JPH11151591A - 高温無鉛はんだ合金 - Google Patents

高温無鉛はんだ合金

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JPH11151591A
JPH11151591A JP31810397A JP31810397A JPH11151591A JP H11151591 A JPH11151591 A JP H11151591A JP 31810397 A JP31810397 A JP 31810397A JP 31810397 A JP31810397 A JP 31810397A JP H11151591 A JPH11151591 A JP H11151591A
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solder
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solder alloy
alloy
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Katsuyuki Sato
勝幸 佐藤
Koichiro Okazaki
幸一郎 岡崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来のPb−Sn系高温はんだ合
金とほぼ同等なはんだぬれ速度を有し、固相線温度以上
の半溶融状態(特に260゜C以上)で機械的強度や形
状保持性が維持可能なSb−Sn系高温無鉛はんだ合金
を提供する。 【解決手段】 Sb−Sn系高温無鉛はんだ合金は、S
nの添加量が25%重量から44重量%の範囲内であ
り、残りがSnからなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロエレクト
ロニクス等の分野で例えばプリント基板等に実装する電
子部品の内部接合等に使用可能な高温無鉛はんだ合金に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な高温はんだに対しては、高温で
溶融しないまたは溶融しにくく(すなわち耐リフロー性
を有し)、高温時に機械的強度が維持できること等が要
求されている。ここで、高温はんだとは、固相線温度が
183゜C以上であるはんだをいう。
【0003】一般に、Pb−Sn系では、Pbが95重
量%、Snが5重量%である高温はんだ(固相線温度は
307゜C、液相線温度は327゜C)や、Pbが90
重量%、Snが10重量%である高温はんだ(固相線温
度は270゜C、液相線温度は301゜C)が用いられ
ている。また、Pb−Ag系では、Pbが97.5重量
%、Agが2.5重量%である高温はんだ(固相線温度
は304゜C、液相線温度は304゜C)が用いられて
いる。さらに、Pb−Ag−Sn系では、Pbが97.
5重量%、Agが1.5重量%、Snが1重量%である
高温はんだ(固相線温度は309゜C、液相線温度は3
09゜C)が用いられている。
【0004】上述した高温はんだには、コストを低減す
るためや耐リフロー性を得るために、Pbが90重量%
以上含まれている。さらに、例えば、電子部品のコイル
やトランス等の内部には磁性材料等の支持体に絶縁被覆
導線が巻線されている。このような巻線の端部と素子等
を接合する場合にははんだ付けが一般に行われている
が、はんだ付けの際には絶縁被覆導線のポリウレタン等
からなる被覆部分をはんだの熱等によって破壊しないと
はんだ付けを行うことができないため、はんだ付けの温
度として380゜Cから420゜Cの範囲内が一般的に
採用されており、このような理由からも上述した高温は
んだにはPbが90重量%以上含まれている。
【0005】ところで、現在、基板等と電子部品等との
接合には、Pb−Sn系では、Pbが37重量%、Sn
が63重量%であるはんだ(固相線温度は183゜C、
液相線温度は183゜C)、Pb−Ag−Sn系では、
Pbが36重量%、Agが2重量%、Snが62重量%
であるはんだ(固相線温度は179゜C、液相線温度は
190゜C)がそれぞれ用いられ、一般に220゜Cか
ら240゜Cの範囲内のリフロー温度ではんだ付けが行
われている。
【0006】なお、基板に実装される電子部品等の内部
接合に使用されているはんだが上述のはんだ付けの際に
溶融すると、溶融したはんだが流れ出したり、流れ出し
たはんだが球状となって例えば高密度精細ピッチ化され
た基板上の回路をブリッジしたりする。これを避けるた
めには、上述したリフロー温度においても溶融しない、
または溶融しにくい(すなわち耐リフロー性を有する)
はんだを使用する必要がある。従って、一般には、固相
線温度が少なくとも240゜C以上である高温はんだが
用いられている。
【0007】以上のように、Pbははんだに不可欠な金
属であり、Pbを含むはんだは電子機器の接合プロセス
において長い年月を経て最も有効なはんだとして用いら
れており、またその信頼性も確立されてきていた。しか
し、このようなはんだが使用されている電子機器製品の
自然界への廃棄等によってはんだに含まれるPbが徐々
に溶出して地下水のPb汚染を招くことから、Pbを含
むはんだを使用することは重要な環境汚染問題の1つと
なっている。
【0008】従って、上述のPbを含むPb−Sn系共
晶はんだまたは共晶近傍のはんだの代わりにPbフリー
はんだ(無鉛はんだ)の開発に対する要求が高まってい
る。このようなはんだとしては、Sn−Ag系、Sn−
Zn系、およびSn−Bi系のはんだが有望であるが、
これらのはんだの液相線温度は基板等と電子部品等との
接合において現在使用されているはんだの液相線温度よ
りも10゜Cから20゜C高くなる。従って、はんだ付
けの際の一般的なリフロー温度は230゜Cから260
゜Cの範囲内であると予想される。そのため、このよう
なリフロー温度においても溶融しない、または溶融しに
くい(すなわち耐リフロー性を有する)高温無鉛はんだ
の開発が進められている。
【0009】特開平7−51883号公報には、Sbが
0.1重量%から5重量%、Biが10重量%から20
重量%、Znが4重量%から6重量%、Agが0.1重
量%から3重量%、残りがSnからなる無鉛はんだ合金
が開示されており、特開平7−88679号公報には、
Sbが2.5重量%から3.5重量%、Biが1.5重
量%から2.5重量%、Cuが1重量%から2重量%、
残りがSnからなる無鉛はんだ合金が開示されており、
特開平8−164495号公報には、Znが3重量%か
ら5重量%、Biが10重量%から23重量%、残りが
Snからなる無鉛はんだ合金が開示されている。これら
の無鉛はんだ合金は、上述した基板等と電子部品等の接
合に使用されている共晶はんだまたは共晶近傍はんだの
代わりに用いられるが、これらは上述したリフロー温度
(230゜Cから260゜Cの範囲内)では完全に溶融
することから、上述の要求を満足する高温無鉛はんだと
して使用することができない。
【0010】また、特開昭49−38858号公報に
は、Sbが3重量%から8重量%、Agが2重量%から
4重量%、Biが0.5重量%から20重量%、Cuが
0.5重量%から1.5重量%、残りがSnからなる高
温はんだが開示されており、特開昭54−61050号
公報には、Sbが5重量%から10重量%、残りがSn
からなるSb−Sn系合金に0.01重量%から0.5
重量%のNiを添加した高温はんだが開示されている。
こららの高温無鉛はんだでは、100゜Cまたは150
゜Cの温度においても機械的強度が維持されまたは安定
な機械的強度を有するが、これらの固相線温度は240
゜C以下であり、また固相線温度以上の温度の半溶融状
態で機械的強度や形状保持性を維持できない。従って、
これらを上述した要求を満足する高温無鉛はんだとして
使用することができない。
【0011】さらに、特開昭61−269998号公報
には、0.5重量%から25重量%のSbと1重量%か
ら30重量%のAgの少なくともどちらか一方を含み、
不可避不純物としての酸素の含有量を5ppm以下と
し、さらに平均結晶粒径を3μm以下としたSn高温は
んだ合金が開示されている。この高温はんだ合金は、P
bを含まず、特に半導体チップの接合部分等に使用され
ており、熱疲労特性に優れている。しかし、そのため
に、酸素の含有量を5ppm以下とし、さらに、平均結
晶粒径を3μm以下としているので、このような高温は
んだの製造時に不活性ガス雰囲気中、真空中等において
急冷凝固を行う必要がある。これにより、従来の設備を
そのまま使用してこのようなはんだを製造することがで
きないので、設備投資または設備の改造が必要となる。
また、従来の高温はんだと比較してその製造コストが非
常に高くなる。
【0012】一般的に、溶融温度域(固相線温度から液
相線温度の範囲内)が450゜C以下である合金材料を
はんだと呼んでいるが、固相線温度が260゜C以上で
あるはんだでは、ベース金属はPbであるため、Pbが
含まれている。Pbを含まないはんだとしては、Auが
80重量%でSnが20重量%である高温はんだ(固相
線温度が280゜C、液相線温度が280゜C)がある
が、Au−Sn系の高温はんだは、従来の高温はんだと
比較してコストが非常に高くなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、種々の
高温はんだが研究および開発されているが、地下水の汚
染等で問題となっているPbを含むことなく、コストを
低減し、従来のPb−Sn系高温はんだとほぼ同等なは
んだぬれ速度を有し、固相線温度以上の温度の半溶融状
態(特に260゜C以上)で機械的強度や形状保持性を
維持可能な高温はんだを作製することは難しかった。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、本発明の目的は、コストを低減し、従来のPb
−Sn系高温はんだとほぼ同等なはんだぬれ速度を有
し、固相線温度以上の温度の半溶融状態(特に260゜
C以上)で機械的強度や形状保持性を維持可能な高温無
鉛はんだ合金を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の高温無鉛はんだ合金は、25重量%から4
4重量%の範囲内のSbを含み、残りがSnからなるこ
とを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0017】通常、2元系合金の液体と固体の状態の組
合わせとしては、1)液体状態で完全に溶け合い、固体
状態でも完全に溶け合う場合、2)液体状態で完全に溶
け合い、固体状態でも一部溶け合う場合、3)液体状態
で完全に溶け合い、固体状態では全く溶け合わない場
合、4)液体状態で一部溶け合い、固体状態でも一部溶
け合う場合、5)液体状態で一部溶け合い、固体状態で
は全く溶け合わない場合、6)液体状態でも固体状態で
も全く溶け合わない場合の6つに限られる。
【0018】なお、固相線温度以下では、1つまたは2
つの固体が存在し、液相線温度以下では、1つまたは2
つの液体が存在する。また、固相線温度と液相線温度と
の間は半溶融状態であり、固体と液体が混在している。
【0019】電子機器等の接合プロセスには、上述の
1)から3)の場合のはんだ合金が使用されている。
【0020】これまで、固相線温度以上の温度の半溶融
状態では、機械的強度や形状保持性は維持できないと考
えられてきたが、ベース金属をSnとした2元系の包晶
型合金系(Sb−Sn、Ag−Sn、Cu−Sn等)の
高温はんだ、特にSb−Sn系はんだについて、Sbを
25重量%から44重量%とし、残りをSnとした組成
とすることにより、従来のPb−Sn系高温はんだと同
等のはんだぬれ速度を有し、固相線温度以上の温度の半
溶融状態(特に260゜C)で機械的強度や形状保持性
が維持可能な高温はんだ合金を作製することができた。
【0021】従って、このような高温はんだ合金を用い
れば、例えばプリント基板と電子部品とをはんだ付けす
る際の260゜C以上のリフロー温度で電子部品の内部
接合等に使用されている高温はんだが完全に溶融するこ
となく、はんだが流れだすことを防ぐことができる。
【0022】なお、高温はんだ合金の組成を上記のよう
に限定したのは次のような理由からである。
【0023】すなわち、Snは、接合材料に対するぬれ
性を得るために必要な金属であり、はんだのベース金属
として必須の金属であるからである。なお、ぬれ性S
は、銅基板に対するはんだのぬれを示し、次式で表され
る。
【0024】S=(D−h)/D×100(%) ここで、Dは銅基板上のはんだが溶融した時に全くぬれ
広がらず球状になったと仮定した場合の球の直径であ
り、hは銅基板上のはんだが溶融した時のはんだの高さ
である。
【0025】一方、Sbは、その添加量の増加に伴っ
て、硬くて脆くなるが、高温での機械的強度(クリープ
特性等)を向上させる性質を有するからである。
【0026】ところで、Snをベース金属とした2元系
の中で、Sb−Snの固相線温度は246゜Cと最も高
く、Sbが0から9.0重量%での固相線温度または液
相線温度は232゜Cから240゜Cであり、Sbが1
0.5重量%から42重量%での固相線温度は246゜
Cであることが状態図から知られている。
【0027】以下、本発明の実施の形態の高温無鉛はん
だ合金について説明する。
【0028】ここでは、2つの成分組成の異なるPb−
Sn系高温はんだ合金と本発明の実施の形態の5つの成
分組成の異なるSb−Sn系高温はんだ合金とを作製
し、それぞれ種々の測定を行うことによりその特性を評
価する。
【0029】まず、作製した高温はんだ合金の溶融温度
域を示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて測定し
た。測定条件は次の通りである。
【0030】 サンプル量 : 25mg アンプレンジ: 10mJ/秒 昇温速度 : 5゜C/分 なお、図19に示すように、固相線温度は吸熱開始点の
延長線(DSCカーブの平らな部分)と吸熱ピーク温度
1の接線の交差する点に対応する温度、液相線温度は吸
熱が完全に終了した点に対応する温度としている。ま
た、吸熱があった順序で吸熱ピーク温度1、吸熱ピーク
温度2、および吸熱ピーク温度3としている。
【0031】図1は従来のPb−Sn系高温はんだ合金
と本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の
溶融温度域(固相線温度、吸熱ピーク温度、液相線温
度)の測定結果を示す図、図2は従来のPb−Sn系高
温はんだ合金においてSnの添加量が5重量%から10
重量%の範囲内である場合の溶融温度域の測定結果を示
す図、図3は本発明の実施の形態のSb−Sn系高温は
んだ合金においてSbの添加量が5重量%から44重量
%の範囲内である場合の溶融温度域の測定結果を示す図
である。なお、図2において縦軸は温度(゜C)、横軸
はSnの添加量(重量%)を示し、図3において縦軸は
温度(゜C)、横軸はSbの添加量(重量%)を示して
いる。
【0032】図1、図2および図3から、Pb−Sn系
高温はんだ合金(合金No.1およびNo.2)におい
て、Snの添加量が5重量%から10重量%の範囲内で
の固相線温度は270゜Cから307゜C、その範囲内
での液相線温度は307゜Cから321゜Cであり、S
b−Sn系高温はんだ合金(合金No.3からNo.
7)において、Sbの添加量が5重量%から44重量%
の範囲内での固相線温度は237゜Cから244゜C、
その範囲内での液相線温度は253゜Cから415゜C
である。これにより、Sb−Sn系高温はんだ合金にお
ける液相線温度は、Sbの添加量が5重量%から増加す
るに伴って上昇し、Snの添加量が22重量%以上にお
いてPb−Sn系高温はんだ合金の液相線温度よりも高
くなっていることがわかる。
【0033】次に、作製した高温はんだ合金の種々の引
張荷重における引張溶断温度を熱機械分析装置(TM
A)を用いて測定した。測定条件は次の通りである。
【0034】 引張荷重 : 2g、50g、100g サンプル寸法 : 縦10mm×横5mm×厚さ1mm サンプルレンジ: 2000μm 昇温速度 : 5゜C/分 なお、ここでは、はんだの伸び寸法が急激に増加した場
合の温度を引張溶断温度としている。
【0035】図4から図10は従来のPb−Sn系高温
はんだ合金と本発明の実施の形態のSb−Sn系高温は
んだ合金の種々の引張荷重におけるはんだの伸び寸法の
測定結果を示す図である。なお、図4から図10におい
て、縦軸ははんだの伸び寸法(×10μm)、横軸は温
度(゜C)をそれぞれ示している。
【0036】図4から図10に示すように、例えば、引
張荷重が100gである場合、Pb−Sb系高温はんだ
合金(合金No.1およびNo.2)の固相線温度およ
びSb−Sn系高温はんだ合金(合金No.3およびN
o.4)の固相線温度はそれぞれはんだの伸び寸法が急
激に増加する温度(引張溶断温度)とほぼ一致してい
る。これは、固相線温度=引張溶断温度であるから、こ
れらの高温はんだ合金(合金No.1からNo.4)は
固相線温度以上の温度の半溶融状態では機械的強度や形
状保持性を維持できないことを示している。一方、Sb
−Sn系高温はんだ合金(合金No.5からNo.7)
においては、固相線温度に達してもはんだの伸び寸法に
急激な増加は見られない。これは、固相線温度<引張溶
断温度(=固相線温度+約15゜C以上)であるから、
これらの高温はんだ合金(合金No.5からNo.7)
は固相線温度以上の温度の半溶融状態でも機械的強度や
形状保持性を維持できることを示している。従って、こ
の結果から、Sbの添加量を22重量%から44重量%
の範囲内にし、残りをSnからなる組成とすることによ
り、固相線温度以上の温度の半溶融状態でも機械的強度
や形状保持性を維持可能な高温無鉛はんだ合金を作製す
ることができる。
【0037】図11は従来のPb−Sn系高温はんだ合
金と本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金
の種々の引張荷重における引張溶断温度の測定結果を示
す図であり、図12は従来のPb−Sn系高温はんだ合
金においてSnの添加量が5重量%から10重量%の範
囲内である場合の引張溶断温度の測定結果を示す図、図
13は本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合
金においてSbの添加量が5重量%から44重量%の範
囲内である場合の引張溶断温度の測定結果を示す図であ
る。図12において、縦軸は引張溶断温度(゜C)、縦
軸はSnの添加量(重量%)を示し、図13において、
縦軸は引張溶断温度(゜C)、縦軸はSbの添加量(重
量%)を示している。
【0038】図12に示す従来のPb−Sn系高温はん
だ合金では、Snの添加量が増加しても引張溶断温度に
大きな変化は見らず、むしろ低下している。しかし、図
13に示す本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はん
だ合金では、Sbの添加量が22重量%付近から増加す
るに従って引張溶断温度も増加する傾向が見られる。特
に、Sbの添加量が33重量%を越えた付近で従来のP
b−Sn系高温はんだ合金と同等の引張溶断温度が得ら
れ、Sbの添加量が44重量%では従来のPb−Sn系
高温はんだ合金よりも引張溶断温度が約11%から約3
5%も高くなっていることがわかる。
【0039】なお、固相線温度(240゜C)以上の温
度の半溶融状態(特に260゜C以上)でも機械的強度
や形状保持性を維持可能な高温無鉛はんだはんだを得る
ためには、引張溶断温度が260゜Cである必要があ
る。図13に示すように、引張溶断温度を260゜C以
上とする場合に必要なSbの添加量は、引張荷重が2g
では23重量%以上、引張荷重が50gでは25重量%
以上、引張荷重が100gでは29重量%以上である。
【0040】ここで、引張荷重が2gである場合には、
形状保持性の維持を期待できるが、機械的強度はほとん
どないと考えられる。しかし、引張荷重が50gである
場合には十分な機械的強度と形状保持性を維持できる。
従って、引張溶融温度が260゜C以上で引張荷重が5
0gである場合のSbの添加量である25重量%は少な
くとも必要である。
【0041】以上のことから、Sbの添加量を25重量
%から44重量%の範囲内にし、残りをSnからなる組
成とすることにより、固相線温度以上の温度の半溶融状
態(特に260゜C以上)でも機械的強度や形状保持性
を維持可能な高温無鉛はんだ合金を作製することができ
る。
【0042】図14および図15は従来のPb−Sn系
高温はんだ合金と本発明の実施の形態のSb−Sn系高
温はんだ合金の種々の引張荷重における半溶融領域(引
張溶断温度と固相線温度の間の温度領域)を示す図であ
る。なお、図15において、縦軸は半溶融領域(゜
C)、横軸は引張荷重(g)を示している。ここで、半
溶融領域は引張溶断温度と固相線温度との差で示され
る。
【0043】図14および図15からわかるように、S
b−Sn系高温はんだ合金(合金No.6およびNo.
7)の半溶融領域はその他の高温はんだ合金(合金N
o.1からNo.5)の半溶融領域と比較して大きいこ
とから、そのような高温はんだ合金(合金No.6およ
びNo.7)では、固相線温度以上の温度の半溶融状態
でも機械的強度や形状保持性を維持できる温度範囲が広
くなっている。例えば、引張荷重が100gである場合
のSb−Sn系高温はんだ合金(合金No.6)では2
70゜Cまで、Sb−Sn系高温はんだ合金(合金N
o.7)では340゜Cまでは機械的強度や形状保持性
を維持できることを示している。
【0044】以上の結果から、Sbの添加量を25重量
%から44重量%の範囲内にし、残りをSnからなる組
成とすることにより、固相線温度(240゜C)以上の
温度の半溶融状態(特に260゜C以上)でも機械的強
度や形状保持性を維持可能な高温無鉛はんだ合金を作製
することができる。
【0045】次に、作製した高温はんだ合金のはんだぬ
れ速度(ゼロクロス時間(ZCT))をメニスコグラフ
装置を用いて測定した。測定条件は次の通りである。
【0046】 サンプル : 酸化銅板 サンプル寸法 : 縦15mm×横15mm×厚さ0.5mm 浸漬深さ : 1.0mm 浸漬速度 : 2.0mm/秒 温度 : 325゜C、350゜C、375゜C、400゜C 液状フラックス: RAタイプ、なお、固形分量は30重量%、ハロゲン含有 量は0.12重量%、比重は0.857(20゜C) なお、図20に示すように、はんだぬれ速度(ゼロクロ
ス時間)をメニスコグラフ装置で測定した場合に得られ
るメニスカスカーブにおいて、ゼロクロス時間ははんだ
のぬれの進行における状態Bから状態Eに達するまでの
時間である。
【0047】図16は従来のPb−Sn系高温はんだ合
金と本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金
のはんだぬれ速度(ゼロクロス時間)の測定結果を示す
図、図17は従来のPb−Sn系高温はんだ合金におい
てSnの添加量が5重量%から10重量%の範囲内であ
る場合のはんだぬれ速度(ゼロクロス時間)の測定結果
を示す図、図18は本発明の実施の形態のSb−Sn系
高温はんだ合金においてSbの添加量が5重量%から4
4重量%の範囲内である場合のはんだぬれ速度(ゼロク
ロス時間)の測定結果を示す図である。なお、図17に
おいて、縦軸ははんだぬれ速度(ゼロクロス時間)
(秒)、横軸はSnの添加量(重量%)を示し、図18
において、縦軸ははんだぬれ速度(ゼロクロス時間)
(秒)、横軸はSbの添加量(重量%)を示している。
なお、図16から図18において、ゼロクロス時間(Z
CT)が短いほど、はんだぬれ速度が速いことを示して
いる。
【0048】一般に、Sbの添加量の増加に伴ってはん
だぬれ性は悪くなることが知られている。これは、はん
だ付けの温度が300゜C以下でPb−Sn系共晶はん
だまたはPb−Sn系共晶近傍のはんだと比較した場合
である。一方、図16、図17、および図18からわか
るように、Sbの添加量が33重量%以下である場合に
は、従来のPb−Sn系高温はんだ合金と同等またはそ
れ以上のはんだぬれ速度を有するSb−Sn系高温はん
だ合金が得られている。一方、Sbの添加量が44重量
%である場合には、従来のPb−Sn系高温はんだ合金
と比較してSb−Sn系の高温はんだ合金のはんだぬれ
速度は遅くなっている。しかし、例えば、このような高
温はんだ合金を窒素雰囲中で用いれば、またはこのよう
な高温はんだ合金に水溶性フラックス等の活性力の大き
いフラックスを使用すれば、はんだぬれ速度を改善する
ことができる。
【0049】なお、Sbの添加量が45重量%以上であ
る場合には、固相線温度が325゜Cとなり、はんだ付
けの温度も450゜C以上が予想されるので、現在使用
している材料では耐熱性に問題が生じる。
【0050】本発明においてSb−Snの2元系の高温
はんだ合金を作製した理由は、上述の高温はんだ合金の
組成に例えばAg、In、Bi、Cu等の元素を1種類
以上添加した場合、はんだの硬さ、脆さ、伸び、ぬれ性
等は改善されるが、固相線温度が低下するかまたは液相
線温度が上がって溶融温度域が広がるため、その使用が
困難となるからである。また、AgやInは非常に高価
であり、BiはPb精錬の副産物であるので、コストや
材料供給の安定性に問題が生じるためである。
【0051】
【発明の効果】以上、本発明によれば、Sn−Sn系に
おいて、Snの添加量を25重量%から44重量%の範
囲内にし、残りをSnからなる組成とすることにより、
地下水の汚染等で問題となるPbを全く含んでいないこ
とから環境に対して無害であり、資源的にも安定供給が
可能であり、コストを軽減でき、はんだ製造設備や電子
部品の製造設備の投資や改造を行うことなく従来の製造
設備をそのまま使用することができ、従来のPb−Sn
系高温はんだ合金と比較して同等のはんだぬれ速度を有
し、固相線温度以上の温度の半溶融状態(特に260゜
C以上)で機械的強度や形状保持性が維持でき、従来の
Pb−Sn系高温はんだ合金の代わりに使用できる高温
無鉛はんだ合金を作製することができる。
【0052】従って、本発明のSb−Sn系高温無鉛は
んだ合金は、特にマイクロエレクトロニクスの分野で例
えばプリント基板等に実装する電子部品の内部接合に使
用することができ、その使用用途は非常に幅広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の溶融温度域
の測定結果を示す図である。
【図2】従来のPb−Sn系高温はんだ合金においてS
nの添加量が5重量%から10重量%の範囲内である場
合の溶融温度域の測定結果を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ
合金においてSbの添加量が5重量%から44重量%の
範囲内である場合の溶融温度域の測定結果を示す図であ
る。
【図4】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引張
荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図であ
る。
【図5】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引張
荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図であ
る。
【図6】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引張
荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図であ
る。
【図7】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引張
荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図であ
る。
【図8】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引張
荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図であ
る。
【図9】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明の
実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引張
荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図であ
る。
【図10】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明
の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引
張荷重におけるはんだの伸び寸法の測定結果を示す図で
ある。
【図11】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明
の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引
張荷重における引張溶断温度の測定結果を示す図であ
る。
【図12】従来のPb−Sn系高温はんだ合金において
Snの添加量が5重量%から10重量%の範囲内である
場合の引張溶断温度の測定結果を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はん
だ合金においてSbの添加量が5重量%から44重量%
の範囲内である場合の引張溶断温度の測定結果を示す図
である。
【図14】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明
の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引
張荷重における半溶融領域(引張溶断温度と固相線温度
の間の温度領域)を示す図である。
【図15】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明
の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金の種々の引
張荷重における半溶融領域を示す図である。
【図16】従来のPb−Sn系高温はんだ合金と本発明
の実施の形態のSb−Sn系高温はんだ合金のはんだぬ
れ速度(ゼロクロス時間)の測定結果を示す図である。
【図17】従来のPb−Sn系高温はんだ合金において
Snの添加量が5重量%から10重量%の範囲内である
場合のはんだぬれ速度(ゼロクロス時間)の測定結果を
示す図である。
【図18】本発明の実施の形態のSb−Sn系高温はん
だ合金においてSbの添加量が5重量%から44重量%
の範囲内である場合のはんだぬれ速度(ゼロクロス時
間)の測定結果を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態における作製した高温は
んだ合金の溶融温度域を示差走査熱量分析装置で測定し
た場合に得られるDSCカーブおよび温度上昇カーブの
関係を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態における作製した高温は
んだ合金のはんだぬれ速度(ゼロクロス時間)をメニス
コグラフ装置で測定した場合に得られるメニスカスカー
ブを示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25重量%から44重量%の範囲内のS
    bを含み、残りがSnからなることを特徴とする高温無
    鉛はんだ合金。
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