JPH1114806A - ブラックマスク及びその製造方法及びこれを用いたカラーフィルター並びに液晶ディスプレイ - Google Patents

ブラックマスク及びその製造方法及びこれを用いたカラーフィルター並びに液晶ディスプレイ

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JPH1114806A
JPH1114806A JP13443998A JP13443998A JPH1114806A JP H1114806 A JPH1114806 A JP H1114806A JP 13443998 A JP13443998 A JP 13443998A JP 13443998 A JP13443998 A JP 13443998A JP H1114806 A JPH1114806 A JP H1114806A
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chromium
black mask
oxygen
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Kazuaki Yoshida
一明 吉田
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S T I TECHNOL KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮明な画像を液晶ディスプレイに表示するた
めのカラーフィルター及びブラックマスクを提供する。 【解決手段】 このブラックマスクは、クロム及び酸素
のみからなる第1反射防止膜3aと、同様にクロム及び
酸素のみからなり、その結晶性が第1反射防止膜3aよ
りも高い第2反射防止膜3bと、金属クロムからなる遮
光膜5と、その結晶性が第2反射防止膜3bよりも高い
クロム化合物膜4と備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラックマスク、
カラーフィルター及び液晶ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】STN方式あるいはTFT方式のカラー
液晶ディスプレイは、液晶層に対向する位置にカラーフ
ィルターを備えている。カラーフィルターは、ブラック
マスクによって分離された着色樹脂を有しており、この
ブラックマスクの特性が液晶ディスプレイの視認性を左
右する。従来のブラックマスクは、特開平8−1793
01号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液晶ディスプレイに用
いられるカラーフィルターでは、パネルの視認性を向上
させるため、その構成要素の一つであるブラックマスク
表面での光反射率、及び可視波長領域での反射率の波長
依存性を低減させることが求められる。表面反射率を低
減させるためには、クロム酸化物膜等のクロム化合物膜
とクロム膜の2層化されたブラックマスクが有効である
と考えられる。これらのブラックマスクは、ボトム反射
率は低くなるが、表面反射率の波長依存性が大きくな
る。
【0004】上記特開平8−179301号公報に記載
のブラックマスクは、Cr、O、N及びCを含んだ第1
反射防止膜、Cr、N、O及びCを含んだ第2反射防止
膜、及び金属クロムからなる遮光膜を有しており、この
ブラックマスク、クロム層を2層化したものと比較し
て、その表面反射率を低減させることができる。しかし
ながら、依然として表面反射率の波長依存性は大きく、
反射率も十分には低減されていない。
【0005】反射率の波長依存性が大きい場合には、本
来黒色であるべきブラックマスクが赤み、又は青みを帯
びる。画像の高画質化のためには、更なる表面反射率及
びその波長依存性の低減が求められる。
【0006】本発明は、上記従来技術で形成されたブラ
ックマスクの特性を大きく上回り、可視領域全体で反射
率の低く、且つ、反射率の波長依存性が小さいブラック
マスク及びその製造方法、並びに鮮明な画像が得られる
カラーフィルター及び液晶ディスプレイを提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らが可視領域全
体で反射率の十分に低いブラックマスクを得るべく、そ
の構成元素及び組成並びに製造方法について鋭意検討し
た結果、本願発明者らは、透明基板上にクロム及び酸素
からなる所定膜を形成する第1工程と、前記所定膜上に
クロム、酸素及び窒素を含むクロム化合物膜を形成する
と同時に、その結晶性が前記所定膜の表面から所定深さ
外の結晶性と異なる層を前記所定膜の表面から所定深さ
内に形成する第2工程と、クロム化合物膜上に金属クロ
ムからなる遮光膜を形成する第3工程とを備えるブラッ
クマスクの製造方法によって製造されたブラックマスク
は、従来のブラックマスクに較べて著しく反射率及びそ
の波長依存性を低減させることが可能であることを見い
だした。
【0008】また、第2工程は、希ガス、酸素及び窒素
を含む混合ガスを透明基板の配置されるチャンバ内に導
入する工程と、混合ガスを用いて金属クロムからなるタ
ーゲット基板を所定条件でスパッタリングすることによ
って、ターゲット基板のクロムと混合ガスを反応させて
所定膜上にクロム化合物膜を形成するとともに所定膜内
にその結晶性が所定膜と異なる層を形成する工程と、を
含むことが好ましい。
【0009】この方法によって製造されるブラックマス
クは、所定膜の所定深さ外の領域で規定され、クロム及
び酸素からなる第1反射防止膜と、所定膜の所定深さ内
の領域で規定され、クロム及び酸素からなり、その結晶
性が第1反射防止膜よりも高い第2反射防止膜と、クロ
ム、酸素及び窒素を含み、その結晶性が第2反射防止膜
よりも高いクロム化合物膜と、金属クロムからなる遮光
膜と、備える。
【0010】また、第1、第2反射防止膜は、原子百分
率が30〜50%のクロム及び原子百分率が50〜70
%の酸素からなり、クロム化合物膜は原子百分率が40
〜60%のクロム、原子百分率が10〜30%の酸素及
び原子百分率が20〜40%の窒素からなることが好ま
しい。
【0011】また、第1反射防止膜は8W/cm2以下
のスパッタパワーで形成されることが好ましい。
【0012】また、本発明者らが可視領域全体で反射率
の十分に低いブラックマスクを得るべく、その構成元素
及び組成並びに製造方法についてさらに検討した結果、
本願発明者らは、透明基板上にクロム及び酸素からなる
所定膜を形成する第1工程と、所定膜上にクロム、酸
素、窒素及び炭素を含むクロム化合物膜を形成すると同
時に、その結晶性が前記所定膜の表面から所定深さ外の
結晶性と異なる層を前記所定膜の表面から所定深さ内に
形成する第2工程と、クロム化合物膜上に金属クロムか
らなる遮光膜を形成する第3工程とを備えるブラックマ
スクの製造方法によって製造されたブラックマスクは、
従来のブラックマスクに較べてさらに反射率及びその波
長依存性を低減させることが可能であることを見いだし
た。
【0013】また、この第2工程は、希ガス、酸素、窒
素及び炭素を含む混合ガスを透明基板の配置されるチャ
ンバ内に導入する工程と、混合ガスを用いて金属クロム
からなるターゲット基板を所定条件でスパッタリングす
ることによって、クロムターゲット基板のクロムと混合
ガスを反応させて所定膜上にクロム化合物膜を形成する
とともに所定膜内にその結晶性が所定膜と異なる層を形
成する工程とを含むことが好ましい。
【0014】この方法によって製造されるブラックマス
クは、所定膜の所定深さ外の領域で規定され、クロム及
び酸素からなる第1反射防止膜と、所定膜の所定深さ内
の領域で規定され、クロム及び酸素からなり、その結晶
性が第1反射防止膜よりも高い第2反射防止膜と、クロ
ム、酸素、窒素及び炭素を含み、その結晶性が第2反射
防止膜よりも高いクロム化合物膜と、金属クロムからな
る遮光膜を備える。
【0015】この第1、第2反射防止膜は、原子百分率
が30〜50%のクロム及び原子百分率が50〜70%
の酸素からなり、クロム化合物膜は原子百分率が40〜
60%のクロム、原子百分率が10〜30%の酸素、原
子百分率が20〜40%の窒素及び原子百分率が0.1
〜10%の炭素からなることが好ましい。
【0016】また、第1反射防止膜は8W/cm2以下
のスパッタパワーで形成されることが好ましい。
【0017】本発明に係るカラーフィルターは、このよ
うなブラックマスクと、ブラックマスクがその上に形成
された透明基板と、ブラックマスクの複数の開口内に配
置された着色樹脂とを備える。このカラーフィルター
は、ブラックマスクが開口内に配置された着色樹脂を分
離するので、着色樹脂を透過する光を分離する。透明基
板を介してブラックマスクに照射される光の反射率及び
反射率の波長依存性は小さいため、着色樹脂を透過した
光に対する反射光の比率を低減させることができ、着色
樹脂を透過した光の視認性を向上させることができる。
【0018】また、本発明に係る液晶ディスプレイは、
このカラーフィルターを備える第1基板と、複数の電極
を備える第2基板と、第1及び第2基板間に挟持され、
電極に所定の電位を印加することにより、ブラックマス
クの複数の開口に対向する領域毎にその配向を変化させ
ることができる液晶層とを備えることを特徴とする。
【0019】この液晶ディスプレイにおいては、電極に
所定の電位を印加することにより、液晶層の液晶層のブ
ラックマスクの複数の開口に対向する領域毎に配向を変
化させることができるため、液晶層に入力される光の光
量をブラックマスクの開口毎に制御することができる。
ブラックマスクの開口内には、着色樹脂が配置されてい
るので、上記領域毎に着色樹脂に対応した波長成分の光
を発することができる。この液晶ディスプレイのカラ−
フィルタは、着色樹脂を透過した光の視認性を向上させ
ることができため、この液晶ディスプレイに鮮明な画像
を表示することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係わ
るブラックマスクについて、ブラックマスクを有するカ
ラーフィルターを用いて説明する。なお、同一要素には
同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0021】(第1の実施形態)図1は、このカラーフ
ィルター1を示す斜視図であり、ブラックマスクBMを
備える。まず、第1の実施形態に係るブラックマスクB
Mについて説明する。カラーフィルター1は、透明ガラ
ス基板2と、透明ガラス基板2上に順次堆積された第1
反射膜防止膜3a、第2反射防止膜3b、クロム化合物
膜4及び遮光膜5からなるブラックマスクBM(ブラッ
クマトリクス)と、ブラックマスクBM上に形成された
オーバーコート層6と、オーバーコート層6上に形成さ
れた透明電極7とを備える。さらに、透明ガラス基板2
の裏面側には、偏光板8が取付けられている。
【0022】第1反射防止膜3aは、原子百分率が30
〜50%のクロム及び原子百分率が50〜70%の酸素
のみからなる。すなわち、第1反射防止膜3は、Cr2
3、CrO2、CrO3、Cr512、Cr25又はCr
5等の酸化クロムのみからなる。
【0023】第2反射防止膜3bも、原子百分率が30
〜50%のクロム及び原子百分率が50〜70%の酸素
のみからなる。すなわち、第2反射防止膜3bも、Cr
23、CrO2、CrO3、Cr512、Cr25又 はC
rO5等のクロム酸化物からなる。但し、その結晶性は
第1反射防止膜3aよりも高い。なお、結晶性は微小領
域電子線回折像等によって確認できる。ここで、第1及
び第2反射防止膜3a,3bの膜厚の合計は、反射光を
低減するためには、10〜200nmであることが好ま
しく、反射光及びその波長依存性を低減させる観点から
は20〜70nmであることが好ましい。また、第2反
射防止膜3bの膜厚は、10〜50nmであって、第1
反射防止膜3aの膜厚は10〜50nmであることが好
ましい。
【0024】クロム化合物膜4は、原子百分率が40〜
60%のクロム、原子百分率が10〜30%の酸素及び
原子百分率が20〜40%の窒素からなる。すなわち、
クロム化合物膜4も、Cr23、CrO2、CrO3、C
512、Cr25又はCrO5等のクロム酸化物と、C
rN又はCrN2等のクロム窒化物との混合物又は化合
物からなる。なお、クロム化合物膜4の結晶性は第2反
射防止膜3bの結晶性よりも高い。クロム化合物膜4の
膜厚は、反射光を低減するためには、10〜200nm
であることが好ましく、反射光及びその波長依存性を低
減させる観点からは20〜70nmであることが好まし
い。
【0025】遮光膜5は、金属クロムからなり、20〜
500nmの厚みを有するが、遮光の性能の観点から
は、50〜300nmが好ましく、遮光の性能及び製造
のスループットの観点からは、50〜150nmが好ま
しい。なお、上記の膜3a,3b,4,5は、その光学
特性に影響を与えない程度に多少の不純物を含んでいて
もよい。また、透明電極7はITO(Indium-Tin-Oxid
e)からなる。
【0026】上述の第1反射防止膜3a、第2反射防止
膜3b、クロム化合物膜4及び遮光膜5の4層構造を有
するブラックマスクBMは、従来の3層構造を有するブ
ラックマスクBMと比較して、その反射率及び反射率の
波長依存性を低減することができる。
【0027】特に、クロム化合物膜4がクロム、酸素及
び窒素を含有する場合において、第1反射防止膜3a及
び第2反射防止膜3bが、クロム及び酸素以外の元素、
例えば、窒素又は炭素を含む場合には、これらの膜全体
としての表面反射率の波長依存性が大きくなるが、本ブ
ラックマスクBMは、クロム化合物膜4が上記の元素を
含む場合において、上記第1反射防止膜3a及び第2反
射防止膜3bがクロム及び酸素のみを含むため、その反
射率及び反射率の波長依存性をさらに低減することがで
きる。
【0028】本実施形態における第1反射防止膜3aの
クロム及び酸素の含有量は、それぞれ、クロムの原子百
分率が30〜50%、酸素の原子百分率が50〜70%
であり、より好ましくは、クロムの原子百分率が30〜
45%、酸素の原子百分率が55〜70%である。この
範囲外の場合は、反射率の最低値が大きくなり、その波
長依存性も大きくなる。
【0029】第2反射防止膜3bにおけるクロム及び酸
素の含有量は、それぞれ、クロムの原子百分率が30〜
50%、酸素の原子百分率が50〜70%であり、より
好ましくは、クロムの原子百分率が30〜45%、酸素
の原子百分率が55〜70%である。この範囲外の場合
は、反射率の最低値が大きくなり、その波長依存性も大
きくなる。
【0030】本実施形態の第2反射防止膜3bの結晶性
は、第1反射防止膜3aの結晶性よりも高くなってい
る。第2反射防止膜3bはクロム化合物膜4を形成する
際に、何らかのエネルギーがアモルファス状態に近い第
1反射防止膜3aに加えられ、その結晶性が高くなるこ
とによって形成されているものと考えられる。これら第
1反射防止膜3aと第2反射防止膜3bとの界面近傍に
おいては結晶性が連続的に変化しているものと考えら
れ、本実施形態の方法によって製造されるブラックマス
クBMは他の方法によって得られるものよりもその反射
防止効果が大きい。
【0031】本実施形態のクロム化合物膜4におけるク
ロム、酸素及び窒素の含有量は、それぞれ、クロムの原
子百分率が40〜60%、酸素の原子百分率が10〜3
0%、窒素の原子百分率が20〜40%であり、より好
ましくは、クロムの原子百分率が45〜55%、酸素の
原子百分率が15〜25%、窒素の原子百分率が25〜
35%である。クロム化合物膜4の組成は第2反射防止
膜3bの組成と同一の理由から略同様に設定されるが、
クロム化合物膜4ではその結晶性を第2反射防止膜3b
の結晶性よりも高く設定し、その屈折率を上昇させる。
また、各構成元素を上記範囲内に設定することにより、
ブラックマスクBM全体として反射率及び反射率波長依
存性を従来よりも低減させることができる。
【0032】図2は、図1に示したカラーフィルター1
のX−X矢印断面図である。ブラックマスクBMは複数
の開口を有しており、隣接する3つの開口内には、それ
ぞれ異なった色の樹脂が光学フィルタとして充填されて
いる。すなわち、着色樹脂Rは、赤色に着色された樹脂
であって、フォトレジストに赤色の顔料を含有させて硬
化させたものであり、着色樹脂Gは、緑色に着色された
樹脂であって、フォトレジストに緑色の顔料を含有させ
て硬化させたものであり、着色樹脂Bは、青色に着色さ
れた樹脂であって、フォトレジストに青色の顔料を含有
させて硬化させたものである。
【0033】このカラーフィルター1は、ブラックマス
クBMが開口内に配置された着色樹脂R,G,Bを分離
するので、着色樹脂R,G,Bを透過する光を分離す
る。透明基板2を介してブラックマスクBMに照射され
る光の反射率及び反射率の波長依存性は、第1及びクロ
ム化合物膜3,4が共に、Cr、N、O及びCを含んだ
ものよりも小さく、着色樹脂R,G,Bを透過した光に
対する反射光の比率を低減させることができ、着色樹脂
R,G,Bを透過した光の視認性を向上させることがで
きる。
【0034】次に、上記第1の実施形態に係るカラーフ
ィルター1の製造方法について説明する。図3乃至図9
は、カラーフィルター1の製造方法を説明するための説
明図である。本カラーフィルター1を製造するために
は、まず、図3に示すように、可視光に対して透明な透
明ガラス基板2を用意し、透明基板2の表面上に、反射
防止膜(所定膜)3、クロム化合物膜4及び遮光膜5を
順次堆積する。
【0035】反射防止膜3は、反応性スパッタリング法
を用いて形成される。すなわち、透明基板2を図示しな
いチャンバ内に配置した後、透明基板2に対向する位置
にターゲットとして、クロム金属からなるクロム基板を
配置する。次に、チャンバ内を第1の圧力P1以下に減
圧した後、不活性ガス(希ガス)としてのアルゴンガス
をチャンバ内に導入し、さらに、クロムと化合させるた
めの酸素ガスをチャンバ内に導入し、チャンバ内の圧力
を第2の圧力P2に保持する。さらに、透明基板2の温
度を測定しながら、基板2の温度を第1の温度T1に保
持しつつ、第1のスパッタパワーW1をチャンバ内の雰
囲気に加え、アルゴンプラズマを発生させてターゲット
基板に照射し、基板のクロムをスパッタリングし、スパ
ッタされたクロム原子又は分子とチャンバ内に導入され
た酸素との反応によって、透明基板2上に反射防止膜3
を形成する。
【0036】ここで、第1の圧力P1は、1.5Pa以
下であり、より好ましくは0.1Pa以下である。第2
の圧力P2は、0.1Pa〜1.5Paであるが、好ま
しくは0.3Pa〜1.0Paである。なお、第1の温
度T1は、5〜150℃であり、より好ましくは室温
(約20°C)〜100℃である。また、反射防止膜3
の形成時に投入する第1のスパッタパワーW1は、0.
5〜8W/cm2であるが、好ましくは1〜7W/cm2
である。このスパッタパワーよりも大きいスパッタパワ
ーで反射防止膜3を成膜した場合には、反射防止膜3内
に第1反射防止膜3a及び第2反射防止膜3bが形成さ
れなくなる。この際のスパッリングの速度、時間 に特
に制限はないが、目的とする膜厚を得る時間として10
秒以上1時間以内が例示され、20秒以上30分以内が
好ましく、1分以上20分以内がより好ましい。
【0037】クロム化合物膜4も反応性スパッタリング
法を用いて形成される。すなわち、クロム化合物膜4
は、反射防止膜3の形成後、基板2をチャンバから取り
出すことなく、チャンバ内の圧力が第3の圧力P3以下
になるまでチャンバ内の気体を排気した後、チャンバ内
にアルゴンガス、窒素ガスおよび酸素ガスの混合ガス
を、チャンバ内の圧力が第4の圧力P4になるまで導入
する。次に、基板2の温度を第2の温度T2に保持しつ
つ、第2のスパッタパワーW2をチャンバ内の雰囲気に
加え、アルゴンプラズマを発生させてターゲット基板に
照射し、基板のクロムをスパッタリングし、スパッタさ
れたクロム原子又は分子とチャンバ内に導入された窒素
及び酸素との反応によって、反射防止膜3上にクロム化
合物膜4を形成する。
【0038】ここで、スパッタリングによってターゲッ
ト基板のクロムと混合ガスが反応するため、反射防止膜
3上にクロム化合物膜4が形成されると同時に、反射防
止膜3の所定深さ外の領域に酸素及びクロムからなる第
1反射防止膜3aが形成され、反射防止膜3の所定深さ
内の領域に酸素及びクロムからなり、その結晶性が第1
反射防止膜3aよりも高い第2反射防止膜3bが形成さ
れる。なお、第2反射防止膜3bの結晶性はクロム化合
物膜の結晶性よりも小さい。
【0039】ここで、第3の圧力P3は、1.5Pa以
下であり、より好ましくは0.1Pa以下である。第4
の圧力P4は、0.1Pa〜1.5Paであるが、好ま
しくは0.3Pa〜1.0Paである。なお、第2の温
度T2は、5〜150℃であり、好ましくは室温(20
°C)〜100℃である。また、クロム化合物膜4の形
成時に投入する第2のスパッタパワーW2は、0.5〜
15W/cm2であるが、好ましくは1〜12W/cm2
である。この際のスパッリングの速度、時間に 特に制
限はないが、目的とする膜厚を得る時間として10秒以
上1時間以内が例示され、20秒以上30分以内が好ま
しく、1分以上20分以内がより好ましい。
【0040】遮光膜5は、クロム化合物膜4の形成後、
基板2をチャンバから取り出すことなく、チャンバ内の
圧力が第5の圧力P5以下になるまでチャンバ内の気体
を排気した後、チャンバ内にアルゴンガスを、チャンバ
内の圧力が第6の圧力P6になるまで導入する。次に、
基板2の温度を第3の温度T3に保持しつつ、第3のス
パッタパワーW3をチャンバ内の雰囲気に加え、アルゴ
ンプラズマを発生させてターゲット基板に照射し、基板
のクロムをスパッタリングし、スパッタされたクロム原
子又は分子をクロム化合物膜4上に堆積することによっ
て、遮光膜5を形成する。
【0041】ここで、第5の圧力P5は、1.5Pa以
下であり、より好ましくは0.1Pa以下である。第6
の圧力P6は、0.1Pa〜1.5Paであるが、好ま
しくは0.3Pa〜1.0Paである。なお、第3の温
度T3は、5〜150℃であり、より好ましくは室温〜
100℃である。また、遮光膜5の形成時に投入する第
3のスパッタパワーW3は、0.5〜15W/cm2
あるが、好ましくは1〜12W/cm2である。この際
のスパッリングの速度、時間に特に制限はないが、目的
とする膜厚を得る時間として10秒以上1時間以内が例
示され、20秒以上30分以内が好ましく、1分以上2
0分以内がより好ましい。
【0042】なお、上記反射防止膜3及び遮光膜5の製
造方法として、CVD法又は蒸着法を用いてもよい。
【0043】次に、図4に示すように、ポジ型のフォト
レジストを遮光膜5の露出表面上に塗布した後、プリベ
ークを行い、フォトレジストに複数の開口を有するパタ
ーンを光照射し、フォトレジストを感光させた後、フォ
トレジストの感光領域を有機溶剤を用いて溶解すること
により現像し、ベーキングを行い、複数の開口を有する
フォトレジスト層PR1を遮光膜5上に形成する。
【0044】さらに、図5に示すように、フォトレジス
ト層PR1をマスクとして、所定のエッチング液を遮光
膜5、クロム化合物膜4及び第1反射防止膜のフォトレ
ジスト層PR1の開口直下の領域に接触させて、これら
の領域をエッチングし、エッチングの終了後、フォトレ
ジスト層PR1を有機溶剤を用いて遮光膜5上から除去
し、複数の開口を有するブラックマスクBMを形成す
る。このエッチング液としては、硝酸第2セリウムアン
モニウムを主成分としたエッチング液を用いることがで
きる。
【0045】次に、図6に示すように、赤色の顔料を含
むことにより、赤色に着色されたネガ型のフォトレジス
トPR2を、基板2の上方に配置されたディスペンサD
PからブラックマスクBM上に供給し、ブラックマスク
BMの全ての開口内に充填する。
【0046】しかる後、図7に示すように、フォトレジ
ストPR2の塗布された基板2をプリベークし、均一な
厚みを有するフォトレジスト層PR2を形成する。な
お、プリベークの前に、フォトレジスト層PR2の厚み
が均一になるように、基板2を、その厚み方向を回転軸
として回転させてもよい。
【0047】次に、図8に示すように、ブラックマスク
BMのマトリクス状の配置された開口の行方向及び列方
向に対して3つおきであって、対角方向に対して隣接す
る開口領域上のみにフォトレジストPR2が残留するよ
うに、図7に示したフォトレジスト層PR2を露光し、
非感光領域のフォトレジストPR2を有機溶剤を用いて
除去した後、ベーキングを行い、ブラックマスクBMの
所定の開口内に赤色の樹脂Rを形成する。
【0048】さらに、赤色のフォトレジストPR2に代
えて、緑色に着色されたフォトレジスト及び青色に着色
されたフォトレジストを用い、赤色の樹脂Rの形成工程
と同様の方法を用いて、図9に示すように、ブラックマ
スクBMの所定の開口内に緑色の樹脂G及び青色の樹脂
Bを形成する。各着色樹脂R,G,Bは、ブラックマス
クBMの開口の行方向及び列方向に対して3つおきであ
って、対角方向に対して隣接するように配置されてい
る。
【0049】次に、着色樹脂R,G,B上に、その表面
が均一になるようにオーバーコート層6を堆積し、さら
に、オーバーコート層6上に透明電極7を堆積し、最後
に透明基板2の裏面側に偏光板8を取付けて、図1に示
したカラーフィルター1が完成する。
【0050】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
に係るブラックマスクBMについて説明する。このブラ
ックマスクBMは、第1の実施形態に係るブラックマス
クBMと同様の構造を有し、第1反射防止膜3a、第2
反射防止膜3b、クロム化合物膜4及び遮光膜5を備え
る。第1反射防止膜3a、第2反射防止膜3b及び遮光
膜5の組成は第1の実施形態のものと同一であるが、本
実施形態のクロム化合物膜4は、第1の実施形態のクロ
ム化合物膜4が原子百分率として0.1〜10%の炭素
を含有したものである。なお、第1の実施例と同様に、
クロム化合物膜4の結晶性は第2反射防止膜3bの結晶
性よりも高く、第2反射防止膜3bの結晶性は第1反射
防止膜3aの結晶性よりも高い。また、本実施形態の各
膜3〜5の厚み及びその好適範囲は第1の実施形態に係
るブラックマスクBMのそれと同じである。このように
炭素を微量に添加することにより、ブラックマスクBM
の反射率の波長依存性及び最低反射率を第1の実施形態
のものよりも低下させることができるとともに、エッチ
ング時に精度の高いパターニングを行うことができる。
【0051】この第2の実施形態に係るブラックマスク
BM及びこれを用いたカラーフィルター1の製造方法
は、第1の実施形態に係るブラックマスクBMの製造方
法と比較して、第1の実施形態に係るブラックマスクB
Mのクロム化合物膜4の形成時においてチャンバ内導入
されるアルゴンガス、窒素ガスおよび酸素ガスの混合ガ
スの代わりに、アルゴンガス、窒素ガス及び二酸化炭素
ガスの混合ガスを用いる点のみが異なり、他の工程は同
一である。
【0052】すなわち、本実施形態のブラックマスクの
製造方法は、透明基板上にクロム及び酸素からなる所定
膜を形成する第1工程と、上記反応性スパッタリング法
を用いて所定膜3上にクロム、酸素、窒素及び炭素を含
むクロム化合物膜4を形成するとともに、所定膜3内に
その結晶性が異なる層を形成する第2工程と、クロム化
合物膜4上に金属クロムからなる遮光膜5を形成する第
3工程とを備える。
【0053】次に、上記カラーフィルター1を用いた液
晶ディスプレイについて説明する。
【0054】図10は、この液晶ディスプレイ100を
示す斜視図である。図11は、図10に示した液晶ディ
スプレイ100のY−Y矢印断面図である。本液晶ディ
スプレイ100は、カラーフィルター1と、カラーフィ
ルター1の透明電極7に貼りつけられたTFT(薄膜ト
ランジスタ)基板20と、TFT基板20をカラーフィ
ルター1とともに挟む位置に固定されたバックライト2
6とを備える。
【0055】TFT基板20は、カラーフィルター1の
表面外周部を囲む遮光性樹脂からなる外枠21、外枠2
1内に充填されたネマティック液晶からなる液晶層2
2、液晶層22のブラックマスクBM開口部に対応する
領域毎に設けられた複数の画素電極23、画素電極23
がその上に形成された透明ガラス基板24及び透明ガラ
ス基板24の露出表面に形成された偏光板25を備え
る。
【0056】偏光板又は偏光膜8及び25の偏光方位は
直交しており、ポリイミド等の有機材料から構成され
る。複数の画素電極23は、TFT基板20のガラス基
板24上に形成された複数の薄膜トランジスタにそれぞ
れ接続されており、特定の画素電極23に所定の電位を
与えると、特定の画素電極23と透明電極7との間に所
定電圧が印加され、電圧に応じて形成される電界によっ
て、液晶層22の特定の画素電極23に対応する領域の
配向が変化する。
【0057】バックライト26から出射した白色光LT
1のうちの特定方向の偏光成分が、偏光板又は偏光膜2
5を通過することによって、液晶層22に入射する。入
射した偏光は、画素電極23毎に分割され、液晶層22
の配向量に応じて偏光方位が変化する。画素電極23毎
に分割された光は、カラーフィルター1の着色樹脂R,
G,Bにそれぞれ入射し、これを透過する。カラーフィ
ルター1の出射面側には、偏光板又は偏光膜8が設けら
れているため、液晶層22の配向量に応じて偏光板又は
偏光膜8を透過する光の光量が変化する。液晶層22の
配向量は、画素電極23に与えられる電位に比例するの
で、画素電極23に与える電位を制御することによっ
て、出射光LT2の光量を制御することができる。
【0058】以上、説明したように、上記実施の実施形
態に係るカラーフィルター1は、ブラックマスクBM
と、ブラックマスクBMがその上に形成された透明基板
2と、ブラックマスクBMの複数の開口内に配置された
着色樹脂R,G,Bとを備える。このカラーフィルター
1は、ブラックマスクBMが開口内に配置された着色樹
脂R,G,Bを分離するので、着色樹脂R,G,Bを透
過する光を分離する。透明基板2を介してブラックマス
クBMに照射される光の反射率及び反射率の波長依存性
は小さくため、着色樹脂R,G,Bを透過した光LT2
に対する反射光の比率を低減させることができ、着色樹
脂R,G,Bを透過した光の視認性を向上させることが
できる。
【0059】また、上記実施の形態に係る液晶ディスプ
レイ100は、カラーフィルター1と、カラーフィルタ
ー1に対向する位置に設けられた液晶層22と、所定の
電位を印加することにより、液晶層22のブラックマス
クBMの複数の開口に対向する領域毎に液晶層の配向を
変化させることができる位置に設けられた複数の電極2
3と、を備える。この液晶ディスプレイ100において
は、電極23に所定の電位を印加することにより、液晶
層22のブラックマスクBMの複数の開口に対向する領
域毎にその配向を変化させることができるため、液晶層
22に入力される光LT1の光量をブラックマスクBM
の開口毎に制御することができる。ブラックマスクBM
の開口内には、着色樹脂R,G,Bが配置されているの
で、上記領域毎に着色樹脂R,G,Bに対応した波長成
分の光を出射することができる。この液晶ディスプレイ
100のカラ−フィルタ1は、着色樹脂R,G,Bを透
過した光の視認性を向上させることができため、この液
晶ディスプレイ100に鮮明な画像を表示することがで
きる。
【0060】
【実施例】上記第1及び第2の実施形態に係るブラック
マスクBM及び比較例となるブラックマスクを製造し、
その反射率及び反射率の波長依存性について測定した。
【0061】(実施例1)第1の実施形態に係るブラッ
クマスクBMは、以下の方法により製造した。まず、ガ
ラス基板2を、スパッタリング装置のチャンバ内に装着
し、チャンバ内を1.0×10-4Paまで排気した後、
チャンバ内にアルゴンガス及び酸素ガスの混合ガスをチ
ャンバ内の圧力が0.4Paになるまで導入した。さら
に、スパッタパワーを2.2W/cm2にして、クロム
金属をターゲットとしてをスパッタリングを行い、膜厚
60nmの反射防止膜3を基板2上に形成した。
【0062】次に、チャンバ内の圧力が1.0×10-4
Paになるまでチャンバ内の雰囲気を排気した後、アル
ゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスの混合ガスを、チャン
バ内の圧力が0.2Paまでチャンバ内に導入した。し
かる後、スパッタパワーを4.4W/cm2に設定し、
クロム金属をターゲットとしてスパッタリングを行い、
反射防止膜3の所定深さ内の領域に第2反射防止膜3b
を形成して、所定深さ外の領域に第1反射防止膜3aを
残留させるとともに、第2反射防止膜3b上に膜厚40
nmのクロム化合物膜4を形成した。
【0063】次に、チャンバ内の圧力が1.0×10-4
Paになるまでチャンバ内の雰囲気を排気した後、アル
ゴンガスを、チャンバ内の圧力が0.1Paになるまで
チャンバ内に導入した。しかる後、スパッタパワーを5
W/cm2に設定し、クロム金属をターゲットとしてス
パッタリングを行い、クロム金属からなる膜厚100n
mの遮光膜5をクロム化合物膜4上に形成した。なお、
上記膜3〜5の形成時の基板2の温度は、すべて室温で
ある。
【0064】このようにして作製した第1反射防止膜3
a、第2反射防止膜3bの元素組成比は、原子百分率と
してクロムが35%、酸素が65%の膜であった。ま
た、クロム化合物膜4の元素組成比は、原子百分率とし
てクロムが約50%、窒素が約30%、酸素が約20%
の膜であった。さらに、微小領域電子線回折の結果から
第1反射防止膜3aは、ほぼアモルファス状態であり、
その結晶性は第2反射防止膜3b、クロム化合物膜4の
順に高くなっていた。
【0065】(実施例2)第2の実施形態に係るブラッ
クマスクBMは、以下の方法により製造した。まず、ガ
ラス基板2を、スパッタリング装置のチャンバ内に装着
し、チャンバ内を1.0×10-4Paまで排気した後、
チャンバ内にアルゴンガス及び酸素ガスの混合ガスをチ
ャンバ内の圧力が0.4Paになるまで導入した。さら
に、スパッタパワーを2.2W/cm2にして、クロム
金属をターゲットとしてをスパッタリングを行い、膜厚
60nmの反射防止膜3を基板2上に形成した。
【0066】次に、チャンバ内の圧力が1.0×10-4
Paになるまでチャンバ内の雰囲気を排気した後、アル
ゴンガス、窒素ガス及び二酸化炭素ガスの混合ガスを、
チャンバ内の圧力が0.2Paまでチャンバ内に導入し
た。しかる後、スパッタパワーを4.4W/cm2に設
定し、クロム金属をターゲットとしてスパッタリングを
行い、反射防止膜3の所定深さ内の領域に第2反射防止
膜3bを形成して、所定深さ外の領域に第1反射防止膜
3aを残留させるとともに、第2反射防止膜3b上に膜
厚40nmのクロム化合物膜4を形成した。
【0067】次に、チャンバ内の圧力が1.0×10-4
Paになるまでチャンバ内の雰囲気を排気した後、アル
ゴンガスを、チャンバ内の圧力が0.1Paになるまで
チャンバ内に導入した。しかる後、スパッタパワーを5
W/cm2に設定し、クロム金属をターゲットとしてス
パッタリングを行い、クロム金属からなる膜厚100n
mの遮光膜5をクロム化合物膜4上に形成した。なお、
上記膜3〜5の形成時の基板2の温度は、すべて室温で
ある。
【0068】なお、本実施例の方法で作製されたブラッ
クマスクBMの断面透過型電子顕微鏡写真(断面TEM
写真)を図13に示す。
【0069】このようにして作製した第1反射防止膜3
a、第2反射防止膜3bの元素組成比は、原子百分率と
してクロムが35%、酸素が65%の膜であった。ま
た、クロム化合物膜4の元素組成比は、原子百分率とし
てクロムが約45%、窒素が約30%、酸素が約20
%、炭素が約5%の膜であった。さらに、微小領域電子
線回折の結果から第1反射防止膜3aは、ほぼアモルフ
ァス状態であり、その結晶性は第2反射防止膜3b、ク
ロム化合物膜4の順に高くなっていた。
【0070】(比較例)比較例に係るブラックマスクB
Mは、以下の方法により製造した。まず、ガラス基板2
を、スパッタリング装置のチャンバ内に装着し、チャン
バ内を1.0×10-4Paまで排気した後、チャンバ内
に酸素ガス、窒素ガス及び二酸化炭素ガスの混合ガスを
チャンバ内の圧力が0.4Paになるまで導入した。さ
らに、スパッタパワーを10W/cm2にして、クロム
金属をターゲットとしてをスパッタリングを行い、膜厚
60nmの反射防止膜3を基板2上に形成した。
【0071】次に、チャンバ内の圧力が1.0×10-4
Paになるまでチャンバ内の雰囲気を排気した後、アル
ゴンガス、窒素ガス、酸素ガス及び二酸化炭素ガスの混
合ガスを、チャンバ内の圧力が0.4Paまでチャンバ
内に導入した。しかる後、スパッタパワーを4.4W/
cm2に設定し、クロム金属をターゲットとしてスパッ
タリングを行い、膜厚40nmのクロム化合物膜4を反
射防止膜3上に形成した。
【0072】次に、チャンバ内の圧力が1.0×10-4
Paになるまでチャンバ内の雰囲気を排気した後、アル
ゴンガスを、チャンバ内の圧力が0.1Paになるまで
チャンバ内に導入した。しかる後、スパッタパワーを5
W/cm2に設定し、クロム金属をターゲットとしてス
パッタリングを行い、クロム金属からなる膜厚100n
mの遮光膜5をクロム化合物膜4上に形成した。なお、
上記膜3〜5の形成時の基板2の温度は、すべて室温で
ある。このようにして作製した第1反射防止膜3の元素
組成比は、原子百分率としてクロムが約43%、酸素が
約43%、窒素が約10%、炭素が約4%の膜であり、
クロム化合物膜4の元素組成比は、原子百分率としてク
ロムが約48%、窒素が約43%、酸素が約5%、炭素
が約4%の膜であった。また、本比較例の方法で作製さ
れたブラックマスクBMの断面透過型電子顕微鏡写真
(断面TEM写真)の結果からは、本実施例で確認され
たように反射防止膜3内に第1反射防止膜3a、第2反
射防止膜3bは形成されていなかった。
【0073】(評価方法及び結果)実施例1、実施例2
及び比較例に係るブラックマスクBMの形成された透明
基板2を用意し、透明基板2側から入射光を照射して、
ブラックマスクBMからの光の反射率を測定した。この
反射率は、ガラス基板2側よりミノルタCM−2002
分光測色計を用いて測定した。
【0074】図12は、このようにして測定した入射光
の波長(nm)と反射率(%)との関係を示すグラフで
ある。実施例1に係るブラックマスクBMを透明基板2
上に形成した場合、その反射率は、波長400〜700
nmの可視領域に渡って、比較例のそれよりも低く、ま
た、その波長依存性も低減されている。さらに、実施例
2に係るブラックマスクBMを透明基板2上に形成した
場合、その反射率は、波長400〜700nmの可視領
域に渡って、実施例1のそれよりも低く、また、その波
長依存性も低減されている。特に、実施例1及び2のブ
ラックマスクBMの波長500nm及び600nmにお
ける反射率は、共に5%以下である。
【0075】なお、上記実施例に係るブラックマスクB
Mについて、クロム膜用のエッチング液を用いて、ブラ
ックマスクパターンを形成した場合、微細で良好なエッ
ジ形状を得ることができた。さらに、この上に赤色のレ
ジストを塗布後、露光、現像を行って赤色画素の形成を
行い、青、緑の画素を作製し、さらに、この上に、IT
O電極を成膜したのち、配向膜の作製、ラビング、スペ
ーサーの散布、ラビングした配向膜を表面に有する対向
電極基板の接着、液晶の注入、封止、偏光膜の接着等の
一連の操作を行うことにより製造された液晶ディスプレ
イは、従来の液晶ディスプレイよりも、低反射で、コン
トラスト等の表示性能が優るものである。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、上記従来技術で形成さ
れたブラックマスクの特性を大きく上回り、可視領域全
体で反射率の低く、且つ、反射率の波長依存性が小さい
ブラックマスク、並びに鮮明が画像が得られるカラーフ
ィルター及び液晶ディスプレイを提供することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーフィルターの斜視図。
【図2】図1に示したカラーフィルターのX−X矢印断
面図。
【図3】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図4】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図5】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図6】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図7】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図8】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図9】カラーフィルターの製造工程を説明するための
説明図。
【図10】液晶ディスプレイの斜視図。
【図11】図10に示した液晶ディスプレイのY−Y矢
印断面図。
【図12】入射光の波長(nm)と反射率(%)との関
係を示すグラフ。
【図13】ブラックマスクの顕微鏡写真。
【符号の説明】
3a…第1反射防止膜、3b…第2反射防止膜、4…ク
ロム化合物膜、遮光膜5、BM…ブラックマスク、1…
カラーフィルター、100…液晶ディスプレイ。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブラックマスクの製造方法において、 透明基板上にクロム及び酸素からなる所定膜を形成する
    第1工程と、 前記所定膜上にクロム、酸素及び窒素を含むクロム化合
    物膜を形成すると同時に、その結晶性が前記所定膜の表
    面から所定深さ外の結晶性と異なる層を前記所定膜の表
    面から所定深さ内に形成する第2工程と、 前記クロム化合物膜上に金属クロムからなる遮光膜を形
    成する第3工程と、を備えることを特徴とするブラック
    マスクの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2工程は、 希ガス、酸素及び窒素を含む混合ガスを前記透明基板の
    配置されるチャンバ内に導入する工程と、 前記混合ガスを用いて金属クロムからなるターゲット基
    板を所定条件でスパッタリングすることによって、前記
    ターゲット基板のクロムと前記混合ガスを反応させて前
    記所定膜上に前記クロム化合物膜を形成するとともに前
    記所定膜内にその結晶性が前記所定膜と異なる層を形成
    する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の
    ブラックマスクの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法によって製造され
    るブラックマスクにおいて、 前記所定膜の前記所定深さ外の領域で規定され、クロム
    及び酸素からなる第1反射防止膜と、 前記所定膜の前記所定深さ内の領域で規定され、クロム
    及び酸素からなり、その結晶性が前記第1反射防止膜よ
    りも高い第2反射防止膜と、 クロム、酸素及び窒素を含み、その結晶性が前記第2反
    射防止膜よりも高い前記クロム化合物膜と、 金属クロムからなる前記遮光膜と、備えるブラックマス
    ク。
  4. 【請求項4】 前記第1、第2反射防止膜は原子百分率
    が30〜50%のクロム及び原子百分率が50〜70%
    の酸素からなり、 前記クロム化合物膜は原子百分率が40〜60%のクロ
    ム、原子百分率が10〜30%の酸素、原子百分率が2
    0〜40%の窒素からなることを特徴とする請求項3に
    記載のブラックマスク。
  5. 【請求項5】 前記第1反射防止膜は8W/cm2以下
    のスパッタパワーで形成されることを特徴とする請求項
    3又は4に記載のブラックマスク。
  6. 【請求項6】 ブラックマスクの製造方法において、 透明基板上にクロム及び酸素からなる所定膜を形成する
    第1工程と、 前記所定膜上にクロム、酸素、窒素及び炭素を含むクロ
    ム化合物膜を形成すると同時に、その結晶性が前記所定
    膜の表面から所定深さ外の結晶性と異なる層を前記所定
    膜の表面から所定深さ内に形成する第2工程と、 前記クロム化合物膜上に金属クロムからなる遮光膜を形
    成する第3工程と、を備えることを特徴とするブラック
    マスクの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2工程は、 希ガス、酸素、窒素及び炭素を含む混合ガスを前記透明
    基板の配置されるチャンバ内に導入する工程と、 前記混合ガスを用いて金属クロムからなるターゲット基
    板を所定条件でスパッタリングすることによって、前記
    クロムターゲット基板のクロムと前記混合ガスを反応さ
    せて前記所定膜上に前記クロム化合物膜を形成するとと
    もに前記所定膜内にその結晶性が前記所定膜と異なる層
    を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項6に
    記載のブラックマスクの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の方法によって製造され
    るブラックマスクにおいて、 前記所定膜の前記所定深さ外の領域で規定され、クロム
    及び酸素からなる第1反射防止膜と、 前記所定膜の前記所定深さ内の領域で規定され、クロム
    及び酸素からなり、その結晶性が前記第1反射防止膜よ
    りも高い第2反射防止膜と、 クロム、酸素、窒素及び炭素を含み、その結晶性が前記
    第2反射防止膜よりも高い前記クロム化合物膜と、 金属クロムからなる前記遮光膜と、備えるブラックマス
    ク。
  9. 【請求項9】 前記第1、第2反射防止膜は原子百分率
    が30〜50%のクロム及び原子百分率が50〜70%
    の酸素からなり、前記クロム化合物膜は原子百分率が4
    0〜60%のクロム、原子百分率が10〜30%の酸
    素、原子百分率が20〜40%の窒素及び原子百分率が
    0.1〜10%の炭素からなることを特徴とする請求項
    8に記載のブラックマスク。
  10. 【請求項10】 前記第1反射防止膜は8W/cm2
    下のスパッタパワーで形成されることを特徴とする請求
    項8又は9に記載のブラックマスク。
  11. 【請求項11】 請求項3、4、5、8,9及び10の
    いずれか1項に記載のブラックマスクと、 前記ブラックマスクがその上に形成された前記透明基板
    と、 前記ブラックマスクの複数の開口内に配置された着色樹
    脂と、を備えることを特徴とするカラーフィルター。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のカラーフィルター
    を備える第1基板と、 複数の電極を備える第2基板と、 前記第1及び第2基板間に挟持され、前記電極に所定の
    電位を印加することにより、前記ブラックマスクの複数
    の開口に対向する領域毎にその配向を変化させることが
    できる液晶層と、を備えることを特徴とする液晶ディス
    プレイ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113789502A (zh) * 2021-09-10 2021-12-14 芜湖长信科技股份有限公司 一种电子显示屏镀膜方法

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CN113789502A (zh) * 2021-09-10 2021-12-14 芜湖长信科技股份有限公司 一种电子显示屏镀膜方法

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