弾性変形させ
られた状態でその先端部に設けられた溶着面に一端が溶
着されると共に、表示面の他端側に実質的に弾性変形不
能に設けられたサポートに他端が溶着されることによっ
て互いに略平行となるようにそれぞれ架設されている。
蛍光表示管の動作中においては、熱電子を放出するため
に陰極の温度が例えば600(℃) 以上に保たれる。そのた
め、その動作中に熱膨張に起因して撓まないように、上
述のように弾性変形可能なアーム部で陰極に所定の張力
を付与しているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車や航
空機等の輸送機械では運行に伴って振動が発生するた
め、これらの表示パネル等に用いられる蛍光表示管で
は、外部から伝達された振動によって陰極が振動させら
れる。また、メッセージ用等の静置される蛍光表示管に
おいても、種々の衝撃や振動を与えられて陰極が振動さ
せられ得る。更に、何れの蛍光表示管においても、通電
中に陰極に流れるパルス電流に同期してその陰極の振動
が生じ得る。このように陰極が振動させられる際にその
振動振幅が大きくなると陰極とグリッド電極との接触が
生じ、陰極やグリッド電極に通電されている蛍光表示管
の動作中においては短絡して陰極が断線させられ、非動
作中においては陰極に固着された酸化物が剥離して電子
放出特性が低下させられる。一方、蛍光表示管の輝度
は、陰極とグリッド電極との距離の二乗に反比例し、そ
の距離が長くなるに従って低くなる。そのため、陰極と
グリッド電極との接触を防止しつつ高輝度を得る目的
で、陰極とグリッド電極との距離は、使用環境において
蛍光表示管に作用し得る振動の大きさを考慮して、予測
される陰極の最大振幅よりも十分に大きい範囲で可及的
に小さい値に設定される。すなわち、外部から伝達され
る振動が大きいほど、陰極の長さが長くなるほど陰極の
振動振幅が大きくなるため、上記の距離を大きくする必
要がある。
空機等の輸送機械では運行に伴って振動が発生するた
め、これらの表示パネル等に用いられる蛍光表示管で
は、外部から伝達された振動によって陰極が振動させら
れる。また、メッセージ用等の静置される蛍光表示管に
おいても、種々の衝撃や振動を与えられて陰極が振動さ
せられ得る。更に、何れの蛍光表示管においても、通電
中に陰極に流れるパルス電流に同期してその陰極の振動
が生じ得る。このように陰極が振動させられる際にその
振動振幅が大きくなると陰極とグリッド電極との接触が
生じ、陰極やグリッド電極に通電されている蛍光表示管
の動作中においては短絡して陰極が断線させられ、非動
作中においては陰極に固着された酸化物が剥離して電子
放出特性が低下させられる。一方、蛍光表示管の輝度
は、陰極とグリッド電極との距離の二乗に反比例し、そ
の距離が長くなるに従って低くなる。そのため、陰極と
グリッド電極との接触を防止しつつ高輝度を得る目的
で、陰極とグリッド電極との距離は、使用環境において
蛍光表示管に作用し得る振動の大きさを考慮して、予測
される陰極の最大振幅よりも十分に大きい範囲で可及的
に小さい値に設定される。すなわち、外部から伝達され
る振動が大きいほど、陰極の長さが長くなるほど陰極の
振動振幅が大きくなるため、上記の距離を大きくする必
要がある。
【0005】しかしながら、自動車用の表示パネル等に
おいては、大きな振動が作用するにも拘わらず高照度下
で高い視認性を確保するために極めて高い輝度が要求さ
れている。そのため、高輝度を実現するために陰極とグ
リッド電極との距離をそれほど大きくできないことか
ら、振動に起因するそれらの接触が生じ易いという問題
がある。特に、近年ではこのような用途においても蛍光
表示管が長尺化する傾向にあり、それに伴って陰極が長
くなるため上記の接触が一層生じ易い。因みに、上記用
途においては、陰極とグリッド電極との距離が0.6 乃至
0.7 (mm)程度と小さく設定されているが、振動を考慮す
ると1.0 乃至1.2 (mm)程度に大きくすることが好ましい
のである。
おいては、大きな振動が作用するにも拘わらず高照度下
で高い視認性を確保するために極めて高い輝度が要求さ
れている。そのため、高輝度を実現するために陰極とグ
リッド電極との距離をそれほど大きくできないことか
ら、振動に起因するそれらの接触が生じ易いという問題
がある。特に、近年ではこのような用途においても蛍光
表示管が長尺化する傾向にあり、それに伴って陰極が長
くなるため上記の接触が一層生じ易い。因みに、上記用
途においては、陰極とグリッド電極との距離が0.6 乃至
0.7 (mm)程度と小さく設定されているが、振動を考慮す
ると1.0 乃至1.2 (mm)程度に大きくすることが好ましい
のである。
【0006】ここで、蛍光表示管の特性に大きな影響を
与える陰極の振動振幅は、外部から伝達される振動が
(1):f0 =(1/4L) √(T/ρ) {但し、L:陰極長
さ、T:陰極の張力、ρ:陰極の線密度}で与えられる
陰極の固有振動数f0 に略一致する場合に最大になる
が、この最大振幅は、複数本の陰極相互の共鳴により増
大させられる。すなわち、複数本の陰極は何れも同材料
で構成されて同様な状態で架設されていることからその
振動特性は相互に略同様である。一方、複数本の陰極の
一端がそれぞれ溶着された複数のアーム部は、表示面に
沿って配置されて帯状を成すアンカの固着部に共通に接
続されており、その固着部は例えば気密容器の周壁部を
構成するスペーサガラスと基板との間に挟まれた状態で
陰極に直交する方向の両端部で固定されて中間部が振動
可能となっている。そのため、互いに同様な振動特性を
備えた陰極の振動がアーム部および固着部を介して相互
に伝達されることから、共鳴して振幅が増大するのであ
る。前記の陰極とグリッド電極との距離は、それらの接
触が生じないように蛍光表示管の大きさや使用環境等に
応じて経験的に設定されることから、実質的に上記のよ
うな共鳴による増幅も考慮したものとなっている。
与える陰極の振動振幅は、外部から伝達される振動が
(1):f0 =(1/4L) √(T/ρ) {但し、L:陰極長
さ、T:陰極の張力、ρ:陰極の線密度}で与えられる
陰極の固有振動数f0 に略一致する場合に最大になる
が、この最大振幅は、複数本の陰極相互の共鳴により増
大させられる。すなわち、複数本の陰極は何れも同材料
で構成されて同様な状態で架設されていることからその
振動特性は相互に略同様である。一方、複数本の陰極の
一端がそれぞれ溶着された複数のアーム部は、表示面に
沿って配置されて帯状を成すアンカの固着部に共通に接
続されており、その固着部は例えば気密容器の周壁部を
構成するスペーサガラスと基板との間に挟まれた状態で
陰極に直交する方向の両端部で固定されて中間部が振動
可能となっている。そのため、互いに同様な振動特性を
備えた陰極の振動がアーム部および固着部を介して相互
に伝達されることから、共鳴して振幅が増大するのであ
る。前記の陰極とグリッド電極との距離は、それらの接
触が生じないように蛍光表示管の大きさや使用環境等に
応じて経験的に設定されることから、実質的に上記のよ
うな共鳴による増幅も考慮したものとなっている。
【0007】したがって、陰極の振動振幅の共鳴による
増幅を抑制すれば、陰極とグリッド電極との距離を十分
に小さくして高い輝度を保ったままそれらの接触を十分
に抑制できると考えられる。また、陰極の振動は騒音を
発生させるが、その騒音も共鳴により増大させられるた
め、このことからも共鳴を抑制することが望まれてい
た。例えば特開平8−7808号公報に記載されている
蛍光表示管によれば、アームの固着部の全面が表示面に
固着されてその固着部の振動が抑制されている。そのた
め、個々の陰極の振動が他の陰極に伝達され難いことか
ら共鳴が抑制されるのである。しかしながら、固着部の
全体を表示面に固着する方法では、製造工程における加
熱時或いは冷却時に基板と固着部との熱膨張率の差に起
因して蛍光表示管が破損し易くなるという問題がある。
なお、前述のように振動振幅は陰極の張力に反比例する
ことから、張力を高めて個々の陰極の最大振幅を小さく
することも考えられる。しかしながら、張力に起因する
破断を避けるためには陰極に作用する引張応力を許容応
力よりも十分に小さい範囲に留める必要があることか
ら、共鳴時の振幅を十分に小さくできる程度まで張力を
高くすることは困難である。
増幅を抑制すれば、陰極とグリッド電極との距離を十分
に小さくして高い輝度を保ったままそれらの接触を十分
に抑制できると考えられる。また、陰極の振動は騒音を
発生させるが、その騒音も共鳴により増大させられるた
め、このことからも共鳴を抑制することが望まれてい
た。例えば特開平8−7808号公報に記載されている
蛍光表示管によれば、アームの固着部の全面が表示面に
固着されてその固着部の振動が抑制されている。そのた
め、個々の陰極の振動が他の陰極に伝達され難いことか
ら共鳴が抑制されるのである。しかしながら、固着部の
全体を表示面に固着する方法では、製造工程における加
熱時或いは冷却時に基板と固着部との熱膨張率の差に起
因して蛍光表示管が破損し易くなるという問題がある。
なお、前述のように振動振幅は陰極の張力に反比例する
ことから、張力を高めて個々の陰極の最大振幅を小さく
することも考えられる。しかしながら、張力に起因する
破断を避けるためには陰極に作用する引張応力を許容応
力よりも十分に小さい範囲に留める必要があることか
ら、共鳴時の振幅を十分に小さくできる程度まで張力を
高くすることは困難である。
【0008】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、蛍光表示管においてフィ
ラメント状陰極の共鳴を好適に抑制し得るアンカ構造を
提供することにある。
たものであって、その目的は、蛍光表示管においてフィ
ラメント状陰極の共鳴を好適に抑制し得るアンカ構造を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、基板の表示面に設け
られた複数個の陽極上に蛍光体層が固着され、その表示
面の上方に架設されたフィラメント状の複数本の陰極か
ら発生させられた電子を、それら複数個の陽極と複数本
の陰極との間に設けられたグリッド電極で制御してその
蛍光体層を選択的に発光させる形式の蛍光表示管におい
て、前記複数本の陰極を各々に所定の張力が付与された
状態で架設するために設けられ、前記表示面に沿って配
置されて一部がその表示面に固着された帯状の固着部
と、それら複数本の陰極の一端がそれぞれ溶着される溶
着面を先端部に有してそれぞれそれら複数本の陰極の長
手方向に略沿った方向の弾性変形可能にその固着部から
連続して形成された複数のアーム部とを備えたアンカ構
造であって、(a) 前記複数のアーム部は、前記複数本の
陰極の一部および他の一部に相互に異なる張力をそれぞ
れ付与するための第1アーム部および第2アーム部を含
むことにある。
め、本発明の要旨とするところは、基板の表示面に設け
られた複数個の陽極上に蛍光体層が固着され、その表示
面の上方に架設されたフィラメント状の複数本の陰極か
ら発生させられた電子を、それら複数個の陽極と複数本
の陰極との間に設けられたグリッド電極で制御してその
蛍光体層を選択的に発光させる形式の蛍光表示管におい
て、前記複数本の陰極を各々に所定の張力が付与された
状態で架設するために設けられ、前記表示面に沿って配
置されて一部がその表示面に固着された帯状の固着部
と、それら複数本の陰極の一端がそれぞれ溶着される溶
着面を先端部に有してそれぞれそれら複数本の陰極の長
手方向に略沿った方向の弾性変形可能にその固着部から
連続して形成された複数のアーム部とを備えたアンカ構
造であって、(a) 前記複数のアーム部は、前記複数本の
陰極の一部および他の一部に相互に異なる張力をそれぞ
れ付与するための第1アーム部および第2アーム部を含
むことにある。
【0010】
【発明の効果】このようにすれば、複数本の陰極の一部
および他の一部に相互に異なる張力をそれぞれ付与する
ための第1アーム部および第2アーム部を含む複数のア
ーム部を備えて蛍光表示管のアンカ構造が構成される。
そのため、それぞれのアーム部に溶着された複数本の陰
極のうちの一部に第1アーム部から付与される張力と、
他の一部に第2アーム部から付与される張力とが相互に
異なることから、その一部の陰極の固有振動数は他の一
部とは異なるものとなる。したがって、振動可能に設け
られた固着部の中間部を介して他の一部の陰極からその
一部の陰極に振動が伝達されても、固有振動数が相互に
異なることからそれらの間で共鳴が生じることが好適に
抑制される。因みに、前記の(1) 式から明らかなよう
に、陰極の固有振動数は張力T、長さL、および線密度
ρの関数として与えられるが、長さLは表示面の大きさ
で、線密度ρは陰極の構成材料でそれぞれ略決定される
ことから、一つの蛍光表示管内で表示機能に影響を与え
ることなくこれらを変化させることは困難である。これ
に対して、張力Tは容易に変化させ得ると共に変化させ
ても表示機能に特に影響を与えないのである。
および他の一部に相互に異なる張力をそれぞれ付与する
ための第1アーム部および第2アーム部を含む複数のア
ーム部を備えて蛍光表示管のアンカ構造が構成される。
そのため、それぞれのアーム部に溶着された複数本の陰
極のうちの一部に第1アーム部から付与される張力と、
他の一部に第2アーム部から付与される張力とが相互に
異なることから、その一部の陰極の固有振動数は他の一
部とは異なるものとなる。したがって、振動可能に設け
られた固着部の中間部を介して他の一部の陰極からその
一部の陰極に振動が伝達されても、固有振動数が相互に
異なることからそれらの間で共鳴が生じることが好適に
抑制される。因みに、前記の(1) 式から明らかなよう
に、陰極の固有振動数は張力T、長さL、および線密度
ρの関数として与えられるが、長さLは表示面の大きさ
で、線密度ρは陰極の構成材料でそれぞれ略決定される
ことから、一つの蛍光表示管内で表示機能に影響を与え
ることなくこれらを変化させることは困難である。これ
に対して、張力Tは容易に変化させ得ると共に変化させ
ても表示機能に特に影響を与えないのである。
【0011】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1アーム
部および前記第2アーム部は、前記固着部と前記溶着面
との間の弾性変形させられる部分の長さであるアーム長
さが相互に異なるものとされている。このようにすれ
ば、陰極に作用する張力Tは (2): T= 3EIδ/La3cos
θ(但し、E:アーム部の縦弾性率、I:アーム部の断
面二次モーメント、La :アーム長さ、θ:固着部の長
手方向とアーム部との成す角度)で与えられるが、第1
アーム部と第2アーム部とはそのアーム長さLa が相互
に異なるものとされていることから、相互に異なる張力
Tを陰極に付与することなる。したがって、第1アーム
部に溶着された陰極と第2アーム部に溶着された陰極と
では、張力Tが相互に異なることから固有振動数が相互
に異なるため、共鳴が好適に抑制される。
部および前記第2アーム部は、前記固着部と前記溶着面
との間の弾性変形させられる部分の長さであるアーム長
さが相互に異なるものとされている。このようにすれ
ば、陰極に作用する張力Tは (2): T= 3EIδ/La3cos
θ(但し、E:アーム部の縦弾性率、I:アーム部の断
面二次モーメント、La :アーム長さ、θ:固着部の長
手方向とアーム部との成す角度)で与えられるが、第1
アーム部と第2アーム部とはそのアーム長さLa が相互
に異なるものとされていることから、相互に異なる張力
Tを陰極に付与することなる。したがって、第1アーム
部に溶着された陰極と第2アーム部に溶着された陰極と
では、張力Tが相互に異なることから固有振動数が相互
に異なるため、共鳴が好適に抑制される。
【0012】なお、蛍光表示管において一般に行われて
いるように、上記のアーム部の角度θを一様にすると共
に、アーム部が弾性変形させられた状態における溶着面
の位置を陰極の長手方向において一様にした場合には、
撓みの大きさはδ=La tanθ−C (但し、Cは溶着面の
位置で定められる定数)で与えられる。このため、上記
(2) 式において撓みの大きさδがアーム長さLa の一次
関数として変化させられることを考慮すると、張力Tは
アーム長さLa の略−2乗に比例することとなる。した
がって、アーム長さLa を変化させる場合において、そ
の変化に伴う撓みの大きさδの変化の張力Tに対する寄
与は十分に小さく、溶着面の位置を一様とする場合にも
容易に複数本の陰極の張力を相互に異なるものとでき
る。
いるように、上記のアーム部の角度θを一様にすると共
に、アーム部が弾性変形させられた状態における溶着面
の位置を陰極の長手方向において一様にした場合には、
撓みの大きさはδ=La tanθ−C (但し、Cは溶着面の
位置で定められる定数)で与えられる。このため、上記
(2) 式において撓みの大きさδがアーム長さLa の一次
関数として変化させられることを考慮すると、張力Tは
アーム長さLa の略−2乗に比例することとなる。した
がって、アーム長さLa を変化させる場合において、そ
の変化に伴う撓みの大きさδの変化の張力Tに対する寄
与は十分に小さく、溶着面の位置を一様とする場合にも
容易に複数本の陰極の張力を相互に異なるものとでき
る。
【0013】また、好適には、前記第1アーム部および
前記第2アーム部は、前記弾性変形の方向に略垂直な幅
方向の寸法が相互に異なるものとされている。このよう
にすれば、アーム部の断面二次モーメントIは、I =bh
3/12(但し、b:アーム部の幅、h:アーム部の厚み)
で与えられることから、第1アーム部と第2アーム部と
は、上記(2) 式において断面二次モーメントIが相互に
異なるものとなる。そのため、アーム長さを変化させる
場合と同様に陰極に付与される張力Tを相互に異なるも
のとできる。
前記第2アーム部は、前記弾性変形の方向に略垂直な幅
方向の寸法が相互に異なるものとされている。このよう
にすれば、アーム部の断面二次モーメントIは、I =bh
3/12(但し、b:アーム部の幅、h:アーム部の厚み)
で与えられることから、第1アーム部と第2アーム部と
は、上記(2) 式において断面二次モーメントIが相互に
異なるものとなる。そのため、アーム長さを変化させる
場合と同様に陰極に付与される張力Tを相互に異なるも
のとできる。
【0014】なお、更に好適には、前記複数のアーム部
の各々は、前記複数本の陰極の各々に相互に異なる張力
を付与するものである。このようにすれば、相互に同様
な張力Tが付与されている陰極が存在しないため、複数
本の陰極の固有振動数が全て異なることとなって、一層
確実に共鳴が抑制される。
の各々は、前記複数本の陰極の各々に相互に異なる張力
を付与するものである。このようにすれば、相互に同様
な張力Tが付与されている陰極が存在しないため、複数
本の陰極の固有振動数が全て異なることとなって、一層
確実に共鳴が抑制される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において
各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において
各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
【0016】図1および図2は、本発明の一実施例の蛍
光表示管10を示す斜視図および断面図である。図にお
いて、蛍光表示管10は、ガラス、セラミックス、ホウ
ロウ等の絶縁体材料から成る平板状の基板12、および
透明平板状のフロントガラス14が、矩形枠状のスペー
サガラス16を介して接合されて長手平箱状の真空容器
に構成されている。
光表示管10を示す斜視図および断面図である。図にお
いて、蛍光表示管10は、ガラス、セラミックス、ホウ
ロウ等の絶縁体材料から成る平板状の基板12、および
透明平板状のフロントガラス14が、矩形枠状のスペー
サガラス16を介して接合されて長手平箱状の真空容器
に構成されている。
【0017】基板12の表示面18側の上面には、長手
方向中央部に陽極配線層20が、両端部にアンカ22、
サポート24をそれぞれ備えた一対の陰極端子26a,
26b(特に区別しないときには単に陰極端子26とい
う)がそれぞれ設けられている。それら陰極端子26
a,26b間には、互いに平行な複数本のフィラメント
状の陰極28が両端部をアンカ22およびサポート24
にそれぞれ溶着されることにより、表示面18から比較
的離隔した位置においてその長手方向に沿って等間隔で
架設されている。この陰極28は、表面に電子放出層と
して(Ba,Sr,Ca)O等の仕事関数の低いアルカリ土類金属
の酸化物固溶体がコーティングされたタングステン(W
)ワイヤから成り、例えばα=5.00×10-6(/K)程度の
線膨張係数を備えたものである。
方向中央部に陽極配線層20が、両端部にアンカ22、
サポート24をそれぞれ備えた一対の陰極端子26a,
26b(特に区別しないときには単に陰極端子26とい
う)がそれぞれ設けられている。それら陰極端子26
a,26b間には、互いに平行な複数本のフィラメント
状の陰極28が両端部をアンカ22およびサポート24
にそれぞれ溶着されることにより、表示面18から比較
的離隔した位置においてその長手方向に沿って等間隔で
架設されている。この陰極28は、表面に電子放出層と
して(Ba,Sr,Ca)O等の仕事関数の低いアルカリ土類金属
の酸化物固溶体がコーティングされたタングステン(W
)ワイヤから成り、例えばα=5.00×10-6(/K)程度の
線膨張係数を備えたものである。
【0018】図3および図4は、表示面18のうちアン
カ22を備えた一方の陰極端子26aの要部近傍、およ
び全体の断面をそれぞれフロントガラス14およびスペ
ーサガラス16等を省略して示す図である。図におい
て、アンカ22は、例えばSUS430等から成るもの
であって、表示面18上を幅方向に貫通して設けられた
フレーム30に固着される長手板状の固着部32と、そ
の固着部32の長手方向の一方の側部に断続的に突き出
した複数の凸部34から連続して形成されて陰極28の
長手方向に弾性変形可能なアーム部36とを備えてい
る。このアーム部36は、上記の凸部34の先端部に表
示面18から離隔する方向に略垂直に形成された基部3
8と、その表示面18に略垂直な一面40を有してその
基部38の先端部から表示面18に略平行な方向に伸び
る帯状部42と、陰極28を溶着するために表示面18
と略平行に形成された溶着面44を上側に有してその帯
状部42の先端部にサポート24から離隔する方向に伸
びて設けられた折曲部46とから構成されたものであ
る。
カ22を備えた一方の陰極端子26aの要部近傍、およ
び全体の断面をそれぞれフロントガラス14およびスペ
ーサガラス16等を省略して示す図である。図におい
て、アンカ22は、例えばSUS430等から成るもの
であって、表示面18上を幅方向に貫通して設けられた
フレーム30に固着される長手板状の固着部32と、そ
の固着部32の長手方向の一方の側部に断続的に突き出
した複数の凸部34から連続して形成されて陰極28の
長手方向に弾性変形可能なアーム部36とを備えてい
る。このアーム部36は、上記の凸部34の先端部に表
示面18から離隔する方向に略垂直に形成された基部3
8と、その表示面18に略垂直な一面40を有してその
基部38の先端部から表示面18に略平行な方向に伸び
る帯状部42と、陰極28を溶着するために表示面18
と略平行に形成された溶着面44を上側に有してその帯
状部42の先端部にサポート24から離隔する方向に伸
びて設けられた折曲部46とから構成されたものであ
る。
【0019】一方、他方の陰極端子26bに設けられた
サポート24は、アンカ22と同様にSUS430等か
ら成るものであって、表示面18に対して略垂直な方向
に伸びる基部48と、陰極28を溶着するために表示面
18と略平行に形成された溶着面50を有してその基部
48の先端部に設けられた折曲部52とを備えている。
これらアンカ22およびサポート24は、表示面18の
長手方向の両端部の一方および他方においてそれぞれフ
レーム30にスポット溶接などによって溶着され、更
に、その枠状のフレーム30の一部がその長手方向に直
交する方向で基板12の外側に突き出した状態で、例え
ばフリットガラス54等により表示面18の周縁部にス
ペーサガラス16が接合されると同時に固着されること
で表示面18上に設けられている。前記の陰極28は、
アンカ22のアーム部36(特に帯状部42すなわち固
着部32と溶着面44との間の部分)がサポート24側
に向かって弾性的に曲げられた状態でその両端を溶着面
44,50にそれぞれ溶着されており、これにより、陰
極28にはその帯状部42の復元力(弾性力)に従って
所定の張力が与えられている。
サポート24は、アンカ22と同様にSUS430等か
ら成るものであって、表示面18に対して略垂直な方向
に伸びる基部48と、陰極28を溶着するために表示面
18と略平行に形成された溶着面50を有してその基部
48の先端部に設けられた折曲部52とを備えている。
これらアンカ22およびサポート24は、表示面18の
長手方向の両端部の一方および他方においてそれぞれフ
レーム30にスポット溶接などによって溶着され、更
に、その枠状のフレーム30の一部がその長手方向に直
交する方向で基板12の外側に突き出した状態で、例え
ばフリットガラス54等により表示面18の周縁部にス
ペーサガラス16が接合されると同時に固着されること
で表示面18上に設けられている。前記の陰極28は、
アンカ22のアーム部36(特に帯状部42すなわち固
着部32と溶着面44との間の部分)がサポート24側
に向かって弾性的に曲げられた状態でその両端を溶着面
44,50にそれぞれ溶着されており、これにより、陰
極28にはその帯状部42の復元力(弾性力)に従って
所定の張力が与えられている。
【0020】図5は、アンカ22全体の平面図を表した
ものであり、図に示されるように固着部32の長手方向
の例えば4位置に上記のアーム部36a、36b、36
c、36d(以下、特に区別しないときは単にアーム部
36という)が備えられている。これら4つのアーム部
36は、何れも同様な断面形状を備えて略同形状を成
し、固着部32の長手方向と例えば50°程度の一定の角
度θを成す方向に伸びたものであるが、弾性変形させら
れる帯状部42の長さであるアーム長さLa は相互に異
なっている。すなわち、アーム長さLa は、図において
最下部に位置するアーム部36aから順に、例えばLa1
=2.8(mm) 程度、La2=3.6(mm) 程度、La3=3.2(mm)
程度、La4=4.0(mm) 程度である。これらのアーム部3
6は、図の最上部に位置するアーム部36dについて破
線で例示されるような非弾性変形状態から、それぞれの
アーム長さLa に応じて定められる大きさδだけ撓まさ
れることによって、陰極28を架設した状態における溶
着面44の位置がその陰極28の長手方向において略同
様となっている。このため、前記(2) 式において撓みの
大きさδがアーム長さLa の一次関数として変化させら
れることを考慮すると、陰極28に作用する張力Tは、
アーム長さLa の−2乗の関数となる。すなわち、アー
ム長さLa が大きくなるほど張力Tが小さくなって、ア
ーム部36aから順に73.1(g) 、42.6(g) 、51.3(g) 、
34.0(g) 程度と、アーム部36相互に張力Tが異なるこ
ととなる。本実施例においては、アーム部36の何れか
が第1アーム部に、他の何れかが第2アーム部にそれぞ
れ相当し、全てのアーム部36のアーム長さが相互に異
なるものとなっている。なお、アーム長さLa が相互に
異なるアーム部36にそれぞれ溶着された陰極36相互
の間隔を前記のように一様にするため、前記凸部34の
相互間隔は一様とはなっていない。
ものであり、図に示されるように固着部32の長手方向
の例えば4位置に上記のアーム部36a、36b、36
c、36d(以下、特に区別しないときは単にアーム部
36という)が備えられている。これら4つのアーム部
36は、何れも同様な断面形状を備えて略同形状を成
し、固着部32の長手方向と例えば50°程度の一定の角
度θを成す方向に伸びたものであるが、弾性変形させら
れる帯状部42の長さであるアーム長さLa は相互に異
なっている。すなわち、アーム長さLa は、図において
最下部に位置するアーム部36aから順に、例えばLa1
=2.8(mm) 程度、La2=3.6(mm) 程度、La3=3.2(mm)
程度、La4=4.0(mm) 程度である。これらのアーム部3
6は、図の最上部に位置するアーム部36dについて破
線で例示されるような非弾性変形状態から、それぞれの
アーム長さLa に応じて定められる大きさδだけ撓まさ
れることによって、陰極28を架設した状態における溶
着面44の位置がその陰極28の長手方向において略同
様となっている。このため、前記(2) 式において撓みの
大きさδがアーム長さLa の一次関数として変化させら
れることを考慮すると、陰極28に作用する張力Tは、
アーム長さLa の−2乗の関数となる。すなわち、アー
ム長さLa が大きくなるほど張力Tが小さくなって、ア
ーム部36aから順に73.1(g) 、42.6(g) 、51.3(g) 、
34.0(g) 程度と、アーム部36相互に張力Tが異なるこ
ととなる。本実施例においては、アーム部36の何れか
が第1アーム部に、他の何れかが第2アーム部にそれぞ
れ相当し、全てのアーム部36のアーム長さが相互に異
なるものとなっている。なお、アーム長さLa が相互に
異なるアーム部36にそれぞれ溶着された陰極36相互
の間隔を前記のように一様にするため、前記凸部34の
相互間隔は一様とはなっていない。
【0021】図1および図2に戻って、前記の陽極配線
層20の上には、絶縁層56を介して所定の表示パター
ン形状に対応して区画された複数の陽極58が設けられ
ており、その陽極58上には、上記所定の表示パターン
の蛍光体層60が設けられている。この蛍光体層60
は、R(赤)、G(緑)、B(青)等の発光色の種々の
蛍光体から、所定の発光色に対応するものが選択されて
用いられる。また、蛍光体層60からフロントガラス1
4側に離隔した上方で前記陰極28の下方、すなわち陰
極28と陽極58と間には、複数の金網状のグリッド電
極62が所定の発光区画毎に設けられ、例えば、陽極5
8の真空容器の幅方向における両側に備えられた複数の
接点64に、その幅方向の両端に設けられた端子66に
おいて導電性接着剤等によって接続されている。陰極2
8とグリッド電極62との距離D(図4参照)は、例え
ば車載用では0.6 〜0.7 (mm)程度であり、一般民生機器
用では0.9 (mm)程度である。上記の陽極配線層20、陰
極端子26、接点64等は、真空容器の長手方向の側部
に、例えば基板12とスペーサガラス16との間を通し
て外部に貫通して設けられて内部側の先端部がパッド6
8に押しつけられた複数本の接続端子70に電気的に接
続されており、この接続端子70を通して所定の陽極5
8、陰極28、およびグリッド電極62に所定の電圧が
それぞれ印加される。なお、図において72はゲッタで
ある。また、基板12には、真空容器が形成された後に
排気して内部を真空にするための図示しない排気孔が設
けられている。
層20の上には、絶縁層56を介して所定の表示パター
ン形状に対応して区画された複数の陽極58が設けられ
ており、その陽極58上には、上記所定の表示パターン
の蛍光体層60が設けられている。この蛍光体層60
は、R(赤)、G(緑)、B(青)等の発光色の種々の
蛍光体から、所定の発光色に対応するものが選択されて
用いられる。また、蛍光体層60からフロントガラス1
4側に離隔した上方で前記陰極28の下方、すなわち陰
極28と陽極58と間には、複数の金網状のグリッド電
極62が所定の発光区画毎に設けられ、例えば、陽極5
8の真空容器の幅方向における両側に備えられた複数の
接点64に、その幅方向の両端に設けられた端子66に
おいて導電性接着剤等によって接続されている。陰極2
8とグリッド電極62との距離D(図4参照)は、例え
ば車載用では0.6 〜0.7 (mm)程度であり、一般民生機器
用では0.9 (mm)程度である。上記の陽極配線層20、陰
極端子26、接点64等は、真空容器の長手方向の側部
に、例えば基板12とスペーサガラス16との間を通し
て外部に貫通して設けられて内部側の先端部がパッド6
8に押しつけられた複数本の接続端子70に電気的に接
続されており、この接続端子70を通して所定の陽極5
8、陰極28、およびグリッド電極62に所定の電圧が
それぞれ印加される。なお、図において72はゲッタで
ある。また、基板12には、真空容器が形成された後に
排気して内部を真空にするための図示しない排気孔が設
けられている。
【0022】ところで、上記のアンカ22は、例えば以
下のようにして製造される。すなわち、先ず、例えば、
厚さが0.05〜0.08 (μm)程度のSUS430等から成る
板材を用意し、エッチング或いは順送金型による打ち抜
き成形等により、図6に示されるような複数の枝状部7
4a、74b、74c、74d(以下、特に区別しない
ときは単に枝状部74という)を備えたアンカ用板76
を作製する。次いで、図に破線で示される位置で複数の
枝状部74をそれぞれ曲げ加工する。これにより、枝状
部74から帯状部42や折曲部46等が形成されて、前
記図3、図5等に示される形状のアーム部36を備えた
アンカ22が得られる。
下のようにして製造される。すなわち、先ず、例えば、
厚さが0.05〜0.08 (μm)程度のSUS430等から成る
板材を用意し、エッチング或いは順送金型による打ち抜
き成形等により、図6に示されるような複数の枝状部7
4a、74b、74c、74d(以下、特に区別しない
ときは単に枝状部74という)を備えたアンカ用板76
を作製する。次いで、図に破線で示される位置で複数の
枝状部74をそれぞれ曲げ加工する。これにより、枝状
部74から帯状部42や折曲部46等が形成されて、前
記図3、図5等に示される形状のアーム部36を備えた
アンカ22が得られる。
【0023】前記の蛍光表示管10は、上記のように作
製されたアンカ22を用いて、図7に示されるように各
部材を相互に接合することにより製造される。なお、図
7は陰極28を6本備えた蛍光表示管を示しており、図
1等と完全に対応するものではない。すなわち、先ず、
基板12の表面18に図示しない陽極配線や蛍光体パタ
ーン等を形成し、更に、グリッド62を所定のパターン
で設ける。次いで、矩形枠状のフレーム30の長手方向
の両端部の短辺にアンカ22およびサポート24をそれ
ぞれ溶着する。このとき、アンカ22は図5に黒点Sで
示されるように複数の凸部34の各々一か所の位置でフ
レームにスポット溶接され、サポート24もアンカ22
と同様に数カ所でスポット溶接される。そして、所定の
治具を用いてアーム部36を弾性変形させて、それぞれ
が図5に示されるように湾曲させられた状態でその陰極
28を構成する複数本のタングステンワイヤの両端をア
ンカ22の溶着面44およびサポート24の溶着面50
に同時に溶着する。これにより、アンカ22およびサポ
ート24間に複数本の陰極28が張架されるが、前述の
ようにアーム長さLa は複数のアーム部36相互に異な
る一方、上記治具によるアーム部36の湾曲量は、陰極
28の長さを一様とするために溶着面44がその陰極2
8の長手方向において同位置に位置するように設定され
る。そのため、溶着後に上記の治具を取り外すと、アー
ム部36の復元力に基づいてそれら複数本の陰極28に
相互に異なる張力Tが付与されることとなる。なお、フ
レーム30の基板12の長手方向すなわち陰極28の長
手方向に沿った辺には、前記の複数本の接続端子70が
所定間隔で(図では前方側だけに示されているが、必要
に応じて後方側にも)備えられている。
製されたアンカ22を用いて、図7に示されるように各
部材を相互に接合することにより製造される。なお、図
7は陰極28を6本備えた蛍光表示管を示しており、図
1等と完全に対応するものではない。すなわち、先ず、
基板12の表面18に図示しない陽極配線や蛍光体パタ
ーン等を形成し、更に、グリッド62を所定のパターン
で設ける。次いで、矩形枠状のフレーム30の長手方向
の両端部の短辺にアンカ22およびサポート24をそれ
ぞれ溶着する。このとき、アンカ22は図5に黒点Sで
示されるように複数の凸部34の各々一か所の位置でフ
レームにスポット溶接され、サポート24もアンカ22
と同様に数カ所でスポット溶接される。そして、所定の
治具を用いてアーム部36を弾性変形させて、それぞれ
が図5に示されるように湾曲させられた状態でその陰極
28を構成する複数本のタングステンワイヤの両端をア
ンカ22の溶着面44およびサポート24の溶着面50
に同時に溶着する。これにより、アンカ22およびサポ
ート24間に複数本の陰極28が張架されるが、前述の
ようにアーム長さLa は複数のアーム部36相互に異な
る一方、上記治具によるアーム部36の湾曲量は、陰極
28の長さを一様とするために溶着面44がその陰極2
8の長手方向において同位置に位置するように設定され
る。そのため、溶着後に上記の治具を取り外すと、アー
ム部36の復元力に基づいてそれら複数本の陰極28に
相互に異なる張力Tが付与されることとなる。なお、フ
レーム30の基板12の長手方向すなわち陰極28の長
手方向に沿った辺には、前記の複数本の接続端子70が
所定間隔で(図では前方側だけに示されているが、必要
に応じて後方側にも)備えられている。
【0024】上記のようにアンカ22、サポート24、
および陰極28を取り付けた後、フレーム30を基板1
2上の図に矢印で示される所定位置に載置し、予めスペ
ーサガラス16が一面に固着されたフロントガラス14
の周縁部をフリットガラス54等で基板12の表示面1
8側に接合する。これにより、フレーム30が基板12
とスペーサガラス16との間に挟まれた状態でフリット
ガラス54で固着され、予め定められた所定位置に陰極
28が設けられると共に、接続端子70が自身の弾性に
基づいて図2に示されるようにその先端部がパッド68
に押しつけられた状態で固定される。この後、フレーム
30の一対の長辺を切断除去して接続端子70を相互に
分離し、図示しない排気孔を通して内部のガスを十分に
排気した後、その排気孔を封止することによって、前記
図1に示される蛍光表示管10が得られる。したがっ
て、フレーム30は蛍光表示管10の長手方向の両端の
一部だけが相互に分離された状態でその内部に残り、そ
の残存部分のうち基板12の幅方向における両端部のみ
がフリットガラス54によって基板12上に固定される
こととなる。このように、固着部32は、両端が基板1
2の表示面18に固着されたフレーム30を介してその
基板12に固着されていることから、その一部が表示面
18に実質的に固着されていると考えられる。
および陰極28を取り付けた後、フレーム30を基板1
2上の図に矢印で示される所定位置に載置し、予めスペ
ーサガラス16が一面に固着されたフロントガラス14
の周縁部をフリットガラス54等で基板12の表示面1
8側に接合する。これにより、フレーム30が基板12
とスペーサガラス16との間に挟まれた状態でフリット
ガラス54で固着され、予め定められた所定位置に陰極
28が設けられると共に、接続端子70が自身の弾性に
基づいて図2に示されるようにその先端部がパッド68
に押しつけられた状態で固定される。この後、フレーム
30の一対の長辺を切断除去して接続端子70を相互に
分離し、図示しない排気孔を通して内部のガスを十分に
排気した後、その排気孔を封止することによって、前記
図1に示される蛍光表示管10が得られる。したがっ
て、フレーム30は蛍光表示管10の長手方向の両端の
一部だけが相互に分離された状態でその内部に残り、そ
の残存部分のうち基板12の幅方向における両端部のみ
がフリットガラス54によって基板12上に固定される
こととなる。このように、固着部32は、両端が基板1
2の表示面18に固着されたフレーム30を介してその
基板12に固着されていることから、その一部が表示面
18に実質的に固着されていると考えられる。
【0025】以上のように構成された蛍光表示管10
は、複数本の陰極28の全てに定常的に26(mA/本) 程度
のヒート電流を流した状態で、グリッド電極62に順次
数十(V) 程度の低電圧の正の加速電圧を印加して走査す
ると共に、その走査のタイミングに同期して所定の陽極
58にグリッド電極62と同程度の正電圧を印加して用
いられる。上記のヒート電流を流されることによって例
えば600(℃) 程度の温度に保持された陰極28から放出
された熱電子は、グリッド電極62に加速電圧が印加さ
れている場合にはそれによって陽極58に向かって加速
・拡散され、負の消去電圧が印加されている場合には遮
断される。そのため、正電圧を印加され且つ上方のグリ
ッド電極62に加速電圧が印加された陽極58に選択的
に電子が入射させられ、その陽極58上の蛍光体層60
に衝突させられることにより、その蛍光体のみが選択的
に励起されて所定の色の発光を示し、所定の発光表示が
得られるのである。
は、複数本の陰極28の全てに定常的に26(mA/本) 程度
のヒート電流を流した状態で、グリッド電極62に順次
数十(V) 程度の低電圧の正の加速電圧を印加して走査す
ると共に、その走査のタイミングに同期して所定の陽極
58にグリッド電極62と同程度の正電圧を印加して用
いられる。上記のヒート電流を流されることによって例
えば600(℃) 程度の温度に保持された陰極28から放出
された熱電子は、グリッド電極62に加速電圧が印加さ
れている場合にはそれによって陽極58に向かって加速
・拡散され、負の消去電圧が印加されている場合には遮
断される。そのため、正電圧を印加され且つ上方のグリ
ッド電極62に加速電圧が印加された陽極58に選択的
に電子が入射させられ、その陽極58上の蛍光体層60
に衝突させられることにより、その蛍光体のみが選択的
に励起されて所定の色の発光を示し、所定の発光表示が
得られるのである。
【0026】上記の蛍光表示管10の駆動状態におい
て、陰極28は印加されるヒート電流と同期して振動さ
せられ、更に、自動車用等の輸送機械の表示パネルとし
て蛍光表示管10が用いられる場合には、駆動状態であ
るか否かを問わず、運行に伴う振動が外部から陰極28
に伝達されてそれに同期して振動させられる。そのた
め、前記の陰極28とグリッド電極62との距離Dは、
その二乗に反比例する輝度が十分に高くなる範囲で、振
動させられた陰極28がグリッド電極62に接触させら
れないように大きくするため、前記の値に設定されてい
るのである。上記二種類の振動のうち、ヒート電流に起
因するものは距離Dに比較して十分に振幅が小さく、接
触に関しては特に問題とならないが、自動車等の運行に
伴う振動は一般にそれよりも極めて大きい。このとき、
本実施例の蛍光表示管10においては、アンカ22のア
ーム長さLa がアーム部36個々に異なるものとされて
複数本の陰極28の張力Tが相互に異なることから、そ
れらの固有振動数f0 が個々に異なるものとなってい
る。そのため、複数本の陰極28のうち任意の一本が上
記のような原因で振動させられても、他の陰極28はそ
の振動させられた陰極28とは固有振動数f0 が異なる
ことから共鳴させられない。したがって、共鳴による振
幅増大が抑制されるため、外部から大きな振動が伝達さ
れた場合にも、陰極28が上記距離Dよりも大きく振動
させられてグリッド電極62に接触することが好適に抑
制され、通電時における短絡や非通電時における陰極2
8表面の酸化物固溶体の剥離等が防止されて蛍光表示管
10の信頼性が向上する。
て、陰極28は印加されるヒート電流と同期して振動さ
せられ、更に、自動車用等の輸送機械の表示パネルとし
て蛍光表示管10が用いられる場合には、駆動状態であ
るか否かを問わず、運行に伴う振動が外部から陰極28
に伝達されてそれに同期して振動させられる。そのた
め、前記の陰極28とグリッド電極62との距離Dは、
その二乗に反比例する輝度が十分に高くなる範囲で、振
動させられた陰極28がグリッド電極62に接触させら
れないように大きくするため、前記の値に設定されてい
るのである。上記二種類の振動のうち、ヒート電流に起
因するものは距離Dに比較して十分に振幅が小さく、接
触に関しては特に問題とならないが、自動車等の運行に
伴う振動は一般にそれよりも極めて大きい。このとき、
本実施例の蛍光表示管10においては、アンカ22のア
ーム長さLa がアーム部36個々に異なるものとされて
複数本の陰極28の張力Tが相互に異なることから、そ
れらの固有振動数f0 が個々に異なるものとなってい
る。そのため、複数本の陰極28のうち任意の一本が上
記のような原因で振動させられても、他の陰極28はそ
の振動させられた陰極28とは固有振動数f0 が異なる
ことから共鳴させられない。したがって、共鳴による振
幅増大が抑制されるため、外部から大きな振動が伝達さ
れた場合にも、陰極28が上記距離Dよりも大きく振動
させられてグリッド電極62に接触することが好適に抑
制され、通電時における短絡や非通電時における陰極2
8表面の酸化物固溶体の剥離等が防止されて蛍光表示管
10の信頼性が向上する。
【0027】因みに、陰極28を張架している陰極端子
26の一方に備えられているアンカ22が固着部32に
おいてスポット溶接されているフレーム30は、両端部
のみが基板12上に固定されていることから、その中間
部がアンカ22の中間部(それぞれ気密空間内に位置さ
せられている部分)と一体となって振動させられ得る。
そのため、一本の陰極28の振動がアンカ22およびフ
レーム30を介して他の陰極28に伝達されることか
ら、固有振動数f0 が相互に同様となっていると共鳴が
生じて振幅が増大させられるのである。
26の一方に備えられているアンカ22が固着部32に
おいてスポット溶接されているフレーム30は、両端部
のみが基板12上に固定されていることから、その中間
部がアンカ22の中間部(それぞれ気密空間内に位置さ
せられている部分)と一体となって振動させられ得る。
そのため、一本の陰極28の振動がアンカ22およびフ
レーム30を介して他の陰極28に伝達されることか
ら、固有振動数f0 が相互に同様となっていると共鳴が
生じて振幅が増大させられるのである。
【0028】なお、蛍光表示管10の使用時において、
一定温度に加熱されている陰極28は熱膨張させられる
が、前記のようにその線膨張係数がα=5.00×10-6(/K)
程度であることから、600(℃) 程度に加熱されたときに
常温時に対する伸び量は0.3(mm)程度である。したがっ
て、前記のようにアーム部36の撓みの大きさδがこの
伸び量に対して十分に大きいことから、蛍光表示管10
の使用時においてもアーム部36が十分に撓まされた状
態に保たれるため、陰極28に作用する張力が十分に大
きく保たれてその撓みが抑制される。すなわち、アーム
長さLa は、この熱膨張による伸び量も考慮して、撓み
の大きさδが使用時において所定の大きさ以上となるよ
うに設定されているのである。なお、駆動方法の詳細に
ついては本発明の理解に必要ではないので省略する。
一定温度に加熱されている陰極28は熱膨張させられる
が、前記のようにその線膨張係数がα=5.00×10-6(/K)
程度であることから、600(℃) 程度に加熱されたときに
常温時に対する伸び量は0.3(mm)程度である。したがっ
て、前記のようにアーム部36の撓みの大きさδがこの
伸び量に対して十分に大きいことから、蛍光表示管10
の使用時においてもアーム部36が十分に撓まされた状
態に保たれるため、陰極28に作用する張力が十分に大
きく保たれてその撓みが抑制される。すなわち、アーム
長さLa は、この熱膨張による伸び量も考慮して、撓み
の大きさδが使用時において所定の大きさ以上となるよ
うに設定されているのである。なお、駆動方法の詳細に
ついては本発明の理解に必要ではないので省略する。
【0029】要するに、本実施例においては、複数本の
陰極28の相互に異なる張力を付与する複数のアーム部
36を備えて蛍光表示管10のアンカ22が構成され
る。そのため、それぞれのアーム部36に溶着された複
数本の陰極28にアーム部36a、36b、36c、3
6dの各々から付与される張力Tが相互に異なることか
ら、複数本の陰極28の固有振動数f0 は相互に異なる
ものとなる。したがって、結果として振動可能に設けら
れた固着部32の中間部を介して一本の陰極28から他
の陰極28に振動が伝達されても、固有振動数f0 が相
互に異なることからそれらの間で共鳴が生じることが好
適に抑制される。
陰極28の相互に異なる張力を付与する複数のアーム部
36を備えて蛍光表示管10のアンカ22が構成され
る。そのため、それぞれのアーム部36に溶着された複
数本の陰極28にアーム部36a、36b、36c、3
6dの各々から付与される張力Tが相互に異なることか
ら、複数本の陰極28の固有振動数f0 は相互に異なる
ものとなる。したがって、結果として振動可能に設けら
れた固着部32の中間部を介して一本の陰極28から他
の陰極28に振動が伝達されても、固有振動数f0 が相
互に異なることからそれらの間で共鳴が生じることが好
適に抑制される。
【0030】しかも、本実施例においては、複数のアー
ム部36は、前記固着部32と前記溶着面44との間の
弾性変形させられる部分すなわち帯状部42の長さであ
るアーム長さLa が相互に異なるものとされている。こ
のようにすれば、陰極28に作用する張力Tは、 (2):
T= 3EIδ/La3cosθで与えられるが、複数のアーム部
36はそのアーム長さLa が相互に異なるものとされて
いることから、相互に異なる張力Tを陰極28に付与す
ることとなる。
ム部36は、前記固着部32と前記溶着面44との間の
弾性変形させられる部分すなわち帯状部42の長さであ
るアーム長さLa が相互に異なるものとされている。こ
のようにすれば、陰極28に作用する張力Tは、 (2):
T= 3EIδ/La3cosθで与えられるが、複数のアーム部
36はそのアーム長さLa が相互に異なるものとされて
いることから、相互に異なる張力Tを陰極28に付与す
ることとなる。
【0031】また、本実施例においては、前記複数のア
ーム部36の各々は、前記複数本の陰極28の各々に相
互に異なる張力Tを付与するものである。そのため、相
互に同様な張力Tが付与されている陰極28が存在しな
いことから、複数本の陰極28の固有振動数f0 が相互
に全て異なるため、一層確実に共鳴が抑制される。
ーム部36の各々は、前記複数本の陰極28の各々に相
互に異なる張力Tを付与するものである。そのため、相
互に同様な張力Tが付与されている陰極28が存在しな
いことから、複数本の陰極28の固有振動数f0 が相互
に全て異なるため、一層確実に共鳴が抑制される。
【0032】また、本実施例においては、前記の製造工
程の説明から明らかなように、打ち抜きプレス成形され
るアンカ用板76の成形後の形状が異なる他は従来と同
様な工程で蛍光表示管10が製造されることから、工程
を何ら複雑にすることなく複数本の陰極28の張力Tを
相互に異なるものとできるという利点がある。
程の説明から明らかなように、打ち抜きプレス成形され
るアンカ用板76の成形後の形状が異なる他は従来と同
様な工程で蛍光表示管10が製造されることから、工程
を何ら複雑にすることなく複数本の陰極28の張力Tを
相互に異なるものとできるという利点がある。
【0033】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分
は同一の符号を付して説明を省略する。
お、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】図8(a) 、(b) は、アンカ22に代えて蛍
光表示管10に用いられ得るアンカ78を示す図であ
り、(a) はアンカ22の図5に対応する平面図、(b) は
(a) における右側面図である。図において、アンカ78
は、アンカ22と略同様に構成されているが、複数のア
ーム部36はアーム長さLa が同様にされて、溶着面4
4の位置を陰極28の長手方向において略一様とした場
合の撓みの大きさδが一様となる一方、図8(b) に示さ
れるように、帯状部42の表示面18に垂直な方向すな
わち弾性変形方向に略垂直な方向の幅寸法bが相互に異
なるものとなっている。なお、帯状部42の厚みhは一
様である。それぞれの幅寸法は、例えば、アーム部36
aが0.6(mm) 程度、アーム部36bが0.4(mm) 程度、ア
ーム部36cが0.5(mm) 程度、アーム部36dが0.3(m
m) 程度である。そのため、複数のアーム部36は、断
面形状延いては断面二次モーメントIが相互に異なるも
のとなっているが、撓みの大きさδは同様であることか
ら、前記 (2)式において、断面二次モーメントIのみが
異なることとなって、複数本の陰極28にそれぞれ付与
される張力Tが、それぞれアーム部36aから順に62
(g) 、41(g) 、51(g) 、31(g) 程度と、アーム部36相
互に張力Tが異なることとなっている。
光表示管10に用いられ得るアンカ78を示す図であ
り、(a) はアンカ22の図5に対応する平面図、(b) は
(a) における右側面図である。図において、アンカ78
は、アンカ22と略同様に構成されているが、複数のア
ーム部36はアーム長さLa が同様にされて、溶着面4
4の位置を陰極28の長手方向において略一様とした場
合の撓みの大きさδが一様となる一方、図8(b) に示さ
れるように、帯状部42の表示面18に垂直な方向すな
わち弾性変形方向に略垂直な方向の幅寸法bが相互に異
なるものとなっている。なお、帯状部42の厚みhは一
様である。それぞれの幅寸法は、例えば、アーム部36
aが0.6(mm) 程度、アーム部36bが0.4(mm) 程度、ア
ーム部36cが0.5(mm) 程度、アーム部36dが0.3(m
m) 程度である。そのため、複数のアーム部36は、断
面形状延いては断面二次モーメントIが相互に異なるも
のとなっているが、撓みの大きさδは同様であることか
ら、前記 (2)式において、断面二次モーメントIのみが
異なることとなって、複数本の陰極28にそれぞれ付与
される張力Tが、それぞれアーム部36aから順に62
(g) 、41(g) 、51(g) 、31(g) 程度と、アーム部36相
互に張力Tが異なることとなっている。
【0035】すなわち、本実施例においても、前述の実
施例と同様に複数本の陰極28の相互に異なる張力を付
与する複数のアーム部36を備えて蛍光表示管10のア
ンカ78が構成される。そのため、それぞれのアーム部
36に溶着された複数本の陰極28にアーム部36a、
36b、36c、36dの各々から付与される張力Tが
相互に異なることから、複数本の陰極28の固有振動数
f0 は相互に異なるものとなる。したがって、結果とし
て振動可能に設けられた固着部32の中間部を介して一
本の陰極28から他の陰極28に振動が伝達されても、
固有振動数f0が相互に異なることからそれらの間で共
鳴が生じることが好適に抑制される。なお、表示面18
から溶着面44までの高さHは何れも同様であり、帯状
部42の幅寸法bは、その下端位置が変化させられるこ
とによって相互に異なるものとされている。また、アー
ム長さLa が一様であることから、複数の凸部34の相
互間隔は一様となっている。
施例と同様に複数本の陰極28の相互に異なる張力を付
与する複数のアーム部36を備えて蛍光表示管10のア
ンカ78が構成される。そのため、それぞれのアーム部
36に溶着された複数本の陰極28にアーム部36a、
36b、36c、36dの各々から付与される張力Tが
相互に異なることから、複数本の陰極28の固有振動数
f0 は相互に異なるものとなる。したがって、結果とし
て振動可能に設けられた固着部32の中間部を介して一
本の陰極28から他の陰極28に振動が伝達されても、
固有振動数f0が相互に異なることからそれらの間で共
鳴が生じることが好適に抑制される。なお、表示面18
から溶着面44までの高さHは何れも同様であり、帯状
部42の幅寸法bは、その下端位置が変化させられるこ
とによって相互に異なるものとされている。また、アー
ム長さLa が一様であることから、複数の凸部34の相
互間隔は一様となっている。
【0036】しかも、本実施例においては、複数のアー
ム部36は、帯状部42の弾性変形の方向に略垂直な幅
方向の寸法bが相互に異なるものとされている。このよ
うにすれば、前記(2) 式において断面二次モーメントI
(=bh3/12)が複数のアーム部36相互に異なるものと
なる。そのため、アーム長さLa を変化させる場合と同
様に陰極28に付与される張力Tを相互に異なるものと
できる。
ム部36は、帯状部42の弾性変形の方向に略垂直な幅
方向の寸法bが相互に異なるものとされている。このよ
うにすれば、前記(2) 式において断面二次モーメントI
(=bh3/12)が複数のアーム部36相互に異なるものと
なる。そのため、アーム長さLa を変化させる場合と同
様に陰極28に付与される張力Tを相互に異なるものと
できる。
【0037】また、本実施例においても、アンカ78の
形状が異なる他は前述の実施例と同様な製造工程で蛍光
表示管10を製造し得ると共に、そのアンカ78は、前
記図6に示されるようなアンカ用板76の打ち抜きプレ
ス形状を異なるものとするだけで製造できることから、
工程を何ら複雑にすることなく複数本の陰極28の張力
Tを相互に異なるものとできる。
形状が異なる他は前述の実施例と同様な製造工程で蛍光
表示管10を製造し得ると共に、そのアンカ78は、前
記図6に示されるようなアンカ用板76の打ち抜きプレ
ス形状を異なるものとするだけで製造できることから、
工程を何ら複雑にすることなく複数本の陰極28の張力
Tを相互に異なるものとできる。
【0038】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0039】例えば、前述の実施例においては、本発明
がメッシュ状のグリッド電極62を備えた蛍光表示管1
0に適用された場合について説明したが、陽極58を囲
むように立設されたリブ状壁の頂部にグリッド電極が設
けられたリブグリッド型蛍光表示管にも本発明は同様に
適用される。
がメッシュ状のグリッド電極62を備えた蛍光表示管1
0に適用された場合について説明したが、陽極58を囲
むように立設されたリブ状壁の頂部にグリッド電極が設
けられたリブグリッド型蛍光表示管にも本発明は同様に
適用される。
【0040】また、前述の実施例においては、複数のア
ーム部36の帯状部42の長さ(アーム長さLa )、或
いは幅寸法bが相互に異なるものとされることによっ
て、陰極28に作用する張力Tが相互に異なるものとさ
れていたが、帯状部42の厚みhを変化させることによ
っても、断面二次モーメントIが変化することから張力
Tを相互に異なるものとできる。また、これらのうち二
種類或いは三種類全ての寸法を同時に変化させれば、一
層広範囲に亘って張力を変化させ得る。なお、帯状部4
2の厚みhは、例えばエッチング等で変化させることが
できる。
ーム部36の帯状部42の長さ(アーム長さLa )、或
いは幅寸法bが相互に異なるものとされることによっ
て、陰極28に作用する張力Tが相互に異なるものとさ
れていたが、帯状部42の厚みhを変化させることによ
っても、断面二次モーメントIが変化することから張力
Tを相互に異なるものとできる。また、これらのうち二
種類或いは三種類全ての寸法を同時に変化させれば、一
層広範囲に亘って張力を変化させ得る。なお、帯状部4
2の厚みhは、例えばエッチング等で変化させることが
できる。
【0041】また、実施例においては、全てのアーム部
材36の弾性が相互に異なるものとされることによって
全ての陰極28の張力Tが相互に異なるようにされてい
たが、少なくとも一部の陰極28の張力Tが異なってそ
の固有振動数f0 が異なっていれば、全体が一様な固有
振動数f0 を有する場合よりも共鳴に起因する振幅増大
を抑制できて本発明の効果が得られる。
材36の弾性が相互に異なるものとされることによって
全ての陰極28の張力Tが相互に異なるようにされてい
たが、少なくとも一部の陰極28の張力Tが異なってそ
の固有振動数f0 が異なっていれば、全体が一様な固有
振動数f0 を有する場合よりも共鳴に起因する振幅増大
を抑制できて本発明の効果が得られる。
【0042】また、実施例においては、アンカ22がフ
レーム30にスポット溶接されて、そのフレーム30が
表示面18の幅方向の両端部においてフリットガラス5
4等によって固着されることによって、振動可能な状態
で間接的に表示面18上に備えられていたが、アンカ2
2が表示面18上に直接取り付けられる場合にも、その
固着部32が表示面18に部分的に固着されることによ
り非固着部分の歪み等によって振動伝達可能となってい
れば、同様に本発明を適用し得る。すなわち、複数本の
陰極28をそれぞれ張架するための複数のアーム部36
が共通の固着部32から連続して形成されると共に、そ
の固着部32を介してそれら複数のアーム部36相互間
に振動が伝達されるアンカ構造であれば、伝達された振
動の振幅増大を抑制することが望まれるため、本発明を
適用する効果が得られるのである。
レーム30にスポット溶接されて、そのフレーム30が
表示面18の幅方向の両端部においてフリットガラス5
4等によって固着されることによって、振動可能な状態
で間接的に表示面18上に備えられていたが、アンカ2
2が表示面18上に直接取り付けられる場合にも、その
固着部32が表示面18に部分的に固着されることによ
り非固着部分の歪み等によって振動伝達可能となってい
れば、同様に本発明を適用し得る。すなわち、複数本の
陰極28をそれぞれ張架するための複数のアーム部36
が共通の固着部32から連続して形成されると共に、そ
の固着部32を介してそれら複数のアーム部36相互間
に振動が伝達されるアンカ構造であれば、伝達された振
動の振幅増大を抑制することが望まれるため、本発明を
適用する効果が得られるのである。
【0043】また、各部の寸法比やアーム部36の個
数、陰極28の本数等は適宜変更される。
数、陰極28の本数等は適宜変更される。
【0044】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図1】蛍光表示管の全体を示す斜視図である。
【図2】図1の蛍光表示管の断面構造を示す図である。
【図3】アンカ近傍の要部を拡大して示す図である。
【図4】陰極の張架状態を示す要部断面図である。
【図5】アンカの全体を示す平面図である。
【図6】図5のアンカを製造する製造工程において曲げ
加工によってアンカに成形されるアンカ用板を示す図で
ある。
加工によってアンカに成形されるアンカ用板を示す図で
ある。
【図7】蛍光表示管の組み立て工程を説明する図であ
る。
る。
【図8】(a) は図1の蛍光表示管に用いられ得るアンカ
の他の例を示す平面図であり、(b) は(a) における右側
面図である。
の他の例を示す平面図であり、(b) は(a) における右側
面図である。
10:蛍光表示管 12:基板 18:表示面 28:陰極 32:固着部 36:アーム部 44:溶着面 58:陽極 60:蛍光体層 62:グリッド電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 清児 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地九州ノリタケ株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 基板の表示面に設けられた複数個の陽極
上に蛍光体層が固着され、該表示面の上方に架設された
フィラメント状の複数本の陰極から発生させられた電子
を、該複数個の陽極と該複数本の陰極との間に設けられ
たグリッド電極で制御して該蛍光体層を選択的に発光さ
せる形式の蛍光表示管において、前記複数本の陰極を各
々に所定の張力が付与された状態で架設するために設け
られ、前記表示面に沿って配置されて一部が該表示面に
固着された帯状の固着部と、該複数本の陰極の一端がそ
れぞれ溶着される溶着面を先端部に有してそれぞれ該複
数本の陰極の長手方向に略沿った方向の弾性変形可能に
該固着部から連続して形成された複数のアーム部とを備
えたアンカ構造であって、 前記複数のアーム部は、前記複数本の陰極の一部および
他の一部に相互に異なる張力をそれぞれ付与するための
第1アーム部および第2アーム部を含むことを特徴とす
る蛍光表示管のアンカ構造。 - 【請求項2】 前記第1アーム部および前記第2アーム
部は、前記固着部と前記溶着面との間の弾性変形させら
れる部分の長さであるアーム長さが相互に異なるものと
されている請求項1の蛍光表示管のアンカ構造。 - 【請求項3】 前記第1アーム部および前記第2アーム
部は、前記弾性変形の方向に略垂直な幅方向の寸法が相
互に異なるものとされている請求項1の蛍光表示管のア
ンカ構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16755197A JPH1116522A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 蛍光表示管のアンカ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16755197A JPH1116522A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 蛍光表示管のアンカ構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1116522A true JPH1116522A (ja) | 1999-01-22 |
Family
ID=15851825
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16755197A Pending JPH1116522A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 蛍光表示管のアンカ構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1116522A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010103517A (ko) * | 2000-05-10 | 2001-11-23 | 김순택 | 형광표시관 |
JP2016134298A (ja) * | 2015-01-20 | 2016-07-25 | ノリタケ伊勢電子株式会社 | 真空管 |
JP2016134299A (ja) * | 2015-01-20 | 2016-07-25 | ノリタケ伊勢電子株式会社 | 真空管 |
JP2018022709A (ja) * | 2017-11-10 | 2018-02-08 | ノリタケ伊勢電子株式会社 | アナログ増幅用真空管、真空管 |
-
1997
- 1997-06-24 JP JP16755197A patent/JPH1116522A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010103517A (ko) * | 2000-05-10 | 2001-11-23 | 김순택 | 형광표시관 |
JP2016134298A (ja) * | 2015-01-20 | 2016-07-25 | ノリタケ伊勢電子株式会社 | 真空管 |
JP2016134299A (ja) * | 2015-01-20 | 2016-07-25 | ノリタケ伊勢電子株式会社 | 真空管 |
CN105810533A (zh) * | 2015-01-20 | 2016-07-27 | 则武伊势电子株式会社 | 真空管 |
CN105811896A (zh) * | 2015-01-20 | 2016-07-27 | 则武伊势电子株式会社 | 真空管 |
CN105810533B (zh) * | 2015-01-20 | 2019-03-12 | 则武伊势电子株式会社 | 真空管 |
TWI680486B (zh) * | 2015-01-20 | 2019-12-21 | 日商則武伊勢電子股份有限公司 | 類比放大用真空管及真空管 |
CN105811896B (zh) * | 2015-01-20 | 2020-11-13 | 则武伊势电子株式会社 | 真空管 |
JP2018022709A (ja) * | 2017-11-10 | 2018-02-08 | ノリタケ伊勢電子株式会社 | アナログ増幅用真空管、真空管 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7157849B2 (en) | Field emission display including mesh grid and focusing electrode and its method of manufacture | |
JP2002025477A (ja) | 平面ディスプレイ及びその製造方法 | |
JPH1116522A (ja) | 蛍光表示管のアンカ構造 | |
JP2894263B2 (ja) | 蛍光表示管 | |
JP2004022536A (ja) | メッシュ状のグリッドを有する平板ディスプレイ装置 | |
JP3044609B2 (ja) | 表示装置 | |
KR100617853B1 (ko) | 전자관 | |
JP2004103513A (ja) | 蛍光表示管及び蛍光表示管用陰極支持体 | |
JP3230442B2 (ja) | 薄型蛍光表示管 | |
JPH11307022A (ja) | 蛍光表示管 | |
JP2980027B2 (ja) | 蛍光表示管 | |
JP2002367547A (ja) | チップイングラス蛍光表示管 | |
US6452329B1 (en) | Vacuum fluorescent display for minimizing non-use area | |
JP3058824B2 (ja) | 蛍光表示管のアンカ | |
JP2001023550A (ja) | 電界放射冷陰極およびその製造方法ならびに表示装置 | |
JPH03252030A (ja) | フラットディスプレイ装置 | |
JPH0243088Y2 (ja) | ||
JP2734266B2 (ja) | 蛍光表示管 | |
JPH10134741A (ja) | 蛍光表示管及びその製造方法 | |
JP2004014254A (ja) | 蛍光表示管の陰極支持体固着構造 | |
JP3164094B2 (ja) | 蛍光表示管 | |
KR100477721B1 (ko) | 형광표시관및이형광표시관의서포트와라인캐소오드의결합방법 | |
JP3427869B2 (ja) | 発光素子の電極構造およびその製造方法 | |
JP3018292U (ja) | 蛍光表示管 | |
JP2003016978A (ja) | 蛍光表示管および蛍光表示管用グリッドメッシュ |