JPH11153021A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JPH11153021A
JPH11153021A JP9300305A JP30030597A JPH11153021A JP H11153021 A JPH11153021 A JP H11153021A JP 9300305 A JP9300305 A JP 9300305A JP 30030597 A JP30030597 A JP 30030597A JP H11153021 A JPH11153021 A JP H11153021A
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upstream
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exhaust gas
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気管に直列に配置した複数個の全てのNO
x触媒に後噴射燃料(HC)を供給できるようにする。 【解決手段】 排気管18に2個のNOx触媒19,2
0を直列に設置し、両NOx触媒19,20の間に排気
温度センサ21を設置する。ECU22は、ディーゼル
エンジン10の運転状態に応じて、パイロット噴射、主
噴射、後噴射の噴射量と噴射時期を演算すると共に、排
気温度センサ21で検出した上流側NOx触媒19の温
度(上流側触媒温度)が高いほど後噴射時期を遅角補正
する。後噴射時期の補正により、後噴射時のシリンダ内
の温度が変化して後噴射燃料の改質度合が変化するた
め、上流側触媒温度に応じて後噴射時期を補正して後噴
射燃料の改質度合を調整することで、上流側NOx触媒
19で反応するHC量を制御し、後噴射により供給した
HCを下流側NOx触媒20まで到達させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気中
に含まれる窒素酸化物(以下「NOx」と表記する)を
複数の触媒で浄化する内燃機関の排気浄化装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特開平4−214919号公報に
示すように、排気の浄化効率を高めるために、内燃機関
の排気管に複数個の触媒を直列に配置することが提案さ
れている。また、ディーゼルエンジン等の酸素過剰雰囲
気の排気中でNOxを浄化するためには、触媒にNOx
の還元剤として燃料等の炭化水素(以下「HC」と表記
する)を供給する必要がある。
【0003】図2に示すように、触媒におけるHCの反
応量は触媒温度の上昇とともに上昇し(図2のB)、触
媒温度が高いと、HCの反応量がほぼ100%となる
(図2のC)。従って、直列に配置した触媒の最上流か
らHCを供給する場合には、上流側に配置された触媒の
温度が高いと、供給したHCのほぼ全量が上流側の触媒
で反応してしまい、下流側の触媒にはHCを供給できな
い。このため、下流側の触媒ではNOxを浄化すること
ができず、高いNOx浄化率が得られないという問題が
ある。
【0004】この問題を解決するために、特開平4−2
14919号公報では、直列に設置した複数個の触媒の
それぞれの上流に複数個のHC供給装置を設け、それぞ
れの触媒に対して別々にHCを供給するようにしてい
る。これにより、複数個の全ての触媒にHCを供給する
ことで、高いNOx浄化率が得られるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報の構
成では、複数の触媒のそれぞれにHC供給装置が1つず
つ必要になることから構成が複雑になり、コストが高く
なるばかりか、装置が大型化して、車載が事実上、困難
になるという問題がある。
【0006】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、簡素な構成で複数個
の全ての触媒にHCを供給することを可能とし、高効率
でNOxを浄化できる内燃機関の排気浄化装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の内燃機関の排気浄化装置によれ
ば、排気通路に複数の触媒を直列に設置し、燃料噴射制
御手段は、各気筒の燃料噴射手段に対し圧縮上死点近傍
で機関出力発生のための主噴射指令を出力すると共に、
少なくとも1つの気筒の燃料噴射手段に対し機関の膨張
行程又は排気行程において前記触媒にHCを供給するた
めの後噴射指令を出力する。この際、複数の触媒の中で
最下流の触媒よりも上流側に配置された触媒(以下「上
流側触媒」という)の活性状態を上流側触媒活性状態判
定手段により判定し、その上流側触媒の活性状態に応じ
て後噴射時期を後噴射時期補正手段により補正する。こ
れにより、上流側触媒で反応するHC量を制御して、後
噴射により供給したHCを下流側触媒まで到達させるよ
うにする。
【0008】ここで、後噴射時期の補正により上流側触
媒で反応するHC量を制御できる理由を説明する。後噴
射する燃料(軽油)は、高沸点HCであるが、これがシ
リンダ内の燃焼熱により改質(熱分解)されて低沸点H
Cに変化し、この低沸点HCの割合が高くなるほど(つ
まり改質度合が高くなるほど)、触媒上で反応しやすく
なる。図3に示すように、後噴射燃料(HC)の改質度
合は後噴射時のシリンダ内の温度によって変化し、後噴
射時のシリンダ内の温度は後噴射時期によって変化する
ため、後噴射時期を変えれば、後噴射燃料(HC)の改
質度合を変えることができる。
【0009】このように、後噴射燃料の改質度合の変化
によりHCの反応性が変わるため、上流側触媒で反応す
るHC量を制御することが可能となる。このため、上流
側触媒の活性状態に応じて後噴射時期を補正すること
で、下流側触媒にもHCを行き渡らせることができ、複
数の触媒を全て有効に使用してNOxを効率良く浄化す
ることができ、高いNOx浄化率を得ることができる。
しかも、後噴射により複数の触媒にHCを供給するた
め、前記公知例のように触媒の個数と同数のHC供給装
置を設ける必要がなく、装置の構成を簡素化できて、装
置を小型化・低コスト化することができ、車載が容易で
ある。
【0010】この場合、請求項2のように、上流側触媒
活性状態判定手段で判定した上流側触媒の活性状態が低
いほど、後噴射時期を進角補正し、上流側触媒の活性状
態が高いほど、後噴射時期を遅角補正するように構成す
ると良い。すなわち、上流側触媒の温度が高く活性状態
が高い場合(図2のC)には、後噴射時期を遅角補正す
ると、後噴射時のシリンダ内の温度が低くなるため、H
Cの改質度合が小さく(炭素数が大きく)なり、高沸点
HCの割合が多いHCを触媒上流から供給できる。高沸
点HCは反応性が低く、高い温度でもあまり反応しない
ため、上流側触媒の温度が高く活性状態が高くても、そ
こでのHC反応量を抑制することが可能となり、下流触
媒にもHCを行き渡らせることができる。
【0011】一方、上流側触媒の温度が低く活性状態が
低い場合(図2のA及びBの低温側)には、後噴射時期
を進角補正すると、後噴射時のシリンダ内の温度が高く
なるため、HCの改質度が大きく(炭素数が小さく)な
り、低沸点HCの割合が多いHCを触媒上流から供給で
きる。低沸点HCは反応性が高く、比較的低い温度でも
反応するため、上流側触媒の温度が低く活性状態が低く
ても、NOxを浄化することが可能となる。また、低温
時(図2のA及びBの低温側)には触媒におけるHCの
浄化率が比較的低いため、上流側触媒で反応しなかった
HCが下流側触媒に供給される。これにより、複数個の
触媒を全て有効に使用してNOxを効率良く浄化するこ
とができ、高いNOx浄化率を得ることができる。
【0012】また、請求項3では、排気通路に直列に配
設された複数の触媒の間に、主排気通路と、HC吸着材
を有するバイパス排気通路を並列に設けると共に、この
並列通路よりも上流側に配置された触媒の活性状態を上
流側触媒活性状態判定手段により判定して、その判定結
果に応じて両排気通路を排気通路切換手段により切り換
えるようにしても良い。このようにすれば、上流側触媒
の活性状態が高く、後噴射したHCが上流側触媒で全量
反応してしまう場合でも、排気の流れを、HC吸着材を
有するバイパス排気通路に切り換えることで、それまで
にHC吸着材に吸着させておいたHCを脱離させて下流
側の触媒に供給することができる。従って、上流側触媒
の活性状態が高くなっても、下流側の触媒にHCを供給
することができ、全ての触媒を有効に使うことができ
て、高いNOx浄化率を得ることができる。
【0013】この場合、請求項4のように、上流側触媒
の活性状態がNOx浄化率の高い所定範囲内(図2の
B)であるか否かによって排気通路切換手段を切り換え
るようにしても良い。例えば、上流側触媒の活性状態が
所定範囲よりも低い場合(図2のA)には、HCの浄化
率が低いため、供給したHCが未反応のまま上流側触媒
を通過してしまう。そこで、この状態では、排気をバイ
パス排気通路側へ流し、通過したHCをHC吸着材で吸
着するようにする。つまり、上流側触媒の活性状態が所
定範囲よりも低い場合には、下流側触媒の活性状態も所
定範囲よりも低いと推定し、上流側触媒を通過した排気
中のHCをバイパス排気通路内のHC吸着材で吸着する
ことで、その後のNOxの浄化のためにHCを蓄えるも
のである。これにより、後噴射量を低減できると共に、
HCが下流側触媒をすり抜けて大気中に排出されること
を防止でき、大気中へのHC排出量を大幅に低減するこ
とができる。
【0014】また、上流側触媒の活性状態が所定範囲内
(図2のB)にある場合には、供給したHCの一部が未
反応のまま上流側触媒を通過するが、排気温度が比較的
高いため、下流側触媒の温度も高くなり、下流側触媒で
もNOxを浄化可能となる。そこで、この状態では、排
気の流れを主排気通路側に切り換えて、上流側触媒を通
過したHCを主排気通路を通して下流側触媒へ供給する
ことで、下流側触媒でもNOxを浄化することができ
る。
【0015】また、上流側触媒の活性状態が所定範囲よ
りも高い場合(図2のC)には、上流側触媒におけるH
C浄化率がほぼ100%となるため、後噴射により供給
したHCは、全て上流側触媒で反応してしまい、下流側
触媒には供給されない。そこで、この状態では、高温の
排気をバイパス排気通路側へ流して、HC吸着材の温度
を上昇させることで、それまでにHC吸着材に吸着させ
ておいたHCを脱離させて下流側触媒へ供給し、下流側
触媒でNOxを浄化する。
【0016】このように、上流側触媒の活性状態が所定
範囲内(図2のB)であるか否かによって排気通路を切
り換えるようにすれば、上流側触媒の活性状態が変化し
ても下流側触媒へHCを確実に供給することができ、全
ての触媒を有効に使用して、高いNOx浄化率を得るこ
とができる。
【0017】また、請求項5のように、上流側触媒の活
性状態に加え、下流側触媒の活性状態を判定し、両者を
もとに排気通路切換手段を次のように切り換えるように
しても良い。
【0018】(1)上流側触媒の活性状態が所定範囲よ
りも低い場合(図2のA) この場合には、上流側触媒で未反応のHCが上流側触媒
を通過する。その際、下流側触媒の活性状態が所定範囲
内(図2のB)にあり、下流側触媒において高いNOx
浄化率が得られる場合には、排気を主排気通路へ流し、
HCを直接下流側触媒へ供給してNOxを浄化させる。
一方、下流側触媒の活性状態が所定範囲内になく(図2
のAとC)、下流側触媒において高いNOx浄化率が得
られない場合には、下流側触媒でHCを有効に利用でき
ないため、排気をバイパス排気通路へ流し、排気中のH
CをHC吸着材に吸着させる。
【0019】(2)上流側触媒の活性状態が所定範囲内
にある場合(図2のB) この場合には、供給したHCの多くが上流側触媒で反応
するため、下流側触媒の活性状態が所定範囲内(図2の
B)にあっても、下流側触媒では、HCが不足してNO
x浄化率が低下する。そこで、この場合には、排気をバ
イパス排気通路へ流す。これにより、HC吸着材に比較
的高温の排気が通過するため、それまでにHC吸着材に
吸着させておいたHCが脱離し、下流側触媒へと供給さ
れるため、下流側触媒にも十分な量のHCが供給されて
NOxが浄化される。一方、下流側触媒の活性状態が所
定範囲内になく(図2のAとC)、下流側触媒において
高いNOx浄化率が得られない場合には、下流側触媒で
は、HCを有効に利用できないため、排気を主排気通路
へ流すことで、バイパス排気通路内のHC吸着材からの
HCの脱離を防ぐ。
【0020】(3)上流側触媒の活性状態が所定範囲よ
りも高い場合(図2のC) この場合には、供給したHCのほぼ全てが上流側触媒で
反応するため、上流側触媒の活性状態が所定範囲内にあ
る場合と同様に、下流側触媒の活性状態が所定範囲内で
あるか否かによって排気通路を切り換える。
【0021】以上のように、上流側触媒の活性状態と下
流側触媒の活性状態に応じて排気通路を切り換えること
で、後噴射により供給したHCを複数の触媒それぞれに
おいて極めて効率良く利用でき、NOx浄化率を高める
ことができる。
【0022】ところで、主排気通路に排気を流す時間が
長くなると、バイパス排気通路内のHC吸着材の温度が
放熱のために低下する。この状態で、排気の流れを主排
気通路からバイパス排気通路側へ急に切り換えると、冷
えたHC吸着材を排気が通過するため、排気温度が下が
る。そのため、下流側触媒の温度が低下して、NOx浄
化率が低下する場合がある。
【0023】この対策として、請求項6のように、排気
の流れを主排気通路からバイパス排気通路に切り換える
際に、暫くの期間は、排気通路切換手段をバイパス排気
通路側と主排気通路側とに交互に切り換える動作を繰り
返すようにしても良い。このようにすれば、排気の流れ
を主排気通路からバイパス排気通路に切り換える際に、
暫くの期間は、高温の排気が間欠的に主排気通路を通っ
て下流側触媒に供給されるため、下流側触媒の急激な温
度低下を防ぐことができ、排気通路切換直後から下流側
触媒でも高い浄化率でNOxを浄化することができる。
【0024】この場合、請求項7のように、排気の流れ
を主排気通路からバイパス排気通路に切り換える際に、
上流側触媒の活性状態の変化速度に応じて排気通路切換
手段の切換周波数と切換間隔の時間比率の少なくとも一
方を変化させるようにしても良い。すなわち、上流側触
媒の活性状態の変化が緩やかな時ほど(つまり排気温度
の変化が緩やかな時ほど)、排気の流れを主排気通路か
らバイパス排気通路に急激に切り換えると、下流側触媒
に流入する排気の温度低下によるNOx浄化率の低下が
大きくなりやすい。この場合には、排気通路切換手段の
切換周波数を大きくして、バイパス排気通路側から下流
側触媒に低温の排気を供給する時間間隔を短くしたり、
或は、主排気通路側を流す排気の割合を多くするように
切換間隔の時間比率を変更すれば、下流側触媒に流入す
る排気の温度低下を抑えることができて、下流側触媒の
NOx浄化率の低下をより確実に防ぐことができる。
【0025】また、請求項8のように、直列に設置した
複数の触媒にそれぞれHC吸着材を設け、そのHC吸着
能力を下流側のHC吸着材ほど大きくしても良い。すな
わち、触媒高活性時に、直列に設置した触媒のうち上流
側の触媒には、主に後噴射によりHCを供給し、一方、
下流側の触媒には、主にHC吸着手段にて予め吸着して
いたHCを脱離させることでHCを供給する。これによ
り、触媒高活性時に後噴射により供給したHCが上流側
の触媒で消費されて下流側の触媒へ到達しにくいという
事情があっても、HC吸着手段からHCを脱離させて下
流側の触媒にHCを供給することができるため、触媒高
活性時に下流側触媒においてHCが不足してNOxを浄
化できなくなることを防止することができ、浄化率向上
に極めて有効である。
【0026】この場合、上流側のHC吸着手段のHC吸
着能力を大きくすると、後噴射で供給したHCの多くが
上流側のHC吸着手段で吸着されてしまい、下流側のH
C吸着手段へ到達するHCが少なくなってしまう。そこ
で、請求項8では、HC吸着手段のHC吸着能力が上流
側のものより下流側のものの方が大きくなるように構成
することで、後噴射で供給したHCを下流側にも十分に
行き渡らせて、上流側、下流側の双方のHC吸着手段に
十分な量のHCを吸着させる。その後、触媒の活性状態
が高くなった時に、各HC吸着手段からHCが脱離して
下流側の触媒にも供給されるため、下流側の触媒も、上
流側の触媒と同じように有効に使用してNOxを浄化す
ることができ、NOx浄化率を大きく向上することがで
きる。
【0027】更に、請求項9のように、複数の触媒の中
で最下流の触媒よりも上流側に設置された触媒(以下
「上流側触媒」という)の活性状態を上流側触媒活性状
態判定手段により判定し、上流側触媒の活性状態が低く
上流側触媒におけるNOx浄化率が低い場合には後噴射
指令を所定期間だけ出力するようにしても良い。すなわ
ち、上流側触媒の活性状態が低くNOx浄化率が低い場
合には、上流側触媒及び下流側触媒のHC吸着手段にH
Cを吸着させて、その後の触媒高活性時に各HC吸着手
段からHCを脱離させてNOx浄化率を向上することを
狙う。但し、HC吸着手段のHC吸着量は有限であるた
め、過剰のHC供給はNOx浄化率向上につながらず、
燃費悪化を招いてしまう。そこで、所定期間だけ後噴射
を実施して有効なHC量を吸着した後は後噴射を中止す
ることで、後噴射による燃料消費を必要最小限に抑え
て、低燃費の要求を満たす。
【0028】
【発明の実施の形態】[実施形態(1)]以下、本発明
をディーゼルエンジンに適用した実施形態(1)を図1
乃至図8に基づいて説明する。
【0029】まず、図1に基づいてエンジン制御システ
ム全体の構成を説明する。内燃機関であるディーゼルエ
ンジン10の各気筒には、吸気管11を通して吸入され
る吸入空気が吸気マニホールド13を通して吸入され
る。ディーゼルエンジン10の各気筒には、電磁弁式の
燃料噴射弁14(燃料噴射手段)が取り付けられ、各燃
料噴射弁14には、高圧燃料ポンプ15から高圧に蓄圧
された燃料がコモンレール16を通して分配される。こ
のコモンレール16には、燃料噴射弁14に分配する燃
料の圧力(コモンレール燃圧)を検出する燃圧センサ1
2が取り付けられている。
【0030】燃料噴射弁14は、図4に示すように、圧
縮上死点近傍でエンジン出力発生のための主噴射を行う
と共に、この主噴射に先立ち、パイロット噴射を行って
少量の燃料を噴射し、この燃料が着火状態になったとこ
ろで、主噴射を行うことで、燃焼初期の予混合燃焼を減
少させてNOx排出量を低減させる。更に、少なくとも
1つの気筒の燃料噴射弁14は、膨張行程又は排気行程
において後述するNOx触媒20,21にHCを供給す
るための後噴射を実行する。
【0031】ディーゼルエンジン10の各気筒から排出
される排気ガスは、排気マニホールド17を通して1本
の排気管18(排気通路)に排出され、この排気管18
の途中には、2個のNOx触媒19,20が直列に配設
されている。各NOx触媒19,20は、セラミックや
金属等の担体の表面に、酸素過剰雰囲気中でも還元剤
(HC)の存在下でNOxを還元浄化可能な触媒成分
(例えばCuーゼオライトやPt−ゼオライト等)を担
持したものである。
【0032】この場合、担持されたゼオライトは低温時
(例えば200℃以下)に排気中のHCを吸着し、高温
時(例えば200℃以上)に吸着したHCを脱離する炭
化水素吸着手段の役割を果たし、ゼオライト量が多いほ
どHC吸着能力が大きくなる。本実施形態(1)では、
上流側のNOx触媒19と比較して下流側のNOx触媒
20のゼオライトの量を増やして(例えば1.5倍)担
持する。
【0033】このNOx触媒19,20のNOx浄化特
性は、図2に示すように、所定温度範囲BにおいてNO
x浄化率が高く、これ以外の温度範囲A,CではNOx
浄化率が極端に低下する。また、NOx触媒19,20
のHC浄化特性は、低温領域Aでは、HCはほとんど反
応せずに通り抜ける。更に、NOx浄化率が高くなる所
定温度範囲Bでは、温度が高くなるほどHC浄化率が高
くなり、高温領域Cでは、HC浄化率がほぼ100%と
なる。
【0034】2個のNOx触媒19,20の間には排気
温度センサ21が設置されている。この排気温度センサ
21は、上流側NOx触媒19の流出ガス温度を検出す
ることで、上流側NOx触媒19の活性状態(触媒温
度)を判定する上流側触媒活性状態判定手段としての役
割を果たす。
【0035】この排気温度センサ21の出力信号は、エ
ンジン電子制御回路(以下「ECU」と表記する)22
に入力される。このECU22は、エンジン回転数セン
サ23やアクセルセンサ24等の出力信号を読み込んで
ディーゼルエンジン10の運転状態を検出し、パイロッ
ト噴射、主噴射、後噴射の噴射量と噴射時期を演算し、
特許請求の範囲でいう燃料噴射制御手段としての役割を
果たすと共に、排気温度センサ21で検出した排気温
度、すなわち上流側NOx触媒19の温度(以下「上流
側触媒温度」という)に応じて後噴射時期を補正する。
【0036】この場合、上流側触媒温度が低い場合(図
2のA)には、所定期間だけ後噴射を行う。すなわち、
温度が高いシリンダ内へ燃料を後噴射して十分にガス化
したHCをNOx触媒19,20へ供給する。このHC
は、活性が低い上流側NOx触媒19ではほとんど反応
せず、その一部が上流側NOx触媒19のHC吸着手段
(ゼオライト)に吸着されるが、ガス化しているためそ
の吸着量は少なく、多くが下流側NOx触媒20のHC
吸着手段へ到達する。下流側NOx触媒20のHC吸着
手段はHC吸着能力が大きいため、到達したHCの大部
分がそこで吸着される。こうして下流側NOx触媒20
のHC吸着手段に吸着されたHCは、その後の触媒活性
時に脱離して下流側NOx触媒20へと供給されてNO
x浄化に有効に使われる。その際にHC吸着手段におけ
るHC吸着量には上限があり、また長時間にわたる多量
の後噴射は燃費悪化につながるため、これを回避すべ
く、所定期間経過したら後噴射を中止する。
【0037】一方、上流側触媒温度が比較的高い場合
(図2のB、C)には、上流側触媒温度が低いほど、後
噴射時期を遅角補正する。すなわち、上流側触媒温度が
高い場合には、供給したHCのほぼ全量が上流側NOx
触媒19で反応するため、下流側NOx触媒20にはH
Cが行き渡らず、下流側NOx触媒20ではNOxを浄
化できなくなってしまう。
【0038】これを防ぐために、上流側触媒温度が高い
場合には、後噴射時期を遅角して、後噴射時のシリンダ
内の温度を低くし、それによってHCの改質度合を低下
させて、高沸点HCの割合が多いHCを両NOx触媒1
9,20に供給する。高沸点HCは反応性が低く、高い
温度でもあまり反応しないため、上流側触媒温度が高く
活性状態が高くても、上流側NOx触媒19でのHC反
応量を抑制することが可能となり、下流側NOx触媒2
0にもHCを供給することができる。
【0039】一方、上流側触媒温度が比較的低い場合
(図2のB、特に低温側)には、後噴射時期を進角し
て、後噴射時のシリンダ内の温度を高くし、それによっ
てHCの改質度合を大きくして、低沸点HCの割合が多
いHCを両NOx触媒19,20に供給する。低沸点H
Cは反応性が高く、比較的低い温度でも反応するため、
上流側触媒温度が低く活性状態が低くても、NOxを浄
化することが可能となる。また、低温時(図2のB、特
に低温側)ではHC浄化率が比較的低いため、上流側N
Ox触媒19で反応しなかったHCが下流側NOx触媒
20へ供給される。これにより、上流側と下流側の2つ
のNOx触媒19,20を有効に使用してNOxを効率
良く浄化することができ、高いNOx浄化率を得ること
ができる。
【0040】以上説明したNOx浄化制御は、図5に示
す後噴射時期補正プログラムにより実行される。本プロ
グラムは、ECU22にて所定時間毎(例えば1秒毎)
に実行され、特許請求の範囲でいう後噴射時期補正手段
としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、
まず、ステップ101において、排気温度センサ21の
出力信号を読み込む。この場合、排気温度センサ21は
上流側NOx触媒19の下流に設けられているため、排
気温度センサ21で検出する温度は、上流側NOx触媒
19の流出ガス温度であり、ひいては上流側NOx触媒
19の活性状態を表す上流側触媒温度Tである。
【0041】次のステップ102で、この上流側触媒温
度Tが含まれる領域が図2のA、B、Cのいずれに該当
するか判定する。例えば、上流側触媒温度Tが200℃
以下ならばAと判定し、上流側触媒温度Tが200〜3
00℃ならばBと判定し、上流側触媒温度Tが300℃
以上ならばCと判定する。
【0042】そして、上記ステップ102で判定した領
域がAならば、ステップ103にて後噴射を実施する。
この際の後噴射時期は、後噴射燃料がシリンダ内で燃焼
しない時期に設定され、各センサの出力をもとにECU
22にて決定する。ステップ103で後噴射を開始した
後、ステップ104にて所定時間が経過したか否かを判
定し、経過していなければ、経過するまで待機し、経過
した時点で、ステップ105へ進み、後噴射を中止す
る。この場合の所定時間は、例えばHC吸着手段におけ
る飽和吸着量とエンジン運転条件、後噴射量等をもとに
ECU22にて決定する。また、簡易的に一定値として
もよい。
【0043】一方、上記ステップ102で判定した領域
がB或はCならば、ステップ106へ進み、この上流側
触媒温度Tを設定温度T1と比較する。ここで、設定温
度T1は、図2のBにおいてNOx浄化率がピークとな
る温度であり、例えば250〜500℃の間に設定され
ている。もし、上流側触媒温度Tが設定温度T1よりも
高ければ、ステップ107に進み、上流側触媒温度Tに
応じて後噴射時期をマップ等により遅角補正し、次のス
テップ108で、補正した後噴射時期で後噴射を実施す
る。その際の後噴射時期の補正量は、図6に示すよう
に、上流側触媒温度Tが高いほど遅角量を大きくする。
これにより、上流側触媒温度Tが高いほどHCの改質度
合を小さくして反応性が低いHCを得ることで、図7に
示すように、上流側NOx触媒19におけるHCの反応
による減少量を少なくでき、下流側NOx触媒20にも
十分な量のHCを供給できる。この結果、下流側NOx
触媒20でも十分にNOxを浄化できるようになり、高
いNOx浄化率を得ることができる。
【0044】一方、上流側触媒温度Tが設定温度T1以
下であれば、ステップ109に進み、上流側触媒温度に
応じて後噴射時期をマップ等により進角補正し、続くス
テップ108で、補正した後噴射時期で後噴射を実施す
る。その際の後噴射時期の補正量は、図6に示すよう
に、上流側触媒温度Tが低いほど進角量を大きくする。
これにより、上流側触媒温度Tが低いほどHCの改質度
合を大きくして反応性が高いHCを得ることで、図8に
示すように、上流側と下流側の両NOx触媒19,20
を有効に使用してNOxを効率良く浄化することがで
き、高いNOx浄化率を得ることができる。
【0045】以上説明した実施形態(1)では、図6の
マップに従って、上流側触媒温度に応じて後噴射時期を
連続的に補正するようにしたが、後噴射時期の補正量を
上流側触媒温度に応じて複数段階に切り換えるようにし
ても良い。また、シリンダ内の温度はクランク角度が同
じでも、エンジン運転条件(エンジン回転数と負荷)に
より異なるため、エンジン運転条件に応じて後噴射時期
や後噴射時期の補正量を異ならせるようにしても良い。
【0046】また、本実施形態(1)では、上流側NO
x触媒19の下流に設けた排気温度センサ21により上
流側NOx触媒19の流出ガス温度を検出することで、
上流側NOx触媒19の活性状態(上流側触媒温度)を
評価するようにしたが、この代わりに、上流側NOx触
媒19の流入ガス温度と流出ガス温度を検出して両者か
ら上流側NOx触媒19の活性状態(上流側触媒温度)
を推定しても良い。その際に、上流側NOx触媒19の
流入ガス温度をエンジン運転条件から算出するようにし
ても良い。また、上流側NOx触媒19自体に温度セン
サを設けて、上流側NOx触媒19の活性状態(上流側
触媒温度)を直接検出するようにしても良い。
【0047】尚、本実施形態(1)では、排気管18に
2個のNOx触媒を直列に設けたが、3個以上のNOx
触媒を直列に設けるようにしても良い。
【0048】[実施形態(2)]図9に本発明の実施形
態(2)の構成を示す。以下、図1に示す実施形態
(1)と異なる部分についてのみ説明する。
【0049】本実施形態(2)では、上流側触媒19と
下流側触媒20との間に、HC吸着手段としてHC吸着
材40を設置している。すなわち、前記実施形態(1)
では下流側触媒20におけるHC吸着手段は下流側触媒
20に担持したゼオライト層のみから構成されたが、本
実施形態(2)では、下流側触媒20のHC吸着手段に
おけるHC吸着量を更に増やすためにHC吸着材40を
設置している。このHC吸着材40は、セラミックや金
属等の担体の表面に、例えばゼオライト等の多孔材質を
担持したものであり、低温時(例えば200℃以下)に
排気中のHCを吸着し、高温時(例えば200℃以上)
に吸着したHCを脱離する。
【0050】以上の構成の本実施形態(2)を前記実施
形態(1)と同様に制御することで、前記実施形態
(1)で説明したのと同等以上の効果を得ることができ
る。尚、NOx触媒19,20、HC吸着材40のうち
複数のものを同一ケース内に収納しても構わない。
【0051】[実施形態(3)]以下、図10乃至図1
2を用いて本発明の実施形態(3)を説明する。この実
施形態(3)では、排気管18に直列に配設された2個
のNOx触媒19,20の間に主排気通路31とバイパ
ス排気通路32を並列に設け、バイパス排気通路32の
途中に、排気中のHCを吸着するHC吸着材33を配設
している。このHC吸着材33は、セラミックや金属等
の担体の表面に、例えばゼオライト等の多孔質材を担持
したものであり、低温時(例えば200℃以下)に排気
中のHCを吸着し、高温時(例えば200℃以上)に吸
着したHCを脱離する。
【0052】一方、主排気通路31とバイパス排気通路
32との上流側分岐部に、排気通路切換バルブ34が設
けられ、この排気通路切換バルブ34の切り換えにより
排気の流れを主排気通路31とバイパス排気通路32の
いずれかに選択的に切り換えるようになっている。この
排気通路切換バルブ34は、駆動源としてモータ又は負
圧を用い、ECU22によって制御される。上流側NO
x触媒19と排気通路切換バルブ34との間に排気温度
センサ21(上流側触媒活性状態判定手段)が設置され
ている。その他のシステム構成は、前述した実施形態
(1)と同じである。
【0053】本実施形態(3)においても、前記実施形
態(3)と同様に、エンジン出力発生のための主燃料噴
射の後の膨張行程又は排気行程においてNOx触媒1
9,20に還元剤としてのHCを供給するための後噴射
を行うが、その際に、上流側NOx触媒19の活性状態
(上流側触媒温度)に応じて排気の流れを主排気通路3
1とバイパス排気通路32のいずれかに選択的に切り換
える。
【0054】すなわち、上流側触媒温度(活性状態)が
所定範囲よりも低い場合(図2のA)には、HCの浄化
率が低いため、供給したHCが未反応のまま上流側NO
x触媒19を通過してしまう。そこで、この状態では、
排気をバイパス排気通路32側へ流し、通過したHCを
HC吸着材33で吸着するようにする。つまり、上流側
NOx触媒19の活性状態が所定範囲よりも低い場合に
は、下流側NOx触媒20の活性状態も所定範囲よりも
低いと推定し、上流側NOx触媒19を通過した排気中
のHCをバイパス排気通路32内のHC吸着材33で吸
着することで、その後のNOxの浄化のためにHCを蓄
えるものである。特に、コモンレール式ディーゼルエン
ジンの後噴射で得られたHCは、十分にガス化している
ため、上流側NOx触媒19を比較的通過しやすい。従
って、このHCをHC吸着材33に吸着させれば、HC
有効利用とHC排出量低減の効果が大きい。
【0055】また、上流側NOx触媒19の活性状態が
所定範囲内(図2のB)にある場合には、供給したHC
の一部が未反応のまま上流側NOx触媒19を通過する
が、排気温度が比較的高いため、下流側NOx触媒20
の温度も高くなり、下流側NOx触媒20でもNOxを
浄化可能となる。そこで、この状態では、排気の流れを
主排気通路31側に切り換えて、上流側NOx触媒19
を通過したHCを主排気通路31を通して下流側NOx
触媒20に供給することで、下流側NOx触媒20でも
NOxを浄化する。
【0056】また、上流側NOx触媒19の活性状態が
所定範囲よりも高い場合(図2のC)には、上流側NO
x触媒19におけるHC浄化率がほぼ100%となるた
め、後噴射により供給したHCは、全て上流側NOx触
媒19で反応してしまい、下流側NOx触媒20には供
給されない。そこで、この状態では、高温の排気をバイ
パス排気通路32側へ流して、HC吸着材33の温度を
上昇させることで、それまでにHC吸着材33に吸着さ
せておいたHCを脱離させて下流側NOx触媒20へ供
給し、下流側NOx触媒20でNOxを浄化する。
【0057】以上説明したNOx浄化制御は、図11に
示す排気通路切換制御プログラムにより実行される。本
プログラムは、ECU22にて所定時間毎(例えば1秒
毎)に実行され、特許請求の範囲でいう制御手段として
の役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、
ステップ201で、排気温度センサ21で検出した上流
側触媒温度T(上流側NOx触媒19の活性状態)を読
み込み、次のステップ202で、この上流側触媒温度T
が含まれる活性状態の領域が図2のA,B,Cのいずれ
に該当するか判定する。例えば、上流側触媒温度Tが2
00℃以下ならばAと判定し、上流側触媒温度Tが20
0〜300℃ならばBと判定し、上流側触媒温度Tが3
00℃以上ならばCと判定する。
【0058】そして、上記ステップ202で判定した領
域がA又はCならば、ステップ203に進み、排気通路
切換バルブ34をバイパス排気通路32側に排気を流す
ように切り換える。すなわち、上流側触媒温度Tが低温
の領域Aでは、HCが未反応のまま上流側NOx触媒1
9を通過し、且つ下流側NOx触媒20も温度が低く低
活性状態であるため、上流側NOx触媒19から流出す
る排気をバイパス排気通路32のHC吸着材33に流す
ことで、排気中のHCをHC吸着材33に吸着させる。
また、上流側触媒温度Tが高温の領域Cでは、供給した
HCが全て上流側NOx触媒19で反応してしまうた
め、高温の排気をバイパス排気通路32側へ流して、H
C吸着材33の温度を上昇させることで、それまでにH
C吸着材33に吸着させておいたHCを脱離させて下流
側NOx触媒20へ供給し、下流側NOx触媒20でN
Oxを浄化する。
【0059】一方、上記ステップ202で判定した領域
がBならば、ステップ204に進み、排気通路切換バル
ブ34を主排気通路31側に排気を流すように切り換え
る。すなわち、領域Bでは、供給したHCの一部が未反
応のまま上流側NOx触媒19を通過するが、下流側N
Ox触媒20もNOx浄化可能な状態になっているた
め、排気の流れを主排気通路31側に切り換えて、上流
側NOx触媒19を通過したHCを下流側NOx触媒2
0に供給することで、下流側NOx触媒20でもNOx
を浄化する。
【0060】以上説明した排気通路切換制御では、例え
ば、図12に示すように、上流側NOx触媒19の活性
状態(上流側触媒温度)がA→B→Cの順に変化する場
合、最初の低温の領域Aでは、排気をバイパス排気通路
32側へ流し、通過したHCをHC吸着材33で吸着す
る。その後、領域Bになると、排気の流れを主排気通路
31側に切り換えて、上流側NOx触媒19を通過した
HCを主排気通路31を通して下流側NOx触媒20に
供給する。これにより、上流側NOx触媒19と下流側
NOx触媒20の双方でNOxを浄化する。この際、以
前の領域AでHC吸着材33に吸着させたHCは保持さ
れる。
【0061】その後、高温の領域Cになると、排気をバ
イパス排気通路32側へ流して、HC吸着材33の温度
を上昇させることで、それまでにHC吸着材33に吸着
させておいたHCを脱離させて下流側NOx触媒20に
供給し、下流側NOx触媒20でNOxを浄化する。こ
の際、従来は、下流側NOx触媒20に供給するHCが
不足して、下流側NOx触媒20ではほとんどNOxを
浄化できなかったが、本実施形態(3)では、HC吸着
材33からHCを下流側NOx触媒20に供給できるた
め、下流側NOx触媒20でNOxを浄化することがで
き、従来と比較してNOx浄化率を向上できる。
【0062】以上説明した実施形態(3)によれば、上
流側NOx触媒19の活性状態(上流側触媒温度)に応
じて排気通路を切り換えるので、上流側NOx触媒19
の活性状態が高い場合でも、下流側NOx触媒20にH
Cを確実に供給することができ、上流側と下流側の2つ
のNOx触媒19,20を有効に使用して、高いNOx
浄化率を得ることができる。しかも、上流側NOx触媒
19がNOxを高効率で浄化できない低温状態である時
には、上流側NOx触媒19を通過した排気中のHCを
HC吸着材33で吸着して、その後のNOxの浄化のた
めにHCを蓄えることができるので、後噴射量を低減で
きて燃費を節減できると共に、HCが下流側NOx触媒
20をすり抜けて大気中に排出されることを防止でき、
大気中へのHC排出量を大幅に低減することができる。
【0063】尚、本実施形態(3)では、NOx触媒に
還元剤(HC)を供給する還元剤供給手段として、燃料
噴射弁14の後噴射を用いたが、これに代えて、HC供
給ノズルを上流側NOx触媒19の上流側の排気管18
に取り付け、このHC供給ノズルから排気管18内にH
Cを供給するようにしても良い。また、本実施形態
(3)においても、排気管に3個以上のNOx触媒を直
列に設けるようにしても良い。
【0064】[実施形態(4)]図13及び図14に示
す本発明の実施形態(4)では、前記実施形態(3)の
システム構成に加え、下流側NOx触媒20の下流側
に、下流側触媒活性状態判定手段として排気温度センサ
35を設けている。その他のシステム構成は、前記実施
形態(3)と同じである。
【0065】本実施形態(4)では、ECU22は、上
流側と下流側の2つの排気温度センサ21,35の出力
信号に基づいて排気通路切換バルブ34を次のように制
御する。
【0066】(1)上流側NOx触媒19の活性状態が
所定範囲よりも低い場合(図2のA)の制御方法は次の
通りである。この場合には、上流側NOx触媒19で未
反応のHCが上流側NOx触媒19を通過する。その
際、下流側NOx触媒20の活性状態が所定範囲内(図
2のB)にあり、下流側NOx触媒20で高いNOx浄
化率が得られる場合には、排気を主排気通路31に流
し、HCを直接下流側NOx触媒20へ供給してNOx
を浄化させる。一方、下流側NOx触媒20の活性状態
が所定範囲内になく(図2のAとC)、下流側NOx触
媒20で高いNOx浄化率が得られない場合には、下流
側NOx触媒20でHCを有効に利用できないため、排
気をバイパス排気通路32に流し、HCをHC吸着材3
3に吸着させる。
【0067】(2)上流側NOx触媒19の活性状態が
所定範囲内にある場合(図2のB)の制御方法は次の通
りである。この場合には、供給したHCの多くが上流側
NOx触媒19で反応するため、下流側NOx触媒20
の活性状態が所定範囲内(図2のB)にあっても、下流
側NOx触媒20では、HCが不足してNOx浄化率が
低下する。そこで、この場合には、排気をバイパス排気
通路32に流す。これにより、HC吸着材33に比較的
高温の排気が通過するため、それまでにHC吸着材33
に吸着させておいたHCが脱離し、下流側NOx触媒2
0へと供給される。このため、下流側NOx触媒20に
も十分の量のHCが供給されてNOxが浄化される。一
方、下流側NOx触媒20の活性状態が所定範囲内にな
く(図2のAとC)、下流側NOx触媒20で高いNO
x浄化率が得られない場合には、下流側NOx触媒20
では、HCを有効に利用できないため、排気を主排気通
路31に流すことで、バイパス排気通路32内のHC吸
着材33からのHCの脱離を防ぐ。
【0068】(3)上流側NOx触媒19の活性状態が
所定範囲よりも高い場合(図2のC)の制御方法は次の
通りである。この場合には、供給したHCのほぼ全てが
上流側NOx触媒19で反応するため、上流側NOx触
媒19の活性状態が所定範囲内にある場合と同様に、下
流側NOx触媒20の活性状態が所定範囲内であるか否
かによって排気通路を切り換える。
【0069】以上説明したNOx浄化制御は、ECU2
2にて所定時間毎(例えば1秒毎)に図14の排気通路
切換制御プログラムに従って実行される。本プログラム
が起動されると、まず、ステップ301で、2つの排気
温度センサ21,35で検出した上流側触媒温度Ta
(上流側NOx触媒19の活性状態)と下流側触媒温度
Tb(下流側NOx触媒20の活性状態)を読み込む。
この後、ステップ302で、上流側触媒温度Taが領域
Aに含まれるか否かを判定する。
【0070】上流側触媒温度Taが領域Aに含まれる場
合(つまり上流側NOx触媒19の活性状態が低い場
合)には、ステップ303に進み、下流側触媒温度Tb
が領域Bに含まれるか否かを判定する。下流側触媒温度
Tbが領域Bに含まれる場合には、下流側NOx触媒2
0の活性状態が所定の範囲内にあり、下流側NOx触媒
20のNOx浄化率が高いため、ステップ306に進
み、排気通路切換バルブ34を主排気通路31側に排気
を流すように切り換え、未反応のまま上流側NOx触媒
19を通過したHCを下流側NOx触媒20に供給す
る。
【0071】一方、ステップ303で、下流側触媒温度
Tbが領域Bに含まれないと判定した場合には、下流側
NOx触媒20の活性状態が所定の範囲内になく、下流
側NOx触媒20のNOx浄化率があまり高くないた
め、HCの有効利用の観点から、ステップ305に進
み、排気通路切換バルブ34をバイパス排気通路32側
に排気を流すように切り換え、上流側NOx触媒19を
通過したHCをHC吸着材33に吸着させる。
【0072】また、前述したステップ302において、
上流側触媒温度Taが領域Aに含まれないと判定された
場合、上流側NOx触媒19が活性化しているため、上
流側NOx触媒19を通過するHCは比較的少ない。こ
の場合には、ステップ304に進み、下流側触媒温度T
bが領域Bに含まれるか否かを判定し、領域Bに含まれ
る場合は、下流側NOx触媒20の活性状態が所定の範
囲内にあり、下流側NOx触媒20のNOx浄化率が高
いため、ステップ305に進み、排気通路切換バルブ3
4をバイパス排気通路32側に排気を流すように切り換
える。これにより、高温の排気をバイパス排気通路32
側へ流して、HC吸着材33の温度を上昇させること
で、それまでにHC吸着材33に吸着させておいたHC
を脱離させて下流側NOx触媒20へ供給し、下流側N
Ox触媒20でNOxを浄化する。
【0073】一方、ステップ304において、下流側触
媒温度Tbが領域Bに含まれないと判定した場合には、
下流側NOx触媒20の活性状態が所定範囲内になく、
下流側NOx触媒20のNOx浄化率があまり高くない
ため、HCの有効利用の観点から、ステップ306に進
み、排気通路切換バルブ34を主排気通路31側に排気
を流すように切り換え、HC吸着材33からのHCの脱
離を中止する。
【0074】以上説明した実施形態(4)では、上流側
触媒温度Ta(上流側NOx触媒19の活性状態)に加
え、下流側触媒温度Tb(下流側NOx触媒20の活性
状態)も検出し、双方の検出結果に応じて排気通路を切
り換えるようにしたので、前記実施形態(3)のように
上流側触媒温度のみに基づいて排気通路を切り換える場
合と比較して、より適正な排気通路の切換を行うことが
でき、燃費の節減やNOx浄化率向上の効果を更に大き
くできる。
【0075】尚、本実施形態(4)においても、NOx
触媒に還元剤(HC)を供給する還元剤供給手段とし
て、後噴射に代えて、上流側NOx触媒の上流側にHC
供給ノズルを接続しても良く、また、排気管に3個以上
のNOx触媒を直列に設けるようにしても良い。
【0076】[実施形態(5)]図15乃至図17に示
す本発明の実施形態(5)では、図10に示す実施形態
(3)と同じシステム構成において、排気の流れを主排
気通路31からバイパス排気通路32に切り換える際
に、排気通路切換バルブ34をバイパス排気通路32側
と主排気通路31側とに交互に切り換える動作を所定時
間又は所定回数繰り返すようにしたものである。その他
の構成は、図10と同じである。
【0077】つまり、主排気通路31に排気を流す時間
が長くなると、バイパス排気通路32内のHC吸着材3
3の温度が放熱のために低下する。この状態で、排気の
流れを主排気通路31からバイパス排気通路32側へ急
激に切り換えると、冷えたHC吸着材33を排気が通過
するため、排気温度が下がる。そのため、下流側NOx
触媒20の温度が低下して、NOx浄化率が低下する場
合がある。
【0078】本実施形態(5)では、これを防止するた
めに、排気の流れを主排気通路31からバイパス排気通
路32に切り換える際に、排気通路切換バルブ34をバ
イパス排気通路32側と主排気通路31側とに交互に切
り換える動作を所定時間又は所定回数繰り返すことで、
下流側NOx触媒20の急激な温度低下を防ぐものであ
る。更に、この排気通路切換時に、上流側NOx触媒1
9の活性状態(上流側触媒温度)の変化速度が小さいほ
ど、排気通路切換バルブ34の切換周波数fを大きくす
る。
【0079】すなわち、排気温度の変化が緩やかで上流
側NOx触媒19の活性状態の変化が小さい時ほど、排
気の流れを主排気通路31からバイパス排気通路32に
急に切り換えると、下流側NOx触媒20に流入する排
気の温度低下によるNOx浄化率の低下が大きくなりや
すい。この対策として、排気通路切換バルブ34の切換
周波数fを大きくすると、バイパス排気通路32側から
下流側NOx触媒20に低温の排気を供給する時間間隔
が短くなり、下流側NOx触媒20の温度変化が少なく
なるため、排気の温度低下によるNOx浄化率の低下を
防ぐことができる。
【0080】以上説明したNOx浄化制御は、ECU2
2にて所定時間毎(例えば1秒毎)に図15の排気通路
切換制御プログラムに従って実行される。本プログラム
が起動されると、まず、ステップ401で、排気温度セ
ンサ21で検出した上流側触媒温度T(上流側NOx触
媒19の活性状態)を読み込み、次のステップ402
で、この上流側触媒温度Tが含まれる活性状態の領域が
図2のA,B,Cのいずれに該当するか判定する。
【0081】そして、上記ステップ402で判定した領
域がA又はCならば、ステップ403に進み、上流側触
媒温度Tの変化速度を例えば前回の温度Tから今回の温
度Tを差し引くことで算出し、更に、この上流側触媒温
度Tの変化速度に基づいて排気通路切換バルブ34の切
換周波数fをマップにより算出する。この切換周波数f
のマップは、図16に示すように上流側触媒温度Tの変
化速度をパラメータとして決められ、上流側触媒温度T
の変化速度が小さくなるほど、切換周波数fが大きくな
るように設定されている。
【0082】切換周波数fの算出後、ステップ404に
進み、排気の流れを主排気通路31からバイパス排気通
路32に切り換える際に、排気通路切換バルブ34を切
換周波数fでバイパス排気通路32側と主排気通路31
側とに交互に切り換える動作を所定時間又は所定回数繰
り返す。一方、上記ステップ402で判定した領域がB
ならば、ステップ405に進み、排気通路切換バルブ3
4を主排気通路31側に排気を流すように切り換える。
【0083】以上説明した排気通路切換制御では、例え
ば、図17に示すように、上流側NOx触媒19の活性
状態(上流側触媒温度)がA→B→Cの順に変化する場
合、A→Bの領域は、前記実施形態(3)と同じ制御が
行われる。この後、上流側NOx触媒19の活性状態が
BからCへ変わる時刻Xにおいて、排気通路を主排気通
路31側からバイパス排気通路32側に切り換えるが、
これを一度に切り換えると、時刻X以前での放熱により
冷えたHC吸着材33を排気が通過するため、排気温度
が下がり、そのため、下流側NOx触媒20の温度が低
下して、NOx浄化率が低下する。
【0084】これに対し、本実施形態(5)では、排気
通路を主排気通路31側からバイパス排気通路32側に
切り換える際に、排気通路切換バルブ34を切換周波数
fで切り換えることで、高温の排気を間欠的に主排気通
路31側から下流側NOx触媒20に供給することがで
きて、下流側NOx触媒20の急激な温度低下を防ぐこ
とができ、排気通路切換直後から下流側NOx触媒20
でも高いNOx浄化率を得ることができる。
【0085】尚、本実施形態(5)では、上流側NOx
触媒19の活性状態(上流側触媒温度)の変化速度に応
じて切換周波数を変更したが、切換周波数一定で切換間
隔の時間比率(デューティー比)を変更しても良く、勿
論、切換周波数と切換間隔の時間比率の双方を変更して
も良い。この場合、上流側NOx触媒19の活性状態の
変化速度が小さいほど、主排気通路31側を流す排気の
割合を多くするように切換間隔の時間比率を変更すれば
良い。
【0086】或は、排気通路切換時に、排気通路切換バ
ルブ34を切換周波数fで切り換える代わりに、排気通
路切換バルブ34を中間的な位置で保持し、その開度を
上流側NOx触媒19の活性状態に応じて制御するよう
にしても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)を示すエンジン制御シ
ステム全体の構成図
【図2】触媒温度と浄化率との関係を示す図
【図3】後噴射時期、シリンダ内温度、HCの改質度合
の関係を示す図
【図4】パイロット噴射、主噴射、後噴射の関係を示す
タイムチャート
【図5】後噴射時期制御プログラムの処理の流れを示す
フローチャート
【図6】上流側触媒温度Tと後噴射時期との関係を示す
【図7】上流側触媒温度T>設定温度T1の場合の排気
中のHC量とNOx量の分布を示す図
【図8】上流側触媒温度T≦設定温度T1の場合の排気
中のHC量とNOx量の分布を示す図
【図9】本発明の実施形態(2)を示すエンジン制御シ
ステム全体の構成図
【図10】本発明の実施形態(3)を示すエンジン制御
システム全体の構成図
【図11】本発明の実施形態(3)の排気通路切換制御
プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図12】本発明の実施形態(3)の排気通路切換制御
の挙動を示すタイムチャート
【図13】本発明の実施形態(4)を示すエンジン制御
システム全体の構成図
【図14】本発明の実施形態(4)の排気通路切換制御
プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図15】本発明の実施形態(5)の排気通路切換制御
プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図16】上流側触媒温度の変化速度をパラメータとす
る排気通路切換バルブの切換周波数のマップを概念的に
示す図
【図17】本発明の実施形態(5)の排気通路切換制御
の挙動を示すタイムチャート
【符号の説明】
10…ディーゼルエンジン(内燃機関)、11…吸気
管、14…燃料噴射弁(燃料噴射手段,還元剤供給手
段)、15…高圧燃料ポンプ、18…排気管(排気通
路)、19…上流側NOx触媒(触媒)、20…下流側
NOx触媒(触媒)、21…排気温度センサ(上流側触
媒活性状態判定手段)、22…ECU(燃料噴射制御手
段,後噴射時期補正手段,制御手段)、23…エンジン
回転数センサ、31…主排気通路、32…バイパス排気
通路、33…HC吸着材、34…排気通路切換バルブ
(排気通路切換手段)、35…排気温度センサ(下流側
触媒活性状態判定手段)、40…HC吸着材(HC吸着
手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F01N 3/24 F01N 3/24 R E 3/36 3/36 B F02D 41/04 335 F02D 41/04 335A 41/40 41/40 D N

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の各気筒毎に燃料噴射手段を設
    けると共に、前記内燃機関の排気通路に、排気中の窒素
    酸化物を還元浄化する複数の触媒を直列に設置し、前記
    各気筒の燃料噴射手段に対し圧縮上死点近傍で機関出力
    発生のための主噴射指令を出力すると共に少なくとも1
    つの気筒の燃料噴射手段に対し機関の膨張行程又は排気
    行程において前記触媒に炭化水素を供給するための後噴
    射指令を出力する燃料噴射制御手段を備えた内燃機関の
    排気浄化装置において、 前記複数の触媒の中で最下流の触媒よりも上流側に配置
    された触媒(以下「上流側触媒」という)の活性状態を
    判定する上流側触媒活性状態判定手段を備え、 前記燃料噴射制御手段は、前記上流側触媒活性状態判定
    手段で判定した前記上流側触媒の活性状態に応じて前記
    後噴射指令における後噴射時期を補正する後噴射時期補
    正手段を有することを特徴とする内燃機関の排気浄化装
    置。
  2. 【請求項2】 前記後噴射時期補正手段は、前記上流側
    触媒活性状態判定手段で判定した前記上流側触媒の活性
    状態が低いほど、前記後噴射時期を進角補正し、前記上
    流側触媒の活性状態が高いほど、前記後噴射時期を遅角
    補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の
    排気浄化装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の排気通路に直列に配設され、
    排気中の窒素酸化物を還元浄化する複数の触媒と、 前記触媒に窒素酸化物の還元剤を供給する還元剤供給手
    段と、 前記複数の触媒の間に並列に形成された主排気通路及び
    バイパス排気通路と、 前記バイパス排気通路に設けられ、低温時に排気中の炭
    化水素を吸着し、高温時に吸着した炭化水素を脱離する
    炭化水素吸着材と、 排気の流れを前記主排気通路と前記バイパス排気通路の
    いずれかに選択的に切り換える排気通路切換手段と、 前記主排気通路と前記バイパス排気通路との並列通路よ
    りも上流側に配置された触媒(以下「上流側触媒」とい
    う)の活性状態を判定する上流側触媒活性状態判定手段
    と、 前記上流側触媒活性状態判定手段で判定した前記上流側
    触媒の活性状態に基づいて前記排気通路切換手段の切換
    位置を制御する制御手段とを備えていることを特徴とす
    る内燃機関の排気浄化装置。
  4. 【請求項4】 前記上流側触媒活性状態判定手段は、前
    記上流側触媒の活性状態が窒素酸化物浄化率の高い所定
    範囲内であるか否かを判定し、 前記制御手段は、前記上流側触媒の活性状態が前記所定
    範囲内であると判定された時に排気を前記主排気通路に
    流すように前記排気通路切換手段を切り換え、前記上流
    側触媒の活性状態が前記所定範囲から外れていると判定
    された時に排気を前記バイパス排気通路に流すように前
    記排気通路切換手段を切り換えることを特徴とする請求
    項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記主排気通路と前記バイパス排気通路
    との下流側合流部よりも下流側に配置された触媒(以下
    「下流側触媒」という)の活性状態が窒素酸化物浄化率
    の高い所定範囲内であるか否かを判定する下流側触媒活
    性状態判定手段を備え、 前記制御手段は、 前記上流側触媒の活性状態が窒素酸化物浄化率の高い所
    定範囲よりも低く且つ前記下流側触媒の活性状態が前記
    所定範囲から外れていると判定された時に、排気を前記
    バイパス排気通路に流すように前記排気通路切換手段を
    切り換え、 前記上流側触媒の活性状態が前記所定範囲よりも低く且
    つ前記下流側触媒の活性状態が前記所定範囲内にあると
    判定された時に、排気を前記主排気通路に流すように前
    記排気通路切換手段を切り換え、 前記上流側触媒の活性状態が前記所定範囲内又はそれよ
    りも高く且つ前記下流側触媒の活性状態が前記所定範囲
    から外れていると判定された時に、排気を前記主排気通
    路に流すように前記排気通路切換手段を切り換え、 前記上流側触媒の活性状態が前記所定範囲内又はそれよ
    りも高く且つ前記下流側触媒の活性状態が前記所定範囲
    内にあると判定された時に、排気を前記バイパス排気通
    路に流すように前記排気通路切換手段を切り換えること
    を特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装
    置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、排気の流れを前記主排
    気通路から前記バイパス排気通路に切り換える際に、暫
    くの期間は、前記排気通路切換手段を前記バイパス排気
    通路側と前記主排気通路側とに交互に切り換える動作を
    繰り返すことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに
    記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 【請求項7】 前記上流側触媒活性状態判定手段で判定
    した前記上流側触媒の活性状態の変化速度を判定する手
    段を備え、 前記制御手段は、排気の流れを前記主排気通路から前記
    バイパス排気通路に切り換える際に、前記上流側触媒の
    活性状態の変化速度に応じて前記排気通路切換手段の切
    換周波数と切換間隔の時間比率の少なくとも一方を変化
    させることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排
    気浄化装置。
  8. 【請求項8】 内燃機関の各気筒毎に燃料噴射手段を設
    けると共に、前記内燃機関の排気通路に、排気中の窒素
    酸化物を還元浄化する複数の触媒を直列に設置し、前記
    各気筒の燃料噴射手段に対し圧縮上死点近傍で機関出力
    発生のための主噴射指令を出力すると共に少なくとも1
    つの気筒の燃料噴射手段に対し機関の膨張行程又は排気
    行程において前記触媒に炭化水素を供給するための後噴
    射指令を出力する燃料噴射制御手段を備えた内燃機関の
    排気浄化装置において、 前記複数の触媒は、低温時に排気中の炭化水素を吸着
    し、高温時に吸着した炭化水素を脱離する炭化水素吸着
    手段をそれぞれ有し、前記複数の炭化水素吸着手段は、
    炭化水素吸着能力が上流側のものより下流側のものの方
    が大きくなるように構成されていることを特徴とする内
    燃機関の排気浄化装置。
  9. 【請求項9】 前記複数の触媒の中で最下流の触媒より
    も上流側に設置された触媒(以下「上流側触媒」とい
    う)の活性状態を判定する上流側触媒活性状態判定手段
    を備え、 前記燃料噴射制御手段は、前記上流側触媒活性状態判定
    手段で判定した前記上流側触媒の活性状態が窒素酸化物
    浄化率が高い所定範囲よりも低い場合に、所定期間だ
    け、後噴射指令を出力することを特徴とする請求項8に
    記載の内燃機関の排気浄化装置。
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