JPH11127863A - 新規ベクター - Google Patents

新規ベクター

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JPH11127863A
JPH11127863A JP9301078A JP30107897A JPH11127863A JP H11127863 A JPH11127863 A JP H11127863A JP 9301078 A JP9301078 A JP 9301078A JP 30107897 A JP30107897 A JP 30107897A JP H11127863 A JPH11127863 A JP H11127863A
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dna
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shimeji
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武 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 プロモーター活性を有するDNA及びタ
ーミネーター活性を有するDNA、上記DNAを含むベ
クター、並びに上記ベクターによって形質転換された形
質転換体である。 【効果】 木材腐朽菌及び菌根菌のいずれの担子菌をも
形質転換することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロモーター活性
を有するDNA、ターミネーター活性を有するDNA、
並びにそれらを利用したベクター及び形質転換体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ホンシメジ(Lyophyllum shimeji )は
担子菌に属し、従来、菌根菌として扱われてきた。しか
し、最近、腐生菌や木材腐朽菌と同様に穀物や木粉など
を用いた人工の培地で生育し,子実体を形成することの
できる品種が発見された(Ohta, A. Mycoscience 35, 1
47-151 (1994)参照)。また、ハタケシメジ(Lyophyllu
m decastes) は地中に埋もれた木材などに生育する木
材腐朽菌であるが、このハタケシメジは形態的にはホン
シメジに非常に近く、ホンシメジと同種ではないかとも
考えられている。以上のことを考慮すれば、ホンシメジ
は木材腐朽菌と菌根菌の両方の性質を有している可能性
が大きい。
【0003】一方、これまで担子菌を形質転換した例は
世界的にも少なく、担子菌を形質転換するために開発さ
れた担子菌用ベクターも非常に少なかった。しかも、こ
れらの担子菌用ベクターに用いられたプロモーター及び
ターミネーターは木材腐朽菌由来のものであったので、
このベクターを用いて菌根菌を形質転換することはでき
なかった。このため、菌根菌を形質転換することができ
るベクターの開発が望まれている。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、木材腐朽菌
及び菌根菌のいずれをも形質転換することができるベク
ターを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、ホンシメジのグリ
セルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子
(以下、「GPD遺伝子」という)の全領域の塩基配列
を決定するとともに、GPD遺伝子のプロモーター領域
及びターミネーター領域を特定することにより、ホンシ
メジ由来のプロモーター活性を有するDNA及びターミ
ネーター活性を有するDNAを含むベクターを用いれ
ば、菌根菌及び木材腐朽菌のいずれの担子菌をも形質転
換できることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、以下の(a)または
(b)の塩基配列により表され、かつプロモーター活性
を有するDNAである。 (a) 配列番号1に記載の塩基配列。 (b) 配列番号1に記載の塩基配列において、1若し
くは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基
配列。
【0007】また、本発明は、以下の(a)または
(b)の塩基配列により表され、かつターミネーター活
性を有するDNAである。 (a) 配列番号2に記載の塩基配列。 (b) 配列番号2に記載の塩基配列において、1若し
くは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基
配列。 さらに、本発明は、上記DNAを含むベクターである。
さらに、本発明は、上記ベクターによって形質転換され
た形質転換体である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のDNAは、以下の(a)または(b)の塩基配
列により表される。 (a) 配列番号1に記載の塩基配列。 (b) 配列番号1に記載の塩基配列において1若しく
は複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配
列。 ここで、「1若しくは複数個の塩基」とは、本願の出願
時に常用される技術により欠失、置換若しくは付加する
ことができ、かつプロモーター活性を喪失させない限
り、その個数は特に限定されないが、通常は、部位特異
的変異誘発法 (Zollerら., Nucleic Acids Res.10, 64
87−6500, 1982 )により欠失、置換若しくは付加するこ
とができる個数、即ち、1若しくは数個を意味する。
【0009】また、本発明のDNAは、以下の(a)ま
たは(b)の塩基配列により表される。 (a) 配列番号2に記載の塩基配列。 (b) 配列番号2に記載の塩基配列において、1若し
くは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基
配列。 ここで、「1若しくは複数個の塩基」とは、上記と同様
の意味である。本発明のDNAは、例えば、以下の工程
により得ることができる。 (1)GPD遺伝子の単離・同定 (2)プロモーター領域及びターミネーター領域の特定 (3)プロモーター活性を有するDNA及びターミネー
ター活性を有するDNAの単離
【0010】以下、各工程を説明する。 (1)GPD遺伝子の単離・同定 GPD遺伝子の単離・同定は、公知の方法に従って行な
うことができる。GPD遺伝子の単離は、例えば、次の
方法によって行なうことができる。すなわち、ホンシメ
ジから抽出したホンシメジの全DNAを鋳型とし、既知
のGPD遺伝子間でよく保存されている部分の塩基配列
に従って作製したプライマーを用いてPCR法を行な
い、目的のGPD遺伝子の一部を単離する。そして、こ
れをプローブとし、ホンシメジの全DNAに対してサザ
ンハイブリダイゼーションを行なうことにより、目的の
GPD遺伝子を単離することができる。また、GPD遺
伝子の同定は、例えば、マクサム・ギルバート法、サン
ガー法、又はこれらの自動化された変法等を用いて行な
うことができる。
【0011】(2)プロモーター領域及びターミネータ
ー領域の特定 プロモーター領域及びターミネーター領域の特定は、公
知の方法に従って行なうことができる。例えば、DNA
−mRNAのヘテロデュプレックスを電子顕微鏡で観察
する方法、S1マッピングを行なう方法、cDNAライ
ブラリーから得られた遺伝子の塩基配列と染色体DNA
ライブラリーから得られた遺伝子の塩基配列とを比較す
る方法等を用いて、プロモーター領域及びターミネータ
ー領域を特定することができる。また、GPD遺伝子の
塩基配列から開始コドン及び終始コドンを特定すること
により、プロモーター領域及びターミネーター領域を特
定することもできる。
【0012】(3)プロモーター活性を有するDNA及
びターミネーター活性を有するDNAの単離 プロモーター活性を有するDNA及びターミネーター活
性を有するDNAの単離は、適当な制限酵素を用いるこ
とによって行なうことができる。例えば、GPD遺伝子
を制限酵素NcoIで切断することによりプロモーター活性
を有するDNAを単離することができる。また、GPD
遺伝子を制限酵素XhoIで切断することによりターミネー
ター活性を有するDNAを単離することができる。
【0013】また、本発明のDNAは、化学合成により
得ることもできる。さらに、本発明のDNAは、その両
端に相補的なプライマーを用いたPCR法により得るこ
ともできる。本発明のベクターは、上記プロモーター活
性を有するDNA及び/又はターミネーター活性を有す
るDNAを含む。これらのDNAの間に、目的の遺伝子
を配置しておく。ここで、目的の遺伝子とは、それにコ
ードされている遺伝子産物(例えば、タンパク質、rR
NA、アンチセンスRNA等)の発現を目的とする遺伝
子を意味する。
【0014】本発明のベクターにより形質転換した形質
転換体の検出を容易にするために、上記DNAの間にマ
ーカー遺伝子及び/又はレポーター遺伝子を挿入しても
よい。このようなマーカー遺伝子及びレポーター遺伝子
としては、特に限定されず公知のいかなるマーカー遺伝
子及びレポーター遺伝子をも用いることができる。例え
ば、マーカー遺伝子としては、ハイグロマイシンBホス
ホトランスフェラーゼ遺伝子、ネオマイシンホスホトラ
ンスフェラーゼ遺伝子、オロチジン−5−リン酸デカル
ボキシラーゼ遺伝子等を用いることができ、レポーター
遺伝子としては、クロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ遺伝子、β−グルクロニダーゼ遺伝子等を
用いることができる。
【0015】本発明のベクターの構築は、公知の方法に
従って行なうことができる。本発明のベクターの構築に
用いることができるベクターは、特に限定されず公知の
いかなるベクターであってもよい。例えば、pUC18 、pU
C19 、M13mp18 、M13mp19 、λgt10、λgt11、YIp32 、
YRp7、pBI221等を本発明のベクターの構築に用いること
ができる。本発明の形質転換体は、本発明のベクターを
宿主に導入し宿主を形質転換することにより得ることが
できる。形質転換される宿主は特に限定されないが、担
子菌であるのが好ましい。本発明のベクターの宿主への
導入は、公知の方法を用いて行なうことができる。例え
ば、プロトプラスト法、リチウム法、エレクトロポレー
ション法、又はこれらの変法を用いて本発明のベクター
を宿主に導入することができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら限
定されるものではない。 〔実施例1〕 ホンシメジからのGPD遺伝子の単離 (1)先ず、ホンシメジ(Lyophylum shimeji)の培養
菌糸体から以下の方法で全DNAを抽出、精製した。野
生のホンシメジ子実体から菌糸を組織分離しGMY寒天
培地(グルコ−ス1%、麦芽エキス1%、酵母エキス0.
4%、寒天1.5%)で25℃で培養した。この栄養菌糸を
寒天培地ごと細かく切り刻み、1.5リットルのGMY液
体培地(グルコ−ス1%、麦芽エキス1%、酵母エキス
0.4%、pH5.6)に接種して2週間程度振とう培養した。
得られた菌糸体(湿重量約100g)を凍結乾燥した。
【0017】凍結乾燥菌糸体2gを乳鉢で破砕し、DN
A抽出用緩衝液(100mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、1
00mM NaCl、100mM エチレンジアミン四酢酸(以下
EDTAと略称)、1%ドデシル硫酸ナトリウム(以下
SDSと略称)、1%メルカプトエタノ−ル)に懸濁し
て65℃で2時間保温した。25,000×gで10分間遠心
し、上清を別の遠心チュ−ブに移した後、等量のTE
(10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA)飽
和フェノ−ルを加えてゆっくり撹拌し、再び25,000×
g、10分間遠心して上清を回収するという除蛋白操作
を行なった(フェノ−ル処理)。フェノ−ル処理を数回
繰り返した後TE飽和フェノ−ル:クロロホルム=1:
1の溶液で同様の処理を行い、上清を回収後1/10量の5
MNaClと2.5倍量のエタノ−ルを加えてDNAを析出
させた(エタノ−ル沈澱)。細いガラス棒で析出した糸
状のDNAを巻き取り、1mlのTEに溶かした後、最終
濃度50μg/mlのRNase A(SIGMA CHEMICAL CO.)を加え
て37℃、20分保温しRNAを分解した。フェノ−ル処理を
2回行ってRNase Aを除去し、エタノ−ル沈澱を行って
ガラス棒にてDNAを巻き取り、1mlのTEに溶かして
ホンシメジの全DNA試料とした。凍結乾燥菌糸体2g
から1mg以上の全DNAが得られた。
【0018】(2)ホンシメジのグリセルアルデヒド−
3−リン酸デヒドロゲナ−ゼ遺伝子(GPD遺伝子)の
検出は以下の手法により行った。すでに報告されている
Schizophyllm commune Agaricus bisporus 、及び P
hanerochaete chrysosporiumのGPD遺伝子の塩基配列
を参考にして(Martin C. Harmsen ら. Curr. genet. 2
2, 447-454 (1992) 参照)、担子菌のGPD遺伝子の最
もよく保存されていると思われる部分の配列に従って以
下に示すようなPCR用プライマ−を作製した。 プライマ−1: 5'-GGTCTACATGTTCAAGTACGAC-3' プライマ−2: 5'-TAGCCCCACTCGTTGTCGTACC-3' このプライマ−を用いて以下の反応条件でPCRを行
い、約950bpのDNA断片を得た。
【0019】
【0020】なお、耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Tth DN
A polymerase)と10× reaction bufferは東洋紡績
(株)、dNTPはDNA Polymerization Mixをファルマシア
バイオテク(株)より購入した。増幅されたDNA断
片は大腸菌用ベクタ−pUC18(Yanisch-Perron,C. et a
l. Gene 33, 103 (1985)参照)の制限酵素SmaI切断部位
に連結し、サ−カムベントフォトト−プDNAシ−クエ
ンスキット(New EnglandBiolabs,Inc.,USA)により塩
基配列を決定してGPD遺伝子の一部であることを確認
した。さらにこのDNA断片をNEBlotフォトト−プキッ
ト(New England Biolabs,Inc.,USA)によりビオチン標
識し、これをプロ−ブとしてホンシメジ全DNAに対し
てサザンハイブリダイゼ−ションを行い、図1に示した
GPDの構造遺伝子とその転写制御領域(プロモーター
領域及びターミネーター領域)を含む約2.75キロベ−ス
のDNA断片を検出した。
【0021】(3)図1に示したホンシメジ由来のDN
A断片は以下のように2断片に分割して単離した。ホン
シメジの全DNAを制限酵素HindIIIで切断しアガロ−
スゲル電気泳動でDNA断片を分画後、この電気泳動パ
タ−ンに対してサザンハイブリダイゼ−ションによるG
PD遺伝子の検出を行ったところ、タ−ミネ−タ−領域
を含む約1.75キロベ−スのDNA断片が検出された。こ
のDNA断片を大腸菌用ベクタ−pUC18のHindIII切断部
位に連結してクロ−ニングし、プラスミドpLS-DWを得た
(図2参照)。一方、ホンシメジの全DNAを制限酵素
HincIIとHindIIIの両方で切断してアガロ−スゲル電気
泳動で分画後、この電気泳動パタ−ンに対してサザンハ
イブリダイゼ−ションを行いプロモ−タ−領域を含む約
1キロベ−スのDNA断片を検出した。このDNA断片
を大腸菌用ベクタ−pUC18のHincII-HindIII切断部位に
連結してクロ−ニングし、プラスミドpLS-UPを得た(図
3参照)。クロ−ニングされたこの2つのDNA断片に
関して、図1に示されている各種制限酵素によって切断
箇所を詳細に調べるとともに塩基配列の決定を行い、こ
れらがGPD遺伝子の全領域と配列番号1及び2で示さ
れる領域を含む転写制御領域を有することを確認した。
【0022】〔実施例2〕次に、ホンシメジGPD遺伝
子の転写制御領域を組み込んだ担子菌の形質転換用ベク
タ−構築の実際を、ハイグロマイシンBホスホトランス
フェラ−ゼ遺伝子(hph遺伝子)をマ−カ−遺伝子と
して用いた場合について述べる。 (1)先ず、プラスミドpLS-UPを制限酵素HincIIで切断
し、ホンシメジGPD遺伝子のプロモ−タ−領域を含む
約500ベ−スのDNA断片を得た。これを大腸菌用ベク
タ−pUC18のHincII切断部位に連結し、プラスミドpLS-P
ROを作出した(図4参照)。ホンシメジGPD遺伝子は
制限酵素NcoIによって開始コドンATGの直前で切断さ
れ、プロモ−タ−領域と構造遺伝子以下の領域に分離で
きることが塩基配列の決定により明かとなっている。そ
こでプラスミドpLS-PROを制限酵素NcoIで切断し、DNA B
lunting Kit(宝酒造(株))により切り口を平滑末端
化した。さらに制限酵素KpnIで切断することにより、下
流側にKpnIの切り口を露出させた。一方、hph遺伝子
はプラスミドpHph 0(ベ−リンガ−マンハイム(株))
を鋳型としてPCRにより増幅した。増幅の反応条件は
以下の通りである。 プライマ−A : 5'-GGCCCGGGATGACCATGATTACGCCAAGCT-3' SmaI プライマ−B : 5'-GGGGTACCCGAACTGTGGACGAGAACTGTG-3' KpnI
【0023】
【0024】なお、Ex Taq DNA polymerase は宝酒造
(株)から購入し、dNTP、10×bufferはEx Taq DNA po
lymeraseに添付されていたものを用いた。増幅されたh
ph遺伝子は制限酵素SmaIとKpnIで切断し、先に制限酵
素処理をしておいたpLS-PROに連結して(DNA Ligation
Kit Ver.1 (宝酒造(株))使用)プラスミドpLS-PH
を作出した(図5参照)。これはホンシメジGPD遺伝
子のプロモ−タ−の下流にマ−カ−遺伝子であるhph
遺伝子を連結した、ベクタ−の中間体である。
【0025】(2)プラスミドpLS-PHを制限酵素KpnIで
切断し、DNA Blunting Kit(宝酒造(株))を用いて平
滑末端化した。一方、プラスミドpLS-DWを制限酵素XhoI
とHincIIで切断し、ホンシメジGPD遺伝子のタ−ミネ
−タ−領域を含む約950 bpのDNA断片を得た。このD
NA断片をDNA Blunting Kit(宝酒造(株))を用いて
平滑末端化し、先に制限酵素処理及び平滑末端化処理を
しておいたプラスミドpLS-PHにDNA Ligation Kit Ver.1
(宝酒造(株))を用いて連結しプラスミドpLS-PHTを
作出した(図6参照)。ここでプラスミドpSL-PHに連結
したDNA断片はタ−ミネ−タ−領域だけでなくホンシ
メジGPDの構造遺伝子の一部も含んでおり、mRNA
はhph遺伝子とホンシメジGPD遺伝子との融合遺伝
子のコピ−として転写されるが、翻訳の段階でhph遺
伝子の終止コドンが認識されホンシメジGPDの部分を
含まないハイグロマイシンBホスホトランスフェラ−ゼ
が生産される。従ってこれにより、目的のベクタ−が完
成した。
【0026】〔実施例3〕ホンシメジGPD遺伝子の転
写制御領域を組込んだ担子菌の形質転換用ベクタ−の担
子菌への導入方法の実際を、プラスミドpLS-PHTを木材
腐朽菌シイタケ(Lentinula edodes)及び菌根菌チチア
ワタケ(Suillus granulatus)に導入し形質転換した場
合について述べる。
【0027】(1)シイタケの栄養菌糸をGMY寒天培
地(直径9cmのシャ−レ4枚)に接種し、20日ほど培養
する。この培養菌糸を寒天培地ごとメスで細かく切り刻
みシャ−レ1枚につき200 mlのGMY液体培地に移植し
て4日間25℃で静置培養した。培養後300 ml容量の遠心
チュ−ブ4本に移し、4,000×g、10分間遠心して上清
を捨て集菌した。菌糸体を洗浄液(0.6 Mマンニト−
ル、0.05 Mマレイン酸-水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.
5))200 mlに懸濁し4,000×g、10分間遠心して洗浄し
た。この洗浄操作を3回繰り返し集菌後菌糸体を50 ml
の遠心チュ−ブ4本に移して酵素溶液(0.5%セルラ−
ゼオノヅカR-10(生化学工業(株))、0.1%ノボザイ
ム234(Novo Nordisk,Denmark)、0.6 Mマンニト−ル、
0.05 Mマレイン酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5))1
00 mlに懸濁した。30℃で3時間反応後、G3のガラスフ
ィルタ−で濾過して残った菌糸を除去し2,000×gで遠
心してプロトプラストを集めた。このプロトプラストを
10 mlのMTC緩衝液(0.6Mマンニト−ル、10mMトリス−塩
酸緩衝液(pH8.0) 、1 mM EDTA 、50 mM塩化カルシウ
ム)に懸濁後、2,000×gで遠心してプロトプラストを
集め、上清を捨てた。この洗浄操作を3回繰り返し2×1
07 個/400μlになるようプロトプラストをMTC緩衝液に
懸濁した。このプロトプラスト溶液400μlに40μgのプ
ラスミドpLS-PHTを加えて氷水中に10分間保温した後ジ
−ンパルサ−(Bio-Rad raboratories,Inc.,USA)で電
気パルスを加え、再び氷水中に10分間保温した。2.5倍
量の0.6MSMY液体培地(0.6Mシュ−クロ−ス、1%麦芽
エキス、0.4%イ−ストエキス)を加えて25℃で3日間培
養して細胞壁を再生させた後、50μg/mlのハイグロマ
イシンB(和光純薬工業(株))を含む0.6MSMY寒天
培地(0.6Mシュ−クロ−ス、1%麦芽エキス、0.4%イ−ス
トエキス、1.5%寒天)にまいて25℃で2週間培養し出現
したコロニ−を拾った。再び50μg/mlのハイグロマイ
シンBを含む0.6MSMY寒天培地に植え、生育してきた
株を形質転換体の候補株とした(シイタケ野生株に対す
るハイグロマイシンBの最小生育阻止濃度は10μg/m
l)。このプラスミド導入の実験結果を以下の表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】(2)表1にある4株の形質転換体候補株
を50μg/mlのハイグロマイシンBを含むGMY液体培
地1.5リットルに接種し、1ヶ月間振盪培養した。得ら
れた菌糸体を凍結乾燥し、実施例1の(1)で述べたの
と同様の方法で全DNAを抽出、精製した。この4株の
全DNAと野生株の全DNAを鋳型として実施例2の
(2)で述べたのと同様の方法でPCRを行ったとこ
ろ、形質転換体候補株の全DNAを鋳型に用いた場合の
みhph遺伝子とほぼ同じ分子量のDNA断片が増幅さ
れた。さらにこのうちの1株の全DNAを用いhph遺
伝子をプロ−ブとしてサザンハイブリダイゼ−ションを
行ったところ、hph遺伝子を含むDNA断片がシイタ
ケの染色体に挿入されていることが確認された。なお、
本発明のプロモーター活性を有するDNA及びターミネ
ーター活性を有するDNAを組み込んだプラスミドを導
入した木材腐朽菌シイタケMIL−S−001は、工業技術院
生命工学工業技術研究所にFERM P-16431 として寄託さ
れている(寄託日:平成 9年 9月17日)。
【0030】(3)さらにpLS-PHTの菌根菌に対する有
効性を確かめるため、栄養菌糸体の培養の容易なチチア
ワタケ(Suillus granulatus)への導入を行った。チチ
アワタケの栄養菌糸の培養、プロトプラストの作出、プ
ラスミドのプロトプラストへの導入方法等はシイタケの
場合と全く同様である。また、ハイグロマイシンBのチ
チアワタケに対する最小生育阻止濃度は10μg/mlであ
った。プラスミドの導入実験の結果を以下の表2に示
す。
【0031】
【表2】
【0032】これら出現したコロニ−のうち印加電圧が
2.0kV/cm、3.0kV/cm、4.0kV/cmの試験区からランダ
ムに6株ずつ拾って50μg/mlのハイグロマイシンBを
含むGMY寒天培地に植え、生育してきたものをそれぞ
れ1株ずつ選びシイタケの場合と同様にPCR及びサザ
ンハイブリダイゼ−ションを行ったところ、hph遺伝
子を含むDNA断片がチチアワタケの染色体に挿入され
ていることが確認された。以上の結果により、シイタケ
とチチアワタケで形質転換効率にかなりの差はあるもの
の、プラスミドpLS-PHTは担子菌の形質転換用ベクタ−
として木材腐朽菌及び菌根菌の両者に対して有効である
ことが示された。
【0033】
【発明の効果】本発明のプロモーター活性を有するDN
A及びターミネーター活性を有するDNAを含むベクタ
ーによれば、木材腐朽菌と菌根菌のどちらの担子菌をも
形質転換することができる。
【0034】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:188 配列の型:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:リオフィラム シメジ(Lyophyllum shimeji) 配列の特徴 GPD遺伝子のプロモーター領域 配列 GACAAAGATC TGAGGCCTAG GGGGCTCACA GGAGTGAATG CAGTCCCGTT GTGATATTCG 60 TGAAAGTTCC AATTTGGATG ATGACGACAT AATCGATCTC CGATGGATTG ATTATCTACT 120 CAGCCATTAT AAAACCCGCC TGGTCGCAGC ACATCCCAAA CTCCCCCCTC ACACACTTTT 180 TTATCACC 188
【0035】配列番号:2 配列の長さ:275 配列の型:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:リオフィラム シメジ(Lyophyllum shimeji) 配列の特徴 GPD遺伝子のターミネーター領域 配列 TAGATATCCC GTTCCCTACG ATCTCATCGC TCCCGCCCAT TGACACCCAA GCCCCCTTTT 60 CATCCACTTT CCACTTTTTC TCACTTGCTT AACGGGAGAG GAGATGTGGC TGATGCATGG 120 GCTGAAAGGA AACAACGGCT GTGATTCGGA CGCGTCTTAT GAGAAGGTAG TACTTTCCGA 180 CACATACGAC AATCGAAACA AATAGAAATT CTGTTGTACA AGTACTCGGA GTCATCATTC 240 AAGTACGTTT GTTTAGGTTG CTGCCGTGCT CTGAC 275
【図面の簡単な説明】
【図1】ホンシメジのGPD遺伝子とその転写制御領域
を含むDNA断片の制限酵素地図を示す図である。
【図2】プラスミドpLS-DWの制限酵素地図を示す図であ
る。
【図3】プラスミドpLS-UPの制限酵素地図を示す図であ
る。
【図4】プラスミドpLS-PROを構築するための手順を示
す図である。
【図5】中間体ベクタ−pLS-PHを構築するための手順を
示す図である。
【図6】組換え発現ベクタ−pLS-PHTを構築するための
手順を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:645)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)または(b)の塩基配列に
    より表され、かつプロモーター活性を有するDNA。 (a) 配列番号1に記載の塩基配列。 (b) 配列番号1に記載の塩基配列において、1若し
    くは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基
    配列。
  2. 【請求項2】 以下の(a)または(b)の塩基配列に
    より表され、かつターミネーター活性を有するDNA。 (a) 配列番号2に記載の塩基配列。 (b) 配列番号2に記載の塩基配列において、1若し
    くは複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基
    配列。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のDNA及び/又は請求項
    2記載のDNAを含むベクター。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のベクターによって形質転
    換された形質転換体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003070940A1 (fr) * 2002-02-25 2003-08-28 Oji Paper Co., Ltd. Gene d'enzyme de digestion de la cellulose et utilisation dudit gene

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