JPH11164390A - イヤホン装置 - Google Patents

イヤホン装置

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JPH11164390A
JPH11164390A JP9322590A JP32259097A JPH11164390A JP H11164390 A JPH11164390 A JP H11164390A JP 9322590 A JP9322590 A JP 9322590A JP 32259097 A JP32259097 A JP 32259097A JP H11164390 A JPH11164390 A JP H11164390A
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JP
Japan
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diaphragm
electric
sound
acoustic
earphone device
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JP9322590A
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Inventor
Yasuo Maekawa
泰夫 前川
Midori Uematsu
みどり 植松
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PRIMO CO Ltd
Original Assignee
PRIMO CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な回路構成によって外部騒音を低減する
ことができるイヤホン装置を提供する。 【解決手段】 外部騒音を収音する音響・電気変換手段
(7)を電気・音響変換手段と共に有し、電気・音響変
換手段を駆動する電気回路(11)は、振動板(5)を
介して伝達された外部騒音(N)の位相に対して音響・
電気変換手段の出力信号によって電気・音響変換手段が
発する音の位相を略逆位相に補正すると共に、駆動手段
(4)が前記振動板(5)に力を及ぼす範囲の円面半径
bと振動板(5)の半径aとの比b/aを0.6から
0.8の範囲とし、振動板を通して伝達された騒音と音
響・電気変換手段の出力によって電気・音響変換手段で
発せられる音との周波数特性を合せ込む回路を不要にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イヤホン装置に係
り、外部からの騒音を低減する技術に関するものであ
る。本明細書においてイヤホン装置はヘッドホン装置を
含む概念として用いられている。
【0002】
【従来の技術】能動型ヘッドホン装置における騒音低減
技術について記載された文献の例として特開平2−25
2398号公報がある。この文献には、装着時に耳の近
傍に外部騒音を収音するマイクロホンなどの音響・電気
変換手段と、ヘッドホンユニットなどの電気・音響変換
手段を設け、上記マイクロホンで収音し電気信号に変換
した騒音信号をヘッドホンユニットで音声信号として発
音した際に、外部から耳孔に到達する外部騒音と同じ周
波数スペクトルを有し逆位相となる音響信号にするよう
に制御することにより、該耳孔に到達する外部騒音を低
減する技術が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記文献
における、騒音低減制御を行なうための制御回路につい
て検討した。これによれば、当該文献に示される能動制
御型のヘッドホンでは、音響入力端子から消去点までの
伝達関数をTA、外部騒音収音マイク、制御回路、増幅
回路、ヘッドホンユニットの伝達関数を夫々TM,T
β,A,TERとしたとき、制御回路の前記伝達関数T
βを、Tβ=−1/A・TERとなるように決めると、
外部騒音を打ち消すことができるとしている。この場
合、Aは単なる増幅率となるので、所望する伝達関数T
βは、ヘッドホンユニットの伝達関数の逆フィルタを設
計することにより、広い帯域に亘って騒音を打ち消そう
とすると、複雑な形式の伝達関数Tβが必要とされる。
そのような伝達関数を実現する制御回路は周波数特性を
制御しなければならず複雑化し、その回路規模は増大す
ることが予想される。
【0004】本発明の目的は、簡単な回路構成によって
外部からの騒音を低減することができるイヤホン装置を
提供することにある。
【0005】本発明の前記並びにその他の目的と新規な
特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるで
あろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点によ
るイヤホン装置は、ケーシングに収納され前記耳孔(1
0)に向けて音を発するための振動板(5)と該振動板
の駆動手段(4)とを有する電気・音響変換手段と、前
記ケーシングに設けられ外部騒音を収音して電気信号に
変換する音響・電気変換手段(7)と、前記音響・電気
変換手段からの出力信号とライン入力信号とに基づいて
前記電気・音響変換手段を駆動する電気回路(11)と
を有する。前記電気回路は、振動板を介して伝達された
外部騒音の位相に対して前記音響・電気変換手段からの
出力信号によって電気・音響変換手段で発せらされる音
の位相を略逆位相に補正する補正手段(12)を含み、
前記駆動手段が前記振動板に力を及ぼす範囲の円面半径
bと前記振動板の半径aとの比b/aが0.6から0.
8の範囲の任意の値に設定されて成るものである。前記
駆動手段は、動電形式、電磁形式、静電形式、及び圧電
形式の何れであってもよい。
【0007】振動板を介して内部に伝達された騒音を低
減するには、当該伝達された騒音と前記音響・電気変換
手段からの出力信号によって電気・音響変換手段で発せ
られる音とは、音響的な周波数特性の点で差異が小さ
く、また、前者に対して後者の位相が略逆位相にされて
いることが望ましい。上記周波数特性の点に関し、上記
手段では、前記振動板と駆動手段との構造的な点から対
応している。すなわち、前記比b/aを0.6から0.
8の範囲の任意の値に設定する。最良の形態では、比b
/aを大凡0.7とする。b/a=1とすれば、振動板
を介して内部に伝達された騒音と前記音響・電気変換手
段からの出力信号によって電気・音響変換手段で発音さ
れる音とは、理論上、音響的な周波数特性が一致される
が、電気・音響変換手段の機能上、b<aとならざるを
得ない。この点において、比b/aを大凡0.7とする
前記最良の形態では、前記双方の周波数特性を完全に一
致させることはできないが、電気・音響変換手段による
電気・音響変換による周波数特性上、第1反共振点と第
2共振点とを消滅させることができる。したがって、前
記最良の形態を採用する場合には、従来位相若しくは周
波数制御回路無しでは消すことのできなかった、振動板
の第1共振周波数よりも高い周波数成分を持つ騒音を、
複雑な制御回路を用いること無く第2共振周波数近辺ま
で低減することができる。換言すれば、電気回路に対し
ては、周波数特性を制御するために特別な回路を採用し
ないままにし、これによって前記電気回路は、自ずと、
前記電気・音響変換手段による変換の際の伝達関数と前
記振動板の裏面から耳孔までの伝達関数とが略等しくな
るようにされるままでよい。前記最良の形態以外で前記
比b/aを0.6から0.8の範囲の任意の値に設定し
た場合には、特別な制御回路を用いること無く前記双方
の周波数特性の差異を小さくすることを保証でき、振動
板の第1共振周波数よりも高い周波数成分を持つ騒音を
第2共振周波数近辺まで低減することができる。
【0008】本発明の第2の観点によるイヤホン装置
は、前記電気・音響変換手段の電気・音響変換の際の周
波数的な伝達特性が、周波数1KHzから3KHzの信
号周波数に対して共振点及び反共振点を有しないよう
に、前記比b/aが設定されて成るものである。これに
よっても、前記最良の形態同様の作用及び効果を得る。
【0009】
【発明の実施の形態】図1には本発明の一例に係るイヤ
ホン装置の概略縦断面が示される。同図に示されるイヤ
ホン装置1は、特に制限されないが、動電形式とされ、
フレーム2Aに設けられた磁極3の外周部に駆動コイル
4が挿入され、該駆動コイル4の先端が振動板5の中央
部に固定されている。前記駆動コイル4と振動板5は電
気・音響変換手段の一例であるスピーカを構成する。振
動板5の外周縁は前記フレーム2Aと一体化されたフレ
ーム2Bに固定されている。図1において振動板5は作
図上の関係で湾曲状に図示されているが、その形状は例
えば略平面の円形である。前記振動板5及び駆動コイル
の平面形状は円形であり、相互に同心で配置されてい
る。フレーム2Bには環状のイヤパッド6が配置され、
イヤパッド6の前面は図示を省略する、多数の通孔を有
するプロテクタで覆われている。前記フレーム2Bに
は、音響・電気変換手段の一例である参照マイクロホン
7が配置されている。尚、図1において8は振動板5の
背面に連通する代表的に示された開口、9は耳、10は
耳孔である。
【0010】イヤホン装置1は、前記参照マイクロホン
7からの出力信号とライン入力信号LINとに基づいて
前記駆動コイル4を駆動する電気回路11を有する。こ
の電気回路11は、特に制限されないが、位相補正回路
12、加算回路13及びパワーアンプ14を有する。位
相補正回路12は、振動板5を介して伝達された外部騒
音の位相に対して前記参照マイクロホン7からの出力信
号によって振動板5で発せられる音の位相を略逆位相に
補正する補正手段を構成する。前記位相補正回路12
は、例えば周知のCR時定数を用いた簡単な回路によっ
て実現することができる。また、前記位相補正回路12
と加算回路13の機能を併せて、一つの差動アンプで構
成することも可能である。前記加算回路13はライン入
力信号LINと前記補正回路12の出力信号をアナログ
的に加算してパワーアンプ14に出力する。パワーアン
プ14は駆動コイル4を駆動する。電気回路10は実際
は前記フレーム2Aに取付けられている。
【0011】図2には図1のイヤホン装置における前記
参照マイクを用いた騒音低減の原理が示される。
【0012】イヤホン装置1において、Nは騒音源、T
NAは騒音源Nから振動板5の裏面までの伝達関数、T
NMは騒音源Nから参照マイクロホン7までの伝達関
数、TERは振動板5と駆動コイル4による電気・音響
変換の際の伝達関数、TABは振動板5を騒音源Nで駆
動したとき振動板5の裏面から耳孔10までの伝達関
数、Td0は参照マイクロホン7と駆動コイル4との間
に挿入される電気回路11の伝達関数である。外部騒音
源Nからの騒音は振動板5を通して空間CAを介して耳
孔10に至る。特に制限されないが、空間CAはイヤパ
ッド6と振動板5で密閉されている。尚、前記伝達関数
TNA,TNM,TAB,TERは周波数の関数になっ
ている。
【0013】前記参照マイクロホン7は振動板5に接近
して、振動板5の裏面が受ける音圧と等しく受音できる
位置に配置されている。
【0014】ここで、騒音源NのスペクトルをXN、B
点(耳孔10の入口部分)での騒音スペクトルをYNと
すると、 YN=XN・TNA・TAB…(1) が得られる。
【0015】一方、騒音源NのスペクトルXNが参照マ
イクロホン7を経てB点に至る騒音スペクトルYN1
は、 YN1=XN・TNM・Td0・TER…(2) で得られる。
【0016】ここで、前記スペクトルXNに対し参照マ
イクロホン7を使用してB点の騒音を消去することを考
える。騒音が完全に消去された状態は、YN−YN1=
0となることである。前記式(1)、(2)より、 XN・TNA・TAB=XN・TNM・Td0・TER…(3) が得られる。式(3)において参照マイクの位置をTN
A=TNMとなるように決めると、 XN・TAB=XN・Td0・TER…(4) となり、騒音を打ち消すために挿入される電気回路11
の伝達関数Td0は、 Tdo=TAB/TER…(5) で得られる。
【0017】伝達関数TAB、TERはヘッドフォン装
置の構造によって決まる固有の値であり、外部の状態に
よって影響されずに決定されるものであるから、伝達関
数Td0はTABとTERの観測結果から導き出すこと
ができる。
【0018】前記式(5)において、TAB=TERと
すると、Td0=1となる。Td0=1とすれば、電気
回路11は、周波数特性を制御するための複雑な回路構
成を必要としない。換言すれば、参照マイクロホン7の
出力を加算回路13に直接供給することができる。
【0019】以下に説明するように、マイクロホン装置
1では、電気回路11の伝達特性を概略Td0=1と
し、周波数特性を制御する複雑な回路を採用していな
い。即ち、振動板5を介して空間CAに伝達された騒音
を低減するには、当該伝達された騒音と前記参照マイク
ロホン7からの出力信号によって振動板5で発せられる
音との音響的な周波数特性を一致若しくは近似させるこ
とが必要であるが、周波数特性の点に関しては、電気回
路11で対策せず、前記振動板5の半径aと駆動コイル
5の半径bとの関係に基づく構造的な点から最適化を図
っている。以下、この点を念頭において説明を続ける。
【0020】前記伝達関数TAB,TERはどちらも振
動板5の伝達特性を反映したものであり、TAB,TE
Rを知るためには振動板5の挙動を解析する。
【0021】例えば、図3に模式的に示されるように、
半径aの円形振動板を、半径b(b<a)なる同心円で
囲まれた円面部分に単位面積当たりF0εjωtの力を加
えて垂直駆動した場合に、引き起こされる振動変位をξ
とすると、これによって排除される媒質の体積変位Vε
jωtは、式(6)のように表現できる。式(6)におい
て、J0,J1は夫々0次及び1次のベッセル(Bessel)
関数、rは振動板5の中心からの距離、αは無次元の周
波数パラメータであり例えばα=C・T・ωで与えら
れ、x=b/aである。C,Tは定数である。
【0022】
【数1】
【0023】式(6)より、体積排除量の周波数特性に
現れる共振点はその分母を0とする J0(α)=0…(7) によって与えられ、また、反共振点は式(6)の分子を
0とする 2J1(αx)−αxJ0(α)=0…(8) によって与えられる。これにより、反共振点は駆動同心
円面の半径を与えるパラメータxに関係して変化される
が、共振点はこれとは無関係であることが解る。
【0024】式(6)、(7)より、駆動用の同心円面
の半径bを適切に選ぶと、詳細を後述するように、振動
板5の共振点と反共振点がちょうど重なった周波数にな
り、周波数特性に現れる共振点及び反共振点を消滅させ
ることができる。
【0025】図4は同心円面の半径bと、振動板5の半
径aとの比が、振動板5による体積排除量の周波数特性
に与える影響を示している。x=0.6941のところ
で、共振点及び反共振点が重なり合って消滅する一つの
最適結果を得た。尚、ω/ω1=α/2.40483で
あり、ω1は振動板5の第1共振周波数である。
【0026】イヤホン装置1において、外部から騒音が
与えられたときの振動板5の動きは、図4のx=1のと
きのように、振動板全面に垂直駆動力が働いた場合に相
当する。この状態での振動板の振る舞いは、図2のブロ
ック図に示される伝達関数TABを決定する。
【0027】一方、伝達関数TERは、電気信号が駆動
コイル4などを介して振動板5の駆動力に変換されると
きのものであって、このときの振動板5の振る舞いは、
駆動コイル4が作る同心円で囲まれた円面部分が駆動コ
イル4と同じように動くとすると、駆動用の同心円面の
半径bによって決められる。TAB=TERとすると、
同心円面の半径bを振動板の半径aに近づけること、す
なわち、騒音での駆動状態と同じように、x=1となる
ように半径bを決めることに相当する。しかしながら、
音響機器の構造からすれば、駆動用の同心円面の半径b
は、振動板5の半径aより小さくならざるを得ず、xは
x<1の条件で最適値を選ぶことが必要である。図4
で、x=1のときの周波数特性との差異が小さいと考え
られるxの値を0.6までとすると、その時の体積変位
Vεjωtの値の差異は、第1共振周波数の1.5倍の周
波数で最大6dBとなっている。6dB程度の差異は、
ノイズがキャンセルされたものとみなすことができる。
x=0.6よりも小さいくなるとそれに従って特性の差
異が大きくなり、振幅若しくは周波数特性の補正のため
に別に制御回路が必要になる。
【0028】従来、イヤホン装置は、駆動コイルのよう
な駆動源を使用して電気・音響変換を行なう際の変換効
率と周波数特性とを最重視して設計されていた。円形振
動板の共振点と反共振点は周波数特性の山谷となって現
れてくるので、広帯域で起伏の少ない周波数特性を実現
するための妨げとなる。従来は、その山谷の落差を小さ
くするため、周波数特性を制御するための複雑な音響回
路が用いられている。
【0029】そこで、上記イヤホン装置では、最良の形
態として、振動板5の第2共振周波数が全く現れないx
の最適値x=0.69を選び、電気・音響変換特性とも
併せて最適化されている。前記電気回路11の伝達関数
はTd0=1として、電気回路11の複雑化並びに物理
的な回路規模の増大を抑えている。この結果、従来周波
数特性制御回路無しでは消すことのできなかった、振動
板5の第1共振周波数よりも高い周波数成分を持つ騒音
を第2共振周波数近辺まで消すことができる。電気・音
響変換時の特性を多少犠牲にすれば、xの値を0.6〜
0.8の範囲で選んでも、ほぼ同様の消音効果を得るこ
とができる。
【0030】効果を確認するために、駆動同心円面の半
径を与えるxの値の異なったイヤホン装置の周波数特性
と、各々のイヤホン装置を使用した騒音低減効果とを実
測した。
【0031】図5のL1で示される周波数特性は、上記
最良の形態としての構成X=0.69を採用したイヤホ
ン装置1の駆動コイルに、50Hz〜10KHzの間で
電圧一定となる正弦波信号を加えたときイヤホン装置1
内部(B点)の圧力変化の特性を表す。図5のL2は、
同様のイヤホン装置1で、図2のA点の音圧が一定とな
るように外部から音を加えたときの、イヤホン装置1の
内部(B点)の特性を表している。L2での特性では、
加えられた音は振動板5の全面を駆動するように働くの
で、xの値はx=1.0に相当している。図5のL1
は、xの値をx=0.69とした周波数特性である。F
0は第1共振点、F0oは第1反共振点、F1は第2共振
点、F1oは第2反共振点、F2は第3共振点である。
図5より、L1の特性では、第1反共振点F0oと第2
共振点F1とが相殺されている。特に図示はしないが、
x=0.43とした場合には、第1反共振点及び第2共
振点がそのまま現れた。図5において、x=0.69の
場合にも第3共振点以降の共振点は現れているが、その
ような比較的高い周波数、即ち3KHzを越える周波数
については、イヤパッド6によって耳孔10への実質的
な伝達が阻止されるので、特別な対策を講じなくても騒
音として認識される度合いは僅少である。尚、図5の周
波数特性は、振動板のふるまいを明確にする為、図1の
符号8に示す開口部は開いている状態のものであるが、
実際のイヤホン装置においては、制動用の音響抵抗材を
付加している。これによりL1の特性に影響を与えずL
2の周波数特性のF1、F0oの山谷を滑らかにするこ
とができる。
【0032】図6はx=0.69の構造を採用したイヤ
ホン装置1を使用したときの騒音除去効果の実測結果を
示している。L4は騒音除去のための構成を有しないイ
ヤホン装置における耳の位置での騒音スペクトルを示
す。L3は騒音除去のための構成を有しそれを動作させ
たときの、同じ位置での騒音スペクトルを示す。
【0033】図7にはx=0.43の構造を採用したイ
ヤホン装置1を使用したときの騒音除去効果の実測結果
を示している。L4は騒音除去のための構成を有しない
イヤホン装置における耳の位置での騒音スペクトルを示
す。L3は騒音除去のための構成を有しそれを動作させ
たときの、同じ位置での騒音スペクトルを示す。
【0034】図6の結果では、図2のブロック図のTd
0に2次の伝達関数を用いなければ(ローパスフィルタ
やハイパスフィルタなどの回路を用いなければ)、TE
RにはTABの特性と等価な伝達特性を得ることができ
ず、また、騒音低減周波数の上限も高々2KHzまでと
狭い。
【0035】これに対し、図6の測定で用いた図1のイ
ヤホン装置1では騒音低減周波数の上限をおおよそ3K
Hzまで広げられた。参照マイクロホン7が振動板に近
接配置されていて、伝達関数TERがTABに充分近い
ため、電気回路11の伝達特性をTd0=1としても、
換言すれば、構成が簡単で回路規模の小さな電気回路1
1を用いても、騒音低減周波数の上限は3KHzまで広
げられた。即ち、イヤホン装置1は、前記スピーカの電
気・音響変換の際の周波数的な伝達特性が、周波数1K
Hzから3KHzの信号周波数に対して共振点及び反共
振点を有しないように、前記x(=b/a)が設定され
ていることになる。
【0036】以上本発明者によってなされた発明を実施
形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限
定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更可能であることは言うまでもない。
【0037】例えば、振動板と共にスピーカを構成する
前記駆動手段は動電形式に限定されず、電磁形式、静電
形式、及び圧電形式の何れであってもよい。このとき、
振動板5半径aと円面部分の半径bとの関係は、例えば
図8の(a)に示される圧電形式では圧電素子20の半
径がbとされ、(b)に示される静電形式では振動板5
の対極21の半径がbとされる。ちなみに、(C)に示
される動電形式では駆動コイル4の外形の半径がbとさ
れる。また、イヤパッドは部分的に外部に連通するオー
プンエア型であってもよい。
【0038】
【発明の効果】本発明に係るイヤホン装置によれば、比
b/aを0.6から0.8の範囲の任意の値に設定し、
最良の形態では、比b/aを大凡0.7とする。比b/
aを大凡0.7とする前記最良の形態では、振動板を介
して伝達された騒音と音響・電気変換手段からの出力信
号によって電気・音響変換手段で発せられる音との音響
的な周波数特性を完全に一致させることはできないが、
電気・音響変換手段による電気・音響変換による周波数
特性上、第1反共振点と第2共振点とを消滅させること
ができる。したがって、前記最良の形態を採用する場合
には、従来位相及び周波数制御回路無しでは消すことの
できなかった、振動板の第1共振周波数よりも高い周波
数成分を持つ騒音を、複雑な制御回路を用いること無く
第2共振周波数近辺まで低減することができる。前記最
良の形態以外で前記比b/aを0.6から0.8の範囲
の任意の値に設定した場合には、特別な制御回路を用い
ること無く前記双方の周波数特性の差異を小さくするこ
とを保証でき、振動板の第1共振周波数よりも高い周波
数成分を持つ騒音を第2共振周波数近辺まで低減するこ
とができる。このように、本発明によれば、振動板を通
して伝達された騒音と音響・電気変換手段の出力によっ
て電気・音響変換手段で発せられる音との周波数特性を
合せ込む回路を不要にでき、簡単な回路構成によって外
部からの騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係るイヤホン装置の概略縦断面
である。
【図2】図1のイヤホン装置における前記参照マイクを
用いた騒音低減の原理説明図である。
【図3】半径aの円形振動板と半径bの同心円で囲まれ
た円面部分との関係を模式的に示した説明図である。
【図4】同心円面の半径bと振動板の半径aとの比が振
動板による体積排除量の周波数特性に与える影響を示し
た特性図である。
【図5】x=0.69のイヤホン装置における周波数特
性の実測結果を示した周波数特性図である。
【図6】x=0.69のイヤホン装置を使用したときの
騒音除去効果の実測結果を示す特性図である。
【図7】x=0.43のイヤホン装置を使用したときの
騒音除去効果の実測結果を示す特性図である。
【図8】振動板と共にスピーカを構成する数種類の駆動
手段における円面部分の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 イヤホン装置 2A,2B フレーム 3 磁極 4 駆動コイル 5 振動板 6 イヤパッド 7 参照マイクロホン 9 耳 10 耳孔 11 電気回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングに収納され前記耳孔に向けて
    音を発するための振動板と該振動板の駆動手段とを有す
    る電気・音響変換手段と、前記ケーシングに設けられ外
    部騒音を収音して電気信号に変換する音響・電気変換手
    段と、前記音響・電気変換手段からの出力信号とライン
    入力信号とに基づいて前記電気・音響変換手段を駆動す
    る電気回路とを有するイヤホン装置において、 前記電気回路は、振動板を介して伝達された外部騒音の
    位相に対して前記音響・電気変換手段からの出力信号に
    よって電気・音響変換手段で発せられる音の位相を略逆
    位相に補正する補正手段を含み、 前記駆動手段が前記振動板に力を及ぼす範囲の円面半径
    bと前記振動板の半径aとの比b/aが0.6から0.
    8の範囲の任意の値に設定されて成るものであることを
    特徴とするイヤホン装置。
  2. 【請求項2】 前記電気・音響変換手段による変換の際
    の伝達関数と前記振動板の裏面から耳孔までの伝達関数
    とが略等しくされて成るものであることを特徴とする請
    求項1記載のイヤホン装置。
  3. 【請求項3】 前記比b/aが大凡0.7であることを
    特徴とする請求項1又は2記載のイヤホン装置。
  4. 【請求項4】 ケーシングに収納され前記耳孔に向けて
    音を発するための振動板と該振動板の駆動手段とを有す
    る電気・音響変換手段と、前記ケーシングに設けられ外
    部騒音を収音して電気信号に変換する音響・電気変換手
    段と、前記音響・電気変換手段からの出力信号とライン
    入力信号とに基づいて前記電気・音響変換手段を駆動す
    る電気回路とを有するイヤホン装置において、 前記電気回路は、振動板を介して伝達された外部騒音の
    位相に対して前記音響・電気変換手段からの出力信号に
    よって電気・音響変換手段で発音される音の位相を略逆
    位相に補正する補正手段を含み、 前記駆動手段が前記振動板に力を及ぼす範囲の円面半径
    bと前記振動板の半径aとの比b/aは、前記電気・音
    響変換手段の電気・音響変換の際の周波数的な伝達特性
    が周波数1KHzから3KHzの信号周波数に対して共
    振点及び反共振点を有しないように設定されて成るもの
    であることを特徴とするイヤホン装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動手段は、動電形式、電磁形式、
    静電形式、及び圧電形式から選ばれた一つの駆動形式を
    有するものであることを特徴とする請求項1乃至4の何
    れか1項に記載のイヤホン装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009535655A (ja) * 2006-01-26 2009-10-01 ウォルフソン・マイクロエレクトロニクス・ピーエルシー 周辺雑音低減装置

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