JPH11127850A - ポリ乳酸の分解方法 - Google Patents

ポリ乳酸の分解方法

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JPH11127850A
JPH11127850A JP31661697A JP31661697A JPH11127850A JP H11127850 A JPH11127850 A JP H11127850A JP 31661697 A JP31661697 A JP 31661697A JP 31661697 A JP31661697 A JP 31661697A JP H11127850 A JPH11127850 A JP H11127850A
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polylactic acid
silk
acid
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microorganism
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Yutaka Tokiwa
豊 常盤
Mariko Konno
真理子 金野
Haruo Nishida
治男 西田
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Tokuyama Corp
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Agency of Industrial Science and Technology
Tokuyama Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリ乳酸の微生物分解を安全にかつ速やかに
行うために、ポリ乳酸を分解する微生物を見出すこと、
および該微生物を用いてポリ乳酸を分解処理する方法を
提供する。 【解決手段】 FERM P−16463号として寄託
された新規菌株KT−S−9株などのシルク分解能を有
する微生物を用いて、紙おむつなどのポリ乳酸を含む組
成物を分解処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ乳酸を分解す
る能力を有するシルク分解微生物を用いて、ポリ乳酸を
含む組成物を速やかに分解処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軽くて強く、かつ成形性に優れた機能を
有するプラスチックは、近年ますます需要が伸び、その
生産量は1400万tにまで増加してきている。それに
伴い、廃棄されるプラスチックも著しく増大し、プラス
チック廃棄物の問題は深刻な社会問題の一つとして注目
を浴びてきている。
【0003】プラスチックの廃棄物処理方法として現在
行われている主な方法は、埋め立てと焼却である。しか
しながら、埋め立て処理については、プラスチックがか
さ高いため埋立地の寿命を短くするばかりでなく、埋立
地の安定化を阻害する。一方、焼却処理の場合、燃焼熱
が高いため焼却炉を痛めやすい。
【0004】このようなプラスチック廃棄物の問題の対
策の一つとして注目されているのが生分解性プラスチッ
クである。生分解性プラスチックは微生物によって分解
される素材であり、適当な分解環境中で微生物の作用に
よって炭酸ガスと水にまで分解するという特性を有す
る。
【0005】多くの種類の生分解性プラスチックが開発
されてきているが、とりわけ、天然素材であるグルコー
スを基質にして微生物の作用によって発酵生産される乳
酸を原料として合成されるポリ乳酸は、再生可能な原料
を用いている点で最も注目を集めている材料である。し
かしながら、このポリ乳酸については、分子量の高いポ
リマーを分解する微生物が殆ど知られておらず、唯一、
アプライド アンドエンバイロンメンタル マイクロバ
イオロジー(Applied and Environmental Microbiolog
y, 63, 1637-1640(1997))において、高分子量のポリ乳
酸を分解資化する微生物としてアミコラトプシスの1種
(Amycolatopsis sp.)が近年見いだされているに過ぎ
ない。この理由は、ポリ乳酸が天然中には存在しない物
質であることによるものと考えられる。
【0006】もし、ポリ乳酸が環境中で分解されるとす
れば、それはポリ乳酸が他の天然基質として見なされて
いる場合が考えられる。従って、ポリ乳酸の生分解処理
を実施する上で、ポリ乳酸をより速やかに分解する微生
物の探索のみならず、これら分解微生物がどのような種
類の微生物であるのか、ポリ乳酸がどのような天然基質
として見なされているのかという事がバイオハザードに
対する安全性の観点から重要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、ポリ乳酸の微生物分解を安全にかつ速やかに行うた
めに、ポリ乳酸を分解する微生物を見出すこと、および
該微生物を用いてポリ乳酸を分解処理する方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸が類似物と
して見なされている天然基質の一種がシルクであること
を初めて見いだし、さらに、シルク分解能を有する微生
物が高分子量のポリ乳酸も分解することを確認し、本発
明を完成するに到った。
【0009】即ち、本発明は、シルク分解能を有する微
生物を用いて、ポリ乳酸を分解処理することを特徴とす
るポリ乳酸の分解処理方法である。
【0010】本発明の要点の一つは、シルク分解能を有
する微生物が高分子量のポリ乳酸をも分解することを見
いだした点にある。シルクは天然基質でありながらその
分解性は低い。蚕繭に作用する酵素としてはカクナーゼ
(cocoonase)が知られており、幾種かのかび類がこの
酵素を分泌することが、レターズ イン アプライドマ
イクロバイオロジーに報告されている(Letters in App
lied Microbiology,21, 235-236 (1995))。しかしなが
ら、このカクナーゼによる分解は蚕繭の可溶性成分(脂
質、炭水化物、セリシン等)の分解にほぼ限られてお
り、シルクのかなりの部分を占める結晶性成分(特に、
フィブロインのコア部分)を分解する微生物は未だに知
られていない。今回、環境から分離したシルク分解微生
物、例えば、FERM P−16463号として寄託さ
れた新規菌株KT−S−9株は、シルクの結晶性成分を
分解する能力を有する放線菌であり、該放線菌自体が新
規な発見である。この放線菌は、高分子量のポリ乳酸を
微分散した培地上で培養した時、そのコロニーの周辺
に、ポリ乳酸が分解することによって生じるクリアーゾ
ーンを形成することが確認され、ポリ乳酸をシルクの類
似物として見なしていることが予測される。これは、グ
リシンとアラニンを主成分とする線状ポリペプチドであ
るシルクの結晶性成分を分解する微生物が、その分解酵
素の基質特異性の範囲内に骨格構造の類似したポリ乳酸
を含むことによると考えられる。
【0011】本発明では、シルク分解能を有する微生物
を用いることで、本来、微生物分解が非常に難しい高分
子量のポリ乳酸を含む組成物をより速やかに分解処理す
ることを可能にした点にある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、シルク分解能を
有する微生物とは、基本的にシルクの結晶性成分を分解
する微生物をいう。シルク結晶性成分を分解する微生物
の確認は、公知の方法を用いて確認することができる。
固体培養方法、液体培養による重量減少の確認、酸素要
求量、炭酸ガス発生量などの測定方法が用いられ得る
が、特に好適な方法としては、特願平4−219689
号に記載のポリマー生分解性評価用固体培地の製造方法
に準拠して作製したシルク微分散固体培地を用いて行う
ことがより効率的に実施できる。例えば、該培地上に環
境より採取した土壌などのサンプルを希釈塗沫し、形成
したコロニー周辺に、シルクが分解することによって生
じる透明な領域、いわゆるクリアーゾーンの形成によっ
て、該コロニーを形成した微生物がシルク分解微生物で
あることが確認できる。
【0013】上記のシルク分解微生物のスクリーニング
方法は、ポリ乳酸の分解性評価方法にも同様に用いられ
る。即ち、ポリ乳酸を微分散した固体培地上に、シルク
分解微生物のコロニーから採取した微生物を接種し、該
ポリ乳酸微分散固体培地上に形成したコロニーの周辺に
クリアーゾーンが形成することで、該コロニーを形成し
た微生物のポリ乳酸分解性が確認できる。
【0014】上記方法の組み合せによって、シルク結晶
性成分分解微生物のポリ乳酸分解性の確認が可能であ
る。このような微生物の具体例としては、FERM P
−16463号として寄託された新規菌株KT−S−9
株が挙げられる。このKT−S−9株は、姫路市の花壇
から採取した土壌より分離された。ここで分離した本発
明に係る新規菌株の菌株的性質は以下の通りである。
【0015】株の菌学的性質 a、形態 (1)コロニーの形と大きさ 円形、白色、5〜6mm (2)細胞の形状 放線菌 (3)グラム染色性 陽性 b、各種生理学的試験結果 (1)カタラーゼ + (2)オキシダーゼ − (3)酸素に対する態度 好気性 (4)硝酸塩の還元 +/− (5)ゼラチンの分解 + (6)VP−MRテスト − (7)色素生成 +(赤色) (8)生育温度範囲 20−37℃ (9)生育pH範囲 5−10 C、主な脂肪酸組成 12−メチルトリデカノイック アシッド 12.11% 13−メチルテトラデカノイック アシッド 13.53% アンテイソ−12−メチルテトラデカノイック アシッド 1.46% ペンタデカノイック アシッド 4.13% イソ−14−メチルペンタデカノイック アシッド 38.58% ヘキサデセノイック アシッド 3.96% ヘキサデカノイック アシッド 1.76% イソ−15−メチルヘキサデカノイック アシッド 1.87% アンテイソ−14−メチルヘキサデカノイック アシッド 1.30% ヘプタデセノイック アシッド 4.69% 2−ヒドロキシ イソヘキサデカノイック アシッド 4.38%. ヘプタデカノイック アシッド 6.64% イソ−10−メチルヘプタデカノイック アシッド 2.59% 10−メチルヘプタデカノイック アシッド 1.02% 本発明者らは、シルクとポリ乳酸の双方を分解する能力
を有する本発明の菌株について、上述の菌学的性質に基
づいて、公知の菌株との異同を検討した結果、この菌株
は、放線菌アクチノミセト(Actinomycete)に属する新
規な菌株であることが判明し、アクチノミセト・スピー
シーズ・KT−S−9株(Actinomycetespecies; Strai
n KT-S-9)と命名した。この微生物は、FERM P−
16463号として、工業技術院・生命工学工業技術研
究所に寄託、保管されている。
【0016】なお、後述する実施例に示すように、本発
明者等は、シルクとポリ乳酸の双方を分解する能力を有
する菌株として上記KT−S−9株以外の菌株(表1参
照。)も単離しているが、これら菌株は何れも放線菌で
あることを確認している。
【0017】本発明の微生物の菌体増殖用に使用する培
地は、この菌株が良好に生育するものであれば特に限定
されない。培地成分としては適当な炭素源、窒素源、無
機塩類、ビタミンや微量成分等を含有する。炭素源とし
ては、シルクおよびポリ乳酸に限らず、各種糖類のよう
な本発明の菌株が利用できる一種および2種以上の炭素
化合物を任意に炭素源として利用できる。窒素源として
は、特に限定されないが、各種アンモニウム塩のような
無機窒素源、ペプトンやイーストエキストラクト等のよ
うな有機窒素源が利用できる。有機窒素化合物を用いる
場合、これには炭素も含まれているので、菌体増殖用培
地にあっては別の炭素源は必ずしも必要ではない。無機
塩類としては、各種のリン酸塩、硫酸マグネシウムなど
が使用できる。微量成分としては、重金属塩(例、鉄
塩、マンガン塩等)を培地に含有させてもよい。さら
に、ビタミン等の生育因子を培地に添加することで菌体
増殖が促進され得るが、これらの微量の生育因子につい
ては、イーストエキストラクトで代用可能である。
【0018】菌体増殖用の培地として好ましいのは、放
線菌用平板培地(ISP2培地)である。該平板培地の
組成は、例えば、マルトエキストラクト10g、イース
トエキストラクト4g、グルコース4g、蒸留水1l、
寒天15gからなり、pHは7.0に調節して用いる。
該平板培地上に、シルク分解微生物をそのまま画線法
で、あるいは希釈液で塗布接種し、20〜37℃に調節
したインキュベーター中で静置して培養することで、良
好な増殖結果が得られやすい。
【0019】本発明において、ポリ乳酸とは、基本的に
下記構造の構成単位を有するポリマーである。
【0020】
【化1】 本発明において、ポリ乳酸とは、基本的に、乳酸エステ
ルユニットからなるポリマーであるが、乳酸エステル以
外のユニットが50%未満の含量で共重合されている場
合も含む。該乳酸エステル以外のユニットとしては、グ
リコリック酸エステルユニット、ヒドロキシカプロン酸
エステルユニット、トリメチレンカーボネートユニット
等が挙げられる。
【0021】乳酸エステルユニットとグリコリック酸エ
ステルユニットからなるポリ乳酸は、下記構造式に示す
ように、シルクのフィブロイン結晶部のコア部分の代表
的構成単位であるアラニン−グリシン連鎖と類似の構造
を有していることが解る。
【0022】
【化2】 高分子量のポリ乳酸は、乳酸発酵あるいは化学合成によ
って合成される乳酸を原料として、これを重合すること
で製造される。重合方法としては、一度、乳酸オリゴマ
ーを合成し、熱分解によってラクチドに変換して、さら
にラクチドの開環重合によって得る方法(ラクチド法)
と、乳酸の直接脱水重縮合によって得る方法(直接重縮
合法)とがある。いずれの方法を用いても高分子量のポ
リ乳酸が製造される。ただし、乳酸は光学異性体であ
り、L体とD体とが存在する。光学純度の違いにより合
成されたポリ乳酸の性状は著しく異なる。一般的にプラ
スチック材料としては、結晶化度および融点が高いポリ
(L−乳酸)が好適に用いられている。
【0023】本発明で分解処理されるポリ乳酸は、一般
的には、一旦、プラスチック製品として使用され廃棄さ
れたものであるため、他の素材との混合物であることが
多い。ポリ乳酸と混合される素材は特に限定されない
が、生分解性という観点から、これらの素材は、基本的
には微生物によって分解される素材である。該素材群と
しては、紙、澱粉、木片、籾がらなどのバイオマス、各
種食品素材、排泄物類、無機塩類、および生分解性ポリ
マー素材などである。ここで、生分解ポリマー素材と
は、ポリ乳酸以外のポリマー素材であり、具体的には、
ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、(3−ヒドロキシ酪酸/
3−ヒドロキシ吉草酸)共重合体、ポリカプロラクト
ン、ポリプロピオラクトン、ポリブチレンサクシネー
ト、ポリエチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル
類、ポリトリメチレンカーボネート等の脂肪族ポリカー
ボネート類、ポリエチレングリコール等のポリエーテル
類、ポリビニルアルコール等のポリアルコール類、カル
ボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体などであ
る。
【0024】ポリ乳酸の分解処理方法としては、コンポ
ストプラント内での処理、埋立地内での処理、農地での
堆肥化処理や土壌との混合処理、活性汚泥中での処理、
および環境中での処理などの方法が実施可能である。こ
れらの処理方法は、加水分解と微生物作用とが協同して
働いていると考えられる。具体的な微生物処理方法とし
ては、シルク分解微生物を培養液のまま、あるいは適当
な担体上に付着させた状態で上記のポリ乳酸、あるいは
ポリ乳酸を含む組成物に接種する方法、既に該微生物分
解処理した組成物残さを繰り返し用いて、これをポリ乳
酸、あるいはポリ乳酸を含む組成物と混合処理する方法
などが好適に実施される。
【0025】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0026】参考例1 シルク微分散固体培地の作製 基質として、シルクから精錬処理によって可溶性成分を
除去したフィブロインを更に希アルカリ処理し結晶成分
を主体とするシルクパウダーとし、これを用いた。該シ
ルクパウダーは蒸留水中で加熱攪拌しながら溶解懸濁成
分を溶出した後、濾過洗浄を行った。この操作を4回以
上くり返して、水不溶成分からなるシルクパウダーを調
製した。pH7.1に調製した無機塩培地(イースト・
エキストラクト100mg/l、FeSO4・7H2O1
0mg/l、MgSO4・7H2O200mg/l、(N
42SO41000mg/l、CaCl2・2H2O2
0mg/l、NaCl100mg/l、Na2MoO4
2H2O0.5mg/l、Na2WO40.5mg/l、
MnSO40.5mg)1lに上記シルクパウダー(1
g/l)を添加し超音波照射下で分散させた。さらに、
これに寒天(15g/l)を添加して、熱水上で加熱し
て溶解した後、オートクレーブ中で120℃20分間滅
菌処理を行った。その後、プレート上に分注してシルク
微分散固体培地を作製した。
【0027】参考例2 ポリ乳酸微分散固体培地の作製 ポリ乳酸(数平均分子量193600、重量平均分子量
368900)1gを塩化メチレン40mlに溶解し、
ポリ乳酸溶液を調製した。pH7.1に調製した無機塩
培地(参考例1に示した培地)1lに界面活性剤(第工
業製薬製プライサーフA−210G)(100mg/
l)及びポリ乳酸溶液を添加し、ホモジナイザーを用い
て乳化分散させた。さらに、これに寒天(15g)を添
加して、熱水上で加熱して溶解した後、オートクレーブ
中で120℃20分間滅菌処理を行った。その後、プレ
ート上に分注してポリ乳酸微分散固体培地を作製した。
【0028】実施例1 シルク分解微生物のスクリーニ
ング 各地の種々の環境中から採取した土壌28種類を滅菌蒸
留水を用いて希釈し、各希釈液の0.1mlを上記シル
ク微分散固体培地上に塗布接種した。接種後の固体培地
は、30℃のインキュベーター中で静置培養を行なっ
た。シルク分解微生物の確認は、固体培地上に形成した
コロニーの周囲に、微分散されたシルクを分解すること
によって生じる透明な領域(クリアーゾーン)の形成に
よって行った。採取した28種類の土壌の内、12種類
の土壌中にシルク分解微生物の存在が確認された。クリ
アーゾーンを形成するコロニーを釣菌・継代培養を繰り
返すことによって純菌化し、シルク分解微生物株として
単離した。表1に単離した微生物の分離源とクリアーゾ
ーンの形成日数を示した。例えば、最も早くクリアーゾ
ーンを形成した(7日)コロニーは、姫路市内の花壇の
土壌を接種した固体培地上で見いだされた。該コロニー
は釣菌され純菌化された後、新たなシルク微分散固体培
地上に画線接種されたところ、培養7日目にコロニーの
周囲にクリアーゾーンを形成した。該単離シルク分解微
生物を、KT−S−9株とした。図1にKT−S−9株
のコロニーとその周囲に形成したクリアーゾーンを示
す。該単離シルク分解微生物は、シルク微分散固体培地
上にコロニーを形成させたのち、8℃で保存した。さら
に、該コロニーをスキムミルク10%の溶液に分散させ
た後、凍結乾燥して保存した。
【0029】
【表1】 実施例2 KT−S−9株によるシルクの分解 放線菌用平板培地(ISP2培地)上に、KT−S−9
株を塗布接種した後、30℃に調節したインキュベータ
中で3日間、前培養を行なった。増殖したコロニーから
2白金耳を採り、滅菌蒸留水10ml中に懸濁させた。
次に、pH7.1に調製した無機塩培地(イーストエキ
ストラクト50mg/lとした以外は参考例1と同様の
培地)1lに、参考例1で調製した水不溶成分からなる
シルク1gを添加し超音波照射下に微分散させた。これ
を試験管(太試)に10mlづつ分注し、各試験管中に
それぞれ10mgのシルクが存在するようにした。該分
注した試験管は、滅菌処理を行った後に、KT−S−9
株の懸濁分散液0.1mlを接種した。該接種試験管
は、30℃/270rpmで振盪培養を行った。培養1
0日後に試験管を取り出し、一部凝集した内容物を再分
散させるために超音波照射した後に、メンブレンフィル
ター(セルロース系、孔径5μm)で濾過した。メンブ
ランフィルター上に捕集された濾過残さは、UVランプ
下に一晩保持した後に減圧乾燥し、秤量した。残さ重量
は、2.7mgであり、73%の重量減少が確認され
た。
【0030】比較例1 KT−S−9株を接種しないこと以外は、上記の実施例
2と全く同様に操作を行った結果、残さ重量は6.6m
gであり、34%の重量減少が確認された。この重量減
少は、操作に付随する減少量である。
【0031】以上の結果から、KT−S−9株による水
不溶成分からなるシルクの微生物分解が明らかである。
【0032】実施例3 シルク分解微生物によるポリ乳
酸の分解性の確認 表1に示したシルク分解微生物によるポリ乳酸の分解性
の確認を、参考例2で作製したポリ乳酸微分酸固体培地
を用いて、クリアーゾーンの形成によって行なった。代
表として、以下にKT−S−9株を用いた実施例を記
す。他の分離株もKT−S−9株と同様にしてポリ乳酸
の分解性を確認した。結果は、表1に併記した。
【0033】KT−S−9株のコロニー(2白金耳)を
採り、これを滅菌蒸留水を用いて希釈し、各希釈液の
0.1mlを参考例2で作製したポリ乳酸微分散固体培
地上に塗布接種した。接種後の固体培地は、30℃のイ
ンキュベーター中で静置培養を行なった。ポリ乳酸の分
解の確認は、該固体培地上に形成したKT−S−9株の
コロニーの周囲に、微分散されたポリ乳酸が分解するこ
とによって生じる透明な領域(クリアーゾーン)の形成
によって行った。培養37日後、コロニーの周囲に明確
なクリアーゾーンの形成が認められた(図2)。従っ
て、シルク分解微生物KT−S−9株が、ポリ乳酸も分
解することが明らかである。
【0034】実施例4 KT−S−9株によるポリ乳酸
の分解 ポリ乳酸(1g)を塩化メチレン40mlに溶解し、ポ
リ乳酸溶液を調製した。pH7.1に調製した無機塩培
地(イーストエキストラクト50mg/lとした以外は
参考例1と同様の培地)1lに界面活性剤(第工業製薬
製プライサーフA−210G)(100mg/l)及び
ポリ乳酸溶液を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化分
散させ、さらに熱水上で加熱して塩化メチレンを気化さ
せた。これを試験管(太試)に10mlづつ分注し、各
試験管中にそれぞれ10mgのポリ乳酸が存在するよう
にした。該分注した試験管は、滅菌処理を行った後に、
KT−S−9株の前培養液0.1mlを接種した。該接
種試験管は、30℃/270rpmで振盪培養を行っ
た。培養10日後に試験管を取り出し、一部凝集した内
容物を再分散させるために超音波照射した後に、クロロ
ホルム30mlを3回に分けて添加して残留ポリ乳酸を
溶解させた。ポリ乳酸の溶解を確認した後、クロロホル
ム相は分離し、そのままクロロホルムを気化させた。、
ポリ乳酸は、白色固体残さとして回収した。回収したポ
リ乳酸の重量を計った。その結果、KT−S−9株を接
種しない場合に比べ、42%の重量減少が確認された。
【0035】以上に結果から、KT−S−9株による水
不溶成分からなるポリ乳酸の分解が明らかである。
【0036】
【発明の効果】本発明は、プラスチックの廃棄物問題の
有効な対策として期待されている生分解性プラスチック
の利用の中で、再生可能な資源より合成されるポリ乳酸
の微生物分解を速やかにかつ安全に行うための分解処理
方法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のシルク微分散培地上での、KT−
S−9株のコロニーとその周囲に形成したクリアーゾー
ンを示す写真である。
【図2】 実施例3のポリ乳酸乳化分散培地上での、K
T−S−9株のコロニーとその周囲に形成したクリアー
ゾーンを示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:04) (72)発明者 金野 真理子 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内 (72)発明者 西田 治男 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シルク分解能を有する微生物を用いて、
    ポリ乳酸を分解処理することを特徴とするポリ乳酸の分
    解処理方法。
  2. 【請求項2】 シルク分解能とポリ乳酸分解能を共に有
    する放線菌。
  3. 【請求項3】 シルク分解能を有するアクチノミセト・
    スピーシーズ・KT−S−9株(FERM P−164
    63)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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