JPH11147043A - 有機化合物の1級水酸基の選択的酸化方法およびその方法に使用する触媒吸着樹脂 - Google Patents

有機化合物の1級水酸基の選択的酸化方法およびその方法に使用する触媒吸着樹脂

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JPH11147043A
JPH11147043A JP10245452A JP24545298A JPH11147043A JP H11147043 A JPH11147043 A JP H11147043A JP 10245452 A JP10245452 A JP 10245452A JP 24545298 A JP24545298 A JP 24545298A JP H11147043 A JPH11147043 A JP H11147043A
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resin
organic compound
hydroxyl group
primary hydroxyl
amine
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Kiyoshige Ochi
清成 越智
Hidenori Takahashi
英徳 高橋
Hideki Tanaka
英樹 田中
Hiroshi Sugiyama
宏 杉山
Isao Fujisaki
勲 藤崎
Kazutomo Ori
一友 小里
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Chugai Pharmaceutical Co Ltd
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Chugai Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機化合物の1級水酸基の酸化反応におい
て、酸化触媒として使用するTEMPO等のアミン酸化
体を、安全且つ簡便に、繰り返し使用を可能ならしめる
手段、並びにこの方法を利用した有機化合物の1級水酸
基の酸化反応を提供すること。 【解決手段】 アミン酸化体が吸着した樹脂とともに電
解酸化されたハロゲン含有化合物と1級水酸基を有する
有機化合物とを反応させることを特徴とする有機化合物
の1級水酸基の選択的酸化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1級水酸基を有す
る有機化合物の選択的酸化反応に用いられる触媒として
のアミン酸化体が吸着した樹脂、該樹脂を用いた有機化
合物の1級水酸基の選択的酸化方法および酸化反応に用
いられたアミン酸化体の回収方法に関する。さらに本発
明は、グルクロン酸誘導体等のウロン酸誘導体の製造方
法およびグルクロン酸またはグルクロノラクトンの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グルクロン酸およびグルクロノラクトン
並びにそれらの誘導体は従来より医薬品として多用され
ている。グルクロン酸およびグルクロノラクトンを合成
する際の合成中間体であるグルクロン酸誘導体の工業的
合成方法は、従来より、原料であるグルコース誘導体あ
るいはデンプン等の糖類の1級水酸基を、酸化剤として
硝酸等の窒素酸化物を用いて選択的に酸化してカルボン
酸へ変換させることにより行っている(特公昭46−3
8781号)。
【0003】しかしながら、上述の方法は、酸化剤とし
て使用する窒素酸化物が高価である上に、酸化反応時に
副生する亜酸化窒素ガス類が公害の原因となる恐れがあ
ることから、このガスを空気酸化してもとの窒素酸化物
に変換させ回収、再利用しているが、副生ガスの取り扱
いが煩雑であったり、窒素酸化物の回収装置が必要にな
るなど、の問題がある。
【0004】近年、メチルグルコシド等のモノサッカロ
イド誘導体の1級水酸基を、酸化触媒として2,2,
6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシル(以下
「TEMPO」という)を使用することにより選択的に
酸化し、ウロン酸誘導体を製造する方法(Tetrah
edron Letters,34(7),1181−
1184(1993))や、1級アルコールを、TEM
PO等のN−オキシル化合物とともに電解酸化すること
により、1級アルコールを高選択的に酸化する方法が文
献等で開示されており(例えば、特開平2−10779
0号公報を参照)、TEMPOを代表とするヒンダード
ニトロキシド等のアミン酸化体が、化合物の1級水酸基
を選択的に酸化する際の触媒として有用であることが示
されている。
【0005】また、糖類と電解液中に溶けたルテニウム
化合物およびハロゲン塩を含む電解反応液を電解槽にお
いて電解し、糖類の一級または二級水酸基の酸化によっ
て生成した糖カルボン酸または糖ラクトンを採取するこ
とにより、温和な条件下で糖カルボン酸または糖ラクト
ンを高収率で製造することも公知である(特公昭63−
46153号公報を参照)。
【0006】しかしながら、これらの触媒は一般に高価
であり、工業的に利用する場合には、コスト削減、廃棄
物量の低減といった観点から、当該触媒を回収し再利用
する等の処置がとられている。また、これらの触媒は一
般に反応系内では溶液状態となっていることから、回収
するためには、水との共沸蒸留、有機溶媒抽出等の煩雑
且つ非効率的な処理を行わなければならず、また回収装
置も必要となるなど、操作上、コスト上の問題を抱えて
いる。
【0007】また、アミン酸化体の中には、人体に悪影
響を及ぼす物も多く、取り扱い時の安全性に十分気を配
る必要がある。
【0008】よって、有機化合物の1級水酸基の酸化方
法において、アミン酸化体を触媒として用いた、取り扱
いが簡便で効率のよい使用方法は、未だに満足のいくも
のが開発されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような現状を鑑み、触媒としてのアミン酸化体を安
全、簡便且つ効率的に使用できるような有機化合物の1
級水酸基の工業的な選択的酸化方法を提供することであ
る。さらには、従来、酸化剤として使われていた窒素酸
化物を使用せずに、グルクロン酸またはグルクロノラク
トンの合成中間体として有用であるウロン酸誘導体を合
成する工程を含む、簡便且つ製造環境に配慮した医薬と
して有用であるグルクロン酸またはグルクロノラクトン
の新規製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、グルクロン酸またはグルクロノラクトンの製造
方法において、糖類の酸化反応時に、アミン酸化体を触
媒として用いることにより、窒素酸化物を酸化剤として
使用せずグルクロン酸またはグルクロノラクトンの中間
体を製造できることを見出した。さらに、本発明者ら
は、糖類をはじめとする有機化合物の1級水酸基の酸化
方法において、アミン酸化体を吸着させた、ポリアクリ
ル系、ポリスチレン系、ポリアルキレン系等の樹脂をア
ミン酸化体吸着樹脂担体とした触媒を使用し、ハロゲン
含有化合物の存在下、ハロゲン含有酸化物またはハロゲ
ン含有化合物の電解酸化物を酸化剤とすることにより、
従来よりも簡便で効率のよい酸化反応を行うことができ
るという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明は、1級水酸基を有する有
機化合物の選択的酸化反応に用いられる触媒としてのア
ミン酸化体が吸着した樹脂に関する。また、本発明は、
有機化合物をアミン酸化体が吸着した樹脂とともに、ハ
ロゲン含有酸化物またはハロゲン含有化合物の電解酸化
物と反応させることを特徴とする有機化合物の1級水酸
基の選択的酸化方法に関する。詳しくは、アミン酸化体
が吸着した樹脂をいれた有機化合物の酸化反応槽と、ハ
ロゲン含有化合物の電解反応槽が分離していることを特
徴とする上記酸化方法に関する。さらに詳しくは、上記
酸化方法を用いることを特徴とするウロン酸誘導体の製
造方法に関する。
【0012】さらに本発明は、置換されていてもよい糖
類をアミン酸化体とともに、ハロゲン含有化合物の電解
酸化物と反応させることを特徴とするグルクロン酸誘導
体の製造方法に関する。詳しくは、該樹脂がポリアクリ
ル系樹脂またはポリスチレン系樹脂またはポリアルキレ
ン系樹脂であることを特徴とする上記酸化方法に関す
る。さらに詳しくは、有機化合物が置換されていてもよ
い糖類であることを特徴とする上記酸化方法に関する。
さらには、置換されていてもよい糖類をアミン酸化体と
ともに電解酸化することを特徴とするグルクロン酸誘導
体の製造方法に関する。さらには、置換されていてもよ
い糖類をアミン酸化体が吸着された樹脂とともに、ハロ
ゲン含有酸化物による酸化または電解酸化することを特
徴とするグルクロン酸誘導体の製造方法に関する。
【0013】本発明における有機化合物とは、1級水酸
基を有する有機化合物を示し、例えば、1級水酸基を有
する低級(本明細書において「低級」とは炭素数1〜1
0を意味する)または高級(本明細書において「高級」
とは炭素数11以上を意味する)アルコール類、1級水
酸基を有するアルコキシアルカン酸類、1級水酸基を有
するポリオキシアルキレンシロキサン類、1級水酸基を
有するポリオキシアルキレンアミン類、1級水酸基を有
するアルキルポリオキシアルキレン類、1級水酸基を有
するポリオキシアルキレンブロックポリマー類、1級水
酸基を有するアルキルアミドポリオキシアルキレン類、
1級水酸基を有するアルキルポリグルコシド類、1級水
酸基を有する置換されていてもよい糖類等が挙げられ
る。本発明における好ましい有機化合物としては、1級
水酸基を有する低級または高級アルコール類、1級水酸
基を有するアルキルポリグルコシド類および1級水酸基
を有する置換されていてもよい糖類が挙げられる。1級
水酸基を有する低級または高級アルコール類としては、
例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシル
アルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、
デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルア
ルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコ
ール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ス
テアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシ
ルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコー
ル、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパル
ギルアルコール等が挙げられる。
【0014】1級水酸基を有する置換されていてもよい
糖類としては、例えば、単糖類の還元末端である1位が
低級または高級アルコール類と置換されている単糖類配
糖体、単糖類の還元末端が低級アルコールとのヘミアセ
タールで保護されている誘導体、単糖類の還元末端と2
位水酸基が低級ケタールまたは芳香族ケタール環を構成
している誘導体、構成糖の1位が別の構成糖で置換され
ているオリゴ糖類または還元末端部分の1位が低級アル
コールとグリコシドを形成している配糖体等が挙げら
れ、さらに具体的には、例えば、メチル−αおよびβ−
D−グルコピラノシド、イソプロピル−αおよびβ−D
−グルコピラノシド、ベンジル−αおよびβ−D−グル
コピラノシド、グルコースジエチルアセタール、1,2
−O−イソプロピリデングルコース、1,2−O−シク
ロヘキシリデングルコース、1,2−O−ベンジリデン
グルコース等が挙げられる。
【0015】1級水酸基を有するアルキルポリグルコシ
ド類としては、例えば、マルトース、メチルマルトシ
ド、ベンジルマルトシド、セロビオース、メチルセロビ
オシド、マルトトリオース、シクロデキストリン類、デ
ンプン半加水分解物、しょ糖、乳糖等が挙げられる。
【0016】本発明におけるアミン酸化体とは、有機化
合物の酸化反応の際の触媒として使用することができ
る、2級アミンN−オキシルまたは3級アミンN−オキ
サイド、あるいはそれらのオキソニウム塩を示す。
【0017】2級アミンN−オキシルとしては、例え
ば、ジ−t−ブチルアミンN−オキシル、ジ−s−ブチ
ルアミンN−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジンN−オキシルおよびその4位置換体、2,
2,5,5−テトラメチルピロリジンN−オキシル、ジ
シクロヘキシルアミンN−オキシル等が挙げられ、3級
アミンN−オキサイドとしては、例えば、トリメチルア
ミンN−オキサイド、N−メチルモルホリンN−オキサ
イド、2,6−ジメチルピリジンN−オキサイド、2,
5−ジメチルピロールN−オキサイド等が挙げられる。
【0018】本発明におけるアミン酸化体としては、特
に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキ
シルおよびその4位置換体である、4−アセトアミノ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシ
ル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジンN−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシル、お
よび、2,2,5,5−テトラメチルピロリジンN−オ
キシル、ジシクロヘキシルアミンN−オキシル、2,6
−ジメチルピリジンN−オキサイドが好ましい。
【0019】本発明において用いられる樹脂としては、
アミン酸化体を吸着でき、酸化剤のハロゲン酸化物およ
び添加物の塩基で分解されないものであればどのような
樹脂でもよい。例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリアク
リル系樹脂、メタアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂
やポリプロピレン系樹脂をはじめとするポリアルキレン
系樹脂、デキストラン、セルロース、アガロース、親水
性ビニルポリマー等が挙げられ、好ましくは、ポリスチ
レン系樹脂、ポリアクリル系樹脂であり、具体的には、
ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系
樹脂、または芳香環にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が置
換したポリスチレン系樹脂等が好ましい。
【0020】本発明で用いられる樹脂は、吸着する触媒
としてのアミン酸化体の分子量、極性等の物性の相違に
より、目的にあったものを適宜選択できる。本発明で用
いられる樹脂の比表面積は、1〜1000m2/gが好
ましく、20〜800m2/gがさらに好ましい。ま
た、本発明で用いられる樹脂の細孔容積は、0.1〜2
ml/gが好ましく、0.5〜1.2ml/gがさらに
好ましい。
【0021】本発明に用いられる樹脂の形状は、特に限
定はしないが、溶液中で撹拌により容易に分散しやすい
もの、あるいは反応終了後に簡単な濾別操作により反応
系から分離できるもの、あるいはカラム等の容器に充填
できるものであればよく、例えば、ビーズ状のもの等が
挙げられる。
【0022】本発明で用いられる樹脂の中で、市販のポ
リアクリル系樹脂としては、“ダイアイオン”HP2M
G(三菱化学)、“アンバーライト”XAD−7(ロー
ム・アンド・ハース社)、“アンバーライト”XAD−
8(ローム・アンド・ハース社)等が挙げられ、市販の
ポリスチレン系樹脂としては、“ダイアイオン”HP2
0(三菱化学)、“ダイアイオン”HP21(三菱化
学)、“セパビーズ”SP207(三菱化学)、“セパ
ビーズ”SP825(三菱化学)、“セパビーズ”SP
−850(三菱化学)、“アンバーライト”XAD−1
(ローム・アンド・ハース社)、“アンバーライト”X
AD−2(ローム・アンド・ハース社)、“アンバーラ
イト”XAD−4(ローム・アンド・ハース社)、“ア
ンバーライト”XAD−2000(ローム・アンド・ハ
ース社)等を挙げることができる。本発明におけるハロ
ゲン含有化合物とは、水中で、フッ素イオン、塩素イオ
ン、臭素イオンまたはヨウ素イオンであるハロゲンイオ
ンを生じる化合物であり、好ましくは、塩素イオン、臭
素イオンを生じる化合物である。具体的には、例えば、
塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化
カリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウムであり、好
ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリ
ウム、臭化カリウムである。本発明におけるハロゲン含
有酸化物およびハロゲン含有化合物の電解酸化物とは、
水中で、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオ
ン、亜塩素酸イオン、亜臭素酸イオン、亜ヨウ素酸イオ
ン、次亜塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、次亜ヨウ素
酸イオン等のハロゲンイオン酸化物であるハロゲン酸イ
オンを生じる化合物であり、好ましくは、次亜塩素酸イ
オン、次亜臭素酸イオンを生じる化合物である。具体的
には、例えば、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウ
ム、次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、亜塩素酸
カリウム、次亜塩素酸カリウム、塩素酸カルシウム、亜
塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、臭素酸ナト
リウム、亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、
臭素酸カリウム、亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カリウ
ム、臭素酸カルシウム、亜臭素酸カルシウム、次亜臭素
酸カルシウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜ヨウ素酸ナトリ
ウム、次亜ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、亜
ヨウ素酸カリウム、次亜ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸カ
ルシウム、亜ヨウ素酸カルシウム、次亜ヨウ素酸カルシ
ウム等が挙げられ、好ましくは、次亜塩素酸ナトリウ
ム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜
臭素酸カリウムである。
【0023】本発明におけるウロン酸誘導体とは、6炭
糖類(ヘキソース類)の1位還元基の保護された単糖配
糖体類またはこれらを構成成分とするオリゴ糖類および
多糖類の1級水酸基がカルボキシル基に変換された物を
示し、具体的にはグルクロン酸が構成単糖であるグルク
ロン酸誘導体、マンヌロン酸が構成単糖であるマンヌロ
ン酸誘導体、ガラクツロン酸が構成単糖であるガラクツ
ロン酸誘導体等が挙げられる。本発明におけるグルクロ
ン酸誘導体としては、グルクロン酸が構成単糖であるグ
ルクロン酸誘導体の内、加水分解反応でグルクロン酸お
よびそのラクトン体であるグルクロノラクトンを生成す
る誘導体が好ましく、具体的にはメチル−αおよびβ−
グルコピラノシドウロン酸、イソプロピル−αおよびβ
−グルコピラノシドウロン酸、1,2−O−イソプロピ
リデングルクロノラクトン、蔗糖6−カルボン酸、シク
ロデキストリン6−カルボン酸、酸化デンプン等が挙げ
られ、好ましくはメチル−α−グルコピラノシドウロン
酸、イソプロピル−αおよびβ−グルコピラノシドウロ
ン酸である。
【0024】
【発明の実施の形態】触媒としてのアミン酸化体を樹脂
に吸着させる方法は、例えば、以下のようにして行うこ
とができる。水または水に均一に分散することが容易な
少量の有機溶媒等の溶解補助剤、例えば、テトラヒドロ
フラン、アセトン、メチルエチルケトン、低級アルコー
ル等を含んだ水溶液中に、アミン酸化体を0.1〜10
0mg/ml、好ましくは、0.3〜10mg/mlに
対応する量を加え、撹拌しながら5〜80%(V/
V)、好ましくは20〜50%(V/V)の樹脂を添加
する。樹脂添加後、1分〜3時間、好ましくは、10分
〜60分さらに撹拌しながら、アミン酸化体を樹脂に吸
着させる。あるいは、添加する量の樹脂を水とともにカ
ラムに充填し、アミン酸化体溶液を通液し樹脂に吸着さ
せる。
【0025】この時の溶液の温度は、0〜40℃で、好
ましくは5〜30℃である。この時の溶液のpHは、4
〜14で、好ましくは6〜12である。
【0026】また、アミン酸化体の樹脂への吸着性を上
昇させるために、あるいは吸着されたアミン酸化体の樹
脂からの脱離を防ぐために、あるいは酸化反応を促進さ
せるために、有機酸塩、例えば、酢酸ナトリウム、蟻酸
ナトリウム等、または無機塩、例えば、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨ
ウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を添加することがで
きる。
【0027】アミン酸化体を樹脂へ吸着させた後は、反
応液から樹脂を濾別し、そのまま保存するか、水あるい
は、有機酸塩または無機塩を含んだ水系溶媒で洗浄した
後、適当な条件下で保存することができる。
【0028】また、アミン酸化体を触媒として用いた有
機化合物の酸化反応終了後に、反応液に前述の樹脂を添
加し、前記と同様の方法で、アミン酸化体を吸着させた
樹脂を得ることもできる。
【0029】反応時の撹拌による樹脂の破損による消失
を防ぐために、あるいは樹脂の取り扱いを容易にするた
めに、アミン酸化体が吸着された樹脂を、サラン(ビニ
リデン系ポリマー)製の袋等の水透過性の容器に充填し
て反応系に投入し、樹脂の分散を防ぎながら使用するこ
とも可能である。
【0030】また、アミン酸化体を吸着した樹脂を、固
定相としてカラム等に充填し、基質および酸化剤の水溶
液を移動相として通液し、反応による発熱を防ぐため
に、移動相および/またはカラム全体を冷却しながら連
続反応に使用することも可能である。
【0031】上記のアミン酸化体を吸着させた樹脂を触
媒として、ハロゲンイオンの電解酸化物を酸化剤とす
る、有機化合物の1級水酸基の酸化反応を、単一の電解
反応槽内で行うこともできるし、電解反応槽と分離して
別の反応槽で行うこともできる。
【0032】特に、電解槽と分離して別の反応槽で上記
の反応を行う場合、電解槽内での触媒の電極周辺におけ
る過剰酸化による分解を回避でき、触媒活性の延長がは
かれること、また撹拌による樹脂破壊による強度劣化、
樹脂回収率の低下を回避できること等の利点がある。ま
た、反応液を、電解反応槽と酸化反応槽を交互に循環し
て繰り返し反応を行うことにより、電解反応槽で発生す
る次亜ハロゲン酸塩をより効率的に酸化反応に利用する
ことができる。酸化反応の結果生じる元のハロゲン酸塩
を電解槽に還流することが可能となり、反応終了後は電
解槽の電源を切るとともに電解槽への移動相循環を停止
し直ちに次工程へ移送でき、より効率的に目的物を得る
ことができる。電解槽としては、簡易な無隔膜型構造の
装置を使用することができる。電極は、目的とする製造
量に応じて任意の大きさを選択することができる。電極
の材質としては、ステンレス、白金、パラジウム、チタ
ン等が挙げられる。また、ステンレス、チタン、ニッケ
ル等の基材に白金、二酸化ルテニウム、イリジウム、ス
ズをコーティングしたものも電極として使用できる。電
流密度は、0.01〜0.4A/cm2が適当であり、
好ましくは、0.1〜0.3A/cm2である。
【0033】酸化反応終了後、吸着されたアミン触媒を
樹脂から脱離し、回収することも可能で、脱離させるた
めの溶媒としては、水溶性であり脂溶性の高い有機溶
媒、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエ
チルケトン、低級アルコール等、またはそれらの水溶液
で、そのまま懸濁、またはカラム充填された樹脂に通液
すると、吸着した触媒を樹脂から溶出させ、回収するこ
とができる。
【0034】上記の方法は、有機化合物の酸化反応に使
用した、触媒としてのアミン酸化体の回収方法としても
利用することができる。
【0035】触媒としてのアミン酸化体を吸着した樹脂
は、例えば、図1に示された装置を用いて以下のように
して有機化合物の1級水酸基の電解酸化反応に使用する
ことができる。
【0036】図1は、本発明の選択的酸化方法において
用いられる装置の一例を示す図である。原料調製釜(1
0)にアルキルグルコシド等の原料、塩基、塩化ナトリ
ウムを水に攪拌溶解する。送液ポンプで液を送液し、ブ
ラインと熱交換するため冷却器(20)を通じる。冷却
液は電解酸化槽(30)内で隔膜なしの電解酸化により
次亜塩素酸ナトリウムに変換され冷却器(21)で再度
冷却した液を触媒が吸着された吸着樹脂を充填したカラ
ム(40〜42)に導く。次亜塩素酸ナトリウムによる
酸化反応がカラム内で行われた後、塩化ナトリウムを含
む移動相は電解酸化槽に戻る。再び、電解酸化槽で次亜
塩素酸ナトリウムに変換される。循環を繰り返し原料が
ほとんど消失し、充分酸化反応が行われたことを確認し
た後、流路を切り替え、脱塩液タンク(52)に送液ポ
ンプで搬送される。送液ポンプで電気透析装置(50)
に送液された液は電気透析され、無機塩類は濃縮液タン
クへ、脱塩液は脱塩タンクに戻る。脱塩液の塩濃度が所
望の濃度となった時点で、透析を終了し、次の加水分解
工程へ送液される。電気透析により回収した電解液は濃
縮液タンク(51)から元の原料調製釜に送液ポンプで
戻され、再び原料溶液調製に使用される。途中の塩濃度
及び酸化の進捗状況、温度等は流路の適当な箇所で工程
チェックされる。
【0037】アミン酸化体を吸着した樹脂は、反応開始
前に触媒としての作用を発揮するのに充分な量を使用す
る。酸化反応は、通常の、触媒としてのアミン酸化体の
みを使用する条件と同様に反応を行うことができる。
【0038】触媒の力を発揮できる所定の単位樹脂あた
りの最適触媒量は、原料の種類、反応条件により任意に
選択できる。すなわち、触媒吸着量が少なくてもよい反
応の場合は、一定量の樹脂に少量の触媒を吸着させ、ま
た、触媒吸着量が多くないと反応が円滑に進行しない場
合は、一定量の樹脂に十分な量の触媒を吸着させ、使用
することができる。前者の場合は触媒の回転率がよいこ
とになる。
【0039】本発明の製造方法により得られたグルクロ
ン酸誘導体を常法の加水分解反応に付すことにより、グ
ルクロン酸またはグルクロノラクトンを製造することが
できる。
【0040】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限さ
れるものではない。
【0041】
【実施例1】2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
N−オキシル(TEMPO)150mgを150mlの
水に加え、室温で撹拌しながら、あらかじめ洗浄後水に
湿潤させたポリアクリル系合成樹脂“ダイアイオン”H
P2MG(三菱化学)75mlを添加した。20分間撹
拌後、水溶液中のTEMPOは、ガスクロマトグラフ法
(検出:FID、カラム:G−100(40m)、検出
温度:150℃)での測定で、98.0以上%樹脂に吸
着されたことを確認した。その後、濾過によりTEMP
Oの吸着した樹脂を分離し、約75mlのTEMPO吸
着樹脂を得た。
【0042】
【実施例2】メチル−α−D−グルコピラノシド 9.
7gを水150mlに溶解し、撹拌下無水炭酸ナトリウ
ム5.3g、臭化ナトリウム2.0gおよび実施例1で
得られたTEMPO吸着樹脂約75mlを添加した。冷
却下、内温30℃以下に保ち、撹拌しながら5%活性塩
素を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液約190mlを
滴下した。1.5時間撹拌後メチル−α−D−グルコピ
ラノシドがメチル−α−D−グルコピラノシドウロン酸
に100%変換されたことをHPLC(検出:RI,U
V 210nm、カラム:Shodex SUGAR
SH1011、カラム温度:25℃、移動相:0.1%
リン酸水溶液、または、RI,UV210nm、カラ
ム:アミネックスHPX−87H、カラム温度:60
℃、移動相:0.1N硫酸)で確認した。なお、ガスク
ロマトグラフ法(検出:FID、カラム:G−100
(40m)、検出温度:150℃)で、上記反応終了
後、反応液中にTEMPOが溶出していないことを確認
した。
【0043】
【実施例3】メチル−α−D−グルコピラノシド 9.
7gを水150mlに溶解し、撹拌下無水炭酸ナトリウ
ム8.0g、臭化ナトリウム2.0gおよびTEMPO
150mgを添加した。冷却下、内温30℃以下に保
ち、激しく撹拌しながらながら12%活性塩素を含んだ
次亜塩素酸ナトリウム水溶液約60mlを滴下した。
1.5時間撹拌後、メチル−α−D−グルコピラノシド
が100%メチル−α−D−グルコピラノシドウロン酸
に変換されたことをHPLC(検出:RI,UV210
nm、カラム:Shodex SUGAR SH101
1、カラム温度:25℃、移動相:0.1%リン酸水溶
液)で確認した。その後、あらかじめ洗浄後水に湿潤さ
せたポリアクリル系合成吸着樹脂“ダイアイオン”HP
2MG(三菱化学)75mlを、直接反応液に室温で撹
拌しながら添加し、反応液中のTEMPOを吸着させ
た。30分間撹拌後、反応液からTEMPO吸着樹脂を
濾過して回収した。濾液部の反応液を、ガスクロマトグ
ラフ法(検出:FID、カラム:G−100(40
m)、検出温度:150℃)で測定すると、TEMPO
が反応液から97.7%回収されたことを確認した。
【0044】
【実施例4】メチル−α−D−グルコピラノシド 9.
7gを水150mlに溶解し、撹拌下無水炭酸ナトリウ
ム5.3g、臭化ナトリウム2.0gおよびTEMPO
150mgを添加した。室温で撹拌しながら、あらか
じめ洗浄後水に浸潤させたポリスチレン系合成吸着樹脂
“アンバーライト”XAD−2(ローム・アンド・ハー
ス社)15mlを添加した。20分間撹拌後、反応液中
のTEMPOは、反応液をガスクロマトグラフ法(検
出:FID、カラム:G−100(40m)、検出温
度:150℃)で測定すると、99.3%以上樹脂に吸
着されたことを確認した。同条件で上記XAD−2 7
5mlを使用すると、TEMPOの吸着量はほぼ100
%であった。また、同条件でポリスチレン系合成吸着樹
脂“アンバーライト”XAD−4(ローム・アンド・ハ
ース社) 15mlを使用すると、TEMPOの吸着量
はほぼ100%であった。
【0045】
【実施例5】メチル−α−D−グルコピラノシド 9.
7gを水150mlに溶解し、撹拌下無水炭酸ナトリウ
ム8.0g、臭化ナトリウム2.0gおよび実施例3で
得られたTEMPO吸着樹脂 75mlを添加した。冷
却下、内温30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、1
2%活性塩素を含んだ次亜塩素酸ナトリウム水溶液約6
0mlを滴下した。1.5時間撹拌後、メチル−α−D
−グルコピラノシドが100%メチル−α−D−グルコ
ピラノシドウロン酸に変換されたことをHPLC(検
出:RI,UV 210nm、カラム:Shodex
SUGAR SH1011、カラム温度:25℃、移動
相:0.1%リン酸水溶液)で確認した。その後、TE
MPO吸着樹脂を濾過により取り除き回収した。なお、
回収したTEMPO吸着樹脂を再度前記と同様にして、
繰り返し反応に使用できることを確認した。前記の吸着
樹脂濾過後の反応液に、5%重亜硫酸ナトリウム水溶液
を沃化カリウム−デンプン紙の定性試験で陰性になるま
で加えた。次いで、希塩酸を、冷却しながら撹拌下、p
H4以下となるまで加えた。その後、倍量の水で希釈
し、電気透析装置(マイクロアシライザーG3:旭化
成)に通し脱塩操作を行った。このとき、装置の電流値
が約0.1A以下、電導度が約10mS/cm以下を示
すまで電気透析を行った。得られた脱塩反応液を濃縮
し、次いで残渣からメチル−α−D−グルコピラノシド
ウロン酸が生成したことを確認した。
【0046】
【実施例6】イソプロピル−(α,β)−D−グルコピ
ラノシド 3.2gを水50mlに溶解し、撹拌下無水
炭酸ナトリウム1.44g、臭化ナトリウム0.7gお
よびTEMPO 17mgを添加した。冷却下、内温3
0℃以下に保ち、撹拌しながら5%活性塩素を含んだ次
亜塩素酸ナトリウム水溶液22mlを滴下した。1時間
撹拌後、イソプロピル−(α,β)−D−グルコピラノ
シドが100%イソプロピル−D−グルコピラノシドウ
ロン酸に変換されたことをHPLC(検出:RI,UV
210nm、カラム:Shodex SUGAR S
H1011、カラム温度:25℃、移動相:0.1%リ
ン酸水溶液)で確認した。その後、あらかじめ洗浄後水
に湿潤させたポリスチレン系合成吸着樹脂“セパビー
ズ”SP207(三菱化学)75mlを、反応液に室温
で撹拌しながら添加し、反応液中のTEMPOを吸着さ
せた。30分間撹拌後、反応液から樹脂を濾過して回収
し、残った反応液を、ガスクロマトグラフ法(検出:F
ID、カラム:G−100(40m)、検出温度:15
0℃)で測定すると、TEMPOが反応液からほぼ10
0%回収されたことを確認した。
【0047】
【参考例】吸着樹脂カラムの調製(1) 水50mlにTEMPO(100mg)を加え室温で攪
拌しながら溶解し水溶液を調製した。別にメタノールで
洗浄し次いで水で洗浄処理したセパビーズSP207
(三菱化学製)10mlを水100ml中に加え、撹拌
しながら調製した水溶液を滴下した。滴下後約20分撹
拌を継続した。得られたTEMPOが吸着したセパビー
ズをガラス製カラムに充填し水洗して、吸着樹脂カラム
を調製した。吸着樹脂カラムの調整(2) TEMPOの代わりに、4−アセトアミノTEMPO
(140mg)を使用して、(1)と同様にして、4−
アセトアミノTEMPOが吸着された樹脂カラムを調整
した。吸着樹脂カラムの調整(3) 60%、メタノール水溶液130mlに、4−ベンゾイ
ルオキシTEMPO(180mg)を加え、室温で撹拌
して溶解させた。別にメタノールで洗浄した後に水で洗
浄処理を行ったセパビーズSP207(三菱化学製)1
0mlをカラムに充填した。先に調製した、4−ベンゾ
イルオキシTEMPO溶解液をカラム管に30分間循環
通液し、樹脂に吸着させた。その後、カラムに水300
mlを通液してメタノールを除去し、4−ベンゾイルオ
キシTEMPOが吸着された樹脂カラムを調製した。吸着樹脂カラムの調整(4) TEMPOの代わりに、4−ヒドロキシTEMPO(1
00mg)を使用して、(1)と同様にして、4−ヒド
ロキシTEMPOが吸着された樹脂カラムを調製した。
【0048】
【実施例7】電解液を臭化ナトリウムにした場合 グルコース70gとイオン交換樹脂アンバーリスト15
E(ロームアンドハース製)をイソプロパノール600
mlに懸濁し3時間加熱還流した後、樹脂を濾過により
除去し得られた澄明な液を濃縮し、次いで水を添加溶解
したイソプロピル−(α,β)−D−グルコピラノシド
水溶液を調製した。150mlの撹拌器のついたガラス
製容器中、臭化ナトリウム10gと炭酸水素ナトリウム
1.75gを80mlの水に溶解し電解液を調製した。
電解液中には約3mmの間隔を開けた2枚(陽極、陰
極)の炭素電極(各2cmx3cm)を取り付けた。電
解液は循環ポンプによりガラス管又は合成樹脂チューブ
で導き吸着樹脂カラムに導き通過させた。流出するカラ
ム通液は再び容器に帰る循環経路を組み立てた。循環ポ
ンプの流量を20ml/分に設定し電解液を撹拌しなが
ら循環した。イソプロピル−(α,β)−D−グルコピ
ラノシド2g相当量の水溶液をとり循環している電解液
中に添加した。次いで電極に直流5Vの電圧をかけ0.
01〜0.03A/cm2の電流を通じた。室温下で撹
拌、通電、循環を続け、循環している電解液を経時的に
HPLCで追跡した。約30時間後イソプロピル−
(α,β)−D−グルコピラノシドのピークは殆ど消失
し酸化反応を終了した。このとき生成したイソプロピル
−(α,β)−D−グルコピラノシドウロン酸のピーク
を確認した。電解液(反応液)を希塩酸で中和しpH1
以下に調整した後、電気透析装置(旭化成、マイクロア
シライザー)で無機イオンを脱塩除去した。脱塩液を濃
縮すると1.8gのシロップ状のイソプロピル−(α,
β)−D−グルコピラノシドウロン酸を得た。 HPLC 条件 カラム:Shodex SH1011 移動相:0.1
%リン酸 流速:0.5ml/min 検出:RI、U
【0049】
【実施例8(1)】電解液を塩化ナトリウムにした場合 塩化ナトリウム10gと炭酸ナトリウム1.75gを8
0mlの水に溶解し電解液を調製した。実施例7と同様
に電極を取り付けた容器から循環ポンプにより吸着樹脂
カラムに導く電解液の循環経路を設定した。イソプロピ
ル−(α,β)−D−グルコピラノシド2g相当量の水
溶液を取り循環している電解液中に添加した。次いで電
極に直流5Vの電圧をかけ0.01〜0.03A/cm
2の電流を通じた。循環している電解液を経時的にHP
LCで追跡すると約6時間後イソプロピル−(α,β)
−D−グルコピラノシドウロン酸への変換が約80%で
あった。
【実施例8(2)】原料を(1)の5倍量にスケールア
ップした場合 容積150mlのジャケット付ガラス製容器中、塩化ナ
トリウム6.5gと炭酸水素ナトリウム5g、イソプロ
ピル−(α,β)−D−グルコピラノシド10gを13
0mlの水に溶解し、電解液を調製した。ガラス容器の
ジャケットに冷却水を流し内温を30℃以下に保ちなが
ら、電解溶液を循環ポンプにより、無隔膜式電解槽(電
極面積10cm2、陽極:酸化ルテニウム、陰極:チタ
ン)へ導入し、出口に4−アセトアミノ−TEMPO−
140mgを吸着させたSP−207樹脂10mlを充
填したカラムを接続し、連続的に循環した。電流値を2
Aにとり定電流電解を行い、6ファラデー/モルの電気
量を通電し、イソプロピル−(α,β)−D−グルコピ
ラノシドHPLCピークが消失した。反応液中の生成し
たイソプロピル−(α,β)−D−グルコピラノシドウ
ロン酸のピークにより、反応終了を確認した。循環電解
液(反応液)を循環経路から取り出した後、新たに電解
液を調製し、イソプロピル−(α,β)−D−グルコピ
ラノシド10gを添加する同一の吸着樹脂カラム使用に
よる上記の反応を繰り返し行った。合計6回の反応を実
施したが、すべての反応は終了し、使用した樹脂カラム
の活性は保たれた。
【実施例8(3)】触媒として4−ベンゾイルオキシT
EMPOを使用した場合 容積150mlのジャケット付ガラス製容器中、塩化ナ
トリウム6.5gと炭酸水素ナトリウム5g、イソプロ
ピル−(α,β)−D−グルコピラノシド10gを13
0mlの水に溶解し、電解液を調製した。ガラス容器の
ジャケットに冷却水を流して内温を30℃以下に保ちな
がら、電解溶液を循環ポンプにより、無隔膜式電解槽
(電極面積10cm2、陽極:二酸化イリジウム、陰
極:チタン)へ導入し、出口に4−ベンゾイルオキシT
EMPO180mgを吸着させたSP−207樹脂10
mlを充填したカラムを接続し、連続的に循環した。電
流値を2.0Aにとり定電流電解を行い、8ファラデー
/モルの電気量を通電し、イソプロピル−(α,β)−
D−グルコピラノシドウロン酸を収率78%で得たこと
をHPLC(検出:RI、UV210nm、カラムAm
inexHPX−87H、カラム温度40℃、移動相:
0.01N硫酸水)で確認した。
【0050】
【実施例9(1)】吸着樹脂カラムのサイクルテスト 臭化ナトリウム10gと炭酸ナトリウム1.75gを8
0mlの水に溶解し電解液を調製した。実施例1と同様
に電極を取り付けた容器から循環ポンプにより吸着樹脂
カラムに導く電解液の循環経路を設定した。メチル−α
−D−グルコピラノシド2gを循環している電解液に添
加する。次いで電極に直流5Vの電圧をかけ0.01〜
0.03A/cm2の電流を通じた。約3時間後メチル
−α−D−グルコピラノシドのHPLCピークは消失し
た。反応液中の生成したメチル−α−D−グルコピラノ
シドウロン酸のピークにより反応終了を確認した。循環
電解液(反応液)を循環経路から取り出した後、新たに
電解液を調製し、メチル−α−D−グルコピラノシド2
gを添加する同一の吸着樹脂カラム使用による上記の反
応を繰り返し行った。合計5回の反応を実施したが、全
ての反応は終了し、使用した吸着樹脂カラムの活性は低
下しなかった。合計5回の反応液を集め希臭化水素水で
pH1以下に調整した後、電気透析装置(旭化成、マイ
クロアシライザー)により処理しメチル−α−D−グル
コピラノシドウロン酸8.5gを含む水溶液を得ると共
に臭化ナトリウム水溶液を回収した。
【実施例9(2)】原料を(1)の5倍量にスケールア
ップした場合 容積150mlのジャケット付ガラス製容器中、塩化ナ
トリウム6.5gと炭酸水素ナトリウム5g、メチル−
α−D−グルコピラノシド10gを130mlの水に溶
解し、電解液を調製した。ガラス容器のジャケットに冷
却水を流して内温を30℃以下に保ちながら、電解溶液
を循環ポンプにより、無隔膜式電解槽(電極面積10c
2、陽極:酸化ルテニウム、陰極:チタン)へ導入
し、出口にTEMPO100mgを吸着させたSP−2
07樹脂50mlを充填したカラムを接続し、連続的に
循環した。電流値を2.6Aにとり定電流電解を行い、
6ファラデー/モルの電気量を通電し、メチル−α−D
−グルコピラノシドウロン酸を収率92%で得たことを
HPLC(検出:RI、UV210nm、カラムAmi
nexHPX−87H、カラム温度40℃、移動相:
0.01N硫酸水)で確認した。
【0051】
【実施例10】酸化物の加水分解反応とグルクロン酸
(ラクトン)の取得 イソプロピル−(α,β)−D−グルコピラノシドウロ
ン酸水溶液から10g相当量に硫酸5mlを加え、水で
希釈し全量を100mlに調製し、還流冷却器を付けた
200mlガラス容器中で加熱還流した。経時的にサン
プリングしHPLCでイソプロピルグルコピラノシドウ
ロン酸のピークが約5%以下となった約3時間後に反応
を中止し、室温まで冷却した。加水分解により発生する
イソプロパノールを減圧濃縮して除去後、再び希釈し、
電気透析装置(トクヤマ製、TS型)により反応液の伝
導度が3.66mS/cmとなるまで電気透析を行い硫
酸を除去した。硫酸を殆ど除去した流出液を陽イオン交
換樹脂SK1B(三菱化学製)5mlを通液した後約3
0mlまで濃縮した。濃縮液に粉末状脱色炭2gを添加
し室温下10分攪拌した後濾過した。濾液及び洗液部分
を合わせて加熱濃縮し約20mlとした。氷水で冷却し
撹拌するとグルクロノラクトン結晶が析出した。これを
濾過し冷水で洗浄した。母液部は再度加熱濃縮し、同様
の操作を行い二次結晶を得た。グルクロノラクトン結晶
計7gを得た。熱水より再結晶した再結晶品の赤外吸収
スペクトルは標準品と同一であった。
【0052】
【発明の効果】本発明により、有機化合物の酸化反応に
おける、酸化触媒として使用するアミン酸化体を、安全
且つ簡便で効率的に使用することができる。また、触媒
の活性化工程と酸化工程とを別々にすることが可能であ
るため、反応液を電解反応槽と酸化反応槽を交互に循環
させて繰り返し反応を行うことにより、より効率的に酸
化反応を行うことができるので、より効率的に目的物を
得ることができる。しかも、本発明の方法をグルクロン
酸あるいはグルクロノラクトンの製造に適用すると、硝
酸等の窒素酸化物を使用することなく安全にこれらの化
合物を製造することができる。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化方法を実施するために用いる装置
の一例である。
【符号の説明】
10:原料調整釜 30:電気酸化装置 5
0:電気透析装置 11:撹拌翼 40:触媒吸着塔1 5
1:濃縮液タンク 12:撹拌 41:触媒吸着塔2 5
2:脱塩液タンク 20:冷却器1 42:触媒吸着塔3 21:冷却器2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 宏 静岡県藤枝市高柳2500 中外製薬株式会社 内 (72)発明者 藤崎 勲 東京都北区浮間5丁目5番1号 中外製薬 株式会社内 (72)発明者 小里 一友 東京都豊島区高田3丁目41番8号 中外製 薬株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1級水酸基を有する有機化合物の選択的
    酸化反応に用いられる触媒としてのアミン酸化体が吸着
    された樹脂。
  2. 【請求項2】 樹脂がポリアクリル系樹脂またはポリス
    チレン系樹脂またはポリアルキレン系樹脂であることを
    特徴とする請求項1記載の樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2記載の樹脂を使用するこ
    とを特徴とする、有機化合物の1級水酸基の酸化方法。
  4. 【請求項4】 アミン酸化体が吸着された樹脂とともに
    ハロゲン含有酸化物と1級水酸基を有する有機化合物と
    を反応させることを特徴とする有機化合物の1級水酸基
    の選択的酸化方法。
  5. 【請求項5】 アミン酸化体が吸着された樹脂とともに
    ハロゲン含有化合物の電解酸化物と1級水酸基を有する
    有機化合物とを反応させることを特徴とする有機化合物
    の1級水酸基の選択的酸化方法。
  6. 【請求項6】 アミン酸化体が吸着された樹脂とともに
    ハロゲン含有化合物の電解酸化物と1級水酸基を有する
    有機化合物とを反応させるための酸化反応槽と、ハロゲ
    ン含有化合物を電解酸化する電解反応槽とが分離してい
    ることを特徴とする請求項5記載の酸化方法。
  7. 【請求項7】 酸化反応槽と電解反応槽が循環式の反応
    サイクル中にそれぞれ独立して設けられ、このサイクル
    中にハロゲン含有化合物と1級水酸基を有する有機化合
    物を循環させながら反応させることを特徴とする請求項
    6記載の酸化方法。
  8. 【請求項8】 樹脂がポリアクリル系樹脂またはポリス
    チレン系樹脂またはポリアルキレン系樹脂であることを
    特徴とする請求項3乃至7記載の酸化方法。
  9. 【請求項9】 有機化合物が置換されていてもよい糖類
    であることを特徴とする請求項3乃至7記載の酸化方
    法。
  10. 【請求項10】 有機化合物が置換されていてもよい糖
    類であることを特徴とする請求項8記載の酸化方法。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の酸化方法を用いること
    を特徴とするウロン酸誘導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の酸化方法を用いるこ
    とを特徴とするウロン酸誘導体の製造方法。
  13. 【請求項13】 ウロン酸誘導体がグルクロン酸誘導体
    である請求項11記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 ウロン酸誘導体がグルクロン酸誘導体
    である請求項12記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 置換されていてもよい糖類をアミン酸
    化体が吸着された樹脂とともにハロゲン含有化合物の電
    解酸化物と反応させることを特徴とするグルクロン酸誘
    導体の製造方法。
  16. 【請求項16】 置換されていてもよい糖類をアミン酸
    化体が吸着された樹脂を触媒として酸化反応させて得ら
    れるグルクロン酸誘導体を加水分解することを特徴とす
    るグルクロン酸またはグルクロノラクトンの製造方法。
  17. 【請求項17】 有機化合物の酸化反応に用いられる触
    媒としてのアミン酸化体を含む溶液を樹脂に接触させ
    て、アミン酸化体を樹脂に吸着させた後、該樹脂からア
    ミン酸化体を分離することを含むアミン酸化体の回収方
    法。
JP10245452A 1997-09-08 1998-08-31 有機化合物の1級水酸基の選択的酸化方法およびその方法に使用する触媒吸着樹脂 Pending JPH11147043A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008139844A1 (ja) 2007-05-08 2008-11-20 Ensuiko Sugar Refining Co., Ltd. グルクロン酸発酵によるグルクロン酸の製造方法
WO2010116794A1 (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 日本製紙株式会社 N-オキシル化合物の回収・再利用方法
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