JPH11145704A - 多重モード誘電体共振器装置、誘電体フィルタ、複合誘電体フィルタ、合成器、分配器および通信装置 - Google Patents
多重モード誘電体共振器装置、誘電体フィルタ、複合誘電体フィルタ、合成器、分配器および通信装置Info
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Abstract
振器装置およびQoの高い多重モードの誘電体共振器装
置を提供する。 【解決手段】 TM01δ-x,-y,-z,TE01δ-x,
-y,-z等の複数のモードで共振する略直方体形状の誘電
体コアを略直方体形状のキャビティの中央部に配置し、
これらの複数の共振モードを利用する。
Description
作する誘電体共振器装置、誘電体フィルタ、複合誘電体
フィルタ、合成器、分配器、および通信装置に関する。
界で全反射を繰り返しながら、元の位置に同位相で戻っ
てくることにより共振する誘電体共振器は、小型で無負
荷Q(Qo)の高い共振器として用いられる。そのモー
ドには、断面が円形や矩形の誘電体棒を、その誘電体棒
を伝搬するTEモードやTMモードのs・λg/2(λ
gは管内波長、sは整数)の長さで切断した時に得られ
るTEモードやTMモードがある。そして、断面のモー
ドがTM01モードで上記s=1の場合、TM01δモ
ードの共振器が得られ、断面のモードがTE01モード
でs=1の場合、TE01δモードの誘電体共振器が得
られる。
に、誘電体共振器の共振周波数を遮断する円形導波管ま
たは矩形導波管をキャビティとして、その中に円柱形状
のTM01δモードの誘電体コアまたはTE01δモー
ドの誘電体コアを配置する。
における電磁界分布を示す図である。ここで実線は電
界、破線は磁界をそれぞれ示している。
器によって複数段の誘電体共振器装置を構成する場合、
キャビィティ内に複数の誘電体コアを配列することにな
る。図26に示した例では、(A)のTM01δモード
の誘電体コアをその軸方向に配列するか、(B)のTE
01δモードの誘電体コアを同一平面に沿って配置する
ことになる。
従来の誘電体共振器装置においては、共振器を多段化す
るために、複数の誘電体コアを高精度に位置決め固定し
なければならない。そのため、特性のそろった誘電体共
振器装置を得難いという問題があった。
ティ内に一体的に設けたTMモードの誘電体共振器も従
来より用いられている。このタイプの誘電体共振器装置
では、限られた空間内にTMモードを多重化することが
できるため、小型で多段の誘電体共振器装置が得られる
が、誘電体コアへの電磁界エネルギの集中度が低く、キ
ャビティに設けた導電体膜に実電流が流れるため、一般
にTEモードの誘電体共振器ほどの高いQoが得られな
いという問題があった。
振器からなる誘電体共振器装置を提供すること、および
Qoの高い多重モードの誘電体共振器装置を提供するこ
とにある。
誘電体共振器を用いた誘電体フィルタ、複合誘電体フィ
ルタ、合成器、分配器、および通信装置を提供すること
にある。
電体共振器装置は、請求項1に記載のとおり、略直方体
形状の誘電体コアを略直方体形状のキャビティの略中央
部に配置し、前記誘電体コアのx,y,zの直角座標で
y−z面に平行な面で磁界が回るTM01δ-xモード
と、x−z面に平行な面で磁界が回るTM01δ-yモー
ドを生じさせる。また、請求項2に記載のとおり、y−
z面に平行な面で磁界が回るTM01δ-xモードと、x
−z面に平行な面で磁界が回るTM01δ-yモードと、
x−y面に平行な面で磁界が回るTM01δ-zモードと
を生じさせる。このように略直方体形状の誘電体コア
を、略直方体形状のキャビティの略中央部に配置するよ
うにしたため、TMモードでありながら誘電体コアへの
電磁界エネルギの集中度が高まり、キャビティに流れる
実電流が微小となるため、Qoを高くすることができ
る。しかも、単一の誘電体コアおよびキャビティであり
ながら、2つまたは3つのTMモードを利用することが
でき、全体に小型化を図ることができる。
は、請求項3に記載のとおり、略直方体形状の誘電体コ
アを略直方体形状のキャビティの略中央部に配置し、前
記誘電体コアのx,y,zの直角座標でy−z面に平行
な面で電界が回るTE01δ-xモードと、x−z面に平
行な面で電界が回るTE01δ-yモードを生じさせる。
また、請求項4に記載のとおり、y−z面に平行な面で
電界が回るTE01δ-xモードと、x−z面に平行な面
で電界が回るTE01δ-yモードと、x−y面に平行な
面で電界が回るTE01δ-zモードとを生じさせる。こ
のようにTEモードでありながら2重または3重に多重
化することができ、全体に小型化を図ることができる。
装置は、請求項5に記載のとおり、前記2重または3重
のTMモードと2重または3重のTEモードとを単一の
誘電体コアおよびキャビティで生じさせる。このことに
よりTMモードとTEモードの両モードを用いた誘電体
共振器装置が得られ、また4重以上の多重モードの誘電
体共振器装置となるため、全体にさらに小型化を図るこ
とができる。
結合させずに独立させて用いれば、たとえば帯域阻止フ
ィルタ、合成器、分配器など、複数の共振器による回路
を単一の誘電体コアを用いて小型に構成することができ
る。
器装置は請求項6に記載のとおり、請求項1〜5のうち
いずれかに記載の誘電体共振器装置の各モードのうち所
定のモード同士を結合させて、共振器を多段化する。こ
れにより複数の誘電体共振器を多段接続した共振器装置
が構成され、たとえば帯域通過型フィルタ特性を有する
誘電体共振器装置が得られる。また、複数の共振モード
のうち、幾つかを順次結合させ、他の共振モードを独立
した共振器として用いれば、たとえば帯域通過フィルタ
と帯域阻止フィルタを組み合わせたフィルタを構成する
ことも可能となる。
おり、前記多重モード誘電体共振器装置の所定のモード
に結合する外部結合手段を設けて誘電体フィルタを構成
する。
おり、前記誘電体フィルタを複数用いて3つ以上のポー
トを有する複合誘電体フィルタを構成する。
おり、前記多重モード誘電体共振器装置の複数の所定の
モードにそれぞれ独立に外部結合する独立外部結合手段
と、前記多重モード誘電体共振器装置の複数の所定のモ
ードに共通に外部結合する共通外部結合手段とを備え、
該共通外部結合手段を出力ポート、前記複数の独立外部
結合手段を入力ポートとして合成器を構成する。
とおり、前記多重モード誘電体共振器装置の複数の所定
のモードにそれぞれ独立に外部結合する独立外部結合手
段と、前記多重モード誘電体共振器装置の複数の所定の
モードに共通に外部結合する共通外部結合手段とを備
え、該共通外部結合手段を入力ポート、前記複数の独立
外部結合手段を出力ポートとして分配器を構成する。
のとおり、上記複合誘電体フィルタ、合成器、分配器を
高周波部に用いて通信装置を構成する。
多重モード誘電体共振器装置の構成を図1〜図4を参照
して説明する。
構成部分の斜視図である。同図において1は略直方体形
状の誘電体コア、2は角筒形状のキャビティ、3は誘電
体コア1をキャビティ2の略中央部に支持するための支
持体である。キャビティ2の外周面には導電体膜を形成
していて、2つの開口面には導電体膜を形成した誘電体
板または金属板を配置して略直方体形状のシールド空間
を構成する。また、必要に応じてキャビティ2の開口面
に他のキャビティの開口面を対向させ、所定の共振モー
ドの電磁界を結合させて多段化を図る。
ア1の誘電率より比誘電率が低いセラミック材料を用
い、誘電体コア1とキャビティ2の内壁面との間にそれ
ぞれ配置して焼成一体化する。
ドを図2〜4に示す。これらの図においてx,y,zは
図1に示した3次元方向の座標軸であり、図2〜図4で
は2次元の各面における断面図をそれぞれ示している。
図2〜図4における実線の矢印は電界ベクトル、破線の
矢印は磁界ベクトル、“・”記号および“×”記号は電
界または磁界の方向を示している。なお、図2〜図4で
はx,y,zの3方向のTM01δモード、同じく3方
向のTE01δモードの合計6つの共振モードについて
のみ示している。実際にはこれらの高次の共振モードも
存在するが、通常はこれらの基本モードを用いる。
電体共振器装置の構成を図5〜図8を参照して説明す
る。
構成部分の斜視図である。同図において1は略直方体形
状の誘電体コア、2は角筒形状のキャビティ、3は誘電
体コア1をキャビティ2の略中央部に支持するための支
持体である。キャビティ2の外周面には導電体膜を形成
している。この例ではキャビティの内壁面の四面にそれ
ぞれ2つずつ支持体3を設けている。その他の構成は第
1の実施形態の場合と同様である。
器装置の製造工程の一例を示す図である。まず(A)に
示すように誘電体コア1をキャビティ2に対して連結部
分1′で連結した状態で同時に一体成形する。このとき
成形金型は、角筒形状のキャビティ2の開口面から軸方
向に開枠させる。続いて同図の(B)に示すように連結
部1′の近傍に、誘電体コア1の各々のコーナ部分に相
当する箇所に支持体3をペースト状態のガラスグレーズ
で仮接着する。またキャビティ2の外周面にAgペース
トを塗布し、その後、電極膜の焼付けと同時に支持体3
を誘電体コア1およびキャビティ2の内壁面に焼き付け
る(ガラスグレーズで接合させる。)その後、連結部
1′部分を削り取ることによって、同図の(C)に示す
ように、誘電体コア1をキャビティ2の中央部に装荷し
た構造とする。ここで誘電体コア1およびキャビティ2
としては、εr=37、tanδ=1/ 20,000 のZrO
2 −SnO2 −TiO2 系の誘電体セラミック材料を用
い、支持体3としてはεr=6、tanδ=1/ 2,000の
2MgO−SiO2 系の低誘電率セラミック材料を用い
る。両者は線膨張係数が近似しており、誘電体コアの発
熱および環境温度の変化に対しても支持体と誘電体コア
またはキャビティとの間の接合面に過大な応力が加わる
ことがない。
を用いた例を示したが、支持体を誘電体コアまたはキャ
ビティと共に一体成形するようにしてもよく、支持体、
誘電体コアおよびキャビティを全て一体成形するように
してもよい。
向の厚みおよび支持体3の断面積を変化させた時のTE
01δ-x,TE01δ-yおよびTE01δ-zの各モード
の共振周波数の変化を示す図である。このように誘電体
コアのz軸方向の厚みを増す程、TE01δ-x,TE0
1δ-yモードの共振周波数がより大きく低下し、また支
持体の断面積を大きくする程、TE01δ-zモードの共
振周波数がより大きく低下する。これらの関係を利用し
て、誘電体コア1のz軸方向の厚みと支持体3の断面積
を適宜設計することによって、TE01δ-x,TE01
δ-y,TE01δ-zの3つのモードの共振周波数を一致
させることができる。これにより、所定の共振モード間
を結合させれば、多段化を図ることができる。
誘電体コア1のz軸方向の厚み、および支持体3の断面
積を変化させた時の、上記3つのTMモードについての
共振周波数の変化を示す図である。キャビティの壁厚の
みを厚くした場合、TM01δ-x,TM01δ-yモード
の共振周波数はTM01δ-zモードの共振周波数より大
きく低下し、誘電体コアのz軸方向の厚みを厚くする
と、TM01δ-zモードの共振周波数がTM01δ-x,
TM01δ-yモードの共振周波数より大きく低下する。
また支持体の断面積を大きくすると、TM01δ-x,T
M01δ-yモードの共振周波数がTM01δ-zモードの
共振周波数より大きく低下する。この関係を利用して例
えば図中のp1またはp2で示す特性点で3つのモード
の共振周波数を一致させることができる。
電体共振器装置の誘電体コア部分の構成を示す斜視図で
ある。既に図2〜図4を参照して説明したように、TE
01δモードでは、電界成分が誘電体コアを8分割する
各断面付近に集中するのに対し、TM01δモードでは
そのようなことがないため、図9に示したように誘電体
コアにその各面の中央で交差する十字型の溝gをそれぞ
れ設けることによって、TE01δモードの共振周波数
を選択的に高めることができる。
ドの共振周波数の変化の関係を示す図である。溝を設け
ない場合には一般にTE01δモードの共振周波数はT
M01δモードの共振周波数より低い値を示すが、溝g
を設けた場合、その深さを深くするほどTE01δモー
ドの共振周波数が上昇し、あるところでTM01δモー
ドの共振周波数と一致する。なお、溝深さを一定とし
て、溝幅を広げるようにした場合でも、その溝幅を広げ
る程、TE01δモードの共振周波数を選択的に上昇さ
せることができる。誘電体コア、キャビティ、支持体の
各寸法および各部の比誘電率等によって、上記溝のない
状態で、TE01δモードの共振周波数がTM01δモ
ードの共振周波数より低い場合、このようにして、誘電
体コアに溝を形成することによって、TE01δモード
の共振周波数とTM01δモードの共振周波数とを一致
させることができる。そして両モードの共振周波数を一
致させ、且つ両モード間を結合させれば多段化を図るこ
とができる。
せた多重モード誘電体共振器装置の構成を図11〜図1
4を参照して説明する。
図中のh0〜h4は所定のモード間の結合係数を調整す
る際に用いる孔である。
す図である。ここで実線の矢印は電界、破線は磁界を示
す。(A)は結合すべき2つの主モードTM01δ
-(x-y)モードとTM01δ-(x+y)モードの電磁界分布を
それぞれ示す図である。(B)はその結合モードである
オッドモードとイーブンモードの電磁界分布をそれぞれ
示す図であり、この例ではオッドモードはTM01δ-y
モード、イーブンモードはTM01δ-xモードと表せ
る。
示す斜視図である。この2つのモードの結合係数k12
は、オッドモードの共振周波数をfo、イーブンモード
の共振周波数をfeとして次式で表される。
ードであるTM01δ -(x-y)モードとTM01δ-(x+y)
モードとを結合させる。そこで、foとfeに差をもた
せるために、図14に示すように誘電体コアの中央部の
孔h0をy軸方向に広げる。すなわちTM01δ-yの電
界の向きに平行で、TM01δ-xの電界の向きに垂直な
方向に延びる溝を形成することにより、fe>foの関
係とする。また、逆に孔hoをx軸方向に延びる孔とす
ることにより、fe<foの関係とする。いずれの場合
でもfoとfeに応じた結合係数で結合をとることがで
きる。
TM01δ-(x+y)モードを主モードとし、TM01δ-y
モードとTM01δ-xモードを結合モードとしたが、逆
にTM01δ-yモードとTM01δ-xモードを主モード
とし、TM01δ-(x-y)モードとTM01δ-(x+y)モー
ドを結合モードとしてもよい。その場合、図14に示し
た孔hoの内径を対角線方向に広げればよい。
させ、3つのモードを順次結合させる例を示す図であ
る。誘電体コアの構成は図11に示したものと同様であ
る。図15において(A)はTM01δ-(x-y),TE0
1δ-z,TM01δ-(x+y)の3つのモードにおける電磁
界分布をそれぞれ示す図であり、実線の矢印は電界、破
線は磁界をそれぞれ示している。(B)は上記TEモー
ドと他の2つのTMモードとの間の結合関係を示す図で
ある。(B)の左側に示す図は(A)におけるTM01
δ-(x-y)モードの電界分布とTE01δ-zモードの電界
分布とを重ねて表したものであり、A点とB点での電界
の強さのバランスを崩すことによって、TM01δ
-(x-y)モードからTE01δ-zモードへエネルギが移
る。したがって同図の(C)の左側に示す図のように、
たとえば孔h2の内径を広げて孔h1と差をもたせるこ
とによって結合係数k12を調整する。
E01δ-zモードとTM01δ-(x+ y)モードにおける電
界分布を重ねて示した図である。この場合、C点とD点
の電界の強さのバランスを崩すことによって、TE01
δ-zモードからTM01δ-( x+y)モードへエネルギが移
る。したがって同図の(C)の右側に示す図のように、
たとえば孔h4の内径を広げて孔h3と差をもたせるこ
とによって結合係数k23を調整する。
て5段の共振器として作用させる例を示す図である。誘
電体コアの構成は図11に示したものと同様である。図
16において実線は電界、破線は磁界の分布をそれぞれ
示している。
とを結合させる場合について考える。図17は図16に
おけるa−a部分の断面における上記2つのモードの電
磁界分布を示す図である。(B)はその2つの電界分布
を重ねて示したものである。このようにa−a断面にお
けるTM01δ-(x-y)とTE01δ-(x+y)の電界の強さ
のバランスを崩すことによって、TM01δ-(x-y)から
TE01δ-(x+y)へエネルギが移る。したがって図18
に示すように、a−a断面において上面と下面とで孔の
大きさを異ならせる。同図に示す例では、誘電体コア1
の上面に(x+y)軸方向に延びる溝gを設ける。
TE01δ-zモードとの結合について考える。図19の
(A)は誘電体コアのb−b部分の断面における上記2
つのモードの電界分布を示す図である。また(B)はそ
の結合モードであるイーブンモードとオッドモードの電
界分布を示す図である。上記2つのモードを結合させる
場合、このイーブンモードの共振周波数feとオッドモ
ードの共振周波数foに差をもたせればよい。そのため
に図20に示すようにb−b部分の断面における対角線
方向の対称性を崩す。この例では、孔h2の上面開口部
付近と孔h1の下面開口部付近に溝gをそれぞれ形成す
る。このことにより図19の(B)に示したイーブンモ
ードの共振周波数feがオッドモードの共振周波数fo
より高くなり、その差に応じた結合係数でTE01δ
-(x+y)とTE01δ-zモードとが結合することになる。
合すなわちTE01δ-zモードとTE01δ-(x-y)との
結合を考える。図21は誘電体コアのa−a部分の断面
における上記2つのモードの電界分布を示す図である。
また(B)はその結合モードであるイーブンモードとオ
ッドモードの電界分布を示す図である。上記2つのモー
ドを結合させる場合、このイーブンモードの共振周波数
feとオッドモードの共振周波数foに差をもたせれば
よい。そのために図22に示すようにa−a部分の断面
における対角線方向の対称性を崩す。この例では、孔h
3の上面開口部付近と孔h4の下面開口部付近に溝gを
それぞれ形成する。このことにより図21の(B)に示
したオッドモードの共振周波数foがイーブンモードの
共振周波数feより高くなり、その差に応じた結合係数
でTE01δ-zモードとTE01δ-(x-y)とが結合する
ことになる。
TM01δ-(x+y)とを結合させる場合について考える。
図23の(A)は図16におけるb−b部分の断面にお
ける上記2つのモードの電磁界分布を示す図である。
(B)はその2つの電界分布を重ねて示したものであ
る。このようにb−b断面におけるTE01δ-(x-y)と
TM01δ-(x+y)の電界の強さのバランスを崩すことに
よって、TE01δ-(x-y)からTM01δ-(x+y)へエネ
ルギが移る。したがって図24に示すように、b−b断
面において上面と下面とで孔の大きさを異ならせる。同
図に示す例では、誘電体コア1の上面に(x−y)軸方
向に延びる溝gを設ける。
ードと外部回路との結合手段については図示していない
が、たとえば結合ループを用いる場合、次に述べるよう
に結合させるべきモードの磁界が過る方向に結合ループ
を配置することによって外部結合をとればよい。
順次結合させたが、各共振モード間を結合させずに、独
立させて使用する例を図25を参照して次に示す。図2
5において二点鎖線はキャビティであり、このキャビテ
ィ内に誘電体コア1を配置している。誘電体コア1の支
持構造については省略している。同図の(A)は帯域阻
止フィルタを構成する例である。4a,4b,4cはそ
れぞれ結合ループであり、結合ループ4aはy−z面に
平行な面の磁界(TM01δ-xモードの磁界)に結合
し、結合ループ4bはx−z面に平行な面の磁界(TM
01δ -yモードの磁界)に結合し、結合ループ4cはx
−y面に平行な面の磁界(TM01δ-zモードの磁界)
に結合する。これらの結合ループ4a,4b,4cのそ
れぞれの一端は接地していて、結合ループ4aと4bの
他端同士および4bと4cの他端同士をλ/4またはそ
の奇数倍の電気長を有する伝送線路5,5を介してそれ
ぞれ接続している。そして結合ループ4a,4cの他端
を信号の入出力端としている。この構成により、3つの
共振器のうち隣接する共振器がπ/2の位相差をもって
線路に接続された帯域阻止フィルタを得る。
および必要に応じて伝送線路を介して所定の共振モード
間を結合させて、帯域通過フィルタを構成してもよい。
成する例である。ここで4a,4b,4c,4dはそれ
ぞれ結合ループであり、結合ループ4aはy−z面に平
行な面の磁界(TM01δ-xモードの磁界)に結合し、
結合ループ4bはx−z面に平行な面の磁界(TM01
δ-yモードの磁界)に結合し、結合ループ4cはx−y
面に平行な面の磁界(TM01δ-zモードの磁界)に結
合する。そして結合ループ4dは、そのループ面がy−
z面、x−z面、x−y面のいずれの面に対しても傾い
ていて、上記3つのモードの磁界にそれぞれ結合する。
これらの結合ループのそれぞれの一端は接地していて、
他端は信号入力端または出力端としている。すなわち合
成器として用いる場合は、結合ループ4a,4b,4c
から信号を入力し、結合ループ4dから信号を出力す
る。また分配器として用いる場合は、結合ループ4dか
ら信号を入力し、結合ループ4a,4b,4cから信号
を出力する。これにより、3入力1出力の合成器または
1入力3出力の分配器を得る。
て利用したが、4つ以上のモードを利用してもよい。ま
た複数の共振モードのうち、幾つかを順次結合させて帯
域通過フィルタを構成し、他の共振モードを独立させて
たとえば帯域阻止フィルタを構成すれば、帯域通過フィ
ルタと帯域阻止フィルタを組み合わせた複合フィルタを
構成することも可能となる。
を図28〜図32を参照して説明する。図28は3重モ
ードの誘電体共振器装置の基本構成部分の斜視図であ
る。同図において1は、2辺が略同一長さで他の1辺が
2辺の長さより短い、正方形板状の誘電体コア、2は角
筒形状のキャビティ、3は誘電体コア1をキャビティ2
の略中央部に支持するための支持体である。キャビティ
2の外周面には導電体膜を形成していて、2つの開口面
には導電体膜を形成した誘電体板または金属板を配置し
て略直方体形状のシールド空間を構成する。また、必要
に応じてキャビティ2の開口面に他のキャビティの開口
面を対向させ、所定の共振モードの電磁界を結合させて
多段化を図る。
より低誘電率のセラミック材料を用い、誘電体コア1と
キャビティ2の内壁面との間にそれぞれ配置して焼成一
体化する。
ードを図29〜31に示す。これらの図においてx,
y,zは図28に示した3次元方向の座標軸であり、図
29〜図31では2次元の各面における断面図をそれぞ
れ示している。図29〜図31における実線の矢印は電
界ベクトル、破線の矢印は磁界ベクトル、“・”記号お
よび“×”記号は電界または磁界の方向を示している。
なお、図29〜図31ではy方向のTE01δモード
(TE01δ-y)、x方向のTM01δモード(TM0
1δ-x)、z方向のTM01δモード(TM01δ-z)
について示している。
の共振周波数との関係を示している。(A)の縦軸は共
振周波数、(B)の縦軸はTM01δ-xモードを基準と
した共振周波数比をとって表している。また、(A),
(B)において、横軸は誘電体コアの厚みを偏平率によ
って表したものである。なお、TE01δ-zモードとT
E01δ-xモードは対称であるため、TE01δ-zモー
ドを表す△マークはTE01δ-xモードを表す▲マーク
に重なっている。同様に、TM01δ-zモードとTM0
1δ-xモードは対称であるため、TM01δ-zモードを
表す○マークはTM01δ-xモードを表す●マークに重
なっている。
(偏平率を小さくする)程、TE01δ-yモード、TM
01δ-xモード、TM01δ-zモードの共振周波数と、
TM01δ-yモード、TE01δ-xモード、TE01δ
-zモードの共振周波数との差が大きくなる。
電体コアの厚み寸法を設定し、TE01δ-y、TM01
δ-x、TM01δ-zの3つのモードを用いる。他のTM
01δ-y、TE01δ-x、TE01δ-zの各モードの周
波数は上記3つのモードの周波数から遠ざけて影響を受
けないようにしている。
を用いた誘電体フィルタの例を図33を参照して説明す
る。図33において、1a,1dは角柱状の誘電体コア
であり、TM1重モードの誘電体共振器として用いる。
1b,1cは2辺が略同一長さで他の1辺が2辺の長さ
より短い正方形板状の誘電体コアであり、上記3重モー
ドの誘電体共振器として用いる。この3重モードは図1
5に示したとおり、TM01δ-(x-y)モード、TE01
δ-zモード、TM01δ-(x+y)モードの3つのモードで
ある。
結合ループ4aの一端はキャビティ2に接続し、他端は
たとえば同軸コネクタ(不図示)の中心導体に接続して
いる。誘電体コア1aによるTM1重モードの磁界(磁
力線)が結合ループ4aのループ面を過る向きに結合ル
ープ4aを配置することによって、結合ループ4aは誘
電体コア1aによるTM1重モードに対して磁界結合す
る。結合ループ4bの一方の端部付近は誘電体コア1a
のTM1重モードに磁界結合する向きに延びていて、他
方の端部付近は誘電体コア1bのTM01δ-(x-y)モー
ドに磁界結合する向きに延びている。そして、結合ルー
プ4bの両端をキャビティ2に接続している。結合ルー
プ4cの一方の端部付近は誘電体コア1bのTM01δ
-(x+y)モードに磁界結合する向きに延びていて、他方の
端部は誘電体コア1cのTM01δ-(x-y)モードに磁界
結合する向きに延びている。そして、結合ループ4cの
両端をキャビティ2に接続している。さらに、結合ルー
プ4dの一方の端部は誘電体コア1cのTM01δ
-(x+y)モードに磁界結合する向きに延びていて、他方の
端部は誘電体コア1dによるTM1重モードの電磁界に
対して磁界結合する向きに延びている。そして、結合ル
ープ4dの両端をキャビティ2に接続している。結合ル
ープ4eは誘電体コア1dによるTM1重モードに対し
て磁界結合する向きに配置していて、一方の端部をキャ
ビティ2に接続し、他方の端部を同軸コネクタ(不図
示)の中心導体に接続している。
共振器および誘電体コア1cによる3重モードの誘電体
共振器には結合調整用孔h2,h4をそれぞれ形成して
いる。図15に示したように、結合調整用孔h2により
TM01δ-(x-y)モードからTE01δ-zモードへエネ
ルギーが移るようにし、結合調整用孔h4によりTE0
1δ-zモードからTM01δ-(x+y)モードへエネルギー
が移るようにしている。これにより、誘電体コア1b,
1cはそれぞれ3段の共振器が縦続接続された共振器回
路を構成する。したがって、全体として1+3+3+1
で8段の共振器を縦続接続して成る誘電体フィルタとし
て作用する。
を用いた他の誘電体フィルタの例を図34を参照して説
明する。図33に示した例では、隣接する誘電体コアに
よるそれぞれの共振モードに結合する結合ループを設け
たが、各誘電体共振器装置を誘電体コア毎に独立して設
けてもよい。図34において、6a,6b,6c,6d
はそれぞれ誘電体共振器装置であり、これらは、図33
に示した各誘電体コアによる共振器をそれぞれ分離した
ものに相当する。但し、各誘電体共振器装置に設ける2
つの結合ループが互いに干渉しないように、なるべく離
れた位置に配置している。4a,4b1,4b2,4c
1,4c2,4d1,4d2,4eはそれぞれ結合ルー
プであり、それぞれの結合ループの一端をキャビティ内
に接地し、他端を同軸ケーブルの中心導体に半田付けま
たはカシメによって接続している。また、同軸ケーブル
の外導体はキャビティに半田付け等によって接続してい
る。なお、誘電体共振器6dについては、図が煩雑にな
らないように、結合ループ4d2を示す図と結合ループ
4eを示す図とに分離して表している。
にそれぞれ結合し、結合ループ4b2は誘電体コア1b
のTM01δ-(x-z)に結合し、結合ループ4c1は誘電
体コア1bのTM01δ-(x+z)に結合する。同様に、結
合ループ4c2は誘電体コア1cのTM01δ-(x-z)に
結合し、結合ループ4d1は誘電体コア1cのTM01
δ-(x+z)に結合し、結合ループ4d2,4eは誘電体コ
ア1dにそれぞれ結合する。
を同軸ケーブルで接続し、結合ループ4c1,4c2間
を同軸ケーブルで接続し、さらに結合ループ4d1,4
d2間を同軸ケーブルで接続することによって、全体と
して図34に示したものと同様に、1+3+3+1で8
段の共振器を縦続接続して成る誘電体フィルタとして作
用する。
す。ここで送信フィルタと受信フィルタは上記誘電体フ
ィルタの構成から成る帯域通過フィルタであり、送信フ
ィルタは送信信号の周波数を、受信フィルタは受信信号
の周波数を通過させる。送信フィルタの出力ポートと受
信フィルタの入力ポートとの接続位置は、その接続点か
ら、送信フィルタの最終段の共振器の等価的な短絡面ま
での電気長が、受信信号の周波数の波長で1/4波長の
奇数倍となり、且つ上記接続点から、受信フィルタの初
段の共振器の等価的な短絡面までの電気長が、送信信号
の周波数の波長で1/4波長の奇数倍となる関係として
いる。これにより、送信信号と受信信号とを確実に分岐
させる。
ポートとの間に複数の誘電体フィルタを設けることによ
って、同様にしてダイプレクサやマルチプレクサを構成
することができる。
を用いた通信装置の構成を示すブロック図である。この
ように、送信フィルタの入力ポートに送信回路、受信フ
ィルタの出力ポートに受信回路をそれぞれ接続し、デュ
プレクサの入出力ポートにアンテナを接続することによ
って、通信装置の高周波部を構成する。
プレクサ、合成器、分配器等の回路素子を多重モード誘
電体共振器装置で構成して、これらの回路素子を用いて
通信装置を構成することにより、小型で高効率な通信装
置を得ることができる。
直方体形状の誘電体コアを、略直方体形状のキャビティ
の略中央部に配置するようにしたため、TMモードであ
りながら誘電体コアへの電磁界エネルギの集中度が高ま
り、キャビティに流れる実電流が微小となり、Qoを高
くすることができる。しかも、単一の誘電体コアおよび
キャビティでありながら、2つまたは3つのTMモード
を利用することができ、全体に小型化を図ることができ
る。
モードでありながら2重または3重に多重化することが
でき、全体に小型化を図ることができる。
ドとTEモードの両モードを用いた誘電体共振器装置が
得られ、また4重以上の多重モードの誘電体共振器装置
となるため、全体にさらに小型化を図ることができる。
ドを互いに結合させずに独立させて用いれば、帯域阻止
フィルタ、合成器、分配器など、複数の共振器による回
路を単一の誘電体コアを用いて小型に構成することがで
きる。
電体共振器を多段接続した共振器装置が構成され、帯域
通過型フィルタ特性を有する小型の誘電体共振器装置が
得られる。また、複数の共振モードのうち、幾つかを順
次結合させ、他の共振モードを独立した共振器として用
いれば、たとえば帯域通過フィルタと帯域阻止フィルタ
を組み合わせたフィルタを構成することも可能となる。
フィルタ特性を有し且つ小型の誘電体フィルタが得られ
る。
損失な複合誘電体フィルタが得られる。
損失な合成器が得られる。
低損失な分配器が得られる。
高効率な通信装置が得られる。
装置の基本部分の構成を示す斜視図である。
示す断面図である。
示す断面図である。
示す断面図である。
装置の基本部分の構成を示す斜視図である。
る。
モードの共振周波数の変化を示す図である。
モードの共振周波数の変化を示す図である。
装置の誘電体コア部分の構成を示す斜視図である。
ドの共振周波数の変化を示す図である。
共振器装置の各共振モード間の結合手段の説明に用いる
誘電体コア部分の斜視図である。
器装置における2つのTMモードを結合させる場合の電
磁界分布の例を示す図である。
界分布の例を示す斜視図である。
孔の構成を示す図である。
器装置における電磁界分布および結合調整用孔の構成を
示す図である。
器装置における各モードの電磁界分布を示す図である。
つのモードの電磁界分布を示す図である。
間の結合調整用溝の構成を示す図である。
界分布を示す図である。
を結合させるための溝の構成を示す図である。
界分布を示す図である。
間の結合調整用溝の構成を示す図である。
界分布を示す図である。
間の結合調整用溝の構成を示す図である。
器装置の主要部の構成例を示す斜視図である。
破断斜視図である。
る電磁界分布の例を示す図である。
器装置の基本部分の構成を示す斜視図である。
を示す断面図である。
を示す断面図である。
を示す断面図である。
の共振周波数との関係を示す図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 略直方体形状の誘電体コアを略直方体形
状のキャビティの略中央部に配置し、前記誘電体コアの
x,y,zの直角座標でy−z面に平行な面で磁界が回
るTM01δ-xモードと、x−z面に平行な面で磁界が
回るTM01δ-yモードを生じさせる多重モード誘電体
共振器装置。 - 【請求項2】 略直方体形状の誘電体コアを略直方体形
状のキャビティの略中央部に配置し、前記誘電体コアの
x,y,zの直角座標でy−z面に平行な面で磁界が回
るTM01δ-xモードと、x−z面に平行な面で磁界が
回るTM01δ-yモードと、x−y面に平行な面で磁界
が回るTM01δ-zモードとを生じさせる多重モード誘
電体共振器装置。 - 【請求項3】 略直方体形状の誘電体コアを略直方体形
状のキャビティの略中央部に配置し、前記誘電体コアの
x,y,zの直角座標でy−z面に平行な面で電界が回
るTE01δ-xモードと、x−z面に平行な面で電界が
回るTE01δ-yモードを生じさせる多重モード誘電体
共振器装置。 - 【請求項4】 略直方体形状の誘電体コアを略直方体形
状のキャビティの略中央部に配置し、前記誘電体コアの
x,y,zの直角座標でy−z面に平行な面で電界が回
るTE01δ-xモードと、x−z面に平行な面で電界が
回るTE01δ-yモードと、x−y面に平行な面で電界
が回るTE01δ-zモードとを生じさせる多重モード誘
電体共振器装置。 - 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の各モー
ドと請求項3または請求項4に記載の各モードとを単一
の誘電体コアおよびキャビティで生じさせた多重モード
誘電体共振器装置。 - 【請求項6】 請求項1〜5のうちいずれかに記載の誘
電体共振器装置の各モードのうち所定のモード同士を結
合させて、共振器を多段化した誘電体共振器装置。 - 【請求項7】 請求項1〜6のうちいずれかに記載の誘
電体共振器装置と、該誘電体共振器装置の所定のモード
に外部結合する外部結合手段とを備えて成る誘電体フィ
ルタ。 - 【請求項8】 共通に用いる単一または複数のポートと
個別に用いる複数のポートとの間に請求項7に記載の誘
電体フィルタをそれぞれ設けて成る複合誘電体フィル
タ。 - 【請求項9】 請求項1〜6のうちいずれかに記載の誘
電体共振器装置と、該誘電体共振器装置の複数の所定の
モードにそれぞれ独立に外部結合する独立外部結合手段
と、前記誘電体共振器装置の複数の所定のモードに共通
に外部結合する共通外部結合手段とを備え、該共通外部
結合手段を出力ポート、前記複数の独立外部結合手段を
入力ポートとする合成器。 - 【請求項10】 請求項1〜6のうちいずれかに記載の
誘電体共振器装置と、該誘電体共振器装置の複数の所定
のモードにそれぞれ独立に外部結合する独立外部結合手
段と、前記誘電体共振器装置の複数の所定のモードに共
通に外部結合する共通外部結合手段とを備え、該共通外
部結合手段を入力ポート、前記複数の独立外部結合手段
を出力ポートとする分配器。 - 【請求項11】 請求項8に記載の複合誘電体フィル
タ、請求項9に記載の合成器、または請求項10に記載
の分配器を高周波部に設けた通信装置。
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