JPH11139827A - 球状マグネタイト粉の乾式製造方法 - Google Patents
球状マグネタイト粉の乾式製造方法Info
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Abstract
ネタイト粉を、簡潔な工程で効率よく得ることができる
球状マグネタイト粉の乾式製造方法を提供する。 【解決手段】 不定形海綿鉄粉を、気体燃料の燃焼火炎
中で溶融・酸化して球状化させた後、可及的速やかに冷
却用気体に接触させて冷却し、粉体捕集装置によって捕
集する。燃焼火炎は、プロパンガスと酸素又は酸素富化
空気との燃焼火炎とし、プロパンガスの供給量に対する
酸素の供給量を5〜8倍とする。
Description
粉の乾式製造方法に関し、詳しくは、電子複写における
二成分磁気ブラシ法に用いる磁性キャリア用として好適
な球状マグネタイト粉を乾式で製造する方法に関する。
(現像材用キャリア)とトナーとの二成分磁気ブラシ法
が、画質が良好で、カラー化も可能であり、トナーも比
較的安価なため、広く普及しつつある。この二成分磁気
ブラシ法は、マグネットローラー上に回転可能な非磁性
スリーブを設けた現像ローラーによって、磁性キャリア
とトナーとを混合した現像剤を搬送し、潜像を現像する
ものである。
トマイズ鉄粉等を粒度調整した鉄粉又はその表面が極薄
い鉄の酸化被膜で被覆された酸化被膜鉄粉及び表面に各
種樹脂コートを施したものが用いられてきた。
定形であり、また、飽和磁化が高いことから、現像機内
での撹拌によるストレスが強く、トナーのキャリア粒子
表面へのスペント及びコート剥離に起因する抵抗・帯電
量の変化が生じ、初期の画像特性を維持できずにライフ
性に乏しい。
ェライト粉を造粒/乾燥/焼成することにより得られる
フェライトキャリアは、比重が小さく、球形であり、飽
和磁化も鉄粉に比べて低いため、上記問題に対しては有
効である。
0μm程度の粒径を有する磁性粒子が使用されている
が、最近は、高画質化,長寿命化の要望が強く、磁性キ
ャリアとして小粒径化が進んでいる。しかし、磁性キャ
リアを小粒径にすることにより飽和磁化が低くなり、磁
性キャリアが感光体に付着して致命的な画像欠陥を引き
起こしてしまうことがある。また、小粒径化によって流
動性が悪くなり、現像性を損なうという欠点も出てく
る。
の高い球状フェライトキャリアが使用されているが、そ
の中で、マグネタイトは、比重が軽い上に飽和磁化が高
く、小粒径化による感光体上へのキャリアの付着に対し
て有効であり、磁性キャリアとして期待されている。
方法として、例えば、特開平2−223962号公報に
は、鉄鋼製造工程で発生するFeO−Fe2O3を主組
成とする酸化鉄原料(ミルスケール)を粉砕して粒径を
制御し、酸洗又は磁選により不純物を除去した後、溶射
バーナーの火炎中で溶融して球状化し、これを直ちに水
中に投入して冷却することにより、球状マグネタイト粒
子(粉)を得る方法が開示されている。
ケールを原料としているため、原料自体は安価であるも
のの、粉砕や粒径の調整,酸洗又は磁選等の複雑な前工
程を必要とし、さらに、溶融して得た球状マグネタイト
粉を水中に投入して冷却しているため、その後に乾燥を
行わなければならず、長い工程によるコスト負担を免れ
ることができなかった。
されるため、溶融,球状化された粒子の著しい体積変化
に伴い、抱え込まれた酸素等の気体の放出による形状の
悪化が生じてしまう。さらに、水中への投入による冷
却、その後の乾燥工程により酸化状態にばらつきが発生
し、粒子間に磁気特性のばらつきが生じる。特に、酸化
状態が進むと低飽和磁化の粒子が発生するため、感光体
への付着による画像欠陥を引き起こすという問題があっ
た。
おいても、長い工程を必要とするだけでなく、小粒径品
の製造収率が低く、製造コストが高いという問題があ
る。さらに、製造法の特徴からか、造粒工程では小粒径
品の形状が悪く、また、焼成(還元雰囲気)においてF
eOの発生を防止することができず、粒子間の磁化のば
らつきが多く、低飽和磁化粒子の発生による感光体上へ
のキャリア付着が問題となっている。
とを有し、かつ、粒子間の磁化のばらつきを無くした球
状マグネタイト粉を、簡素な工程で効率よく得ることが
できる球状マグネタイト粉の乾式製造方法を提供するこ
とを目的としている。
め、本発明の球状マグネタイト粉の乾式製造方法は、不
定形海綿鉄粉を、気体燃料の燃焼火炎中で溶融・酸化し
て球状化させた後、可及的速やかに冷却用気体に接触さ
せて冷却し、粉体捕集装置によって捕集することを特徴
とするもので、特に、燃焼火炎は、プロパンガスと酸素
又は酸素富化空気との燃焼火炎であって、プロパンガス
の供給量に対する酸素の供給量が5〜8倍であること、
さらに、前記冷却用気体の供給量が、前記プロパンガス
の供給量1Nm3当たり1200Nm3以上であること
を特徴としている。
粉の乾式製造方法を適用した製造装置の一例を示す系統
図、図2は同装置に用いるバーナーの一例を示す要部の
断面図である。ここに示す球状マグネタイト粉の製造装
置は、原料である不定形海綿鉄粉を溶融・酸化して球状
化させるための燃焼炉10と、該燃焼炉10で生成した
球状マグネタイト粉を捕集するための粉体捕集装置20
とからなるもので、燃焼炉10は、バーナー11及び点
火用のパイロットバーナー11aを装着した上部の燃焼
ゾーン12と、下部の冷却ゾーン13とに区画されてい
る。
ゾーン13との間には、冷却用気体である空気を導入す
るための冷却用空気導入部14が設けられ、冷却ゾーン
13の下部には、生成した粉体を粉体捕集装置20に搬
送するための搬送用空気導入部15と、粉体搬送経路1
6とが設けられている。さらに、燃焼炉10及び搬送経
路16の外周には、冷却ジャケット17が設けられてい
る。また、前記粉体捕集装置20は、サイクロン21と
バグフィルター22とを備えるもので、バグフィルター
22の下流側には、吸引排気ブロワー23が設けられて
いる。
原料である不定形海綿鉄粉がキャリアガスにより搬送さ
れる原料通路31を中心として、その外周に気体燃料で
あるプロパンガスが流れる燃料通路32、その外周に酸
素又は酸素富化空気が流れる酸素通路33、さらにその
外周に冷却水が流れる冷却水通路34a,34bを同心
状に設けた五重管構造を有するもので、原料通路31,
燃料通路32及び酸素通路33の先端には、所定の形状
及び噴出方向に形成された噴出孔31a,32a,33
a,33bがそれぞれ設けられている。なお、燃焼室3
5内に酸素を噴出する噴出孔33a,33bの内、一次
酸素噴出孔33aは、コーン状の燃焼室35の内部に旋
回流を形成するために接線方向に向いており、二次酸素
噴出孔33bは、バーナー前方のバーナー中心軸上に焦
点を結ぶ方向に向いている。
のテーブルフィーダー41から所定量が供給され、空気
圧縮機42からの空気をキャリアガス(キャリア空気)
として経路41aによりバーナー11の前記原料通路3
1に送られる。また、プロパンガス供給源43からは、
経路43aを介して所定量のプロパンガスが、酸素供給
源44からは、経路44aを介して所定量の酸素又は酸
素富化空気が、それぞれ供給されるとともに、バーナー
11の冷却水通路34a,34b及び前記冷却ジャケッ
ト17には、入口経路18a,36a及び出口経路18
b,36bを通して所定量の冷却水が供給される。ま
た、燃焼炉10を含む系内は、前記吸引排気ブロワー2
3の作用によって減圧状態となるため、冷却用空気導入
部14及び搬送用空気導入部15から系内にそれぞれ所
定量の空気が吸入される。なお、両導入部14,15に
おける空気吸引量及び割合の調整は、経路内に設けたダ
ンパーDにより行うことができる。また、各経路の適宜
な位置には、流量計F,圧力計P,弁V,温度計Tが必
要に応じて設けられている。
ン12の燃焼火炎中に投入された原料の不定形海綿鉄粉
は、プロパンガスと酸素とによる燃焼火炎により加熱さ
れて溶融状態になるとともに、過剰の酸素により酸化し
て酸化鉄を生成する。鉄の酸化物には、FeO,Fe3
O4及びFe2O3の3種類があり、この中で、Fe3
O4(マグネタイト)のみが磁性を有しているため、F
eOやFe2O3が生成して混入することは、磁性特性
を損なうため、できるだけ避けるべきである。鉄−酸素
(Fe−O)系の平衡状態図によれば、Fe3O4は、
高温域程、FeとOとの化学量論組成近傍での安定領域
が広いが、1000℃以下では安定領域はなく、化学量
論組成から外れるとFeOやFe2O3が生成し易くな
る。
酸化を行った後、できるだけ速やかに冷却する必要があ
る。すなわち、酸化反応が起こる燃焼火炎中での酸素分
圧を適当な範囲に調整してFe3O4を最大限生成させ
るとともに、得られたFe3O4を急速に冷却して冷却
途中での酸化を抑えることが肝要となる。
化に伴う密度の減少が大きいため、体積が大きく膨張す
るので、通常の鉄粉を酸化すると、大きな体積膨張のた
めに原料粉体の形状を保つことができず、破壊されて粒
径が不均一となる。一方、本発明で原料として用いる不
定形海綿鉄粉は、多くの空隙部を有する多孔性の純鉄で
あって、酸化に伴う体積膨張を空隙部で吸収することが
可能である。したがって、燃焼火炎中で加熱されて溶融
するとともに、酸素により酸化されて球状化する際の体
積変化が少なく、しかも、原料は実質的に純鉄であるか
ら、温度と酸素量とを制御することにより、効率よく所
定の粒径のマグネタイト(Fe3O4)を得ることが可
能であり、化学的純度の高いものが得られる。
ては、気体燃料、とりわけ、プロパンガスが最適であ
る。酸素は、気体燃料の燃焼と鉄の酸化とに必要であ
り、燃料としてプロパンガスを使用する場合、酸素の供
給量は、プロパンガスの供給量に対して5〜8倍の範囲
が適当である。酸素の供給量が5倍未満の場合は、鉄の
酸化が十分に進まずにFeOの生成比率が高くなり、逆
に8倍を超えると、酸化が進み過ぎてFe2O3の生成
比率が高くなる。
ト粉を含む酸化鉄粒子は、冷却用空気導入部14から導
入される冷却用空気によって急速に冷却される。このと
きの空気量は、プロパンガスの供給量や酸化鉄粒子の生
成量によって異なるが、プロパンガス1Nm3当たり1
200Nm3以上、サイクロン21やバグフィルター2
2、吸引排気ブロワー23の設備コストを考慮すると、
通常は、1200〜1800Nm3の冷却用空気を導入
して酸化鉄粒子を冷却することにより、冷却過程での酸
化、すなわち、Fe3O4からFe2O3への変化を抑
制することができる。
マグネタイト粉は、搬送用空気導入部15から導入され
る搬送用空気に伴われて粉体搬送経路16から粉体捕集
装置20のサイクロン21及びバグフィルター22に順
次導入され、所定の粒径の球状マグネタイト粉が捕集さ
れる。なお、搬送空気の流速等を適当に設定することに
より、粗大粒子を燃焼炉10の底部に分離し、サイクロ
ン21で所定の粒径範囲のものを分離し、微細粒子をバ
グフィルター22で回収することができ、サイクロン2
1で連続的に製品球状マグネタイト粉を得ることが可能
である。
ゾーン13との間の冷却用空気導入部14を塞ぎ、炉内
に冷却用空気が流入しない状態とした。原料には、平均
粒径35μmのパウダーテック社製フレークタイプの不
定形海綿鉄を使用し、バーナー燃焼火炎内の雰囲気が鉄
の酸化状態に与える影響を調べた。バーナーへの原料の
供給量を30kg/h、キャリア空気の供給量を7.5
Nm3/h、プロパンガスの供給量を1Nm3/hと
し、酸素ガスの供給量を2〜12Nm3/hに変化させ
て酸素量による影響を調べた。なお、搬送用空気の流量
は1500Nm3/hとした。
法にて下記式により求めた。 X(重量%)={(I0−IS)/I0}×100 式中、ISは、得られた試料のFeO(200),Fe
3O4(311),Fe2O3(104)の各回析線の
強度であり、I0は、標準物質の同じミラー指数による
回析線の強度である。標準物質としては、市販の試薬を
用い、各測定は同一条件になるように注意して行った。
する得られた酸化鉄の組成を示す。この結果から、酸素
ガス供給量の増加とともにFeO組成が減少してFe2
O3が増加し、酸化が促進されていることがわかる。ま
た、Fe3O4は、酸素ガス供給量が8Nm3/hまで
は増加するが、ここで極大値である80%となり、以降
は減少する。
となる酸素ガス供給量8Nm3/hは、火炎内雰囲気の
酸素分圧が、Fe3O4生成の最適値となっており、こ
れを超えるとFe2O3の生成に傾くものと考えられ
る。また、この極大値においてもFe2O3が認められ
るが、これは、冷却過程でFe3O4が酸化したものと
考えられる。逆に、火炎中で生成したFe2O3は、冷
却過程でFe3O4に還元することは困難と考えられ
る。
供給量を4〜24Nm3/hに変化させた以外は、実験
例1と同様にして実験を行い、バーナーへの酸素ガス供
給量と、得られた酸化鉄の組成との関係を調べた。その
結果、図4に示すように、Fe3O4の生成量が極大と
なる酸素ガス供給量が、実験例1の8Nm3/hから2
倍の16Nm3/hになった以外は、実験例1と同様の
結果、すなわち、プロパンガス供給量1Nm3/h当た
りの酸素ガス供給量は8Nm3/hが上限であり、これ
を超えて酸素ガスを供給するとFe3O4の生成量が低
下するという結果が得られた。また、両実験結果に基づ
いて酸素ガス供給量の下限を検討した。その結果、Fe
Oの生成量などから、プロパンガス供給量1Nm3/h
当たり酸素ガス供給量5Nm3/hが下限であると判断
した。したがって、プロパンガスの供給量に対する酸素
ガスの供給量を5〜8倍に設定することにより、効率よ
くFe3O4を生成できることがわかる。
し、ここから冷却用空気(常温)を導入できるようにし
た。そして、酸素ガス供給量を5Nm3/hとした以外
は実験例1と同様の条件で、冷却用空気導入部14から
の冷却用空気導入量を1200〜1800Nm3/hに
変化させて得られる酸化鉄の組成を調べた。結果を図5
に示す。この結果から、冷却用空気導入量を1200N
m3/h以上とすれば、冷却過程での酸化を防止でき、
酸化鉄中のFe3O4を90%以上にできることがわか
る。
の粒径と得られた酸化鉄の粒径との関係を調べた。その
他の条件は実施例1と同じとした。図6は原料の平均粒
径が35μm、図7は同じく55μm、図8は同じく7
5μmの場合をそれぞれ示している。いずれの場合も、
原料の粒径分布と得られた酸化鉄の粒径分布とが良く一
致しており、原料の粒径がそのまま得られる酸化鉄の粒
径となることがわかる。
ネタイト粉の乾式製造方法によれば、所望の粒径,粒度
分布の球状マグネタイト粉を簡単かつ確実に得ることが
できる。
系統図である。
断面図である。
酸化鉄の組成との関係を示す図である。
酸化鉄の組成との関係を示す図である。
の関係を示す図である。
径分布と得られた酸化鉄の粒径分布との関係を示す図で
ある。
径分布と得られた酸化鉄の粒径分布との関係を示す図で
ある。
径分布と得られた酸化鉄の粒径分布との関係を示す図で
ある。
3…冷却ゾーン、14…冷却用空気導入部、15…搬送
用空気導入部、16…搬送経路、17…冷却ジャケッ
ト、20…粉体捕集装置、21…サイクロン、22…バ
グフィルター、23…吸引排気ブロワー、31…原料通
路、32…燃料通路、33…酸素通路、35…燃焼室、
41…テーブルフィーダー、42…空気圧縮機、43…
プロパンガス供給源、44…酸素供給源
Claims (3)
- 【請求項1】 不定形海綿鉄粉を、気体燃料の燃焼火炎
中で溶融・酸化して球状化させた後、可及的速やかに冷
却用気体に接触させて冷却し、粉体捕集装置によって捕
集することを特徴とする球状マグネタイト粉の乾式製造
方法。 - 【請求項2】 前記燃焼火炎は、プロパンガスと酸素又
は酸素富化空気との燃焼火炎であって、プロパンガスの
供給量に対する酸素の供給量が5〜8倍であることを特
徴とする請求項1記載の球状マグネタイト粉の乾式製造
方法。 - 【請求項3】 前記冷却用気体の供給量が、前記プロパ
ンガスの供給量1Nm3当たり1200Nm3以上であ
ることを特徴とする請求項2記載の球状マグネタイト粉
の乾式製造方法。
Priority Applications (1)
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JP30265597A JP4041563B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 球状マグネタイト粉の乾式製造方法及び装置 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11139827A true JPH11139827A (ja) | 1999-05-25 |
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Family
ID=17911605
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP30265597A Expired - Lifetime JP4041563B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 球状マグネタイト粉の乾式製造方法及び装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP4041563B2 (ja) |
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