JPH11135297A - プラズマ発生器 - Google Patents

プラズマ発生器

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JPH11135297A
JPH11135297A JP9301305A JP30130597A JPH11135297A JP H11135297 A JPH11135297 A JP H11135297A JP 9301305 A JP9301305 A JP 9301305A JP 30130597 A JP30130597 A JP 30130597A JP H11135297 A JPH11135297 A JP H11135297A
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plasma
region
coil
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generator according
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Hiroko Kono
宏子 河野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 プラズマ発生領域からプラズマ処理領域へプ
ラズマ種を効率よく移送し、しかもガスのプラズマ発生
領域への逆送を防止するプラズマ発生器を提供する。 【解決手段】 プラズマ発生器は真空チャンバ内にプラ
ズマ発生領域10、プラズマ処理領域12及びプラズマ
移送領域14が画成されている。プラズマ発生領域で発
生したプラズマをプラズマ処理領域に導くためのガス経
路として確保されたプラズマ移送領域14は、プラズマ
発生領域とプラズマ処理領域間を結合する複数の互いに
分離された部分移送領域34であり、それは直線的に延
在する円筒形状隔壁である管状部材36で構成される。
また各部分移送領域の内部に磁場を形成するため、管状
部材の外壁周囲に設けられたコイルから成るプラズマ移
送コイル38を備えている。これらのコイルによりプラ
ズマ移送領域内に形成された磁場が、プラズマ発生領域
からプラズマ処理領域へとプラズマ種を移送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高精細な半導体
素子や液晶用駆動素子等の製造に用いて好適なプラズマ
発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子を製造する際の微細回路パタ
ンの形成に当たり、CVD、エッチング、アッシング等
のプラズマプロセス処理が多用される。例えば、この処
理を実現する代表的な装置として、平行平板型プラズマ
発生器がある。また、磁場による電子のサイクロイド運
動を利用するMRIE(マグネトロンリアクティブイオ
ンエッチャー)、平面型コイルを用いた誘導結合型プラ
ズマ(TCP:トランスファーカップルドプラズマ)発
生器(文献1「特開平3−79025」)、ECR(電
子サイクロトロン共鳴)プラズマ発生器(文献2「特開
平4−290428」)、ICP(インダクティブカッ
プルドプラズマ)、およびSWP(サーフウエーブプラ
ズマ)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
各プラズマ発生器には以下に記載される種々の問題があ
る。以下、各プラズマ発生器につき、順次に説明する。
【0004】先ず、平行平板型プラズマ発生器では、対
向する電極間に高周波の交流電界を印加することでプラ
ズマを発生させる。しかし、半導体素子の回路パタンが
微細化されるに従いプロセス処理圧力を低く(すなわち
処理室内の真空度を高く)しなければならないので、高
密度プラズマを形成することが困難になってきている。
【0005】この対策として、プラズマに磁界を加える
ことでプラズマ密度の改善を図るMRIEが開発され
た。このMRIEでは、磁場による電子のサイクロトロ
ン運動を利用して、電子を磁場で拘束する。このように
して、電子の拡散を抑える。この結果、ほぼ平行平板型
プラズマ発生器と同形態でありながら、プラズマ密度を
高めることが可能となる。
【0006】しかし、このMRIEでは、さらにプラズ
マ密度を高めようとして磁場を強くし過ぎると、プラズ
マ密度の片寄りが大きくなり、大きなプラズマ電位差が
発生してしまう。すると、半導体素子等の基板である被
処理表面上の各位置で電位に差が生じてしまう。このた
め、半導体素子等の一部が絶縁破壊し、生産歩留りを大
幅に引き下げてしまう。
【0007】一方、文献1に開示されているTCPは、
外部磁界を用いずにプラズマ密度を向上させる方式であ
る。このプラズマ発生器で得られる高密度プラズマ(H
DP)は、イオンが大量に引き出せ、しかも、カソード
部に発生するシース電圧を低くすることができるので、
被処理物にダメージを与えにくいという利点がある。
【0008】しかし、文献1に開示の技術の場合、従来
の平行平板型プラズマ発生器とは異なり、被処理物のプ
ロセス処理に重要な働きをするもう一つの機能が備わっ
ていない。すなわち、被処理物とプロセスガスとの反応
を促進させるためのイオンエネルギをプラズマに与えに
くいという第1の欠点がある。高密度プラズマでは、外
部からバイアス電位をかけることにより、イオン電流を
増やすことができる。しかし、イオン電流は増えるが、
イオン一個一個の持つエネルギは大きくならないのであ
る。つまり、外部バイアスパワーは、イオンの数を増や
すことに消費されてしまい、イオンの加速にはあまり役
立たない。
【0009】さらに、以下のような第2の欠点がある。
TCPのプラズマ発生メカニズムによれば、プラズマ内
に外部コイル電流により生じた誘導電流がコイル電流自
身の発する磁界に拘束され、スキンデプスと呼ばれる厚
さ(約2cm)の領域内に閉じ込められる。このため、
高密度の電流の流れが形成される。この高密度電流は、
プラズマをオーミック加熱して、多量の熱電子を生み出
す。また、この熱電子は、周囲のガスを電離して高密度
プラズマを生み出す。この加熱された電子のエネルギ分
布を図9に示す。
【0010】図9は、電子のエネルギ分布を示すグラフ
である。グラフの横軸に電子エネルギを[eV]単位で
取り、グラフの縦軸に電子密度f(eV)を[1/単位
体積]単位で取って示す。加熱された電子のエネルギ分
布は、図中の曲線aで示される。図中の曲線bはさらに
平均電子温度が大きい場合のエネルギ分布であって、比
較参考例として挙げてある。曲線aおよびbで示すエネ
ルギ分布は通常のマックスエル分布である。一般に、曲
線aで示す電子密度は、1012〜1013[1/cm3
以上となり、従来の平行平板型プラズマ発生器における
電子密度に比べて3〜4桁大きい。
【0011】曲線aにおいて、エネルギE0が平均電子
温度に相当する。また、平均電子温度E0よりも高いエ
ネルギE1と、さらにこのエネルギE1よりも高いエネ
ルギE2との間がラジカル形成領域(このエネルギ領域
に属する電子によりラジカルが形成される。)に相当す
る。例えば、プロセスガスがAr(アルゴン)の場合に
は、エネルギE2がArの電離エネルギに相当する。
【0012】従って、プロセスガス中の電離エネルギ以
上のエネルギを持つ電子はガスの電離に寄与し、それよ
り少し小さなエネルギを持つ電子はラジカルを形成す
る。図9に示すように、高密度のプラズマを作るための
電子を得るということは、同時に、それよりも大量のラ
ジカルを作るための電子を発生させるということであ
る。ゆえに、イオンを増やすためにコイルの電流を増や
すと、電離エネルギ以上の電子は増えるが、その増加分
よりも遥かに多くの「ラジカルを作るための電子」も生
み出してしまう。
【0013】特に、このラジカルは、元々不安定なもの
である。ラジカルは、このラジカル形成のためのエネル
ギよりも小さなエネルギを持つ電子と衝突して、容易に
分解(この現象をクラッキングと呼ぶ。)または重合し
てしまう。このクラッキングあるいは重合現象のため
に、プロセス処理時に必要なエッチャントまたはプレカ
ーサが分解または重合して減少するだけでなく、プロセ
ス処理を妨げる物質に変化してしまう。従って、半導体
素子処理時の最適条件から大幅にずれが生じ、プロセス
不安定のために歩留り低下が起きる。
【0014】これに対して、高磁場を用いた高密度プラ
ズマ発生器であるECRでは、プラズマ発生領域(高密
度プラズマを発生させる領域)とプラズマ処理領域(形
成されたイオンとラジカルとを用いて被処理物のプロセ
ス処理を行う領域)とが空間的に分離されている。そし
て、強力な磁力下で高密度プラズマを発生させ、プラズ
マ発生領域で発生させたプラズマを、その磁力線に沿っ
てプラズマ処理領域に輸送する。このタイプのプラズマ
発生器では、磁場の均一性がプラズマの均一性を決める
ため、大口径で均一なプラズマが得られにくいという欠
点がある。
【0015】さらに、このECRは、動作時のガス圧力
を0.1Pa(パスカル)よりも十分小さくしなけれ
ば、プラズマ発生効率が良くならない。また、被加工物
の大きさに対応する均一なプラズマ分布が得られないの
で、下記のプロセス処理条件と相いれないという問題が
ある。すなわち、一般に、エッチングのプロセス処理性
能が良いと期待されるガス圧力範囲は、これより1桁か
ら2桁高い1〜10Paの圧力である。CVDでは、こ
れよりもさらに高い圧力領域でプロセス処理性能が良く
なる。元来、プラズマ処理プロセスとは、プラズマで励
起されたプロセスガスの化学的励起物質(ラジカルまた
はプレカーサ)を被処理物の表面に付着させ、その付着
物がプラズマ中のイオンで叩かれてエネルギを得て、被
処理物と反応して成膜させたり、エッチングさせたりす
る現象である。よって、CVDでは、エッチングではな
く、堆積が起こるのである。
【0016】ゆえに、プラズマプロセス処理では、被処
理物の表面上に飛来するラジカルとイオンとの密度の比
率を最適に制御できるかどうかということが、プロセス
効率改善の重要な鍵となる。例えば、エッチング処理に
ついて、図10を参照して説明する。図10は、ラジカ
ル密度とイオン密度との比(ラジカル密度/イオン密
度)に対するエッチングレート(エッチング速度)の変
化を示すグラフである。横軸にラジカル密度とイオン密
度との比を任意単位で取り、縦軸にエッチングレートを
任意単位で取って示す。図中の曲線aにより、エッチン
グレートの振る舞いが示される。曲線aによれば、ラジ
カル密度とイオン密度との比が小さ過ぎても大き過ぎて
もエッチングレートは小さくなる。エッチングレート
は、適当なラジカル密度とイオン密度との比のところで
最大となる。図中に示すb領域が最適領域である。
【0017】尚、図10には、従来の各タイプのプラズ
マ発生器の動作領域を示してある。ECRおよびTCP
では、ラジカル密度とイオン密度との比が比較的低いと
ころ(それぞれc領域およびd領域)になる。また、M
ERIおよび平行平板型プラズマ発生器では、ラジカル
密度とイオン密度との比が比較的高いところ(それぞれ
e領域およびf領域)になる。上述の最適領域bはd領
域とe領域との間に位置しており、このb領域で最もエ
ッチングレートが高くなる。この最適領域bに最も近い
ものは、動作領域がd領域に属するTCPである(d領
域が上述した高密度プラズマ(HDP)に相当してい
る。)。次に、TCPの問題点につき、さらに詳細に説
明する。
【0018】上述したように、TCPでは、コイルに流
す電流によりプラズマ内に誘導電流が誘起される。この
誘導電流はスキンデプスの範囲内に拘束される。この誘
導電流によりプラズマが抵抗加熱(オーミックヒーティ
ング)されて、高密度プラズマが形成される。このオー
ミックヒーティングされたプラズマ中の電子の密度分布
は、電子エネルギに対してマックスエル分布となる(図
9参照)。この電子のうち、周辺ガスの電離エネルギ以
上の高速電子が高密度プラズマを発生させる。
【0019】また、イオン化に役立たない低速電子は、
プロセスガスを分解し、プロセス処理に役立つラジカル
およびプレカーサを形成する。しかし、この低速電子が
多過ぎると、ラジカルおよびプレカーサを再び分解(ク
ラッキング)または重合して、プロセス処理に役立たな
いラジカルおよびプレカーサ、あるいはプロセス処理を
阻害するラジカルおよびプレカーサを多数発生させてし
まう。
【0020】この原因は、イオンとラジカル(あるいは
プレカーサ)との形成が一の手段で生み出される電子に
より作り出されるため、イオンとラジカルとの生成条件
が両立する最適なプロセス条件がなかなか実現できない
ためである。イオンとラジカル(あるいはプレカーサ)
とが独立に制御できれば、最適なエッチング(あるいは
成膜)が行える。尚、ICPも、コイルの形は異なる
が、TCPとほぼ同じ動作である。
【0021】次に、ECRタイプにつき説明する。EC
Rでは、形成されるプラズマ内の電子が磁場で決まる回
転周波数で運動する。この回転周波数と同一の周波数の
マイクロ波を外部から供給すると、共鳴を起こして周囲
のガスを電離して、高密度プラズマを生み出す。一般的
に、この共鳴ガス圧力条件は非常に低いので、プロセス
ガスの平均自由行程は長くなり、プロセスチャンバ内の
ガスは自由に飛び回る。このため、TCPと同様に、プ
ロセスガスの分解または重合はこの共鳴領域をプロセス
ガスが通り過ぎる度に起こり、その結果、プロセス処理
を阻害する物質を多数発生させてしまう。元々、ECR
は動作圧力が非常に低いのでプロセスガスの量は少なく
て済む。従って、TCPやICPに比べて阻害物質の発
生は少なくできるが、発生確率という点では問題が残
る。
【0022】以上の例と全く異なるプラズマ発生源であ
るSWPは、磁場を用いず圧力領域も上述の最適領域で
動作するという点で問題がない。しかし、イオンの形成
とラジカルの形成とが同一手段で行われるため、やはり
エッチングに最適なイオンおよびラジカル比を実現でき
ない。
【0023】いずれにしても、これら従来タイプのプラ
ズマ発生器は、プラズマプロセス処理に最適と考えられ
る圧力領域では、プロセスガスの平均自由行程が比較的
長い。従って、プラズマプロセス処理領域が離れたとこ
ろにあったとしても、プロセスガスがプラズマ発生領域
にまで飛んで行き、クラッキングまたは重合を繰り返し
起こして、多くのプロセス処理阻害物質を生み出してし
まう。このように、プロセスガスがプラズマ発生領域を
通過するたびにガス分解あるいは重合を急速に起こすた
め、プロセス処理阻害物質の発生が抑えられず、最適な
プロセス条件が実現されない。
【0024】従って、プラズマ発生領域とプラズマ処理
領域との間を分離する必要がある。例えば、プラズマ発
生領域とプラズマ処理領域との間に、プロセスガスの移
送を阻止するバッフル板等を用いるのも一つの方法であ
る。これにより、高密度プラズマ発生領域とプラズマ処
理領域とを分離することができる。しかし、この方法に
よれば、プロセスガスの発生領域への拡散を減らすこと
ができるが、プラズマ発生領域からプラズマ処理領域へ
のプラズマ輸送量が急速に減ってしまう。従って、プラ
ズマ処理領域のプラズマ密度が大幅に低減し、イオンお
よびラジカル比の適正化効果が現れない。
【0025】従来、この課題を解決する例として、EC
Rのようなプラズマ発生用磁場内にバッフル板を設置し
たものがある。この場合、プラズマ発生領域から被処理
物の位置まで、磁力線がほとんど発散しない磁場により
プラズマの移送がなされる。しかし、バッフル板の孔を
通過したプラズマは発散しないので、孔の形状が維持さ
れたまま被処理物表面上までプラズマが輸送される。こ
のため、バッフル板のパタンが被処理物に転写される形
になり、均一なプロセス処理結果が得られない。
【0026】以上説明したように、プラズマのプラズマ
処理領域への効率の良い移送と、プラズマ処理領域から
プラズマ発生領域へのプロセスガスの流入阻止が可能な
プラズマ移送路の構造とを工夫することが課題となる。
しかも、プラズマ処理領域では高いプラズマ密度を維持
し、かつ、イオンとラジカルとの最適比率が任意に設定
できる機構でなければならない。
【0027】従って、従来より、プラズマ発生領域から
プラズマ処理領域へのプラズマ種の移送を効率良く行
い、しかも、プロセスガスのプラズマ発生領域への逆送
を防止するプラズマ発生器の出現が望まれていた。
【0028】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述の課題
を解決するためになされたものであり、プラズマ処理領
域でのイオン密度の制御性、高密度プラズマの均一性、
およびイオンとラジカルとの成分比率の最適化を実現す
るものである。また、プラズマガスがプラズマ処理領域
からプラズマ発生領域へ逆送されることを防止して、プ
ロセス処理に最適なプラズマを形成するプラズマ発生器
を提供する。
【0029】そこで、この発明のプラズマ発生器によれ
ば、プラズマ発生領域でプラズマを生成し、このプラズ
マをプラズマ移送領域を経てプラズマ処理領域に導き、
所定のプラズマ処理を行うプラズマ発生器であって、プ
ラズマ移送領域は、プラズマ発生領域とプラズマ処理領
域との間を連通する複数の互いに分離された部分移送領
域として画成してあり、各部分移送領域の内部に磁場を
形成するための磁気回路を具えていることを特徴とす
る。
【0030】このように、プラズマ発生領域とプラズマ
処理領域とをプラズマ移送領域すなわち複数の部分移送
領域により結合する。従って、プラズマ発生領域で発生
したプラズマは、プラズマ処理領域へ輸送されるに当た
り、部分移送領域の各々を通過する。各部分移送領域内
には磁気回路により磁場が形成されており、この磁場が
プラズマの輸送に寄与する。そして、部分移送領域のサ
イズを適当に設計すれば、例えば、エネルギの比較的高
いプラズマ(電子)をプラズマ処理領域へと輸送し、エ
ネルギの比較的低い電子はプラズマ処理領域へ輸送しな
いようにすることさえできる。このようにできるのは、
いわゆるミラー効果(あるいはピンチ効果)による。よ
って、磁気回路により発生させる磁場の強さ、および部
分移送領域のサイズの設定により、プラズマ処理領域へ
輸送させる電子をそのエネルギに応じて選択することが
できる。従って、プラズマ処理に有用なラジカルを形成
する電子が主としてプラズマ処理領域に導かれるように
し、プラズマ処理を阻害するラジカルを形成する電子は
プラズマ処理領域に輸送されないようにすることができ
る。
【0031】また、プラズマ発生領域とプラズマ処理領
域とが複数の部分移送領域により結合されるという構成
であるから、プラズマ発生領域およびプラズマ処理領域
の各有効断面積に比べてプラズマ移送領域の有効断面積
は小さくなる。従って、プラズマ処理領域からプラズマ
発生領域へと逆送するプロセスガスの量が小さく抑えら
れる。従って、プラズマ発生領域へのプロセスガスの流
入が少なくできるので、プラズマ処理を阻害する物質の
発生が低減される。
【0032】このように、この発明によれば、プラズマ
処理領域におけるイオン密度とラジカル密度との比を最
適化制御することができる。しかも、プラズマ発生領域
では、他の領域に対して独立に、高密度でほぼ均一なプ
ラズマが作られる。
【0033】尚、プラズマ発生領域にプラズマを発生さ
せる手段は、高密度プラズマが実現できるものを用いれ
ば何でもよい(例えば、TCP、ICP、ECR等のプ
ラズマ発生機構を利用してもよい。)。
【0034】この発明のプラズマ発生器において、好ま
しくは、磁気回路により形成される磁場がプラズマ発生
領域およびプラズマ処理領域に漏洩するようにし、かつ
磁場がプラズマ発生領域およびプラズマ処理領域で発散
するようにしてあるのが良い。
【0035】このように構成してあるので、プラズマ移
送領域から湧き出る磁力線は、プラズマ発生領域におい
てラッパ状に広がる分布をなす。従って、プラズマ発生
領域内のプラズマの発生に寄与する電子は、プラズマ移
送領域内にトラップされやくなる。そして、プラズマ発
生領域内のプラズマ(電子)は、磁気回路からプラズマ
発生領域へ湧き出る磁力線にトラップされ、その磁力線
に沿ってプラズマ処理領域へ輸送される。また、この電
子に引き摺られるようにして、プラズマ発生領域内のイ
オンもプラズマ処理領域へと移送される。このように、
プラズマ発生領域内のプラズマが効率良くプラズマ移送
領域に引き込まれる。
【0036】また、プラズマ移送領域からプラズマ処理
領域の側に湧き出る磁力線も同様にラッパ状に広がる分
布をなす。従って、プラズマ移送領域を通過した電子
は、プラズマ処理領域において急速に拡散する。従っ
て、プラズマ処理領域内に設置された被処理物の位置で
プラズマ密度が均一になるようにできる。
【0037】また、この磁気回路により発生する磁場
は、プラズマ移送領域を画成している隔壁にプラズマ
(電子)が接触してしまうことを防止できる。従って、
高効率でプラズマをプラズマ発生領域からプラズマ処理
領域に移送することができる。
【0038】また、この発明のプラズマ発生器の構成例
によれば、磁気回路は、各部分移送領域の周囲に設けら
れた単数または複数のコイルで構成してあるのが好適で
ある。コイルとしては、直流励磁コイルでも交流励磁コ
イルでもどちらでもよい。また、これらを組み合わせて
用いてもよい。例えば、コイルの設置は、ミラー磁場あ
るいはカスプ磁場が形成されるように構成するのが好適
である。上述したイオンおよびラジカル比の制御は、コ
イル電流を制御することにより達成できるので、この
点、コイルは優れている。
【0039】また、コイルの代わりに永久磁石を用いて
も良い。永久磁石を用いると、イオンおよびラジカル比
の制御性は多少低くしてしまうが、永久磁石は経済的に
安いので、その点有利である。尚、例えば、磁気回路の
全てを永久磁石により構成するのではなく、上述したコ
イルと組み合わせて用いてもよい。
【0040】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、部分移送領域は直線的に延在する管状部材の内部領
域であり、この管状部材の外壁を取り巻くように、この
管状部材の延在方向に沿って順次に所定数のコイルを設
けてあるのが良い。
【0041】このようにコイルを設置すると、プラズマ
発生領域からプラズマ処理領域へと磁力線が延在するよ
うな磁場を形成できる。従って、プラズマ発生領域から
プラズマ処理領域へのプラズマの移送に好適である。
【0042】さらに、コイルのコイル径を、プラズマ発
生領域およびプラズマ処理領域の側に近づくに従い、徐
々に大きくしてあるのが良い。このように構成すると、
上述したラッパ状の磁力線分布を実現するのに好適であ
る。
【0043】尚、ラッパ状の磁力線分布を実現するに
は、例えば、コイルのコイル電流を、プラズマ発生領域
およびプラズマ処理領域の側に近づくに従い、徐々に小
さくしても良い。また、コイルの周りに、磁気シールド
としての高透磁率材を設けても実現することができる。
【0044】このとき、高透磁率材としてミューメタル
を用いるのが好適である。ミューメタルとは、パーマロ
イやスーパーパーマロイなどを含む高透磁率材料の総称
である。また、上述の高透磁率材として、鉄やニッケル
やフェライトなどを用いるのも好適である。
【0045】次に、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、管状部材の管径を、この管状部材の一
部からこの管状部材の各端部にわたり、この管状部材の
延在方向に沿って、徐々に大きくしてあるのが良い。
【0046】従って、管状部材は、その延在方向に沿っ
て両端がラッパ状に広がるような形状となる。このよう
に管状部材の形状を工夫すると、プラズマ発生領域との
結合部分におけるプラズマ移送領域の有効断面積を大き
くすることができる。従って、プラズマ発生領域内のプ
ラズマの収集効率をさらに高めることができる。同様
に、プラズマ処理領域に近くなるに従い、管状部材の管
径が大きくなるように構成している。このように構成し
てあるので、プラズマ内の低速電子が磁場発散力により
プラズマ処理領域の側に押し出されやすくなる。
【0047】また、管状部材に設けられたコイルの外側
を取り巻くように、別のコイルを設けて2重コイル構造
とし、これらコイルを個別に駆動制御するように構成す
るのが好適である。
【0048】このように構成すると、次のように動作さ
せることができる。つまり、2重コイル構造を構成する
一方のコイルに流すコイル電流の大きさが、時間的に変
動するように、このコイルの駆動制御を行うことができ
る。この結果、プラズマ処理領域内のプラズマ密度の時
間平均分布を均一化することができる。
【0049】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、各部分移送領域の配置が同心状となる
ようにし、各部分移送領域に設けられたコイルのコイル
電流を、実質的に同一軸状に配置された部分移送領域ご
とに制御するのが良い。例えば、Siウエハのような円
盤形状のものが被処理物であるとき、その円形状に合わ
せて各部分移送領域が同心円状となるように配置し、各
部分移送領域に設けられたコイルのコイル電流は、ほぼ
同一軸状に配置された部分移送領域ごとに制御する。あ
るいは、被処理物が四角形状の場合には、各部分移送領
域の配置が同心状の四角形となるようにする。上述した
ようなプラズマ密度の均一化を図るためには、このよう
な構成が好適である。
【0050】また、隣接する部分移送領域に設けられた
コイルにより形成される磁場の向きが互いに逆向きとな
るように、各コイルのコイル電流を制御するのが良い。
このようにコイル電流の制御を行うと、隣り合ったコイ
ルから発する磁場が互いに相殺して弱められるので、プ
ラズマ処理領域内に設置された被処理物上にまで磁場が
届かなくなる。
【0051】この発明のプラズマ発生器において、好ま
しくは、プラズマの発生および強化に寄与する高周波の
電磁界をプラズマ処理領域に印加するための第1印加回
路と、プラズマの発生および強化に寄与する高周波の電
磁界をプラズマ発生領域に印加するための第2印加回路
とを具えるのが良い。従って、これら第1および第2印
加回路をそれぞれ独立に駆動させることができるので、
プラズマ発生領域におけるプラズマの発生効率と、プラ
ズマ処理領域におけるプラズマ処理能力とを、それぞれ
独立に制御することができる。
【0052】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、プラズマ発生領域にプラズマ発生ガス
を導入する手段を具え、プラズマ処理領域にプロセスガ
スを導入する手段および被処理物を支持する手段を具え
るのが良い。
【0053】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、プラズマ処理領域に高周波の電磁界を
印加するためのアノードおよびカソードを具えており、
プラズマ移送領域との連通のための導入孔が形成された
アノードは、プラズマ移送領域と前記プラズマ処理領域
との間に設けてあり、カソードはプラズマ処理領域に設
けてあるのが良い。
【0054】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、磁気回路を構成するコイルに流す電流
により、所定のプロセス結果を達成するために分布が均
一となるように、プラズマ処理領域内のプラズマを制御
するのが好適である。
【0055】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、導入孔は、磁場の発散に合わせて、プ
ラズマ処理領域の側の開口が広くなるような末広がり形
状としてあるのが良い。つまり、アノードの導入孔は、
ラッパ状となるように構成する。この結果、プラズマの
流れが管壁に妨げられないようになる。
【0056】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、プラズマ発生領域にプロセスガスを導
入する手段を具えるのが良い。アッシング処理の場合に
は、プラズマ発生領域にプラズマガス以外の例えばO2
ガスを混入させる場合があるので、このように構成して
おくと好適である。
【0057】また、この発明のプラズマ発生器におい
て、好ましくは、プラズマ発生領域と各部分移送領域と
の結合部分における当該プラズマ発生領域を囲むチャン
バ壁に、プラズマ移送領域との連通のための移送孔が形
成されており、移送孔は、磁場の発散に合わせて、プラ
ズマ発生領域の側の開口が広くなるような末広がり形状
としてあるのが良い。つまり、移送孔は、ラッパ状とな
るように構成する。この結果、プラズマの流れが管壁に
妨げられないようになる。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、この発明の
実施の形態につき説明する。尚、図は、この発明が理解
できる程度に、構成、大きさおよび配置関係が概略的に
示されているに過ぎない。また、以下に記載する数値や
材料等の条件は単なる一例に過ぎない。従って、この発
明は、この実施の形態に何ら限定されることがない。
【0059】先ず、この実施の形態のプラズマ発生器の
構成につき説明する。この実施の形態のプラズマ発生器
にあっては、真空チャンバ内に各処理を行う領域が画成
されている。図1は、この実施の形態のプラズマ発生器
の構成を示す断面図である。この実施の形態のプラズマ
発生器は、真空チャンバ内にプラズマ発生領域10、プ
ラズマ処理領域12およびプラズマ移送領域14を画成
して具えている。プラズマ発生領域10は、プラズマ
(図中のa領域)を発生させるために確保された領域で
ある。また、プラズマ処理領域12は、プラズマ発生領
域10で生成されたプラズマを用いて所定の被処理物の
処理を行うために確保された領域である。また、プラズ
マ移送領域14は、プラズマ発生領域10で発生したプ
ラズマをプラズマ処理領域12に導くためのガス経路と
して確保されている。この発明では、主として、このプ
ラズマ移送領域14の構成に特色を有している。これら
プラズマ発生領域10、プラズマ移送領域14およびプ
ラズマ処理領域12は、この順序で配列している。プラ
ズマ発生器は、プラズマ発生領域10でプラズマを生成
し、このプラズマをプラズマ移送領域14を経てプラズ
マ処理領域12に導き、所定のプラズマ処理を行う装置
である。
【0060】先ず、上述のプラズマ処理領域12の構成
につき説明する。プラズマ処理領域12は、真空チャン
バに囲まれた一領域であって、この内部に被処理物16
を固定するための支持部材が設けられている。この支持
部材の主な部分は、プラズマ処理領域12内のプラズマ
に電磁界を印加するための金属性のカソード18で構成
されている。このカソード18の上面は絶縁処理されて
おり、その上に被処理物16が設置される。また、カソ
ード18の周囲は、プロテクタ20により固定および保
護がなされている。また、このカソード18を冷却させ
るための手段(不図示)も設けられている。
【0061】そして、プラズマ処理領域12とプラズマ
移送領域14との結合部分に相当するチャンバ壁が、カ
ソード18と対をなすアノード22として設けられてい
る。このアノード22は、電気伝導性のある金属、半導
体あるいは炭素を組成とした素材等により作られた板状
体である。このアノード22は、上述したカソード18
に対向させて設けてあり、これらアノード22およびカ
ソード18間にプラズマ処理領域12が形成される。ア
ノード22とカソード18との間には、第1印加回路と
しての第1高周波電源24およびブロッキングコンデン
サ26が順次に直列に結合されている。この第1高周波
電源24によりアノード22(接地されている。)およ
びカソード18間に電磁界が印加されて、プラズマの発
生および増強が行われる。また、上述のブロッキングコ
ンデンサ26は、DCカットのために設けられているも
のである。このブロッキングコンデンサ26の作用によ
りカソード18は負電位となり、プラズマ移送領域14
から送られる電子を加速させる。
【0062】尚、上述の第1高周波電源24は、出力パ
ワーが可変のものを用いている。一般に、この第1高周
波電源24により発生させる高周波電磁界は、プラズマ
処理領域12で被処理物のプロセス処理に最適なラジカ
ルを多く発生させる周波数とする。しかしながら、被処
理物のチャージアップ破壊が起こらないようにしなけれ
ばならない。従って、100kHzから2MHzの範囲
の周波数に設定するのが好適である。
【0063】また、アノード22の、プラズマ移送領域
14との結合部分に複数の穴が導入孔27として窄孔さ
れているとともに、プラズマ処理領域12の側に開口部
分を有する複数のプロセス用ガス供給孔28が形成され
ている。このガス供給孔28の開口部分の位置や口径等
は、被処理物のプロセス処理条件、プロセスチャンバ形
状およびプロセスチャンバ排気ポンプの特性に応じて決
定すればよい。上述の導入孔27は、プラズマ移送領域
14との空間的な連結を図るために形成された穴であ
る。
【0064】次に、プラズマ発生領域10につき説明す
る。このプラズマ発生領域10には、従来の高密度プラ
ズマ発生機構が適用されている。このプラズマ発生領域
10は、プラズマ発生チャンバ52と、プラズマ発生チ
ャンバ52の上部を覆うチャンバ蓋40とにより囲まれ
ている。そして、このプラズマ発生領域10には、プラ
ズマ移送領域14が隣接して結合される。プラズマ発生
領域10とプラズマ移送領域14との結合部分における
チャンバ壁には、プラズマ移送領域14と空間的に連続
的に結合させるための窄孔(移送孔32)と、プラズマ
発生用ガス(主としてArガスが用いられる。)導入孔
30とが形成されている。プラズマ発生用ガス導入孔3
0は、プラズマ発生領域10のプラズマ移送領域14と
は反対側に位置する絶縁物のチャンバ蓋40の部分に形
成されている。それ以外は、アルマイト処理されたアル
ミニウム材料で閉じられたプラズマ発生チャンバ52と
してなる。プラズマ発生用ガス導入孔30の数や配置や
口径は、チャンバ内のガスが均等に各移送孔32に分配
されて排出されるように設計する。
【0065】また、上述のチャンバ蓋40の上部(真空
チャンバの外部)にはプラズマ発生コイル42が設けら
れている。このプラズマ発生コイル42は、チャンバ蓋
40の上部にうず巻き形状(すなわち螺線形状)の平面
パタンをなすように延在している(尚、図1には、コイ
ル42の断面だけを示してあり、平面形状などの図示は
省略してある。)。そして、コイル42の各端部間に第
2印加回路としての第2高周波電源44が接続されてい
る。この第2高周波電源44によりコイル42に電力が
供給される。そして、このコイル42により形成される
磁場がプラズマ発生用ガスを励起し、プラズマ発生領域
10内にプラズマを発生させる。
【0066】尚、上述の第2高周波電源44は、第1高
周波電源24と同様に出力が可変である。また、この第
2高周波電源44により発生させる高周波電磁界の周波
数は、例えば500kHzから13MHzの範囲の値に
設定するのが好適である。高密度プラズマを発生させる
ための高速電子を大量に、しかもプラズマ発生領域10
内で密度が均一となるように発生させるには、このよう
な低周波の電磁界を供給できるものが好ましい。
【0067】次に、プラズマ移送領域14につき説明す
る。プラズマ移送領域14は、プラズマ発生領域10と
プラズマ処理領域12とを互いに結合して、プラズマの
移送を行うための領域である。このプラズマ移送領域1
4は、プラズマ発生領域10とプラズマ処理領域12と
の間を連通する複数の互いに分離された部分移送領域3
4として画成されている。この構成例では、各部分移送
領域34を、管状部材36をもって実現している。管状
部材36は、直線的に延在する円筒形状の隔壁であっ
て、表面がアルマイト処理されたアルミニウムやセラミ
ックス等の絶縁体材料により形成されている。尚、管状
部材36の両端はやや広がった幅広構造をなしており、
プラズマ発生領域10やプラズマ処理領域12との結合
に好適な構造としてある。そして、この管状部材36の
内部領域が上述の部分移送領域34となる。
【0068】よって、この構成例では、プラズマ処理領
域12のアノード22に形成された導入孔27と、プラ
ズマ発生領域10に形成された移送孔32との配置が同
一となるように構成してある。そして、直線的な管状部
材36により各孔間を結合し、プラズマ発生領域10お
よびプラズマ処理領域12間を空間的に結合させる。
【0069】尚、プラズマ発生領域10、プラズマ処理
領域12およびプラズマ移送領域14をそれぞれ個別の
真空チャンバにより形成し、これらを互いに結合させる
ことによりプラズマ発生器を構成してもよい。しかし、
この場合には、結合部分の増加すなわちOリング(真空
封止箇所)の増加による真空度の低下が問題となる。従
って、好ましくは、これらプラズマ発生領域10、プラ
ズマ移送領域14およびプラズマ処理領域12を一体構
造の真空チャンバとして構成するのがよい。あるいは、
プラズマ発生領域10を構成する真空チャンバの部分と
各管状部材36とを一体化形成した構造としてもよい。
【0070】また、各部分移送領域34の内部に磁場を
形成するための磁気回路としてプラズマ移送コイル38
を具えている。このプラズマ移送コイル38は、各部分
移送領域34の周囲すなわち管状部材36の外壁周囲に
設けられた単数または複数のコイルにより構成される。
この例では、3つのコイルを、管状部材36の延在する
方向に沿って順次に配列させてある。これらコイルによ
り、プラズマ移送領域14内に磁場が形成され、この磁
場がプラズマ発生領域10からプラズマ処理領域12へ
とプラズマ(プラズマ種)を輸送する。
【0071】<プラズマ移送領域の第1構成>次に、プ
ラズマ移送領域14の構成、特に、管状部材36の形状
および磁気回路の配置につき主として説明する。図2
は、部分移送領域34の周辺の構成を拡大して示す要部
断面図である。図示の通り、管状部材36の一端にはプ
ラズマ発生チャンバ52が結合されており、管状部材3
6の他端はプラズマ処理領域12を囲むアノード22に
結合されている。そして、管状部材36の内部領域すな
わち部分移送領域34とプラズマ発生領域10との間、
およびこの部分移送領域34とプラズマ処理領域12と
の間が空間的に連続的になるように構成してある。各々
の結合部分には、Oリング54が使用されていて真空度
の低下を防止する構造となっている。
【0072】また、管状部材36の周囲にプラズマ移送
コイル38が設けられている。上述したように、プラズ
マ移送コイル38は3つのコイルで構成されている。こ
の構成例では、プラズマ移送コイル38が第1コイル4
6、第2コイル48および第3コイル50により構成さ
れる。これら第1コイル46、第2コイル48および第
3コイル50は、プラズマ発生領域10の側からこの順
序で、管状部材36の延在方向に沿って順次に配列して
いる。そして、各コイル46、48、50が独立に駆動
できるようになっている。このように構成してあるの
で、第1コイル46はプラズマトラップ用、第2コイル
48はプラズマ移送用、第3コイル50はプラズマ拡散
用として、それぞれ機能的に分けて用いることができ
る。
【0073】そして、この実施の形態では、磁気回路に
より形成される磁場がプラズマ発生領域10およびプラ
ズマ処理領域12に漏洩するようにし、かつこの磁場が
プラズマ発生領域10およびプラズマ処理領域12で発
散するように構成する。図2に破線aで示すように、磁
力線は管状部材36の内部領域すなわち部分移送領域3
4を管状部材36の延在方向に沿って直線的に透過す
る。そして、部分移送領域34とプラズマ発生領域10
との結合部分付近において、磁力線はラッパ状に広がっ
ている。つまり、部分移送領域34から湧き出る磁力線
がプラズマ発生領域10において発散する。また、部分
移送領域34とプラズマ処理領域12との結合部分にお
いても同様で、この部分で磁力線はラッパ状に広がるよ
うにしてある。従って、部分移送領域34から湧き出る
磁力線はプラズマ処理領域12において発散する。この
ような磁場は、各コイルに流すコイル電流の設定等によ
り実現できる。
【0074】このように、部分移送領域34内に形成さ
れる磁場は、プラズマ発生領域10内のプラズマが効率
良くプラズマ移送領域14内に引き込まれるように、プ
ラズマ移送領域14の上端付近において磁力線がラッパ
状に広がる分布をなしている。この磁場中にトラップさ
れたプラズマは、プラズマ移送領域14内に導かれる。
このとき、チャンバ壁や管状部材の壁によりプラズマの
流れが遮られないようにするため、管状部材36の開口
の形状が少しラッパ状に広がるようにしてある。同様
に、この管状部材36の開口部と結合するプラズマ発生
チャンバ52に形成された移送孔32も、プラズマ発生
領域10の側でその口径が広がるようなラッパ形状とし
てある。
【0075】プラズマ移送領域14を通過したプラズマ
は、プラズマ処理領域12の位置で磁力線に沿って拡散
する。この結果、被処理物上の位置でプラズマ密度が均
一となるようにすることができる。従って、上端部の構
造と同様に、プラズマの流れが壁材により遮られないよ
うにするために、管状部材36の下端の口径をラッパ状
に広げてある。同様に、この管状部材36の下端に接続
されるアノード22に形成された導入孔27の口径も連
続的なラッパ状となるように、つまり開口が末広がり形
状となるように、広げてある。このように構成してある
ので、プラズマが壁部分に衝突して消滅してしまうこと
を防止できる(プラズマに含まれるイオンおよびラジカ
ルは、エネルギ的に高い状態であるから、壁に衝突する
とそのエネルギが壁に取られてエネルギを失い、イオン
やラジカルではなくなってしまう。)。従って、プラズ
マ発生領域10からプラズマ処理領域12へのプラズマ
の輸送を高効率で行うことができる。
【0076】また、この構成例の磁気回路すなわちプラ
ズマ移送コイル38の周囲には、高透磁率材56を設け
てある。この構成例では、高透磁率材56として円筒形
状のミューメタル(パーマロイやスーパーパーマロイ)
材を用いている。このミューメタル材は、プラズマ移送
コイル38および管状部材36を覆うように設けられて
いる。このミューメタル材が磁気シールドとして機能す
るので、磁力線の不要な部分への拡散を防止することが
できる。また、このミューメタル材により磁力線の様相
を変化させることができる。例えば、上述したように、
磁力線をラッパ状に発散させるには、その発散する部分
で磁力線の密度を減少させればよい。従って、図2に示
すように、コイル38の周囲を高透磁率材56で覆うこ
とにより、磁力線の密度を減少させ、磁力線が発散する
ようになすことができる。
【0077】尚、高透磁率材56は、必ずしも円筒形状
のものを用いなくてもよい。例えば、高透磁率材料で形
成した棒状の部材を、コイル38の周りに所定数だけ配
置させても同様の効果が得られる。
【0078】また、上述した発散する磁力線(磁場)を
実現するには、例えば、コイル38のコイル電流が、プ
ラズマ発生領域10およびプラズマ処理領域12の側に
近づくに従い、徐々に小さくなるようにしても良い。プ
ラズマトラップ用の第1コイル46に流すコイル電流は
比較的小さく設定し、プラズマ移送用の第2コイル48
に流すコイル電流は比較的大きく設定し、プラズマ拡散
用の第3コイル50に流すコイル電流は比較的小さく設
定すれば、部分移送領域34の両端部で磁力線がラッパ
状に拡散するような磁場を発生させることができる。
【0079】<プラズマ移送領域の第2構成>上述した
磁場は、コイル38のコイル径が、プラズマ発生領域1
0およびプラズマ処理領域12の側に近づくに従い、徐
々に大きくなるようにしても実現できる。このために
は、例えば、管状部材36の管径が、この管状部材36
の一部からこの管状部材36の各端部にわたり、この管
状部材36の延在方向に沿って徐々に大きくなるように
する。
【0080】この別構成(第2構成)のプラズマ移送領
域14につき説明する。図3は、部分移送領域34の周
辺を拡大して示す要部断面図である。図3に示すよう
に、この構成例の部分移送領域34は、プラズマ発生領
域10およびプラズマ処理領域12の側でラッパ状に広
がった形状となっている。具体的には、第1コイル46
が設置されている位置の管径(口径)が最小となるよう
にし、そこから上端部および下端部に向かうにつれて管
径(口径)が徐々に広がるようにしてある。このように
構成してあるので、プラズマ発生領域10およびプラズ
マ処理領域12における磁力線(図中、破線bで示され
る。)の発散をより大きくすることができる。従って、
プラズマの捕獲効率特性をさらに向上させることができ
る。また、プラズマ発生領域10からプラズマ移送領域
14の側に流入するガスの量が増えるので、プラズマ処
理領域12の側に低速電子が押し出されるようになる。
よって、このような構成の適用により、プラズマ処理領
域12内に流入されるイオンおよびラジカルの密度比を
適正化することができる。
【0081】<プラズマ移送領域の第3構成>さらに、
別構成のプラズマ移送領域14につき説明する。図4
は、この別構成(第3構成)のプラズマ移送領域14の
構成を示す図であって、部分移送領域34の周辺を拡大
して示す要部断面図である。この構成例の場合、第3コ
イル50を複合コイル構造としている。つまり、管状部
材36に設けられたコイル50aの外側を取り巻くよう
に、別のコイル50bを設けて2重コイル構造とし、こ
れらコイル50aおよび50bを個別に駆動制御する。
そして、2重コイル構造を構成する一方のコイル50b
に流すコイル電流の大きさが、時間的に変動するよう
に、このコイル50bの駆動制御を行う。
【0082】このように、コイル50bに流すコイル電
流の電流変調を行うことにより、プラズマ処理領域12
内のプラズマ密度分布を時間的に平均して、均一化する
ことができる。つまり、プラズマ処理領域12内のプラ
ズマ密度分布は、プラズマ移送領域14の中心部と壁部
とではどうしても異なってしまう。従って、この分布の
偏りを解消するために、コイル電流を大きくしたり小さ
くしたりする。これにより、一定時間内に通過するプラ
ズマの数を、中心部では少なくし、壁部では多くすると
いったことができるようになる。従って、この構成のプ
ラズマ移送領域14では、時間的にプラズマ分布が平均
化されるので、プラズマ処理領域12内のプラズマ密度
を実質的に均一にすることができる。
【0083】尚、2重コイル構造を構成する内側のコイ
ル50aのコイル電流の大きさを時間的に変動させる駆
動を行ってもよい。また、コイルの駆動方式は、例えば
サイン波的にコイル電流が変動するように行えばよい
が、これに限ることはない。
【0084】また、各部分移送領域34の配置を工夫す
ることにより、プラズマ密度の均一性をさらに高めるこ
とができる。図5は、部分移送領域34の配置例を示す
平面図である。図5に示すように、Siウエハのごとく
被処理物がほぼ円形なので、各部分移送領域34の配置
が同心円状となるようにし、各部分移送領域34に設け
られたコイル38のコイル電流を、同一円周上に沿って
配置された部分移送領域34ごとに制御する。このよう
に構成することで、プラズマ処理領域12内のプラズマ
密度の均一性を高めることができる。従って、被処理物
上でのプラズマ密度を均一化することができる。
【0085】また、隣接する部分移送領域34に設けら
れたコイル38により形成される磁場の向きが互いに逆
向きとなるように、各コイル38のコイル電流を制御す
るのが良い。このように構成すると、隣接するコイル3
8の各々で発生した磁場が互いに相殺されるので、プラ
ズマ処理領域12内に設けられた被処理物上にまで磁場
が及ばなくなる。
【0086】<プラズマ発生器の動作および使用方法>
次に、以上説明した構成のプラズマ発生器を使用するに
当たり、その方法および動作につき、詳細に説明する。
尚、この説明に当たり、図6に示すプラズマ発生器の全
体像を参照して説明する。この図6は、図1を参照して
説明したプラズマ発生器を真空チャンバに装着した様子
を示す断面図である。
【0087】先ず、プラズマ処理領域12はプロセスチ
ャンバ58により囲まれている。このプラズマ処理領域
12内に設けられた被処理物や支持部材等はベローズ6
0を介して被処理物リフトモータ62に結合されてい
る。このリフトモータ62は、被処理物をカソードに移
載するときに用いる。また、プロセスチャンバ58の下
方部にはプロセスガス排気用ターボポンプ64が取り付
けられている。このプロセスガス排気用ターボポンプ6
4とプロセスチャンバ58との間は、プロセスガス流量
制御弁66を介して結合されている。この流量制御弁6
6により、プロセスチャンバ58内におけるプロセスガ
スの圧力が制御される。
【0088】真空チャンバは、すべてが装着されると密
封される。そして、真空ポンプ64を作動させる。そし
て、プラズマ発生用ガス導入孔30からプラズマ発生ガ
スを供給し、また、プロセス用ガス供給孔28から処理
ガスを適宜に供給する。このようにして、カソード18
上に設置された被処理物16に対するプラズマ処理の準
備が整う。
【0089】次に、第2高周波電源44を作動させる
と、プラズマ発生コイル42により高周波の電磁界がプ
ラズマ発生領域10内に印加される。そして、この高周
波電磁界によりプラズマ発生ガス中に誘導電流が誘起さ
れる。この誘導電流がプラズマ発生領域10内のガスを
電離して、高密度プラズマを生成する。プラズマ発生領
域10内の電子は、プラズマ発生ガスの電離エネルギ
(Arガスを使用した場合は20〜30eV)以上の高
速電子を多数含んでいる(図9参照)。従って、高密度
プラズマほど、イオン化されるガス分子(あるいは原
子)の数が多くなる。
【0090】次に、磁気回路を構成するコイル38に電
流を流す。上述の高速電子は、このコイル38によりプ
ラズマ移送領域14内に形成される磁場によってトラッ
プされ、プラズマ移送領域14内に引き込まれる。この
コイル38の発生磁界が強いほど、高い速度の電子を引
き込むことができる。このコイル38を構成する第1コ
イル46、第2コイル48および第3コイル50には、
それぞれ第1コイル電源68、第2コイル電源70およ
び第3コイル電源72により個別に電力が供給される。
【0091】さらに、コイル38の発する磁界が強くな
ると、プラズマ移送領域14中の最も磁界が強い場所で
ミラー効果が起きる。そして、低いエネルギの電子(低
速電子)は、この部分で跳ね返されてしまい、プラズマ
処理領域12の側にはあまり輸送されなくなる。電子
は、プラズマ移送領域14内のプラズマの流れに沿った
方向(磁力線の延在方向)の成分が、その流れに垂直な
方向の成分に比べて十分大きければ、ミラー条件をおお
むねクリアできる。この引き込みが最大となるように、
第1コイル46のコイル電流を設定すると良い。
【0092】また、第2コイル48のコイル電流は、こ
の第2コイル48の位置の管状部材36の管径が、この
コイル磁場とここを通過する電子の速度で決まるラモア
半径とがだいたい一致するように決めると良い。
【0093】そして、第3コイル50のコイル電流は、
第2コイル48のコイル磁界がプラズマ処理領域12で
急速に拡散するように決めると良い。
【0094】さらに、部分移送領域34に設けられたコ
イル38で形成される磁界の方向が同一となるように、
各コイル46〜50を駆動する。また、上述したよう
に、隣接するコイル38で発生させる磁場が互いに逆向
きとなるようによう駆動する。この結果、磁場が相殺さ
れ、被処理物16上にまで磁場が及ばなくなる。
【0095】また、第1高周波電源24を作動させる
と、プラズマ処理領域12のアノード22およびカソー
ド18間に高周波電磁界が発生する。この電磁界により
形成されるシース電圧によって電子が加速される。通
常、加速された電子は本来ならプロセスガスと衝突し
て、このプラズマ処理領域12内のプラズマ密度を高め
る。しかし、この構成のプラズマ発生器の場合には低ガ
ス圧のために、電離に必要な電子の平均自由行程と電極
間距離とがほぼ等しくなる。従って、この第1高周波電
源24は、電離度を維持する程度の効果しか生まない。
【0096】一方、バイアスパワーをカソード18およ
びアノード22間に印加すると、アノード22およびカ
ソード18間にはバイアス電流が流れる。この電流中の
電子は次のように振る舞う。すなわち、カソード18を
出た電子は、カソードドロップと呼ばれるプラズマおよ
びカソード18間の電位差によって加速されて、プラズ
マ内に入射する。また、バイアス電源(第1高周波電源
24)に接続されたブロッキングコンデンサ26の作用
によりカソード18の電位は負となり、この負電位が電
子を加速させる。この電位差は、アノード22およびカ
ソード18の電極構造が不変であれば、プラズマのイン
ピーダンスに依存する。
【0097】そして、プラズマが高密度になればなるほ
ど、被処理物に入射するイオン電流は増加する。その結
果、バイアス電源(第1高周波電源24)から見たプラ
ズマのインピーダンスはプラズマ密度が低いときに比べ
て小さくなる。従って、カソード18から放出された電
子は、低ガス圧動作ではカソードドロップの領域でガス
を電離させるためのエネルギをほとんど受け取れずにプ
ラズマ内に入射してしまう。しかし、これによって得ら
れたエネルギはラジカルを作り出すには十分なエネルギ
である。
【0098】一般的に、プロセスガス特に分子をクラッ
キングあるいは重合したりするための電子の平均自由行
程は比較的小さい。従って、第1高周波電源24は、本
発明で期待されるラジカルあるいはプレカーサを形成す
るという働きを十分に果たす。結果として、プロセス処
理に必要なラジカルあるいはプレカーサの形成を支配的
に制御できるようになる。
【0099】以上説明したように、プラズマ処理領域1
2のラジカル(あるいはプレカーサ)は、第1高周波電
源24の電力制御により適当な量だけ形成される。ま
た、プラズマ発生領域10で形成される高密度プラズマ
は、磁気回路(コイル38)によりプラズマ移送領域1
4を通ってプラズマ処理領域12に引き出される。従っ
て、プラズマ移送領域14のコイル電流を制御するか、
第2高周波電源44の電力を制御するかにより、プラズ
マ処理領域10のイオンとラジカル(あるいはプレカー
サ)との比率を制御することができる。
【0100】例えば、異方性の大きいエッチングを行う
場合(いわゆるディープコンタクトエッチングの場
合)、磁気回路を構成するコイル電流を増やすとプラズ
マ処理領域12のイオン密度が高密度ではあるが減少す
る。よって、十分なイオン加速電圧が発生し、最適なエ
ッチング条件が実現される。
【0101】このように、プロセス処理空間のプラズマ
条件すなわちラジカルとイオンとの比率を可変に制御で
き、その可変領域が他のプラズマ発生機構より広範であ
るから、本発明のプラズマ発生器は、種々のプロセス処
理条件に対応できる。
【0102】また、このプラズマ発生器では、プラズマ
処理領域12の横断面積がプラズマ移送領域14の横断
面積の総和よりも十分に大きい(プラズマ移送領域14
の横断面積の総和/プラズマ処理領域12の横断面積=
0.1〜0.4である。)。このため、プラズマ発生領
域10の圧力を大きくすることができる。従って、プロ
セスガスがプラズマ移送領域14を逆送してプラズマ発
生領域10に入ることはほとんど無いが、万一入ったと
しても、プロセスガスより多い流量のプラズマ発生ガス
の排出によってすぐに排気される。
【0103】次に、この実施の形態のプラズマ発生器の
動作特性を、従来のTCPと対比する。図7は、プラズ
マ発生器の動作特性を示す棒グラフである。尚、比較対
照としたTCPは一般的な従来構造のものとする。ま
た、図8には、図7に記載された本発明の装置の動作特
性値を表にして示してある。
【0104】図7(A)は、イオン電流密度について、
本発明の装置と従来のTCPとを比較した結果を示す。
グラフの縦軸には、イオン電流密度を[ミリアンペア/
平方センチメートル]単位で取り、0[ミリアンペア/
平方センチメートル]から40[ミリアンペア/平方セ
ンチメートル]までの範囲を5[ミリアンペア/平方セ
ンチメートル]ごとに目盛って示してある。この測定
は、ラングミュアプローブを用いて行われた。図中、棒
aで示される側がTCPの値を示し、棒bで示される側
が本発明の装置の値を示す。すなわち、TCPが40
[ミリアンペア/平方センチメートル]であるのに対し
て、本装置では10[ミリアンペア/平方センチメート
ル]となる。
【0105】また、図7(B)は、エッチングレートに
ついて、本発明の装置と従来のTCPとを比較した結果
を示す。グラフの縦軸には、エッチングレートを[ミク
ロン/分]単位で取り、0[ミクロン/分]から0.8
[ミクロン/分]までの範囲を0.1[ミクロン/分]
ごとに目盛って示してある。尚、エッチング対象は熱酸
化膜である。図7(B)および図8に示すように、TC
Pでは0.5[ミクロン/分]であるのに対し、本装置
では0.8[ミクロン/分]となる。
【0106】また、図7(C)は、エッチング選択比に
ついて、本発明の装置と従来のTCPとを比較した結果
である。グラフの縦軸には、選択比を、0から50の範
囲までを5ごとに目盛って示してある。ここでは、Si
2 対Siの選択比を測定している。図7(C)および
図8に示すように、TCPでは15であるのに対し、本
装置では50となる。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のプラズ
マ発生器によれば、プラズマ発生領域内のプラズマ密度
と、プラズマ処理領域内でのラジカル密度とを個別に制
御することができる。また、プラズマ処理領域とプラズ
マ発生領域との間のガス分離が実現されるので、プラズ
マ発生領域にラジカル種が流入しない。この結果、プラ
ズマ処理性能の良いプラズマ発生器が提供できる。
【0108】さらに、この発明のプラズマ発生器によれ
ば、プラズマ発生領域のプラズマ密度を高い状態でプラ
ズマ処理領域へ移送するために、電子を閉じ込めておく
ことができる。また、被処理物のプロセス処理に役立つ
ラジカルをプラズマ処理領域でしか発生できないように
制限し、イオンとラジカルとの比率を独立制御して、最
適なプラズマ処理条件をプラズマ発生領域に実現するこ
とができる。しかも、プラズマ発生領域の高密度プラズ
マを、良好な効率および制御性をもってプラズマ処理領
域の側に移送することができる。
【0109】また、アッシング処理の場合には、プラズ
マ発生領域にプラズマガス以外にO2 ガスを混入させて
アッシング特性を改善することもできる。
【0110】また、プラズマ移送領域を空間的に適正な
位置に分散配置させることにより、プラズマ処理領域内
のプラズマ密度を均一なものとすることができる。従っ
て、被処理物の大型化に十分応えることができる。
【0111】また、この発明のプラズマ発生器にあって
は、プロセス処理領域内のプロセスガスがプラズマ発生
領域に拡散されないようにすることができるので、プラ
ズマ処理の妨げとなるプロセスガスの分解物が作り出さ
れない。
【0112】さらに、この発明のプラズマ発生器によれ
ば、プラズマ発生あるいは維持のための入力パワーを独
立任意に設定することができるので、プロセス処理の制
御性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のプラズマ発生器の構成を示す図で
ある。
【図2】プラズマ移送領域の第1構成を示す図である。
【図3】プラズマ移送領域の第2構成を示す図である。
【図4】プラズマ移送領域の第3構成を示す図である。
【図5】プラズマ移送領域の配置を示す図である。
【図6】プラズマ発生器の全体像を示す図である。
【図7】この発明のプラズマ発生器の動作特性を示す図
である。
【図8】この発明のプラズマ発生器の動作特性を示す図
である。
【図9】電子密度のエネルギ依存性を示す図である。
【図10】ラジカルおよびイオンの密度比とエッチング
レートとの関係を示す図である。
【符号の説明】
10:プラズマ発生領域 12:プラズマ処理領域 14:プラズマ移送領域 16:被処理物 18:カソード 20:プロテクタ 22:アノード 24:第1高周波電源 26:ブロッキングコンデンサ 27:導入孔 28:プロセス用ガス供給孔 30:プラズマ発生用ガス導入孔 32:移送孔 34:部分移送領域 36:管状部材 38:プラズマ移送コイル 40:チャンバ蓋 42:プラズマ発生コイル 44:第2高周波電源 46:第1コイル 48:第2コイル 50:第3コイル 52:プラズマ発生チャンバ 54:Oリング 56:高透磁率材 58:プロセスチャンバ 60:ベローズ 62:被処理物リフトモータ 64:プロセスガス排気用ターボポンプ 66:プロセスガス流量制御弁 68:第1コイル電源 70:第2コイル電源 72:第3コイル電源
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/31 H01L 21/302 B

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ発生領域でプラズマを生成し、
    該プラズマをプラズマ移送領域を経てプラズマ処理領域
    に導き、所定のプラズマ処理を行うプラズマ発生器であ
    って、 前記プラズマ移送領域は、前記プラズマ発生領域と前記
    プラズマ処理領域との間を連通する複数の互いに分離さ
    れた部分移送領域として画成してあり、 各前記部分移送領域の内部に磁場を形成するための磁気
    回路を具えていることを特徴とするプラズマ発生器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記磁気回路により形成される磁場が前記プラズマ発生
    領域および前記プラズマ処理領域に漏洩するようにし、
    かつ前記磁場が前記プラズマ発生領域および前記プラズ
    マ処理領域で発散するようにしてあることを特徴とする
    プラズマ発生器。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記磁気回路は、各前記部分移送領域の周囲に設けられ
    た単数または複数のコイルで構成してあることを特徴と
    するプラズマ発生器。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記コイルの代わりに永久磁石を用いていることを特徴
    とするプラズマ発生器。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記部分移送領域は直線的に延在する管状部材の内部領
    域であり、 該管状部材の外壁を取り巻くように、該管状部材の延在
    方向に沿って順次に所定数の前記コイルを設けてあるこ
    とを特徴とするプラズマ発生器。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記コイルのコイル径を、前記プラズマ発生領域および
    前記プラズマ処理領域の側に近づくに従い、徐々に大き
    くしてあることを特徴とするプラズマ発生器。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記コイルのコイル電流を、前記プラズマ発生領域およ
    び前記プラズマ処理領域の側に近づくに従い、徐々に小
    さくしてあることを特徴とするプラズマ発生器。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記コイルの周りに、磁気シールドとしての高透磁率材
    を設けてあることを特徴とするプラズマ発生器。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のプラズマ発生器におい
    て、 前記高透磁率材としてミューメタルを用いていることを
    特徴とするプラズマ発生器。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 前記管状部材の管径を、該管状部材の一部から該管状部
    材の各端部にわたり、該管状部材の延在方向に沿って、
    徐々に大きくしてあることを特徴とするプラズマ発生
    器。
  11. 【請求項11】 請求項5に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 前記管状部材に設けられたコイルの外側を取り巻くよう
    に、別のコイルを設けて2重コイル構造とし、これらコ
    イルを個別に駆動制御することを特徴とするプラズマ発
    生器。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のプラズマ発生器に
    おいて、 前記2重コイル構造を構成する一方のコイルに流すコイ
    ル電流の大きさが、時間的に変動するように、該コイル
    の駆動制御を行うことを特徴とするプラズマ発生器。
  13. 【請求項13】 請求項5に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 各前記部分移送領域の配置が同心状となるようにし、 各前記部分移送領域に設けられたコイルのコイル電流
    を、実質的に同一軸状に配置された部分移送領域ごとに
    制御することを特徴とするプラズマ発生器。
  14. 【請求項14】 請求項5に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 隣接する前記部分移送領域に設けられたコイルにより形
    成される磁場の向きが互いに逆向きとなるように、各前
    記コイルのコイル電流を制御することを特徴とするプラ
    ズマ発生器。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 プラズマの発生および強化に寄与する高周波の電磁界を
    前記プラズマ処理領域に印加するための第1印加回路
    と、 プラズマの発生および強化に寄与する高周波の電磁界を
    前記プラズマ発生領域に印加するための第2印加回路と
    を具えることを特徴とするプラズマ発生器。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 前記プラズマ発生領域にプラズマ発生ガスを導入する手
    段を具え、 前記プラズマ処理領域にプロセスガスを導入する手段お
    よび被処理物を支持する手段を具えることを特徴とする
    プラズマ発生器。
  17. 【請求項17】 請求項1に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 前記プラズマ処理領域に高周波の電磁界を印加するため
    のアノードおよびカソードを具えており、 前記プラズマ移送領域との連通のための導入孔が形成さ
    れた前記アノードは、前記プラズマ移送領域と前記プラ
    ズマ処理領域との間に設けてあり、 前記カソードは前記プラズマ処理領域に設けてあること
    を特徴とするプラズマ発生器。
  18. 【請求項18】 請求項3に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 前記磁気回路を構成するコイルに流す電流により、所定
    のプロセス結果を達成するために分布が均一となるよう
    に、前記プラズマ処理領域内のプラズマを制御すること
    を特徴とするプラズマ発生器。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載のプラズマ発生器に
    おいて、 前記導入孔は、前記磁場の発散に合わせて、前記プラズ
    マ処理領域の側の開口が広くなるような末広がり形状と
    してあることを特徴とするプラズマ発生器。
  20. 【請求項20】 請求項16に記載のプラズマ発生器に
    おいて、 前記プラズマ発生領域にプロセスガスを導入する手段を
    具えることを特徴とするプラズマ発生器。
  21. 【請求項21】 請求項1に記載のプラズマ発生器にお
    いて、 前記プラズマ発生領域と前記各部分移送領域との結合部
    分における当該プラズマ発生領域を囲むチャンバ壁に、
    前記プラズマ移送領域との連通のための移送孔が形成さ
    れており、 前記移送孔は、前記磁場の発散に合わせて、前記プラズ
    マ発生領域の側の開口が広くなるような末広がり形状と
    してあることを特徴とするプラズマ発生器。
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