JPH11158188A - α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンの製造方法 - Google Patents

α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンの製造方法

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JPH11158188A
JPH11158188A JP9344298A JP34429897A JPH11158188A JP H11158188 A JPH11158188 A JP H11158188A JP 9344298 A JP9344298 A JP 9344298A JP 34429897 A JP34429897 A JP 34429897A JP H11158188 A JPH11158188 A JP H11158188A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシ
ロキサンを高選択的、高収率で生産性良く製造する方法
を提供する。 【解決手段】 (A)シクロトリシロキサンと(B)
1,3−ジハイドロジェンジシロキサンとを(C)酸性
触媒存在下で反応させ、生成した反応混合物中の一般
式:R2HSi(OSiR2)3OSiHR2(式中、Rは一価炭化水素
基,ハロゲン化炭化水素基または水素原子である。ただ
し、全てのRが同時に水素原子であることはない。)で
示されるα,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロ
キサンの含有率が、副生成物である一般式:R2HSi(OSiR
2)6OSiHR2(式中、Rは前記と同じである。)で示され
るα,ω−ジハイドロジェンオルガノオクタシロキサン
の含有率の3倍以上であることを特徴とする、一般式:
R2HSi(OSiR2)3OSiHR2(式中、Rは前記と同じであ
る。)で示されるα,ω−ジハイドロジェンオルガノペ
ンタシロキサンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はα,ω−ジハイドロ
ジェンオルガノペンタシロキサンの製造方法に関し、詳
しくは、α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロ
キサンを高選択的に生産性良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オルガノポリシロキサン鎖の両末端がケ
イ素原子結合水素原子で封鎖されたα,ω−ジハイドロ
ジェンオルガノポリシロキサンは、シリコーンゴム,変
成シリコーンおよび表面処理剤等の原料として広範囲に
使用されている。従来、その製造方法としては、1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサンとオクタメチルシク
ロテトラシロキサンを主成分とする環状ジメチルオリゴ
シロキサンを酸性触媒存在下で平衡開環重合する方法が
広く使用されている。これ以外にも、ジアルキルジクロ
ロシランを加水分解してα,ω−ジクロロオルガノポリ
シロキサンを合成し、次いでこれをリチウムアルミニウ
ムハイドライドで還元する方法{Polish Journal of Ch
emistry, 53(6), 1363 (1979)参照}、テトラメチルジ
シロキサンとクロロシランの不均化による方法(西ドイ
ツ特許第2630744号公報参照)が提案されてい
る。しかしながら、これらの方法はいずれも平衡化反応
を利用しているため、反応生成物は重合度の異なる数種
類のα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサン
の混合物となり、ある特定の鎖長を有するものを高選択
的に生産性良く製造することはできなかった。この欠点
を克服し、特定の鎖長を有するα,ω−ジハイドロジェ
ンオルガノポリシロキサンを高収率で製造する方法とし
て、環状オリゴシロキサンとヒドリドクロロシランを水
と無機固体物の存在下で反応させる方法が提案されてい
る(特開平2−306980号公報参照)。この方法に
よれば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン,ヘキサ
ン,水およびシリカゲルの混合物に、化学量論量に対し
て50%過剰のジメチルクロロシランを滴下してシリカ
ゲルをろ過した後、ろ液を蒸留して過剰のジメチルクロ
ロシランを留去し、残査を塩基で中和、水洗してベンゼ
ンとの共沸脱水を行った後、減圧蒸留することにより、
1,9−ジハイドロジェンデカメチルペンタシロキサン
を85.5%の収率で得ることができたと報告されてい
る。この方法は確かに目的とする特定のα,ω−ジハイ
ドロジェンオルガノポリシロキサンを高収率で得られる
ものの、1)化学量論量に対して50%過剰のジメチル
クロロシランを必要とし、反応後に沸点がきわめて低く
腐食性の強い未反応のクロロシランを蒸留により留去す
る必要がある,2)目的物を得るために、固体触媒のろ
過による除去、ろ液から低沸点物の留去、塩基による中
和、水洗、共沸脱水および減圧蒸留という煩雑な操作を
必要とするといった問題点があり、工業的大量生産に利
用するには不適な方法であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記問題点
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、シクロトリシロキ
サンと1,3−ジハイドロジェンジシロキサンが酸性触
媒存在下で非平衡化反応することにより、α,ω−ジハ
イドロジェンオルガノペンタシロキサンが高選択的に得
られることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明
の目的は、α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシ
ロキサンを高選択的、高収率で生産性良く製造する方法
を提供することにある。
【0004】
【課題の解決手段】本発明は、(A)一般式:
【化2】 (式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲン化炭化水素基ま
たは水素原子である。ただし、全てのRが同時に水素原
子であることはない。)で示されるシクロトリシロキサ
ンと、(B)一般式:R2HSiOSiHR2(式中、Rは一価炭
化水素基,ハロゲン化炭化水素基または水素原子であ
る。ただし、全てのRが同時に水素原子であることはな
い。)で示されるジシロキサンとを、(C)酸性触媒存
在下で反応させ、生成した反応混合物中の一般式:R2HS
i(OSiR2)3OSiHR2(式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲ
ン化炭化水素基または水素原子である。ただし、全ての
Rが同時に水素原子であることはない。)で示される
α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンの
含有率が、副生成物である一般式:R2HSi(OSiR2)6OSiHR
2(式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲン化炭化水素基
または水素原子である。ただし、全てのRが同時に水素
原子であることはない。)で示されるα,ω−ジハイド
ロジェンオルガノオクタシロキサンの含有率の3倍以上
であることを特徴とする、一般式:R2HSi(OSiR2)3OSiHR
2(式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲン化炭化水素基
または水素原子である。ただし、全てのRが同時に水素
原子であることはない。)で示されるα,ω−ジハイド
ロジェンオルガノペンタシロキサンの製造方法に関す
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法に使用される
(A)成分のシクロトリシロキサンは、一般式:
【化3】 で示される。上式中、Rは同種もしくは異種の一価炭化
水素基,ハロゲン化炭化水素基または水素原子であり、
具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基のような
アルキル基;ビニル基,ブテニル基,ヘキセニル基のよ
うなアルケニル基;フェニル基,トリル基,キシリル基
のようなアリール基;ベンジル基,フェネチル基のよう
なアラルキル基;トリフルオロプロピル基,クロロメチ
ルフェネチル基のようなハロゲン化炭化水素基および水
素原子が例示される。これらの中でも入手し易さおよび
経済性から、メチル基,ビニル基およびフェニル基が好
ましく、メチル基が最も好ましい。尚、全てのRが同時
に水素原子であることはない。このようなシクロトリシ
ロキサンとして具体的には、ヘキサメチルシクロトリシ
ロキサン,ヘキサエチルシクロトリシロキサン,1,3,
5−トリフェニル−トリメチルシクロトリシロキサン,
1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロトリシロキサ
ン,1,1,3,3,5−ペンタメチルシクロトリシロキサ
ン,1,3,5−トリス(トリフルオロプロピル)−トリ
メチルシクロトリシロキサンが例示される。このような
シクロトリシロキサンは公知であり、特にケイ素原子結
合水素原子を有しないシクロトリシロキサンは、非平衡
的アニオン重合用モノマーとして公知である。
【0006】本発明の製造方法に使用される(B)成分
のジシロキサンは、一般式:R2HSiOSiHR2で示される。
式中、Rは前記と同じである。このようなジシロキサン
の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロ
キサン,1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン,1,
1,3,3−テトラフェニルジシロキサン,1,1,3,3
−テトラビニルジシロキサンが挙げられる。
【0007】本発明の製造方法において、(A)成分の
シクロトリシロキサンに対する(B)成分のジシロキサ
ンの好ましいモル比は0.7〜10.0の範囲であり、
より好ましくは0.9〜5.0の範囲であり、さらに好
ましくは0.95〜2.00の範囲である。この(A)
成分と(B)成分とのモル比は、α,ω−ジハイドロジ
ェンオルガノペンタシロキサンを選択的に得るために重
要である。
【0008】本発明の製造方法に使用される(C)成分
の酸性触媒としては、塩酸,硫酸,トリフルオロ酢酸,
トルフルオロメタンスルホン酸のようなプロトン酸;塩
化鉄,塩化アルミニウム,塩化亜鉛,塩化チタンのよう
なルイス酸が挙げられる。これらの中でも反応の転化率
を向上させるために、塩酸やパーフルオロアルカンスル
ホン酸等の強酸が好ましく、トルフルオロメタンスルホ
ン酸が特に好ましい。これらの強酸の添加量は、シロキ
サン結合のランダムな再配列反応やシクロトリシロキサ
ンの単独重合などの副反応を抑制するために、目的とす
る反応を起こすに足る程度の微量でよい。具体的には、
使用する触媒の酸性度や反応系中の水分やシラノール化
合物の含有率などによって異なるが、(A)成分と
(B)成分との合計重量に対して1,000ppm以下
であることが好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸
の場合は反応混合物の全量に対して10〜1,000p
pm程度の量で十分である。使用する酸の量が減るほ
ど、その中和のための塩基性化合物、あるいはその水洗
のための水の量を減らすことができるので、この点から
も必要最小量であることが好ましい。
【0009】本発明の製造方法は、(A)成分のシクロ
トリシロキサンと(B)成分のジシロキサンとを、
(C)成分の酸性触媒存在下で非平衡的に反応させるこ
とを特徴とする。この反応は具体的に次式で示される。
【化4】 上式中、Rは前記と同じであり、nは2以上の整数であ
り、mは4〜20の整数である。そしてこの方法で生成
した反応混合物中における目的生成物のα,ω−ジハイ
ドロジェンオルガノペンタシロキサンの含有率は、副生
成物の主成分である一般式:R2HSi(OSiR2)6OSiHR2で示
されるα,ω−ジハイドロジェンオルガノオクタシロキ
サンの含有率の3倍以上である。
【0010】本発明の製造方法は、(A)成分のシクロ
トリシロキサン、(B)成分のジシロキサンおよび
(C)成分の酸性触媒を混合して所定の温度で撹拌する
ことにより実施される。好ましい反応温度は、(A)成
分と(B)成分の組み合わせにより異なるが、一般に、
0〜50℃の範囲が好ましく、20〜40℃の範囲が特
に好ましい。これは、20℃未満では反応の進行が遅く
なり、40℃を越えると上記した副生成物の環状および
鎖状オリゴシロキサンの生成量が増えるからである。ま
た、この反応は無溶媒で行うことができるが、シクロト
リシロキサンを溶解させて反応を均一系で行ったり、反
応系を希釈して反応速度を調節するために、反応には直
接関与しない有機溶媒を共存させてもよい。そのような
有機溶媒としては、例えば、ヘキサン,ヘプタン,アセ
トン,メチルエチルケトン,ベンゼン,トルエン,キシ
レンが挙げられる。
【0011】本発明の製造方法では、水またはシラノー
ル化合物を添加することにより、前記した副生成物の環
状および鎖状オリゴシロキサンの生成量を減らすことが
できる。シラノール化合物としては、各種の環状,鎖状
もしくは分岐状のモノシラノール化合物もしくはポリシ
ラノール化合物が有効であるが、このシラノール化合物
に由来する新たな副生成物の生成を防ぐために、低沸点
のα,ω−ジヒドロキシオルガノオリゴシロキサンが好
ましい。尚、水およびシラノール化合物の添加量が増え
るにしたがって、副生成物の環状および鎖状オリゴシロ
キサンの生成量を減らすことができるが、同時に、式:
R2HSi(OSiR2)3OH(式中、Rは前記と同じである。)で
示される新たな副生成物の生成量が増えるとともに反応
速度が著しく遅くなる。このため、水の添加量は、反応
混合物の全量に対して1%以下であることが好ましく、
また、シラノール化合物の添加量は、その水酸基当量数
を水を添加した場合に換算して、反応混合物の全量に対
して1%以下になるような量であることが好ましい。
【0012】本発明の製造方法では、水およびシラノー
ル化合物以外の極性溶媒を添加することにより、反応速
度を著しく向上させることができる。このような極性溶
媒としては、プロトン性溶媒として、メタノール,エタ
ノール,イソプロピルアルコールのようなアルコール
類;酢酸,プロピオン酸,アクリル酸のようなカルボン
酸類が例示され、非プロトン性溶媒として、ジエチルエ
ーテル,テトラヒドロフランのようなエーテル類;アセ
トン,メチルエチルケトンのようなケトン類;さらには
アセトニトリル,ジメチルホルムアミド,ジメチルスル
ホキシド,ヘキサメチルホスホリックトリアミドが例示
される。また、これらの極性溶媒を2種類以上併用する
こともできる。尚、このような極性溶媒を使用すること
により反応の選択性に影響を与える場合があるので注意
が必要である。例えば、アルコール類の使用により、前
記した副生成物の環状および鎖状オリゴシロキサンの生
成量は減るが、シラノール官能性副生成物および、この
シラノール官能性副生成物中のシラノール基がアルコー
ル中のアルコキシ基で置換された副生成物の生成量が増
える。また、カルボン酸の使用により、上記シラノール
官能性副生成物の生成量、環状および鎖状オリゴシロキ
サン副生成物の生成量がいずれも増える。また、アセト
ニトリルを使用すると、上記シラノール官能性副生成物
の生成量は変わらないが、環状および鎖状オリゴシロキ
サン副生成物の生成量が増える。極性溶媒の添加量は、
(A)成分のシクロトリシロキサンの種類、(B)成分
のジシロキサンの種類、(C)成分の酸性触媒の種類と
添加量、反応系中の水またはシラノール化合物の含有
率、使用する極性溶媒の種類などによって異なるが、例
えば、アセトニトリルの場合は反応混合物の全量に対し
て10重量%以下の添加であればよく、通常は1重量%
以下の添加で十分な促進効果が見られる。
【0013】さらに本発明の製造方法では、前記した副
反応の抑制剤である水またはシラノール化合物と、反応
促進剤である水およびシラノール化合物以外の極性溶媒
を併用することにより、環状および鎖状オリゴシロキサ
ン副生成物の生成量を減らすと同時に、反応時間を著し
く延長させることなく反応を完結させることが可能とな
る。これらの好ましい添加量は前記した通りであるが、
反応の選択性と反応速度のバランスをとるには両者の添
加率を調節して、反応が3時間〜10時間でほぼ完結す
るようにすれば良い。
【0014】本発明の製造方法において各成分の添加順
序については特に制限はないが、反応熱の制御、大量生
産の実施しやすさおよび反応の選択性等から、(B)成
分のジシロキサン、(C)成分の酸性触媒および必要に
応じて水またはシラノール化合物、極性溶媒を混合し、
必要に応じて加熱または冷却しながらこれに、(A)成
分のシクロトリシロキサンを有機溶媒に溶解した溶液を
滴下する方法、または、(A)成分のシクロトリシロキ
サン、(B)成分のジシロキサンおよび必要に応じて水
またはシラノール化合物、極性溶媒を混合し、必要に応
じて加熱または冷却しながらこれに、(C)成分の酸性
触媒を滴下する方法が好ましい。前者の方法は反応を徐
々に行えるという点では大量生産に適しているものの、
シクロトリシロキサンをあらかじめ有機溶媒に溶解して
おく必要があるという点では大量生産に不向きであり、
さらに溶媒を使用するために釜効率が低下する。一方、
後者の方法は反応速度の調節および反応系の冷却に十分
注意する必要はあるが、溶媒を使用しないために釜効率
がきわめて高い。尚、本発明でいう釜効率とは、原料の
総仕込み量に対する目的生成物の生成量の割合を指して
いる。また、本発明の製造方法では、反応の進行状況を
ガスクロマトグラフィー(以下、GLC)等でモニター
して、シクロトリシロキサンの転化率が100%に近く
なったところで、中和、水洗等によって反応系から酸を
除き、次いで蒸留等の従来公知の方法によって目的生成
物であるα,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロ
キサンを得ることができる。中和に使用される塩基とし
ては、有機アミン,アンモニア,ヘキサメチルジシラザ
ン等が好ましい。
【0015】以上のような本発明の製造方法は、上記
(A)成分のシクロトリシロキサンと(B)成分の1,
3−ジハイドロジェンジシロキサンとを、(C)成分の
酸性触媒を用いてカチオン的非平衡反応させることによ
り、α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサ
ンを高選択性,高収率で得ることができる。即ち、得ら
れた反応混合物中のα,ω−ジハイドロジェンオルガノ
ペンタシロキサンの含有率が、副生成物の主成分である
α,ω−ジハイドロジェンオルガノオクタシロキサンの
含有率の3倍以上であるという特徴を有する。さらにこ
の製造方法に、水またはシラノール化合物を添加するこ
とにより、上記非平衡反応の副反応で生成する一般式:
【化5】 (式中、R,nおよびmは前記と同じである。)で示さ
れる化合物の副生を著しく抑制することができ、また、
水およびシラノール化合物以外の極性溶媒を添加するこ
とにより、該非平衡反応を著しく促進することができ
る。その結果、これらの副反応抑制剤または反応促進剤
を添加すると、得られた反応混合物中のα,ω−ジハイ
ドロジェンオルガノペンタシロキサンの含有率は、副生
成物のα,ω−ジハイドロジェンオルガノオクタシロキ
サンの含有率の9倍以上となり、さらにこれらを併用す
ると25倍以上になるという利点を有する。またこの製
造方法は釜効率が高く、かつ、煩雑な操作が不要なの
で、工業的大量生産に好適であるという利点を有する。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
釜効率は下記の通り定義した。
【式1】
【0017】
【実施例1】窒素置換した攪拌装置付き4つ口フラスコ
に、ヘキサメチルシクロトリシロキサン20グラム(9
0ミリモル),1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン13.3グラム(99ミリモル)、GLCの内部標準
としてトルエン2グラムを投入した。これを室温で攪拌
したところ、反応溶液の温度は19℃まで低下した。次
いでトルフルオロメタンスルホン酸1.5マイクロリッ
トルを添加したところ、反応溶液の温度は31℃まで上
昇した。この反応溶液を室温で攪拌しながら、定期的に
GLCで反応の進行をモニターしたところ、45分間経
過後にヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が9
9.1%に達し、反応がほぼ完結していることが判っ
た。GLCにて観測された各種ピークをガスクロマトグ
ラフィー−質量分析計(以下、GC−MS)にて分析し
て、反応主生成物の収率をGLCにて定量したところ、
得られた反応主生成物は、1,1,3,3,5,5,7,7,
9,9−デカメチルペンタシロキサン(I)であり、その
収率は60.2%であることが判明した(標品との比較
による補正済み収率)。これより、釜効率は55%であ
った。また、副生成物の構造はこの反応主生成物がさら
にヘキサメチルシクロトリシロキサンと反応してなる下
記構造式の化合物(II),(III)であることが判明し
た。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)6OSi(CH3)2H (II) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)9OSi(CH3)2H (III) また、反応主生成物と副生成物とのGLCピーク面積比
は、以下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=3.3 [主生成物(I)]/[二量化物(III)]=13.2
【0018】
【実施例2】実施例1において、トリフルオロメタンス
ルホン酸を添加する前に水16マイクロリットルを添加
した以外は、実施例1と同様にして反応させた。これを
室温で25時間攪拌してからGLCで分析したところ、
ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が85.8
%であることが判った。また、実施例1ではほとんど観
測されなかったピークが、反応主生成物のピークより少
しはやい保持時間に観測されたので、GC−MSにて分
析したところ、下記構造式(IV)で示される副生成物で
あることが判明した。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OH (IV) 得られた反応主生成物の収率をGLCにて定量したとこ
ろ、この反応主生成物は、1,1,3,3,5,5,7,7,
9,9−デカメチルペンタシロキサン(I)であり、その
収率は75.8%であることが判明した(標品との比較
による補正済み収率)。これより、釜効率は69%であ
った。また、反応主生成物と副生成物とのGLCピーク
面積比は、以下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=9.5 [主生成物(I)]/[副生成物(III)]=133.3 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)]=367
【0019】
【実施例3】実施例1において、トリフルオロメタンス
ルホン酸を添加する前に水24マイクロリットルとアセ
トニトリル0.9グラムを添加した以外は、実施例1と
同様にして反応させた。これを室温で9時間攪拌してか
らGLCで分析したところ、ヘキサメチルシクロトリシ
ロキサンの転化率が94.9%であることが判った。得
られた反応主生成物の収率をGLCにて定量したとこ
ろ、この反応主生成物は、1,1,3,3,5,5,7,7,
9,9−デカメチルペンタシロキサン(I)であり、その
収率は93.2%であることが判明した(標品との比較
による補正済み収率)。これより、釜効率は81%であ
った。また、反応主生成物と副生成物とのGLCピーク
面積比は、以下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=37.6 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)]=129.7
【0020】
【実施例4】窒素置換した撹拌装置付き4つ口フラスコ
に、ヘキサメチルシクロトリシロキサン415.7グラ
ム(1.87モル),1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン275.6グラム(2.1モル),GLCの内
部標準としてトルエン41.6グラム,水0.5グラ
ム,アセトニトリル18.7グラムおよびトリフルオロ
メタンスルホン酸31.2マイクロリットルを投入した
(ヘキサメチルシクロトリシロキサンに対する1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサンのモル比は1.1で
あった。)。これを室温で撹拌して反応させ、9時間経
過後にヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が9
6.9%になったところで、アンモニア水0.06グラ
ムを投入して反応を停止させた。この反応混合物を核磁
気共鳴分析(以下、NMR)、赤外吸光分析(以下、I
R)およびGLC分析したところ、反応主生成物が1,
1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキ
サン(I)であり、副生成物が下記構造式の化合物であ
ることが判明した。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)6OSi(CH3)2H (II) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OH (IV) また、反応主生成物と副生成物とのGLCピーク面積比
は、以下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=30.7 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)]=84.0 さらにこの反応混合物から低沸点物を加熱減圧留去して
除去した後、残留物を減圧蒸留して、79〜85℃/5
mmHgの留分583.9グラムを得た。NMR,IR
およびGLC分析の結果、この留分中の1,1,3,3,
5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサンの純
度は99.0%であり、その単離収率は87%であっ
た。これより、釜効率は78%であった。
【0021】
【実施例5】実施例1において、トリフルオロメタンス
ルホン酸を添加する前に、平均組成式:H(OSi(CH3)2)4O
Hで示されるα,ω−ジヒドロキシジメチルオリゴシロキ
サン0.43グラムとアセトニトリル0.9グラムを添
加した以外は、実施例1と同様にして反応させた。これ
を室温で7時間攪拌してからGLCで分析したところ、
ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が89.6
%であることが判った。得られた反応主生成物の収率を
GLCにて定量したところ、この反応主生成物は、1,
1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキ
サン(I)であり、その収率は89.2%であることが
判明した(標品との比較による補正済み収率)。これよ
り、釜効率は78%であった。また、反応主生成物と副
生成物とのGLCピーク面積比は、以下の通りであっ
た。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=25.3 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)]=148.4
【0022】
【実施例6】実施例1において、トリフルオロメタンス
ルホン酸を添加する前に、水16マイクロリットルとメ
タノール0.32グラムを添加した以外は、実施例1と
同様にして反応させた。これを室温で17.5時間攪拌
してからGLCで分析したところ、ヘキサメチルシクロ
トリシロキサンの転化率が87.0%であることが判っ
た。また、実施例1ではほとんど観測されなかったピー
クが、反応主生成物のピークより少しはやい保持時間に
観測されたので、GC−MSにて分析したところ、下記
構造式(IV)および(V)で示される副生成物の混合物
であることが判明した。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OH (IV) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OCH3 (V) 得られた反応主生成物の収率をGLCにて定量したとこ
ろ、この反応主生成物は、1,1,3,3,5,5,7,7,
9,9−デカメチルペンタシロキサン(I)であり、その
収率は85%であることが判明した(標品との比較によ
る補正済み収率)。これより、釜効率は77%であっ
た。また、反応主生成物と副生成物とのGLCピーク面
積比は、以下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=83.1 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)+副生成物
(V)]=21.8
【0023】
【実施例7】窒素置換した攪拌装置付き4つ口フラスコ
に、ヘキサメチルシクロトリシロキサン20グラム(9
0ミリモル),1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン13.3グラム(99ミリモル),GLCの内部標準
としてトルエン2グラム,トリフルオロメタンスルホン
酸1.5マイクロリットルおよび水16マイクロリット
ルを投入した。これを室温で攪拌しながら酢酸5.4グ
ラムを滴下してそのまま室温で1時間攪拌した後、GL
Cで分析したところ、ヘキサメチルシクロトリシロキサ
ンの転化率が98.8%であることが判った。反応主生
成物の収率をGLCにて定量したところ、この反応主生
成物は、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチル
ペンタシロキサン(I)であり、その収率は91.2%
であることが判明した(標品との比較による補正済み収
率)。これより、釜効率は72%であった。また、副生
成物は下記構造式で示される化合物であった。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)6OSi(CH3)2H (II) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OH (IV) 反応主生成物と副生成物とのGLCピーク面積比は、以
下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=18.2 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)]=55.5
【0024】
【実施例8】窒素置換した攪拌装置付き4つ口フラスコ
に、ヘキサメチルシクロトリシロキサン20グラム(9
0ミリモル),1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン13.3グラム(99ミリモル),GLCの内部標準
としてトルエン2グラム,トリフルオロメタンスルホン
酸1.5マイクロリットル,メタノール2.9グラムお
よび水16マイクロリットルを投入した。これを室温で
攪拌しながらぎ酸4.1グラムを滴下したところ、反応
溶液の温度は21℃から29℃まで上昇した。そのまま
室温で3時間攪拌してからGLCで分析したところ、ヘ
キサメチルシクロトリシロキサンの転化率が98.2%
であることが判った。得られた反応主生成物の収率をG
LCにて定量したところ、この反応主生成物は、1,1,
3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサ
ン(I)であり、その収率は91.6%であることが判
明した(標品との比較による補正済み収率)。これよ
り、釜効率は69%であった。また、副生成物は下記構
造式で示される化合物であった。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)6OSi(CH3)2H (II) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OH (IV) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OCH3 (V) 反応主生成物と副生成物とのGLCピーク面積比は、以
下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=1051 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)+副生成物
(V)]=19.8
【0025】
【実施例9】窒素置換した攪拌装置付き4つ口フラスコ
に、ヘキサメチルシクロトリシロキサン20グラム(9
0ミリモル),1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン13.3グラム(99ミリモル),GLCの内部標準
としてトルエン2グラム,トリフルオロメタンスルホン
酸1.5マイクロリットル,エタノール2.0グラムお
よび水16マイクロリットルを投入した。これを室温で
攪拌しながらぎ酸2.0グラムを滴下したところ、反応
溶液の温度は21℃から26℃まで上昇した。そのまま
室温で3時間攪拌してからGLCで分析したところ、ヘ
キサメチルシクロトリシロキサンの転化率が98.4%
であることが判った。得られた反応主生成物の収率をG
LCにて定量したところ、この反応主生成物は、1,1,
3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサ
ン(I)であり、その収率は96.4%であることが判
明した(標品との比較による補正済み収率)。これよ
り、釜効率は78%であった。また、副生成物は下記構
造式で示される化合物であった。 H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)6OSi(CH3)2H (II) H(CH3)2Si(OSi(CH3)2)3OH (IV) 反応主生成物と副生成物とのGLCピーク面積比は、以
下の通りであった。 [主生成物(I)]/[副生成物(II)]=569 [主生成物(I)]/[副生成物(IV)]=23.5
【0026】
【比較例1】窒素置換した攪拌装置付き4つ口フラスコ
に、ヘキサメチルシクロトリシロキサン100グラム
(0.45モル),ヘキサン100グラム,水81グラ
ムおよびシリカゲル(メルク社製、商品名:キーゼルゲ
ル60、250〜400メッシュ)5.0グラムを投入
した。これらを攪拌しながらジメチルクロロシラン12
7.7グラム(1.35モル)(ヘキサメチルシクロト
リシロキサンに対するモル比は3.0であった。)を3
0分かけて滴下した。滴下終了後、フラスコを室温に戻
して攪拌を続けた。1時間後攪拌を停止して、キーゼル
ゲルをろ別した。ろ液から過剰のジメチルクロロシラン
およびヘキサンを留去して得られた残留物を200ミリ
リットルの水で2回水洗した後、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液200ミリリットルで中和し、さらに200ミ
リリットルの水で2回水洗した。これを静置、分液して
得られた有機層にトルエンを加えて共沸脱水した後、減
圧蒸留により79〜85℃/5mmHgの留分137.
3グラムを得た。NMR、IRおよびGLC分析の結
果、この留分は、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デ
カメチルペンタシロキサンが主成分であることが判っ
た。またこの単離収率は85.5%であった。これよ
り、釜効率は33%であった。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法は、上記(A)シクロ
トリシロキサンと(B)1,3−ジハイドロジェンジシ
ロキサンとを(C)酸性触媒存在下で非平衡的に反応さ
せることにより、α,ω−ジハイドロジェンオルガノペ
ンタシロキサンを高選択的、高収率で生産性良く製造す
ることができるという特徴を有する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式: 【化1】 (式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲン化炭化水素基ま
    たは水素原子である。ただし、全てのRが同時に水素原
    子であることはない。)で示されるシクロトリシロキサ
    ンと、(B)一般式:R2HSiOSiHR2(式中、Rは一価炭
    化水素基,ハロゲン化炭化水素基または水素原子であ
    る。ただし、全てのRが同時に水素原子であることはな
    い。)で示されるジシロキサンとを、(C)酸性触媒存
    在下で反応させ、生成した反応混合物中の一般式:R2HS
    i(OSiR2)3OSiHR2(式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲ
    ン化炭化水素基または水素原子である。ただし、全ての
    Rが同時に水素原子であることはない。)で示される
    α,ω−ジハイドロジェンオルガノペンタシロキサンの
    含有率が、副生成物である一般式:R2HSi(OSiR2)6OSiHR
    2(式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲン化炭化水素基
    または水素原子である。ただし、全てのRが同時に水素
    原子であることはない。)で示されるα,ω−ジハイド
    ロジェンオルガノオクタシロキサンの含有率の3倍以上
    であることを特徴とする、一般式:R2HSi(OSiR2)3OSiHR
    2(式中、Rは一価炭化水素基,ハロゲン化炭化水素基
    または水素原子である。ただし、全てのRが同時に水素
    原子であることはない。)で示されるα,ω−ジハイド
    ロジェンオルガノペンタシロキサンの製造方法。
  2. 【請求項2】 副反応の抑制剤として、水またはシラノ
    ール化合物を添加することを特徴とする請求項1に記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応促進剤として、水およびシラノール
    化合物以外の極性溶媒を添加することを特徴とする請求
    項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 副反応の抑制剤である水またはシラノー
    ル化合物と、反応促進剤である水およびシラノール化合
    物以外の極性溶媒とを併用することを特徴とする請求項
    1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸性触媒として、パーフルオロアルカン
    スルホン酸を使用することを特徴とする請求項1に記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 全てのRがメチル基であることを特徴と
    する請求項1に記載の製造方法。
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