JPH1112678A - マルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品及びその製造方法 - Google Patents
マルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品及びその製造方法Info
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- JPH1112678A JPH1112678A JP16714497A JP16714497A JPH1112678A JP H1112678 A JPH1112678 A JP H1112678A JP 16714497 A JP16714497 A JP 16714497A JP 16714497 A JP16714497 A JP 16714497A JP H1112678 A JPH1112678 A JP H1112678A
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Abstract
強度が700MPa以上、引張強度が1000MPa以上で、0.65以
上の降伏比と 60J/cm2以上の2mmUノッチシャルピー衝
撃値とを確保できる熱間鍛造部品及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.0%、Mn:
1.5〜3.0%、Cu:0.01〜0.5%、Cr:0.5〜1.5%、Ti:
0.01〜0.10%、B:0.0005〜0.010%、N:0.003〜0.015
%、Ni≦0.2%、Mo≦0.2%、V≦0.50%、Nb≦0.05%、A
l≦0.10%、Pb≦0.30%、Te≦0.10%、Ca≦0.010%、P
≦0.10%、S ≦0.01%、残部Feと不純物、Ti/N≧3.4の
組成で、全組織中のマルテンサイトが面積率で20〜95
%、マルテンサイト以外の組織中のベイナイトの割合が
面積率で70%以上のマルテンサイト・ベイナイト型熱間
鍛造部品。その製造方法は、1100℃以上に加熱して熱間
鍛造し、鍛造を900℃以上で終了した後30〜300℃/分の
冷却速度で冷却する。
Description
テンサイトとベイナイトの混合組織からなるマルテンサ
イト・ベイナイト型熱間鍛造部品及びその製造方法に関
する。更に詳しくは、熱間鍛造後に焼入れ焼戻しの調質
処理を施さなくとも、高い強度、大きな降伏比及び優れ
た靭性を有するマルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造
部品及びその製造方法に関する。
械、土木建設機械などのエンジン部品としてのクランク
シャフトやコンロッド、あるいはフォ−フリクトの爪な
どは、従来、機械構造用の炭素鋼(S45C、S50C
など)や合金鋼(SCM440など)を用いて、熱間鍛
造により成形した後、調質処理を施して所望の形状と性
能を確保していた。
理を行うには多大の熱エネルギ−を要するので製造コス
トが嵩む。そのため、省エネルギ−及びコスト低減の観
点から、熱間鍛造のままで、熱間鍛造後に調質処理を施
した場合と同等程度の特性を確保できる非調質鋼の開発
が行われ、この非調質鋼を母材として各種の機械構造部
品(熱間鍛造部品)が製造されてきた。
ナイトあるいはベイナイト・フェライトの組織を有する
ベイナイト型の「熱間鍛造用非調質鋼」が開示されてい
る。しかし、この公報で提案された非調質鋼を母材とす
る熱間鍛造部品の場合、その実施例の記載からも明らか
なように、高々87kgf/mm2 (853MPa)の
引張強度と高々65kgf/mm2 (637MPa)の
降伏強度しか得られない。したがって、更に高い強度が
要求される部品に対しては適用し難いものである。
が主としてフェライト及びベイナイトで一部パーライト
が共存する「高靭性熱間鍛造用非調質鋼」が開示されて
いる。しかし、この公報で提案された非調質鋼を母材と
する熱間鍛造部品の場合も、その実施例の図1から明ら
かなように、高々75kgf/mm2 (735MPa)
の引張強度と高々55kgf/mm2 (539MPa)
の降伏強度しか得られない。したがって、更に高い強度
が要求される部品に対しては適用し難いものである。
間鍛造部品に、高い強度、例えば700MPa以上の降
伏強度と1000MPa以上の引張強度を確保でき、し
かも良好な靭性と大きな降伏比を確保させる技術の開発
が熱望されている。
鍛造のままで調質処理を行わずとも、降伏強度が700
MPa以上、引張強度が1000MPa以上で、しかも
0.65以上の降伏比(降伏強度/引張強度)と60J
/cm2 以上の2mmUノッチシャルピー衝撃値を確保
することができる熱間鍛造部品及びその製造方法を提供
することにある。
(1)のマルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品及
び(2)のその製造方法にある。
%、Si:0.1〜1.0%、Mn:1.5〜3.0
%、Cu:0.01〜0.5%、Cr:0.5〜1.5
%、Ti:0.01〜0.10%、B:0.0005〜
0.010%、N:0.003〜0.015%、Ni:
0〜0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.50
%、Nb:0〜0.05%、Al:0〜0.10%、P
b:0〜0.30%、Te:0〜0.10%、Ca:0
〜0.010%、P:0.10%以下、S:0.10%
以下、残部はFe及び不可避不純物からなり、下記式
で表されるfn1がfn1≧3.4の組成であって、全
組織中のマルテンサイトが面積率で20〜95%で、更
に、マルテンサイト以外の組織中にベイナイトの占める
割合が面積率で70%以上であることを特徴とするマル
テンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品。
0.1〜1.0%、Mn:1.5〜3.0%、Cu:
0.01〜0.5%、Cr:0.5〜1.5%、Ti:
0.01〜0.10%、B:0.0005〜0.010
%、N:0.003〜0.015%、Ni:0〜0.2
%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.50%、Nb:
0〜0.05%、Al:0〜0.10%、Pb:0〜
0.30%、Te:0〜0.10%、Ca:0〜0.0
10%、P:0.10%以下、S:0.10%以下、残
部はFe及び不可避不純物からなり、上記式で表され
るfn1がfn1≧3.4の組成の鋼材を、1100℃
以上の温度に加熱して熱間鍛造し、熱間鍛造を900℃
以上の温度で終了した後30〜300℃/分の冷却速度
で冷却することを特徴とするマルテンサイト・ベイナイ
ト型熱間鍛造部品の製造方法。
ける組織を指す。鋼材の加熱温度は鋼材表面における温
度をいい、熱間鍛造の終了温度も熱間鍛造部品の表面に
おける温度をいう。冷却速度とは、熱間鍛造部品の表面
における900〜400℃の平均冷却速度を指す。
いて、ベイナイト以外の組織はフェライト、パーライト
やオーステナイトが変態せずに残った所謂「残留オース
テナイト」などである。
となく各種の熱間鍛造部品に、高い強度、良好な靭性と
大きな降伏比を確保させるために、熱間鍛造部品のミク
ロ組織及びその母材鋼となる鋼の化学組成について種々
検討した。その結果、下記の知見を得た。
を含む組織であれば、熱間鍛造ままでも高い強度が得ら
れる。
組織において、マルテンサイト以外の組織中にベイナイ
トの占める割合が面積率で70%以上であれば、高い強
度と良好な靭性とを兼備できる。
た鋼を熱間鍛造部品の母材鋼に用いれば、高い降伏強度
が得られ、降伏比も大きくなる。更に、靭性も良好にな
る。
ものである。
する。なお、成分含有量の「%」は「重量%」を意味す
る。
その含有量が0.15%未満では所望の1000MPa
以上の引張強度が得られない。一方、0.35%を超え
て含有すると靭性が低下して、60J/cm2 以上の2
mmUノッチシャルピー衝撃値を得難くなる。更に、切
削性が劣化するようになるので、機械加工による仕上げ
整形を必要とする場合には切削コストが嵩んでしまう。
したがって、Cの含有量を0.15〜0.35%とし
た。
を高める作用がある。前記の効果を充分発揮させるため
には、Siの含有量を0.1%以上とすることが必要で
ある。一方、Siを1.0%を超えて含有させても前記
の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがっ
て、Siの含有量を0.1〜1.0%とした。
uと複合添加すると降伏強度、降伏比及び靭性を高める
作用も有する。こうした効果を充分発揮させるために
は、1.5%以上の含有量を必要とする。しかし、Mn
を3.0%を超えて含有させるとその効果は飽和してコ
ストが嵩むだけでなく、むしろ焼入れ性が高くなりすぎ
てマルテンサイトの単相組織となり易く、降伏比が低下
してしまう。更に、切削性が低下して機械加工による仕
上げ整形を必要とする場合には切削コストが嵩んでしま
う。したがって、Mnの含有量を1.5〜3.0%とし
た。
性を高める作用を有する。しかしながら、その含有量が
0.01%未満では添加効果に乏しい。一方、Mnと複
合添加した場合にはCuを0.5%を超えて含有させて
も前記の効果は飽和して経済性が損なわれるだけでな
く、靭性の著しい低下をもたらす。したがって、Cuの
含有量を0.01〜0.5%とした。
する。この効果を確実に得るには、Crは0.5%以上
の含有量とする必要がある。しかし、1.5%を超えて
含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩むばかりで
ある。したがって、Crの含有量を0.5〜1.5%と
した。
び靭性を高める作用を有する。更に、後述のN含有量の
下において、式で表されるfn1が3.4以上の値の
場合にNを固定することでBの焼入れ性向上効果を充分
発揮させる作用もある。こうした効果を確保するために
は、Tiは0.01%以上の含有量を必要とする。しか
し、0.10%を超えて含有させると炭窒化物が凝集粗
大化して結晶粒微細化効果が失われ経済性を損なうばか
りか、却って結晶粒が粗大化して靭性の低下を招く。し
たがって、Tiの含有量を0.01〜0.10%とし
た。
る作用がある。しかし、その含有量が0.0005%未
満では添加効果に乏しい。一方、0.010%を超えて
含有させてもその効果は飽和するばかりか、熱間加工性
の低下を招くようになる。したがって、Bの含有量を
0.0005〜0.010%とした。
めに、その含有量はできるだけ少なくする方が良い。し
かし、工業的な生産規模でその含有量を0.003%未
満にすることは困難であるし費用も嵩む。一方、Nを
0.015%を超えて含有させると、前記の量のTiを
含有させてもBNが生成し、鋼の焼入れ性が低下して所
望の強度が得られない場合がある。したがって、Nの含
有量を0.003〜0.015%とした。
用がある。この効果を確実に得るには、Niは0.05
%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Niを
0.2%を超えて含有させても前記の効果は飽和して経
済性を損なうし、切削性が低下する。したがって、Ni
の含有量を0〜0.2%とした。
性を向上させる作用がある。この効果を確実に得るに
は、Moは0.05%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、0.2%を超えて含有させても前記の効果
は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、M
oの含有量を0〜0.2%とした。
を生成して、強度を高める作用がある。この効果を確実
に得るには、Vは0.05%以上の含有量とすることが
好ましい。しかし、0.50%を超えて含有させても前
記の効果は飽和し、経済性を損なうばかりである。した
がって、Vの含有量を0〜0.50%とした。
物を生成して、強度を高める作用を有する。この効果を
確実に得るには、Nbは0.01%以上の含有量とする
ことが好ましい。しかし、0.05%を超えて含有させ
ても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。
したがって、Nbの含有量を0〜0.05%とした。
用を有する。更に、酸化物あるいは窒化物を生成して結
晶粒を微細化し、強度及び靭性を高める作用を有する。
こうした効果を確実に得るには、Alは0.01%以上
の含有量とすることが好ましい。しかし、0.10%を
超えて含有させると切削性の低下を招く。したがって、
Alの含有量を0〜0.10%とした。なお、Al含有
量とは所謂「sol.Al(酸可溶性Al)量」のこと
をいう。
作用を有する。この効果を確実に得るには、Pbは0.
05%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、そ
の含有量が0.30%を超えると疲労強度が著しく低下
して耐疲労特性の劣化を招く。したがって、Pbの含有
量を0〜0.30%とした。
作用を有する。この効果を確実に得るには、Teは0.
01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、そ
の含有量が0.10%を超えると熱間加工性が著しく低
下し、生産性を損なう。したがって、Teの含有量を0
〜0.10%とした。
様に被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得
るには、Caは0.001%以上の含有量とすることが
好ましい。しかし、その含有量が0.010%を超える
と熱間加工性が低下して生産性を損なうようになる。し
たがって、Caの含有量を0〜0.010%とした。
成分として添加しなくても良い。添加すれば降伏強度を
高める作用がある。この効果を確実に得るには、Pは
0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.10%を超えると靭性の著しい低
下を招く。したがって、Pの含有量を0.10%以下と
した。
分として添加しなくても良い。添加すれば切削性を高め
る作用がある。この効果を確実に得るには、Sは0.0
15%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、そ
の含有量が0.10%を超えると靭性の低下をきたす。
したがって、Sの含有量を0.10%以下とした。
るfn1が3.4以上の値(fn1=Ti(%)/N
(%)≧3.4)の場合に前記したBの焼入れ性向上効
果が確保でき、所望の高強度と良好な靭性が得られる。
したがって、本発明では式で表されるfn1に関して
fn1≧3.4と規定する。このfn1の値の上限は特
に規定されるものではなく、Tiが0.10%でNが
0.003%の場合の値の33.33であっても良い。
が面積率で20%未満の場合には、所望の1000MP
a以上の引張強度が安定して得られない。一方、マルテ
ンサイトの面積率が95%を超えると靭性の著しい低下
を招く。
〜95%の場合であっても、マルテンサイト以外の組織
中に占めるベイナイトの割合が面積率で70%未満の場
合には、1000MPa以上の引張強度と60J/cm
2 以上の2mmUノッチシャルピー衝撃値とを安定して
同時に確保することが困難となる。したがって、熱間鍛
造部品の組織を、全組織中のマルテンサイトが面積率で
20〜95%で、更に、マルテンサイト以外の組織中に
ベイナイトの占める割合が面積率で70%以上であるも
のと規定した。
割合は、面積率で40〜60%であることが好ましい。
20〜95%の場合であれば、マルテンサイト以外の組
織においてベイナイトの占める割合が面積率で100
%、つまり、組織がマルテンサイトとベイナイトとの完
全な混合組織であっても良い。
は、炭化物などがオーステナイト中に充分固溶せずに焼
入れ性が低下したり、変形抵抗が大きくなって熱間での
鍛造が困難になる場合がある。したがって、鋼材の加熱
温度を1100℃以上の温度とした。なお、この加熱温
度の上限は1300℃程度とすることが好ましい。
くなるばかりか、炭化物や窒化物が凝集粗大化し、その
結果、結晶粒が著しく粗大化して靭性の低下を招く場合
がある。したがって、熱間鍛造終了温度を900℃以上
の温度とした。なお、この熱間鍛造の終了温度は105
0℃程度を上限とすることが好ましい。
望の組織、つまり全組織中のマルテンサイトが面積率で
20〜95%で、更に、マルテンサイト以外の組織中に
ベイナイトの占める割合が面積率で70%以上である組
織を、安定して熱間鍛造部品に付与することが困難とな
る。一方、300℃/分を超える場合には後述の実施例
で示すように全組織中のマルテンサイトの面積率が95
%を超えてしまい靭性の著しい低下を招く。したがっ
て、熱間鍛造後の冷却速度を30〜300℃/分とし
た。
法によって試験炉を用いて150kg真空溶製した。表
1における鋼1〜15は化学組成が本発明で規定する範
囲内の鋼(以下、単に本発明鋼という)、表2における
鋼16〜30は成分のいずれかが本発明で規定する範囲
から外れた比較鋼である。
を1200℃に加熱した後、1000℃の仕上げ温度で
厚さ35mm×幅90mm幅×長さ1000mmの鋼板
に熱間鍛造し、その後鋼組成に応じて30〜45℃/分
の冷却速度で冷却した。
S4号引張試験片とJIS3号シャルピー衝撃試験片
(2mmUノッチシャルピー衝撃試験片)を切り出し、
常温で試験を行った。鋼板の中心部からは組織観察用の
試験片も切り出し、光学顕微鏡による中心部の組織観察
を行った。なお、全組織中のマルテンサイトの面積率及
びマルテンサイト以外の組織中にベイナイトの占める割
合(面積率)は、いずれも通常の方法で画像処理して判
定した。
織はいずれも全組織中のマルテンサイトが面積率で20
〜95%で、更に、マルテンサイト以外の組織中にベイ
ナイトの占める割合が面積率で70%以上であり、所望
の700MPa以上の降伏強度、1000MPa以上の
引張強度、0.65以上の降伏比と60J/cm2 以上
の2mmUノッチシャルピー衝撃値が得られている。
び鋼30は、組織はいずれも全組織中のマルテンサイト
が面積率で20〜95%で、更に、マルテンサイト以外
の組織中にベイナイトの占める割合が面積率で70%以
上であるが、降伏強度、引張強度、降伏比と2mmUノ
ッチシャルピー衝撃値のうち少なくとも1つが所望の値
に達していない。すなわち、Cの含有量が低めに外れた
鋼16、Siの含有量が低めに外れた鋼18、Crの含
有量が低めに外れた鋼24及びNの含有量が高めに外れ
るとともにfn1の値が低めに外れた鋼26は引張強度
又は、降伏強度と引張強度の双方が目標値に未達であ
る。又、Cの含有量が高めに外れた鋼17、Pの含有量
が高めに外れた鋼20、Sの含有量が高めに外れた鋼2
1、Cuの含有量が高めに外れた鋼23及びTiの含有
量が高めに外れた鋼30は2mmUノッチシャルピー衝
撃値が目標値に達していない。Mnの含有量が低めに外
れた鋼19及びCuの含有量が低めに外れた鋼22は降
伏比が目標値に達していない。更に、Nの含有量が低め
に外れた鋼25及びTiの含有量が低めに外れるととも
にfn1の値が低めに外れた鋼27は、引張強度及び2
mmUノッチシャルピー衝撃値が目標値に達していな
い。
規定する組織が得られていないので強度(降伏強度と引
張強度)及び2mmUノッチシャルピー衝撃値が目標値
に達していない。すなわち、Mn、Cr及びBの含有量
が低めに外れるために、組織がマルテンサイトを含まな
いものとなった鋼28、及びfn1の値が低めに外れる
とともにMn及びCrの含有量が低めに外れるために、
やはり組織がマルテンサイトを含まないものとなった鋼
29は、降伏強度と引張強度及び2mmUノッチシャル
ピー衝撃値が目標値に達していない。
31及び鋼32を通常の方法によって試験炉を用いて1
50kg真空溶製した。
を1200℃に加熱した後、1000℃の仕上げ温度で
厚さ35mm×幅90mm幅×長さ1000mmの鋼板
に熱間鍛造した。鍛造後は鋼31を母材鋼とする鋼板は
40℃/分及び500℃/分の冷却速度で、又、鋼32
を母材鋼とする鋼板は40℃/分及び10℃/分の冷却
速度で冷却した。
S4号引張試験片とJIS3号シャルピー衝撃試験片
(2mmUノッチシャルピー衝撃試験片)を切り出し、
常温で試験を行った。鋼板の中心部からは組織観察用の
試験片も切り出し、光学顕微鏡による中心部の組織観察
を行った。なお、全組織中のマルテンサイトの面積率及
びマルテンサイト以外の組織中にベイナイトの占める割
合(面積率)は、いずれも通常の方法で画像処理して判
定した。
規定する範囲内の冷却速度の40℃/分で冷却した場合
(試験番号1及び3)には、その組織はいずれも全組織
中のマルテンサイトが面積率で20〜95%で、更に、
マルテンサイト以外の組織中にベイナイトの占める割合
が面積率で70%以上であり、所望の700MPa以上
の降伏強度、1000MPa以上の引張強度、0.65
以上の降伏比と60J/cm2 以上の2mmUノッチシ
ャルピー衝撃値が得られている。
造後の冷却速度が本発明で規定する上限を外れた500
℃/分の場合(試験番号2)には、全組織中のマルテン
サイトの面積率が95%を超えるので靭性が著しく低下
し、2mmUノッチシャルピー衝撃値が目標値に達して
いない。
速度が本発明で規定する下限を外れた10℃/分の場合
(試験番号4)には、全組織中のマルテンサイトの面積
率が20%を下回るので引張強度と降伏強度とが目標値
に達していない。
熱間鍛造部品は、熱間鍛造のままで調質処理を行わずと
も、700MPa以上の降伏強度、1000MPa以上
の引張強度、0.65以上の降伏比と60J/cm2 以
上の2mmUノッチシャルピー衝撃値を有するので、高
強度の各種機械構造部品などとして用いることができ
る。このマルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品
は、本発明の方法によって比較的容易に得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.15〜0.35%、S
i:0.1〜1.0%、Mn:1.5〜3.0%、C
u:0.01〜0.5%、Cr:0.5〜1.5%、T
i:0.01〜0.10%、B:0.0005〜0.0
10%、N:0.003〜0.015%、Ni:0〜
0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.50%、
Nb:0〜0.05%、Al:0〜0.10%、Pb:
0〜0.30%、Te:0〜0.10%、Ca:0〜
0.010%、P:0.10%以下、S:0.10%以
下、残部はFe及び不可避不純物からなり、下記式で
表されるfn1がfn1≧3.4の組成であって、全組
織中のマルテンサイトが面積率で20〜95%で、更
に、マルテンサイト以外の組織中にベイナイトの占める
割合が面積率で70%以上であることを特徴とするマル
テンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品。 fn1=Ti(%)/N(%)・・・・ - 【請求項2】重量%で、C:0.15〜0.35%、S
i:0.1〜1.0%、Mn:1.5〜3.0%、C
u:0.01〜0.5%、Cr:0.5〜1.5%、T
i:0.01〜0.10%、B:0.0005〜0.0
10%、N:0.003〜0.015%、Ni:0〜
0.2%、Mo:0〜0.2%、V:0〜0.50%、
Nb:0〜0.05%、Al:0〜0.10%、Pb:
0〜0.30%、Te:0〜0.10%、Ca:0〜
0.010%、P:0.10%以下、S:0.10%以
下、残部はFe及び不可避不純物からなり、下記式で
表されるfn1がfn1≧3.4の組成の鋼材を、11
00℃以上の温度に加熱して熱間鍛造し、熱間鍛造を9
00℃以上の温度で終了した後30〜300℃/分の冷
却速度で冷却することを特徴とするマルテンサイト・ベ
イナイト型熱間鍛造部品の製造方法。 fn1=Ti(%)/N(%)・・・・
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16714497A JP3468031B2 (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | マルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16714497A JP3468031B2 (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | マルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1112678A true JPH1112678A (ja) | 1999-01-19 |
JP3468031B2 JP3468031B2 (ja) | 2003-11-17 |
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ID=15844245
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP16714497A Expired - Fee Related JP3468031B2 (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | マルテンサイト・ベイナイト型熱間鍛造部品及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3468031B2 (ja) |
Cited By (10)
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