JPH11133979A - 円筒型吸音体および吸音装置 - Google Patents

円筒型吸音体および吸音装置

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JPH11133979A
JPH11133979A JP9301462A JP30146297A JPH11133979A JP H11133979 A JPH11133979 A JP H11133979A JP 9301462 A JP9301462 A JP 9301462A JP 30146297 A JP30146297 A JP 30146297A JP H11133979 A JPH11133979 A JP H11133979A
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sound
sound absorbing
cylindrical
aluminum
plate
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JP9301462A
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Kinjiro Hiruta
金次郎 蛭田
Toru Morimoto
徹 森本
Masamichi Sekiya
正道 関谷
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Unix Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い吸音力を維持しながら軟質繊維系吸音材
の垂下沈降現象と飛散を防止し施工が容易な円筒型吸音
体と、透視性のある吸音装置の提供。 【解決手段】 アルミニウム系多孔質吸音板を円筒状に
成形し、該円筒の中に、円筒状に成形した軟質繊維系吸
音材を組み込んで円筒型吸音体とする。該円筒型吸音体
を所定の間隔を介して配列し、背後に透明板を配設した
パネルに組み込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸音材および吸音
装置に関する技術分野に属する。詳しくは、優れた吸音
特性のみならず、軽量で施工が簡単な吸音体ならびに該
吸音体を用いた吸音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、最も多く用いられている吸音材と
しては、グラスウールやロックウール等の軟質繊維系多
孔質材があげられる。これらを孔空き板に収めて吸音パ
ネルとして成形したものが、室内の壁面や天井、あるい
は高速道路の防音壁に組み込まれて用いられている。ま
た、最近においては、多孔質焼結板、金属繊維板、発泡
金属板などの多孔質成形板がそれぞれの吸音特性、耐候
性、価格、加工性等の各種の長所や短所を勘案して、さ
まざまな用途に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記グ
ラスウールやロックウール等の軟質繊維系吸音材を孔空
き板に収めて吸音パネルとして用いる場合には、飛散防
止の目的でテトラ・フロロエチレン系の薄膜の袋の中に
軟質繊維系吸音材が詰め込まれて用いられている。
【0004】ところで、このテトラ・フロロエチレン系
の薄膜は、面積が大きいために作業中に破れ易く、一旦
雨水が袋の中に入った場合には殆ど中に滞留し外部に蒸
発することができない。その結果、軟質繊維系吸音材は
水分と自身の自重により、上部よりしだいに垂下沈降現
象を惹起し、吸音性能が極めて低下するという問題があ
る。
【0005】また、前記アルミニウム系多孔質吸音板を
用いる場合には、十分な吸音力を発揮させるために50
mm〜100mmの背後空気層を確保することが必須で
あること、および天井等の水平部分に施工する場合にお
いては、自重による撓みが発生し易いという課題があ
る。
【0006】さらに、上記軟質繊維系吸音材およびアル
ミニウム系多孔質吸音板のいずれを用いる場合において
も、吸音材を組み込んだパネルを介して外部を見通すこ
とは不可能である。すなわち、透過性が得られないとい
う本質的な課題がある。
【0007】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、軟質繊維系吸音材の垂下沈降現象
を防止し、また天井等の水平部分に施工した場合におい
ても撓みの極めて少ない、優れた吸音特性を有する吸音
体を提供することである。併せて、従来の多孔質吸音板
を用いた吸音装置では不可能であった、透視性を有する
吸音装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意検討を重ね、下記の知見を得るこ
とにより本発明を成すに至った。すなわち吸音材を防音
壁や建屋の内壁面、天井に設置する場合は一般的にはパ
ネルに組み込んで吸音体の平坦面で音波を受け止める。
また、JIS A1409に規定される残響室法吸音率
を測定する場合は、吸音材をパネルに組み込み、このパ
ネルを残響室の床に水平に配列した状態で下記に示す式
に基づいて吸音率を算定している。
【0009】 α=55.3V(1/T1−1/T2)/(cS) ここに、α:残響室法吸音率、V:残響室容積
(m3)、T1:試料を入れた状態における残響時間(S
ec)、T2:試料を入れない状態における残響時間、
c:空気中の音速(m/Sec)で c=331.5+
0.61t なる式で求め、tは空気中の温度(℃)、
S:試料面積(パネル面積)(m2)を示す。
【0010】さて、上記残響室法吸音率の式から明らか
なように、パネル面積(S)は一定のまま、実質的な吸
音面積を増加できればT1 が短くなり、残響室法吸音
率:αは向上する。すなわち、パネルの上面に平板状の
吸音材を張るのではなく、立体的な吸音体を効率的にパ
ネルに組み込んでやれば、実質的な吸音面積が増加して
吸音率αが向上する。本発明においては、この立体的吸
音体として円筒型の吸音体を用いたものである。
【0011】図-6に今回の第1の発明と第3の発明に
基づく、それぞれの円筒型吸音体の投影面積当たりの、
すなわち、それぞれの円筒型吸音体を円周面上で接触さ
せて配列させた場合の吸音特性を示す。このグラフから
明らかなように、円筒型吸音体をすき間無く配列させた
場合には、平均吸音率は1を大幅に超える高い吸音率を
示す。従って、円筒型吸音体をすき間なく配列するので
はなく、一定の間隔を介して配列したとしても、従来の
吸音材と同程度の吸音率は得られることになる。
【0012】そこで、透明板で構成されるパネル等の中
に円筒型吸音体を一定間隔を介して配列することによ
り、外部を見通すことのできる吸音パネルの製作が可能
であるとの知見が得られた。
【0013】ところで、軟質繊維系吸音材は他の吸音材
と比較して安価で吸音力も優れているが、前記したよう
に垂下沈降現象を惹起して十分な吸音力が得られないと
いう問題の外に、環境中への繊維の飛散の問題等もあ
る。そこで、アルミニウム系多孔質吸音板を円筒状に成
形して、この中に軟質繊維系吸音材を円筒状に成形した
ものを詰め込むことにより、前記垂下沈降現象の大幅な
低減と繊維の環境中への飛散の防止が可能となる。併せ
て、軟質繊維系吸音材をアルミニウム系多孔質吸音板に
詰め込んだ円筒体とすることにより、平板状のアルミニ
ウム吸音板として用いる場合よりも円筒型吸音体の方が
撓みに対する強度も向上する。
【0014】本発明の第1の態様は、アルミニウム系多
孔質吸音板を円筒状に成形し、該円筒の中に、円筒状に
成形した軟質繊維系吸音材を組み込んで構成したことを
特徴とする、円筒型吸音体である。
【0015】本発明の第2の態様は、アルミニウム系多
孔質吸音板を円筒状に成形し、該円筒の中に、円筒状に
成形した軟質繊維系吸音材を組み込み、さらに円筒の軸
芯部に丸棒を貫通させて長手方向に連ねて並べたことを
特徴とする円筒型吸音体であり、軸芯部に貫通した、木
製あるいは金属パイプ製の丸棒により、撓みの少ない長
尺の円筒型吸音体を提供することができる。
【0016】本発明の第3の態様は、アルミニウム系多
孔質吸音板を円筒状に成形し、該円筒の中に、空気層を
介して円筒状に成形した軟質繊維系吸音材を組み込み、
円筒吸音体の端部に排水孔を設けたことを特徴とする、
円筒型吸音体である。これにより、軟質繊維系吸音材へ
の雨水の侵入防止が可能となる。
【0017】本発明の第4の態様は、前記第1の態様か
ら第3の態様に記した、円筒状に成形した軟質繊維系吸
音材の外面を、厚さが5μmから20μmのフッ化エチ
レン系薄膜および/またはポリビニリデン系薄膜で包み
込んだことを特徴とする、円筒型吸音体である。これに
より、上記第1から第2の態様による円筒型吸音体の屋
外における使用も可能となり、併せて、第3の態様によ
る円筒型吸音体の一層の防水対策が可能となる。
【0018】本発明の第5の態様は、上記第1の態様か
ら第4の態様に記した円筒型吸音体を所定の間隔を置い
て配列し、その背後に透明板を配設することにより、透
視性を有する吸音装置を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の円筒型吸音体につ
いて、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説
明において、アルミニウム多孔質吸音板とは、アルミニ
ウム系エクスパンドメタルとアルミニウム系金属繊維層
との積層体を圧着して板状に成形したもの、ならびに、
アルミニウム系金属繊維とパンチングメタルを圧着した
もの、および、アルミニウム系金属繊維とパンチングメ
タルを樹脂系接着材で接着したものを示す。また、軟質
繊維系吸音材とは、グラスウールおよび、ロックウール
を示す。
【0020】図-1の(a)は、アルミニウム系エクス
パンドメタルとアルミニウム系金属繊維層との積層体を
圧着して板状に成形したアルミニウム系多孔質吸音板を
円筒状に成形し、この円筒の中に、円筒状に成形したグ
ラスウールを組み込んで構成した円筒型吸音体の斜視図
を示す。図1の(b)は、その縦断面図を示す。図中、
1はアルミニウム系多孔質吸音板を、2はグラスウール
を、3は両端を封じるキャップを示す。円筒サイズに関
しては特に制限はしないが、製作・施工上の観点より、
外径80〜200mm、長さは500〜1000mmが
一般的であり、図-6からも明らかなように、円筒の外
径が大きなものは外径が小さなものに比較して低周波数
側の吸音率が優れる。
【0021】アルミニウム系多孔質吸音板を用いること
により、パンチングメタル等のみの単なる孔開板と比較
してそれ自身が優れた吸音材であるので、グラスウール
等軟質繊維系吸音材の吸音力を損なわずにより高い吸音
効果が得られる。また、パンチングメタルのような大き
な開口部分がないので、軟質繊維の空気中への飛散防止
が可能となる。図-1に示す本発明の円筒型吸音体は、
軟質繊維系吸音材に対する防水機能がないので、主に屋
内使用に適する。
【0022】図-2は、図-1に示す本発明の吸音体の軸
芯部に、丸棒を貫通させて長手方向に連ねて並べた場合
の本発明の第2の発明を示す。図中、4は丸棒を示す。
丸棒は木製でも金属製パイプでも良いし、場合によって
は金属製のロープを用いても良い。5は、吸音体と吸音
体の仕切板であるが、仕切板無しに、3に示すそれぞれ
のキャップをそのまま接触させて用いてもかまわない。
しかしながら、仕切板を丸棒に固定することにより、長
手方向に並べた円筒型吸音体を垂直に立てて用いる場合
には、それぞれの吸音体にかかる垂直荷重は自重のみと
なるので、円筒型吸音体を高く積み上げることが可能と
なる。
【0023】図-3は、本発明の第3の発明を示す概略
図であり、(a)は縦断面図を、(b)は、横断面図を
示す。アルミニウム系多孔質吸音板とグラスウールの間
に空気層10を設けることにより、前記したように、軟
質繊維系吸音材への雨水の侵入防止が可能となる。すな
わち、本実施例のアルミニウム系多孔質吸音板の気孔径
は平均80μmであり、これがアルミニウム系多孔質吸
音板の厚さ約1.6mmの中で3次元の気孔を形成して
いる。従って、円筒体の表面にホースで直接水をかけた
としても、水の表面張力により表面から裏面に水が貫通
することはなくグラスウールに水が当たることは無い。
万が一円筒内に水分が侵入したとしても、水は円筒体の
下端部に設けた溝の排水孔9から外部に排出可能である
ので、グラスウールと接触して吸水されることはない。
【0024】ところで、本実施例のアルミニウム系多孔
質吸音板はグラスウール等の軟質繊維系吸音材と異な
り、水はけが良好であるので、水に濡れたとしても吸音
率の低下は小さい。
【0025】図-10に、アルミニウム系多孔質吸音板
とグラスウールのそれぞれに100%の水を飽和させた
後、自然通風における乾燥度を比較したグラフを示す。
本実施例のアルミニウム系多孔質吸音板は約2.5時間
後に含水率は0%となるが、グラスウールの含水率は1
0時間後でも20%を下回らない。従って、軟質繊維系
吸音材に一度水分が侵入すると前記したような垂下沈降
現象が加速度的に進行して急速に吸音率が悪化する。本
発明により、この垂下沈降現象の防止が可能となるの
で、円筒吸音体の屋外での採用が可能となる。
【0026】本発明の第4の発明は、前記第1、第2の
発明の円筒型吸音体を屋外で使用する場合の発明であ
り、併せて、第3の発明の防水性を一層完成させるもの
である。すなわち、図4に示すように、用いる軟質繊維
系吸音材2の円筒外面を、厚さが5μmから20μmの
フッ化エチレン系薄膜および/またはポリビニリデン系
薄膜で包み込むことにより、軟質繊維系吸音材2の吸湿
・吸水による吸音能の劣化を防止できる。
【0027】軟質繊維系吸音材はこれまで飛散防止と吸
湿・吸水防止を目的としてテトラ・フロロエチレン系の
薄膜の袋の中に入れ、これをパネルの中に挿入して用い
られているが、フッ化エチレン系薄膜および/またはポ
リビニリデン系薄膜の方が、引裂き強さに強くまた経時
変化による劣化も少ないので適する。また、厚さが5μ
mから20μmとしたのは、5μm以下になると強度的
に不十分であり、また、20μmを超えると吸音率に悪
い影響を与えるからである。
【0028】本発明の第5の発明は、本発明の円筒型吸
音体の高い吸音率を応用して成したものである。すなわ
ち、図-6に示すようにそれぞれの円筒型吸音体を円周
面上で接触させて配列させた場合は、全周波数領域に渡
ってほぼ1を超える高過ぎる吸音率が得られる。一般的
に吸音材の吸音率は1以下であり、本発明の円筒型吸音
体を用いる場合には、前記したように円周面上で接触さ
せることなしに、吸音体と吸音体の間に間隔を設けても
一般吸音材並みの吸音率は得られるはずである。
【0029】図-9に、この円筒間間隔が0mmの場合
と所定の円筒間距離を確保した場合の残響室法吸音率の
比較を示す。図-9から明らかなように、実施例1タイ
プの吸音体の場合には、750mmの間隔を設けても吸
音体として十分な吸音力を維持可能であり、実施例3タ
イプの吸音体の場合は440mmの間隔の確保が可能で
ある。従って、これらの間隔から吸音体を介して外部の
風景が透視可能となる。
【0030】図-5は、本発明の第5の発明の吸音装置
を示す概略図であり、(a)はa−a断面における横断
面図を、また(b)は正面図を示す。透明板12として
はポリカーボネート板が一般的であり、また、パネル周
囲の側板13は鋼板製もしくはアルミニウム製あるいは
木製の枠でもかまわない。下側の側板には排水孔を設け
て、雨水の滞留を防止する必要がある。
【0031】このパネル状吸音装置を高速道路の防音壁
として用いる場合には、円筒型吸音体11の露出面が音
源側になるように、すなわち車道側になるように設置す
ることにより、車道内の騒音を吸音すると共に透明板1
2が遮音板として機能することにより、外部への騒音を
軽減できる。併せて、高速道路直下の民家等への日照の
妨害も軽減できる。また、車中より外部の風景も見通す
ことが可能になるので、従来の防音壁よりも快適なドラ
イブができるようになる。
【0032】[実施例1]面密度が1650gr/m2
のアルミニウム繊維の不織布をアルミニウムのエキスパ
ンドメタルで挾持してロール圧加後の板厚を約1.6m
mとしたアルミニウム系多孔質吸音板1を用いて、図-
1に示すような、外径が170mmと85mm、長さが
それぞれ500mmの円筒を製作した。外径がが170
mmの円筒の中に、内径が114mmで厚みが25m
m、面密度が約47kg/m2のグラスウール製円筒2
を組み込んだ。また、外径が85mmの円筒の中には内
径が43mmで厚みが20mm、面密度が47kg/m
2のグラスウール製円筒を組み込んだ。それぞれの円筒
は、板厚0.6mmのステンレス板で製作したキャップ
3で両端の開口を塞いだ。
【0033】図-6に残響室法による吸音率の測定結果
を、外径が170mmと外径が85mmの円筒型吸音体
ならびに実施例3で示す外径170mmの空気層を有す
る吸音体で比較して示した。円筒型吸音体は円周面上で
接触させて互いに隣接させ、残響室の床に伏せた状態で
配置した。そして、この状態における吸音体の投影面積
を試料面積として、吸音率を測定したところ、殆どの周
波数領域において1を超える高い吸音率が得られた。ま
た、円筒体の外径の影響に関しては特に周波数500H
z以下の低い周波数領域では、外径の大きい円筒吸音体
の吸音率が優れる。
【0034】[実施例2]面密度が1650gr/m2
のアルミニウム繊維の不織布をアルミニウムのエキスパ
ンドメタルで挾持してロール圧加後の板厚を約1.6m
mとしたアルミニウム系多孔質吸音板を用いて、外径が
170mm、長さが500mmの円筒を製作した。外径
が170mmの円筒の中に、内径が114mmで厚みが
25mm、面密度が約47kg/m2のグラスウール製
円筒を組み込んだ。さらに、図-2に示すように、内径
約114mmの軸芯部に外径が101.6mmの鋼管製
パイプを貫通させ、円筒型吸音体を3個長手方向に連ね
て並べた。
【0035】図-7に残響室法による吸音率の測定結果
を、鋼管製パイプを貫通させた場合と、パイプ無しの円
筒型吸音体で比較して示した。低い周波数領域ではパイ
プ無しの方が多少優れているが、高い周波数領域では逆
転しており、両者の間に特に大きな差異は見られない。
【0036】[実施例3]面密度が1650gr/m2
のアルミニウム繊維の不織布をアルミニウムのエキスパ
ンドメタルで挾持してロール圧加後の板厚を約1.6m
mとしたアルミニウム系多孔質吸音板を用いて、図-3
に示すように、外径が170mm、長さが980mmの
円筒を製作した。この円筒の中に内径が89mmで厚み
が20mm(従って、外径が129mm)、面密度が約
47kg/m2のグラスウール製円筒を組み込んだ。こ
れにより、アルミニウム系多孔質吸音板1とグラスウー
ル2の間に約38mmの空気層を形成した。
【0037】グラスウール製円筒の外側は厚みが1mm
の純アルミニウム製金網を巻つけて補強した。上蓋と下
蓋の中央部には内径が87mm高さが10mmの円筒状
の突起をもうけることにより上下よりグラスウール製の
円筒を支えた。下蓋の外周部は図-3に示すような溝型
構造とし、この溝の底に排水のための内径が2mmの排
水孔9を多数開けた。上蓋7と下蓋8は厚さが1mmの
純アルミニウム板より成形した。
【0038】図-6に実施例1に示す円筒型吸音体と比
較して、残響室法による吸音率の測定結果を示した。実
施例1に示す外径が170mmの吸音体と外径が85m
mの吸音体のほぼ中間の高い吸音率が得られた。
【0039】[実施例4]図-4に示すように、実施例
1の、外径が170mmの円筒に用いた、内径が114
mmで厚みが25mmのグラスウール製円筒を、厚みが
12μmのフッ化エチレン系薄膜でラッピングすること
により、防水対策を施したグラスウールを挿入して円筒
型吸音体を製作した。
【0040】図-8に残響室法による吸音率の測定結果
を、外径が170mmの実施例1に示す円筒型吸音体と
比較して示した。防水対策を実施したものは、低周波数
領域の吸音特性が多少優れるものの、高い周波数領域に
おいては逆転する傾向が見られる。
【0041】[実施例5]図-5に、実施例3に示す円
筒型吸音体を4本組み込んで、円筒の間隔(円筒間距
離)が440mmとなる吸音装置を示す。吸音装置はパ
ネル構造とし、音源と反対側にポリカーボネート製の透
明板12を配設した。パネルの側板12は鋼板製とし、
下側の枠には排水孔が設けてある。前記の如く円筒間距
離は440mmあるので音源側から外側を見通すことが
可能である。また、図-9に円筒間距離が0mm(円筒
をすき間無く配列した場合)と440mmの場合の残響
室法吸音率を実施例1の場合の円筒型吸音体と比較して
示す。実施例3の円筒型吸音体に注目して見ると、円筒
間距離を440mm確保した場合においても、平均吸音
率は0.8を超える良好な状況にあり、透視性を兼ね備
えた吸音装置として十分機能することが明らかである。
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る円筒型吸音体を用いることにより、垂直壁面等に用い
る場合においても、軟質繊維系吸音材の垂下沈降現象な
らびに環境中への飛散を防止しつつ、低周波数側から高
周波数側の全域に渡り高い吸音率が得られるので、従来
の吸音材よりも少ない投影面積で効率的に所定の吸音力
が得られる。
【0043】また、天井等の水平部分に施工した場合に
おいても、本発明の円筒吸音体の中心軸部分に金属製の
パイプ等の丸棒を貫通させることにより、撓みの少ない
吸音体を提供することができる。
【0044】また、従来の多孔質吸音板を用いる場合に
必須であった空気層を設けることなく、単に懸垂するだ
けで吸音が可能となる。従って、施工が容易であるので
取付費用も従来の吸音材に比べて安価となり、経済的に
工場騒音等の低減が可能となる。
【0045】さらに、本発明の円筒型吸音体の高い吸音
力を活用して、円筒型吸音体を所定の間隔を置いて配列
しても十分な吸音力が得られるので、背後に透明板を配
設した透過性のある吸音パネル(吸音装置)の提供を可
能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 円筒型吸音体を示す図であり、(a)は斜視
図を、また(b)は縦断面図を示す。
【図2】 長手方向に連ねて並べた円筒型吸音体を示す
図であり、(a)は斜視図を、また(b)は縦断面図を
示す。
【図3】 アルミニウム系多孔質吸音板とグラスウール
との間に空気層を有する円筒型吸音体であり、(a)は
縦断面図を示す。また、(b)はa−a横断面図を示
す。
【図4】 グラスウールをフッ化エチレン系薄膜でラッ
プした場合の円筒型吸音体を示す図であり、(a)は斜
視図を、また(b)は縦断面図を示す。
【図5】 背後に透明板を配設した吸音装置の図であ
り、(a)はb−b断面図を示す。また、(b)は縦断
面図を示す。
【図6】 外径が170mmと外径が85mm、および
アルミニウム系多孔質吸音板とグラスウールとの間に空
気層を有する円筒型吸音体の残響室法吸音率の比較を示
すグラフである。
【図7】 外径が170mmの円筒型吸音体で、軸芯部
に鋼管製のパイプが有る場合と無い場合の残響室法吸音
率の比較を示すグラフである。
【図8】 図-1に示す外径が170mmの防水対策無
しの円筒型吸音体と、図-4に示す、厚みが12μmの
フッ化エチレン系薄膜でラッピングすることにより防水
対策を施した場合の円筒型吸音体の残響室法吸音率の比
較を示すグラフである。
【図9】 円筒間距離が0mmの場合と、所定の円筒間
距離を確保した場合の残響室法吸音率の比較を示すグラ
フである。
【図10】 本実施例のアルミニウム系多孔質吸音板と
グラスウールの自然通風における含吸率の変化を比較し
たグラフである。
【符号の説明】
1:アルミニウム系多孔質吸音板 2:グラスウール 3:キャップ 4:アルミニウム製パイプ 5:仕切板 6:フッ化エチレン系薄膜 7:上蓋 8:下蓋 9:排水孔 10:空気層 11:円筒型吸音体 12:透明板 13:側板
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G10K 11/162 G10K 11/16 A (72)発明者 関谷 正道 東京都大田区城南島2丁目2番2号株式会 社ユニックス内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム系多孔質吸音板を円筒状に
    成形し、該円筒の中に、円筒状に成形した軟質繊維系吸
    音材を組み込んで構成したことを特徴とする、円筒型吸
    音体。
  2. 【請求項2】 アルミニウム系多孔質吸音板を円筒状に
    成形し、該円筒の中に、円筒状に成形した軟質繊維系吸
    音材を組み込み、さらに円筒の軸芯部に丸棒を貫通させ
    て長手方向に連ねて並べたことを特徴とする、円筒型吸
    音体。
  3. 【請求項3】 アルミニウム系多孔質吸音板を円筒状に
    成形し、該円筒の中に、空気層を介して円筒状に成形し
    た軟質繊維系吸音材を組み込み、円筒吸音体の端部に排
    水孔を設けたことを特徴とする、円筒型吸音体。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3に記した、円筒状
    に成形した軟質繊維系吸音材の外面を、厚さが5μmか
    ら20μmのフッ化エチレン系薄膜および/またはポリ
    ビニリデン系薄膜で包み込んだことを特徴とする、円筒
    型吸音体。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4に記した円筒型吸
    音体を所定の間隔を置いて配列し、その背後に透明板を
    配設することにより透視性を有することを特徴とする、
    吸音装置。
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JP2006267571A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Nagata Kosakusho:Kk 防音装置
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