JPH11137244A - 微生物含有組成物および微生物の保存方法 - Google Patents

微生物含有組成物および微生物の保存方法

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JPH11137244A
JPH11137244A JP9319159A JP31915997A JPH11137244A JP H11137244 A JPH11137244 A JP H11137244A JP 9319159 A JP9319159 A JP 9319159A JP 31915997 A JP31915997 A JP 31915997A JP H11137244 A JPH11137244 A JP H11137244A
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JP
Japan
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microorganism
genus
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microorganisms
clay mineral
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JP9319159A
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English (en)
Inventor
Hideki Kato
秀樹 加藤
Toshisuke Ikeuchi
利祐 池内
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Kumiai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kumiai Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物農薬等として利用可能な微生物を常温
において長期にわたって高い生存率で保持するための技
術を提供すること。 【解決手段】 微生物の胞子もしくは芽胞状菌体と、セ
ピオライト、アタパルジャイト、パリゴルスカイトなど
の層−リボン構造を有する粘土鉱物とを含有する微生物
含有組成物およびその製造方法並びに層−リボン構造を
有する粘土鉱物を用いた微生物の保存方法および微生物
用保存剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物含有組成物
および微生物の保存方法に関し、さらに詳細には、微生
物農薬等として利用しうる微生物含有組成物およびその
製造方法並びに微生物を長期間安定に保存するための方
法およびそれに用いる微生物用保存剤に関する。
【0002】
【従来の技術】植物の病害虫防除は、効率よく農業生産
を行う上で不可欠な作業であり、この目的のために化学
農薬が使用され、大きな功績を挙げている。しかしなが
ら、近年、化学農薬の多投与による抵抗性病害虫の発生
や環境破壊の問題が取り上げられるようになり、如何に
環境負荷を低減させ効率よく、永続的に農業生産を行っ
てゆくかが農業分野での重要な課題となってきた。その
ひとつの解決策として、微生物の機能を利用した微生物
農薬が提案されており、その単独使用やこれと化学農薬
を組み合わせて使用することにより、環境負荷の低減
や、化学農薬では大きな問題となっている耐性病害虫の
出現頻度も抑えられる可能性が認められている。
【0003】現在、微生物農薬としての利用が期待され
る微生物としては、植物が本来保持している抵抗性を賦
活化して病害を防除する非病原性フザリウム(ベイカ
ー、ハンキー、ドッテラー:ファイトパソロジー(Bake
r, Hanchey, Dottara;Phytopathology)1978年;特
公平7−096485号公報)、病原菌に抗生作用をし
めすトリコデルマ(農林水産省登録第7023号)、害
虫の病原菌である糸状菌(柳沼勝彦、果実日本、50、
1995年)、雑草に感染する細菌(特開平4−368
306号公報)等が報告されている。
【0004】このように農薬としての可能性を有する種
々の微生物が報告されているが、微生物製剤を開発する
上では、有効成分である微生物を生菌のまま安定に製剤
化できるかが鍵であり、保存期間中の微生物の死滅等が
おおきな障壁となっている。従って、微生物を有効成分
とする製剤を開発するには、まず、微生物を長期間安定
に生きたまま保存できる方法を確立することが重要であ
る。
【0005】一般に微生物の保存法としては、凍結乾
燥、流動パラフィン重層法、斜面培地などが知られてい
る。しかし、これらの方法は、いずれも小規模量の微生
物を取り扱う場合には有効であるが、大量の微生物を取
扱い、かつ高い生存菌数が要求される微生物農薬には不
向きである。
【0006】ところで、微生物農薬あるいは微生物資材
の製剤例としては、非病原性フザリウム属糸状菌をゼオ
ライト系基材に吸着させ自然乾燥した製剤(特開昭63
−227507号公報)、バシルス属細菌の胞子画分を
利用する植物病害防除剤(特開平8−175919号公
報)、ギガスポラ属のVA菌根菌を感染させた植物を焼
成アタパルジャイトを基材として栽培することにより得
られるVA菌根菌接種物(特開平6−38736号公
報)等が知られている。
【0007】しかしこのうち、フザリウム属糸状菌の生
菌体をゼオライト系基材に吸着させた製剤は、室温で保
存すると生存菌数が急速に減少する傾向があり、微生物
農薬としては不向きである。また、バシルス属細菌の胞
子画分を利用する植物病害防除剤は、特段調製した製剤
の保存性については言及されておらず、長期保存性を視
野に入れたものとはいえない。さらに、ギガスポラ属の
VA菌根菌接種物は、従来培養が困難であった特殊なV
A菌根菌を宿主植物の栽培を通じて増殖させるというも
のであり、一般の微生物にそのまま適用できる性質のも
のではない。さらにまた、従来の微生物資材は、培養基
として使用した基材をそのまま投入しているだけである
ため、保存法と言えるようなものではなく、しかも、栄
養成分を含有したまま投入するため、病原菌等の生育も
助長してしまう問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】微生物農薬を実用化す
るには、これが商品として流通しても微生物を長期にわ
たって高い率で生存させておくことが必要になる。 も
ちろん、低温で保存すればある程度の生存率は保証でき
るが、輸送に保冷車を使用し、販売店、各農家に大きな
冷蔵庫が必要となるなど商品としての取り扱いが難しく
なり、実用性に欠ける。従って、実用的な微生物農薬の
開発のためには、常温において微生物を長期にわたって
高い生存率で保持する手段の開発が不可欠で、そのため
の技術が求められている。本発明は、このような要望に
応じた微生物含有組成物およびその製造方法並びに微生
物の保存方法および微生物用保存剤の提供を課題とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、常温にお
ける微生物の生存率の維持方法について鋭意研究を重ね
た結果、胞子あるいは芽胞状態の微生物を、層−リボン
構造を有する粘土鉱物に担持せしめれば、常温における
長期間の微生物の保存が可能であることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の目的は、微生物の胞子
もしくは芽胞状菌体と層−リボン構造を有する粘土鉱物
とを含有する微生物含有組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、微生物の胞子もしくは芽胞
状菌体を層−リボン構造を有する粘土鉱物と混合するこ
とを特徴とする微生物含有組成物の製造方法を提供する
ことである。さらに、本発明の他の別の目的は、微生物
の胞子もしくは芽胞状菌体と層−リボン構造を有する粘
土鉱物とを混合することを特徴とする微生物の保存方法
を提供することである。さらにまた、本発明の別の目的
は、層−リボン構造を有する粘土鉱物を有効成分として
含有する微生物用保存剤を提供することである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の微生物含有組成物は、微
生物の胞子あるいは芽胞状菌体と層−リボン構造を有す
る粘土鉱物とを常法により混合することにより調製され
る。
【0012】利用される微生物としては、胞子あるいは
芽胞を形成するものであれば特に制限はなく、糸状菌、
細菌、酵母あるいは放線菌のいずれであってもよいが、
これらの中でも、人工培地で培養可能な微生物が好まし
い。このような微生物としては、たとえばトリコデルマ
(Trichoderma)属糸状菌、アスペルギルス(Aspergillus)
属糸状菌、ペニシリウム(Penicillium)属糸状菌、アル
タナリア(Alternaria)属糸状菌、ヘルミンソスポリウム
(Hemilinthosporium)属糸状菌、カエトミニウム(Chaeto
mium)属糸状菌、リゾクトニア(Rhizoctonia)属糸状菌、
ボウベリア(Beauveria)属糸状菌、メタリジウム(Metarh
izium)属糸状菌、バーチシリウム(Verticillium)属糸状
菌、バシルス(Bacillus)属細菌、サッカロミセス(Sacch
aromyces)属酵母、ストレプトミセス(Streptomyces)属
放線菌等が挙げられる。
【0013】より具体的には、トリコデルマ シュード
コニンギー(Trichoderma pseudokoningii)、トリコデル
マ ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatu
m)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、アス
ペルギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)、バシルス
ズブチリス(Bacillus subtilis)、アスペルギルスジャ
ポニカス(Aspergillus japonicus)等を例示することが
できる。
【0014】これらの微生物は、本発明の微生物含有組
成物の調製に当たって、胞子やそれに類する芽胞状菌体
を主体とする生菌体が好ましいが、菌糸体が含まれてい
てもなんら問題はない。また、当該組成物の調製に当た
って、胞子や芽胞を含む培養物全体をそのまま用いても
よく、また胞子や芽胞を水に懸濁させて使用してもよ
い。微生物の胞子もしくは芽胞状菌体としては、例え
ば、振盪培養、寒天培地での培養等による培養物、これ
らの培養物から分離した胞子もしくは芽胞状菌体を含む
生菌体等を、別の液に懸濁して懸濁液に調製したものな
どが挙げられる。
【0015】微生物の培養に用いる培地としては、微生
物を培養できるものであれば特に制限なく任意に選択で
きる。胞子を形成させることが可能な培地であれば液体
培地、寒天培地にこだわることなく使用でき、例えばポ
テト−デキストロース寒天培地、オートミール寒天培
地、普通寒天培地、酵母エキス−麦芽エキス寒天培地等
を利用できる。これらの培地は所定濃度のものが好まし
く、滅菌後、目的の微生物を接種し、およそ25〜40
℃の温度で1〜30日間程度、振盪培養等任意の培養方
法で培養することにより胞子濃度の高い培養物を得るこ
とができる。
【0016】一方、本発明の微生物含有組成物の調製で
用いる層−リボン構造の粘土鉱物は、輝石に似た単鎖が
複数本(例えば2〜3本)結合して四面体リボンを形成
している粘土鉱物であり、セピオライト、アタパルジャ
イト、パリゴルスカイトが例示でき、これらの変種も含
まれる。これらの中でも特にアタパルジャイト、セピオ
ライトが好ましい。なお、アタパルジャイトは、パリゴ
ルスカイトと同一の構造の粘土とされている。
【0017】上記粘土鉱物は塊状、繊維状、紙状等の形
状で産出し、そのままの形状で用いてもよいが、一般的
には粉砕して粉粒径0.01〜100μm程度、好まし
くは1〜50μm程度の粉末として用いるのが好まし
い。なお、使用される粘土鉱物は、酸やアルカリ処理、
焼成処理等の特別の処理をしたものである必要はない。
【0018】本発明の微生物含有組成物は、前記したよ
うに、微生物の胞子あるいは芽胞状菌体と層−リボン構
造を有する粘土鉱物とを常法により混合することにより
調製されるが、その具体的方法としては、例えば、胞子
もしくは芽胞を懸濁液とした後、層−リボン構造を有す
る粘土鉱物に混合して吸着せしめる方法、胞子もしくは
芽胞を含有する培養液をそのまま層−リボン構造を有す
る粘土鉱物に混合して吸着せしめる方法、胞子もしくは
芽胞を集め乾燥状態で層−リボン構造を有する粘土鉱物
に混合する方法、胞子もしくは芽胞を含む培養液を濾過
後、濾過残渣を層−リボン構造を有する粘土鉱物に混合
する方法などが挙げられる。また、上記のような混合操
作の後、必要に応じて乾燥、塗布、整粒等の処理を施す
こともできる。
【0019】本発明の微生物含有組成物における、層−
リボン構造を有する粘土鉱物の割合は、例えば1〜99
重量%の範囲、特に10〜95重量%の範囲が好まし
く、望ましくは20〜90重量%の範囲である。また、
当該組成物中の胞子数あるいは芽胞状菌体数は、組成物
1g中に10〜10の10乗個、特に10の3乗〜10
の9乗個であることが好ましく、望ましくは10の5乗
〜10の8乗個である。
【0020】斯くして得られる本発明の微生物含有組成
物は、種々の剤型、例えば粒状、粉末状、懸濁状、顆粒
状等とすることができ、特に粒状、粉末状、顆粒状が好
ましい。
【0021】また、本発明の微生物含有組成物には、更
に必要に応じて、例えば増量剤、結合剤、界面活性剤等
の他の成分を配合することができ、そのまま微生物農薬
製剤としても利用出来る。これらの任意成分は、微生物
に対して無害であるか、あるいはほとんど影響を及ぼさ
ないものが好ましいことはいうまでもない。
【0022】上記の増量剤としては、水溶性増量剤ある
いは非水溶性増量剤を用いることができ、これらを組み
合わせて用いることもできる。水溶性増量剤としては、
例えば、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸
アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸
ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機または無
機酸塩類、クエン酸、コハク酸等の有機酸塩類、ショ
糖、ラクトース等の糖類、尿素等を挙げることができ
る。非水溶性増量剤としては、一般的に鉱物質微粉末が
用いられ、例えばクレー類、炭酸カルシウム、タルク、
珪藻土、ベントナイト、ホワイトカーボン等を挙げるこ
とができる。これら増量剤の配合割合は、組成物100
重量部に対して、通常、5重量部〜80重量部、好まし
くは10重量部〜60重量部とすることができる。
【0023】また、本発明を利用して粒剤または粒状の
水和剤などの微生物農薬製剤を調製する場合は、結合剤
を配合することが望ましい。結合剤は、農薬粒状組成物
に一般的に用いられるもので、水溶性のものが好まし
く、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム
塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、
グアシードガム、ショ糖、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール等を挙げることができる。これらの結
合剤の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常
0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.1重量部〜
5重量部である。
【0024】さらに、結合剤を配合する場合には、水へ
の分散を良好にするために、界面活性剤を用いることが
できる。界面活性剤としては、例えばポリエチレングリ
コール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエー
テル、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル、ソ
ルビタンモノアルキレート等のノニオン性界面活性剤、
アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸
塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及
びその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸
エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキ
ルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレ
ンアリルフェニルエーテル燐酸塩、ポリカルボン酸型高
分子活性剤等のアニオン性界面活性剤等を挙げることが
できる。これらの界面活性剤は単独であるいは2種類以
上を混合して用いることができる。界面活性剤の配合割
合は、組成物100重量部に対して、通常0.1重量部
〜30重量部、好ましくは0.5重量部〜20重量部、
更に好ましくは2重量部〜10重量部とすることができ
る。
【0025】以上説明した本発明の微生物含有組成物中
で、微生物は室温下においても安定にその生存数が保持
される。 従って、本発明の微生物含有組成物は、例え
ば微生物農薬として室温で長期間保存し、流通させるこ
とが可能であり、保存流通後においても初期の生菌数を
維持できるものである。また、本発明組成物を利用した
微生物農薬製剤は、化学農薬と同等の使用性を有してお
り、広く一般農家においても取り扱いが簡便にできるも
のである。従って、本発明組成物は、その使用性におい
て現行の化学農薬と同等の微生物農薬用製剤の調製を可
能にするものである。
【0026】さらに本発明においては、微生物と混合す
る前段階の層−リボン構造の粘土鉱物を、微生物用保存
剤として利用することも可能である。この微生物用保存
剤は、微生物を混合していない点を除き、前記微生物含
有組成物と同様に粒状、粉末状、懸濁状、顆粒状等の剤
型とすることができ、また、予め増量剤、結合剤、界面
活性剤その他の任意成分を配合して調製することが可能
である。
【0027】
【実施例】以下本発明の実施例について説明するが、本
発明はこれら実施例によって何ら制約されるものではな
い。なお、実施例では、財団法人発酵研究所保存菌株で
標準菌株であるトリコデルマ シュードコニンギー(Tri
choderma pseudokoningii)IFO-30903株、トリコデルマ
ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)IFO
-4847株、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)IF
O-31137株、アスペルギルス オリゼ(Aspergillus oryza
e)IFO-5375株、バシルス ズブチリス(Bacillus subtili
s)IFO-3134株、アスペルギルス ジャポニカス(Aspergil
lus japonicus) JV-23株を試験菌として用いた。
【0028】実施例1 ポテト−デキストロース寒天培地(ディフコ社製)を滅
菌後、20mlを9cmシャーレに分注した。このポテ
ト−デキストロース寒天培地の入ったシャーレに、トリ
コデルマ シュードコニンギー IFO-30903株を接種し、
27℃で10〜14日間培養し、胞子を形成させた。
培養後のシャーレに滅菌水10mlを加え、滅菌した筆
で表面を掃いて胞子を遊離させ、ガーゼでろ過後、濾液
を集めた。この操作を2回実施し、2回分の濾液を合わ
せて胞子懸濁液とした。次に、10gのアタパルジャイ
トに、この胞子懸濁液10mlを添加して混合し、室温
(27℃)で1夜乾燥した後、破砕し、本発明組成物1
を得た。
【0029】微生物としてトリコデルマ ロンジブラキ
アタムIFO-4847株を用いる以外は上記と同様にして本発
明組成物2を得た。同様に、トリコデルマ ビリデIFO-3
1137株を用いて本発明組成物3を、アスペルギルス オ
リゼIFO-5375株を用いて本発明組成物4を、アスペルギ
ルス ジャポニカスJV-23株を用いて本発明組成物5をそ
れぞれ得た。
【0030】実施例2 普通寒天培地を分注した9cmシャーレにバシルス ズ
ブチリス IFO-3134株を植菌し、37℃で5日間培養し
て、内生胞子を形成させた。このように培養したもの
に、滅菌水10mlを加え、滅菌した筆で培地表面を掃
いて芽胞を集めた。この操作を2回繰り返し、懸濁液を
合わせた後、10gのアタパルジャイトにこの懸濁液1
0mlを添加して混合し、室温(27℃)で1夜乾燥し
た。乾燥後、粒径を細かくするために破砕し、本発明組
成物6を得た。
【0031】実施例3 ポテト−デキストロース寒天培地(ディフコ社製)を滅
菌後、20mlを9cmシャーレに分注した。このポテ
ト−デキストロース寒天培地の入ったシャーレに、トリ
コデルマ シュードコニンギー IFO-30903株を接種し、
27℃で10〜14日間培養し、胞子を形成させた。
培養後のシャーレに滅菌水10mlを加え、滅菌した筆
で表面を掃いて胞子を遊離させ、ガーゼでろ過後、濾液
を集めた。この操作を2回実施し、2回分の濾液を合わ
せて胞子懸濁液とした。次に、10gのセピオライト
に、この胞子懸濁液10mlを添加して混合し、室温
(27℃)で1夜乾燥した後、破砕し、本発明組成物7
を得た。
【0032】微生物としてトリコデルマ ロンジブラキ
アタムIFO-4847株を用いる以外は上記と同様にして本発
明組成物8を得た。同様に、トリコデルマ ビリデIFO-3
1137株を用いて本発明組成物9を、アスペルギルス オ
リゼIFO-5375株を用いて本発明組成物10を、アスペル
ギルス ジャポニカスJV-23株を用いて本発明組成物11
をそれぞれ得た。
【0033】実施例4 普通寒天培地を分注した9cmシャーレにバシルス ズ
ブチリス IFO-3134株を植菌し、37℃で5日間培養し
て、内生胞子を形成させた。このように培養したもの
に、滅菌水10mlを加え、滅菌した筆で培地表面を掃
いて芽胞を集めた。この操作を2回繰り返し、懸濁液を
合わせた後、10gのセピオライトにこの懸濁液10m
lを添加して混合し、室温(27℃)で1夜乾燥した。
乾燥後、粒径を細かくするために破砕し、本発明組成物
12を得た。
【0034】試験例1 各菌株の保存性試験:実施例1および2で調製した本発
明組成物1〜6を室温(27℃)に放置し、調製直後、
30日経過後および90日経過後に生存している菌数を
希釈平板法にて調査した。図1に示すように、いずれの
菌株も安定に保存されていた。本結果より、アタパルジ
ャイトと胞子を混合することにより、安定に保存できる
ことが明らかである。
【0035】試験例2 各菌株の保存性試験:実施例3および4で調製した本発
明組成物7〜12を室温(27℃)に放置し、調製直
後、30日経過後および90日経過後に生存している菌
数を希釈平板法にて調査した。図2に示すように、いず
れの菌株も安定に保存されていた。本結果より、セピオ
ライトと胞子を混合することにより、安定に保存できる
ことが明らかである。
【0036】
【作用】本発明の微生物保存用組成物によって、微生物
の胞子あるいは芽胞状菌体が安定に保存できる理由は未
だ明らかではないが、層−リボン構造を有する粘土鉱物
の特徴として、鉱物粒子の内面に水分子を持つこと、表
面積が大きいこと、結合水を持つことなどが挙げられ、
このような特徴的構造により、微生物の胞子あるいは芽
胞状菌体からの水分の蒸散が抑制され、微生物が安定に
保存されるものと推定される。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、微生物を、胞子あるい
は芽胞状菌体の状態で大量に室温で長期間保存すること
が可能である。また、本発明を利用して、使用性および
流通性に優れた微生物農薬の製剤化が可能である。よっ
て、本発明は、特に農業および園芸分野において、極め
て有効に用いることができるものである。また、本発明
は広範囲の微生物を対象とすることが可能であり、工業
的にも安価に実施できるため、食品産業や医薬品産業等
の分野においても利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微生物保存用組成物における微生物
の保存性を、経時的なグラフにより示した図面。
【図2】 本発明の微生物保存用組成物における微生物
の保存性を、経時的なグラフにより示した図面。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 1/20 C12N 1/20 B E //(C12N 1/14 C12R 1:69) (C12N 1/14 C12R 1:66) (C12N 1/16 C12R 1:885) (C12N 1/20 C12R 1:125)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物の胞子もしくは芽胞状菌体と層−
    リボン構造を有する粘土鉱物とを含有する微生物含有組
    成物。
  2. 【請求項2】 微生物が糸状菌、細菌、酵母または放線
    菌である請求項1記載の微生物含有組成物。
  3. 【請求項3】 微生物が人工培地で培養可能な微生物で
    ある請求項2記載の微生物含有組成物。
  4. 【請求項4】 微生物がトリコデルマ(Trichoderma)属
    糸状菌、アスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌、ペニ
    シリウム(Penicillium)属糸状菌、アルタナリア(Altern
    aria)属糸状菌、ヘルミンソスポリウム(Hemilinthospor
    ium)属糸状菌、カエトミニウム(Chaetomium)属糸状菌、
    リゾクトニア(Rhizoctonia)属糸状菌、ボウベリア(Beau
    veria)属糸状菌、メタリジウム(Metarhizium)属糸状
    菌、バーチシリウム(Verticillium)属糸状菌、バシルス
    (Bacillus)属細菌、サッカロミセス(Saccharomyces)属
    酵母およびストレプトミセス(Streptomyces)属放線菌か
    らなる群より選ばれるものである請求項1記載の微生物
    含有組成物。
  5. 【請求項5】 層−リボン構造を有する粘土鉱物がセピ
    オライト、アタパルジャイトまたはパリゴルスカイトで
    ある請求項1ないし4のいずれかの項記載の微生物含有
    組成物。
  6. 【請求項6】 微生物農薬である、請求項1ないし5の
    いずれかの項記載の微生物含有組成物。
  7. 【請求項7】 微生物の胞子もしくは芽胞状菌体を層−
    リボン構造を有する粘土鉱物と混合することを特徴とす
    る微生物含有組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 微生物の胞子もしくは芽胞状菌体と層−
    リボン構造を有する粘土鉱物とを混合することを特徴と
    する微生物の保存方法。
  9. 【請求項9】 層−リボン構造を有する粘土鉱物を有効
    成分として含有する微生物用保存剤。
  10. 【請求項10】 層−リボン構造を有する粘土鉱物がセ
    ピオライト、アタパルジャイトまたはパリゴルスカイト
    である請求項9記載の微生物用保存剤。
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