JPH11158726A - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11158726A
JPH11158726A JP27034698A JP27034698A JPH11158726A JP H11158726 A JPH11158726 A JP H11158726A JP 27034698 A JP27034698 A JP 27034698A JP 27034698 A JP27034698 A JP 27034698A JP H11158726 A JPH11158726 A JP H11158726A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester fiber
polyester
weight
poly
average molecular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27034698A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshige Matsumoto
太成 松本
Yuhei Maeda
裕平 前田
Yoshiharu Okumura
由治 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP27034698A priority Critical patent/JPH11158726A/ja
Publication of JPH11158726A publication Critical patent/JPH11158726A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度・高伸度をあわせ持つポリエステル繊
維を提供する。 【解決手段】 重量平均分子量が350以上、1000
00以下のポリ(ビニルアリール誘導体)を含有するポ
リエステル組成物を溶融紡糸し、紡糸速度3000m/
分以下で引き取った後、限界延伸倍率の85%以上の倍
率で延伸し、13%以上の弛緩処理を行うことにより、
強度T[g/d]が5g/d以上、伸度E[%]が20
%以上であり、かつ下記式(1)で示されるタフネスT
O[g/d・%]が220g/d・%以上であるポリエ
ステル繊維を得る。 TO=T×E (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い強度と高い伸
度とをあわせ持つポリエステル繊維およびその製造方法
に関し、特に、産業資材用途、たとえばシートベルト、
エアバッグ、安全ベルト、コンベアベルト、安全ネッ
ト、養生メッシュ、土木工事用シート、ロープ、重布類
などの用途に適するポリエステル繊維およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートで代表され
るポリエステル繊維は、強度、弾性率、寸法安定性にお
いてバランスよく優れた特性をもち、かつ比較的安価に
製造できるため、衣料用途のみならず、産業用途にも広
く使用されている。ポリエステル繊維が産業用途に用い
られる場合、一般に最も重要視される特性は機械的特
性、すなわちその強度および伸度が大きいことであり、
ポリエステル繊維の産業用としての用途が広がるにつ
れ、さらなる高強度・高伸度化への要望が高まってきて
いる。特に、シートベルト、土木工事用シート等の分野
では、その破断に至るまでに吸収し得るエネルギーを高
めるために、実用上十分な強度を有し、さらに従来より
も破断伸度の高い糸が望まれている。
【0003】従来から、合成繊維の高強度・高伸度化の
ためには、ポリマーの重合度を上げればよいことが知ら
れているが、ポリマーの重合度を上げれば溶融粘度が上
がるため加工性が悪化してしまうという問題がある。加
工性を向上させるために単に紡糸温度を高くすると、熱
分解によるポリマー重合度低下が大きくなってしまうた
め、この方法により産業用のポリマーの高い重合度を保
ったままを十分に低い溶融粘度で溶融紡糸することには
限界があった。また、溶融粘度が上がると溶融部および
吐出部の圧力が上がり高圧に耐える特殊な紡糸設備が必
要となるため、高重合度のポリマーを通常の紡糸機にて
紡糸する場合、やむを得ず濾過条件を粗くするか、吐出
量を低く設定するか、あるいは吐出孔径を大きくするな
ど生産性や品質の面で好ましくない措置を採らざるを得
ないのが現状であった。
【0004】また、延伸部においてはポリマーの重合度
を上げれば曳糸性が悪化するため毛羽や単糸切れが発生
しやすく均一で品質の安定した繊維と成すことが非常に
困難となるという問題点があった。
【0005】この加工性悪化の問題を解決し、ポリエス
テル系ポリマーの高重合度化による高強度・高伸度化を
図った方法として特公平3−13254号公報に記載の
方法がある。該公報では、ポリエチレンテレフタレート
に相溶する化合物を添加し溶融粘度を低下させ高重合度
化したポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸を可能に
している。しかしながら、この方法では溶融紡出した糸
を抽出浴に導入する必要があるので、装置設備が大型化
するばかりでなく、紡糸速度を上げることができないた
め、高い生産性が得られない。
【0006】特開平3−76810号公報では高重合度
ポリマーの加工性改善、特に紡糸性向上とそれに付随す
る未延伸糸の低配向化を目的として、吐出圧力を400
〜1200kg/cm2とする方法が開示されている。
しかしながら、吐出圧力をこのような高圧とするために
は溶融部の耐圧性向上の必要があり、装置設備の大型化
は免れない。また、高圧で吐出するため、剪断発熱によ
り高重合度ポリマーが熱分解されて溶融時粘度低下が大
きくなり、ポリエステル繊維の十分な高強度・高伸度化
はなされていなかった。
【0007】また、ポリエステル繊維の延伸方法の変更
により、その強度・伸度を高める方法として特開平2−
251610号公報に記載の方法がある。該公報は、最
終延伸ローラーに巻回されている糸条を非接触型熱板を
用いて加熱しながら弛緩ローラーとの間で弛緩処理を行
い、長時間の均一な熱処理により十分な弛緩を行うこと
により低乾収・高伸度の糸を得んとするものである。し
かしながら、該公報に記載の方法では、高速でローラー
上を周回する糸条の揺れのため糸条が非接触型熱板に触
れることによって毛羽や単糸切れが生じやすいといった
問題があった。また、糸切れ時に非接触型熱板への糸条
の融着が生じやすく、そのために生産性・作業性が低下
するという問題があった。
【0008】上記以外の高強度・高伸度化を特徴とする
ポリエステル繊維の製造方法として、添加剤によりポリ
エステルを改質する方法が特開平7−11512号公報
に記載されている。該公報では、固体微粒子およびガラ
ス転移点降下剤をポリエステルに添加し、微粒子練り込
みにより伸度を向上させるとともに、助剤として加える
ガラス転移点降下剤と微粒子との相乗効果により良好な
曳糸性を得んとするものである。しかしながら、この方
法では固体微粒子の添加による高伸度化の達成は可能で
あるものの固体微粒子の添加により強度が低下してしま
い、十分な強度を保持したまま高伸度化を達成すること
はできなかった。
【0009】以上のように、高強度・高伸度化を達成す
るための新規なポリエステル繊維の製造方法を提供しよ
うとする様々な試みはなされているが、高強度と高伸度
とをあわせ持つポリエステル繊維を安定かつ効率的に製
造する方法については未だ達成されていないのが実状で
あった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような問題を解決し、毛羽や単糸切れ、繊度斑などが極
めて少なく品質の安定した高強度・高伸度を特徴とする
ポリエステル繊維を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、重量平
均分子量が350以上、100000以下のポリ(ビニ
ルアリール誘導体)を含有するポリエステル繊維であっ
て、強度T[g/d]が5g/d以上、伸度E[%]が
20%以上であり、かつ下記式(1)で示されるタフネ
スTO[g/d・%]が220以上であるポリエステル
繊維、 TO=T×E (1) および、重量平均分子量が350以上、100000以
下のポリ(ビニルアリール誘導体)を含有するポリエス
テル組成物を溶融紡糸し、紡糸速度3000m/分以下
で引き取った後、限界延伸倍率の85%以上の倍率で延
伸し、13%以上の弛緩処理を行うことを特徴とするポ
リエステル繊維の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の高強度・高伸度ポ
リエステル繊維およびその製造方法の詳細について説明
する。
【0013】本発明のポリエステル繊維は、ポリエステ
ル組成物からなるものであって、該ポリエステル組成物
は、重量平均分子量が350以上、100000以下の
ポリ(ビニルアリール誘導体)を含有する。
【0014】本発明のポリエステル繊維は、ポリエステ
ルを主成分とする。本発明に使用するポリエステルと
は、ジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエス
テルをいい、ジカルボン酸成分は少なくともその85モ
ル%が芳香族ジカルボン酸であり、ジオール成分は少な
くともその85モル%が脂肪族ジオールであることが好
ましい。
【0015】芳香族ジカルボン酸としては、たとえばテ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエー
テルジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。芳香族
ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、たとえ
ばアジピン酸、セバシン酸などの炭素数4〜8の脂肪族
ジカルボン酸、またはシクロヘキサンジカルボン酸など
の炭素数8〜12の脂環族ジカルボン酸などが挙げら
れ、これらの1種以上を芳香族ジカルボン酸と併用する
ことができる。なかでも好ましいジカルボン酸成分はテ
レフタル酸である。
【0016】また、脂肪族ジオールとしては、たとえば
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレン
グリコールなどの炭素数2〜10の脂肪族ジオールが挙
げられる。脂肪族ジオール以外のジオール成分として
は、たとえばシクロヘキサン−1,4−ジメタノールな
どの炭素数6〜15の脂環族ジオール、またはビスフェ
ノールA、ビスフェノールSなどの炭素数6〜15の芳
香族ジオール、またはこれらジオールのアルキレンオキ
シド付加物、またはポリオキシエチレングリコール、ポ
リオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメ
チレングリコールおよびこれらのオキシアルキレン単位
の2種以上を繰り返し単位とする共重合ポリオキシアル
キレングリコールなどが挙げられ、これらの1種以上を
脂肪族ジオールと併用することができる。なかでも好ま
しいジオール成分は炭素数2〜6の脂肪族ジオールであ
る。
【0017】本発明に使用するポリエステルは、上記ジ
カルボン酸成分およびジオール成分がそれぞれ1種から
なるホモポリマーであってもよく、また上記ジカルボン
酸成分および/またはジオール成分が2種以上からなる
共重合体であってもよい。また、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、ジカルボン酸成分およびジオール成分以外
の成分が共重合されていてもよい。好ましいポリエステ
ルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート、ポリ(エチレンテレフタ
レート・エチレンイソフタレート)共重合体などを挙げ
ることができるが、これらのうち特にポリエチレンテレ
フタレートが高強度・高伸度が達成されやすく好まし
い。また、本発明のポリエステル繊維を構成するポリエ
ステル組成物の固有粘度は0.8以上であることが高強
度繊維となる点で好ましい。なお、請求項および本文中
に記載の「固有粘度」とは、全て、実施例にて記載の方
法により求められる値のことをいう。
【0018】本発明のポリエステル繊維は、ポリエステ
ルを主成分とするが、そのポリエステルの重量比率は、
通常、ポリエステル繊維の85重量%以上であり、好ま
しくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量
%以上である。ポリエステル繊維中のポリエステルの重
量比率が高いほど繊維中の構造欠陥生成が抑制され、高
強度・高伸度が達成されやすい。なお、本発明のポリエ
ステル繊維は、ポリエステル以外の成分として、本発明
の効果を損なわない範囲で、ポリエステル以外のポリマ
ーや、公知の耐候剤、安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、触媒、
無機物粒子などを含有してもよい。
【0019】本発明のポリエステル繊維は、重量平均分
子量が350以上、100000以下のポリ(ビニルア
リール誘導体)を含有する(以下、「ポリビニルアリー
ル化合物」と称す)が、ここでポリ(ビニルアリール誘
導体)とは、スチレンや(o−、m−、p−)メチルス
チレン、α−メチルスチレンなどのビニルアリール誘導
体の重合体、あるいはそれら複数のビニルアリール誘導
体からなる共重合体のことをいう。また、前記した重合
体および共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲
で、メタクリル酸メチルやアクリロニトリルなど他のビ
ニル誘導体やブタジエンなどの不飽和脂肪族炭化水素、
あるいは他のビニルアリール誘導体以外の重合成分が共
重合されていても良い。なお、本発明で使用するポリビ
ニルアリール化合物は、その重量平均分子量が350以
上、100000以下である必要がある。ポリビニルア
リール化合物の重量平均分子量が350よりも小さい
と、ポリビニルアリール化合物の昇華による糸切れなど
により著しく製糸性が悪化してしまうため、工業的生産
が困難となる。また、重量平均分子量が100000を
越えると、ポリエステル系ポリマーとの相溶性が低下
し、その効果を十分得ることができず、高強度・高伸度
が達成されなくなってしまう。この観点から、ポリビニ
ルアリール化合物の重量平均分子量は65000以下で
あることがであることが望ましい。
【0020】本発明のポリエステル繊維は、上記のポリ
ビニルアリール化合物がポリエステル繊維中に相溶して
いることで、ポリエステル繊維中の分子間相互作用の低
減および延伸時の分子鎖の引きちぎれ抑制により高倍率
延伸化をはかり、さらにそのようにして得られた高配向
性の繊維を高い割合で十分に弛緩処理することによって
得られるものである。
【0021】また、本発明のポリエステル繊維はポリビ
ニルアリール化合物が相溶しているため、溶融紡糸製造
過程において溶融粘度が軽減される。溶融粘度が軽減さ
れることにより、溶融紡糸温度を下げて重合度低下を抑
制することができ、ポリエステル中のオリゴマー量を低
減させ口金汚れを抑制することができ、せん断発熱によ
る溶融物の温度や重合度低下のバラツキを小さくするこ
とができ、溶融紡糸における濾過を強化することがで
き、あるいは溶融紡糸口金の吐出孔の孔径を小さくする
ことができるなど、様々の効果が発現する。そして、こ
れらの内の少なくとも一つの効果によって、本発明の目
的である毛羽や単糸切れ、繊度斑などが極めて少なく、
品質の安定した高強度・高伸度ポリエステル繊維を製造
することができる。
【0022】前記したビニルアリール誘導体の具体例と
しては、たとえば、スチレン、(o−、m−、p−)メ
チルスチレン、(2,4−、2,5−、3,4−、3,
5−)ジメチルスチレン、(2,4,6−、2,4,5
−)トリメチルスチレン、(o−、m−、p−)エチル
スチレン、(2,5−、3,5−)ジエチルスチレン、
(m−、p−)イソプロピルスチレン、(p−、m−s
ec−、m−tert−、p−tert−)ブチルスチ
レン、p−ヘキシルスチレン、p−ヘプチルスチレン、
p−オクチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−デシ
ルスチレン、p−ドデシルスチレン、p−テトラデシル
スチレン、p−ヘキサデシルスチレン、p−オクタデシ
ルスチレン、2,4,5−トリイソプロピルスチレン、
2,6−ジメチルー4−tertーブチルスチレン、p
−シクロヘキシルスチレン、p−ベンジルスチレン、
(m−、p−)ジビニルベンゼンなどの核置換アルキル
スチレン、(o−、m−、p−)メトキシスチレン、4
−メトキシ−3−メチルスチレン、2−メトキシ−3−
メチルスチレン、6−メトキシ−3−メチルスチレン、
(o−、p−)エトキシスチレン、(2,6−、3,4
−)ジメトキシスチレン、2,5−ジメチル−3,6−
ジメトキシスチレン、2−メトキシ−5−イソプロピル
スチレン、3,4−メチレンジオキシスチレン、p−ビ
ニルベンジル−d−sec−ブチルエーテルなどの核置
換アルコキシスチレン、α−メチルスチレン、イソプロ
ペニルトルエン、(o−、m−、p−)クロロ−α−メ
チルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレ
ン、(2,3−、3,4−)ジメチル−α−メチルスチ
レン、3−クロロ−2−メチル−α−メチルスチレン、
3−クロロ−4−メチル−α−メチルスチレン、3−ブ
ロム−2−メチル−α−メチルスチレン、3−ブロム−
4−メチル−α−メチルスチレン、3−フルオル−4−
メチル−α−メチルスチレン、2,6−ジメトキシ−α
−メチルスチレン、2,6−ジメチル−4−tert−
ブチル−α−メチルスチレン、(2,5−、3,4−、
3,5−)−ジクロロ−α−メチルスチレン、4−クロ
ロ−3−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−
3−トリフルオルメチル−α−メチルスチレン、4−ア
セチル−α−メチルスチレン、p−メチルメルカプト−
α−メチルスチレン、p−エチルメルカプト−α−メチ
ルスチレンなどのα−メチルスチレン誘導体、(α−、
β−)ピネン、リモネン、セドレンなどのテルペン類、
(o−、m−、p−)クロロスチレン、(2,5−、
2,3−、2,4−、2,6−、3,4−、3,5−)
ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロ
スチレン、ペンタクロロスチレン、1,3,5−トリビ
ニル−2,4,6−トリクロロベンゼン、1,3−ジビ
ニル−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4
−ジビニル−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、
(o−、m−、p−)ブロモスチレン、(2,5−、
3,4−)ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、o
−ビニル臭化ベンジル、(o−、m−、p−)ヨードス
チレン、(o−、m−、p−)フルオロスチレン、m−
トリフルオロメチルスチレン、2,5−ジ(トリフルオ
ロメチル)スチレン、2−ブロム−4−トリフルオロメ
チルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル
スチレン、α−メチル−3−トリフルオロメチルスチレ
ン、α−(ジフルオロメチル)スチレン、2,4,6−
トリス(トリフルオロメチル)スチレン、α,β,β−
トリフルオロスチレン、(β,β−、α,β−)ジフル
オロスチレン、α−クロロ−β−フルオロスチレンなど
のハロゲン化スチレン、(o−、m−、p−)ニトロス
チレン、2−ニトロ−4−イソプロピルスチレンなどの
ニトロスチレン誘導体、(o−、m−、p−)アミノス
チレン、p−N,N−ジメチルアミノスチレン、ビニル
ベンジルアミン、o−ビニルベンジルジメチルアミン、
N−(ビニルベンジル)ピロリジン、N−(ビニルベン
ジル)ピペリジン、N−(p−ビニルベンジル)モルホ
リン、ビニルフェニルイソシアネート、スルホンアミド
スチレン、m,m’−ジビニルアゾベンゼン、m,m’
−ジビニルアゾキシベンゼンなどのアミノスチレン誘導
体、(o−、m−、p−)オキシスチレン、3−メトキ
シ−4−オキシスチレン、3−ニトロ−4−オキシスチ
レン、(1,4−、1,5−)ジメチル−2−オキシス
チレン、3,5−ジブロモ−4−オキシスチレン、(o
−、p−)アセトキシスチレン、p−ビニルベンジルア
ルコール、p−ビニルベンジルアルコール酢酸エステ
ル、2,5−ジオキシスチレン、2,5−ジアセトキシ
スチレン、2,5−ジベンゾキシスチレン、d−o−
(sec−ブチルチオメチル)スチレン、p−メチルメ
ルカプトスチレン、p−メチルスルホニルスチレン、p
−ホルミルスチレン、p−ビニルフェニルチオアセテー
トなどのオキシスチレン重合体、p−ビニル安息香酸、
p−ビニル安息香酸メチルエステル、p−ビニル安息香
酸sec−ブチルエステル、2−カルボキシ−4,5−
ジメトキシスチレン、2−ビニルベンズアミド、(o
−、m−、p−)シアノスチレン、1−フェニルビニル
ホスフィン酸、α−ベンジルアクリル酸、α−p−ブロ
モベンジルアクリル酸などのカルボキシスチレン誘導
体、スチレンスルホン酸誘導体、ビニルビフェニル、9
−メチレンフルオレン、スチルベン、トリフェニルエチ
レン、1,1−ジフェニル−2,2−ジフルオロエチレ
ン、(o−、m−、p−)フェニルスチレン、p−シク
ロヘキシルスチレン、4−クロロ−4’−ビニルビフェ
ニル、2−フルオロ−4−ビニルビフェニル、p−ビニ
ルジフェニルオキシド、p−ビニル−フェニルスルフィ
ド、4,4’−ジビニルビフェニル、2,6,2’,
5’−テトラクロル−4,4’−ジビニルビフェニル、
1,5−ビス(p−ビニルビフェニル)ペンタン、(o
−、m−、p−)イソプロペニルビフェニル、4−ビニ
ル−o−テルフェニル、2−ビニルフルオレンなどのビ
ニルビフェニル類似の化合物、(α−、β−)ビニルナ
フタレン、ビニルメチルナフタレン、(4−、5−、7
−)クロロ−1−ビニルナフタレン、6−クロロ−2−
ビニルナフタレン、5,8−ジクロロ−1−ビニルナフ
タレン、ビニルテトラヒドロナフタレン、α−イソプロ
ペニルナフタレン、アセナフチレン、1−ビニルアセナ
フテン、(2−、3−,9−)ビニルフェナントレン、
(1−、3−)ビニルピレンなどのビニルナフタレン類
似の化合物などが挙げられる。
【0023】また、本発明のポリエステル繊維に含有さ
れる好ましいポリビニルアリール化合物としては、エス
テル結合やアミド結合あるいはカルボキシル基やアミノ
基などのポリエステル系ポリマー中で比較的不安定な結
合や基を有さない化合物および/または分子量が比較的
小さくポリエステル系ポリマーとの相溶性がよい化合物
が挙げられ、具体的には、ポリスチレン、(o−、m
−、p−)メチルスチレン、ポリ−α−メチルスチレン
などが挙げられる。
【0024】本発明のポリエステル繊維に含有されるポ
リビニルアリール化合物の含有量は、好ましくは0.2
重量%以上、10.0重量%以下であり、より好ましく
は1.0重量%以上、5.0重量%以下である。この含
有量が0.2重量%以上であると、ポリエステル繊維中
の分子鎖間相互作用低減の効果が十分得られ高倍率延伸
時の分子鎖切断が抑制され、その結果、高強度・高伸度
化を同時に達成することが容易となる。ポリビニルアリ
ール化合物の含有量が1.0重量%以上であるとより顕
著な効果が得られる。また、この含有量が10.0重量
%以下であると、溶融粘度の過度の低下やポリビニルア
リール化合物の昇華による糸切れなどが著しく減少し、
全く良好な製糸性が得られる。ポリビニルアリール化合
物の含有量が5.0重量%以下であると製糸性はより良
好なものとなる。
【0025】本発明のポリエステル繊維は、現在一般に
供されている高強度・高伸度ポリエステル繊維と同様に
広く産業用途として有用なものであり、強度T[g/
d]が5g/d以上、好ましくは6g/d以上であり、
伸度E[%]が20%以上であり、かつ下記式(1)で
示されるタフネスTO[g/d・%]が220g/d・
%以上である。
【0026】 TO=T×E (1) 強度Tが5g/d未満または伸度Eが20%未満または
タフネスTOが220g/d・%未満では産業用繊維と
しての実用性の点で不十分である。
【0027】本発明のポリエステル繊維は、マルチフィ
ラメント、モノフィラメント、ステープルファイバー、
トウ、スパンボンドなどとして用いられる。この中で
も、高強度、高伸度の要求の高いマルチフィラメント、
モノフィラメントに有効である。また、本発明のポリエ
ステル繊維の単糸デニールは使用目的に応じて選択すれ
ばよいが、通常0.5デニール以上、10000デニー
ル以下である。また、マルチフィラメントデニールとし
ては10デニール以上、10000デニール以下が好ま
しい。本発明のポリエステル繊維の断面形状は、丸、扁
平、中空、Y型、T型、多角形など任意であるが、高強
度の観点から、丸断面が好ましい。
【0028】次に、本発明のポリエステル繊維の製造方
法を以下に示す。
【0029】本発明のポリエステル繊維の製造方法では
通常の溶融紡糸法によればよく、その原料はポリエステ
ルを主体とする組成物であればよいが、ポリエチレンテ
レフタレートを主体とするものが好ましく、この組成物
の固有粘度は0.9以上であることが好ましい。固有粘
度が0.9以上であると、より高配向でかつ欠陥の少な
い繊維を得やすく、本発明の目的とする高強度でかつ高
伸度のポリエステル繊維の原料ポリマーとして好適であ
る。
【0030】本発明に使用するポリエステル組成物と
は、前述のポリエステルを主成分とする組成物をいい、
組成物中のポリエステルの重量比率は、通常、ポリエス
テル繊維の85重量%以上であり、好ましくは90重量
%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、
ポリエステル以外の成分として、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、ポリエステル以外のポリマーや、公知の耐
候剤、安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、触媒、無機物粒子など
を含有してもよい。ただし、本発明に使用するポリエス
テル組成物は、必須成分として、前述のポリビニルアリ
ール化合物化合物を含有する。このポリビニルアリール
化合物は、ポリエステルの重合前に添加されてもよい
し、重合後に添加されてもよい。重合前に添加する一例
を挙げれば、テレフタル酸とエチレングリコールの混合
スラリーをエステル化した後に該化合物を添加し、重縮
合を施し、さらに必要に応じて常法の固相重合を施すこ
とによりポリビニルアリール化合物を含有した重合体を
得る方法が挙げられる。また、重合後に添加する一例を
挙げれば、ブレンダーに蓄えられた重合後のポリエステ
ルチップに粉末状の該化合物を所定量添加した後ブレン
ダーを回転させるなどして、均一に混合されたポリビニ
ルアリール化合物添加済み重合体チップを得る方法が挙
げられる。または、ポリビニルアリール化合物を加熱・
溶融してギアポンプ等にて計量後、溶融紡糸機のチップ
供給部や溶融ポリマー中へ直接送り込んでもよい。これ
ら重合後に添加する場合において、溶融紡糸の原料とな
るポリエステル組成物は、固有粘度が0.9以上のポリ
エステル重合体チップあるいはこの溶融物とポリビニル
アリール化合物の混合物であることが好ましい。さらに
高濃度のポリビニルアリール化合物とマスターバッチの
ベースポリマーをあらかじめ2軸エクストルーダーなど
の混練機で均一に溶融混練した後、チップ状にカットし
てマスターバッチを作成し、このマスターバッチとベー
スとなるポリエステル系ポリマーを所望の希釈率となる
ようそれぞれ計量しつつチップ混合したり、溶融混合し
て、ポリエステル系ポリマーに含有させる、いわゆるマ
スターバッチ法も好ましく用いられる。
【0031】いずれの方法においても、ポリビニルアリ
ール化合物が均一に繊維中に含有されることが重要であ
り、チップ計量器やギアポンプを用いて添加混合時の計
量性を上げることや、溶融紡糸時に静止混合器を通過さ
せたり、金属焼結体や金属不織布を通過させることが好
ましい。また、この観点から、ポリビニルアリール化合
物を含有したポリエステル系ポリマーを溶融する際に
は、エクストルーダー型の溶融紡糸機を用いることが好
ましい。
【0032】前述のように生産プロセスに適した溶融紡
糸機を用いればどのような方法で溶融紡糸してもよい
が、本発明の製造方法においては溶融紡糸したのちの糸
条を紡糸速度3000m/分以下で引き取る必要があ
り、また紡糸速度1000m/分以下で引き取ることが
好ましい。3000m/分より速い紡糸速度で引き取っ
た場合、未延伸糸の配向が高くなり過ぎてしまい、引き
続き高倍率延伸および高い割合の弛緩処理を行うことが
できなくなるため、本発明の目的とする高強度・高伸度
を特徴とするポリエステル繊維を得ることができなくな
る。また、本発明の工業的生産への適用を考えると生産
効率の点から紡糸速度は300m/分以上とすることが
好ましい。引き取った未延伸糸は一旦巻き取られてから
改めて延伸されてもよく、あるいたは一旦巻き取られる
ことなく引き続き延伸ローラーで延伸されてもよい。ま
た、延伸工程は1段で行われてもよいし、2段以上の多
段で行われてもよい。
【0033】前述のどの紡糸延伸方法の場合において
も、引き取った未延伸糸は限界延伸倍率の85%以上の
倍率で延伸することが必要であり、限界延伸倍率の90
%以上の倍率で延伸することが好ましく、限界延伸倍率
の95%以上の倍率で延伸することがさらに好ましい。
【0034】本発明でいうところの「限界延伸倍率」と
は、以下のような延伸倍率のことをいう。すなわち、溶
融紡糸によって得た未延伸糸を一旦巻き取った後または
巻き取ることなく引き続いて、1段または2段以上の多
段で延伸を行う延伸方法において、最終段の延伸供給ロ
ーラーの温度を110℃、最終段の延伸引取ローラーの
温度をポリエステルの融点よりも30℃低い温度とし、
これらのローラー間に、ポリエステルの融点よりも25
℃低い温度で、長さが50cmの糸条加熱用接触式熱板
を設け、最終段の延伸引取ローラーの回転速度を上昇さ
せていくことで延伸倍率を徐々に変化させた場合に、そ
れ以上上昇させていくと糸条が破断してしまう速度のう
ち最も低い速度の、第1段延伸供給ローラーの回転速度
に対する倍率をいう。延伸倍率を限界延伸倍率の85%
未満とするとポリエステル繊維中に緊張した状態で存在
しているポリエステル分子鎖が少ないために、化合物の
添加による延伸時のポリエステル分子鎖の切断を低減す
るという本発明の効果が得られにくく、高強度・高伸度
が得られにくい。
【0035】また、ポリビニルアリール化合物を添加し
限界延伸倍率の85%以上の倍率で延伸されたポリエス
テル繊維中には、より多くのポリエステル分子鎖が緊張
した状態で存在しているため、安定に大きな弛緩処理を
行うことが可能となる。本発明では、ポリビニルアリー
ル化合物の添加と高倍率延伸の効果を生かし高伸度のポ
リエステル繊維を得るために、延伸後の弛緩処理時にお
いて、13%以上、好ましくは15%以上の弛緩処理を
行う。弛緩処理率が13%未満である場合には、十分な
伸度、タフネスが得られにくい。
【0036】高強度・高伸度を特徴とするポリエステル
繊維を得る製造方法として、高倍率延伸後に高い割合の
弛緩処理を施すという製造方法は公知であるが、我々は
さらなる高強度・高伸度化を達成するため鋭意研究した
結果、以下のことを新たに見い出した。すなわち、上述
したようにポリビニルアリール化合物をポリエステル系
ポリマーに添加することで延伸時のポリエステル分子鎖
の切断を低減させることができること、この作用により
さらなる高倍率での延伸が可能となること、および該化
合物によるこのような作用下において限界延伸倍率の8
5%以上の倍率で延伸することで初めて高い強度を有す
るポリエステル繊維を得ることができるということ、さ
らにこのような高倍率で延伸した後のポリエステル繊維
中にはより多くのポリエステル分子鎖が切断されること
なく緊張した状態で存在しており、これらの分子鎖を十
分に弛緩させることにより、さらに伸度の大きなポリエ
ステル繊維を得ることができるということである。つま
り、本発明ではポリビニルアリール化合物をポリエステ
ルに添加することと高倍率延伸後に高い割合の弛緩処理
を施すことの相乗効果によって初めてさらなる高強度・
高伸度化を同時に達成することができることを見い出た
ものである。
【0037】また、前述したように、ポリビニルアリー
ル化合物を含有させて溶融紡糸することによりポリエス
テルの溶融粘度を低下させることができるために、種々
の効果が発現し、本発明の目的とする、単糸切れ、繊度
斑などが極めて少なく、品質の安定した高強度・高伸度
ポリエステル繊維を製造することができる。
【0038】本発明のポリエステル繊維の製造方法で
は、従来の設備を用いて、低コストで高強度・高伸度を
特徴とするポリエステル繊維を得ることができる。ま
た、延伸以降の工程では従来の製糸工程作業に比べて、
弛緩処理率などの条件が異なるだけであるので、装置設
備の大型化や作業の複雑化を強いられることなく、従来
の生産性、作業性をそのまま維持することができる。
【0039】本発明のポリエステル繊維の製造方法によ
り得られる高強度・高伸度を特徴とするポリエステル繊
維は、たとえば、シートベルトなどのエネルギー吸収ベ
ルトに用いると、同じ量の基布で従来に比べてより大き
い衝撃を吸収することができたり、従来よりもより薄く
収納性の良い基布で同等の衝撃吸収性能を得ることがで
きる。また、工事用の養生メッシュシートに用いると、
用いる基布の量は従来に比べて少ない量で済むため、シ
ートの軽量化および作業性の向上を図ることができる。
さらに、ベルト補強用資材として使用すれば、衝撃力や
異物の噛み混みなどに対して破断や損傷の起きにくい耐
久性の優れたベルトが得られる。その他、コンベアベル
ト、安全ベルト、安全ネット、土木工事用シート、遮水
シート、ロープ、漁網、テント基布、重布類、フレキシ
ブルコンテナ、帆布、エアバッグ基布、ホース補強用資
材、ゴム補強用資材等、高い強度と高い伸度とをあわせ
持つポリエステル繊維が求められる分野においてきわめ
て有用である。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例中の物性は次の方法で測定した値であ
る。
【0041】強度T[g/d]および伸度E[%]:
(株)オリエンテック社製“テンシロン”引張試験機を
用い、試料長25cm、引張速度30cm/分の条件で
測定した。
【0042】固有粘度(IV):重合体の固有粘度は、
オルソクロルフェノール100mlに対し試料8gを溶
解した溶液の相対粘度ηをオストワルド式粘度計を用い
て測定し、次の近似式によって求めた。
【0043】IV=0.0242η+0.2634 実施例および比較例に挙げたポリエステル繊維は以下の
製造方法により得た。
【0044】(実施例1,4〜7,14、比較例2〜
3)それぞれの実施例および比較例では、ポリスチレン
(重量平均分子量:2000)を加熱・溶融して添加用
ギアポンプにて所望の含有量になるよう計量後、溶融紡
糸機のチップ供給部へ直接送り込みむことで、表1に示
したチップ固有粘度(前記測定法による)を持つポリビ
ニルアリール化合物無添加のポリエチレンテレフタレー
トチップにポリスチレンを添加した。ポリスチレンの添
加は窒素雰囲気中で行い、このようにして得られるポリ
スチレンとポリエチレンテレフタレートチップの混合物
をそのまま溶融紡糸した。また、実施例および比較例に
おける溶融紡糸に際しては、吐出量一定とし、0.6m
mφの吐出孔を96個持つ口金を用い、押し出しにはエ
クストルダー型の溶融紡糸機を用いさらにギアポンプで
計量し絶対濾過径15μmのステンレス製不織布で濾過
した後、口金から吐出した。以上の条件のもとで前述の
混合物を用いて紡糸温度295℃で溶融紡糸し、口金か
ら紡出直後長さ300mm、温度320℃の加熱筒内の
雰囲気を通過させた後、風速40m/分のチムニー風に
より冷却し油剤を付与した後、表1に示す紡糸速度で引
取ることにより未延伸糸を一旦巻き取った。この未延伸
糸を表2に示す延伸方法および総延伸倍率で延伸し、温
度235℃において熱固定した後、表2に示す割合で弛
緩処理を施して巻き取ることにより約500d/96f
ilのポリエステル繊維を得た。これら繊維の特性を表
3に示した。
【0045】また、実施例1の製糸時において、吐出量
142g/minに対しギアポンプの吐出圧は152k
g/cm2であった。さらに約2tの製糸を行い製糸性
のテストを行ったところ、断糸は1回/tであり、巻き
上がった糸は毛羽もなく全く良好な品質だった。
【0046】
【表1】
【表2】
【表3】 (比較例1)濾材を絶対濾過径20μmのステンレス製
不織布とし、ポリビニルアリール化合物無添加のポリエ
チレンテレフタレートチップをそのまま溶融紡糸した以
外は実施例1と同じ方法により、約500d/96fi
lのポリエステル繊維を得た。製糸条件と繊維の特性を
表1〜3に併せて示した。
【0047】また、比較例1の製糸時において、吐出量
142g/minに対しギアポンプの吐出圧は154k
g/cm2であった。さらに、実施例1と比較のため約
2tの製糸を行い製糸性のテストを行ったところ、断糸
は6回/tであり、巻き上がった糸はところどころ毛羽
が見られた。
【0048】(実施例2,9,13)それぞれの実施例
および比較例では、エチレンテレフタレートの重合前に
ポリ−α−メチルスチレン(重量平均分子量:400
0)を10重量%添加・重縮合することによりマスター
チップを得、このマスターチップとポリビニルアリール
化合物無添加のポリエチレンテレフタレートチップとを
ポリ−α−メチルスチレンの含有量が所望の含有量にな
るようにブレンドした。ブレンドされたチップは、ブレ
ンドチップの固有粘度が表1に示した値(前記測定法に
よる)となるまで固相重合した。また、実施例および比
較例における溶融紡糸に際しては、吐出量一定とし、
0.6mmφの吐出孔を96個持つ口金を用い、押し出
しにはエクストルーダー型の溶融紡糸機を用いさらにギ
アポンプで計量し絶対濾過径15μmのステンレス製不
織布で濾過した後た後、口金から吐出した。以上の条件
のもとで前述のブレンドチップを用いて紡糸温度295
℃で溶融紡糸し、口金から紡出直後長さ300mm、温
度320℃の加熱筒内の雰囲気を通過させた後、風速4
0m/分のチムニー風により冷却し油剤を付与した後、
表1に示す紡糸速度で引取ることにより未延伸糸を一旦
巻き取った。この未延伸糸を表2に示す延伸方法および
総延伸倍率で延伸し、温度235℃において熱固定した
後、表2に示す割合で弛緩処理を施して巻き取ることに
より約500d/96filのポリエステル繊維を得
た。これら繊維の特性を表3に併せて示した。
【0049】(実施例3)エチレンテレフタレートの重
合前にポリ−p−メチルスチレン(重量平均分子量:4
000)を10重量%添加・重縮合することによりマス
ターチップを得た以外は実施例2と同じ製糸方法によ
り、約500d/96filのポリエステル繊維を得
た。製糸条件と繊維の特性を表1〜3に併せて示した。
【0050】(実施例8、比較例4)実施例1と同じ方
法により得たポリスチレンとポリエチレンテレフタレー
トチップの混合物を用い、さらに実施例1と同じ口金、
溶融紡糸機を用い、同じ紡糸温度、加熱筒条件、冷却条
件にて紡糸を行った。表1に示す紡糸速度で引き取った
未延伸糸は一旦巻き取ることなく引き続き表2に示す延
伸方法および総延伸倍率で延伸し、温度235℃におい
て熱固定した後、表2に示す割合で弛緩処理を施して巻
き取ることにより約500d/96filのポリエステ
ル繊維を得た。これら繊維の特性を表3に併せて示し
た。
【0051】(実施例10)ポリスチレン(重量平均分
子量:50000)を加熱・溶融して添加用ギアポンプ
にて計量後、溶融紡糸機のチップ供給部へ直接送り込み
むことで、ポリエチレンテレフタレートチップにポリス
チレンを添加した以外は実施例1と同じ製糸方法によ
り、約500d/96filのポリエステル繊維を得
た。製糸条件と繊維の特性を表1〜3に併せて示した。
【0052】(実施例11)ポリスチレン(重量平均分
子量:85000)を加熱・溶融して添加用ギアポンプ
にて計量後、溶融紡糸機のチップ供給部へ直接送り込み
むことで、ポリエチレンテレフタレートチップにポリス
チレンを添加した以外は実施例1と同じ製糸方法によ
り、約500d/96filのポリエステル繊維を得
た。製糸条件と繊維の特性を表1〜3に併せて示した。
【0053】(実施例12)ポリスチレン(重量平均分
子量:430)を加熱・溶融して添加用ギアポンプにて
計量後、溶融紡糸機のチップ供給部へ直接送り込みむこ
とで、ポリエチレンテレフタレートチップにポリスチレ
ンを添加した以外は実施例1と同じ製糸方法により、約
500d/96filのポリエステル繊維を得た。製糸
条件と繊維の特性を表1〜3に併せて示した。
【0054】(比較例5)ポリスチレン(重量平均分子
量:300)を加熱・溶融して添加用ギアポンプにて計
量後、溶融紡糸機のチップ供給部へ直接送り込みむこと
で、ポリエチレンテレフタレートチップにポリスチレン
を添加した以外は実施例1と同じ製糸方法により紡糸を
試みたが、吐出部の発煙が激しく紡糸不可能であった。
【0055】(比較例6)ポリスチレン(重量平均分子
量:140000)を加熱・溶融して添加用ギアポンプ
にて計量後、溶融紡糸機のチップ供給部へ直接送り込み
むことで、ポリエチレンテレフタレートチップにポリス
チレンを添加した以外は実施例1と同じ製糸方法によ
り、約500d/96filのポリエステル繊維を得
た。製糸条件と繊維の特性を表1〜3に併せて示した。
【0056】
【発明の効果】本発明により得られるポリエステル繊維
は、高強度・高伸度、また高タフネスであり、産業資材
用途、特にエネルギー吸収ベルト、ゴム補強資材、重布
類など高い強度と高い伸度とをあわせ持つポリエステル
繊維が求められる分野においてきわめて有用である。ま
た、本発明の製造方法によれば、ポリエステルの溶融粘
度を低下させることができるために、種々の効果が発現
し、本発明の目的とする、単糸切れ、繊度斑などが極め
て少なく、品質の安定した高強度・高伸度ポリエステル
繊維を製造することができる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が350以上、1000
    00以下のポリ(ビニルアリール誘導体)を含有するポ
    リエステル繊維であって、強度T[g/d]が5g/d
    以上、伸度E[%]が20%以上であり、かつ下記式
    (1)で示されるタフネスTO[g/d・%]が220
    以上であるポリエステル繊維。 TO=T×E (1)
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が350以上、1000
    00以下のポリ(ビニルアリール誘導体)の含有量が
    0.2重量%以上、10.0重量%以下であることを特
    徴とする請求項1記載のポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 重量平均分子量が350以上、1000
    00以下のポリ(ビニルアリール誘導体)の含有量が
    1.0重量%以上、5.0重量%以下であることを特徴
    とする請求項1記載のポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】 ポリ(ビニルアリール誘導体)の重量平
    均分子量が350以上、65000以下であることを特
    徴とする請求項1記載のポリエステル繊維。
  5. 【請求項5】 重量平均分子量が350以上、1000
    00以下のポリ(ビニルアリール誘導体)がポリスチレ
    ン、ポリ−o−メチルスチレン、ポリ−m−メチルスチ
    レン、ポリ−p−メチルスチレンおよびポリ−α−メチ
    ルスチレンからなる群から選択された1種以上の化合物
    であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊
    維。
  6. 【請求項6】 強度T[g/d]が6g/d以上である
    ことを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維。
  7. 【請求項7】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
    ートであることを特徴とする請求項1記載のポリエステ
    ル繊維。
  8. 【請求項8】 ポリエステル繊維の固有粘度が0.8以
    上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル
    繊維。
  9. 【請求項9】 重量平均分子量が350以上、1000
    00以下のポリ(ビニルアリール誘導体)を含有するポ
    リエステル組成物を溶融紡糸し、紡糸速度3000m/
    分以下で引き取った後、限界延伸倍率の85%以上の倍
    率で延伸し、13%以上の弛緩処理を行うことを特徴と
    するポリエステル繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリエステルを主体とし、重量平均分
    子量が350以上、100000以下のポリ(ビニルア
    リール誘導体)を0.2重量%以上、10.0重量%以
    下含有する、固有粘度が0.9以上のポリエステル組成
    物を溶融紡糸し、紡糸速度3000m/分以下で引き取
    った後、限界延伸倍率の85%以上の倍率で延伸し、1
    3%以上の弛緩処理を行うことを特徴とするポリエステ
    ル繊維の製造方法。
  11. 【請求項11】 限界延伸倍率の90%以上の倍率で延
    伸することを特徴とする請求項9または10記載のポリ
    エステル繊維の製造方法。
  12. 【請求項12】 限界延伸倍率の95%以上の倍率で延
    伸することを特徴とする請求項9または10記載のポリ
    エステル繊維の製造方法。
  13. 【請求項13】 15%以上の弛緩処理を行うことを特
    徴とする請求項9または10記載のポリエステル繊維の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 紡糸速度が1000m/分以下である
    ことを特徴とする請求項9または10記載のポリエステ
    ル繊維の製造方法。
JP27034698A 1997-09-26 1998-09-24 ポリエステル繊維およびその製造方法 Pending JPH11158726A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27034698A JPH11158726A (ja) 1997-09-26 1998-09-24 ポリエステル繊維およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-261310 1997-09-26
JP26131097 1997-09-26
JP27034698A JPH11158726A (ja) 1997-09-26 1998-09-24 ポリエステル繊維およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11158726A true JPH11158726A (ja) 1999-06-15

Family

ID=26545017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27034698A Pending JPH11158726A (ja) 1997-09-26 1998-09-24 ポリエステル繊維およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11158726A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7943071B2 (en) 2006-04-14 2011-05-17 Hyosung Corporation Polyethylene terephthalate filament having high tenacity for industrial use
US10036104B2 (en) * 2010-07-29 2018-07-31 Asahi Kasei Fibers Corporation Method for producing abrasion resistant polyester fiber
CN114086269A (zh) * 2021-11-10 2022-02-25 浙江正堂实业股份有限公司 一种超细旦多孔涤纶拉伸变形丝及其加工工艺

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7943071B2 (en) 2006-04-14 2011-05-17 Hyosung Corporation Polyethylene terephthalate filament having high tenacity for industrial use
US10036104B2 (en) * 2010-07-29 2018-07-31 Asahi Kasei Fibers Corporation Method for producing abrasion resistant polyester fiber
CN114086269A (zh) * 2021-11-10 2022-02-25 浙江正堂实业股份有限公司 一种超细旦多孔涤纶拉伸变形丝及其加工工艺
CN114086269B (zh) * 2021-11-10 2023-11-28 浙江正堂实业股份有限公司 一种超细旦多孔涤纶拉伸变形丝及其加工工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007186830A (ja) ポリエステル繊維
WO2000078839A1 (fr) Resine d'acide polyactique, articles textiles obtenus a l'aide de cette resine, et procedes de production de ces articles textiles
MXPA04012281A (es) Fibras bicomponentes de poli(tereftalato de trimetileno).
KR20080048080A (ko) 고권축성 2성분 섬유
JPH07504717A (ja) ポリエステル繊維及びその製造方法
JP4605640B2 (ja) ポリ乳酸繊維の製造方法
US3534120A (en) Copolyester filaments containing minor amount of polyolefins
MXPA04012280A (es) Fibras de poli(tereftalato de trimetileno), su manufactura y su uso.
KR20150063351A (ko) 공중합 폴리에스테르 및 그것으로 이루어진 폴리에스테르 섬유
JPH11158726A (ja) ポリエステル繊維およびその製造方法
KR100635839B1 (ko) 폴리에스테르 섬유
JP4270734B2 (ja) 嵩高性を有する生分解性繊維の製造方法
JP2010077558A (ja) ポリエステル複合繊維
JP2004277932A (ja) 軽量性に優れた複合繊維の製造方法
US6740404B1 (en) HMLS-fibers made of polyester and a spin-stretch process for its production
JP2004100087A (ja) 再生ポリエステル繊維
JP2009191390A (ja) 再生中空マルチフィラメント
JP3614020B2 (ja) 脂肪族ポリエステルマルチフィラメントの製造方法
JPH10266018A (ja) ポリエステル繊維およびその製造方法
JP2006037273A (ja) モノフィラメント及びその製造法並びに歯ブラシ
JPH11200145A (ja) ポリエステル繊維およびその製造方法
WO1996030427A1 (fr) Fibres elastiques, procede de fabrication et elastomere de polyester a employer a cet effet
JP4595714B2 (ja) ブレンド型複合繊維の製造方法
CN105463614B (zh) 吸放湿性聚酯纤维的制造方法
JP2003239137A (ja) 複合繊維