JPH11158202A - セルロース系粒子体及びその製造方法 - Google Patents

セルロース系粒子体及びその製造方法

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JPH11158202A
JPH11158202A JP34074797A JP34074797A JPH11158202A JP H11158202 A JPH11158202 A JP H11158202A JP 34074797 A JP34074797 A JP 34074797A JP 34074797 A JP34074797 A JP 34074797A JP H11158202 A JPH11158202 A JP H11158202A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高流速処理が可能で、機械的強度に優れ、表
面積が大きいセルロース系粒子体及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 セルロース系小粒子からなるセルロース
系粒子体であって、上記セルロース系小粒子は結合剤に
よって相互に連結されており、且つ、上記セルロース系
小粒子間に空隙があるセルロース系粒子体。該セルロー
ス系粒子体は、アルカリ性溶液中にセルロース系小粒子
を分散させて懸濁液とし、前記懸濁液を擬固液に接触さ
せることにより製造する。上記セルロース系小粒子とし
ては、例えば、ゲル濾過剤、セルロース性イオン交換体
の原料、アフィニティークロマトグラフィー用担体、高
分子担体、体液浄化用担体、化粧品添加剤に従来より使
用されているものを使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系粒子
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロース系粒子体は、菌体・酵素の固
定化担体、香料・薬品等の吸着用担体、体液浄化用担
体、化粧品添加剤等として、また、各種官能基を導入し
て種々のイオン交換体として多くの分野で広く使用され
ている。
【0003】セルロース系粒子体については、現在まで
に多くの研究がなされている。特開昭63−90501
号公報には、ビスコース及び水溶性高分子化合物の混合
物に、アニオン性水溶性化合物を混合して微粒子分散液
を調製し、加熱又は凝固剤を使用することにより凝固さ
せ、酸で再生させた後、凝固、再生、水洗の工程を経る
ことにより水溶性高分子を除去し、平均粒径が3×10
-4m以下で、孔径2×10-8〜8×10-7mの区間に孔
容積の極大値を有し、上記区間にある孔の全孔容積が
2.5×10-53 /kg以上である多孔性微小セルロ
ース粒子体を得る方法が開示されている。この方法によ
り得られる粒子体は、微小セルロース粒子体そのものに
微小な孔が存在しているものである。
【0004】特開昭63−92602号公報には、ビス
コース、炭酸カルシウム及び水溶性のアニオン性高分子
化合物を混合して、炭酸カルシウムを含有するビスコー
スの微粒子分散液を調製し、これを凝固、中和した後、
炭酸カルシウムを酸分解して多孔性球状セルロース系粒
子体を得る方法が開示されている。
【0005】しかしながら、これらの技術では、得られ
るセルロース系粒子体は、比較的粒径が小さいため、こ
のようなセルロース系粒子体を、例えば、充填剤、吸着
剤等の用途に使用した場合、高流速で大量処理すること
は困難であり、強制的に高速流で処理しようとすると、
セルロース系粒子体が壊れるおそれがあった。また、こ
のようなセルロース系粒子体を体液処理に使用すると、
血球が目詰まりするおそれもあった。従って、充分な機
械的強度を有し、高流速処理が可能で、セルロース系粒
子体内部の孔構造を利用することができ、より表面積が
大きく、体液処理に使用しても目詰まりを起こさないセ
ルロース系粒子体の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、高流速処理が可能で、機械的強度に優れ、表面積が
大きいセルロース系粒子体及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、セルロース系
小粒子からなるセルロース系粒子体であって、上記セル
ロース系小粒子は相互に連結されており、且つ、上記セ
ルロース系小粒子間に空隙があるセルロース系粒子体で
ある。
【0008】また、本発明は、上記セルロース系粒子体
の製造方法であって、アルカリ性溶液中にセルロース系
小粒子を分散させて懸濁液とし、上記懸濁液を凝固液に
接触させるセルロース系粒子体の製造方法である。以下
に本発明を詳述する。
【0009】
【発明の実施の形態】上記セルロース系小粒子は、例え
ば、セルロース、セルロース誘導体、再生セルロース等
のセルロース系材料から構成される。上記セルロースと
しては特に限定されず、例えば、木綿繊維を脱脂したも
の、麻類、木材から得られるパルプ、パルプを精製して
得られる精製セルロース等が挙げられる。
【0010】上記セルロース誘導体としては特に限定さ
れず、例えば、セルロースの水酸基の一部がエステル化
されたもの(エステル誘導体);セルロースの水酸基が
エーテル化されたもの(エーテル誘導体)等を挙げるこ
とができる。上記セルロースのエステル誘導体としては
特に限定されず、例えば、酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、ニトロセルロース、りん酸セルロース、
酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、セルロースのジ
チオカルボン酸エステル(ビスコースレーヨン)等を挙
げることができる。上記セルロースのエーテル誘導体と
しては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロ
ース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセ
ルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0011】上記再生セルロースは、上記セルロース
を、一度、成形しやすいセルロース誘導体とし、成形し
た後に再びセルロースに変換したものであり、具体的に
は、例えば、酢酸セルロースやプロピオン酸セルロース
等のセルロースのエステル誘導体等を加水分解すること
により調製したもの等が挙げられる。
【0012】上記セルロース系小粒子は、多孔質のもの
であってもよく、また、多孔質のものでなくてもよい
が、多孔質のものが好ましい。上記セルロース系小粒子
が多孔質のものであると、セルロース系粒子体の体積に
対する表面積をより一層大きくすることができる。
【0013】上記セルロース系小粒子としては、例え
ば、ゲル濾過剤、セルロース性イオン交換体の原料、ア
フィニティークロマトグラフィー用担体、高分子担体、
体液浄化用担体、化粧品添加剤等の用途に従来より使用
されているもの等を使用することができる。
【0014】上記セルロース系小粒子の製造は、公知の
方法で行うことができ、例えば、上記多孔質のセルロー
ス系小粒子は、特開昭63−90501号公報、特開昭
63−92602号公報等に開示されている方法等によ
り製造することができる。具体的には、例えば、以下の
方法等により製造することができる。
【0015】(1)セルロースザンテートと水溶性高分
子化合物とを含むアルカリ性高分子水溶液及び水溶性の
アニオン性高分子化合物を混合して、アルカリ性高分子
水溶液の微粒子分散液を調製し、上記分散液を加熱し、
又は、セルロースザンテートの凝固剤と混合して、分散
液中のセルロースザンテートを微粒子として凝固させ
る。このとき、上記セルロースザンテートの微粒子は、
水溶性高分子化合物を含有しているので、これを除去す
る。次いで、上記セルロースザンテートの微粒子を酸で
中和してセルロースを再生させ、目的のセルロース系小
粒子を得る。
【0016】上記セルロースザンテートの微粒子を凝固
させる場合、上記のほか、上記分散液に酸を添加するこ
とによって行うことができる。この場合には、上記水溶
性高分子化合物を除去した後、添加した酸を中和させる
ことにより、セルロースを再生させ、目的のセルロース
系小粒子を得る。
【0017】(2)ビスコース、炭酸カルシウム及び水
溶性のアニオン性高分子化合物を混合して、炭酸カルシ
ウムを含有するビスコースの微粒子分散液を生成させ、
上記分散液を加熱するか又は凝固剤を混合することによ
り上記分散液中のビスコースを凝固させ、次いで、酸で
中和してセルロースの微粒子を生成させる。その後、上
記セルロースの微粒子を分散液から分離し、酸分解によ
って炭酸カルシウムを除去した後乾燥させることによ
り、目的のセルロース系小粒子を得る。
【0018】上記セルロース系小粒子の平均粒径は、1
×10-6〜500×10-6mが好ましい。1×10-6
未満であると、セルロース系粒子体を構成するセルロー
ス系小粒子の粒子間に充分な空隙を設けることができ
ず、500×10-6mを超えると、セルロース系小粒子
の自重が大きいので、本発明のセルロース系粒子体を構
成するセルロース系小粒子同士を連結したまま保持する
ことができなくなる。好ましくは、5×10-6〜100
×10-6mである。
【0019】本発明のセルロース系粒子体は、上記セル
ロース系小粒子の粒子間に空隙を設けるように、上記セ
ルロース系小粒子を相互に連結させてなるものである。
上記空隙は、本発明のセルロース系粒子体の内部に形成
された空所であり、これによりセルロース系粒子体を、
表面及び内部に多数の微細孔を有するものとすることが
できる。
【0020】本発明のセルロース系粒子体は、結合剤の
存在下において、セルロース系小粒子を相互に連結させ
てなるものが好ましい。本発明者らは、結合剤を上記セ
ルロース系小粒子間に介在させることにより、結合剤を
使用しない場合よりも、本発明のセルロース系粒子体の
強度が著しく増大することを見い出した。また、結合剤
の量を調節することにより、強度の調節が可能となるこ
とが結合剤使用の利点である。
【0021】上記結合剤としては特に限定されず、例え
ば、有機化合物、無機化合物、有機合成低分子、無機合
成低分子、有機天然低分子、無機天然低分子、有機合成
高分子、無機合成高分子、有機天然高分子、無機天然高
分子等が挙げられる。
【0022】上記無機化合物としては特に限定されず、
例えば、凝固液との接触により3次元の網状構造を生成
するものを使用することができる。このようなものとし
ては、例えば、水ガラス等が挙げられる。上記水ガラス
は、一般に、酸化ナトリウム又は酸化カリウムと二酸化
珪素との濃厚水溶液をいう。この溶液は、各種金属塩と
反応し、溶液中で、沈殿が成長する。アルカリ性溶液中
にセルロース系小粒子及び水ガラス(結合剤として使
用)を分散させて、上記懸濁液を、金属塩の水溶液(凝
固液として使用)に接触させることにより、沈殿が生
じ、セルロース系小粒子を相互に連結させてなるセルロ
ース系粒子体を製造できる。
【0023】上記無機合成高分子としては特に限定され
ず、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニ
ウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄等の無機高分子
凝集剤等が挙げられる。上記有機合成高分子としては特
に限定されず、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸
−アクリルアミド共重合体等の有機高分子凝集剤等が挙
げられる。上記有機天然高分子としては特に限定され
ず、例えば、セルロース系物質、デンプン系物質、アル
ギン酸可溶性塩等が挙げられる。
【0024】上記結合剤としては、なかでも、セルロー
ス分子又はセルロース誘導体分子中の水酸基と水素結合
可能な官能基を有する物質が好ましく、セルロースと類
似の化学構造を有する物質がより好ましい。具体的に
は、セルロース系物質、デンプン系物質、アルギン酸可
溶性塩等が挙げられる。これらは、セルロースと類似の
化学構造を有し、且つ、セルロースと同様のグルコース
構造及びそれに付随する水酸基を有しているため、セル
ロース分子又はセルロース誘導体分子の水酸基と水素結
合が可能である。以下、これらについて詳細に説明す
る。
【0025】上記セルロース系物質は、上記セルロース
系小粒子を構成するセルロース、セルロース誘導体、再
生セルロース等のセルロース系分子と同じ物質であって
もよく、異なっていてもよい。上記セルロースとしては
特に限定されず、上述したものを使用できる。上記セル
ロース誘導体としては特に限定されず、上述したものを
使用できる。上記再生セルロースとしては特に限定され
ず、上述したものを使用できる。
【0026】上記デンプン系物質としては特に限定され
ず、例えば、デンプンの酢酸エステル、コハク酸エステ
ル、硝酸エステル、りん酸エステル、キサントゲン酸エ
ステル等のデンプンエステル;デンプンのアリルエーテ
ル、メチルエーテル、カルボキシメチルエーテル、カル
ボキシエチルエーテル、ヒドロキシエチルエーテル、ヒ
ドロキシプロピルエーテル等のデンプンエーテル;ばい
焼デキストリン、酸化デンプン等の天然デンプンの分解
産物等が挙げられる。上記ばい焼デキストリンとしては
特に限定されず、例えば、白色デキストリン、黄色デキ
ストリン、ブリティッシュガム等が挙げられる。上記酸
化デンプンとしては特に限定されず、例えば、次亜塩素
酸酸化デンプン、ジアルデヒドデンプン等が挙げられ
る。
【0027】上記アルギン酸可溶性塩としては特に限定
されず、例えば、アルギン酸ナトリウム等が挙げられ
る。上記アルギン酸可溶性塩の水溶液は、マグネシウム
イオン、水銀イオンを除く2価以上の金属塩の水溶液と
の接触により不溶性塩を形成することが知られている。
この不溶化は瞬時に起こるので、アルギン酸可溶性塩水
溶液の液滴を塩化カルシウム等の2価の金属塩の水溶液
に滴下することで容易に不溶性塩を形成することができ
る。例えば、アルカリ性溶液中にセルロース系小粒子及
び上記アルギン酸可溶性塩(結合剤として使用)を分散
させて懸濁液とし、その懸濁液をマグネシウムイオン、
水銀イオンを除く2価以上の金属塩の水溶液(凝固液と
して使用)に接触させることにより、不溶性塩が形成さ
れ、セルロース系小粒子を相互に連結させてなるセルロ
ース系粒子体を製造できる。
【0028】これらの結合剤は、上で説明したセルロー
ス系物質やデンプン系物質等も含めて、単独でも2種以
上併用して用いてもよい。また、結合剤を構成する分子
の2種以上の共有結合体である結合剤を使用することが
できる。具体的には、上記有機合成高分子と上記有機天
然高分子との共重合体として、例えば、アクリルアミド
−カルボキシメチルセルロースグラフト重合体等が挙げ
られる。
【0029】上記セルロース系粒子体において、上記セ
ルロース系小粒子が相互に連結されている態様は、必ず
しも共有結合によるものである必要はなく、実質的に、
粒子間の連結状態を安定して維持することができる状態
であればよい。即ち、セルロース系小粒子を相互に連結
させる態様としては、上記共有結合以外に、例えば、セ
ルロース分子又はセルロース誘導体分子の絡み合いによ
る連結、水素結合等の化学結合による連結等も含まれ
る。
【0030】例えば、上記セルロースは、D−グルコピ
ラノースがβ1→4グルコシド結合で連なった構造であ
って主鎖中の1グルコース単位当たり3個の水酸基を有
しており、これらの水酸基は、分子鎖間及び分子内で水
素結合、更に、アセタール酸素間で水素結合を形成して
いるものと思われる。上記セルロース誘導体の場合も、
未置換の水酸基が同様の作用をするものと思われる。
【0031】上記セルロース系粒子体が、結合剤の存在
下において、セルロース系小粒子を相互に連結させてな
るものである場合には、セルロース系小粒子と結合剤の
間の分子同士の絡み合いによる連結、セルロース系小粒
子と結合剤の間の水素結合等の化学結合による連結等も
含まれる。
【0032】本発明のセルロース系粒子体の小粒子が相
互に連結されている状態を観測すると、次の3つの場合
があり得る。 (1)隣接する小粒子の表面同士が点で接したような状
態を保って連結されている場合 (2)隣接する小粒子の表面同士が相互に密着して、面
で接したような状態を保って連結されている場合 (3)外見上、隣接する小粒子の表面が離れており、繊
維状又は他の形状を持つ構造体がその表面同士を架橋す
るように小粒子間に介在している場合
【0033】上述のセルロース系粒子体が結合剤の存在
下において、セルロース系小粒子を相互に連結させてな
るものである場合には、上記(3)の状態が含まれる場
合があり、この場合、繊維状又は他の形状を持つ構造体
が結合剤である。上記のいずれか3つの連結状態にある
小粒子間に形成される空間が、本発明のセルロース系粒
子体における上記セルロース系小粒子間の空隙である。
【0034】本発明のセルロース系粒子体の平均粒径
は、10×10-6〜5000×10-6mが好ましく、用
途に応じて適宜設定される。上記セルロース系小粒子の
平均粒径は、1×10-6m以上であるから、このセルロ
ース系小粒子を連結させてなるセルロース系粒子体は、
10×10-6m以上ではじめて安定な粒子体となる。1
0×10-6m未満であると、連結点が少なく、壊れやす
いため、粒子体が安定に存在できない。
【0035】本発明のセルロース系粒子体の乾燥時の比
表面積は、2×104 2 /kg以上であることが好ま
しい。2×104 2 /kg未満であると、用途に応じ
るための作用面積が小さくなる。より好ましくは、5×
104 2 /kg以上である。
【0036】本発明のセルロース系粒子体の形状は、セ
ルロース系小粒子からなるセルロース系粒子体であっ
て、セルロース系小粒子間に空隙を設けるように、セル
ロース系小粒子を相互に連結させてなるものであるかぎ
り特に限定されず、例えば、回転楕円体の様な形状であ
ってもよく、また、実質的に球状であってもよい。
【0037】本発明のセルロース系粒子体は、アルカリ
性溶液中に上記セルロース系小粒子を分散させて懸濁液
とし、上記懸濁液を、凝固液に接触させることにより製
造することができる。
【0038】本発明の製造方法で使用されるアルカリ性
溶液としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウ
ム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶
液、水酸化セシウム水溶液、水酸化ルビジウム水溶液等
を挙げることができる。上記アルカリ性溶液には、粘度
調整のため、グリセリン等の増粘剤を添加してもよい。
【0039】上記アルカリ性溶液の水素イオン濃度は、
アルカリ性の範囲内であれば特に限定されないが、pH
が9以上であることが好ましい。より好ましくは、pH
が10以上、更に好ましくは、12以上である。pHが
10未満であると、セルロース系小粒子を分散させた懸
濁液を凝固液に接触させた場合に、上記セルロース系小
粒子が分散した状態となり、連結させることができなく
なる場合がある。なお、本明細書中、pHの値は、水素
イオンのモル濃度を[H+ ]とするとき、pH=−lo
10[H+ ]で定義される値である。
【0040】上記セルロース系小粒子の懸濁濃度は、5
0〜75体積%であることが好ましい。上記懸濁濃度と
は、懸濁液の体積に対する懸濁液中に存在するセルロー
ス系小粒子の全体積の割合である。上記懸濁液を濾過し
てなる堆積物は、懸濁濃度100体積%である。セルロ
ース系小粒子が多孔質で、含水率が高い場合は、見かけ
の比重が溶液の比重と大差無いため、体積%は、重量%
と実質的に同等である。上記セルロース系小粒子の懸濁
濃度が50体積%未満であると、懸濁液の液滴を凝固液
に接触させた場合、断片状のセルロース系粒子体が得ら
れ、その強度も弱く、75体積%を超えると、滑らかな
面を有する液滴が得られず、セルロース系粒子体の形状
は、塊状となる場合がある。より好ましくは、60〜7
0体積%である。
【0041】上記懸濁液は、アルカリ性溶液中にセルロ
ース系小粒子と結合剤とを分散させたものであってもよ
い。上記結合剤を懸濁させる方法としては特に限定され
ず、例えば、上記結合剤を予め上記アルカリ性溶液中に
溶かした後、その溶液又は懸濁液を上記セルロース系小
粒子と混合する方法等が挙げられる。
【0042】上記結合剤の添加量は、結合剤の分子量等
により一概には言えないが、上記アルカリ性溶液中に上
記セルロース系小粒子及び上記結合剤を分散させて調製
した懸濁液中で、通常、0.01〜50重量%が好まし
い。0.01重量%未満であると、結合剤としての効果
がなく、結合剤不使用によるセルロース系粒子体と比べ
て、セルロース系粒子体の機械的強度増大には寄与せ
ず、50重量%を超えると、セルロース系小粒子間に過
剰に存在して間隙が無くなる。より好ましくは、0.1
〜30重量%であり、更に好ましくは、0.2〜20重
量%である。
【0043】上記セルロース系小粒子の平均粒径は、上
述したように1×10-6〜500×10-6mが好ましい
のであるが、この範囲内であると、平均粒径が1×10
-6m未満である場合に、結合剤を加えたときに、セルロ
ース系粒子体を構成するセルロース系小粒子同士の間隙
に結合剤が入り込み、間隙を埋めてしまう不都合を回避
できる。
【0044】上記アルカリ性溶液中にセルロース系小粒
子と結合剤とを分散させた懸濁液の室温での粘度は、5
×10-4〜1×104 Pa・sが好ましい。5×10-4
Pa・s未満であると、懸濁液の液滴が凝固液に接した
ときに変形し易く球状にならず、1×104 Pa・sを
超えると、懸濁液を液滴にしたときに変形が難しく球状
にならない。
【0045】上記粘度を測定する方法及び装置として
は、5×10-4〜1×104 Pa・sの範囲の溶液粘度
を測定できる公知の粘度測定法及び粘度測定装置であれ
ば特に限定されない。ここでいう粘度とは、JIS Z
8802−1959に規定されている粘度であり、液
体内に剪断速度(ずれ速度)があるとき、その剪断速度
(ずれ速度)の方向に垂直な面において、速度の方向に
単位面積あたり生じる応力の大きさによって示される流
体の内部抵抗をいい、その次元は(質量)/(長さ×時
間)である。上記の粘度範囲の粘度測定は、全ての粘度
範囲を必ずしも一つの装置で測る必要はない。また、測
定の精度が、例えば、約10%という簡易な粘度測定法
及び粘度測定装置であってもよい。
【0046】上記粘度測定装置としては特に限定され
ず、例えば、毛細管粘度計、短管粘度計、落球粘度計、
転落球粘度計、円柱落下粘度計、共軸円筒回転粘度計、
気泡粘度計等が挙げられる。溶液粘度が5×10-4〜1
×102 Pa・sの範囲においては、気泡粘度計が好ま
しく、1〜1×104 Pa・sの範囲においては、共軸
円筒回転粘度計が好適に用いられる。
【0047】上記セルロース系小粒子をアルカリ性溶液
に懸濁することにより、上記セルロース系小粒子の表面
部位において、セルロース又はセルロース誘導体は、ア
ルカリセルロースとなって膨潤し、更に、水素結合が切
断されてセルロース分子又はセルロース誘導体分子の運
動性は著しく向上する。結合剤を共存させる場合には、
結合剤を取り込みやすい状態となる。
【0048】上記アルカリ性溶液にセルロース系小粒子
を懸濁させる時間は、1分以上が好ましい。1分未満で
あると、上記セルロース系小粒子の表面部位において、
セルロース又はセルロース誘導体をアルカリセルロース
として膨潤させることが困難となり、上記セルロース系
小粒子を充分に連結させることが困難である。より好ま
しくは、1時間以上である。
【0049】次に、上記懸濁液を凝固液と接触させ、上
記セルロース系小粒子を相互に連結させる。上記懸濁液
と上記凝固液を接触させることにより、セルロース分子
又はセルロース誘導体分子の運動性は著しく減少し、セ
ルロース系小粒子のセルロース分子又はセルロース誘導
体分子同士の絡み合いや水素結合等が起こりうる。ま
た、結合剤を共存させる場合には、結合剤の運動性も著
しく減少し、セルロース系小粒子と結合剤との間の分子
同士の絡み合いや水素結合等が起こりうる。
【0050】上記凝固液としては、上記アルカリセルロ
ース又は上記アルカリセルロース及び上記結合剤の流動
性を失わせるものであれば特に限定されず、例えば、エ
タノール、アセトン等の有機溶媒;カルシウム塩等の塩
類溶液;塩酸、硫酸、りん酸等の無機酸溶液;酢酸等の
有機酸;酸性溶液で且つ上記懸濁液のpH値より小さい
pH値を示す溶液、純水等が挙げられる。これらは単独
でも2種以上併用して用いてもよい。
【0051】上記懸濁液を上記凝固液に接触させる方法
としては特に限定されず、例えば、上記凝固液中に上記
懸濁液を分散させる方法;上記懸濁液を液滴とし、上記
凝固液に接触させる方法;上記凝固液を微細化、例え
ば、霧状にして上記懸濁液に接触させる方法を挙げるこ
とができる。なかでも、得られるセルロース系粒子体の
平均粒径を制御し易い点から、上記懸濁液を液滴とし、
前記液滴を凝固液に接触させる方法が好ましい。
【0052】上記懸濁液を液滴とし、前記液滴を上記凝
固液に接触させる場合、上記懸濁液の液滴は、直径が5
×10-3m以下であることが好ましい。直径が5×10
-3mを超えると、表面張力の及ぼす作用が小さくなり、
液滴が形成されにくくなる。
【0053】上記懸濁液を液滴とする方法としては特に
限定されず、例えば、キャピラリーから上記懸濁液を気
相中に吐出する方法、噴霧器を利用する方法等を挙げる
ことができる。なかでも、微小化した液滴を得ることが
できる点から、噴霧器が好適に用いられる。
【0054】上記噴霧器としては、液滴の直径を5×1
-3m以下に細分化させることができる装置であれば特
に限定されず、例えば、回転円盤型噴霧器、圧力ノズル
型噴霧器、2流体ノズル型噴霧器等が挙げられる。
【0055】上記回転円盤型噴霧器は、高速円盤上に溶
液を流して、遠心力により溶液を振り飛ばし、空気等の
気体と衝突させて噴霧化させるものである。噴霧化され
た液滴の平均粒径は、溶液の供給速度と高速円盤の回転
数を適宜調節することにより容易に制御可能である。
【0056】上記圧力ノズル型噴霧器は、高圧の溶液を
小孔から吐出させて、溶液を周囲の空気等の気体と衝突
させて噴霧するものである。噴霧化された液滴の平均粒
径は、溶液の供給速度、加える圧力、小孔の直径を適宜
調節することにより容易に制御可能である。
【0057】上記2流体ノズル型噴霧器は、溶液自体は
低圧でも、圧縮ガスにより高速のガスで吹き飛ばして噴
霧化するものである。噴霧化された液滴の平均粒径は、
溶液の吐出速度、圧縮ガスの噴出速度を適宜調節するこ
とにより容易に制御可能である。
【0058】上記懸濁液の液滴の直径は、上述した液滴
とする方法を、適宜選択することにより比較的自由に設
計することができる。
【0059】上記懸濁液を上記凝固液に接触させる時間
は、1秒以上が好ましい。1秒未満であると、上記セル
ロース系小粒子を充分に連結させることができない。よ
り好ましくは、1分以上である。
【0060】本発明のセルロース系粒子体は、セルロー
ス系小粒子の粒子間に空隙が設けられているので、セル
ロース系粒子体の体積に対する表面積が大きく、菌体・
酵素の固定化担体、香料・薬品等の吸着用担体、化粧品
添加剤等として好適に使用することができる。また、本
発明のセルロース系粒子体は強度が高いので、高流速処
理が可能である。これらの用途は、本発明のセルロース
系粒子体の大きさや内部構造等によって、適宜選択する
ことが可能である。
【0061】本発明のセルロース系粒子体は、そのまま
使用しても良いし、セルロース系小粒子同士の空隙に、
無機物、有機物等を充填したり、各種物質を反応させた
りすることにより、修飾して使用してもよい。
【0062】本発明のセルロース系粒子体の製造方法
は、上記セルロース系小粒子を容易に相互に連結させる
ことができ、且つ、上記セルロース系小粒子の粒子間に
空隙を設けることができる。また、懸濁液の液滴を適宜
選択することにより、得られるセルロース系粒子体の平
均粒径を、用途に応じて比較的自由に調節することがで
きる。
【0063】
【実施例】以下に本発明の実施例を掲げて更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0064】実施例1 カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社製)と6
規定の水酸化ナトリウム水溶液(pH=14.8)とを
混合して、カルボキシメチルセルロースの5.6重量%
の溶液を調製した。平均粒径25×10-6mの多孔質の
セルロース小粒子(チッソ社製)を、上記カルボキシメ
チルセルロースの水酸化ナトリウム水溶液に混入し(懸
濁濃度は65体積%、結合剤は2.0重量%)、攪拌し
ながら5時間接触させた。その後、穴径0.5×10-3
mのマイクロピペットで本懸濁液の液滴を99.5%エ
タノール溶液に接触させたところ、実質的に球状のセル
ロース系粒子体が得られた。粒径は、約0.6×10-3
〜1×10-3mであった。得られたセルロース系粒子体
を純水で洗浄した後に、純水中の本セルロース系粒子体
を振とうしても、形状は崩れなかった。また、親指と人
指し指の腹同士の間で本セルロース系粒子体を保持し、
指同士を指の長さ方向にすりあわせて、約5×10-3
の間を5往復以上転がしても、形状は崩れなかった。な
お、pHの値は、水酸化ナトリウム水溶液及び塩酸水溶
液の解離度=1、[H+ ]×[OH-]=10-14 とし
てpH=−log10[H+ ]の式より求めた。以下、同
様にしてpHの値を求めた。
【0065】得られたセルロース系粒子体内の液体を純
水で置換してから、エタノールで置換し、また、2−メ
チル−2−プロパノールで置換し、凍結乾燥機(Eik
oEng.Co.,Ltd.社製)を用いて凍結乾燥さ
せ、金を蒸着させた後、走査型電子顕微鏡(トプコン社
製)で観察したところ、図1に示すように、得られたセ
ルロース系粒子体の形状は実質的に球状であった。図2
及び図3に示すように、相互に連結されたセルロース小
粒子間に空隙があった。また、図4に示すように、連結
後においても、多孔質セルロース系小粒子にもともと存
在する孔が観察できた。
【0066】実施例2 平均粒径25×10-6mの多孔質のセルロース小粒子
(チッソ社製)と、6規定の水酸化ナトリウム水溶液
(pH=14.8)とを混合して(懸濁濃度は62体積
%、結合剤は0.0重量%)、攪拌しながら5時間接触
させた。その後、穴径0.5×10-3mのマイクロピペ
ットで本懸濁液の液滴を6規定の塩酸水溶液(pH=−
0.8)に接触させたところ、実質的に球状のセルロー
ス系粒子体が得られた。粒径は、約1×10-3mであっ
た。
【0067】結合剤を使用しない本作製法によるセルロ
ース系粒子体は、作製後、純水で洗浄した後に、純水中
の本セルロース系粒子体を振とうしても、形状は崩れな
かったものの、得られた本セルロース系粒子体を、親指
と人指し指の腹同士の間で、本セルロース系粒子体を保
持し、指同士を指の長さ方向に平行にすり合わせたとこ
ろ、約1×10-3m転がすと形状が崩れた。
【0068】実施例3 カルボキシメチルセルロースと6規定の水酸化ナトリウ
ム水溶液(pH=14.8)とを混合して、カルボキシ
メチルセルロースの5.6重量%の溶液を調製した。平
均粒径25×10-6mの多孔質のセルロース小粒子(チ
ッソ社製)を、上記カルボキシメチルセルロースの水酸
化ナトリウム水溶液に混入し(懸濁濃度は63体積%、
結合剤は2.0重量%)、攪拌しながら5時間接触させ
た。その後、2流体ノズル(同心円状に内ノズルと外ノ
ズルとを有するもの)の外ノズルから圧縮窒素ガスを噴
出すると同時に内ノズルから上記懸濁液を霧状に吐出し
た。窒素ガス噴出速度は3.3×10-43 /s、懸濁
液の吐出速度は、1.1×10-73 /sであった。内
ノズルの直径は2.6×10-3m、外ノズルの直径は
4.4×10-3mの2流体ノズルを使用した。吐出高さ
は4mであった。99.5%エタノール溶液を凝固液と
し、この溶液と上記懸濁液の液滴とを接触させ、その溶
液中に本発明のセルロース系粒子体を得た。平均粒径
は、約2×10-4mだった。得られたセルロース系粒子
体を純水で洗浄した後に、純水中の本セルロース系粒子
体を振とうしても、形状は崩れなかった。
【0069】得られたセルロース系粒子体内の液体を純
水で置換してから、エタノールで置換し、また、2−メ
チル−2−プロパノールで置換し、凍結乾燥機(Eik
oEng.Co.,Ltd.社製)を用いて凍結乾燥さ
せ、金を蒸着させた後、走査型電子顕微鏡(トプコン社
製)で観察した。得られたセルロース系粒子体の形状
は、実質的に球状であり、また相互に連結されたセルロ
ース系小粒子間に空隙があった。連結後においても、多
孔質セルロース系小粒子にもともと存在する孔が観察で
きた。
【0070】実施例4 アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)と6規定の
水酸化ナトリウム水溶液(pH=14.8)とを混合し
て、アルギン酸ナトリウムの3.6重量%の溶液を調製
した。平均粒径25×10-6mの多孔質のセルロース小
粒子(チッソ社製)を、上記アルギン酸ナトリウムの水
酸化ナトリウム水溶液に混入し(懸濁濃度は65体積
%、結合剤は1.3重量%)、攪拌しながら6時間接触
させた。その後、穴径0.5×10-3mのマイクロピペ
ットで本懸濁液の液滴を6規定の塩化カルシウム水溶液
に接触させたところ、実質的に球状のセルロース系粒子
体が得られた。粒径は、約0.7×10-3mであった。
得られたセルロース系粒子体を純水で洗浄した後に、純
水中の本セルロース系粒子体を振とうしても、形状は崩
れなかった。また、親指と人差し指の腹同士の間で本セ
ルロース系粒子体を保持し、指同士を指の長さ方向に平
行にすりあわせて、約5×10-3mの間を5往復以上転
がしても、形状は崩れなかった。
【0071】得られたセルロース系粒子体内の液体を純
水で置換してから、エタノールで置換し、また2−メチ
ル−2−プロパノールで置換し、凍結乾燥機(Eiko
Eng.Co.,Ltd.社製)を用いて凍結乾燥さ
せ、金を蒸着させた後、走査型電子顕微鏡(トプコン社
製)で観察した。得られたセルロース系粒状体の一部を
切断した図5に示すように、得られた粒子体の形状は、
実質的に球状であった。図6及び図7に示すように、相
互に連結されたセルロース系小粒子間に空隙があった。
また、図8に示すように、連結後においても、多孔質セ
ルロース系小粒子にもともと存在する孔が観察できた。
【0072】実施例5 J珪酸ソーダ3号(酸化ナトリウムと二酸化珪素の濃厚
水溶液(水ガラス)、日本化学工業社製)と6規定の水
酸化ナトリウム水溶液(pH=14.8)とを混合し
て、J珪酸ソーダ3号の30.6重量%の溶液を調製し
た。平均粒径25×10-6mの多孔質のセルロース小粒
子(チッソ社製)を、上記のJ珪酸ソーダ3号の水酸化
ナトリウム水溶液に混入し(懸濁濃度は62体積%、結
合剤は11.6重量%)、攪拌しながら、6時間接触さ
せた。その後、穴径0.5×10-3mのマイクロピペッ
トで本懸濁液の液滴を6規定の塩化カルシウム水溶液に
接触させたところ、実質的に球状のセルロース系粒子体
が得られた。粒径は、約0.5×10-3mであった。得
られたセルロース系粒子体を純水で洗浄した後に、純水
中の本セルロース系粒子体を振とうしても、形状は崩れ
なかった。また、親指と人差し指の腹同士の間で本セル
ロース系粒子体を保持し、指同士を指の長さ方向に平行
にすりあわせて、約5×10-3mの間を5往復以上転が
しても、形状は崩れなかった。
【0073】本セルロース系粒子体内の液体を純水で置
換してから、エタノールで置換し、また、2−メチル−
2−プロパノールで置換し、凍結乾燥機(Eiko E
ng.Co.,Ltd.社製)を用いて凍結乾燥させ、
金を蒸着させた後、走査型電子顕微鏡(トプコン社製)
で観察したところ、得られたセルロース系粒子体の形状
が実質的に球状であった。また、相互に連結されたセル
ロース系小粒子間に空隙があり、かつ、また、連結後に
おいても、多孔質セルロース系小粒子にもともと存在す
る孔が観察できた。
【0074】
【発明の効果】本発明のセルロース系粒子体は上述の構
成よりなるので、用途に応じて粒子の大きさを比較的自
由に設計することができ、その大きさ及び内部構造に応
じて、ゲル濾過用担体、セルロース性イオン交換体の原
料、アフィニティークロマトグラフィー用担体、香料・
薬品等の吸着用担体、菌体・酵素の固定化担体、体液浄
化用担体等の用途に好適に使用することができる。ま
た、本発明のセルロース系粒子体の製造方法は上述のと
おりであるので、本発明のセルロース系粒子体を容易に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のセルロース系粒子体の粒子表面を1
00倍に拡大した写真である。
【図2】実施例1のセルロース系粒子体の粒子断面を1
00倍に拡大した写真である。
【図3】実施例1のセルロース系粒子体の粒子断面を1
000倍に拡大した写真である。
【図4】実施例1のセルロース系粒子体の粒子断面を5
000倍に拡大した写真である。
【図5】実施例3のセルロース系粒子体の粒子表面及び
断面を100倍に拡大した写真である。
【図6】実施例3のセルロース系粒子体の粒子表面及び
断面を200倍に拡大した写真である。
【図7】実施例3のセルロース系粒子体の粒子表面を1
000倍に拡大した写真である。
【図8】実施例3のセルロース系粒子体の粒子断面を5
000倍に拡大した写真である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系小粒子からなるセルロース
    系粒子体であって、前記セルロース系小粒子は相互に連
    結されており、且つ、前記セルロース系小粒子間に空隙
    があることを特徴とするセルロース系粒子体。
  2. 【請求項2】 セルロース系粒子体は、結合剤の存在下
    において、セルロース系小粒子を相互に連結させてなる
    ものである請求項1記載のセルロース系粒子体。
  3. 【請求項3】 セルロース系小粒子の平均粒径は、1×
    10-6〜500×10-6mである請求項1又は2記載の
    セルロース系粒子体。
  4. 【請求項4】 セルロース系小粒子は、多孔質のもので
    ある請求項1、2又は3記載のセルロース系粒子体。
  5. 【請求項5】 セルロース系粒子体の平均粒径は、10
    ×10-6〜5000×10-6mである請求項1、2、3
    又は4記載のセルロース系粒子体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のセルロース系粒子体の製
    造方法であって、アルカリ性溶液中にセルロース系小粒
    子を分散させて懸濁液とし、前記懸濁液を凝固液に接触
    させることを特徴とするセルロース系粒子体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 懸濁液を直径が5×10-3m以下である
    液滴とし、前記液滴を凝固液に接触させる請求項6記載
    のセルロース系粒子体の製造方法。
  8. 【請求項8】 懸濁液は、結合剤を共存させたものであ
    る請求項6又は7記載のセルロース系粒子体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 懸濁液の室温での粘度は、5×10-4
    1×104 Pa・sである請求項8記載のセルロース系
    粒子体の製造方法。
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