JPH1115089A - ハロゲン化銀写真乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及びx線画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及びx線画像形成方法

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JPH1115089A
JPH1115089A JP18317097A JP18317097A JPH1115089A JP H1115089 A JPH1115089 A JP H1115089A JP 18317097 A JP18317097 A JP 18317097A JP 18317097 A JP18317097 A JP 18317097A JP H1115089 A JPH1115089 A JP H1115089A
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halide photographic
silver
grains
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Kazuyoshi Goan
一賀 午菴
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】迅速処理適性及び低補充処理適性に優れた、低
カブリで高感度なハロゲン化銀写真乳剤及びハロゲン化
銀写真感光材料を提供すること、及びこのような性能を
有したハロゲン化銀写真感光材料を、迅速にかつ安全で
あり環境適性のある方法で処理するX線画像形成方法を
提供することである。 【解決手段】ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%が
アスペクト比3以上15以下の平板状粒子であり、該平
板状粒子の最表面に少なくとも2種類のハロゲンを有
し、かつ最表面のハライド組成の粒子間の分布が20%
以下であり、更に該粒子の形成の全部又は一部がラジカ
ルスカベンジャー存在下で行われたことを特徴とするハ
ロゲン化銀写真乳剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及びX線画像形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハロゲン化銀写真感光材料(以
下、感光材料又は感材ということもある。)の現像処理
に関して、処理時間の迅速化が益々望まれている。
【0003】例えば、医用分野では定期健康診断、人間
ドック等の普及、一般診療における診断を含めた検査の
増加等により、X線フィルムの撮影枚数が増加する一方
で、受診者には出来るだけ早急に知らせる必要がある。
更に最近では、血管造影撮影、術中撮影等も増加の一途
をたどっているが、これらは本質的に少しでも短時間で
写真を見る必要がある。これらの要望を満たすには、診
断の自動化(撮影、搬送等)を促進すると共に、X線フ
ィルムを一層迅速に処理する必要があるわけである。
【0004】また、現像処理液の低補充化も、強く求め
られている。従来からも環境保全の観点から現像処理廃
液量の低減が求められていたが、1995年末に産業廃
棄物の海洋投棄が禁止されたのを受けて、益々その要求
は強まっている。
【0005】これらの迅速処理、低補充処理への要求に
対しては、感光材料、処理液、処理機を含むシステム全
体として取り組む必要があるが、特に処理される感光材
料の開発は重要である。
【0006】従来の感光材料は、迅速処理を行うと、カ
ブリの増加や感度の低下が顕著であり、実用に供するこ
とができなかった。
【0007】カブリの増加、感度の低下といった課題に
対して、ハロゲン化銀粒子表面の状態は重要であり、こ
れまでも多くの研究が行われている。
【0008】特開平3−237451号では、ハロゲン
化銀粒子表面を内部よりも高沃度とすることで、増感色
素の吸着が均一となり、高感度で、保存性に優れたハロ
ゲン化銀乳剤が得られるとしているが、個々の粒子間の
ハロゲン組成については言及していない。
【0009】また、粒子間の均一性についても重要であ
り、多くの研究がなされている。特開昭60−2540
32号では沃化銀を5モル%以上含むコアとそれより低
沃度のシェルをもつ粒子において、個々の粒子の沃化銀
含有率の相対標準偏差を20%以下とした乳剤により、
高感度、高γ、優れた粒状性を達成したとしているが、
個々の粒子の最表面のハロゲン組成については何ら示唆
されていない。
【0010】現像速度や定着速度を促進するためには、
ハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率を低下させることが好
ましい。しかし、ハロゲン化銀粒子表面の沃化銀含有率
を低下させると、分光増感色素の吸着性が劣化し分光感
度が低下することや、圧力カブリが上昇する場合がある
ことが知られている。
【0011】感光材料の塗布銀量を低減させることは低
補充処理の観点から有利である。そのためには、同一銀
量でより高い画像濃度を得る必要がある。即ち、カバー
リングパワーが大きいハロゲン化銀粒子が必要となる。
そのためには、粒径のより小さいハロゲン化銀粒子や、
投影面積の広い平板状ハロゲン化銀粒子を用いることが
考えられる。粒径の小さなハロゲン化銀粒子を用いるた
めには増感が必須である。また、平板状ハロゲン化銀粒
子は色増感効率の観点、即ち感度の観点からも好まし
い。
【0012】近年、こうした平板状ハロゲン化銀粒子を
使用した高感度化及び高画質化の技術が多く開示されて
おり、それらの例は、特開昭58−111935号、同
58−111936号、同58−111937号、同5
8−113927号、同59−99433号等に記載さ
れている。
【0013】更に特開昭63−92942号には平板状
ハロゲン化銀粒子内部に沃化銀含有率の高いコアを設け
る技術が、特開昭63−151618号には六角平板状
ハロゲン化銀粒子を用いる技術が開示され、高感度化の
効果が示されている。
【0014】この他にも、特開昭63−106746
号、特開平4−183644号、同1−279237号
等で平板状ハロゲン化銀粒子の組成分布に関する技術が
開示されている。
【0015】しかし、平板状ハロゲン化銀粒子は圧力特
性が劣化するという欠点を有する。一般にハロゲン化銀
粒子は圧力に対し感応性を有し、高感度化を進めると、
ますます、圧力に対して鋭敏に対応するようになるが、
平板状ハロゲン化銀粒子の場合、その程度が顕著であ
る。これは、同体積で比較した場合、同じ機械強度を有
する材料であっても、球形粒子より平板粒子の方が厚さ
が薄い分、大きなモーメントがかかり易く、粒子全体と
しての機械強度が弱いためと解釈される。
【0016】また、圧力特性はハロゲン化銀粒子形状の
他にハロゲン化銀粒子の化学増感の条件によって異な
る。一般に、化学増感の程度が不足(化学熟成不足)の
場合は圧力減感が大きく、化学増感の程度が過度である
と圧力減感は小さいが圧力カブリが上昇することが知ら
れている。適度な化学増感を施した平板粒子の場合、圧
力カブリの上昇が問題となる場合が多い。また、分光増
感色素を吸着させた場合、化学増感による圧力カブリが
顕著になる傾向がある。高感度化のためにセレン及び/
又はテルル増感の研究も数多くなされているが、これら
の増感方法でも圧力カブリが増大する傾向がある。
【0017】したがって、平板状ハロゲン化銀粒子につ
いて、圧力特性の向上、特に圧力カブリの低減が望まれ
ている。
【0018】圧力特性の向上のためには、これまで多く
の研究がなされている。例えば、米国特許2,628,
167号にはタリウム塩を含有した乳剤により、圧力減
感を改良し、高感度、高γを達成している。圧力カブリ
については述べられていないが、一般に圧力カブリを低
減させる技術は圧力減感を大きくするという二律背反の
関係にあるため、該技術は圧力カブリを増大させると推
定される。
【0019】その他、特開昭59−99433号、同6
0−35726号、同60−147727号、同63−
301937号、同63−149641号、同63−1
06746号、同63−151618号、同63−22
0238号、特開平1−131541号、同2−193
138号、同3−172836号、同3−231739
号、同6−266032号、同6−324418号等に
圧力特性向上の手段が開示されているが、これらの手段
では十分な改良効果を得るには至っていない。
【0020】特に、分光増感を施した平板状ハロゲン化
銀粒子や、セレン及び/又はテルル増感された平板状ハ
ロゲン化銀粒子に対して、圧力カブリを低減させる有効
な手段が見いだせていないのが現状である。しかも、圧
力カブリを低減させる技術は圧力減感を大きくするとい
う二律背反の関係にあるため、両者を満足する技術の開
発は困難であった。
【0021】また、平板状粒子の別の欠点として、銀色
調の劣化が挙げられる。ハロゲン化銀粒子の粒子厚みが
減少すると、現像処理において形成されるフィラメント
銀による青色光成分の光散乱が増し、結果的に透過光が
黄色味の強い光となるため、銀画像が黄色味をおびる。
この現像銀画像の色調を銀色調と称しているが、医用感
光材料においては、黄色味を帯びた銀色調は好まれな
い。したがって、平板状でありながら銀色調のよいハロ
ゲン化銀粒子の開発が必要であった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、迅速処理適性及び低補充処理適性に優れた、低カブ
リで高感度なハロゲン化銀写真乳剤及びハロゲン化銀写
真感光材料を提供することである。
【0023】第2の目的は、このような性能を有したハ
ロゲン化銀写真感光材料を、迅速にかつ安全であり環境
適性のある方法で処理するX線画像形成方法を提供する
ことである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、 1.ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%がアスペク
ト比3以上15以下の平板状粒子であり、該平板状粒子
の最表面に少なくとも2種類のハロゲンを有し、かつ最
表面のハライド組成の粒子間の分布が20%以下であ
り、更に該粒子の形成の全部又は一部がラジカルスカベ
ンジャー存在下で行われたことを特徴とするハロゲン化
銀写真乳剤、
【0025】2.前記ハロゲン化銀写真乳剤中にチオシ
アン酸化合物が存在し、かつ該粒子表面に存在するチオ
シアン酸化合物含有量が、銀1モル当たり1×10−4
モル以上2×10−3モル未満であることを特徴とする
上記1記載のハロゲン化銀写真乳剤、
【0026】3.ラジカルスカベンジャーが、下記一般
式(A)又は(B)で表される化合物の少なくとも1種
からなることを特徴とする上記1又は2記載のハロゲン
化銀写真乳剤、
【0027】
【化5】 一般式(A)において、R及びR′は同一でも異なって
いてもよく、それぞれアルキル基又はアリール基を表
す。一般式(B)において、RとRは同一でも異な
っていてもよく、それぞれヒドロキシアミノ基、ヒドロ
キシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミ
ノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、アルキル基又はアリール基を表
す。
【0028】4.ラジカルスカベンジャーが下記一般式
(C)で表される化合物の少なくとも1種からなること
を特徴とする上記1又は2記載のハロゲン化銀写真乳
剤、
【0029】
【化6】 一般式(C)において、Ra〜Raは同一でも異な
っていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アル
ケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシカ
ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、
スルホニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スル
ファモイル基、ハロゲン原子又は−X−Raを表す。
ここで−X−は−O−、−S−又は−N(Ra)−を
表す。Raはアルキル基、アルケニル基、アリール
基、ヘテロ環基、アシル基又はスルホニル基を表し、R
は水素原子又はRaで定義された基を表す。Ra
〜Raの各基が同時に水素原子であることはなく、
Raがハロゲン原子、−O−Ra又は−S−Ra
の場合は、Ra又はRaの少なくとも一方はアルキ
ル基である。
【0030】5.支持体上に少なくとも1層の感光性ハ
ロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料に
おいて、該ハロゲン化銀乳剤層中に上記1〜4のいずれ
かに記載のハロゲン化銀写真乳剤が含有されていること
を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料、
【0031】6.現像主薬を含有することを特徴とする
上記5記載のハロゲン化銀写真感光材料、
【0032】7.下記一般式(D)で表される化合物を
少なくとも一種類含有することを特徴とする上記6記載
のハロゲン化銀写真感光材料、
【0033】
【化7】 一般式(D)中、R、Rは各々独立にヒドロキシ
基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルア
ミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカル
ボニルアミノ基、メルカプト基又はアルキルチオ基を表
す。Xは5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表
す。
【0034】8.上記5〜7のいずれかに記載のハロゲ
ン化銀写真感光材料が両面感材であり、該ハロゲン化銀
写真感光材料をX線エネルギーが80KVpのX線に対
して45%以上の吸収量を示し、蛍光体の充填率が68
%以上で、かつ蛍光体の厚みが135μm以上200μ
m以下の蛍光増感紙に挟んでX線を照射することにより
像様露光を行うことを特徴とするX線画像形成方法、
【0035】9.上記8記載の蛍光増感紙及びハロゲン
化銀写真感光材料を用いてX線を照射して画像を形成す
る方法において、該ハロゲン化銀写真感光材料を現像工
程、定着工程を含む処理工程で処理することを特徴とす
るX線画像形成方法、
【0036】10.現像工程、定着工程の少なくとも1
工程は、固形処理剤を供給し、処理液を調整しつつハロ
ゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とする上記
9記載のX線画像形成方法、
【0037】11.処理槽に固形処理剤を供給する機構
を有する処理装置で処理することを特徴とする上記10
記載のX線画像形成方法、
【0038】12.上記6〜11のいずれかに記載のX
線画像形成方法において、該ハロゲン化銀写真感光材料
を下記一般式(D)で表される化合物を含有する現像液
及び/又は現像補充液を用いて処理装置で処理すること
を特徴とするX線画像形成方法、
【0039】
【化8】 一般式(D)中、R、Rは各々独立にヒドロキシ
基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルア
ミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカル
ボニルアミノ基、メルカプト基又はアルキルチオ基を表
す。Xは5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表
す。
【0040】13.上記8〜12のいずれかに記載のX
線画像形成方法において、該ハロゲン化銀写真感光材料
を処理装置を用いて全処理時間25秒以下で処理するこ
とを特徴とするX線画像形成方法、
【0041】14.上記8〜13のいずれかに記載のX
線画像形成方法において、現像液補充量及び/又は定着
液補充量がハロゲン化銀写真感光材料1m当たり5m
l以上100mlで処理されることを特徴とするX線画
像形成方法、の各々によって達成される。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。 (ハライド組成分布定義)本発明において、ハロゲン化
銀粒子の最表面のハロゲン組成の粒子間の分布とは、粒
子最表面が含有する複数のハロゲン化物のうち、含有率
(モル分率)が最大のものを除いて定義されるもので、
TOF−SIMSを用いて少なくとも50個のハロゲン
化銀粒子の最表面ハロゲン含有率を求め、それらの平均
値及び標準偏差から変動係数(C.V.値)を得、ハロ
ゲン組成の粒子間分布が得られる。具体的には、例え
ば、最表面のハロゲン含有率(モル分率)が塩化銀=6
0%、臭化銀=30%、沃化銀=10%の割合で構成さ
れるハロゲン化銀粒子に対しては、最表面臭素含有率の
粒子間分布及び最表面沃素含有率の粒子間分布がそれぞ
れ得られる。本発明において、この例のように同一乳剤
に対して複数の最表面ハロゲン組成が定義される場合に
は、その中の少なくとも1種類の最表面ハロゲン組成の
粒子間分布が20%以下を満たす必要があるが、好まし
くは、2種類以上の最表面ハロゲン組成の粒子間分布が
20%以下を満たす場合である。また、該粒子間分布
は、好ましくは12%以下、更に好ましくは10%以下
であり、最も好ましくは5%以下である。
【0043】本発明においてハロゲン化銀粒子は、粒子
の最表面に臭化銀及び/又は沃化銀が存在することが好
ましい。最表面の臭化銀含有率は20モル%以上が好ま
しく、50モル%以上が更に好ましい。また、最表面の
沃化銀含有率は、0.1モル%以上10モル%以下が好
ましく、0.5モル%以上5モル%以下が更に好まし
く、1.0モル%以上5モル%以下が最も好ましい。
【0044】本発明において、ハロゲン化銀粒子は表面
近傍及び/又は頂点近傍に臭化銀及び/又は沃化銀局在
相を有することが好ましい。本発明でいう表面近傍と
は、粒子の最表面から測って、粒子サイズの1/5以
内、好ましくは1/7以内の位置のことである。また本
発明でいう頂点近傍とは、投影された本発明中のハロゲ
ン化銀粒子の面積と同一面積の円の直径の約1/3の長
さを一辺とし、粒子の頂点を一つの角とする粒子の面積
内のことをいう。
【0045】表面近傍及び/又は頂点近傍の臭化銀局在
相の臭化銀含有率は20モル%以上が好ましく、50モ
ル%以上が更に好ましい。また、沃化銀局在相の沃化銀
含有率は、0.1モル%以上5モル%以下が好ましい。
【0046】最表面のハロゲン組成は一般に表面電子分
光法と呼ばれるオージェ電子分光法、X線電子分光法又
はイオン散乱分光法又は二次イオン質量分析法(以下、
SIMSと略す)によって検出することができるが、本
発明においては粒子間のハロゲン組成の分布を求めるた
めに個々のハロゲン化銀粒子を識別できる程度の空間分
解能を有している必要がある。個々のハロゲン化銀粒子
を識別できる程度とは、検出手段が有する空間分解能が
測定対象となるハロゲン化銀粒子の平均粒子直径の好ま
しくは0.5以下、更に好ましくは0.2以下、最も好
ましくは0.1以下である場合をいう。空間分解能は検
出プロープが電子、イオン等荷電粒子の場合にはレンズ
によって収束し向上させることが可能であり、X線の場
合にはB.M.Gordon and B.Manow
itz,US DOE Rep.BNL−46377
(1991)等を参考としてシンクロトロン放射光を使
用することができる。表面電子分光法についてはD.ブ
リッグス、M.P.シーア編「表面分析−基礎と応用
−」(アグネ承風社)を、イオン散乱分光法については
L.M.Niedzwiecki and Y.T.T
an,J.Photogr.Sci.35,155(1
987)を参考にすることができる。また、ハロゲン化
銀粒子は不安定であるため、オージェ電子分光法、X線
光電子分光法、イオン散乱分光法を用いる場合にはH.
Okusa et al.“Surface Anal
ysis of Silver Halide Mic
rocrystals by Photoelectr
on Spectroscopy”(Proceedi
ngs of IS&T’s 47th Annual
Conference/May 1994/Roch
ester New York)を参考として測定対象
を冷却し、測定中におけるハロゲン化銀粒子の変質を防
止することが必要である。
【0047】一方、SIMSは破壊分析法に属する手法
であるため測定対象の冷却は必ずしも必要としないが、
最表面を測定する際には測定に使用する単位面積当たり
の全一次イオンドープ量を2×1013個/cm以下
にすることが必須である。更に、“Secondary
Ion Mass Spectrometry SI
MS VII”,p.821,1990(John W
iley & Sons)によって開示されているよう
な、一次イオンによって破壊された箇所から放出される
種々の二次イオンのうち複数の種類を同時に計測するこ
とが可能なマルチチャンネル検出系を備えていることが
必要であり、T.J.Maternaghan et
al.,J.of lmag.Sci.34,58(1
990)に示されているようなシングルチャンネル検出
系を用いるのは好ましくない。上記観点から本発明にお
いて用いることができる最も好ましい方式のSIMSは
飛行時間型二次イオン質量分析法(以下、TOF−SI
MSと略す)である。
【0048】本発明において、ハロゲン化銀粒子の最表
面のハロゲン組成をTOF−SIMSを用いて測定する
場合の具体的手順は以下の通りである。
【0049】測定に用いるハロゲン化銀乳剤からハロゲ
ン化銀粒子を取り出すためには、セーフライト下におい
て分散媒であるゼラチンを蛋白質分解酵素により分解
し、遠心分離による上澄み除去と蒸留水による洗浄を行
う方法が一般的に用いられる。ハロゲン化銀粒子がゼラ
チンを主バインダーとする塗膜中に存在する際には同様
にしてゼラチンを蛋白質分解酵素により分解して粒子を
取り出せばよく、ゼラチン以外の高分子ポリマーが含有
される場合には適当な有機溶媒を用いてポリマーを溶解
除去すればよい。また、染料、増感色素等が粒子表面に
吸着している場合にはアルカリ水溶液、アルコール等を
適宜使用してこれらを除去せしめ、清浄なハロゲン化銀
粒子表面を得ることができる。水中に分散された粒子は
導電性基板上に塗布し乾燥させて測定に使用するが、粒
子同士を凝集せずに基板上に配置させることが好まし
く、光学顕微鏡、又は走査電子顕微鏡を用いて一連の手
順で得られた試料を観察し確認することが好ましい。粒
子の凝集を防止するため分散助剤を用いてもよい。この
場合、一般に用いられる陰イオン界面活性剤、陽イオン
界面活性剤等はSIMS測定の際の二次イオン強度を不
安定にするため好ましく、0.2重量%以下のゼラチン
を含有する水溶液を分散助剤として用いることが好まし
い。導電性基板上としては平滑であり、表面にアルカリ
金属など二次イオン収率の高い元素を含まないものが好
ましく、抵抗率が1.0オーム・cm以下である鏡面研
磨された低抵抗シリコン単結晶ウェハーを十分に洗浄し
て用いることが好ましい。更に、粒子が基板上に凝集せ
ずに配置させるために、回転塗布機、真空凍結乾燥機等
を適宜使用してもよい。
【0050】TOF−SIMS測定時の一次イオンとし
て好ましいイオン種はAu、In、Cs、Ga
などの液体金属イオン種であるがこのうちGaが最も
好ましい。検出すべき好ましい二次イオンとしては、一
価の負イオンであり、塩化銀、臭化銀、沃化銀に対して
はそれぞれ35Cl、37Cl、79Br、81
Br、127lをそれぞれ測定すればよい。
【0051】一次イオンの加速電圧は20kVないしは
30kVが好ましく、ナイフエッジ法により測定される
ビーム直径が0.25μm以下となるように各種の調整
を実施することが好ましい。ビーム電流等照射条件及び
照射時間は任意であるが、単位面積当たりの全一次イオ
ンドープ量が2×1013/cmを越えないようにす
ることが好ましい。一次ビーム走査領域は任意である
が、粒子表面各点の二次イオン強度を0.2μm以下の
間隔で測定することが好ましく、例えば、20μm×2
0μmの範囲を走査する時には128点×128点の値
が得られるようにすればよい。測定が終了したらビーム
走査領域が重複しない位置まで試料をずらし、同様にし
て、他の粒子と凝集又は密着せず基板上に配置された粒
子の少なくとも50個以上の測定が終了するまで繰り返
し、得られたデータは各二次イオン、各測定領域毎の配
列としてそれぞれ記録すればよい。
【0052】上記測定によって得られた配列は適当な表
計算プログラムを用いて目的とする処理を施される。
【0053】ひとつの測定領域で得られた、35C
、37Cl、79Br、81Br、127l
なる二次イオン個数を表す配列A A(35Cl)、A(37Cl)、A(79B
)、A(81Br)、A(127l)は B(Cl)=A(35Cl)+A(37Cl) B(Br)=A(79Br)+A(81Br) B(l)=A(127l) のそれぞれの一価の二次イオン強度の総和Cl、Br
、lの強度を表す配列Bに変換する。次に C(AgCl%)=100×B(Cl)/(B(Cl)
+B(Br)+B(l)) C(AgBr%)=100×B(Br)/(B(Cl)
+B(Br)+B(l)) C(Agl%)=100×B(l)/(B(Cl)+B
(Br)+B(l)) によって最表面塩化銀含有率、最表面臭化銀含有率、最
表面沃化銀含有率の2次元分布をそれぞれ表す配列Cを
得る。配列の各要素での値はグレースケール又はカラー
に変換して二次元的に表示することができる。
【0054】次に、一次イオンビームが空間的に強度分
布を有し粒子の周辺で二次イオン収率が低下する現象、
及び粒子表面の汚染による二次イオン収率低下を補正す
るために、配列Bのうち配列要素の総和が最大となるも
のに50カウントないし100カウントのしきい値を定
め、配列要素のうちしきい値に満たないものを選び、そ
れと対応する配列Cの要素を0とする走査を行い新たに
配列C′を求めることができる。配列C′はしきい値に
より補正された最表面ハロゲン含有率の2次元分布を表
す配列であり、この中で0以外の値を持ち隣接して六角
形、三角形、円形、正方形、長方形などの一群を形成す
る要素をひとつにまとめて平均値を求めることによって
一つのハロゲン化銀粒子の最表面ハロゲン含有率が得ら
れる。同様にして少なくとも50個のハロゲン化銀粒子
の最表面ハロゲン含有率を求め、それらの平均値及び標
準偏差から変動係数(C.V.値)を得、ハロゲン組成
の粒子間の分布が得られる。
【0055】本発明のハロゲン化銀写真乳剤にはハロゲ
ン化銀として、沃臭化銀、沃塩化銀、塩沃臭化銀、塩臭
化銀等を用いることができる。
【0056】本発明において、ハロゲン化銀粒子が沃化
銀を含有する場合、その沃化銀の含有量は、ハロゲン化
銀粒子全体での平均沃化銀含有率として0.8モル%以
下が好ましいが、0.5モル%以下がより好ましく、更
には0.01モル%以上0.4モル%以下が好ましい。
【0057】本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子
が(111)面を主平面とする場合、臭化銀含有率が5
0モル%以上であることが好ましい。また、(100)
面を主平面とする場合、塩化銀含有率が30モル%以上
であることが好ましい。
【0058】本発明において、個々のハロゲン化銀粒子
のハロゲン組成及び平均のハロゲン組成はEMPA法
(Electron Probe Micro Ana
lyzer法)を用いることにより求めることができ
る。この方法は乳剤粒子を互いに接触しないようによく
分散したサンプルを作成し、電子ビームを照射し、電子
線励起によるX線分析を行うもので極微小な部分の元素
分析を行える。この方法により、各粒子から放射される
銀及びハロゲンの特性X線強度を求めることにより、個
々の粒子のハロゲン化銀組成を決定できる。少なくとも
50個の粒子についてEPMA法によりハロゲン組成を
求めれば、それらの平均から平均ハロゲン組成が求めら
れる。
【0059】本発明のハロゲン化銀写真乳剤に含まれる
ハロゲン化銀粒子は粒子間のハロゲン組成がより均一に
なっていることが好ましい。EPMA法により粒子間の
ハロゲン組成の分布を測定したとき、特に沃素の粒子間
の組成の相対標準偏差が35%以下、更には20%以下
であることが好ましい。
【0060】本発明において、ハロゲン化銀粒子が沃化
銀を含有する場合、含有する位置は表面及び/又は内部
であるが、少なくとも表面に含有することが好ましい。
表面の場合、特に最表面に含有することが好ましい。
【0061】また、本発明において、ハロゲン化銀粒子
は内部に沃化銀を含有することが好ましく、少なくとも
中心部に存在することが更に好ましい。この場合、内部
の組成は沃化銀を0.1モル%以上5モル%以下含有す
ることが好ましい。ここで、ハロゲン化銀粒子内部のハ
ロゲン組成分布は粒子を超薄切片に前処理した後、冷却
しながら透過電子顕微鏡で観察、分析を行うことにより
求められる。具体的には乳剤からハロゲン化銀粒子を取
り出した後、樹脂中に包理し、これをダイヤモンドナイ
フで切削することにより厚さ60nmの切片を作製す
る。この切片を液体窒素で冷却しながら、エネルギー分
散型X線分析装置を装着した透過電子顕微鏡により観察
と点分析を行い、定量計算することにより求められる
(井上、長澤:写真学会昭和62年年次大会講演要旨集
62頁)。
【0062】(平板粒子)本発明のハロゲン化銀写真乳
剤は、該乳剤中のハロゲン化銀粒子の全投影面積の50
%以上が平板状ハロゲン化銀粒子からなることが特徴で
あるが、好ましくは70%以上、より好ましくは80%
以上100%以下、更に好ましくは90%以上100%
以下が平板状ハロゲン化銀粒子からなる場合である。
【0063】平板状ハロゲン化銀粒子とは、2つの対向
する平行な主平面を有する粒子をいい、粒子厚さに対す
る粒径の比(以下、アスペクト比と称す)の平均値が3
より大きいものをいう。ここで粒径とは、平均投影面積
径(以下、粒径と記す)のことで、該平板状ハロゲン化
銀粒子の投影面積の円相当直径(該ハロゲン化銀粒子と
同じ投影面積を有する円の直径)で示され、厚さとは平
板状ハロゲン化銀粒子を形成する2つの平行な主平面間
の距離を示す。
【0064】本発明のハロゲン化銀写真乳剤に含まれる
平板状ハロゲン化銀粒子(以下、本発明の平板状ハロゲ
ン化銀粒子と略すこともある。)の平均アスペクト比は
3以上15以下が好ましいが、より好ましくは3以上1
0未満であり、更に好ましくは3以上8未満であり、最
も好ましくは3以上5未満である。
【0065】本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の主平面
は(111)面であっても、(100)面であってもよ
い。
【0066】主平面が(111)面からなる場合、該平
板状ハロゲン化銀粒子は六角形であることが好ましい。
六角形の平板状粒子(以下、六角平板粒子と略す場合も
ある。)とは、その主平面((111)面)の形状が六
角形であり、その、最大隣接辺比率が1.0〜2.0で
あることをいう。ここで最大隣接辺比率とは六角形を形
成する最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長さ
を有する辺の長さの比である。本発明において、六角平
板粒子は最大隣接辺比率が1.0〜2.0であればその
角が丸みをおびていることも好ましい。角が丸みをおび
ている場合の辺の長さは、その辺の直線部分を延長し、
隣接する辺の直線部分を延長した線との交点との間の距
離で表される。また、更に角がとれ、ほぼ、円形の平板
粒子となっていることも好ましい。
【0067】本発明において六角平板粒子の六角形を形
成する各辺はその1/2以上が実質的に直線からなるこ
とが好ましい。本発明においては隣接辺比率が1.0〜
1.5であることがより好ましい。
【0068】(双晶面間距離)本発明の平板状ハロゲン
化銀粒子は、主平面が(111)面からなる場合、主平
面に平行な2枚以上の双晶面を有する。双晶面は透過型
電子顕微鏡により観察することができる。具体的な方法
は次の通りである。まず、含有される平板状ハロゲン化
銀粒子の主平面が支持体上にほぼ平行に配向するように
感光性ハロゲン化銀写真乳剤を塗布し、試料を作製す
る。これをダイヤモンド・カッターを用いて切削し、厚
さ0.1μm程度の薄切片を得る。この切片を透過型電
子顕微鏡で観察することにより、双晶面の存在を確認す
ることができる。
【0069】本発明において双晶面間距離とは、双晶面
が2枚の場合、該双晶面の間の距離を表し、双晶面が3
枚以上の場合、双晶面間の距離のうち最も長い距離をい
う。
【0070】本発明において、双晶面間距離は以下のよ
うに求めることができる。即ち、上記の透過型電子顕微
鏡を用いた切片の観察を行い、主平面に対しほぼ垂直に
切断された断面を示す平板状ハロゲン化銀粒子を任意に
100個以上選び、それぞれの粒子について双晶面間距
離を測定し、その加算平均により求めることができる。
【0071】本発明においては、双晶面間距離の平均値
が0.008μm以上が好ましいが、より好ましくは
0.010μm以上であり、更に好ましくは0.012
μm以上0.05μm以下である。
【0072】主平面が(100)面からなる場合、該平
板状ハロゲン化銀粒子の主平面の形状は直角平行四辺形
又は直角平行四辺形の角が丸まった形状である。該直角
平行四辺形の隣接辺比は10未満であることが好まし
く、より好ましくは5未満、更に好ましくは2未満であ
る。尚、角が丸みをおびている場合の辺の長さは、直角
平行四辺形の辺の直線部分を延長し、隣接する辺の直線
部分を延長した線との交点までの長さで表す。
【0073】本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子
の結晶面の測定方法については、Journal of
Imaging Science,vol.29,N
o.5,Sept.1985,SPRINGFIELD
US,165−171において谷らによって報告され
ている方法を用いることができる。
【0074】(転位)本発明のハロゲン化銀粒子は転位
を有していてもよい。転位は例えばJ.F.Hamil
ton,Photo.Sci.Eng,57(196
7)や、T.Shiozawa,J.Soc.Pho
t.Sci.Japan,35,213(1972)に
記載の低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法
により観察することができる。即ち、乳剤から粒子に転
位が発生する程の圧力をかけないように注意して取りだ
したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュに
載せ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐよ
うに試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。こ
のとき、粒子の厚みが厚いほど電子線を透過しにくくな
るので、高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対して2
00KV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観
察することができる。
【0075】(単分散)本発明のハロゲン化銀粒子の平
均粒径は0.15〜5.0μmであることが好ましく、
0.4〜3.0μmであることが更に好ましく、最も好
ましくは0.4〜2.0μmである。
【0076】本発明のハロゲン化銀粒子の平均厚さは
0.01〜1.0μmであることが好ましく、より好ま
しくは0.02〜0.40μm、更に好ましくは0.0
2〜0.30μmである。
【0077】本発明において、ハロゲン化銀粒子は粒径
分布の狭い単分散粒子であることが好ましい。
【0078】具体的には (粒径の標準偏差/平均粒径)×100=粒径分布の広
さ(%) によって分布の広さを定義したとき、25%以下が好ま
しく、20%以下がより好ましく、17%以下が更に好
ましく、15%以下が最も好ましい。
【0079】本発明のハロゲン化銀粒子は厚さの分布が
狭いことが好ましい。具体的には、 (厚さの標準偏差/平均厚さ)×100=厚さの分布の
広さ(%) によって分布の広さを定義したとき、30%以下のもの
が好ましく、更に好ましくは25%以下のものであり、
特に好ましくは20%以下である。
【0080】粒径及び厚さは、感度、その他写真特性を
最良にするように最適化することができる。感度、その
他写真特性に影響する感光材料を構成する他の因子(親
水性コロイド層の厚さ、硬膜度、化学熟成条件、感光材
料の設定感度、銀付量等)によって最適粒径、最適厚さ
は異なる。
【0081】本発明のハロゲン化銀写真乳剤を得るため
には、ハロゲン化銀粒子最表面のハロゲン組成の粒子間
の均一性を高める必要がある。
【0082】(粒子間均一性)ハロゲン化銀粒子最表面
のハロゲン組成の粒子間の均一性を高める工程として、
ハロゲン化銀真感光材料の製造工程のうち、ハロゲン化
銀粒子の結晶成長〜化学熟成〜塗布液調液〜塗布までの
任意の工程で行うことができるが、結晶成長の終了直線
の段階から、化学熟成終了直後までの段階で行うことが
好ましい。
【0083】結晶成長の段階では、例えば、種粒子乳剤
に微粒子ハロゲン化銀乳剤を添加し、該微粒子ハロゲン
化銀が溶解、種粒子表面上に再結晶することにより成長
させる方法は好ましく用いられる。微粒子ハロゲン化銀
乳剤としては微粒子沃化銀、微粒子臭化銀、微粒子塩化
銀、微粒子沃臭化銀、微粒子沃塩化銀、微粒子塩臭化
銀、微粒子沃塩臭化銀のうち少なくとも一つを用いるこ
とができる。また、ハロゲンイオン放出剤の存在下で結
晶成長を行うことも好ましい。
【0084】本発明において、結晶成長の段階で最表面
のハロゲン組成を粒子間で均一とするためには、遅くと
も結晶成長の終了直前の段階から、微粒子ハロゲン化銀
乳剤を添加し、該微粒子ハロゲン化銀乳剤を添加しつつ
結晶成長を終了させることが好ましい。また、この結晶
成長の終了直前〜終了までの段階は微粒子ハロゲン化銀
乳剤の添加のみで行うことは好ましい。即ち、銀イオン
の供給源としての水溶性銀塩溶液の添加、ハロゲンイオ
ンの供給源としてのハライド水溶液の添加を併用し、結
晶成長させることは、最表面のハロゲン組成の粒子間均
一性を損なわない範囲で行ってもよいが、好ましくな
い。ここで結晶成長の終了直前の段階とは、その後の該
微粒子乳剤の添加での結晶成長により、最終的に得られ
る全ハロゲン化銀粒子の全表面が1格子分被覆される段
階をいう。
【0085】また、本発明において、結晶成長の段階で
最表面のハロゲン組成を粒子間で均一とするためには、
遅くとも結晶成長の終了直前の段階から、ハロゲンイオ
ン放出剤を添加し、及び/又は該ハロゲンイオン放出剤
を添加しつつ結晶成長を終了させることが好ましい。
【0086】本発明において、結晶成長後、ハロゲン化
銀粒子最表面のハロゲン組成の粒子間均一性を高めるこ
とは好ましい。その方法としては、結晶成長が終了した
基盤となるハロゲン化銀粒子を含有する乳剤に、微粒子
沃化銀、微粒子臭化銀、微粒子塩化銀、微粒子沃臭化
銀、微粒子沃塩化銀、微粒子塩臭化銀、微粒子沃塩臭化
銀のうち少なくとも一つの微粒子ハロゲン化銀乳剤を添
加する方法、沃化アルカリ、臭化アルカリ、塩化アルカ
リ等のうち少なくとも一つの塩の水溶液を添加する方
法、ハロゲンイオン放出剤を用いる方法、などが適用で
きる。これらのうち好ましいのは微粒子ハロゲン化銀乳
剤を添加する方法、ハロゲンイオン放出剤を用いる方
法、である。
【0087】(微粒子ハロゲン化銀乳剤)本発明におい
て微粒子ハロゲン化銀乳剤を添加する方法を用いる場
合、微粒子ハロゲン化銀粒子の直径は0.15μm以下
が好ましく、0.1μm以下が更に好ましく、最も好ま
しくは0.06μm以下である。また、微粒子ハロゲン
化銀乳剤を添加する際の温度は、30〜80℃の範囲が
好ましく、更には40〜65℃の範囲が特に好ましい。
【0088】(ハロゲンイオン放出剤)本発明におい
て、ハロゲンイオン放出剤は、下記一般式(1)で示さ
れる化合物(以下、本発明に係る化合物)である。
【0089】一般式(1) R−X 式中、Rは塩基及び/又は求核試薬との反応によりハロ
ゲンイオンを放出する1価の有機酸残基を表す。
【0090】Rは例えば、炭素数1〜30のアルキル
基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30の
アリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、複素環
基、炭素数2〜30のアシル基、カルバモイル基、炭素
数2〜30のアルキル又はアリールスルホニル基、スル
ファモイル基が好ましい。Rの炭素数としては12以下
が特に好ましい。又、Rは置換されていることが好まし
く、好ましい置換基としては以下のものが挙げられる。
【0091】ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭
素、沃素)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、n−オクチ
ル、シクロベンチル、シクロヘキシル)、アルケニル基
(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル)、
アルキニル基(例えば、プロパルギル、3−ペンチニ
ル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチ
ル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、4−
メチルフェニル)、複素環基(例えば、ピリジル、フリ
ル、イミダゾリル、ピペリジル、モルホリル)、アルコ
キシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ア
リールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフトキシ)、
アミノ基(例えば、無置換アミノ、ジメチルアミノ、エ
チルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えば、ア
セチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、ウレイド基(例え
ば、無置換ウレイド、N−メチルウレイド、N−フェニ
ルウレイド)、ウレタン基(例えば、メトキシカルボニ
ルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホニル
アミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニル
スルホニルアミノ)、スルファモイル基(例えば、スル
ファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニル
スルファモイル)、カルバモイル基(例えば、カルバモ
イル、ジエチルカルバモイル、フェニルカバモイル)、
スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、ベンゼンス
ルホニル)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィ
ニル、フェニルスルフィニル)、アルキルオキシカルボ
ニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノ
キシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、ベン
ゾイル、ホルミル、ビバロイル)、アシルオキシ基(例
えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、燐酸アミド基
(例えば、N,N−ジエチル燐酸アミド)、アルキルチ
オ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチ
オ基(例えば、フェニルチオ)、シアノ基、スルホ基、
カルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基
である。
【0092】更に好ましい置換基は、ハロゲン原子、ア
ルキル基、アリール基、酸素原子、窒素原子又は硫黄原
子の少なくとも1つのヘテロ原子を含有する5員又は6
員の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシ
ルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオ
キシカルボニル基、アシル基、スルホ基、カルボキシル
基、ヒドロキシ基及びニトロ基である。
【0093】特に好ましい置換基は、アルキレン基に置
換する場合はヒドロキシ基、カルバモイル基、低級アル
キルスルホニル基又はスルホ基(その塩を含む)であ
り、フェニレン基に置換する場合はスルホ基(その塩を
含む)である。
【0094】本発明の化合物は、塩基又は求核試薬との
反応により、ハロゲンイオンを放出するが、このハロゲ
ンイオンは、ハロゲンイオンそのものである場合もある
し、ハロゲン原子と他の有機基と結合したハロゲンイオ
ンである場合もある。
【0095】本発明の化合物は、例えばJ.Am.Ch
em.Soc.,76、3227−8(1954)、
J.Org.Chem.,16,798(1951)、
Chem.Ber.,97,390(1964),Or
g.Synth.,V.478(1973)、J.Ch
em.Soc.,1951,1851,J.Org.C
hem.,19,1571(1954)、J.Che
m.Soc.、1955、1383及びChem.Co
mmu.,1971,1112にも記載があり、これら
を参考にして容易に合成できる。
【0096】一般式(1)で示される化合物は、ハロゲ
ンイオン放出調整剤としての塩基又は求核試薬と反応
し、ハロゲンイオンを放出するが、この際に用いられる
塩基又は求核試薬として、好ましくは以下の化学種が挙
げられる。例えば水酸イオン、亜硫酸イオン、ヒドロキ
シルアミン、チオ硫酸イオン、メルカプタン類、スルフ
ィン酸塩、カルボン酸塩、アルコール類、尿素類、フェ
ノール類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、ホスフィン
類、スルフィド類等が挙げられる。
【0097】本発明においては、塩基や求核試薬の濃
度、添加方法、反応液の温度をコントロールすることに
より、ハロゲンイオンの放出速度、タイミングをコント
ロールすることができる。
【0098】一般式(1)で示されるハロゲンイオン放
出剤の好ましい添加濃度範囲はハロゲン化銀1モル当た
り1×10−5〜10モル、より好ましくは1×10
−4〜5モルである。
【0099】ハロゲンイオン放出速度、タイミングをコ
ントロールする好ましい温度範囲は30〜80℃であ
り、より好ましくは35〜60℃である。
【0100】温度が80℃を上回る高温では一般にハロ
ゲンイオン放出速度が極めて速く、又30℃を下回る低
温ではハロゲンイオン放出速度が極めて遅いため好まし
くない。
【0101】本発明において、ハロゲンイオンの放出の
際に塩基を用いる場合、液のpHのの変化を用いてもよ
い。このとき、ハロゲンイオン放出速度、タイミングを
コントロールする好ましいpHの範囲は2〜12、より
好ましくは5〜10である。
【0102】又、求核試薬と塩基を併用してもよく、こ
のときもpHを上記の範囲でコントロールし、ハロゲン
イオン放出速度、タイミングをコントロールしてもよ
い。
【0103】ハロゲンイオン放出剤からハロゲンイオン
を放出させる場合、全ハロゲン原子を放出させてもよい
し、一部分解せずに残っていてもよい。
【0104】本発明ではハロゲンイオンの放出速度は、
前記のように温度、pH、ハロゲンイオン放出剤、塩
基、求核試薬の濃度をコントロールすることで決定で
き、目的に応じて好ましいハロゲンイオンの放出速度を
選んでよい。
【0105】本発明におけるハロゲンイオンのコントロ
ールは、次のような方法が好ましい。即ち、反応液中に
添加され既に均一に分布しているハロゲンイオン放出剤
からpH、求核物質の濃度、温度などを変化させること
により、通常は低pHから高pHへの変化により、ハロ
ゲンイオンを反応液の全体で均一にコントロールしなが
ら放出させる方法である。
【0106】ハロゲンイオンの放出反応速度をコントロ
ールするための塩基及び/又は求核試薬はハロゲンイオ
ン放出剤を添加する以前に反応液中に存在していてもよ
いが、ハロゲンイオン放出剤が均一に分布している状態
で添加することが好ましい。
【0107】以下に、本発明の一般式(1)で表される
化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に
限定されるものではない。 (1)ICHCOOH (2)ICHCONH (3)ICHCN (4)I(CHCOOH (5)I(CHCOOH
【0108】
【化9】 (9)I(CHSO Na (10)I(CHSOCH (11)I(CHOH (12)I(CHOH (13)I(CHOH
【0109】
【化10】 (22)I(CHSOCHCONH (23)I(CHNH (24)I(CHNHSOCH (25)I(CHNHCOCH (26)I(CHOCH (27)I(CHSCH
【0110】
【化11】 (30)I(CHSONH
【0111】
【化12】
【0112】(45)I(CHCOOH
【0113】
【化13】 (47)I(CHN(CH)SOCH (48)I(CHOCOCH (49)I(CHN(CH)COCH
【0114】
【化14】 (55)ICHCONH(CH−SONa
【0115】
【化15】
【0116】
【化16】
【0117】(表面均一性向上の条件)本発明におい
て、結晶成長後微粒子ハロゲン化銀乳剤を添加する場
合、ハロゲンイオンの放出剤を用いる場合に、基板とな
るハロゲン化銀粒子の溶解度を高めることが好ましい。
そのためには基板となるハロゲン化銀粒子を含む乳剤の
温度を上げる。pAgを変化させる、pHを変化させ
る、ハロゲン化銀溶剤を添加する等の方法を用いること
が好ましい。
【0118】温度を上げる場合、結晶成長温度より3〜
30℃が好ましく、7〜20℃がより好ましい。pAg
はハロゲン組成や、晶癖その他諸条件により好ましい範
囲が異なるが、ハライド水溶液添加や、水溶性銀塩添加
等により、好ましい範囲に調整することができる。又、
pHも適当な、酸・アルカリにより好ましい範囲に調整
することができる。ハロゲン化銀溶剤としては、アンモ
ニア、チオエーテル、チオ尿素、チオシアン酸塩等の公
知のハロゲン化銀溶剤を存在させることが好ましい。
【0119】(チオシアン酸塩)本発明の実施態様にお
いては、ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子表面に
取り込まれたチオシアン酸化合物の量が銀1モル当たり
1×10−4モル以上2×10−3モル未満であること
がより好ましい。
【0120】本発明で用いるチオシアン酸塩としては金
属塩や、NHSCN等の水溶性塩を用いることができ
るが、金属塩の場合には、写真性能に悪影響を及ぼさな
い金属元素を用いるよう注意すべきであり、KSCNや
NaSCN等が好ましい。また、AgSCNのような難
溶性の塩を微粒子として添加してもよい。この場合、微
粒子のサイズとしては直径0.2μm以下が好ましく、
特に、0.05μm以下が好ましい。チオシアン酸塩の
添加時期としては、粒子形成中のどの時期でもよいが、
脱塩工程前であることが好ましい。粒子形成中に添加さ
れたチオシアン酸はその添加量と添加pBrとに依存し
てハロゲン化銀粒子に取り込まれる。添加量は最終の銀
添加量1モルに対して2×10−3モル以上であり、好
ましくは5×10−3モル以上であり、特に好ましくは
1×10−2モル以上である。添加する際のpBrは特
に重要である。低すぎるとチオシアン酸化合物のハロゲ
ン化銀粒子への取り込み率(添加量に対して粒子表面に
取り込まれた量の割合)が著しく減少し、十分な性能を
引き出すことが困難となる。一方、高すぎると取り込み
率が増加し、それに伴ってカブリ発生を生じることが実
験により発見された。取り込まれ率は20%以下である
ことが好ましい。このためにチオシアン酸化合物を添加
した後、水洗前のpBrは好ましくは1.50以上4.
0以下であり、特に好ましくは2.0以上3.50以下
である。取り込まれなかったチオシアン酸化合物は脱塩
工程で取り除くことが好ましい。しかしながら水洗後の
乳剤中であっても、脱塩の程度及び乳剤のpBrに応じ
て、チオシアン酸化合物がバインダー中に存在する。こ
のチオシアン酸化合物は自然経時におけるカブリ発生を
悪化させるので、その存在量は銀1モル当たり3×10
−3モル以下でなければならない。好ましくは2×10
−3モル以下であり、特に好ましくは1×10−3モル
以下である。又粒子に存在するチオシアン酸化合物の量
も多すぎるとカブリ発生を引き起こし、少なすぎると増
感及び現進中の効果が得られない。したがって本発明の
範囲内である必要があるが、好ましくは2×10−3
6×10−3、特に好ましくは2×10−3〜5×10
−3である。
【0121】粒子形成に際してpAg8.0以下に保っ
た状態は、その間の成長量が、粒子形成完了時の体積に
対し1%以上であることが好ましく、より好ましくは1
0%以上であるが、pBr2.5以上の状態を履歴させ
さえすれば、その間実質的に粒子の成長がなくとも効果
は発現する。又、このpBr2.5以上の状態のときに
チオシアン酸イオンが存在してもよいし、存在しなくて
もよいが、チオシアン酸イオンの粒子への取り込みがp
Agで変化することから、pBr2.5以上の状態で粒
子形成することと、チオシアン酸イオンの添加ならびに
取り込ませ量を決めるためのpBrの制御は、別々のプ
ロセスとした方が好ましい。
【0122】(感材及び乳剤中のチオシアン酸化合物の
定量)本発明の目的である、良好な自然経時性のもとに
高感度と迅速な現像進行性とを得るためには、最終的に
得られた乳剤又は感材中のチオシアン酸化合物の量を本
発明の範囲内に制御する必要がある。目的の状態が実現
しているかどうかは以下の方法により確認することがで
きる(実際に使用した遠心分離機とイオンクロマトグラ
フィーの機種、測定条件等の詳細は実施例を参照)。
【0123】1.塗布前の乳剤中のチオシアン酸イオン
の定量 ハロゲン化銀1.5×10−2モルを含む乳剤に1%K
Br水溶液を10ml加え40℃にて30分間攪拌す
る。この乳剤を遠心分離機にかけ、乳剤を完全に分離し
てから上澄み液を100倍に希釈する。更に希釈液を限
外濾過した後、イオンクロマトグラフィーにて希釈液中
のチオシアン酸イオンを定量する。定量は予め別途チオ
シアン酸化合物水溶液を用いて作成した検量線を用い
る。
【0124】2.塗布前乳剤中のハロゲン化銀粒子表面
のチオシアン酸イオンの定量 ハロゲン化銀1.5×10−2モルを含む乳剤に蒸留水
を10ml加え40℃にて30分間攪拌する。この乳剤
を遠心分離にかけ、乳剤を完全に分離してから上澄み液
を100倍に希釈する。更に希釈液を限外濾過した後、
イオンクロマトグラフィーにて希釈液中のチオシアン酸
イオンを定量する。定量は予め別途チオシアン酸化合物
水溶液を用いて作成した検量線を用いる。こうして求め
た値を先に求めた乳剤中の全チオシアン酸イオンの値か
ら引くことで、目的の粒子表面のチオシアン酸イオンの
付着量を求める。
【0125】3.製品形態の感材中のチオシアン酸イオ
ンの定量 感材から銀1g相当を含有する目的の乳剤層を剥離し4
9mlの蒸留水に浸漬する。この溶液に5%KBr水溶
液を1ml加えて40℃にて30分間超音波攪拌を行
う。この溶液を遠心分離にかけた後、上澄み液を濾過す
る。濾過した上澄み液を10倍に希釈してからイオンク
ロマトグラフィーにて含有されるチオシアン酸イオンの
定量を行う。定量は予め別途チオシアン酸化合物水溶液
を用いて作成した検量線を用いる。
【0126】4.製品形態感材中のハロゲン化銀粒子表
面のチオシアン酸イオンの定量 感材から銀1g相当を含有する目的の乳剤層を剥離し5
0mlの蒸留水に浸漬する。この溶液を40℃にて30
分間超音波攪拌を行う。この溶液を遠心分離にかけた
後、上澄み液を濾過する。濾過した上澄み液を10倍に
希釈してからイオンクロマトグラフィーにて含有される
チオシアン酸イオンの定量を行う。こうして求めた値を
先に求めた感材中のチオシアン酸イオンの値から引くこ
とで、目的の粒子表面のチオシアン酸イオンの付着量を
求める。多層塗布された製品感材であっても層別剥離を
行った後この操作を行えば、目的の層の乳剤に関する情
報が正確に求められる。
【0127】(ラジカルスカベンジャー)次に、本発明
に使用されるラジカルスカベンジャーについて説明す
る。本発明におけるラジカルスカベンジャーとは、25
℃下で、ガルビノキシルの0.05mmol/dm
タノール溶液とテスト化合物の2.5mmol/dm
エタノール溶液とを、ストップトフロー法により混合
し、430nmにおける吸光度の時間変化を測定し、実
質的にガルビノキシルを消色(430nmにおける吸光
度を減少)させる化合物のことを言う。好ましくは、上
記に示す方法により求めたガルビノキシルの消色速度定
数が、0.01dm/mmol・s以上、更に好まし
くは、0.1dm/mmol・s以上である。ガルビ
ノキシルを用いてラジカルスカベンジ速度を求める方法
は、Microchemical Journal 3
1,18−21(1985)に、ストップトフロー法に
ついては、例えば、分光研究第19巻 第6号(197
0)321頁に記載されている。
【0128】本発明では、ラジカルスカベンジャーとし
て、一般式(A)、(B)又は(C)で表される化合物
を用いることが更に好ましい。まず、下記一般式(A)
又は(B)で表される化合物について詳しく説明する。
【0129】
【化17】 一般式(A)において、R及びR′は同一でも異なって
もよく、それぞれアルキル基(例えば、メチル、エチ
ル、i−プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチ
ル、ヘキシル、シクロヘキシル、t−オクチル、デシ
ル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)又はアリール
基(例えば、フェニル、ナフチル)を表す。
【0130】一般式(B)において、R及びRは同
一でも異なってもよく、それぞれ、ヒドロキシアミノ
基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基(例
えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、
メチルエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミ
ノ、シクロヘキシルアミノ、t−オクチルアミノ、ドデ
シルアミノ、ヘキサデシルアミノ、ベンジルアミノ、ベ
ンジルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フ
ェニルアミノ、フェニルメチルアミノ、ジフェニルアミ
ノ、ナフチルアミノ)、アルコキシ基(例えば、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシ
ルオキシ、ベンジルオキシ、オクチルオキシ、トリデシ
ルオキシ、ヘキサデシルオキシ)、アリールオキシ基
(例えば、フェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基
(例えば、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチ
オ、ブチルチオ、シクロヘキシルチオ、ベンジルチオ、
t−オクチルチオ、ドデシルチオ)、アリールチオ基
(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ)、アルキル基
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロ
ヘキシル、i−アミル、sec−ヘキシル、t−オクチ
ル、ドデシル、ヘキサデシル)、アリール基(例えば、
フェニル、ナフチル)を表す。
【0131】ここで一般式(A)又は(B)で表される
R、R′、R及びRで表される基は更に置換基で置
換されてもよい。これらの置換基としては、例えば、ア
ルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミ
ド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルバモ
イル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル
基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、アシルオキシ基などが挙げられる。一
般式(A)においてはR及びR′がアルキル基のものが
好ましい。一方、一般式(B)においてはR及びR
がヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ
基から選ばれた基が好ましい。本発明の化合物のうち、
特に好ましいものは一般式(B′)で表すことができ
る。
【0132】
【化18】 式中、Rは一般式(B)におけるとRと同じ基を表
し、好ましい基も一般式(B)の場合と同じである。以
下に本発明の一般式(A)、(B)で表される化合物の
具体例を挙げるが、これによって本発明が制限されるこ
とはない。
【0133】
【化19】
【0134】
【化20】
【0135】
【化21】
【0136】
【化22】
【0137】
【化23】
【0138】
【化24】
【0139】
【化25】
【0140】本発明のこれらの化合物はJ.Org.C
hem.,27,4054(’62),J.Amer.
Chem.,Soc.,73,2981(’51),特
公昭49−10692号等に記載の方法又はそれに準じ
た方法によって容易に合成することができる。
【0141】
【化26】
【0142】本発明で述べる置換基は更に置換基を有し
てもよい。一般式(C)においてRa〜Raは同一
でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基
(例えばメチル、t−ブチル、t−オクチル、シクロヘ
キシル、2′−ヒドロキシベンジル、4′−ヒドロキシ
ベンジル、カルボキシルエチルであり、好ましい炭素数
は1〜30)、アルケニル基(例えば、アリル、ビニル
であり好ましい炭素数は2〜30)、アリール基(例え
ば、フェニル、2−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキ
シフェニルであり、好ましくは炭素数6〜30のフェニ
ル及び置換フェニル)、ヘテロ環基(例えば、4−モル
ホリニル、1−ピペリジル、1−ピロリジニルであり、
好ましくは炭素数4〜15の飽和ヘテロ環)、アルキル
オキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル、ヘ
キサデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボ
ニル基(例えば、フェノキシカルボニル、2,4−ジ−
t−ブチルフェノキシカルボニル)、アシル基(例え
ば、アセチル、ベンゾイル、ミリストイル)、スルホニ
ル基(好ましくはアルキルスルホニル基、例えば、メタ
ンスルホニル、アリールスルホニル基、例えば、ベンゼ
ンスルホニル、2−ヒドロキシベンゼンスルホニル)、
カルボキシル基、カルバモイル基(例えばジメチルカル
バモイル、メチルフェニルカルバモイル、ドデシルカル
バモイル)、スルファモイル基(例えば、ジメチルスル
ファモイル、ドデシルスルファモイル)、ハロゲン原子
(例えば、クロル、ブロム、フッ素)又は−X−Ra
を表す。
【0143】−X−は、−O−、−S−又は−N(Ra
)−を表す。Raはアルキル基(例えば、メチル、
イソプロピル、オクチル、ベンジル、ヘキサデシル、メ
トキシエチル、シクロヘキシルであり好ましい炭素数は
1〜26)、アルケニル基(例えば、アリル、ビニルで
あり好ましい炭素数は2〜26)、アリール基(例え
ば、フェニル、4−メトキシフェニル、ナフチルであ
り、好ましくは炭素数6〜30のフェニルあるいは置換
フェニル)、ヘテロ環基(例えば、2−テトラヒドロピ
ラニル、ピリジル)、アシル基(例えば、アセチル、ベ
ンゾイル、テトラデカノイル)又は、スルホニル基(好
ましくはアルキルスルホニル基、例えば、メタンスルホ
ニル、オクタンスルホニル、アリールスルホニル基、例
えば、ベンゼンスルホニル)を表し、Raは水素原子
又はRaで定義された基を表す。Ra〜Raの各
基のうち互いにオルト位にある置換基が結合して5〜7
員環(例えば、クロマン環、インダン環)を形成しても
よく、これはスピロ環あるいはビシクロ環を形成してい
てもよい。
【0144】但し、Ra〜Raの各基が同時に水素
原子であることはなく、Raがハロゲン原子、−O−
Ra又は−S−Raの場合は、Ra及びRa
少なくとも一方はアルキル基である。
【0145】一般式(C)で表される化合物において、
本発明の効果の点で好ましい化合物を列挙する。 ・Ra、Ra又はRaのいずれかの位置に置換基
があり、それらの中の少なくとも1つの置換基のα位に
水素原子を持つ化合物。 ・Raにアルキル基が置換した化合物。 ・Raにアシルアミノ基が置換した化合物。 ・Ra〜Raの各基のうち互いにオルト位にある置
換基が結合して、クロマン環、クラマン環又はインダン
環を形成した化合物。
【0146】一般式(C)で表される化合物において、
本発明の効果の点で特に好ましい化合物は下記に示す一
般式(C−I)及び(C−II)であり、最も好ましい
化合物は一般式(C−II)である。
【0147】
【化27】 一般式(C−I)において、Ra10はアルキル基を表
し、Ra11はアルキル基、アルコキシ基、又はアリー
ルオキシ基を表す。Ra、Ra及びRaは、一般
式(C)で定義した基を表す。一般式(C−I)におい
て、本発明の効果の点でRa、Ra及びRaは水
素原子、アルキル基又はアルコキシ基である化合物が好
ましい。
【0148】一般式(C−I)において、RaとRa
11、RaとRa10あるいはRaとRaが結合
子、印段環、クマラン環、クロマン環又はそれらのスピ
ロ環、ビシクロ環を形成している化合物も好ましい。
【0149】一般式(C−I)において、Ra12〜R
15はアルキル基を表し、Ra15は、水素原子、ア
ルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基又はス
ルホニル基を表す。Xaは単結合、−O−、−S−又
は−CH(Ra17)−を表す。ここでRa17は水素
原子、アルキル基又はアリール基を表す。一般式(C−
II)において、本発明の効果の点で、Ra16が水素
原子である化合物、あるいはXaが−CH(R
17)−である化合物が好ましく、この時、Ra17
が水素原子又はアルキル基(好ましい炭素数は1〜1
1)の場合は特に好ましい。
【0150】以下に本発明の一般式(C)で表される化
合物の具体的化合物例を示すが、これによって本発明に
使用される化合物が限定されるものではない。
【0151】
【化28】
【0152】
【化29】
【0153】
【化30】
【0154】
【化31】
【0155】
【化32】
【0156】
【化33】
【0157】
【化34】
【0158】
【化35】
【0159】
【化36】
【0160】
【化37】
【0161】
【化38】
【0162】
【化39】
【0163】
【化40】
【0164】
【化41】
【0165】本発明の一般式(C)で表される化合物の
他の好ましい化合物例及び合成法は、米国特許3,43
2,300号、同3,573,050号、同3,57
4,627号、同3,700,455号、同3,76
4,337号、同3,930,866号、同4,11
3,495号、同4,120,723号、同4,26
8,593号、同4,430,425号、同4,74
5,050号、同2,043,931号、欧州特許17
6,845号、特公昭48−31256号、同54−1
2055号、特開平1−137258号、同1−137
254号等に記載されている。
【0166】下記にいくつかのラジカルスカベンジャー
のガルビノキシルの消色速度定数を示す。 化合物 消色速度定数 A−5 0.4 mmol−1−1dm A−15 0.5 mmol−1−1dm A−20 0.3 mmol−1−1dm B−3 0.8 mmol−1−1dm B−10 0.9 mmol−1−1dm C−14 10.0 mmol−1−1dm
【0167】本発明において、ラジカルスカベンジャー
化合物は、水、アルコール、エステル又はケトン類又は
これらの混合溶媒に溶解した後添加すればよい。水に溶
解する場合、pHを高く、又は低くした方が溶解度が上
がるものについては、pHを高く又は低くして溶解し、
これを添加してもよい。可溶性のラジカルスカベンジャ
ーをまた、ゼラチン水溶液中に分散した形で添加しても
よい。
【0168】本発明の方法において、ラジカルスカベン
ジャー化合物の添加量は添加するハロゲン化銀1モル当
たり、1×10−6〜1×10−2モルの範囲が好まし
く、更に好ましくは1×10−5〜1×10−3モル、
より好ましくは5×10−5〜1×10−3モルであ
る。
【0169】本発明の方法において、ラジカルスカベン
ジャーの添加時期は、粒子形成工程(物理熟成を含
む)、脱塩水洗工程、化学増感工程のいずれの時期でも
よい。粒子形成工程から化学増感工程の開始時の間に添
加されることが好ましい。又、粒子形成工程において、
添加されることが特に好ましい。
【0170】(化学熟成)本発明において、化学熟成工
程にて、ハロゲン化銀粒子最表面のハロゲン組成の粒子
間均一性を高めることは好ましい。その方法としては、
基板となるハロゲン化銀粒子を含有する乳剤に、微粒子
沃化銀、微粒子臭化銀、微粒子塩化銀、微粒子沃臭化
銀、微粒子沃塩化銀、微粒子塩臭化銀、微粒子沃塩臭化
銀のうち少なくとも一つの微粒子ハロゲン化銀乳剤を添
加する方法、沃化アルカリ、臭化アルカリ、塩化アルカ
リ等のうち少なくとも一つの塩の水溶液を添加する方
法、ハロゲンイオンの放出剤を用いる方法、ハロゲンイ
オン放出剤を用いる方法、等が適用できる。これらのう
ち好ましいのは微粒子ハロゲン化銀乳剤を添加する方
法、ハロゲンイオン放出剤を用いる方法である。
【0171】ここで言う化学熟成工程とは、本発明のハ
ロゲン化銀乳剤の物理熟成及び脱塩操作が終了した時点
から、化学増感剤を添加し、その後化学熟成を停止する
ための操作を施した時点までの間を指す。
【0172】又、微粒子ハロゲン化銀乳剤の添加やハロ
ゲンイオン放出剤は時間間隔をとって数回に分けて行な
ってもよいし、該微粒子、該放出剤の添加後に、更に別
の化学熟成済み乳剤を与えてもよい。
【0173】本発明において微粒子ハロゲン化銀乳剤を
添加する方法を用いる場合、微粒子ハロゲン化銀粒子の
直径は0.15μm以下が好ましく、0.1μm以下が
更に好ましく、最も好ましくは0.06μm以下であ
る。又、微粒子ハロゲン化銀乳剤を添加する際の温度
は、30〜80℃の範囲が好ましく、さらには40〜6
0℃の範囲が特に好ましい。
【0174】本発明において、ハロゲンイオン放出剤と
しては前記一般式(1)の化合物を用いることができ
る。一般式(1)で示されるハロゲンイオン放出剤の好
ましい添加濃度範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×1
−5〜10モル、より好ましくは1×10−4〜5モ
ルである。
【0175】ハロゲンイオン放出剤の添加は化学熟成中
の任意の時期でよく、化学増感、色増感との関係から、
最良の写真性能が得られるように添加時期を選択でき
る。ハロゲンイオン放出速度、タイミングをコントロー
ルする好ましい温度範囲は30〜80℃であり、より好
ましくは35〜60℃である。温度が80℃を上回る高
温では一般にハロゲンイオン放出速度が極めて速く、又
30℃を下回る低温ではハロゲンイオン放出速度が極め
て遅いため好ましくない。
【0176】本発明において、ハロゲンイオンの放出の
際に塩基を用いる場合、液のpHの変化を用いてもよ
い。このとき、ハロゲンイオン放出速度、タイミングを
コントロールする好ましいpHの範囲は2〜12、より
好ましくは5〜10である。又、求核試薬と塩基を併用
してもよく、このときのpHを上記の範囲でコントロー
ルし、ハロゲンイオン放出速度、タイミングをコントロ
ールしてもよい。
【0177】ハロゲンイオン放出剤からハロゲンイオン
を放出させる場合、全ハロゲン原子を放出させてもよい
し、一部分解せずに残っていてもよい。本発明ではハロ
ゲンイオンの放出速度は、前記のように温度、pH、ハ
ロゲンイオン放出剤、塩基、求核試薬の濃度をコントロ
ールすることで決定でき、目的に応じて好ましいハロゲ
ンイオンの放出速度を選んでよい。
【0178】本発明において、ハロゲンイオンのコント
ロールは、次のような方法が好ましい。即ち、反応液中
に添加され既に均一に分布しているハロゲンイオン放出
剤からpH、求核物質の濃度、温度などを変化させるこ
とにより、通常は低pHから高pHへの変化により、ハ
ロゲンイオンを反応液の全体で均一にコントロールしな
がら放出させる方法である。
【0179】ハロゲンイオンの放出反応速度をコントロ
ールするための塩基及び/又は求核試薬はハロゲンイオ
ン放出剤を添加する以前に反応液中に存在していてもよ
いが、ハロゲンイオン放出剤が均一に分布している状態
で添加することが好ましい。
【0180】本発明において、化学熟成工程にて微粒子
ハロゲン化銀乳剤を添加する場合、ハロゲンイオン放出
剤を用いる場合、基板となるハロゲン化銀粒子の溶解度
を高めることが好ましい。そのためには基板となるハロ
ゲン化銀粒子を含む乳剤の温度を上げる、pAgを変化
させる、pHを変化させる、ハロゲン化銀溶剤を添加す
る等の方法を用いることが好ましい。
【0181】温度を上げる場合、結晶成長温度より3〜
30℃が好ましく、7〜20℃がより好ましい。pAg
はハロゲン組成や、晶癖その他化学熟成条件を含む諸条
件により好ましい範囲が異なるが、ハライド水溶液添加
や、水溶性銀塩添加等により、好ましい範囲に調整する
ことができる。又、pHも適当な、酸・アルカリにより
好ましい範囲に調整することができる。ハロゲン化銀溶
剤としては、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素、チ
オシアン酸塩等の公知のハロゲン化銀溶剤を存在させる
ことが好ましい。
【0182】(処理)本発明の感光材料の処理は、例え
ば、リサーチ・ディスクロージャー17643号のXX
〜XXI、29〜30頁或いは同308119号のXX
〜XXI、1011〜1012頁に記載されているよう
な処理液による処理がなされてよい。
【0183】白黒写真処理での現像剤としては、ジヒド
ロキシベンゼン類(例えば、ハイドロキノン)、3−ピ
ラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリド
ン)、アミノフェノール類(例えば、N−メチル−アミ
ノフェノール)等を単独若しくは組み合わせて用いるこ
とができる。尚、現像液には公知の、例えば、保恒剤、
アルカリ剤、pH緩衝剤、かぶり防止剤、硬膜剤、現像
促進剤、界面活性剤、消泡剤、色調剤、硬水軟化剤、溶
解助剤、粘性付与剤等を必要に応じて用いてもよい。
【0184】定着液にはチオ硫酸塩、チオシアン酸塩等
の定着剤が用いられ、更に硬膜剤として水溶性のアルミ
ニウム塩、例えば、硫酸アルミニウム或いはカリ明ばん
等を含んでいてもよい。その他、保恒剤、pH調製剤、
硬水軟化剤等を含有していてもよい。
【0185】(固体処理剤)本発明において処理槽に固
体処理剤を供給する機構を有した処理装置、特に自動現
像機により、現像処理を行うことができる。該自動現像
機の供給手段としては、例えば、固体処理剤が錠剤であ
る場合、実開昭63−137783号、同63−975
22号、実開平1−85732号等公知の方法がある
が、要は錠剤を処理槽に供給せしめる機能が最低限付与
されていればいかなる方法でもよい。また、固体処理剤
が顆粒又は粉末である場合には、実開昭62−8196
4号、同63−84151号、特開平1−292375
号等記載の重力落下方式や実開昭63−105159
号、同63−195345号等記載のスクリュー又はネ
ジによる方式が公知の方法としてあるが、これらに限定
されるものではない。
【0186】本発明の固体処理剤を投入する場所は、処
理槽中であればよいが、好ましいのは、感光材料を処理
する処理部と連通し、該処理部との間を処理液が流通し
ている場所であり、さらに処理部との間に一定の処理液
循環量があり、溶解した成分が処理部に移動する構造が
好ましい。固体処理剤は温調されている処理液中に投入
されることが好ましい。
【0187】本発明の現像処理方法に用いられる現像剤
中には、現像主薬として特開平6−13859号記載の
ジヒドロキシベンゼン類、アミノフェノール類、ピラゾ
リドン類の他に特開平5−165161号記載のレダク
トン類も用いられる。使用されるピラゾリドン類の内、
特に4位が置換されたもの(ジメゾン、ジメゾンS等)
は水溶性や固体処理剤自身の経時による変化が少なく特
に好ましい。
【0188】保恒剤として特開平6−13859号記載
の亜硫酸塩の他、有機還元剤を保恒剤として用いること
ができる。その他に特願平4−586323号(20
頁)記載のキレート剤や同(21頁)記載の硬膜剤の重
亜硫酸塩付加物を用いることができる。
【0189】また銀スラッジ防止剤として特開平5−2
89255号、同6−308680号(一般式[4−
a][4−b])記載の化合物を添加することも好まし
い。シクロデキストリン化合物の添加も好ましく、特開
平1−124853号記載の化合物が特に好ましい。現
像剤にアミン化合物を添加することもでき、米国特許
4,269,929号記載の化合物が特に好ましい。
【0190】現像剤には、緩衝剤を用いることが必要
で、緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウ
ム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナト
リウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ
酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナト
リウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息
香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナ
トリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−ス
ルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサ
リチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0191】現像促進剤としては、チオエーテル系化合
物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウ
ム塩類、p−アミノフェノール類、アミン系化合物、ポ
リアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピ
ラゾリドン類、ヒドロジン類、メソイオン型化合物、イ
オン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加す
ることができる。
【0192】カブリ防止剤としては、沃化カリウムの如
きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使
用できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾ
トリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニ
トロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾー
ル、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベン
ゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾー
ル、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、イン
ダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如
き含窒素ヘテロ環化合物を代表例1ーフェニルー5ーメ
ルカプトテトラゾールを例として挙げることができる。
【0193】さらに、本発明に用いられる現像剤組成物
には、必要に応じて、メチルセロソルブ、メタノール、
アセトン、ジメチルホルムアミド、シクロデキストリン
化合物、その他特公昭47−33378号、同44−9
509号各公報記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げ
るための有機溶剤として使用することができる。さらに
また、その他ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効
果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0194】本発明に使用される定着剤は、定着剤とし
て公知の化合物を添加できる。定着主薬やキレート剤、
pH緩衝剤、硬膜剤、保恒剤などが添加でき、これらは
例えば特開平4−242246号(4頁)や特開平5−
113632号(2〜4頁)記載のものが使用できる。
その他に硬膜剤として特願平4−586323号(20
頁)記載のキレート剤や同(21頁)記載の硬膜剤の重
亜硫酸塩付加物や公知の定着促進剤も用いることができ
る。
【0195】処理に先立ち、スターターを添加すること
も好ましく、スターターを固形化して添加することも好
ましい。スターターとしてはポリカルボン酸化合物の如
き有機酸の他にKBrの如きアルカリ土類金属のハロゲ
ン化物や有機抑制剤、現像促進剤が用いられる。
【0196】自動現像機には、現像、定着、水洗の各工
程の間に感光材料に水又は定着能を持たない酸性溶液の
リンス液を付与する機構を備えた自動現像機(特開平3
−264953号参照)を用いてもよい。さらに現像液
や定着液を調液できる装置を内蔵していてもよい。尚、
本発明の感光材料は固体処理剤を用いない従来の処理方
法でも処理できる。
【0197】(現像主薬)本発明の感光材料は、下記一
般式[I]で表される化合物を少なくとも1種類含有す
ることが好ましい。
【0198】
【化42】 一般式[I]においてRないしRは同じでも異なっ
ていてもよく、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基
である。但し、RないしRの有する炭素数の合計は
8以上であり、R及びRのうち少なくとも一つはヒ
ドロキシ基、スルホンアミド基又はカルボンアミド基で
ある。Zは水素原子又はアルカリ条件下で脱保護可能な
保護基である。RないしR、OZは共同で環を形成
してもよい。
【0199】以下、一般式[I]について詳細に説明す
る。一般式[I]においてRないしRで表される置
換基の好ましい例としては、ハロゲン原子(例えば、塩
素、臭素)、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル
基、シアノ基、アルキル基(炭素数1ないし30の直鎖
状、分岐状又は環状のもので、例えば、メチル、sec
−オクチル、t−オクチル、ヘキサデシル、シクロヘキ
シル)、アルケニル基(炭素数2ないし30のもので、
例えば、アリル、1−オクテニル)、アルキニル基(炭
素数2ないし30のもので、例えば、プロパルギル)、
アラルキル基(炭素数7ないし30のもので、例えば、
1,1−ジメチル−1−フェニルメチル、3,5−ジ−
t−ブチル−2−ヒドロキシフェニルメチル)、アリー
ル基(炭素数6ないし30のもので、例えば、フェニ
ル、ナフチル)、ヘテロ環基(酸素、窒素、硫黄、リ
ン、セレン、又はテルルを少なくとも1つ含む3員ない
し12員環のもので、例えば、フルフリル、2−ピリジ
ル、モルホリノ、1−テトラゾリル、1−セレナゾリ
ル)、アルコキシ基(炭素数1ないし30のもので、例
えば、メトキシ、メトキシエトキシ、ヘキサデシロキ
シ、イソプロポキシ、アリロキシ)、アリーロキシ基
(炭素数6ないし30のもので、例えば、フェノキシ、
4−ノニルフェノキシ)、アルキルチオ基(炭素数1な
いし30のもので、例えば、ブチルチオ、ドデシルチ
オ、2−ヘキシルデシルチオ、ベンジルチオ)、アリー
ルチオ基(炭素数6ないし30のもので、例えば、フェ
ニルチオ)、カルボンアミド基(炭素数1ないし30の
もので、例えば、アセタミド、2−(2,4−ジ−t−
ペンチルフェノキシ)ブタンアミド、ベンズアミド、
3,5−ビス(2−ヘキシルデカンアミド)ベンズアミ
ド)、スルホンアミド基(炭素数1ないし30のもの
で、例えば、メタンスルホンアミド、4−(2,4−ジ
−t−ペンチルフェノキシ)ブタンスルホンアミド、ベ
ンゼルスルホンアミド、4−ドデシロキシベンゼンスル
ホンアミド)、ウレイド基(炭素数1ないし30のもの
で、例えば、N′−オクタデシルウレイド、N′−[3
−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)プロピル]
ウレイド、N′−(4−シアノフェニル)ウレイド、
N′−(2−テトラデシロキシフェニル)ウレイド)、
アルコキシカルボニルアミノ基(炭素数2ないし30の
もので、例えば、ベンジロキシカルボニルアミノ、エト
キシカルボニルアミノ)、アリーロキシカルボニルアミ
ノ基(炭素数7ないし30のもので、例えば、フェノキ
シカルボニルアミノ)、アシロキシ基(炭素数1ないし
30のもので、例えば、アセトキシ、ジクロロアセトキ
シ、4−オキソペンタノイルオキシ、2−(2,4−ジ
−t−ペンチルフェノキシ)ヘキサノイルオキシ、ベン
ゾイルオキシ、ニコチノイルオキシ)、スルファモイル
アミノ基(炭素数30以下のもので、例えば、N′−ベ
ンジル−N′−メチルスルファモイルアミノ、N′−フ
ェニルスルファモイルアミノ)、スルホニルオキシ基
(炭素数1ないし30のもので、例えば、メタンスルホ
ニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ)、カルバモイ
ル基(炭素数1ないし30のもので、例えば、N−ドデ
シルカルバモイル、N−[3−(2,4−ジ−t−ペン
チルフェノキシ)プロピル]カルバモイル、N−[2−
クロロ−5−(1−ドデシロキシカルボニルエチロキシ
カルボニル)フェニル]カルバモイル)、スルファモイ
ル基(炭素数30以下のもので、例えば、エチルスルフ
ァモイル、ヘキサデシルスルファモイル、4−(2,4
−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルスルファモイ
ル、フェニルスルファモイル)、アシル基(炭素数1な
いし30のもので、例えば、アセチル、オクタデカルイ
ル、ベンゾイル)、スルホニル基(炭素数1ないし30
のもので、例えば、メタンスルホニル、オクタデカンス
ルホニル、ベンゼンスルホニル、4−ドデシルベンゼン
スルホニル)、アルコキシカルボニル基(炭素数2ない
し30のもので、例えば、エトキシカルボニル、ドデシ
ロキシカルボニル、ベンジロキシカルボニル)、アリー
ロキシカルボニル基(炭素数7ないし30のもので、例
えば、フェノキシカルボニル)があげられる。これらの
基は、これまで述べた基で更に置換されていてもよい。
【0200】次に、一般式[I]のZについて説明す
る。Zは水素原子又はアルカリ条件下で脱保護可能な保
護基である。Zは保護基の例としては、アシル基(例え
ば、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、ベ
ンゾイル、4−シアノベンゾイル、4−オキソペンタノ
イル)、オキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボ
ニル、フェノキシカルボニル、4−メトキシベンジルオ
キシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチ
ルカルバモイル、N−(4−ニトロフェニル)カルバモ
イル、N−(2−ピリジル)カルバモイル、N−(1−
イミダゾリル)カルバモイル)、更に特開昭59−19
7037号、同59−201057号、同59−108
776号、米国特許4,473,537号に記載されて
いる保護基があげられる。OZ、RないしRで共同
して環を形成する場合、好ましくはOZとR、R
、RとR、RとR、RとR又はR
OZが結合しても、飽和あるいは不飽和の4ないし8員
からなる炭素環もしくはヘテロ環を形成するものであ
る。この場合、例えば、以下のものがあげられる。ここ
で*印は一般式[I]のベンゼン環に結合する位置を表
す。
【0201】
【化43】
【0202】一般式[I]で示される化合物は、ビス
体、トリス体、オリゴマー又はポリマーなどを形成して
もよい。一般式[I]のRないしRの有する炭素数
の合計は8以上が好ましい。
【0203】一般式[I]のうち好ましくは以下に示す
一般式[II]〜[V]である。
【0204】
【化44】 一般式[II]において、Xはヒドロキシ基又はスルホ
ンアミド基であり、R、R、R、Rはそれぞれ
一般式[I]である。
【0205】
【化45】 一般式[III]において、Xはヒドロキシ基又はスル
ホンアミド基であり、RないしRは一般式[I]の
それと同義である。
【0206】
【化46】 一般式[IV]において、Xはヒドロキシ基又はスルホ
ンアミド基であり、Yはカルバモイル基、オキシカルボ
ニル基、アシル基又はスルホニル基であり、R 、R
は一般式[I]のそれと同義である。
【0207】
【化47】 一般式[V]において、R51ないしR58は一般式
[I]のRと同義であり、R59ないしR62は水素
原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、n
は0ないし50の整数である。
【0208】一般式[II]において、R、R、R
、Rとして好ましくは水素原子、ハロゲン原子、ス
ルホ基、アルキル基、エーテル基、チオエーテル基、カ
ルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、スル
ホニル基、カルバモイル基、アシル基であり、更に好ま
しくは水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、アルキル
基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルホニル
基であり、最も好ましくは、R及びRのいずれか一
方がアルキル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基
で他方が水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニ
ル基、アルキル基の場合である。Xとして好ましくはヒ
ドロキシ基である。
【0209】一般式[III]において、RないしR
として好ましくは水素原子、アルキル基、エーテル
基、チオエーテル基、カルボンアミド基、スルホンアミ
ド基、ウレイド基、スルホニル基、カルバモイル基、オ
キシカルボニル基、アシル基であり、更に好ましくは水
素原子、アルキル基、エーテル基、チオエーテル基、カ
ルボンアミド基、スルホンアミド基であり、最も好まし
くは水素原子、アルキル基、エーテル基の場合である。
、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、ハ
ロゲン原子、エーテル基であり、更に好ましくは水素原
子、アルキル基であり、最も好ましくは水素原子であ
る。Xとして好ましくはヒドロキシ基である。
【0210】一般式[IV]において、Xとして好まし
くはヒドロキシ基であり、Yとして好ましくはカルバモ
イル基、オキシカルボニル基である。
【0211】一般式[V]において、R51ないしR
58として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボンアミド
基、スルホンアミド基、スルホニル基、アシル基、カル
バモイル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン
原子、アルキル基、カルボンアミド基、スルホンアミド
基、エーテル基、チオエーテル基であり、最も好ましく
は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、カルボンアミ
ド基である。n=0のとき、R52、R54としてはア
ルキル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基が好ま
しい。nが0以外の時は、R52、R54の水素原子が
好ましい。nが0又は20ないし50の整数が好まし
い。
【0212】本発明による一般式[I]で示される化合
物の具体例を以下にあげるが、これらに限定されるわけ
ではない。
【0213】
【化48】
【0214】
【化49】
【0215】
【化50】
【0216】
【化51】
【0217】本発明による一般式[I]で示される化合
物は以下に示す特許等及びそこで引用された特許等に記
載された方法及びそれに準ずる方法によって合成するこ
とができる。
【0218】一般式[II]で示される化合物のうち、
モノアルキル置換ハイドロキノンが米国特許2,36
0,290号、同2,419,613号、同2,403
721号、同3,960,570号、同3,700,4
53号、特開昭49−106329号、同50−156
438号に、ジアルキル置換ハイドロキノンが、米国特
許2,728,659号、同2,732,300号、同
3,243,294号、同3,700,453号、特開
昭50−156438号、同53−9528号、同53
−55121号、同54−29637号、同60−55
339号に、ハイドロキノンスルホネート類が、米国特
許2,701,197号、特開昭60−172040
号、同61−48855号、同61−48856号に、
アミドハイドロキノン類が、米国特許4,198,23
9号、同4,732,845号、特開昭62−1503
46号、同63−309949号に、電子吸引性基を有
するハイドロキノン類が、特開昭55−43521号、
同56−109344号、同57−22237号、同5
8−21249号に記載されている。
【0219】一般式[III]で示される化合物が、米
国特許4,447,523号、同4,525,451
号、同4,530,899号、同4,584,264
号、同4,717,651号、特開昭59−22073
3号、同61−169845号、特公昭62−1386
号、西独特許2,732,971号に、一般式[IV]
で示される化合物が、米国特許4,474,874号、
同4,476,219号、特開昭59−133544号
に、一般式[V]で示される化合物が、米国特許2,7
10,801号、同2,816,028号、同4,71
7,651号、特開昭57−17949号、同61−1
69844号、特願昭62−294676号、同62−
294681号、同62−258696号、同63−2
5483号、同63−234895号、同63−217
290号、同63−240699号に記載されている。
【0220】また、ハイドロキノンのアルカリプレカー
サーとしては、米国特許4,443,537号、特開昭
59−108776号に記載がある。
【0221】次に一般式(D)で表される化合物につい
て説明する。本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、下
記一般式(D)で表される化合物を少なくとも1種類含
有することが好ましい。
【0222】また、本発明のX線画像形成方法は、下記
一般式(D)で表される化合物を含有する現像液及び/
又は現像補充液を用いて処理装置で処理することが好ま
しい。
【0223】
【化52】 一般式(D)中、R、Rは各々独立にヒドロキシ
基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルア
ミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカル
ボニルアミノ基、メルカプト基又はアルキルチオ基を表
す。Xは5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表
す。
【0224】本発明において、一般式(D)で表される
化合物は現像液1リットル当たり0.005〜0.5モ
ル、より好ましくは0.02〜0.4モル用いるのが好
ましい。
【0225】以下、一般式(D)について詳しく説明す
る。式中、R、Rはそれぞれヒドロキシ基、アミノ
基(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、例え
ばメチル基、エチル基、n−ブチル基、ヒドロキシエチ
ル基などを置換基として有するものを含む。)、アシル
アミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基な
ど)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニル
アミノ基など)、アリールスルホニルアミノ基(ベンゼ
ンスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ
基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(メトキシカ
ルボニルアミノ基など)、メルカプト基、アルキルチオ
基(メチルチオ基、エチルチオ基など)を表す。R
として好ましい例として、ヒドロキシ基、アミノ
基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニル
アミノ基を挙げることができる。XはR、Rが置換
している2つのビニル炭素原子とカルボニル炭素原子と
共同で5〜6員環を構成する。この5〜6員環は、環自
体は炭素環のみでもよく、炭素原子以外に酸素原子又は
窒素原子を含む複素環であってもよい。Xの原子群の具
体例として、−O−、
【0226】
【化53】 −C(R)=、−C(=O)−、−N(R)−、−
N=、を組み合わせて構成される。ただしR、R
、R、は水素原子、炭素数1〜10の置換しても
よいアルキル基(置換基としてはヒドロキシ基、カルボ
キシ基、スルホ基を挙げることができる)、炭素数6〜
15の置換してもよいアリール基(置換基としてはアル
キル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
スルホ基を挙げることができる)、ヒドロキシ基、カル
ボキシ基を表わす。更にこの5〜6員環には飽和あるい
は不飽和の縮合環を形成してもよい。この5〜6員環の
例として、ジヒドロフラノン環、ジヒドロピロン環、ピ
ラノン環、シクロペンテノン環、シクロヘキセノン環、
ピロリノン環、ピラゾリノン環、ピリドン環、アザシク
ロヘキセノン環、ウラシル環などが挙げられ、好ましい
5〜6員環の例として、ジヒドロフラノン環、シクロペ
ンテノン環、シクロヘキセノン環、ピラゾリノン環、ア
ザシクロヘキセノン環、ウラシル環を挙げることができ
る。具体的化合物を以下に示す。
【0227】
【化54】
【0228】
【化55】
【0229】
【化56】
【0230】
【化57】
【0231】
【化58】
【0232】(現像主薬内蔵感材)本発明における現像
主薬の添加量は、ハロゲン化銀乳剤層に含有されるハロ
ゲン化銀1モル当たり0.01〜10モル、好ましくは
0.05〜2モル、より好ましくは0.1〜1モルであ
る。本発明の化合物は2種以上組み合わせて用いてもよ
い。本発明における現像主薬は、感材中の層、例えば乳
剤層、保護層、中間層、その他の非感光性層等に含有さ
せることができるが、好ましくは乳剤層又は乳剤層より
支持体から離れた中間層あるいは保護層に含有される。
【0233】(蛍光増感紙)医療用X線ラジオグラフィ
ーに本発明を適用する場合には、例えば、透過性放射線
曝射によって近紫外光ないし可視光を発生する蛍光体を
主成分とする増感紙が用いられる。これを本発明の乳剤
を片面又は両面に塗布してなる感光材料の片面又は両面
に密着し露光する。
【0234】本発明に係る増感紙に好ましく用いられる
蛍光体としては、以下に示すものが挙げられる。タング
ステン酸塩系蛍光体(CaWO、MgWO、CaW
:Pbなど)、テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍
光体(YS:Tb、GdS:Tb、La
S:Tb、[Y.Gd]S:Tb、[Y.G
d]OS:Tb、Tm等〕、テルビウム賦活希土類隣
酸塩系蛍光体(YPO:Tb、GdPO:Tb、L
aPO:Tb等)、テルビウム賦活希土類オキシハロ
ゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tb、LaOBr:T
b.Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb.T
m.LaOBrTb GdOBr:Tb GdOCl:
Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍
光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm等)、硫酸
バリウム系蛍光体(BaSO:Pb、BaSO:E
2+、[Ba.Sr]SO:Eu2+等)、2価の
ユーロビウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体
([BaPO:Eu2+等)、2価のユーロビ
ウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体
(BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、Ba
FCl:Eu2+.Tb、BaFBr:Eu2+.T
b、BaF・BaCl・KCl:Eu2+、[Ba・
Mg]F・BaCl・KCl:Eu2+等)、沃化物
系蛍光体(CSI:Na、CSI:Tl、NaI、K
I:Tl等)、硫化物系蛍光体(ZnS:Ag[Zn.
Cd]S:Ag、[Zn.Cd]S:Cu、[Zn.C
d]S:Cu.Al等)、燐酸ハフニウム系蛍光体(H
fP:Cu等)、タンクル酸塩系蛍光体(YTa
、YTaO:Tm、YTaO:Nb、[Y.S
r]TaO:Nb、GdTaO:Tm、Gd
・Ta・B:Tb等)、ただし本発明に用
いられる蛍光体はこれらに限られものではなく、放射線
の照射により可視または近紫外領域の発光を示す蛍光体
であれば使用できる。
【0235】本発明の増感紙は、傾斜粒径構造で蛍光体
を充填することが好ましい。特に表面保護層側に大粒径
の蛍光体粒子を塗布し、支持体側に小粒径の蛍光体粒子
を塗布することが好ましく、小粒径のものは0.5〜
2.0μmで、大粒径のものは10〜30μmの範囲が
好ましい。
【0236】増感紙の製造は、結合剤と蛍光体とから
なる蛍光体シートを形成する工程、前記蛍光体シート
を支持体に載せ、前記結合剤の軟化温度若しくは融点以
上の温度で、圧縮しながら前記蛍光体シートを支持体に
接着する工程で製造するのが好ましい。
【0237】の増感紙の蛍光体層となる蛍光体シート
は、結合剤溶液中に蛍光体を均一に分散せしめた塗布液
を蛍光体シート形成用の仮支持体上に塗布し、乾燥した
後、仮支持体から剥離することで製造できる。即ち、先
ず適当な有機溶媒中に、結合剤と蛍光体粒子を添加し、
攪拌混合して結合剤中に蛍光体が均一に分散した塗布液
を調製する。
【0238】結合剤としては、軟化温度又は融点が30
〜150℃の熱可塑性エラストマーを単独、或いは他の
バインダーと共に用いる。熱可塑性エラストマーは常温
で弾力を持ち、加熱されると流動性を持つようになるの
で、圧縮の際の圧力による蛍光体の破損を防止すること
ができる。熱可塑性エラストマーの例としては、ポリス
チレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニ
ル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポ
リエチレン、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴ
ムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エ
ラストマーが挙げられる。結合剤における熱可塑性樹脂
の混合比は、10重量%以上、100重量%以下であれ
ばよいが、結合剤はなるべく多くの熱可塑性エラストマ
ー、特に100重量%の熱可塑性エラストマーからなっ
ていることが好ましい。
【0239】塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール
等の低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンク
ロライド等の塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低
級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリ
コールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメ
チルエステル等のエーテル及びそれらの混合物を挙げる
ことができる。
【0240】塗布液における結合剤と蛍光体の混合比
は、目的とする増感紙の特性、蛍光体の種類等により異
なるが、一般には結合剤と蛍光体の混合比は1:1乃至
1:100(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。
尚、塗布液には塗布液中における蛍光体に分散性を向上
させるための分散剤、又は形成後の蛍光体層中における
結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑
剤等、種々の添加剤が混合されてもよい。
【0241】分散剤の例としては、フタル酸、ステアリ
ン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤等を挙げることが
できる。可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸
トリクレジル、燐酸ジフェニル等の燐酸エステル、フタ
ル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸
エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコ
ール酸ブチルフタルブチル等のグリコール酸エステル、
トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステ
ル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポリエステル等
のポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエ
ステル等を挙げることができる。
【0242】上記のように調製された蛍光体と結合剤と
を含有する塗布液を、シート形成用の仮支持体の表面に
均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。こ
の塗布手段としては、例えば、ドクターブレード、ロー
ルコーター、ナイフコーター等を用いることにより行う
ことができる。
【0243】仮支持体としては、例えば、ガラス、ウー
ル、コットン、紙、金属等の種々の素材から作られたも
のが使用され得るが、取り扱い上、可撓性のあるシート
或いはロールに加工できるものが好ましい。この点か
ら、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエス
テルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、
ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテ
ートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチ
ックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等
の金属シート、一般紙及び例えば、写真用原紙、コート
紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ
紙、レジンコート紙、ベルギー特許784,615号明
細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイ
ジングされた紙、二酸化チタン等の顔料を含むピグメン
ト紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の加
工紙が特に好ましい。
【0244】仮支持体上に蛍光体層形成用塗布液を塗布
し、乾燥した後、仮支持体から剥離して増感紙の蛍光体
層となる蛍光体シートとする。従って、仮支持体の表面
は、予め剥離剤を塗布しておき、形成された蛍光体シー
トが仮支持体から剥離し易い状態にしておくのが好まし
い。
【0245】について説明する。上記により形成され
た蛍光体をセットするための支持体を用意する。この支
持体は、前記仮支持体で挙げた材料から任意に選ぶこと
ができる。公知の増感紙は、支持体と蛍光体層の結合を
強化するため、支持体表面にゼラチン等の高分子物質を
塗布して接着性を付与する下塗り層を設けたり、感度、
画質(鮮鋭性、粒状性)を向上せしめるために二酸化チ
タン等の光反射性物質からなる光反射層、若しくはカー
ボンブラック等の光吸収物質からなる光吸収層等が設け
られてもよい。本発明に用いられる支持体についても、
これら各種の層を設けることができ、それらの構成は所
望の増感紙の目的、用途等に応じて任意に選択すること
ができる。
【0246】によって得られた蛍光体シートを支持体
上に載せ、結合剤の軟化温度又は融点以上の温度で圧縮
しながら蛍光体シートを支持体上に接着する。
【0247】このようにして蛍光体シートを支持体上に
予め固定することなく圧着する方法を利用することによ
り、シートを薄く押し広げることができ、蛍光体の損傷
を防ぐだけでなく、シートを固定して加圧する場合に比
較して同じ圧力でも高い蛍光体充填率を得ることができ
る。
【0248】本発明の圧縮処理のために用いられる圧縮
装置の例としては、カレンダーロール、ホットプレス
等、一般的に知られているものを挙げることができる。
例えば、カレンダーロールによる圧縮処理は、支持体上
にによって得た蛍光体シートを載せ、結合剤の軟化温
度又は融点以上に加熱したローラの間を一定の速度で通
過させることにより行われる。但し、本発明に用いられ
る圧縮装置は、これらのものに限定されるものではな
く、上記シートを加熱しながら圧縮することのできるも
のであれば如何なるものであってもよい。圧縮の際の圧
力は、50kg/cm以上であるのが好ましい。
【0249】通常、増感紙は前述した支持体に接する側
と反対側の蛍光体層の表面に、蛍光体層を物理的、化学
的に保護するための透明な保護膜が設けられる。このよ
うな透明保護膜は、本発明の増感紙についても設置する
ことが好ましい。保護膜の膜厚は一般に0.1〜20μ
mの範囲にある。
【0250】透明保護膜は、例えば、酢酸セルロース、
ニトロセルロース等のセルロース誘導体、或いはポリメ
チルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカー
ボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコ
ポリマー等の合成高分子物質を適当な溶剤に溶解して調
製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法により形成
することができる。
【0251】或いはポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリアミド等からなるプラスチックシート、及び
透明なガラス板等の保護膜形成用シートを別に調製して
蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて接着する等の方
法で形成することができる。
【0252】本発明の増感紙で用いられる保護層として
は、特に有機溶媒に可溶性の弗素系樹脂を含む塗布膜に
より形成された膜が好ましい。弗素系樹脂とは、弗素を
含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体、若し
くは弗素を含むオレフィンを共重合体として含む共重合
体をいう。弗素系樹脂の塗布膜により形成された膜は架
橋されていてもよい。弗素系樹脂による保護膜は、他の
材料やX線フィルム等の接触時にフィルム等から出る可
塑剤等の汚れが保護膜内部に染み込みにくいので、拭き
取り等によって容易に汚れを除去することができる利点
がある。
【0253】保護膜形成材料としては、有機溶媒可溶性
弗素系樹脂を用いる場合も、この樹脂を適当な溶媒に溶
解して調製した。即ち、保護膜は有機溶媒可溶性の弗素
系樹脂を含有する保護膜形成材料塗布液をドクターブレ
ード等を用いて蛍光体層表面に均一に塗布し、これを乾
燥することで形成する。この保護膜の形成は同時重層塗
布によって蛍光体の形成と同時に行われてもよい。
【0254】弗素系樹脂としては、弗素を含むオレフィ
ン(フルオロオレフィン)の重合体若しくは弗素を含む
オレフィンを共重合体成分として含む共重合体で、ポリ
テトラフルオルオレフィン、ポリクロルトリフルオルエ
チレン、ポリ弗化エチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化
ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体及びフルオロオレフィン−ビニルエ
ーテル共重合体等を例として挙げることができる。
【0255】弗素系樹脂は、一般に有機溶媒に不溶であ
るが、フルオロオレフィンを共重合体成分として含む共
重合体は、共重合するフルオロオレフィン以外の構成単
位によって有機溶媒可溶性になるため、該樹脂を適当な
溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層上に塗布し、乾
燥することで容易に保護層を形成することができる。こ
のような共重合体の例としては、フルオロオレフィン−
ビニルエーテル共重合体を挙げることができる。また、
ポリテトラフルオロエチレン及びその変性体もパーフル
オロ溶媒のような適当な弗素系有機溶媒に対して可溶性
であるので、上記フルオロオレフィンを共重合体成分と
して含む共重合体と同様に塗布によって保護膜を形成す
ることができる。
【0256】保護膜は弗素系樹脂以外の樹脂が含まれて
いてもよく、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤等が含まれて
いてもよい。しかしながら、前記した目的を充分達成す
るためには、保護膜中に弗素系樹脂の含有量は30重量
%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50重
量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。
【0257】保護膜に含まれる弗素系樹脂以外の樹脂と
しては、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、セルロ
ース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエステ
ル、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0258】また、本発明で用いられる増感紙の保護膜
は、ポリシロキサン骨格含有オリゴマー若しくはパーフ
ルオロアルキル基含有オリゴマーのいずれか一方、或い
は両方を含む塗布液から形成してもよい。
【0259】ポリシロキサン骨格含有オリゴマーは、例
えば、ジメチルポリシロキサン骨格を有するものであ
り、少なくとも一つの官能基、例えば、水酸基を有する
ものであることが好ましく、また、分子量500〜10
0,000の範囲にあることが好ましい。特に分子量が
1,000〜100,000の範囲になることが好まし
く、さらに好ましくは3,000〜100,000の範
囲である。また、パーフルオロアルキル基、例えば、テ
トラフルオロエチレン基等を含有するオリゴマーは、分
子中に少なくとも一つの官能基、例えば、水酸基を含む
ものであることが望ましく、分子量500〜100,0
00の範囲にあることが好ましい。特に分子量は1,0
00〜100,000の範囲にあることが好ましい。
【0260】オリゴマーに官能基が含まれているものを
用いれば、保護膜形成時にオリゴマーと保護層膜形成樹
脂との間で架橋反応が発生し、オリゴマーが膜形成樹脂
の分子構造に取り入れられるため、増感紙の長期の繰り
返し使用、或いは保護層表面のクリーニング等の操作に
よってもオリゴマーが保護層から取り去られることがな
く、オリゴマーの添加効果が長期に亘り有効となるた
め、官能基を有するオリゴマーの使用が有利である。オ
リゴマーは、保護層中に0.01〜10重量%の量で含
まれていることが好ましく、特に0.1〜2重量%含ま
れていることが好ましい。
【0261】保護層中には、パーフルオロオレフィン樹
脂粉末、若しくはシリコン樹脂粉末が含まれてもよい。
パーフルオロオレフィン樹脂粉末、若しくはシリコン樹
脂粉末としては、平均粒径0.1〜10μmの範囲にあ
るものが好ましく、特に好ましくは平均粒径0.3〜5
μmの範囲である。これらのパーフルオロオレフィン樹
脂粉末若しくはシリコン樹脂粉末は、保護層中に保護膜
重量当たり0.5〜30重量%の量で含まれていること
が好ましく、さらに2〜20重量%の量で含まれるのが
好ましく、最も好ましくは5〜15重量%の量である。
増感紙の保護膜は、蛍光体層上に塗布形成された厚さ5
μm以下の透明な合成樹脂層であることが好ましい。こ
のような薄い保護層を用いることにより、増感紙の蛍光
体からハロゲン化銀乳剤層までの距離が短くなるため、
得られるX線画像の鮮鋭度の向上に寄与することにな
る。
【0262】本発明で言う蛍光体の充填率は、支持体上
に形成された蛍光体層の空隙率から次式により求めるこ
とができる。
【0263】
【数1】 ただし、V :蛍光体層の全体積 Vair:蛍光体中の空気体積 A :蛍光体の全重量 px :蛍光体の密度 py :結合剤の密度 pair:空気の密度 a :蛍光体の重量 b :結合剤の重量 さらに式(1)において、pairはほぼ0であるから
式(1)は近似的に次の式(2)で表わすことができ
る。
【0264】
【数2】 ただし、V、Vair、A、px、py、a及びbの定
義は式(1)と同じである。本発明において蛍光体層の
空隙率は式(2)により求めた。また蛍光体の充填率は
次式(3)により求めることができる。
【0265】
【数3】 ただし、V、Vair、A、px、py、a及びbの定
義は式(1)と同じである。
【0266】本発明の増感紙は、蛍光体の充填率や厚み
等によって、固有濾過がアルミニウム2.2mm相当の
X線発生装置でX線エネルギーが80kVpのX線に対
して45%以上の吸収量を示すことが好ましい。より好
ましくは50%以上が好ましい。増感紙のX線吸収量は
以下の方法で測定する。
【0267】三相の電力供給で80kVpで運転される
タングステン・ターゲット管から生じたX線を、3mm
のアルミニウム板を透過させ、ターゲット管のタングス
テン・アノードから200cmの位置に固定した試料の
増感紙に到達させ、次いでその増感紙を透過したX線の
量を、増感紙の蛍光体層から50cm後の位置で電離型
線量計を用いて測定し、X線の吸収量を求める。なお、
基準としては増感紙を透過させないで測定した上記測定
装置でのX線量を求めることができる。蛍光体の厚みは
135μm以上200μm以下が好ましい。さらに好ま
しくは、このときの蛍光体の充填率を65%以上にする
ことである。
【0268】本発明の蛍光増感紙の製造は、特開平6−
75097号で開示されている方法に準じて作成するこ
とができる。即ち、蛍光体、バインダー、表面保護層、
導伝層の素材やこれらを組み合わせて製造する工程は特
開平6−75097号で開示されている方法に準じて作
成することが好ましい。さらに蛍光体は重層塗布法など
によって表面保護層の近くに大粒径の粒子を配置するこ
とが好ましい。
【0269】(各種添加剤)本発明のハロゲン化銀写真
乳剤による写真感光材料は、乳剤の物理熟成または化学
熟成前後の工程で、各種の写真用添加剤を用いることが
できる。このような工程で使用できる化合物としては、
例えば、リサ−チ・ディスクロ−ジャ−17643号、
同18716号(1979年11月)及び同30811
9号(1989年12月)に記載された各種の化合物が
挙げられる。これら三つのリサ−チ・ディスクロ−ジャ
−に示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載し
た。
【0270】 添加剤 RD−17643 RD−18716 RD−308119 頁 分類 頁 頁 分類 化学増感剤 23 III 648右上 996 III 増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 III 減感色素 23 IV 998 B 染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII 現像促進 29 XXI 648右上 カブリ抑制剤・安定剤 24 IV 649右上 1006〜7 VI 増白剤 24 V 998 V 界面活性剤 26〜27 XI 650右 1005〜6 XI 帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII 可塑剤 27 XII 650右 1006 XII スベリ剤 27 XII マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI バインダー 26 XXII 1009〜4 XXII 支持体 28 XVII 1009 XVII
【0271】(粒子形成)(111)面を主平面とする
平板状ハロゲン化銀粒子を含有する、本発明のハロゲン
化銀写真乳剤を製造する方法においては、核形成過程、
熟成過程、結晶成長過程を含んでいることが好ましい。
【0272】又、核形成過程終了後、熟成過程途中又は
終了後、結晶成長過程途中のいずれかの段階で、一旦製
造を中断し、形成されたハロゲン化銀粒子を種粒子とし
て、新たに該種粒子の表面にハロゲン化銀を析出させる
方法にて成長させることは好ましい。
【0273】例えば、(111)面を主平面とする平板
状ハロゲン化銀粒子を含有する、本発明のハロゲン化銀
写真乳剤を得るための、水溶性銀塩溶液とハライド溶液
を分散媒溶液の存在下に供給して行うハロゲン化銀写真
乳剤の製造方法において、(イ)沃化銀含有率0〜5モ
ル%のハロゲン化銀沈澱生成の初期から1/2以上の期
間、母液のpBrを2.5〜−0.7に保つ核形成過程
を設け、(ロ)該核形成過程に続いて、母液にハロゲン
化銀溶剤をハロゲン化銀1モル当たり1×10−5
2.0モル含有し実質的に単分散性球形双晶であるハロ
ゲン化銀種粒子を形成する種粒子形成過程を設けるか、
又は、該核形成過程に続いて、母液の温度を40〜80
℃に昇温し、ハロゲン化銀双晶種粒子を形成する種粒子
形成過程を設け、(ハ)次いで、水溶性銀溶液とハライ
ド溶液及び/又は微粒子ハロゲン化銀乳剤を加えて種粒
子を成長させる結晶成長過程を設ける方法が好ましく用
いられる。
【0274】ここに母液とは、完成した写真乳剤に至る
までのハロゲン化銀写真乳剤の調合の場に供される液
(ハロゲン化銀写真乳剤も含有される)である。
【0275】前記核形成過程において形成されるハロゲ
ン化銀粒子は、0〜5モル%の沃化銀を含有する双晶粒
子である。
【0276】本発明の種粒子形成工程の期間中に熟成を
調整する目的で水溶性銀塩を加えても差し支えない。
【0277】ハロゲン化銀種粒子を成長させる結晶成長
過程は、ハロゲン化銀の沈澱中のpAg、pH、温度、
ハロゲン化銀溶剤の濃度及びハロゲン化銀組成、銀塩及
びハライド溶液の添加速度をコントロールすることによ
り達成される。
【0278】又、本発明のハロゲン化銀写真乳剤の製造
に当たって、種粒子形成過程及び結晶成長過程におい
て、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハ
ロゲン化銀溶剤を存在させることができる。
【0279】本発明の平板状ハロゲン化銀粒子を得るた
めに、製造される種粒子を結晶成長させる条件として
は、特開昭51−39027号、同55−142329
号、同58−113928号、同54−48521号及
び同58−49938号にも見られるように、水溶性銀
塩溶液とハライド溶液をダブルジェット法によって添加
し、添加速度を粒子の成長に応じて、新核形成が起こら
ず、かつオストワルド熟成によるサイズ分布の広がりが
ない速度、即ち新しい核が発生する速度の30〜100
%の範囲で徐々に変化させる方法が挙げられる。
【0280】(100)面を主平面とする平板状ハロゲ
ン化銀粒子を含有する、本発明のハロゲン化銀写真乳剤
の製造方法において、例えば、(100)面を形成しや
すい条件下で、沃度イオンの存在下、低pClで核形成
させることができる。核形成後は、オストワルド熟成及
び/又は成長を行い、所望の粒径、分布を有する平板状
ハロゲン化銀粒子を得ることができる。
【0281】この場合、まず第1の容器に銀塩溶液、沃
素イオンを含んだハライド溶液、保護コロイド液を添加
して核形成を行い、核形成後、その混合溶液を第2の容
器に移し、そこで成長させる方法が好ましく用いられ
る。
【0282】尚、その際、成長を途中で一旦止め、これ
を種粒子と、種粒子上にハロゲン化銀を析出させる方法
にて成長させてもよい。
【0283】具体的には、反応容器に予め保護コロイド
を含む水溶液及び種粒子を存在させ、必要に応じて銀イ
オン、ハロゲンイオン、あるいはハロゲン化銀微粒子を
供給して種粒子を成長させることができる。
【0284】又、特願平7−157670号に記載され
ている、少なくとも、 1)沃化物の非存在下で銀塩を添加し、核形成を開始す
る過程及び、 2)引き続き沃化物存在下で銀塩を添加し、核形成及び
/又は結晶成長を行わせる過程 の2つの過程を有することを特徴とする、ハロゲン化銀
写真乳剤の製造方法を用いることもできる。
【0285】具体的には、(イ)沃化物の非存在下で
核形成を開始し、引き続き沃化物存在下で核形成させ
る、(ロ)沃化物の非存在下で核形成を開始し、引
き続き沃化物存在下で結晶成長させる、(ハ)沃化物
の非存在下で核形成を開始し、引き続き沃化物存在下
で核形成と同時に結晶成長させる、のいずれかの過程を
有する製造方法であり、いずれの場合も核形成開始時に
は沃化物を存在させず、その直後に沃化物を存在させる
ことが特徴である。
【0286】更に、本発明の製造方法においては、核形
成時及び/又はその直後に沃化物を存在させない方法も
有利に用いることができる。
【0287】以下、各過程を詳説する。 (1)核形成過程 少なくとも分散媒と水とを含む分散媒溶液中に、攪拌し
ながら銀塩及び/又はハロゲン化物塩溶液を添加して核
形成を行う。核形成開始時のpClは(100)面を形
成しやすい値、即ち、0.5〜3.5、好ましくは1.
0〜3.0、更に好ましくは1.5〜2.5に調整す
る。沃素を用いる場合、沃素は沃化銀と塩化銀の固溶限
界まで導入することが可能であるが、核形成開始時の保
護コロイド液中の沃素イオン濃度としては10モル%以
下が好ましく、更に好ましくは0.001モル%以上1
0モル%以下であり、最も好ましくは0.05モル%以
上10モル%以下である。又、核形成時の保護コロイド
液中の臭素イオンは塩素イオンが20モル%以上存在す
る限りにおいて、存在していてもよい。pHは1.0以
上が好ましく、更に1.5以上が好ましく、更に好まし
くは2.0〜8.0である。分散媒としてはゼラチン及
びゼラチン誘導体が好ましく用いられるが、不純物を除
去したゼラチンがより好ましい。中でも特に、メチオニ
ン含量が30μmol/ゼラチン1g未満、好ましくは
15μmol/ゼラチン1g未満のいわゆる低メチオニ
ンゼラチンを用いることが好ましい。又、分子量100
0〜10×10、好ましくは、2000〜6×10
のいわゆる低分子量ゼラチン等を用いることが好まし
い。これらのゼラチンは単独で用いても、又2種類以上
を混合して用いてもよい。分散媒濃度は0.1〜10重
量%が好ましく、0.3〜5重量%が更に好ましい。核
形成時における銀塩溶液の添加時間は5秒以上1分未満
が好ましい。又、この間、他のハロゲン化物塩は添加し
ても添加しなくともよい。即ち、銀塩のみを添加するい
わゆるシングルジェット法でも銀塩及びハロゲン化物塩
溶液を添加するダブルジェット法でもよい。温度は30
〜90℃が好ましく、35〜70℃が更に好ましい。核
形成時に添加される銀量は総銀量の0.1モル%〜10
モル%であることが好ましい。
【0288】(2)熟成過程 ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法において、前記核形成
過程に続き、熟成過程を有することが好ましい。熟成過
程では、オストワルド熟成により核生成時に発生した平
板状粒子を更に成長させ、それ以外の粒子を消滅させる
ことができる。熟成時の温度は20〜90℃が好まし
く、30〜85℃が更に好ましく、最も好ましくは40
〜80℃である。熟成時の温度は一定でも変化させても
よいが、熟成温度を変化させる方法が好ましく、熟成温
度を上昇させることがより好ましい。熟成時のpClは
0.5〜3.5が好ましく、1.0〜3.0が更に好ま
しい。又、pHは1〜12が好ましく、更に好ましくは
2〜8、最も好ましくは2〜6である。又、熟成はアン
モニア等のいわゆるハロゲン化銀溶剤の非存在下で行う
ことが好ましい。
【0289】(3)結晶成長過程 ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法は、前記熟成過程に続
いて、結晶成長過程を有してもよい。結晶成長時のpC
lは0.5〜3.5の範囲に調整するが、好ましくは
1.0〜3.0、更に好ましくは1.5〜2.5に調整
する。又、pHは1〜12が好ましく、更に好ましくは
2〜8、最も好ましくは2〜6である。結晶成長時の温
度は40〜90℃が好ましいが、更に好ましくは45〜
80℃であり、最も好ましくは50〜75℃である。結
晶成長時の銀イオン及びハロゲンイオンの添加方法は、
銀塩及びハロゲン化物溶液を添加するダブルジェット
法、予め調製したAgX微粒子乳剤を添加する微粒子供
給法、及び両者の併用等、いずれの方法を用いてもよ
い。これらのうち、微粒子供給法は好ましく用いられ
る。微粒子供給法を用いる場合、微粒子の直径は0.1
5μm以下が好ましく、0.1μm以下が更に好まし
く、最も好ましくは0.06μm以下である。
【0290】又、成長を途中で一旦止め、これを種粒子
とし種粒子上にハロゲン化銀を析出させて成長させる方
法も好ましく用いることができる。
【0291】具体的には、反応容器に予め分散媒溶液及
び種粒子を存在させ必要に応じて銀塩溶液、ハロゲン化
物溶液、あるいはハロゲン化銀微粒子を供給して種粒子
を成長させることができる。
【0292】本発明のハロゲン化銀写真乳剤の製造方法
においては、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素等の
公知のハロゲン化銀溶剤を存在させることができる。
【0293】本発明のハロゲン化銀写真乳剤の製造方法
において、成長時は銀塩溶液とハライド溶液をダブルジ
ェット法によって添加し、添加速度を粒子の成長に応じ
て、新核形成が起こらず、かつオストワルド熟成による
サイズ分布の広がりがない速度、即ち新しい核が発生す
る速度の30〜100%の範囲で徐々に変化させる方法
により所望の粒径、分布を有する粒子を得ることができ
る。更に成長させる別の条件として、日本写真学会昭和
58年年次大会要旨集88頁に見られるように、微粒子
ハロゲン化銀乳剤を添加し溶解、再結晶することにより
成長させる方法も好ましく用いられる。特に沃化銀微粒
子、臭化銀微粒子、沃臭化銀微粒子、臭塩化銀微粒子、
塩化銀微粒子が好ましく用いられる。
【0294】ハロゲン化銀粒子は、いわゆるハロゲン変
換型(コンバージョン型)の粒子であっても構わない。
ハロゲン変換量は銀量に対して0.2モル%〜0.5モ
ル%が好ましく、変換の時期は物理熟成中でも物理熟成
終了後でもよい。ハロゲン変換の方法としては、通常ハ
ロゲン変換前の粒子表面のハロゲン組成よりも銀との溶
解度積の小さいハロゲン水溶液又はハロゲン化銀微粒子
を添加する。この時の微粒子サイズとしては0.2μm
以下が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1μm
である。
【0295】本発明のハロゲン化銀写真乳剤の製造に当
たっては、製造時の攪拌条件が極めて重要である。攪拌
装置としては特開昭62−160128号に示される、
添加液ノズルを攪拌機の母液吸入口に近く液中に設置し
た装置が特に好ましく用いられる。又、この際、攪拌回
転数は100〜1200rpmにすることが好ましい。
【0296】尚、上述の過飽和因子に関しての詳細は、
例えば、特開昭63−92942号、あるいは特開平1
−213637号等の記述を参考にすることができる。
【0297】(還元増感)本発明のハロゲン化銀粒子は
粒子形成中に銀核を形成させてもよい。銀核形成は、ハ
ロゲン化銀写真乳剤又は粒子成長のための混合溶液に還
元剤を添加することによって行われるか、もしくはハロ
ゲン化銀写真乳剤又は粒子成長のための混合溶液をpA
g7以下の低pAg下で、又はpH7以上の高pH条件
下で熟成又は粒子成長させることによって行われる。こ
れらの方法を組み合わせて行う方法は、本発明の好まし
い態様である。
【0298】銀核を形成する技術として還元増感につい
ては古くから知られている。例えば、Journal
of Photographic Sciense第2
5巻、19〜27頁(1977年)及びPhotogr
aphic Scienseand Engineer
ing第32巻、113〜117頁(1979年)の記
載が示すとおり、還元増感により形成された銀核は、P
hotographishe Korrespnden
z第1巻、20(1957年)及びPhotograp
hic Sciense and Engineeri
ng第19巻、49〜55(1975年)の報文の中で
MichellとLoweが述べているように露光時に
以下の式で示される反応を通し、増感に寄与すると考え
られてきた。 (1)AgX + hv → e + h (2)Ag + h → Ag + Ag (3)Ag → Ag + e ここでh及びeは露光で生じた自由正孔及び自由電
子、hvは光子、Agは還元増感により形成された銀
核を示す。
【0299】還元剤として好ましいものとしては、例え
ば、二酸化チオ尿素、アスコルビン酸及びその誘導体、
第1錫塩が挙げられる。又、他の適当な還元剤として
は、ボラン化合物、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジン
スルフィン酸、シラン化合物、アミン及びポリアミン類
及び亜硫酸塩等が挙げられる。これら還元剤の添加量は
ハロゲン化銀1モル当たり10−2〜10−8モルが好
ましい。
【0300】低pAg熟成を行うためには、銀塩を添加
することができるが、水溶性銀塩が好ましく、該水溶性
銀塩としては硝酸銀が好ましい。熟成時のpAgは7以
下が適当であり、好ましくは6以下、更に好ましくは1
〜3である(ここで、pAg=−log[Ag]であ
る)。
【0301】高pH熟成は、例えば、ハロゲン化銀写真
乳剤あるいは粒子成長の混合溶液にアルカリ性化合物を
添加することによって行われる。アルカリ性化合物とし
ては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等を用いるこ
とができる。ハロゲン化銀形成にアンモニア性硝酸銀を
添加する方法においては、アンモニアの効果が低下する
ため、アンモニアを除くアルカリ性化合物が好ましく用
いられる。
【0302】銀核形成のための銀塩、アルカリ性化合物
の添加方法としては、ラッシュ添加でもよいし、あるい
は一定時間をかけて添加してもよい。この場合には、一
定流量で添加してもよいし、時間に対して流量を変化さ
せて添加してもよい。
【0303】又、何回かに分割して必要量を添加しても
よい。可溶性銀塩及び/又は可溶性ハロゲン化物の反応
容器中への添加に先立ち、反応容器中に存在せしめてい
てもよいし、あるいは可溶性ハロゲン化物溶液中に混入
し、ハロゲン化物とともに添加してもよい。さらには、
可溶性銀塩、可溶性ハロゲン化物とは別個に添加を行っ
てもよい。
【0304】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は酸化剤を
用いることができる。酸化剤としては以下のものを使用
することができる。
【0305】過酸化水素(水)及びその付加物:H
、NaBO、H−3H、Na
−2H、2NaSO−H−2H
など。ペルオキシ酸塩:K、K
、K[Ti(O)C]−3H
Oなど。
【0306】そのほかに過酢酸、オゾン、沃素、臭素、
チオスルホン酸系化合物、クロラミンT等が挙げられ
る。
【0307】(酸化剤)本発明で用いる酸化剤の添加量
は、還元剤の種類、銀核形成の条件、酸化剤の添加時
期、添加条件によりその量に影響を受けるが、用いた還
元剤1モル当たり1×10−2〜1×10−5モルが好
ましい。
【0308】酸化剤の添加時期は、ハロゲン化銀写真乳
剤製造工程中であればどこでもよい。還元剤の添加に先
立って添加することもできる。又、酸化剤を添加した後
に、過剰な酸化剤を中和するために新たに還元性物質を
添加することもできる。これらの還元性物質としては、
上記酸化剤を還元し得る物質であり、スルフィン酸類、
ジ及びトリヒドロキシベンゼン類、クロマン類、ヒドラ
ジン及びヒドラジド類、p−フェニレンジアミン類、ア
ルデヒド類、アミノフェノール類、エンジオール類、オ
キシム類、還元性糖類、フェニドン類、亜硫酸塩、アス
コルビン酸誘導体などがある。これらの還元性物質の添
加量は、用いる酸化剤の量1モル当たり1×10−3
1×10 モルが好ましい。
【0309】(金属ドープ)本発明のハロゲン化銀写真
乳剤は重金属イオンを用いることができる。重金属イオ
ンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッ
ケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等
の周期律表第VIII族金属や、カドミウム、亜鉛、水
銀等の周期律表第II族遷移金属や、鉛、レニウム、モ
リブデン、タングステン、クロム等の各イオンが挙げら
れるが、中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、オ
スミウムの遷移金属イオンが好ましい。
【0310】これらの重金属イオンは、塩や錯塩の形で
ハロゲン化銀写真乳剤に添加することができる。中でも
錯塩の形で乳剤に添加される方がハロゲン化銀写真乳剤
中に組み込まれ易く、好ましい。
【0311】重金属イオンが錯体を形成する場合には、
その配位子としてシアン化物、チオシアン酸、イソチオ
シアン酸、シアン酸、塩化物、臭化物、沃化物、カルボ
ニル、アンモニア等の各イオンを挙げることができる。
中でもチオシアン酸、イソチオシアン酸、シアン酸イオ
ンが好ましい。
【0312】以下に本発明において好ましく用いられる
重金属化合物を示すが、これらに限定されるものではな
い。
【0313】(1)FeCl,(2)FeCl
(3)(NH)Fe(SO,(4)K[Fe
(CN)],(5)K[Fe(CN)],(6)
[IrCl],(7)K[IrCl],
(8)K[PtCl],(9)K[Pt(SC
N)],(10)K[Pt(CN)],(11)
[PdCl],(12)K[PdCl],
(13)CdCl,(14)ZnCl,(15)K
[Mo(CO)(CNO)],(16)K[R
e(CNO)],(17)K[Mo(CN
O)],(18)K[Fe(CNO)],(1
9)K[W(CO)(CNO)],(20)K
[Cr(CO)(CNO)],(21)K[Ru
(CNO)],(22)K[Ni(CN)],
(23)PbCl,(24)K[Co(N
],(25)K[Co(CNO)11],
(26)K[Re(CNO)],(27)K[O
s(CNO)],(28)K[Cd(CN
O)],(29)K[Pt(CNO)],(3
0)K[IrBr
【0314】ハロゲン化銀写真乳剤に重金属イオンを含
有させるには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形
成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子形
成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよ
い。このためには、例えば重金属化合物を水溶液として
おき所望のタイミングで添加すればよい。あるいは、ハ
ロゲン化銀物と一緒に溶解して粒子形成工程の間にわた
って連続的に添加してもよい。
【0315】重金属イオンのハロゲン化銀写真乳剤中へ
の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−9
1×10−2モルが好ましく、特に1×10−8〜1×
10−3モルが好ましい。
【0316】
【実施例】以下、本発明を実施例にて説明するが、本発
明はこれらによって限定されるものではない。 実施例1 (乳剤の調製)水1リットル中に臭化カリウム6g、ゼ
ラチン7gを添加し、55℃に保った容器中に、硝酸銀
水溶液37ml(硝酸銀4.00g)と臭化カリウム水
溶液38ml(臭化カリウム5.9g)を攪拌しながら
ダブルジェット法により37秒間で添加した。次に70
℃に昇温しつつゼラチン18.6gを添加した後、硝酸
銀水溶液を添加してpBr2.3に調製した。
【0317】ここで25%のアンモニア水溶液7mlを
添加してそのままの温度で10分間物理熟成した後、1
00%酢酸溶液を6.5ml添加した。引き続いて硝酸
銀153gの水溶液と臭化カリウムの水溶液をpBrを
保ちながらコントロールダブルジェット法で35分かけ
て添加した。
【0318】完成粒子に対して、表1に示す部分まで成
長した時点で、pBrを3.0に調製した後にチオシア
ン酸カリウム水溶液及び沃化銀微粒子を添加した(表
1:KSCN添加時期、KSCN添加量、沃化銀微粒子
添加量)。
【0319】目的の粒径まで成長させてから、5分間そ
のままの温度で物理熟成した後に表1に示すpBr(脱
塩時pBr)にしてから沈降法により可溶性塩類の除去
を行った。この乳剤を40℃に昇温してゼラチン30g
とフェノキシエタノール2.4gを添加し、苛性ソーダ
を用いてpHを5.90に、硝酸銀溶液もしくは臭化カ
リウム溶液を用いてpAgを8.21に調製した。ま
た、粒子形成中に表1に示す添加時期、添加量でラジカ
ルスカベンジャーを添加した(表1:ラジカルスカベン
ジャー化合物、添加時期、添加量)。
【0320】これらの乳剤を攪拌し56℃に保った状態
で化学増感を施した。先ず増感色素(A)が銀1モル当
たり460mgになるように、後述する固体微粒子分散
物を加えた後に、チオシアン酸アンモニウム塩を銀1モ
ル当たり7.0×10−4モルを加え、塩化金酸カリウ
ムとチオ硫酸ナトリウム及びトリフェニルフォスフィン
セレナイド3.0×10−6モル/Ag1モルを添加し
て最適に化学熟成を行い、更に後述する沃化銀微粒子乳
剤を3×10−3モル/Ag1モル添加後、4−ヒドロ
キシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデ
ン(TAI)3×10−2モルで安定化した。
【0321】これらの乳剤について、粒子形状及び粒子
に取り込まれたチオシアン酸イオンの量、最表面のハラ
イド組成と粒子間分布を表1に示す。
【0322】
【表1】
【0323】(分光増感色素の固体微粒子分散物の調
製)増感色素(A)及び(B)を100:1の比率で予
め27℃に調温した水に加え、高速攪拌機(ディゾルバ
ー)で3,500rpmにて30〜120分間にわたっ
て攪拌することによって、分光増感色素の固体微粒子状
の分散物を得た。このとき、増感色素(A)の濃度が2
%になるように調製した。 増感色素(A):5,5′−ジクロロ−9−エチル−
3,3′−ジ−(スルホプロピル)−オキサカルボシア
ニン塩無水物 増感色素(B):5,5′−ジ−(ブトキシカルボニ
ル)−1,1′−ジエチル−3,3′−ジ(4−スルホ
ブチル)−ベンゾイミダゾロカルボシアニンナトリウム
塩無水和物
【0324】 (沃化銀微粒子の調製) A1 オセインゼラチン 100g KI 8.5g 蒸留水で2000mlにする。 B1 硝酸銀 360g 蒸留水で605mlにする。 C1 KI 352g 蒸留水で605mlにする。
【0325】反応容器に溶液A1を加え、40℃に保ち
攪拌しながら、溶液B1及び溶液C1を同時混合法によ
り30分を要して定速で添加した。添加中のpAgは常
法のpAg制御手段で13.5に保った。生成した沃化
銀は平均粒径0.06μmのβ−AgIとγ−AgIの
混合物であった。この乳剤を沃化銀微粒子乳剤と呼ぶ。
【0326】(塗布試料の調製) (コロイド状酸化スズゾル分散液の合成例)塩化第二ス
ズ水和物65gを水溶液2000mlに溶解し均一溶液
を得た。次いでこれを煮沸し共沈殿物を得た。生成した
沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて
沈殿を何度も水洗する。沈殿を洗浄した蒸留水中に硝酸
銀を滴下し塩素イオンの反応がないことを確認する。こ
の沈殿物を蒸留水1000ml中に添加して分散後、全
量を2000mlとする。更に30%アンモニア水を4
0ml加え、水浴中で加温すると、SnOゾル溶液が
生成する。塗布液として用いるときには、このゾル溶液
へアンモニアを吹き込みながら濃度約8%に濃縮して用
いる。また、このゾル溶液に含まれる粒子の体積固有抵
抗については、ゾル溶液を用いてシリカガラス上に薄膜
を形成し、四端子法で測定した値を粒子の体積固有抵抗
値とした。測定された体積固有抵抗は3.4×10Ω
cmであった。
【0327】(塩化スズゾル下引き済支持体の作成)次
に濃度0.170に青色着色したX線用のポリエチレン
ナフタレートフィルムベース(厚み175μm)の片側
に、0.5kV・A・min/mのコロナ放電処理を
施した後、下記(L−2)で示す下塗りラテックス液を
乾燥後の膜厚が0.2μmになるように、下記(L−
1)を乾燥後の膜厚が0.053μmになるように順次
塗布して123℃で2分間乾燥した。
【0328】(L−1) C−CH−CH−CH(X)−CH(Y) X:COOH or COONa Y:COONa or COOCHCFCF
【0329】(L−2)n−ブチルアクリレート10重
量%、t−ブチルアクリレート35重量%、スチレン2
7重量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート28重
量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)。同じベ
ースのもう一方の側の下層には(合成例)で合成したS
nOゾル、前記(L−2)液及び下記(L−4)液を
容量比で35:15:50で混合した塗布液を、乾燥後
の膜厚0.20μm、ゾル成分の付き量400mg/m
になるように、上層には前記(L−1)及び下記(L
−3)液を容量比で70:30で混合した塗布液を乾燥
後の膜厚0.053μmになるように同時に塗布し、1
20℃で1分間乾燥した。塗布前には、0.5kV・A
・min・mのコロナ放電処理をした。
【0330】(L−3)テレフタル酸ジメチル34.0
2重量部、イソフタル酸ジメチル25.52重量部、5
−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩12.97
重量部、エチレングリコール47.85重量部、1,4
−シクロヘキサンジメタノール18.95重量部、酢酸
カルシウム1水塩0.065重量部、酢酸マンガン4水
塩0.022重量部を窒素気流下において170〜22
0℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行
った後、リン酸トリメチル0.04重量部、重縮合触媒
として3酸化アンチモン0.04重量部及び1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸15.08重量部を加え、2
20〜235℃の反応温度でほぼ理論量の水を留去しエ
ステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間か
けて減圧、昇温し最終的に280℃、1mmHg以下で
約1時間重縮合を行い、ポリエステル重合体を得た(固
有粘度0.35)。得られたポリエステル重合体の水溶
液7330gに、スチレン30g、ブチルメタクリレー
ト30g、グリシジルメタクリレート20g、アクリル
アミド20g及び過硫酸アンモニウム1.0gを投入し
て80℃で5時間反応させ、室温に冷却して固形分を1
0重量%に調製し塗布液を得た。
【0331】(L−4)n−ブチルアクリレート40重
量%、スチレン20重量%、グリシジルメタクリレート
40重量%の共重合体ラテックス液。
【0332】(複合ラテックスの合成) (複合ラテックスLx−1の製造例1)1000mlの
四つ口フラスコに攪拌器、温度計、滴下ロート、窒素導
入管、還流冷却器を取り付け、窒素ガスを導入して脱酸
素を行いつつ、蒸留水360ml、30重量%のコロイ
ダルシリカ分散物126gを加え、内部の温度が80℃
となるまで加熱した。下記の界面活性剤1.3gを添加
し、開始剤として過硫酸アンモニウム0.023gを添
加し、次いでピバリン酸ビニル12.6gを添加して、
4時間反応させた。その後、冷却し水酸化ナトリウム溶
液でpHを6に調製して複合ラテックスLx−1を得
た。
【0333】
【化58】 尚、上記ラテックスLx−1は、いずれも無機化合物:
疎水性ラテックス=4:1の割合で構成される。
【0334】(感光材料の作成)上記下引き済支持体の
両面にそれぞれ、下記の横断光遮断層塗布液と乳剤層塗
布液と保護層塗布液を下記の所定の塗布量になるように
同時重層塗布し、乾燥した。
【0335】 第1層(横断光遮光層) 固体微粒子分散体染料(AH) 20mg/m ゼラチン 0.2g/m ドデシルベンセンスルホン酸ナトリウム 5mg/m 化合物(I) 5mg/m 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩 5mg/m コロイダルシリカ(平均粒径0.014μm) 10mg/m
【0336】第2層(乳剤層) 上記で得た乳剤1〜14に下記の各種添加剤を加えた。
【0337】 ゼラチン(乳剤1〜14中の分も含める) 1.2g/m 化合物(G) 0.5mg/m 2,6−ビス(ヒドロキシアミノ)−4−ジエチルアミノ−1,3,5−トリ アジン 5mg/m t−ブチル−カテコール 5mg/m ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 20mg/m スチレン無水マレイン酸共重合体 80mg/m ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 80mg/m トリメチロールプロパン 350mg/m ジエチレングリコール 50mg/m ニトロフェニル−トリフェニル−ホスホニウムクロリド 1mg/m 1,3−ジヒドロキシベンゼン−4−スルホン酸アンモニウム 50mg/m 2−メルカプトベンツイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム 5mg/m 化合物(H) 0.5mg/m n−COCHCH(OH)CHN(CHCOOH) 20mg/m 化合物(M) 5mg/m 化合物(N) 5mg/m コロイダルシリカ 0.5mg/m 化合物(P) 0.2mg/m 化合物(Q) 0.2mg/m 疎水性ラテックスLx−1 1.2g/m (ラテックス成分量 0.3g/m) 水溶性ポリマー(分子量5万のデキストラン) 0.3g/m ロイコ化合物(R) 2×10−3モル/モルAg
【0338】 第3層(保護層下層) ゼラチン 0.3g/m ジオクチルフタレート 0.2g/m
【0339】 第4層(保護層上層) ゼラチン 0.3g/m ポリメチルメタクリレートからなるマット剤(面積平均粒径7.0μm) 27mg/m ホルムアルデヒド 20mg/m 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩( 硬膜剤) 10mg/m ポリシロキサン(SI) 50mg/m 化合物(I) 30mg/m 化合物(S−1) 7mg/m 化合物(K) 15mg/m 化合物(B) 2mg/m 化合物(J) 2mg/m 化合物(O) 50mg/m 化合物(S−2) 5mg/m 尚、上記各素材の付き量は片面分であり、塗布銀量は片
面分として1.5g/mになるように調製して塗布
し、試料No.1〜14を作成した。
【0340】
【化59】
【0341】
【化60】
【0342】
【化61】
【0343】 (蛍光増感紙1の製造) 蛍光体GdS:Tb(平均粒径1.8μm) 200g 結合体ポリウレタン系熱可塑性エラストマー デモラックTPKL−5−26 25 固形分40%(住友バイエルウレタン社製) 20g ニトロセルローズ(硝化度11.5%) 2g 上記にメチルエチルケトン溶媒を加え、プロペラ型ミキ
サーで分散させて粘度25ps(25℃)の蛍光体層形
成用塗布液を調整した(結合剤/蛍光体比=1/2
2)。
【0344】また、別途に下塗層形成用塗布液として軟
質アクリル樹脂固形分90g、ニトロセルロース50g
をメチルエチルケトンを加えて分散、混合して粘度3〜
6ps(25℃)の分散液を調整した。
【0345】二酸化チタンを練り込んだ厚さ250μm
のポリエチレンテレフタレートベース(支持体)をガラ
ス板上に水平に置き、上記下塗層形成用塗布液をドクタ
ーブレードを用いて支持体上に均一塗布した後、25℃
から100℃に徐々に上昇させて塗布膜の乾燥を行い支
持体上に下塗層を形成した。塗布膜の厚さは15μmで
あった。
【0346】この上に上記の蛍光体層形成用塗布液をド
クターブレードを用いて膜厚240μmで均一に塗布乾
燥し、次いで圧縮を行った。圧縮はカレンダーロールを
用いて800kgw/cmの圧力、80℃の温度で行
った。この圧縮後、特開平6−75097号の実施例
[1]記載の方法で厚さ3μmの透明保護膜を形成し
た。以上のようにして支持体、下塗り層、蛍光体層、透
明保護膜からなる蛍光増感紙1を製造した。
【0347】(蛍光増感紙2の製造)蛍光増感紙1の製
造において蛍光体層形成用塗布液の膜厚を150μmで
塗布し、圧縮を全く行わない以外は蛍光増感紙1と同様
にして支持体、下塗層、蛍光体層、透明保護膜からなる
蛍光増感紙2を製造した。
【0348】(蛍光増感紙の特性の測定) <(1)感度の測定>イーストマン・コダック社製MR
E片面感光材料に測定対象の蛍光増感紙をX線源に対し
て前面に感光材料、その後に蛍光増感紙を接触状態に配
置して、距離法にてX線露光量を変化させ、logE=
0.15の巾でステップ露光した。露光した感光材料を
後述する感光材料の特性の測定に記載した方法で現像処
理を行い、測定試料を得た。
【0349】測定試料について、可視光にて濃度測定を
行い特性曲線を得た。感度はDmin+濃度1.0を得
るX線露光量の逆数で表し、蛍光増感紙1を100(基
準値)とした相対感度で表した。結果を表2に示した。
【0350】<(2)X線吸収量の測定>三相の電力供
給で80KVpで運転される固有濾過がアルミニウム
2.2mm相当のタングステン・ターゲット管から生じ
たX線を、厚さ3mmのアルミニウム板を透過させ、タ
ーゲット管のタングステン・アノードから200cmの
位置に固定した試料蛍光増感紙に到達させ、次いでその
増感紙を透過したX線量を蛍光増感紙の蛍光体層から5
0cm後ろの位置で電離型線量計を用いて線量測定し、
X線の吸収量を求めた。尚、基準として蛍光増感紙を透
過させないで測定した上記測定位置でのX線量を用い
た。得られたそれぞれの蛍光増感紙のX線吸収量の測定
値を表2に示した。
【0351】
【表2】
【0352】(処理−1:ハイドロキノンを含有する固
体処理剤を用いた現像処理)以下の操作(A)、(B)
に従って現像用(補充用)錠剤を作成した。尚、現像用
と補充用は同一である。 操作(A) 現像主薬のハイドロキノン3000gを市販のバンダム
ミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微
粉に、亜硫酸ナトリウム3000g、亜硫酸カリウム2
000g、ジメゾンS(1−フェニル−4−ヒドロキシ
メチル−4−メチルピラゾリドン)1000gを加えミ
ル中で30分間混合して市販の攪拌造粒機中で室温にて
約10分間、30mlの水を添加することにより造粒し
た後、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて2時間乾燥し
て造粒物の水分を略々完全に除去する。このようにして
調整した造粒物にポリエチレングリコール#6000を
100gを25℃、40%RH以下に調湿された部屋で
混合機を用いて10分間均一に混合した後、得られた混
合物を菊水製作所社製タフプレストコレクト1527H
Uを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を3.8
4gにして圧縮打錠を行い、2500個の現像用(補充
用)錠剤A剤を作成した。
【0353】操作(B) DTPA100g、炭酸カリウム4000g、5メチル
ベンゾトリアゾール10g、1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾール7g、2−メルカプトヒポキサンチン
5g、KOH200g、N−アセチル−D,L−ペニシ
ラミンを操作(A)と同様、粉砕、造粒する。水の添加
量は30.0mlとし、造粒後、50℃で30分間乾燥
して造粒物の水分を略々完全に除去する。このようにし
て得られた混合物を前出の打錠機により1錠当たりの充
填量を1.73gにして圧縮打錠を行い、2500個の
現像用(補充用)錠剤B剤を作成した。
【0354】次に以下の操作で定着用(補充用)錠剤を
作成した。尚、定着用と定着補充用は同一である。 操作(C) チオ硫酸アンモニウム/チオ硫酸ナトリウム(70/3
0重量比)14000g、亜硫酸ナトリウム1500g
を(A)と同様、粉砕した後、市販の混合機で均一に混
合する。水の添加量は500mlとし、造粒後、造粒物
を60℃で30分間乾燥して造粒物の水分を略々完全に
除去する。このようにして調製した造粒物に、N−ラウ
ロイルアラニンナトリウム4gを添加し、25℃、40
%RH以下に調湿された部屋で混合機を用いて3分間混
合する。次に得られた混合物を前出の打錠機により1錠
当たりの充填量を6.202gにして圧縮打錠を行い、
2500個の定着用(補充用)錠剤C剤を作成した。
【0355】操作(D) 硼酸1000g、硫酸アルミニウム・18水塩1500
g、酢酸水素ナトリウム(氷酢酸と酢酸ナトリウムを等
モル混ぜ乾燥させたもの)3000g、酒石酸200g
を操作(A)と同様、粉砕、造粒する。水の添加量は1
00mlとし、造粒後、50℃で30分間乾燥して造粒
物の水分を略々完全に除去する。このようにして調製し
たものに、N−ラウロイルアラニンナトリウム4gを添
加し、3分間混合した後、得られた混合物を前出の打錠
機により1錠当たりの充填量を4.562gにして圧縮
打錠を行い、1250個の定着用(補充用)錠剤D剤を
作成した。
【0356】 (現像液スターター) 氷酢酸 2.98g KBr 4.0g 水を加えて1リットルとした。
【0357】現像液の処理開始(ランニング開始)時に
は、現像用錠剤A、Bを夫々434個を希釈水で希釈調
製した現像液16.5リットルに対してスターターを3
30mlを添加した液をスタート液として現像槽を満た
して処理を開始した。尚、スターターを添加した現像液
のpHは10.45であった。
【0358】先に調製した感光材料に現像処理後の光学
濃度が1.0となるように露光を施し、ランニングを行
った。ランニングには自動現像機SRX−502に固体
処理剤の投入部材を付け、処理速度が15秒で処理でき
るように改造したものを用いた。
【0359】ランニング中は現像液には感光材料0.6
2m当たり上記A、B剤が各2個と水76ml(補充
量122.6ml/m)を添加して行った。A、B
剤、各々を38mlの水に溶解したときのpHは10.
70であった。定着液には感光材料0.62m当たり
上記C剤を2個とD剤を1個及び水を74ml(補充量
119.3ml/m)添加した。各処理剤1個に対し
て水の添加速度は処理剤の添加と略々同時に開始し処理
剤の溶解速度におよそ比例して10分間等速で添加し
た。 処理条件 現像時間:4秒 定着時間:3.1秒 水洗時間:2秒 水洗−乾燥間(スクイズ):1.6秒 乾燥時間:4.3秒 全処理時間:15秒
【0360】(処理−2:ハイドロキノンを含有しない
固体処理剤を用いた現像処理)以下の操作(E)、
(F)に従ってハイドロキノンを含有しない現像用(補
充用)錠剤を作成した。 操作(E) 現像主薬のエリソルビン酸ナトリウム13000gを市
販のバンダムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕
する。この微粉に、亜硫酸ナトリウム4877g、フェ
ニドン975g、DTPA1635gを加えミル中で3
0分間混合して市販の攪拌造粒機中で室温にて約10分
間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造
粒物を流動層乾燥機で40℃にて2時間乾燥して造粒物
の水分を略々完全に除去する。このようにして調整した
造粒物にポリエチレングリコール#6000を2167
gを25℃、40%RH以下に調湿された部屋で混合機
を用いて10分間均一に混合した後、得られた混合物を
菊水製作所社製タフプレストコレクト1527HUを改
造した打錠機により1錠当たりの充填量を8.715g
にして圧縮打錠を行い、2500個の現像用(補充用)
錠剤E剤を作成した。
【0361】操作(F) 炭酸カリウム19500g、1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾール8.15g、炭酸水素ナトリウム3.
25g、亜硫酸付加物650g、ポリエチレングリコー
ル6000を1354gを操作(A)と同様、粉砕、造
粒する。水の添加量は30.0mlとし、造粒後、50
℃で30分間乾燥して造粒物の水分を略々完全に除去す
る。このようにして得られた混合物を前出の打錠機によ
り1錠当たりの充填量を9.90gにして圧縮打錠を行
い、2500個の現像用(補充用)錠剤F剤を作成し
た。
【0362】次に以下の操作で定着用(補充用)錠剤を
作成した。 操作(G) チオ硫酸アンモニウム18560g、亜硫酸ナトリウム
1392g、水酸化ナトリウム580g、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム2.32gを(A)と同様、粉
砕した後、市販の混合機で均一に混合する。水の添加量
は500mlとし、造粒後、造粒物を60℃で30分間
乾燥して造粒物の水分を略々完全に除去する。このよう
にして調製した混合物を前出の打錠機により1錠当たり
の充填量を8.214gにして圧縮打錠を行い、250
0個の定着用(補充用)錠剤G剤を作成した。
【0363】操作(H) 硼酸1860g、硫酸アルミニウム・18水塩6500
g、氷酢酸1860g、硫酸(50wt%)928gを
操作(A)と同様、粉砕、造粒する。水の添加量は10
0mlとし、造粒後、50℃で30分間乾燥して造粒物
の水分を略々完全に除去する。このようにして得られた
混合物を前出の打錠機により1錠当たりの充填量を4.
459gにして圧縮打錠を行い、1250個の定着用
(補充用)錠剤H剤を作成した。
【0364】 (現像液スターター) 氷酢酸 210g KBr 350g 水を加えて1リットルとした。
【0365】現像液の処理開始(ランニング開始)時に
は、現像用錠剤Eを1650個、F剤を825個を希釈
水で希釈調製した現像液16.5リットルに対してスタ
ーターを330mlを添加した液をスタート液として現
像槽を満たして処理を開始した。尚、スターターを添加
した現像液のpHは10.45であった。
【0366】先に調製した感光材料に現像処理後の光学
濃度が1.0となるように露光を施し、ランニングを行
った。ランニングには自動現像機SRX−502に固体
処理剤の投入部材を付け、処理速度が25秒で処理でき
るように改造したものを用いた。
【0367】ランニング中は現像液には感光材料1.0
0m当たり上記E剤を1個、F剤を2個と水20ml
(補充量20ml/m)を添加して行った。E、F剤
を20mlの水に溶解したときのpHは10.70であ
った。定着液には感光材料1.00m当たり上記G剤
を4個とH剤を2個及び水を50ml(補充量50ml
/m)添加した。各処理剤1個に対して水の添加速度
は処理剤の添加と略々同時に開始し処理剤の溶解速度に
およそ比例して10分間等速で添加した。 処理条件 現像時間:4秒 定着時間:3.1秒 水洗時間:2秒 水洗−乾燥間(スクイズ):1.6秒 乾燥時間:4.3秒 全処理時間:15秒
【0368】(処理−3:ハイドロキノンを含有しない
一般式(1)の化合物を含有する固体処理剤を用いた現
像処理)処理−2のエリソルビン酸ナトリウムの代わり
に、一般式(1)の例示化合物A−1を等モル使用する
以外は処理−2と同様に処理した。
【0369】<センシトメトリーの評価>得られた試料
について室温(20℃)下に3日間自然放置したもの、
及び強制劣化試験として温度50℃、湿度80%で3日
間放置したものを夫々蛍光増感紙1または2で挟み、ペ
ネトロメータB型(コニカメディカル社製)を介してX
線照射後、自動現像機SRX−701(コニカ社製)に
固体処理剤の投入部材を取り付け、各処理剤に対して前
記条件の補充量及び処理時間にて処理して感度測定を行
った。ここで、各試料の感度は、試料1を蛍光増感紙1
で挟んで露光し、処理−1で処理したときの最低濃度+
1.0を得るのに必要なX線露光量の逆数を100とし
たときの相対値で示した。結果を表3、4に示した。
【0370】尚、現像液の処理開始(ランニング開始)
時には現像液補充用錠剤のA剤及びB剤各々434個を
希釈水で希釈調製した現像液16.5リットルに対して
スターター330mlを添加した液をスタート液として
現像槽を満たして処理を開始した。スターターを添加し
た現像液のpHは10.45であった。 (現像液スターター) 氷酢酸 2.98g KBr 4.0g 水を加えて1リットルとした。
【0371】また定着開始液は、定着補充用錠剤のC剤
を298g相当、D剤を149g相当希釈水で希釈調製
した定着液11.0リットルをスタート液として定着槽
を満たした。
【0372】先に調製した感光材料に現像処理後の光学
濃度が1.0になるように露光を施しランニングを行っ
た。
【0373】ランニング中はいずれの処理も現像液には
感光材料0.62m当たりA剤及びB剤が各2個と水
を76ml添加して行った。A剤及びB剤を各20ml
の水に溶解したときのpHは10.70であった。定着
液には感光材料0.62m当たり上記C剤を2個、D
剤を1個及び水を74ml添加した。各処理剤1個に対
して水の添加速度は処理剤の添加と略々同時に開始し、
処理剤の溶解速度におよそ比例して10分間等速で添加
した。
【0374】<圧力カブリの評価>相対湿度50%の調
湿条件下で試料の一端を固定し、直径8mmのステンレ
スパイプに沿って折曲げ速度360°/秒で180°回
転しながら折り曲げた。その後、現像処理を行い、折曲
げ部分のカブリ増加巾を測定した。結果を表3、4に示
した。
【0375】<銀色調の評価>前記塗布済み各試料を1
0cm×30cmに裁断し、蛍光増感紙1で挟んでX線
照射後、センシトメトリーの評価と同様の処理を行い、
目視で以下のように5段階で評価を行い、その結果を表
3、4に示した。 5:黄色みが全く無く、冷黒調である 4:かすかに黄色みが見られるが、殆ど気にならないレ
ベルである 3:黄色みが見られるが、実用上問題ないレベルである 2:黄色みが強く、実用上問題となる 1:黄色みが著しく強く、実用上適さない
【0376】
【表3】
【0377】
【表4】
【0378】(現像主薬内蔵感光材料の作成と処理) (現像主薬分散物の調製)一般式(1)の例示化合物A
−1の3.1gをトリクレジルホスフェート4.8g、
ジブチルフタレエート2g及び酢酸エチル20mlに溶
解させ、ゼラチン水溶液85gと65℃で混合し、ホモ
ジナイザーで高速攪拌した。高速攪拌終了後、エバポレ
ーターを用いて60℃で減圧処理し、酢酸エチルを90
wt%除去した。これにより平均粒径0.2μmの現像
主薬分散物を得た。
【0379】(本発明の感光材料の作成及び処理)乳剤
層の塗布液中に上記現像主薬分散物を0.5モル/モル
Agになるように添加し、pHを6.1に調製する以外
は、試料1〜14と同様にして感光材料を作成し、試料
15〜28を得た。これらの試料15〜28は試料1〜
14と同様の露光を行った後、下記現像液と定着液にて
自動現像処理を行った。試料1〜14と同様に評価し
た。表5に結果を示す。
【0380】現像液 水酸化カリウム18g、亜硫酸ナトリウム35g、ジエ
チレントリアミン五酢酸1g、硼酸9g、5−メチルベ
ンツトリアゾール0.05g、臭化カリウム0.25
g、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル
−3−ピラゾリドン1.3gを水を加えて1リットルに
溶解し、更に水酸化ナトリウムでpH10.20に調製
する。
【0381】定着液 チオ硫酸アンモニウム(70wt%/vol%)300
0ml、エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム・二水
塩0.45g、亜硫酸ナトリウム225g、硼酸60
g、1−(N,N−ジエチルアミン)−エチル−5−メ
ルカプトテトラゾール15g、酒石酸48g、氷酢酸6
75g、水酸化ナトリウム225g、硫酸(36N)5
8.5g、硫酸アルミニウム150gを水を加えて6リ
ットルに溶解し、pHを4.70にする。
【0382】処理条件 現像時間:4秒 定着時間:3.1秒 水洗時間:2秒 水洗−乾燥間(スクイズ):1.6秒 乾燥時間:4.3秒 全処理時間:15秒 現像液、定着液の補充量はいずれも50ml/mとす
る。
【0383】
【表5】
【0384】
【発明の効果】本発明によれば、迅速処理適性及び低補
充処理適性に優れた、低カブリで高感度なハロゲン化銀
写真乳剤及びハロゲン化銀写真感光材料を提供すること
ができる。また本発明によれば、このような性能を有し
たハロゲン化銀写真感光材料を、迅速にかつ安全であり
環境適性のある方法で処理するX線画像形成方法を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03C 1/09 G03C 1/09 1/34 1/34 1/42 1/42 1/46 1/46 5/17 5/17 5/26 5/26 520 520 5/29 5/29 5/305 5/305 5/31 5/31 5/38 5/38 5/395 5/395 G21K 4/00 G21K 4/00 A

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%が
    アスペクト比3以上15以下の平板状粒子であり、該平
    板状粒子の最表面に少なくとも2種類のハロゲンを有
    し、かつ最表面のハライド組成の粒子間の分布が20%
    以下であり、更に該粒子の形成の全部又は一部がラジカ
    ルスカベンジャー存在下で行われたことを特徴とするハ
    ロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】前記ハロゲン化銀写真乳剤中にチオシアン
    酸化合物が存在し、かつ該粒子表面に存在するチオシア
    ン酸化合物含有量が、銀1モル当たり1×10−4モル
    以上2×10−3モル未満であることを特徴とする請求
    項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】ラジカルスカベンジャーが、下記一般式
    (A)又は(B)で表される化合物の少なくとも1種か
    らなることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン
    化銀写真乳剤。 【化1】 一般式(A)において、R及びR′は同一でも異なって
    いてもよく、それぞれアルキル基又はアリール基を表
    す。一般式(B)において、RとRは同一でも異な
    っていてもよく、それぞれヒドロキシアミノ基、ヒドロ
    キシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミ
    ノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
    基、アリールチオ基、アルキル基又はアリール基を表
    す。
  4. 【請求項4】ラジカルスカベンジャーが下記一般式
    (C)で表される化合物の少なくとも1種からなること
    を特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀写真乳
    剤。 【化2】 一般式(C)において、Ra〜Raは同一でも異な
    っていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アル
    ケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシカ
    ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、
    スルホニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スル
    ファモイル基、ハロゲン原子又は−X−Raを表す。
    ここで−X−は−O−、−S−又は−N(Ra)−を
    表す。Raはアルキル基、アルケニル基、アリール
    基、ヘテロ環基、アシル基又はスルホニル基を表し、R
    は水素原子又はRaで定義された基を表す。Ra
    〜Raの各基が同時に水素原子であることはなく、
    Raがハロゲン原子、−O−Ra又は−S−Ra
    の場合は、Ra又はRaの少なくとも一方はアルキ
    ル基である。
  5. 【請求項5】支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲ
    ン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料におい
    て、該ハロゲン化銀乳剤層中に請求項1〜4のいずれか
    に記載のハロゲン化銀写真乳剤が含有されていることを
    特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  6. 【請求項6】現像主薬を含有することを特徴とする請求
    項5記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  7. 【請求項7】下記一般式(D)で表される化合物を少な
    くとも一種類含有することを特徴とする請求項6記載の
    ハロゲン化銀写真感光材料。 【化3】 一般式(D)中、R、Rは各々独立にヒドロキシ
    基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルア
    ミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカル
    ボニルアミノ基、メルカプト基又はアルキルチオ基を表
    す。Xは5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表
    す。
  8. 【請求項8】請求項5〜7のいずれかに記載のハロゲン
    化銀写真感光材料が両面感材であり、該ハロゲン化銀写
    真感光材料をX線エネルギーが80KVpのX線に対し
    て45%以上の吸収量を示し、蛍光体の充填率が68%
    以上で、かつ蛍光体の厚みが135μm以上200μm
    以下の蛍光増感紙に挟んでX線を照射することにより像
    様露光を行うことを特徴とするX線画像形成方法。
  9. 【請求項9】請求項8記載の蛍光増感紙及びハロゲン化
    銀写真感光材料を用いてX線を照射して画像を形成する
    方法において、該ハロゲン化銀写真感光材料を現像工
    程、定着工程を含む処理工程で処理することを特徴とす
    るX線画像形成方法。
  10. 【請求項10】現像工程、定着工程の少なくとも1工程
    は、固形処理剤を供給し、処理液を調整しつつハロゲン
    化銀写真感光材料を処理することを特徴とする請求項9
    記載のX線画像形成方法。
  11. 【請求項11】処理槽に固形処理剤を供給する機構を有
    する処理装置で処理することを特徴とする請求項10記
    載のX線画像形成方法。
  12. 【請求項12】請求項6〜11のいずれかに記載のX線
    画像形成方法において、該ハロゲン化銀写真感光材料を
    下記一般式(D)で表される化合物を含有する現像液及
    び/又は現像補充液を用いて処理装置で処理することを
    特徴とするX線画像形成方法。 【化4】 一般式(D)中、R、Rは各々独立にヒドロキシ
    基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルア
    ミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカル
    ボニルアミノ基、メルカプト基又はアルキルチオ基を表
    す。Xは5〜6員環を形成するのに必要な原子群を表
    す。
  13. 【請求項13】請求項8〜12のいずれかに記載のX線
    画像形成方法において、該ハロゲン化銀写真感光材料を
    処理装置を用いて全処理時間25秒以下で処理すること
    を特徴とするX線画像形成方法。
  14. 【請求項14】請求項8〜13のいずれかに記載のX線
    画像形成方法において、現像液補充量及び/又は定着液
    補充量がハロゲン化銀写真感光材料1m当たり5ml
    以上100mlで処理されることを特徴とするX線画像
    形成方法。
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