本発明は通信技術の分野に関し、具体的には誘電体共振器および誘電体フィルタに関する。
無線通信技術の発達により、低コストおよび高性能無線通信トランシーバシステムにおいては、高性能フィルタが必要になる。誘電体フィルタは、その小さいサイズ、低損失、および高い選択度により、様々な通信システムにおいて広く用いられる。誘電体フィルタは、空洞、空洞内部に固定された誘電体共振器、カバー、および調整ねじを含む。調整ねじは、誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整するために用いられる。デュアルモード誘電体フィルタは、誘電体フィルタのタイプである。誘電体フィルタは、低損失、高誘電率、小さい周波数温度係数、小さい熱膨張係数、および高電力に耐える能力などによって特徴付けられる誘電体材料(セラミックなど)を用いることによって設計される。一般に誘電体フィルタは、異なるレベルで直列または並列に長さ方向に接続された、いくつかの直方体状の共振器を有する梯子形ラインによって形成される。誘電体フィルタは低挿入損失、高電力に耐える能力、および狭い帯域幅によって特徴付けられ、誘電体フィルタは特に900MHz、1.8GHz、2.4GHz、および5.8GHzの周波数のフィルタリングに適し、誘電体フィルタは携帯電話、自動車電話、無線ヘッドセット、無線マイクロフォン、無線局、コードレス電話機、または集積化トランシーバデュプレクサのエリア結合されたフィルタリングに応用される。デュアルモード誘電体フィルタは、デュアルモード誘電体共振器を用いるフィルタである。1つのデュアルモード誘電体共振器は、同時に2つの動作モードにおいて動作することができ、1つの動作モードは1つの共振周波数に対応し、したがってデュアルモード誘電体共振器は同時に2つの共振周波数で動作することができる。動作モードとは、共振器が動作する電界または磁界のパターンを指す。誘電体共振器に対しては、その動作モードは通常、TM(横磁界)モード、TE(横電界)モード、またはHE(混成電磁界)モード(HEの2つの動作モードを含み、HEデュアルモードとも呼ばれる)を含む。一般にデュアルモード誘電体フィルタは、HEデュアルモードを含む。デュアルモード誘電体フィルタでは、調整ねじがデュアルモード誘電体フィルタの空洞の周りに配置され、これはデュアルモード誘電体フィルタの調整、および他の構成要素の組み立てを容易化しない。
本発明では、改善された誘電体共振器および誘電体フィルタを提供する。
本発明の実施形態により解決されることになる技術的問題は、調整および組み立てを容易化するように誘電体共振器および誘電体フィルタをもたらすことである。
第1の態様は誘電体共振器をもたらし、これは誘電体フィルタ内の空洞内に配置されるように構成され、誘電体本体を含み、少なくとも2つのホールが誘電体本体上に配置され、誘電体本体は上部平面および底部平面を含み、少なくとも2つのホールは誘電体本体の上部平面および底部平面を通じて貫通し、誘電体本体は第1の鏡映面および第2の鏡映面を有し、第2の鏡映面は第1の鏡映面に垂直であり、少なくとも2つのホールは第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称ではない。
第1の態様の第1の可能な実施手法では、誘電体本体は第1の対角面および第2の対角面を有し、少なくとも2つのホールの軸は別々に第1の対角面および第2の対角面上にあり、または共に第1の対角面および第2の対角面の1つの対角面上にある。
第1の態様の第1の可能な実施手法に関連して、第2の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第1のホールおよび第2のホールを含み、第1のホールの軸は第1の対角面上にあり、第2のホールの軸は第2の対角面上にあり、または第1のホールおよび第2のホールの軸は共に第2の対角面上にある。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第3の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第3のホールをさらに含み、第3のホールの軸は第2の対角面上にあり、第2のホールの軸に平行である。
第1の態様の第3の可能な実施手法に関連して、第4の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第4のホールをさらに含み、第4のホールの軸は第1の対角面上にあり、第1のホールの軸に平行である。
第1の態様の第4の可能な実施手法に関連して、第5の可能な実施手法では、第1から第4のホールは円筒形ホールであり、第1のホールのホールサイズは第4のホールのホールサイズと同じであり、第2のホールのホールサイズは第3のホールのホールサイズと同じであり、第1のホールのホールサイズは第2のホールのホールサイズとは異なる。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第6の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第5のホールをさらに含み、第5のホールの軸は第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第7の可能な実施手法では、第2のホールの軸は第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
第1の態様の第7の可能な実施手法に関連して、第8の可能な実施手法では、第2のホールは第1のホールに接続される。
第1の態様の第1の可能な実施手法から第8の可能な実施手法のいずれか1つに関連して、第9の可能な実施手法では、誘電体本体が円筒であるときは、第1の対角面および第2の対角面は互いに垂直であり、第1の対角面と第2の対角面の間に形成される2つの隣接する夾角の扇状平面は、誘電体フィルタの第1のポートおよび第2のポートの軸が別々に位置する平面である。
第1の態様の第1の可能な実施手法から第9の可能な実施手法のいずれか1つに関連して、第10の可能な実施手法では、第1の鏡映面は誘電体フィルタの第1のポートの軸が位置する平面であり、第2の鏡映面は誘電体フィルタの第2のポートの軸が位置する平面である。
第2の態様は、本体部と、カバーと、上記の実施手法のいずれか1つによる第1の誘電体共振器とを含む誘電体フィルタをもたらし、本体部は第1のポートおよび第2のポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは信号を入力および出力するように構成され、第1の空洞が本体部内にさらに形成され、第1の支持キットが第1の空洞の底部に配置され、第1の誘電体共振器は第1の空洞内に含まれ、第1の支持キット上に配置される。
第2の態様の第1の可能な実施手法では、第1のポートの軸は第1の鏡映面上にあり、第2のポートの軸は第2の鏡映面上にある。
第2の態様の第2の可能な実施手法では、または第2の態様の第1の可能な実施手法に関連して、第2の可能な実施手法では、誘電体フィルタの周波数および帯域幅の少なくとも1つを調整するために、ねじが、カバー上で第1の調整ホールおよび第2の調整ホールに対応する位置に配置される。
第2の態様の第3の可能な実施手法では、または第2の態様の第1の可能な実施手法もしくは第2の可能な実施手法に関連して、第3の可能な実施手法では、誘電体フィルタは第2の誘電体共振器および結合された機械的部分をさらに含み、第2の空洞が誘電体フィルタ内にさらに形成され、第2の支持キットが第2の空洞の底部に配置され、第2の誘電体共振器は第2の空洞内に含まれ、第2の支持キット上に配置され、第2の誘電体共振器は結合された機械的部分を用いることによって第1の誘電体共振器に接続される。
第3の態様は、本体部と、カバーと、誘電体共振器とを含む誘電体フィルタをもたらし、本体部は第1のポートおよび第2のポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは信号を入力および出力するように構成され、第1の空洞が本体部内にさらに形成され、第1の支持キットが第1の空洞の底部に配置され、第1の誘電体共振器は第1の空洞内に含まれ、第1の支持キット上に配置され、誘電体共振器は誘電体本体を含み、少なくとも2つのホールが誘電体本体上に配置され、誘電体本体は上部平面および底部平面を含み、少なくとも2つのホールは誘電体本体の上部平面および底部平面を通じて貫通し、ねじがカバー上に配置され、ねじは誘電体フィルタの周波数および帯域幅の少なくとも1つを調整するように構成される。
第3の態様の第1の可能な実施手法では、ねじはカバー上で少なくとも2つの調整ホールに対応する位置に配置される。
本発明において少なくとも2つのホールは、第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称ではなく、それによって誘電体共振器の誘電体本体の誘電体構造を変化させる。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器の誘電体本体の誘電体構造の変化は、誘電体共振器および誘電体フィルタ内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅が調整され、したがって誘電体フィルタの周波数および帯域幅を変化させるという目的が達成される。
本発明の実施形態におけるまたは従来技術における技術的解決策をより明確に述べるために、以下は実施形態を述べるために必要な添付の図面を簡潔に導入する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、単に本発明のいくつかの実施形態を示すだけであり、当業者は創造的努力なしに、これらの添付の図面からさらに他の図面を導き出す。
本発明の第1の例示的実施形態による誘電体フィルタの概略上面図である。
図1の誘電体共振器の第1の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第2の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図4の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第3の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図6の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第4の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図8の誘電体フィルタの側面図である。
図1の誘電体共振器の第2の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第3の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第4の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第5の例示的実施形態の概略図である。
以下は、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決策を明瞭にかつ十分に述べる。明らかに、述べられる実施形態は本発明の実施形態のすべてではなく単に一部である。創造的な努力なしに本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られるすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲に包含されなければならない。
図1から図3が参照され、本発明の第1の実施形態は誘電体フィルタ100をもたらす。誘電体フィルタ100は、本体部10、カバー(図示せず)、および第1の誘電体共振器20を含む。本体部10は、第1のポート12および第2のポート13を含む。第1のポート12および第2のポート13は、信号を入力および出力するために用いられる。第1の空洞11が本体部10内にさらに形成される。第1の支持キット112が、第1の空洞11の底部に配置される。第1の誘電体共振器20は、第1の空洞11内に含まれ、第1の支持キット112上に配置される。一般に本体部10およびカバーの材料は、金属材料、または金属でメッキされた材料である。
第1の誘電体共振器20は誘電体本体21を含み、誘電体本体21は少なくとも2つのホールを有する。2つのホールは、調整ホールと呼ばれる。誘電体本体21上に配置されたホールは、同じ信号が存在するときに、誘電体本体21内部の電磁界の分布を変化させるので、ホールは調整ホールと呼ばれる。誘電体本体21は、上部平面211および底部平面212を含む。少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。カバーは、誘電体本体21の上部平面211に対応する。誘電体本体21は、第1の鏡映面213および第2の鏡映面214を有する。第1の鏡映面213および第2の鏡映面214は、互いに垂直であり、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。少なくとも2つの調整ホールは、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではない。鏡面対称は通常、2つの物体の間の関係を述べるために用いられる。本明細書では、少なくとも2つの調整ホールのいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではない。
誘電体本体21の材料は、セラミックおよびチタン酸塩などの、高誘電率、低損失、安定な温度係数および同類のものによって特徴付けられる材料である。
上述の誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体21上に配置されたすべての調整ホールを指さないことが理解される。誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体上に配置されたすべての調整ホール、例えば2つ、3つ、または4つの調整ホールの中での少なくとも2つの調整ホールであり、確かに誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールはすべての調整ホールである場合もあり、これは誘電体共振器の周波数および帯域幅の実際の設定に従って設計される。
本発明のすべての実施形態の改善は、第1の誘電体共振器20にある。したがって本出願は、誘電体フィルタ100の他の部分(本体部10およびカバーなど)の構造にいかなる制限も設けない。
この実施手法では誘電体共振器20は、デュアルモード誘電体共振器である。すなわち誘電体共振器20は、2つの動作周波数(すなわち共振周波数)を有する。誘電体フィルタ100は、マルチホールデュアルモード誘電体フィルタと呼ばれる。
第1のポート12の中心線は、第1の鏡映面213上にある。第1のポート13の中心線は、第2の鏡映面214上にある。
さらに誘電体本体21は、第1の対角面215および第2の対角面216を有する。少なくとも2つの調整ホールの軸は、別々に第1の対角面215および第2の対角面216上にあり、または共に第1の対角面215および第2の対角面216の1つの対角面上にある。
この実施手法では少なくとも2つの調整ホールは、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23を含む。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、互いに垂直であり、誘電体本体21の上部平面および底部平面211および212を通じて貫通する。第1の調整ホール22の軸222は、第1の対角面215上にある。第2の調整ホール23の軸232は、第2の対角面216上にある。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、共に円筒形である。誘電体本体21は立方体である。
他の実施手法では、第1の調整ホール22または第2の調整ホール23の形状は、角柱状などの別の形状である。第1の調整ホール22または第2の調整ホール23はまた、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称でない限り、横向き、台形またはS字形の手法などの他の手法で誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。誘電体本体21は、円形または六角形など、他の形状の場合がある。誘電体本体21が円筒であるときは、第1の対角面215および第2の対角面216は互いに垂直である。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称であるときは、ねじがカバー上に配置される。本明細書では、ねじは誘電体共振器の周波数または帯域幅を調整するために用いられるねじであるので、ねじは調整ねじと呼ばれる。ねじの材料は金属製または別の誘電体材料であり、本明細書では限定されない。
具体的には第1の調整ねじが、カバー上で第1の調整ホール22に対応する位置に配置される。第2の調整ねじが、カバー上で第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称であるので、第1の調整ホール22のホールサイズは第2の調整ホール23のホールサイズに等しく、誘電体共振器20の2つの動作周波数の変化は同じである。誘電体共振器20の帯域幅は、誘電体共振器20の2つの動作周波数の差である。したがって誘電体共振器20の帯域幅は変化しない。この場合は、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを第1の空洞11内に挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加される。第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの、第1の空洞11内に挿入された部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを第1の空洞11から引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少される。第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの、第1の空洞11内部にある部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
カバー上に配置された調整ねじの数は、実際の要件に従って調整されることが留意されるべきである。例えば第1の調整ねじだけが、カバー上で第1の調整ホール22に対応する位置に配置される場合がある。第1の調整ねじを調整してそれを第1の空洞11内に挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、または第1の調整ねじを第1の空洞11から引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少される。
第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを、第1の調整ホールまたは第2の調整ホールに対応する位置に配置することは、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじの調整可能長さを制限しないので、帯域幅の調整範囲は拡張される。
この実施手法では誘電体フィルタ100は、1つの誘電体共振器20を含む。したがって誘電体共振器20の周波数および帯域幅は、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅である。したがって誘電体フィルタ100の帯域幅も変化しない。調整ねじを調整して、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内の空気媒体の分布を変化させることによって、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電界および磁界の少なくとも1つの分布がさらに変化され、したがって誘電体共振器20の周波数および帯域幅が変化され、さらに誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が変化される。他の実施手法では、誘電体フィルタ100が複数の誘電体共振器を含む場合は、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅は、複数の誘電体共振器の周波数および帯域幅と特定の関係にある。この特定の関係は当技術分野ではよく知られており、本明細書では再び述べられない。要約すれば、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅は、誘電体フィルタ100内部の誘電体共振器の周波数および帯域幅が変化するのに従って変化する。例えば誘電体フィルタ100は、第1の誘電体共振器、第2の誘電体共振器、および第3の誘電体共振器を含む。誘電体フィルタの帯域幅、および第1から第3の共振器の帯域幅は以下の関係を有し、すなわち誘電体フィルタの帯域幅は第1の共振器と第2の共振器の間の結合帯域幅の1.1倍に等しく、第1の共振器と第2の共振器の間の結合帯域幅は、第2の共振器と第3の共振器の間の結合帯域幅に等しい。
調整ねじが第1の空洞11内に挿入されたときは、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布が変化される。さらに調整ねじが空洞11内部を移動するのに従って、誘電体共振器が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布は絶えず変化し、これは誘電体フィルタ100が異なる周波数および帯域幅を有することを可能にする。したがって本発明のこの実施形態では、誘電体フィルタ100の調整範囲が拡張される。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が、第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称でないときは、やはり調整ねじがカバー上に配置される。調整ねじを調整して、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布をさらに変化させることによって、誘電体共振器20および誘電体フィルタ内部の電磁界の分布はさらに変化され、したがって誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅はさらに調整される。
具体的には第1の調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22に対応する位置に配置される。第2の調整ねじは、カバー上で第2の調整ホール22に対応する位置に配置される。第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズより大きいときは、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。逆に、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第1の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第2の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第2の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズより小さいときは、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじの部分が長いほど、共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内から第1の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内に挿入された第2の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。逆に、第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内部にある第2の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。
第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズに等しいときは、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の空洞11から第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
カバー上に配置された調整ねじの数は、実際の要件に従って調整されることが留意されるべきである。例えば誘電体共振器20の帯域幅のみを増加する必要があり、第1の調整ホール22のホールサイズが第2の調整ホール23のホールサイズより大きいときは、第2の調整ねじのみが、カバー上で第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第2の調整ねじを調整して、第2の調整ホール23内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加される。
本発明においては、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部は同一平面上にある。誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を調整するために、調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部に対応する位置に配置される。調整ねじは同一平面上にあり、その結果、同一平面上において誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整が実施され、これは誘電体フィルタの周波数および帯域幅が誘電体フィルタの周りで調整される必要がある従来技術とは異なり、誘電体フィルタの周りの組み立てと干渉せず、したがってユーザが調整および組み立てを行うのに便利である。さらに、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、第1の鏡映面213および第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造が変化される。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造の変化は、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が調整され、したがって誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を変化させるという目的が達成される。
この実施手法では誘電体共振器20の帯域幅は、第1の調整ホールと第2の調整ホールのホールサイズ差に正比例する。誘電体共振器20の2つの動作周波数の差は、誘電体共振器100の帯域幅となる。
確かに、誘電体共振器20上に配置された調整ホールの数またはホールサイズが変化した場合は、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化し、これは誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させる。すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅も変化する。したがって、対応する数の調整ホール、または対応するホールサイズの調整ホールが実際の要件に従って誘電体共振器20上に配置され、これは誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整範囲を拡張し、誘電体フィルタ100を異なる応用シナリオに適用することを可能にする。
図4および図5が参照され、本発明の第2の例示的実施手法は、誘電体フィルタ200をもたらす。第2の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタ200は、第1の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタ100と同様である。2つの誘電体フィルタの違いは、第2の例示的実施手法では誘電体フィルタ200は、第2の誘電体共振器40をさらに含むことにある。第2の空洞210が、誘電体フィルタ200内にさらに形成される。第2の支持キット220が、第2の空洞210の底部に配置される。第2の誘電体共振器40は、第2の空洞210内に含まれ、第2の支持キット220上に配置される。第2の誘電体共振器40は、結合された機械的部分50を用いることによって第1の誘電体共振器20に接続される。結合された機械的部分50は、第1の誘電体共振器20から第2の誘電体共振器40に、または第2の誘電体共振器40から第1の誘電体共振器20にエネルギーを結合するために用いられる。
この実施手法では、結合された機械的部分50は金属板である。第2の誘電体共振器40は、デュアルモード誘電体共振器である。第2の誘電体共振器40の構造および機能は、第1の誘電体共振器20の構造および機能と同じであり、詳細は本明細書では再び述べられない。
図6から図9が参照され、本発明の第3の例示的実施手法および第4の例示的実施手法は、別々に誘電体フィルタをもたらす。第3の例示的実施手法において、および第4の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタは、第2の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタと同様である。違いは、第3の例示的実施手法では、第2の誘電体共振器はTE01δモードでの誘電体共振器41であり、第4の例示的実施手法では、第2の誘電体共振器は同軸共振器(金属または誘電体)42であることにある。TE01δモードでの誘電体共振器41、または同軸共振器42は、従来技術に存在するので、それらの構造は本発明のこの実施形態では述べられない。TE01δモードでの誘電体共振器41、および同軸共振器42の構造は、第1の誘電体共振器20の構造とは異なる。
他の実施手法では、第2の誘電体共振器はさらに、要件に従って別のタイプの誘電体共振器に調整される。
図10が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第2の例示的実施手法をもたらす。もたらされる誘電体共振器の第2の例示的実施手法では、第1の調整ホール22の軸222および第2の調整ホール23の軸232は共に、第2の対角面216上にあり、第1の調整ホール22の軸222は、第2の調整ホール23の軸232に平行である。
この実施手法では第1の調整ホール22のホールサイズは、第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。任意選択でまた、第1の調整ホール22のホールサイズおよび第2の調整ホール23のホールサイズは同じである。
図11が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第3の例示的実施手法をもたらす。第3の例示的実施手法では、少なくとも2つの調整ホールは、第3の調整ホール51をさらに含む。第3の調整ホール51の軸512は、第2の対角面216上にあり、第2の調整ホール23の軸232に平行である。
具体的にはこの実施形態では、第3の調整ホール51は円筒形である。第3の調整ホール51は、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212に垂直であり、それらを通じて貫通する。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、および第3の調整ホール52のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化され、したがって誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
さらに、誘電体共振器20は第4の調整ホール53をさらに含む。第4の調整ホール53の軸532は、第1の対角面215上にあり、第1の調整ホール22の軸222に平行である。
具体的には第4の調整ホール53は、円筒形である。第4の調整ホール53は、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212に垂直であり、それらを通じて貫通する。第1の調整ホール22のホールサイズは、第4の調整ホール53のホールサイズと同じである。第2の調整ホール23のホールサイズは、第3の調整ホール51のホールサイズと同じである。第1の調整ホール22のホールサイズは、第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、第3の調整ホール52、および第4の調整ホール54のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化され、したがって誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
図12が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第4の例示的実施手法をもたらす。第4の例示的実施手法では誘電体共振器20は、第5の調整ホール61をさらに含む。第5の調整ホールの軸は、第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
この実施手法では第5の調整ホール61は、円筒形である。第5の調整ホール61のホールサイズは、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、および第5の調整ホール61のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではなく、したがって誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造を変化させることは、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
図13が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第5の例示的実施手法をもたらす。もたらされる誘電体共振器の第5の例示的実施手法では、第2の調整ホールの軸は、第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
具体的にはこの実施手法では、第2の調整ホール23は、第1の調整ホール22に接続される。第1の調整ホール22は、具体的には四角形の角柱状である。第2の調整ホール23は、具体的には円筒形である。
第1の調整ホール22の形状および第2の調整ホール23の形状は、実際の要件に従って調整されることが理解されるべきである。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、実際の要件に従って接続されなくてもよい。さらに誘電体フィルタの周波数および帯域幅は、誘電体本体21上に配置された調整ホールの数およびホールサイズに関係するので、誘電体本体21上に配置された調整ホールの数およびホールサイズは、誘電体フィルタの周波数および帯域幅に対する実際の要件に従って調整される。
上記の実施手法において誘電体本体21が円筒であるときは、第1の対角面215および第2の対角面216は互いに垂直である。第1の対角面215と第2の対角面216の間に形成される2つの隣接する夾角の扇状平面は、誘電体フィルタの第1のポートおよび第2のポートの軸(すなわち中心線)が別々に位置する平面である。
上記の実施手法では、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部は同一平面上にある。誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を調整するために、調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部に対応する位置に配置される。調整ねじは同一平面上にあり、その結果、同一平面上において誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整が実施され、これは誘電体フィルタの周波数および帯域幅が誘電体フィルタの周りで調整される必要がある従来技術とは異なり、誘電体フィルタの周りの組み立てと干渉せず、したがってユーザが調整および組み立てを行うのに便利である。さらに、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造が変化される。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器20の誘電体構造の変化は、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が調整される。さらにシミュレーション結果によれば、誘電体本体21上に複数の調整ホールを配置することは、デュアルモード誘電体共振器の主モード(すなわち動作モード)と高次モードの間の周波数の間隔を増加させ、したがってデュアルモード誘電体共振器の抑圧機能が改善される。
確かに、誘電体共振器20上に配置された調整ホールの数またはホールサイズが変化した場合は、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化し、これは誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させる。すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅も変化する。したがって、対応する数の調整ホール、または対応するホールサイズの調整ホールが実際の要件に従って誘電体共振器20上に配置され、これは誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整範囲を拡張し、誘電体フィルタ100を異なる応用シナリオに適用することを可能にする。
最後に上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく、単に本発明の技術的解決策を述べるためのものであることが留意されるべきである。本発明は、上記の実施形態を参照して詳しく述べられたが、当業者は、本発明の保護範囲がそれらに限定されず、本発明において開示される技術的範囲内における当業者によって容易に考え出されるいずれの変形または置き換えも、本発明の保護範囲に包含されるものであることを理解すべきである。したがって本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を前提としなければならない。
本発明は通信技術の分野に関し、具体的には誘電体共振器および誘電体フィルタに関する。
無線通信技術の発達により、低コストおよび高性能無線通信トランシーバシステムにおいては、高性能フィルタが必要になる。誘電体フィルタは、その小さいサイズ、低損失、および高い選択度により、様々な通信システムにおいて広く用いられる。誘電体フィルタは、空洞、空洞内部に固定された誘電体共振器、カバー、および調整ねじを含む。調整ねじは、誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整するために用いられる。デュアルモード誘電体フィルタは、誘電体フィルタのタイプである。誘電体フィルタは、低損失、高誘電率、小さい周波数温度係数、小さい熱膨張係数、および高電力に耐える能力などによって特徴付けられる誘電体材料(セラミックなど)を用いることによって設計される。一般に誘電体フィルタは、異なるレベルで直列または並列に長さ方向に接続された、いくつかの直方体状の共振器を有する梯子形ラインによって形成される。誘電体フィルタは低挿入損失、高電力に耐える能力、および狭い帯域幅によって特徴付けられ、誘電体フィルタは特に900MHz、1.8GHz、2.4GHz、および5.8GHzの周波数のフィルタリングに適し、誘電体フィルタは携帯電話、自動車電話、無線ヘッドセット、無線マイクロフォン、無線局、コードレス電話機、または集積化トランシーバデュプレクサのエリア結合されたフィルタリングに応用される。デュアルモード誘電体フィルタは、デュアルモード誘電体共振器を用いるフィルタである。1つのデュアルモード誘電体共振器は、同時に2つの動作モードにおいて動作することができ、1つの動作モードは1つの共振周波数に対応し、したがってデュアルモード誘電体共振器は同時に2つの共振周波数で動作することができる。動作モードとは、共振器が動作する電界または磁界のパターンを指す。誘電体共振器に対しては、その動作モードは通常、TM(横磁界)モード、TE(横電界)モード、またはHE(混成電磁界)モード(HEの2つの動作モードを含み、HEデュアルモードとも呼ばれる)を含む。一般にデュアルモード誘電体フィルタは、HEデュアルモードを含む。デュアルモード誘電体フィルタでは、調整ねじがデュアルモード誘電体フィルタの空洞の周りに配置され、これはデュアルモード誘電体フィルタの調整、および他の構成要素の組み立てを容易化しない。
本発明は、改善された誘電体共振器および誘電体フィルタを提供する。
本発明の実施形態により解決されることになる技術的問題は、調整および組み立てを容易化するように誘電体共振器および誘電体フィルタをもたらすことである。
第1の態様は誘電体共振器をもたらし、これは誘電体フィルタ内の空洞内に配置されるように構成され、誘電体本体を含み、少なくとも2つのホールが誘電体本体上に配置され、誘電体本体は上部平面および底部平面を含み、少なくとも2つのホールは誘電体本体の上部平面および底部平面を通じて貫通し、誘電体本体は第1の鏡映面および第2の鏡映面を有し、第2の鏡映面は第1の鏡映面に垂直であり、少なくとも2つのホールは第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称ではない。
第1の態様の第1の可能な実施手法では、誘電体本体は第1の対角面および第2の対角面を有し、少なくとも2つのホールの軸は別々に第1の対角面および第2の対角面上にあり、または共に第1の対角面および第2の対角面の1つの対角面上にある。
第1の態様の第1の可能な実施手法に関連して、第2の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第1のホールおよび第2のホールを含み、第1のホールの軸は第1の対角面上にあり、第2のホールの軸は第2の対角面上にあり、または第1のホールおよび第2のホールの軸は共に第2の対角面上にある。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第3の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第3のホールをさらに含み、第3のホールの軸は第2の対角面上にあり、第2のホールの軸に平行である。
第1の態様の第3の可能な実施手法に関連して、第4の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第4のホールをさらに含み、第4のホールの軸は第1の対角面上にあり、第1のホールの軸に平行である。
第1の態様の第4の可能な実施手法に関連して、第5の可能な実施手法では、第1から第4のホールは円筒形ホールであり、第1のホールのホールサイズは第4のホールのホールサイズと同じであり、第2のホールのホールサイズは第3のホールのホールサイズと同じであり、第1のホールのホールサイズは第2のホールのホールサイズとは異なる。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第6の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第5のホールをさらに含み、第5のホールの軸は第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第7の可能な実施手法では、第2のホールの軸は第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
第1の態様の第7の可能な実施手法に関連して、第8の可能な実施手法では、第2のホールは第1のホールに接続される。
第1の態様の第1の可能な実施手法から第8の可能な実施手法のいずれか1つに関連して、第9の可能な実施手法では、誘電体本体が円筒であるときは、第1の対角面および第2の対角面は互いに垂直であり、第1の対角面と第2の対角面の間に形成される2つの隣接する夾角の扇状平面は、誘電体フィルタの第1のポートおよび第2のポートの軸が別々に位置する平面である。
第1の態様の第1の可能な実施手法から第9の可能な実施手法のいずれか1つに関連して、第10の可能な実施手法では、第1の鏡映面は誘電体フィルタの第1のポートの軸が位置する平面であり、第2の鏡映面は誘電体フィルタの第2のポートの軸が位置する平面である。
第2の態様は、本体部と、カバーと、上記の実施手法のいずれか1つによる第1の誘電体共振器とを含む誘電体フィルタをもたらし、本体部は第1のポートおよび第2のポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは信号を入力および出力するように構成され、第1の空洞が本体部内にさらに形成され、第1の支持キットが第1の空洞の底部に配置され、第1の誘電体共振器は第1の空洞内に含まれ、第1の支持キット上に配置される。
第2の態様の第1の可能な実施手法では、第1のポートの軸は第1の鏡映面上にあり、第2のポートの軸は第2の鏡映面上にある。
第2の態様の第2の可能な実施手法では、または第2の態様の第1の可能な実施手法に関連して、第2の可能な実施手法では、誘電体フィルタの周波数および帯域幅の少なくとも1つを調整するために、ねじが、カバー上で第1の調整ホールおよび第2の調整ホールに対応する位置に配置される。
第2の態様の第3の可能な実施手法では、または第2の態様の第1の可能な実施手法もしくは第2の可能な実施手法に関連して、第3の可能な実施手法では、誘電体フィルタは第2の誘電体共振器および結合された機械的部分をさらに含み、第2の空洞が誘電体フィルタ内にさらに形成され、第2の支持キットが第2の空洞の底部に配置され、第2の誘電体共振器は第2の空洞内に含まれ、第2の支持キット上に配置され、第2の誘電体共振器は結合された機械的部分を用いることによって第1の誘電体共振器に接続される。
第3の態様は、本体部と、カバーと、誘電体共振器とを含む誘電体フィルタをもたらし、本体部は第1のポートおよび第2のポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは信号を入力および出力するように構成され、第1の空洞が本体部内にさらに形成され、第1の支持キットが第1の空洞の底部に配置され、第1の誘電体共振器は第1の空洞内に含まれ、第1の支持キット上に配置され、誘電体共振器は誘電体本体を含み、少なくとも2つのホールが誘電体本体上に配置され、誘電体本体は上部平面および底部平面を含み、少なくとも2つのホールは誘電体本体の上部平面および底部平面を通じて貫通し、ねじがカバー上に配置され、ねじは誘電体フィルタの周波数および帯域幅の少なくとも1つを調整するように構成される。
第3の態様の第1の可能な実施手法では、ねじはカバー上で少なくとも2つの調整ホールに対応する位置に配置される。
本発明において少なくとも2つのホールは、第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称ではなく、それによって誘電体共振器の誘電体本体の誘電体構造を変化させる。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器の誘電体本体の誘電体構造の変化は、誘電体共振器および誘電体フィルタ内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅が調整され、したがって誘電体フィルタの周波数および帯域幅を変化させるという目的が達成される。
本発明の実施形態におけるまたは従来技術における技術的解決策をより明確に述べるために、以下は実施形態を述べるために必要な添付の図面を簡潔に導入する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、単に本発明のいくつかの実施形態を示すだけであり、当業者は創造的努力なしに、これらの添付の図面からさらに他の図面を導き出す。
本発明の第1の例示的実施形態による誘電体フィルタの概略上面図である。
図1の誘電体共振器の第1の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第2の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図4の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第3の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図6の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第4の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図8の誘電体フィルタの側面図である。
図1の誘電体共振器の第2の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第3の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第4の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第5の例示的実施形態の概略図である。
以下は、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決策を明瞭にかつ十分に述べる。明らかに、述べられる実施形態は本発明の実施形態のすべてではなく単に一部である。創造的な努力なしに本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られるすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲に包含されなければならない。
図1から図3が参照され、本発明の第1の実施形態は誘電体フィルタ100をもたらす。誘電体フィルタ100は、本体部10、カバー(図示せず)、および第1の誘電体共振器20を含む。本体部10は、第1のポート12および第2のポート13を含む。第1のポート12および第2のポート13は、信号を入力および出力するために用いられる。第1の空洞11が本体部10内にさらに形成される。第1の支持キット112が、第1の空洞11の底部に配置される。第1の誘電体共振器20は、第1の空洞11内に含まれ、第1の支持キット112上に配置される。一般に本体部10およびカバーの材料は、金属材料、または金属でメッキされた材料である。
第1の誘電体共振器20は誘電体本体21を含み、誘電体本体21は少なくとも2つのホールを有する。2つのホールは、調整ホールと呼ばれる。誘電体本体21上に配置されたホールは、同じ信号が存在するときに、誘電体本体21内部の電磁界の分布を変化させるので、ホールは調整ホールと呼ばれる。誘電体本体21は、上部平面211および底部平面212を含む。少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。カバーは、誘電体本体21の上部平面211に対応する。誘電体本体21は、第1の鏡映面213および第2の鏡映面214を有する。第1の鏡映面213および第2の鏡映面214は、互いに垂直であり、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。少なくとも2つの調整ホールは、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではない。鏡面対称は通常、2つの物体の間の関係を述べるために用いられる。本明細書では、少なくとも2つの調整ホールのいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではない。
誘電体本体21の材料は、セラミックおよびチタン酸塩などの、高誘電率、低損失、安定な温度係数および同類のものによって特徴付けられる材料である。
上述の誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体21上に配置されたすべての調整ホールを指さないことが理解される。誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体上に配置されたすべての調整ホール、例えば2つ、3つ、または4つの調整ホールの中での少なくとも2つの調整ホールであり、確かに誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールはすべての調整ホールである場合もあり、これは誘電体共振器の周波数および帯域幅の実際の設定に従って設計される。
本発明のすべての実施形態の改善は、第1の誘電体共振器20にある。したがって本出願は、誘電体フィルタ100の他の部分(本体部10およびカバーなど)の構造にいかなる制限も設けない。
この実施手法では誘電体共振器20は、デュアルモード誘電体共振器である。すなわち誘電体共振器20は、2つの動作周波数(すなわち共振周波数)を有する。誘電体フィルタ100は、マルチホールデュアルモード誘電体フィルタと呼ばれる。
第1のポート12の中心線は、第1の鏡映面213上にある。第1のポート13の中心線は、第2の鏡映面214上にある。
さらに誘電体本体21は、第1の対角面215および第2の対角面216を有する。少なくとも2つの調整ホールの軸は、別々に第1の対角面215および第2の対角面216上にあり、または共に第1の対角面215および第2の対角面216の1つの対角面上にある。
この実施手法では少なくとも2つの調整ホールは、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23を含む。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、互いに垂直であり、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。第1の調整ホール22の軸222は、第1の対角面215上にある。第2の調整ホール23の軸232は、第2の対角面216上にある。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、共に円筒形である。誘電体本体21は立方体である。
他の実施手法では、第1の調整ホール22または第2の調整ホール23の形状は、角柱状などの別の形状である。第1の調整ホール22または第2の調整ホール23はまた、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称でない限り、横向き、台形またはS字形の手法などの他の手法で誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を通じて貫通する。誘電体本体21は、円形または六角形など、他の形状の場合がある。誘電体本体21が円筒であるときは、第1の対角面215および第2の対角面216は互いに垂直である。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称であるときは、ねじがカバー上に配置される。本明細書では、ねじは誘電体共振器の周波数または帯域幅を調整するために用いられるねじであるので、ねじは調整ねじと呼ばれる。ねじの材料は金属製または別の誘電体材料であり、本明細書では限定されない。
具体的には第1の調整ねじが、カバー上で第1の調整ホール22に対応する位置に配置される。第2の調整ねじが、カバー上で第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称であるので、第1の調整ホール22のホールサイズは第2の調整ホール23のホールサイズに等しく、誘電体共振器20の2つの動作周波数の変化は同じである。誘電体共振器20の帯域幅は、誘電体共振器20の2つの動作周波数の差である。したがって誘電体共振器20の帯域幅は変化しない。この場合は、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを第1の空洞11内に挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加される。第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの、第1の空洞11内に挿入された部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを第1の空洞11から引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少される。第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの、第1の空洞11内部にある部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
カバー上に配置された調整ねじの数は、実際の要件に従って調整されることが留意されるべきである。例えば第1の調整ねじだけが、カバー上で第1の調整ホール22に対応する位置に配置される場合がある。第1の調整ねじを調整してそれを第1の空洞11内に挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、または第1の調整ねじを第1の空洞11から引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少される。
第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを、第1の調整ホールまたは第2の調整ホールに対応する位置に配置することは、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじの調整可能長さを制限しないので、帯域幅の調整範囲は拡張される。
この実施手法では誘電体フィルタ100は、1つの誘電体共振器20を含む。したがって誘電体共振器20の周波数および帯域幅は、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅である。したがって誘電体フィルタ100の帯域幅も変化しない。調整ねじを調整して、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内の空気媒体の分布を変化させることによって、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電界および磁界の少なくとも1つの分布がさらに変化され、したがって誘電体共振器20の周波数および帯域幅が変化され、さらに誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が変化される。他の実施手法では、誘電体フィルタ100が複数の誘電体共振器を含む場合は、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅は、複数の誘電体共振器の周波数および帯域幅と特定の関係にある。この特定の関係は当技術分野ではよく知られており、本明細書では再び述べられない。要約すれば、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅は、誘電体フィルタ100内部の誘電体共振器の周波数および帯域幅が変化するのに従って変化する。例えば誘電体フィルタ100は、第1の誘電体共振器、第2の誘電体共振器、および第3の誘電体共振器を含む。誘電体フィルタの帯域幅、および第1から第3の誘電体共振器の帯域幅は以下の関係を有し、すなわち誘電体フィルタの帯域幅は第1の誘電体共振器と第2の共振器の間の結合帯域幅の1.1倍に等しく、第1の誘電体共振器と第2の誘電体共振器の間の結合帯域幅は、第2の誘電体共振器と第3の誘電体共振器の間の結合帯域幅に等しい。
調整ねじが第1の空洞11内に挿入されたときは、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布が変化される。さらに調整ねじが空洞11内部を移動するのに従って、誘電体共振器が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布は絶えず変化し、これは誘電体フィルタ100が異なる周波数および帯域幅を有することを可能にする。したがって本発明のこの実施形態では、誘電体フィルタ100の調整範囲が拡張される。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が、第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称でないときは、やはり調整ねじがカバー上に配置される。調整ねじを調整して、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布をさらに変化させることによって、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布はさらに変化され、したがって誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅はさらに調整される。
具体的には第1の調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22に対応する位置に配置される。第2の調整ねじは、カバー上で第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズより大きいときは、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。逆に、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第1の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第2の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第2の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズより小さいときは、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじの部分が長いほど、共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内から第1の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内に挿入された第2の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。逆に、第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内部にある第2の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。
第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズに等しいときは、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の空洞11から第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
カバー上に配置された調整ねじの数は、実際の要件に従って調整されることが留意されるべきである。例えば誘電体共振器20の帯域幅のみを増加する必要があり、第1の調整ホール22のホールサイズが第2の調整ホール23のホールサイズより大きいときは、第2の調整ねじのみが、カバー上で第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第2の調整ねじを調整して、第2の調整ホール23内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加される。
本発明においては、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部は同一平面上にある。誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を調整するために、調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部に対応する位置に配置される。調整ねじは同一平面上にあり、その結果、同一平面上において誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整が実施され、これは誘電体フィルタの周波数および帯域幅が誘電体フィルタの周りで調整される必要がある従来技術とは異なり、誘電体フィルタの周りの組み立てと干渉せず、したがってユーザが調整および組み立てを行うのに便利である。さらに、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、第1の鏡映面213および第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造が変化される。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造の変化は、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が調整され、したがって誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を変化させるという目的が達成される。
この実施手法では誘電体共振器20の帯域幅は、第1の調整ホールと第2の調整ホールのホールサイズ差に正比例する。誘電体共振器20の2つの動作周波数の差は、誘電体フィルタ100の帯域幅となる。
確かに、誘電体共振器20上に配置された調整ホールの数またはホールサイズが変化した場合は、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化し、これは誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させる。すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅も変化する。したがって、対応する数の調整ホール、または対応するホールサイズの調整ホールが実際の要件に従って誘電体共振器20上に配置され、これは誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整範囲を拡張し、誘電体フィルタ100を異なる応用シナリオに適用することを可能にする。
図4および図5が参照され、本発明の第2の例示的実施手法は、誘電体フィルタ200をもたらす。第2の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタ200は、第1の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタ100と同様である。2つの誘電体フィルタの違いは、第2の例示的実施手法では誘電体フィルタ200は、第2の誘電体共振器40をさらに含むことにある。第2の空洞210が、誘電体フィルタ200内にさらに形成される。第2の支持キット220が、第2の空洞210の底部に配置される。第2の誘電体共振器40は、第2の空洞210内に含まれ、第2の支持キット220上に配置される。第2の誘電体共振器40は、結合された機械的部分50を用いることによって第1の誘電体共振器20に接続される。結合された機械的部分50は、第1の誘電体共振器20から第2の誘電体共振器40に、または第2の誘電体共振器40から第1の誘電体共振器20にエネルギーを結合するために用いられる。
この実施手法では、結合された機械的部分50は金属板である。第2の誘電体共振器40は、デュアルモード誘電体共振器である。第2の誘電体共振器40の構造および機能は、第1の誘電体共振器20の構造および機能と同じであり、詳細は本明細書では再び述べられない。
図6から図9が参照され、本発明の第3の例示的実施手法および第4の例示的実施手法は、別々に誘電体フィルタをもたらす。第3の例示的実施手法において、および第4の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタは、第2の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタと同様である。違いは、第3の例示的実施手法では、第2の誘電体共振器はTE01δモードでの誘電体共振器41であり、第4の例示的実施手法では、第2の誘電体共振器は同軸共振器(金属または誘電体)42であることにある。TE01δモードでの誘電体共振器41、または同軸共振器42は、従来技術に存在するので、それらの構造は本発明のこの実施形態では述べられない。TE01δモードでの誘電体共振器41、および同軸共振器42の構造は、第1の誘電体共振器20の構造とは異なる。
他の実施手法では、第2の誘電体共振器はさらに、要件に従って別のタイプの誘電体共振器に調整される。
図10が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第2の例示的実施手法をもたらす。もたらされる誘電体共振器の第2の例示的実施手法では、第1の調整ホール22の軸222および第2の調整ホール23の軸232は共に、第2の対角面216上にあり、第1の調整ホール22の軸222は、第2の調整ホール23の軸232に平行である。
この実施手法では第1の調整ホール22のホールサイズは、第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。任意選択でまた、第1の調整ホール22のホールサイズおよび第2の調整ホール23のホールサイズは同じである。
図11が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第3の例示的実施手法をもたらす。第3の例示的実施手法では、少なくとも2つの調整ホールは、第3の調整ホール51をさらに含む。第3の調整ホール51の軸512は、第2の対角面216上にあり、第2の調整ホール23の軸232に平行である。
具体的にはこの実施形態では、第3の調整ホール51は円筒形である。第3の調整ホール51は、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212に垂直であり、それらを通じて貫通する。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、および第3の調整ホール51のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化され、したがって誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
さらに、誘電体共振器20は第4の調整ホール53をさらに含む。第4の調整ホール53の軸532は、第1の対角面215上にあり、第1の調整ホール22の軸222に平行である。
具体的には第4の調整ホール53は、円筒形である。第4の調整ホール53は、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212に垂直であり、それらを通じて貫通する。第1の調整ホール22のホールサイズは、第4の調整ホール53のホールサイズと同じである。第2の調整ホール23のホールサイズは、第3の調整ホール51のホールサイズと同じである。第1の調整ホール22のホールサイズは、第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、第3の調整ホール51、および第4の調整ホール53のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化され、したがって誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
図12が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第4の例示的実施手法をもたらす。第4の例示的実施手法では誘電体共振器20は、第5の調整ホール61をさらに含む。第5の調整ホールの軸は、第1の対角面215と第2の対角面216の交差線である。
この実施手法では第5の調整ホール61は、円筒形である。第5の調整ホール61のホールサイズは、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、および第5の調整ホール61のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではなく、したがって誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造を変化させることは、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
図13が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第5の例示的実施手法をもたらす。もたらされる誘電体共振器の第5の例示的実施手法では、第2の調整ホール23の軸は、第1の対角面215と第2の対角面216の交差線である。
具体的にはこの実施手法では、第2の調整ホール23は、第1の調整ホール22に接続される。第1の調整ホール22は、具体的には四角形の角柱状である。第2の調整ホール23は、具体的には円筒形である。
第1の調整ホール22の形状および第2の調整ホール23の形状は、実際の要件に従って調整されることが理解されるべきである。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、実際の要件に従って接続されなくてもよい。さらに誘電体フィルタの周波数および帯域幅は、誘電体本体21上に配置された調整ホールの数およびホールサイズに関係するので、誘電体本体21上に配置された調整ホールの数およびホールサイズは、誘電体フィルタの周波数および帯域幅に対する実際の要件に従って調整される。
上記の実施手法において誘電体本体21が円筒であるときは、第1の対角面215および第2の対角面216は互いに垂直である。第1の対角面215と第2の対角面216の間に形成される2つの隣接する夾角の扇状平面は、誘電体フィルタの第1のポートおよび第2のポートの軸(すなわち中心線)が別々に位置する平面である。
上記の実施手法では、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部は同一平面上にある。誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を調整するために、調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部に対応する位置に配置される。調整ねじは同一平面上にあり、その結果、同一平面上において誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整が実施され、これは誘電体フィルタの周波数および帯域幅が誘電体フィルタの周りで調整される必要がある従来技術とは異なり、誘電体フィルタの周りの組み立てと干渉せず、したがってユーザが調整および組み立てを行うのに便利である。さらに、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造が変化される。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器20の誘電体構造の変化は、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が調整される。さらにシミュレーション結果によれば、誘電体本体21上に複数の調整ホールを配置することは、デュアルモード誘電体共振器の主モード(すなわち動作モード)と高次モードの間の周波数の間隔を増加させ、したがってデュアルモード誘電体共振器の抑圧機能が改善される。
確かに、誘電体共振器20上に配置された調整ホールの数またはホールサイズが変化した場合は、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化し、これは誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させる。すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅も変化する。したがって、対応する数の調整ホール、または対応するホールサイズの調整ホールが実際の要件に従って誘電体共振器20上に配置され、これは誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整範囲を拡張し、誘電体フィルタ100を異なる応用シナリオに適用することを可能にする。
最後に上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく、単に本発明の技術的解決策を述べるためのものであることが留意されるべきである。本発明は、上記の実施形態を参照して詳しく述べられたが、当業者は、本発明の保護範囲がそれらに限定されず、本発明において開示される技術的範囲内における当業者によって容易に考え出されるいずれの変形または置き換えも、本発明の保護範囲に包含されるものであることを理解すべきである。したがって本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を前提としなければならない。
本発明は通信技術の分野に関し、具体的には誘電体共振器および誘電体フィルタに関する。
無線通信技術の発達により、低コストおよび高性能無線通信トランシーバシステムにおいては、高性能フィルタが必要になる。誘電体フィルタは、その小さいサイズ、低損失、および高い選択度により、様々な通信システムにおいて広く用いられる。誘電体フィルタは、空洞、空洞内部に固定された誘電体共振器、カバー、および調整ねじを含む。調整ねじは、誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整するために用いられる。デュアルモード誘電体フィルタは、誘電体フィルタのタイプである。誘電体フィルタは、低損失、高誘電率、小さい周波数温度係数、小さい熱膨張係数、および高電力に耐える能力などによって特徴付けられる誘電体材料(セラミックなど)を用いることによって設計される。一般に誘電体フィルタは、異なるレベルで直列または並列に長さ方向に接続された、いくつかの直方体状の共振器を有する梯子形ラインによって形成されることがある。誘電体フィルタは低挿入損失、高電力に耐える能力、および狭い帯域幅によって特徴付けられ、誘電体フィルタは特に900MHz、1.8GHz、2.4GHz、および5.8GHzの周波数のフィルタリングに適し、誘電体フィルタは携帯電話、自動車電話、無線ヘッドセット、無線マイクロフォン、無線局、コードレス電話機、または集積化トランシーバデュプレクサのエリア結合されたフィルタリングに適用される。デュアルモード誘電体フィルタは、デュアルモード誘電体共振器を用いるフィルタである。1つのデュアルモード誘電体共振器は、同時に2つの動作モードにおいて動作することができ、1つの動作モードは1つの共振周波数に対応し、したがってデュアルモード誘電体共振器は同時に2つの共振周波数で動作することができる。動作モードとは、共振器が動作する電界または磁界のパターンを指す。誘電体共振器に対しては、その動作モードは通常、TM(横磁界)モード、TE(横電界)モード、またはHE(混成電磁界)モード(HEの2つの動作モードを含み、HEデュアルモードとも呼ばれる)を含む。一般にデュアルモード誘電体フィルタは、HEデュアルモードを含む。デュアルモード誘電体フィルタでは、調整ねじがデュアルモード誘電体フィルタの空洞の周りに配置され、これはデュアルモード誘電体フィルタの調整、および他の構成要素の組み立てを容易化しない。
本発明は、改善された誘電体共振器および誘電体フィルタを提供する。
本発明の実施形態により解決されることになる技術的問題は、調整および組み立てを容易化するように誘電体共振器および誘電体フィルタをもたらすことである。
第1の態様は誘電体共振器をもたらし、これは誘電体フィルタ内の空洞内に配置されるように構成され、誘電体本体を含み、少なくとも2つのホールが誘電体本体上に配置され、誘電体本体は上部平面および底部平面を含み、少なくとも2つのホールは誘電体本体の上部平面および底部平面を貫通し、誘電体本体は第1の鏡映面および第2の鏡映面を有し、第2の鏡映面は第1の鏡映面に垂直であり、少なくとも2つのホールは第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称ではない。
第1の態様の第1の可能な実施手法では、誘電体本体は第1の対角面および第2の対角面を有し、少なくとも2つのホールの軸は別々に第1の対角面および第2の対角面上にあり、または共に第1の対角面および第2の対角面の1つの対角面上にある。
第1の態様の第1の可能な実施手法に関連して、第2の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第1のホールおよび第2のホールを含み、第1のホールの軸は第1の対角面上にあり、第2のホールの軸は第2の対角面上にあり、または第1のホールおよび第2のホールの軸は共に第2の対角面上にある。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第3の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第3のホールをさらに含み、第3のホールの軸は第2の対角面上にあり、第2のホールの軸に平行である。
第1の態様の第3の可能な実施手法に関連して、第4の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第4のホールをさらに含み、第4のホールの軸は第1の対角面上にあり、第1のホールの軸に平行である。
第1の態様の第4の可能な実施手法に関連して、第5の可能な実施手法では、第1から第4のホールは円筒形ホールであり、第1のホールのホールサイズは第4のホールのホールサイズと同じであり、第2のホールのホールサイズは第3のホールのホールサイズと同じであり、第1のホールのホールサイズは第2のホールのホールサイズとは異なる。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第6の可能な実施手法では、少なくとも2つのホールは第5のホールをさらに含み、第5のホールの軸は第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
第1の態様の第2の可能な実施手法に関連して、第7の可能な実施手法では、第2のホールの軸は第1の対角面と第2の対角面の交差線である。
第1の態様の第7の可能な実施手法に関連して、第8の可能な実施手法では、第2のホールは第1のホールに接続される。
第1の態様の第1の可能な実施手法から第8の可能な実施手法のいずれか1つに関連して、第9の可能な実施手法では、誘電体本体が円筒であるときは、第1の対角面および第2の対角面は互いに垂直であり、第1の対角面と第2の対角面の間に形成される2つの隣接する夾角の扇状平面は、誘電体フィルタの第1のポートおよび第2のポートの軸が別々に位置する平面である。
第1の態様の第1の可能な実施手法から第9の可能な実施手法のいずれか1つに関連して、第10の可能な実施手法では、第1の鏡映面は誘電体フィルタの第1のポートの軸が位置する平面であり、第2の鏡映面は誘電体フィルタの第2のポートの軸が位置する平面である。
第2の態様は、本体部と、カバーと、上記の実施手法のいずれか1つによる第1の誘電体共振器とを含む誘電体フィルタをもたらし、本体部は第1のポートおよび第2のポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは信号を入力および出力するように構成され、第1の空洞が本体部内にさらに形成され、第1の支持キットが第1の空洞の底部に配置され、第1の誘電体共振器は第1の空洞内に含まれ、第1の支持キット上に配置される。
第2の態様の第1の可能な実施手法では、第1のポートの軸は第1の鏡映面上にあり、第2のポートの軸は第2の鏡映面上にある。
第2の態様の第2の可能な実施手法では、または第2の態様の第1の可能な実施手法に関連して、第2の可能な実施手法では、誘電体フィルタの周波数および帯域幅の少なくとも1つを調整するために、ねじが、カバー上にあり、第1の調整ホールおよび第2の調整ホールに対応する位置に配置される。
第2の態様の第3の可能な実施手法では、または第2の態様の第1の可能な実施手法もしくは第2の可能な実施手法に関連して、第3の可能な実施手法では、誘電体フィルタは第2の誘電体共振器および結合された機械的部分をさらに含み、第2の空洞が誘電体フィルタ内にさらに形成され、第2の支持キットが第2の空洞の底部に配置され、第2の誘電体共振器は第2の空洞内に含まれ、第2の支持キット上に配置され、第2の誘電体共振器は結合された機械的部分を用いることによって第1の誘電体共振器に接続される。
第3の態様は、本体部と、カバーと、誘電体共振器とを含む誘電体フィルタをもたらし、本体部は第1のポートおよび第2のポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは信号を入力および出力するように構成され、第1の空洞が本体部内にさらに形成され、第1の支持キットが第1の空洞の底部に配置され、第1の誘電体共振器は第1の空洞内に含まれ、第1の支持キット上に配置され、誘電体共振器は誘電体本体を含み、少なくとも2つのホールが誘電体本体上に配置され、誘電体本体は上部平面および底部平面を含み、少なくとも2つのホールは誘電体本体の上部平面および底部平面を貫通し、ねじがカバー上に配置され、ねじは誘電体フィルタの周波数および帯域幅の少なくとも1つを調整するように構成される。
第3の態様の第1の可能な実施手法では、ねじはカバー上にあり、少なくとも2つの調整ホールに対応する位置に配置される。
本発明において少なくとも2つのホールは、第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称ではなく、それによって誘電体共振器の誘電体本体の誘電体構造を変化させる。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器の誘電体本体の誘電体構造の変化は、誘電体共振器および誘電体フィルタ内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅が調整され、したがって誘電体フィルタの周波数および帯域幅を変化させるという目的が達成される。
本発明の実施形態におけるまたは従来技術における技術的解決策をより明確に述べるために、以下は実施形態を述べるために必要な添付の図面を簡潔に導入する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、単に本発明のいくつかの実施形態を示すだけであり、当業者は創造的努力なしに、これらの添付の図面からさらに他の図面を導き出す。
本発明の第1の例示的実施形態による誘電体フィルタの概略上面図である。
図1の誘電体共振器の第1の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第2の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図4の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第3の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図6の誘電体フィルタの側面図である。
本発明の第4の例示的実施手法による誘電体フィルタの概略上面図である。
図8の誘電体フィルタの側面図である。
図1の誘電体共振器の第2の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第3の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第4の例示的実施形態の概略図である。
図1の誘電体共振器の第5の例示的実施形態の概略図である。
以下は、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決策を明瞭にかつ十分に述べる。明らかに、述べられる実施形態は本発明の実施形態のすべてではなく単に一部である。創造的な努力なしに本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られるすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲に包含されなければならない。
図1から図3が参照され、本発明の第1の実施形態は誘電体フィルタ100をもたらす。誘電体フィルタ100は、本体部10、カバー(図示せず)、および第1の誘電体共振器20を含む。本体部10は、第1のポート12および第2のポート13を含む。第1のポート12および第2のポート13は、信号を入力および出力するために用いられる。第1の空洞11が本体部10内にさらに形成される。第1の支持キット112が、第1の空洞11の底部に配置される。第1の誘電体共振器20は、第1の空洞11内に含まれ、第1の支持キット112上に配置される。一般に本体部10およびカバーの材料は、金属材料、または金属でメッキされた材料である。
第1の誘電体共振器20は誘電体本体21を含み、誘電体本体21は少なくとも2つのホールを有する。2つのホールは、調整ホールと呼ばれる。誘電体本体21上に配置されたホールは、同じ信号が存在するときに、誘電体本体21内部の電磁界の分布を変化させるので、ホールは調整ホールと呼ばれる。誘電体本体21は、上部平面211および底部平面212を含む。少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を貫通する。カバーは、誘電体本体21の上部平面211に対応する。誘電体本体21は、第1の鏡映面213および第2の鏡映面214を有する。第1の鏡映面213および第2の鏡映面214は、互いに垂直であり、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を貫通する。少なくとも2つの調整ホールは、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではない。鏡面対称は通常、2つの物体の間の関係を述べるために用いられる。本明細書では、少なくとも2つの調整ホールのいずれか2つは、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではない。
誘電体本体21の材料は、セラミックおよびチタン酸塩などの、高誘電率、低損失、安定な温度係数および同類のものによって特徴付けられる材料である。
上述の誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体21上に配置されたすべての調整ホールを指さないことが理解される。誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールは、誘電体本体上に配置されたすべての調整ホール、例えば2つ、3つ、または4つの調整ホールの中での少なくとも2つの調整ホールであり、確かに誘電体本体21上に配置された少なくとも2つの調整ホールはすべての調整ホールであってもまたよく、これは誘電体共振器の周波数および帯域幅の実際の設定に従って設計される。
本発明のすべての実施形態の改善は、第1の誘電体共振器20にある。したがって本出願は、誘電体フィルタ100の他の部分(本体部10およびカバーなど)の構造にいかなる制限も設けない。
この実施手法では誘電体共振器20は、デュアルモード誘電体共振器である。すなわち誘電体共振器20は、2つの動作周波数(すなわち共振周波数)を有する。誘電体フィルタ100は、マルチホールデュアルモード誘電体フィルタと呼ばれる。
第1のポート12の中心線は、第1の鏡映面213上にある。第1のポート13の中心線は、第2の鏡映面214上にある。
さらに誘電体本体21は、第1の対角面215および第2の対角面216を有する。少なくとも2つの調整ホールの軸は、別々に第1の対角面215および第2の対角面216上にあり、または共に第1の対角面215および第2の対角面216の1つの対角面上にある。
この実施手法では少なくとも2つの調整ホールは、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23を含む。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、互いに垂直であり、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を貫通する。第1の調整ホール22の軸222は、第1の対角面215上にある。第2の調整ホール23の軸232は、第2の対角面216上にある。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、共に円筒形である。誘電体本体21は立方体である。
他の実施手法では、第1の調整ホール22または第2の調整ホール23の形状は、角柱状などの別の形状である。第1の調整ホール22または第2の調整ホール23はまた、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称でない限り、横向き、台形またはS字形の手法などの他の手法で誘電体本体21の上部平面211および底部平面212を貫通する。誘電体本体21は、円形または六角形など、他の形状の場合がある。誘電体本体21が円筒であるときは、第1の対角面215および第2の対角面216は互いに垂直である。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称であるときは、ねじがカバー上に配置される。本明細書では、ねじは誘電体共振器の周波数または帯域幅を調整するために用いられるねじであるので、ねじは調整ねじと呼ばれる。ねじの材料は金属製または別の誘電体材料であり、本明細書では限定されない。
具体的には第1の調整ねじが、カバー上であり、第1の調整ホール22に対応する位置に配置される。第2の調整ねじが、カバー上であり、第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称であるので、第1の調整ホール22のホールサイズは第2の調整ホール23のホールサイズに等しく、誘電体共振器20の2つの動作周波数の変化は同じである。誘電体共振器20の帯域幅は、誘電体共振器20の2つの動作周波数の差である。したがって誘電体共振器20の帯域幅は変化しない。この場合は、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを第1の空洞11内に挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加される。第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの、第1の空洞11内に挿入された部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを第1の空洞11から引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少される。第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの、第1の空洞11内部にある部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
カバー上に配置された調整ねじの数は、実際の要件に従って調整されることが留意されるべきである。例えば第1の調整ねじだけが、カバー上であり、第1の調整ホール22に対応する位置に配置される場合がある。第1の調整ねじを調整してそれを第1の空洞11内に挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、または第1の調整ねじを第1の空洞11から引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少される。
第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを、第1の調整ホールまたは第2の調整ホールに対応する位置に配置することは、第1の調整ねじまたは第2の調整ねじの調整可能長さを制限しないので、帯域幅の調整範囲は拡張される。
この実施手法では誘電体フィルタ100は、1つの誘電体共振器20を含む。したがって誘電体共振器20の周波数および帯域幅は、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅である。したがって誘電体フィルタ100の帯域幅も変化しない。調整ねじを調整して、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内の空気媒体の分布を変化させることによって、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電界および磁界の少なくとも1つの分布がさらに変化され、したがって誘電体共振器20の周波数および帯域幅が変化され、さらに誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が変化される。他の実施手法では、誘電体フィルタ100が複数の誘電体共振器を含む場合は、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅は、複数の誘電体共振器の周波数および帯域幅と特定の関係にある。この特定の関係は当技術分野ではよく知られており、本明細書では再び述べられない。要約すれば、誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅は、誘電体フィルタ100内部の誘電体共振器の周波数および帯域幅が変化するのに従って変化する。例えば誘電体フィルタ100は、第1の誘電体共振器、第2の誘電体共振器、および第3の誘電体共振器を含む。誘電体フィルタの帯域幅、および第1から第3の誘電体共振器の帯域幅は以下の関係を有し、すなわち誘電体フィルタの帯域幅は第1の誘電体共振器と第2の共振器の間の結合帯域幅の1.1倍に等しく、第1の誘電体共振器と第2の誘電体共振器の間の結合帯域幅は、第2の誘電体共振器と第3の誘電体共振器の間の結合帯域幅に等しい。
調整ねじが第1の空洞11内に挿入されたときは、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布が変化される。さらに調整ねじが空洞11内部を移動するのに従って、誘電体共振器が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布は絶えず変化し、これは誘電体フィルタ100が異なる周波数および帯域幅を有することを可能にする。したがって本発明のこの実施形態では、誘電体フィルタ100の調整範囲が拡張される。
第1の調整ホール22および第2の調整ホール23が、第1の鏡映面および第2の鏡映面に対して鏡面対称でないときは、やはり調整ねじがカバー上に配置される。調整ねじを調整して、誘電体共振器20が位置する第1の空洞内部の空気媒体の分布をさらに変化させることによって、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布はさらに変化され、したがって誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅はさらに調整される。
具体的には第1の調整ねじは、カバー上であり、第1の調整ホール22に対応する位置に配置される。第2の調整ねじは、カバー上であり、第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズより大きいときは、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。逆に、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第1の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第2の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第2の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズより小さいときは、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじの部分が長いほど、共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじを調整して、第1の空洞11内から第1の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内に挿入された第2の調整ねじの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。逆に、第2の調整ねじを調整して、第1の空洞11から第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内部にある第2の調整ねじの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。
第1の調整ホール22のホールサイズが、第2の調整ホール23のホールサイズに等しいときは、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の空洞11内に第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加され、第1の空洞11内に挿入された第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの部分が長いほど、誘電体共振器20の帯域幅は大きくなる。逆に、第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つを調整して、第1の空洞11から第1の調整ねじまたは第2の調整ねじを引き出すことによって、誘電体共振器20の帯域幅は減少され、第1の空洞11内部にある第1の調整ねじおよび第2の調整ねじの少なくとも1つの部分が短いほど、誘電体共振器20の帯域幅は小さくなる。
カバー上に配置された調整ねじの数は、実際の要件に従って調整されることが留意されるべきである。例えば誘電体共振器20の帯域幅のみを増加する必要があり、第1の調整ール22のホールサイズが第2の調整ホール23のホールサイズより大きいときは、第2の調整ねじのみが、カバー上であり、第2の調整ホール23に対応する位置に配置される。第2の調整ねじを調整して、第2の調整ホール23内に第2の調整ねじを挿入することによって、誘電体共振器20の帯域幅は増加される。
本発明においては、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部は同一平面上にある。誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を調整するために、調整ねじは、カバー上であり、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部に対応する位置に配置される。調整ねじは同一平面上にあり、その結果、同一平面上において誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整が実施され、これは誘電体フィルタの周波数および帯域幅が誘電体フィルタの周りで調整される必要がある従来技術とは異なり、誘電体フィルタの周りの組み立てと干渉せず、したがってユーザが調整および組み立てを行うのに便利である。さらに、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、第1の鏡映面213および第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造が変化される。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造の変化は、誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が調整され、したがって誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を変化させるという目的が達成される。
この実施手法では誘電体共振器20の帯域幅は、第1の調整ホールと第2の調整ホールのホールサイズ差に正比例する。誘電体共振器20の2つの動作周波数の差は、誘電体フィルタ100の帯域幅となる。
確かに、誘電体共振器20上に配置された調整ホールの数またはホールサイズが変化した場合は、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化し、これは誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させる。すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅も変化する。したがって、対応する数の調整ホール、または対応するホールサイズの調整ホールが実際の要件に従って誘電体共振器20上に配置され、これは誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整範囲を拡張し、誘電体フィルタ100を異なる応用シナリオに適用することを可能にする。
図4および図5が参照され、本発明の第2の例示的実施手法は、誘電体フィルタ200をもたらす。第2の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタ200は、第1の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタ100と同様である。2つの誘電体フィルタの違いは、第2の例示的実施手法では誘電体フィルタ200は、第2の誘電体共振器40をさらに含むことにある。第2の空洞210が、誘電体フィルタ200内にさらに形成される。第2の支持キット220が、第2の空洞210の底部に配置される。第2の誘電体共振器40は、第2の空洞210内に含まれ、第2の支持キット220上に配置される。第2の誘電体共振器40は、結合された機械的部分50を用いることによって第1の誘電体共振器20に接続される。結合された機械的部分50は、第1の誘電体共振器20から第2の誘電体共振器40に、または第2の誘電体共振器40から第1の誘電体共振器20にエネルギーを結合するために用いられる。
この実施手法では、結合された機械的部分50は金属板である。第2の誘電体共振器40は、デュアルモード誘電体共振器である。第2の誘電体共振器40の構造および機能は、第1の誘電体共振器20の構造および機能と同じであり、詳細は本明細書では再び述べられない。
図6から図9が参照され、本発明の第3の例示的実施手法および第4の例示的実施手法は、別々に誘電体フィルタをもたらす。第3の例示的実施手法において、および第4の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタは、第2の例示的実施手法においてもたらされる誘電体フィルタと同様である。違いは、第3の例示的実施手法では、第2の誘電体共振器はTE01δモードでの誘電体共振器41であり、第4の例示的実施手法では、第2の誘電体共振器は同軸共振器(金属または誘電体)42であることにある。TE01δモードでの誘電体共振器41、または同軸共振器42は、従来技術に存在するので、それらの構造は本発明のこの実施形態では述べられない。TE01δモードでの誘電体共振器41、および同軸共振器42の構造は、第1の誘電体共振器20の構造とは異なる。
他の実施手法では、第2の誘電体共振器はさらに、要件に従って別のタイプの誘電体共振器に調整される。
図10が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第2の例示的実施手法をもたらす。もたらされる誘電体共振器の第2の例示的実施手法では、第1の調整ホール22の軸222および第2の調整ホール23の軸232は共に、第2の対角面216上にあり、第1の調整ホール22の軸222は、第2の調整ホール23の軸232に平行である。
この実施手法では第1の調整ホール22のホールサイズは、第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。任意選択でまた、第1の調整ホール22のホールサイズおよび第2の調整ホール23のホールサイズは同じである。
図11が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第3の例示的実施手法をもたらす。第3の例示的実施手法では、少なくとも2つの調整ホールは、第3の調整ホール51をさらに含む。第3の調整ホール51の軸512は、第2の対角面216上にあり、第2の調整ホール23の軸232に平行である。
具体的にはこの実施形態では、第3の調整ホール51は円筒形である。第3の調整ホール51は、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212に垂直であり、それらを貫通する。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、および第3の調整ホール51のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化され、したがって誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
さらに、誘電体共振器20は第4の調整ホール53をさらに含む。第4の調整ホール53の軸532は、第1の対角面215上にあり、第1の調整ホール22の軸222に平行である。
具体的には第4の調整ホール53は、円筒形である。第4の調整ホール53は、誘電体本体21の上部平面211および底部平面212に垂直であり、それらを貫通する。第1の調整ホール22のホールサイズは、第4の調整ホール53のホールサイズと同じである。第2の調整ホール23のホールサイズは、第3の調整ホール51のホールサイズと同じである。第1の調整ホール22のホールサイズは、第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、第3の調整ホール51、および第4の調整ホール53のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化され、したがって誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
図12が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第4の例示的実施手法をもたらす。第4の例示的実施手法では誘電体共振器20は、第5の調整ホール61をさらに含む。第5の調整ホールの軸は、第1の対角面215と第2の対角面216の交差線である。
この実施手法では第5の調整ホール61は、円筒形である。第5の調整ホール61のホールサイズは、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23のホールサイズとは異なる。
第1の調整ホール22、第2の調整ホール23、および第5の調整ホール61のいずれの2つも、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではなく、したがって誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造を変化させることは、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタの周波数および帯域幅を調整する。
図13が参照され、本発明の実施形態はさらに、誘電体共振器20の第5の例示的実施手法をもたらす。もたらされる誘電体共振器の第5の例示的実施手法では、第2の調整ホール23の軸は、第1の対角面215と第2の対角面216の交差線である。
具体的にはこの実施手法では、第2の調整ホール23は、第1の調整ホール22に接続される。第1の調整ホール22は、具体的には四角形の角柱状である。第2の調整ホール23は、具体的には円筒形である。
第1の調整ホール22の形状および第2の調整ホール23の形状は、実際の要件に従って調整されることが理解されるべきである。第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、実際の要件に従って接続されなくてもよい。さらに誘電体フィルタの周波数および帯域幅は、誘電体本体21上に配置された調整ホールの数およびホールサイズに関係するので、誘電体本体21上に配置された調整ホールの数およびホールサイズは、誘電体フィルタの周波数および帯域幅に対する実際の要件に従って調整される。
上記の実施手法において誘電体本体21が円筒であるときは、第1の対角面215および第2の対角面216は互いに垂直である。第1の対角面215と第2の対角面216の間に形成される2つの隣接する夾角の扇状平面は、誘電体フィルタの第1のポートおよび第2のポートの軸(すなわち中心線)が別々に位置する平面である。
上記の実施手法では、第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部は同一平面上にある。誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅を調整するために、調整ねじは、カバー上で第1の調整ホール22の上部および第2の調整ホール23の上部に対応する位置に配置される。調整ねじは同一平面上にあり、その結果、同一平面上において誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整が実施され、これは誘電体フィルタの周波数および帯域幅が誘電体フィルタの周りで調整される必要がある従来技術とは異なり、誘電体フィルタの周りの組み立てと干渉せず、したがってユーザが調整および組み立てを行うのに便利である。さらに、第1の調整ホール22および第2の調整ホール23は、第1の鏡映面213または第2の鏡映面214に対して鏡面対称ではないので、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造が変化される。理論的には電磁界の原理に従って、誘電体共振器20の誘電体構造の変化は、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化に繋がる。シミュレーション結果によれば、誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させ、すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅が調整される。さらにシミュレーション結果によれば、誘電体本体21上に複数の調整ホールを配置することは、デュアルモード誘電体共振器の主モード(すなわち動作モード)と高次モードの間の周波数の間隔を増加させ、したがってデュアルモード誘電体共振器の抑圧機能が改善される。
確かに、誘電体共振器20上に配置された調整ホールの数またはホールサイズが変化した場合は、誘電体共振器20の誘電体本体21の誘電体構造は変化し、これは誘電体共振器20および誘電体フィルタ100内部の電磁界の分布における変化に繋がる。誘電体共振器20内部の電磁界の分布における変化は、誘電体共振器20の周波数および帯域幅を変化させる。すなわち誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅も変化する。したがって、対応する数の調整ホール、または対応するホールサイズの調整ホールが実際の要件に従って誘電体共振器20上に配置され、これは誘電体フィルタ100の周波数および帯域幅の調整範囲を拡張し、誘電体フィルタ100を異なる応用シナリオに適用することを可能にする。
最後に上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく、単に本発明の技術的解決策を述べるためのものであることが留意されるべきである。本発明は、上記の実施形態を参照して詳しく述べられたが、当業者は、本発明の保護範囲がそれらに限定されず、本発明において開示される技術的範囲内における当業者によって容易に考え出されるいずれの変形または置き換えも、本発明の保護範囲に包含されるものであることを理解すべきである。したがって本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を前提としなければならない。