JPH1112644A - 酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法 - Google Patents

酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法

Info

Publication number
JPH1112644A
JPH1112644A JP17062897A JP17062897A JPH1112644A JP H1112644 A JPH1112644 A JP H1112644A JP 17062897 A JP17062897 A JP 17062897A JP 17062897 A JP17062897 A JP 17062897A JP H1112644 A JPH1112644 A JP H1112644A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antioxidant
weight
sodium silicate
parts
chromium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17062897A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Namekawa
滑川  孝
Takashi Naito
内藤  孝
Yasutaka Suzuki
康隆 鈴木
Narihisa Motowaki
成久 元脇
Hirotaka Yamamoto
浩貴 山本
Shingo Yoshitome
伸吾 吉留
Ryoji Inoue
良二 井上
Kiyoshi Koto
精 古都
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP17062897A priority Critical patent/JPH1112644A/ja
Publication of JPH1112644A publication Critical patent/JPH1112644A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】広い温度範囲に酸化防止効果を発揮する酸化防
止剤を提供する。 【解決手段】酸化防止剤は、クロム炭化物またはクロム
珪化物またはチタン炭化物のうちの少なくとも一種と酸
化アルミニウムと珪酸ナトリウムとを含むものであっ
て、熱間加工時におけるFe−Ni合金の酸素親和性よ
りも強いので、酸化層の発生が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属の加熱時の酸
化防止剤に係り、特にFe−Ni合金の内部酸化及び粒
界酸化などを含めた酸化層の発生を防止することができ
る酸化防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe系金属では、スラブから熱間圧延や
熱間鍛造などの熱間加工する前の高温加熱時に、そのス
ラブ表面部が酸化されるので、熱処理後の熱間加工時に
おいて耳割れなどが発生し、材料の歩留まりが低下する
こと、これに対処するためのグラインダによる表面研削
などを実施すれば工数が増加することなどが知られてい
る。そして、Fe−Ni合金の酸化が始まる約500℃
から、熱間加工が容易に行える1300℃までの範囲に
おいて、表面酸化を防止するために、酸化防止剤に関し
種々の技術検討が進められている。例えば、Fe系金属
の1つであるFe−Ni合金の酸化防止剤としては、特
公平6−6744号及び特開平3−291325号公報
に開示され、炭化物系の酸化防止剤としては、特開昭5
6−98418号公報に、金属クロムや金属チタンを用
いた酸化防止剤としては、特開平3−243716号公
報に示された従来技術がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のうちの、特公平6−6744号公報記載の酸化
防止剤は、Cr2O3,Al2O3,SiO2を主成分としたものであ
り、これらの酸化防止剤を構成する酸化物元素は、高融
点酸化物であるため熱間加工前の1300℃の熱処理に
おいて、その加熱過程の酸化が開始する500℃前後の
低温時では酸化防止剤は緻密性はなく、また、Fe−N
i合金との密着性が不十分のため酸素侵入を完全に抑制
することができず、低温時の酸化防止が不十分である。
このために、1300℃の高温側においても、低温時の
侵入酸素により酸化されるなど、Fe−Ni合金用酸化
防止剤として十分なものと言えない。
【0004】また、特開平3−291325号公報記載
の酸化防止剤は、SiO2−B2O3をベースガラスとして高融
点化するために、 フィラー材としてAl2O3及びZrSiO4
用いたものである。 この酸化防止剤は、ベースガラス
の主成分がSiO2,B2O3であるため、緻密性,密着性にお
いては、酸化防止剤としての効果は得られる。しかし、
1000℃以上の高温領域では、酸化防止剤が溶融してFe
−Ni合金との反応が進むために、酸化スケール及び粒
界酸化が起こり、Fe−Ni合金の酸化を十分に防止す
るのは困難である。
【0005】更に、特開昭56−98418号公報記載
の酸化防止剤は、二層構造からなっており、鋼材に直接
に接する下層部は金属クロムを含めた金属炭化物からな
り、かつ上層部は Cr2O3−金属粉−SiO2系の酸化防止剤
の層から形成されたものである。この酸化防止剤は鋼材
に直接に接する下地膜に高融点の金属炭化物が使われて
いるため、鋼材酸化が開始する500℃の低温では、酸
素の侵入抑制に不可欠な酸化防止剤の緻密性においては
不十分であり、低温から高温までの広範囲な酸化防止効
果は期待できない。
【0006】またさらに、特開平3−243716号公
報記載の酸化防止剤は、Fe−Ni合金用であり、金属
クロムや金属チタン及びAlとLi2Oとを含んだ珪酸ナト
リウムから構成されたものである。この酸化防止剤は、
加熱時における緻密性及び耐熱性に不十分な点があり、
Fe−Ni合金の酸化層の発生を抑止するに未だ十分と
は言えない点が残っている。
【0007】したがって、本発明の目的は、各種金属の
熱間加工時における酸化に起因する耳割れなどの発生が
回避され、高信頼性に結び付く酸化防止剤を提供するこ
とにある。そして、本発明による酸化防止剤を用いた生
産性の良い熱間加工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明による酸化防止剤の特徴は、金属の加熱時の酸化を防
止する酸化防止剤が、クロム炭化物またはクロム珪化物
またはチタン炭化物のうちの少なくとも一種と、酸化ア
ルミニウムと、珪酸ナトリウムとを含むことにある。
また、他の特徴は、 酸化防止剤が、クロム炭化物また
はクロム珪化物またはチタン炭化物のうちの少なくとも
一種と、金属クロムと、酸化アルミニウムと、珪酸ナト
リウムとを含むところにある。
【0009】更に、本発明による酸化防止剤の別の特徴
は、 水分を除く組成が、Cr3C2,Cr,Al2O3および珪酸ナ
トリウムからなり、前記Cr3C2の重量部は5〜50、前
記Crの重量部は30〜80、前記Al2O3の重量部は15
〜40の範囲にあって、前記Cr3C2,CrおよびAl2O3の総
量の100重量部に対する前記珪酸ナトリウムは、 1
〜30重量部の範囲にあることにある。
【0010】もう一つ別の特徴は、水分を除く組成が、
Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,SiO2,Al2O3および珪酸ナトリウ
ムの組み合わせからなり、 前記Cr3C2の重量部は5〜9
0、前記CrSi2の重量部は20〜40、前記TiCのの重量
部は15〜40の範囲にあり前記Crの重量部は10〜8
0、前記Tiの重量部は20〜40、前記SiO2の重量部は
5〜40であり、 前記Al2O3の重量部は5〜40であっ
て、前記Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合
わせ総量は100重量部であり、さらに、このCr3C2,Cr
Si2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合わせ総量の100
重量部に対する前記珪酸ナトリウムの重量部は、1〜3
0の範囲にあってもよい。
【0011】一方、上記目的を達成する本発明による熱
間加工方法は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項
記載の酸化防止剤を用いるものである。本発明は、当発
明者らが検討して得られた酸化防止剤に関する知見によ
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面と表を参照しながら説明する。上記本発明の目
的を達成する酸化防止剤に関する知見の要旨は、次の通
りである。(1)本発明による酸化防止剤は、Feを主成分
とした金属(即ち、Fe系金属)の酸化防止剤は、クロム
炭化物またはクロム珪化物またはまたはチタン炭化物の
うちの少なくとも一種と、酸化アルミニウムと、珪酸ナ
トリウムとを含むものである。(2)また、クロム炭化物
またはクロム珪化物またはまたはチタン炭化物のうちの
少なくとも一種と、金属クロムと、酸化アルミニウム
と、珪酸ナトリウムとを含むものであっても良い。 そ
して、(3)金属チタンまたは酸化珪素のうちの少なくと
も一種を含んでも可である。
【0013】さらに、(4)本発明による酸化防止剤は、
クロム炭化物と酸化珪素と酸化アルミニウムと珪酸ナト
リウムとを含むものである。 さらにまた、(5)珪酸ナト
リウム以外のアルカリ性水溶液であっても同様に酸化防
止が向上する。そして、本発明による酸化防止剤であれ
ば、酸化を防止する金属としてのFe−Ni合金に対し
て特に有効であり、本酸化防止剤の適用によって、50
0℃〜1300℃の広範囲の温度領域における酸化防止
効果を高めることが可能となって、熱間圧延などの熱間
加工時の耳割れが回避されて、Fe−Ni合金材料の歩
留りが向上することが判明したものである。
【0014】次ぎに、知見の詳細について、実施例と比
較例との比較から説明する。表1に本発明による実施
例、表2に比較例(従来技術相当)を示している。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】実施例のNo.A−1〜A−16及びNo.B−
1〜B−4は、Fe−Ni合金材料を溶解した後、熱間
加工などにより製造された長さ5m,幅1m,厚さ15
cmのスラブ材の全表面に 表1および表2で示した酸
化防止剤を、 それぞれハケで100μm程度の厚さに
塗布した後、当該スラブ材を1200℃,3h、および
1300℃,5hの2種類の熱処理条件で加熱処理し
た。その後、熱間圧延加工により厚さ3mm,幅1m,長
さ250mの圧延合金材料を製造したものである。
【0018】圧延合金材料に対する本実施例の酸化防止
剤の効果の確認は、それぞれの熱処理条件で得られた材
料より、サンプルを採取して、図2に示すような熱処理
後のFe−Ni合金表面層の断面から判定し、表面部に
付着した酸化スケール1を除いた内部酸化層2と粒界酸
化3とから定義される酸化層の深さから求めた。
【0019】図1に、表1で示した実施例No.A−4
と、表2で示した比較例No.B−3との酸化防止剤を適
用した場合の効果について、Fe−Ni合金の1200
℃,3h熱処理後の断面写真に基づく断面を示してい
る。 本実施例の酸化防止剤No.A−4は、従来例(相当)
の酸化防止剤No.B−3に比べて、 内部酸化層及び粒界
酸化が非常に少なく酸化防止効果に優れていた。 即
ち、酸化防止剤No.B−3に比べて、本実施例の酸化防
止剤No.A−4を用いた場合は、 熱間加工時の耳割れが
ほぼ回避されていた。
【0020】また、表2に示した酸化防止剤の組成No.
B−1,2およびNo.B−4を適用した場合について
も、Fe−Ni合金の各熱処理後の断面を観察し、生成
酸化層を確認した。その結果、1200℃,3h熱処理
材においては、従来の酸化防止剤を用いたFe−Ni合
金は、図1の比較例に示したと同様に、いずれも、58
0μm以上の粒界酸化を含めた酸化層が確認された。更
に、熱処理温度を高くした1300℃,5h熱処理材で
は、さらに酸化が進み1000μm以上の粒界酸化を含
めた酸化層が確認された。このように、従来の酸化防止
剤は、Fe−Ni合金の高温熱処理において、十分に酸
化を防止することができず、素材の歩留まりが十分に得
られないことが分かった。
【0021】そして、本発明者らは、Fe−Ni合金の
酸化防止効果に酸化防止剤について検討し、 表1で示
した本実施例のNo.A−1〜A−3及びA−5〜A−1
6の優れた酸化防止剤を見出した。即ち、本実施例の酸
化防止剤No.A−1〜A−7から、 本発明による酸化防
止剤は、水分を除く組成が、Cr3C2,Cr,Al2O3及び珪酸ナ
トリウムからなり、 Cr3C2の重量部は5〜50、Crの重
量部は30〜80、 Al2O3の重量部は15〜40の範囲
にあり、該Cr3C2,CrおよびAl2O3の総量の100重量部
に対する珪酸ナトリウムは、1〜30重量部の範囲にあ
るものであると分かる。
【0022】また、本実施例の酸化防止剤No.A−1〜
A−16からは、 水分を除く組成がCr3C2,CrSi2,TiC,C
r,Ti,SiO2,Al2O3及び珪酸ナトリウムの組み合わせから
なり、Cr3C2の重量部は5〜90、CrSi2の重量部は20
〜40、 TiCのの重量部は15〜40の範囲にあり、Cr
の重量部は10〜80、Tiの重量部は20〜40、SiO2
の重量部は5〜40であり、 Al2O3の重量部は5〜40
であって、Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み
合わせ総量は100重量部であり、さらに、このCr3C2,
CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合わせ総量の10
0重量部に対する珪酸ナトリウムの重量部は、1〜30
の範囲にあるものであることが分かる。
【0023】さらに、No.A−15,16から、 本発明
による酸化防止剤は、Cr3C2とAl2O3とSiO2と珪酸ナトリ
ウムとを含むものであることが分かる。 更に、No.A−
8〜A−14からは、金属チタンまたは酸化珪素のうち
の少なくとも一種を含むものであると分かる。
【0024】そして、 本実施例の酸化防止剤No.A−1
〜A−16を用いた、Fe−Ni合金の1200℃,3
h熱処理材は、図1に示したと同様に、粒界酸化を含め
た酸化層を30μm未満と非常に小さくできた。これ
は、表2の比較例に比べて、従来の酸化層の1/15未
満と小さく、酸化防止効果が著しく高いことを示してい
る。また、1300℃,5h熱処理材では、酸化層が僅
かに観察された。
【0025】しかしながら、それらの粒界酸化を含めた
酸化層は、表2の比較例に比べれば100μm以下と小
さく、酸化防止効果が非常に高いことが判明した。とく
に、No.A−3〜A−5の酸化防止剤においては、 酸化
層が50μm以下であって、酸化防止効果が非常に優れ
ていることが分かった。以上の検討のように、本実施例
の酸化防止剤をFe−Ni合金に適用することにより、
500〜1300℃の広範囲温度領域での酸化防止効果
が著しく高くなることが確認された。そして、本発明に
よる酸化防止剤を用いる熱間加工方法であれば、熱間加
工時における耳割れの発生が防止されることも確認さ
れ、生産性の向上に結び付くことが判明した。
【0026】尚、表に示した効果は、Fe−Ni合金材
料(64Fe−36Niの重量%)での結果からの確認ではあ
るが、Cr3C2単独またはCr3C2とCrの組み合わせなどが示
す酸素親和性は、Feの酸素親和性に比べて強いので、
鉄酸化物が生成される化学変化よりもクロム酸化物が生
成される化学変化が先になり、Feを主成分とする金属
(Fe系金属またはFe系合金)であれば、同等の酸化防
止効果が得られると推考される。また、Cr3C2単独また
はCr3C2とCrの組み合わせなどが示す酸素親和性より
も、弱い酸素親和性を示す金属であれば、Fe系金属以
外の金属にも適用されることは言うまでもない。換言す
れば、本発明による酸化防止剤は、熱間加工する所望の
各種金属の酸素親和性よりも強くしたものであるので、
酸化層の発生が防止されると言える。
【0027】更に、表1及び表2、ならびに記載してな
い他の検討結果から補足説明する。本実施例の酸化防止
剤は、酸化アルミニウムと、アルカリ性水溶液としての
珪酸ナトリウムとを組合せる(酸化珪素を含めても可で
ある)ことによって、低温酸化を防止し、酸素親和性の
強いクロム炭化物またはクロム珪化物またはチタン炭化
物のうちの少なくとも一種と 金属クロムとを組合せる
(金属チタンを含めても可である)ことによって、高温酸
化を防止するものである。 これらの複合効果によっ
て、上記したごとく広範囲の温度領域における酸化防止
が可能となるものである。
【0028】そして、水分を除く酸化防止剤の組成を、
Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2及び珪酸ナトリウム
とし、Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合わ
せ総量の重量部を100とした場合に、 それぞれの重量部
は、Cr3C2が5〜90、CrSi2が0〜40、TiCが0〜4
0の範囲とする。そして、Cr3C2,CrSi2,TiCの各組み合
わせの総量の重量部は、5〜90の範囲とする。さら
に、Crが0〜80、Tiが0〜40、 Al23が5
〜40、 SiO2が0〜40の範囲とする。 また、 Cr
3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の総量の重量部の100
に対する珪酸ナトリウムの重量部は、1〜30の範囲と
する。但し、0重量部とは、該当の成分が含まれていな
いことを指している。
【0029】上記において、 酸化防止剤の構成してい
るCr3C2を5〜90重量部とするのは5重量部未満では
高温側の酸化防止が不十分となり、90重量部を超える
と低温側の酸化防止が十分でないからである。 また、C
rSi2を40を超えない0〜40の範囲の重量部とするの
は、40重量部を超えると低温側の酸化防止が十分でな
いからである。 そして、TiCを40を超えない0〜40
の範囲の重量部とするのは、40重量部を超えると低温
側の酸化防止が十分でないからである。また、 Cr3C2,C
rSi2,TiCの各組み合わせの総量の重量部を5〜90重量
部とするのは、5重量部未満では高温側の酸化防止が不
十分となり、90重量部を超えると低温側の酸化防止が
十分でないからである。
【0030】さらに、Crを80を超えない0〜80の
範囲の重量部とするのは、80重量部を超えると緻密性
が不十分となり低温側の酸化防止効果が期待できないか
らである。また、Tiを40を超えない0〜40の範囲
の重量部とするのは、40重量部を超えると低温側の酸
化防止が十分でないからである。更にまた、SiO2を40
を超えない0〜40の範囲の重量部とするのは、40重
量部を超えると酸化防止膜が高融点化して緻密性が不十
分となるため低温側の酸化防止効果が期待できないから
である。 また更に、Al2O3を5〜40重量部とするの
は、5重量部未満では酸化防止膜の耐熱性不十分とな
り、40重量部を超えると、緻密性が不十分となり低温
側の酸化防止効果が期待できないからである。
【0031】ところで、上記金属クロムとしてのCrの
重量部を0〜80の範囲とすると、0重量部の場合に、
当該金属クロムが含まれていないことになる。確かに金
属クロムは酸化防止の点で非常に効果はあるが、酸化層
の発生を抑止するに未だ十分とは言えない点が残ってい
て、熱間加工時における耳割れの発生が必ずしも回避さ
れるとは言えないことが判明した。そして、金属クロム
の代替としてクロム炭化物を含めると、ほぼ耳割れの発
生が回避されるという知見を得たものである。これは、
クロム炭化物としてのCr3C2が酸化すると、Cr3C2+O2
Cr2O3+CO2に示される化学変化を起こす。 一方、金属
クロムが酸化すると、Cr+O2→Cr2O3に示される化学変
化を起こす。従って、Cr3C2もCrも共に酸化すればCr2O3
となるので、 同様な効果を示しかつCr3C2の方は理由は
不明であるが耳割れの発生が回避されるという効果を示
すことが判明したものである。
【0032】そして、クロム炭化物ほどの効果は得られ
ないがクロム珪化物またはチタン炭化物も、クロム炭化
物と同様な効果を示すことが確認できたものである。そ
して金属クロムも一緒に含有させても可であることも判
明したものである。 次ぎに、 Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,T
i,Al2O3,SiO2の各組み合わせ総量の100重量部に対し
て、珪酸ナトリウムを1〜30重量部とするのは、1重
量部未満では、スラブ材との密着性が悪く、また、30
重量部を超えると、酸化防止膜が低融点化し容易にFe
−Ni合金と反応するため高温側の酸化防止効果が期待
できないからである。
【0033】一方、本実施例の酸化防止剤において、好
ましい組成範囲として、それぞれが重量部で、Cr32
が10〜50、Crが30〜70、Al23が20およ
び珪酸ナトリウムが7〜10とすることが判明してい
る。 さらに、珪酸ナトリウム
水溶液に含まれる水分量は、Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al
2O3,SiO2の各組み合わせ総量の100重量部に対して、 1
0〜60重量部とするのは、10重量部未満では、酸化
防止剤の粘性が高くスラブ材などへの塗布作業が困難と
なり均一な防止膜形成ができなくなり、また、60重量
部を超えると、酸化防止剤の粘性が低くなり過ぎるため
スラブ材などへの緻密な酸化防止剤の膜形成が不十分に
なることが判明したからである。なお、本実施例の酸化
防止剤の塗布方法としては、ハケ塗り,スプレー,浸漬
法などが挙げられる。
【0034】以上、本発明の酸化防止材をFe−Ni合
金材料からなるスラブ材に用いることにより、1300
℃の高温熱処理時における粒界酸化を含めた酸化を防止
することができ、Fe−Ni合金圧延鋼板の歩留りを大
幅に向上することが可能となり、さらに、熱処理時に発
生した酸化物除去するためのグラインダー研削などの工
数を低減することができ低コスト化が可能になる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、クロム炭化物,クロム
珪化物またはチタン炭化物のうち少なくとも一種と、
酸化アルミニウムと、 珪酸ナトリウムとを含む酸化防
止剤を、Fe−Ni合金材料に適用することにより、5
00〜1300℃迄の広範囲温度領域における加熱処理
での酸化防止効果が著しく高くなり、大幅な材料歩留ま
り向上を図ることができる。また、本発明の酸化防止剤
は、Fe−Ni合金以外のFe系金属、例えばチタン金
属やステンレス金属の酸化防止にも使用が可能であり応
用範囲が広いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による酸化防止剤の効果を比較して示す
断面図である。
【図2】熱処理後のFe−Ni合金表面層の断面を示す
模式図である。
【符号の説明】
1…酸化スケール、2…内部酸化層、3…粒界酸化。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 元脇 成久 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 山本 浩貴 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 吉留 伸吾 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 日 立金属株式会社内 (72)発明者 井上 良二 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 日 立金属株式会社内 (72)発明者 古都 精 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 日 立金属株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属の加熱時の酸化を防止する酸化防止剤
    であって、クロム炭化物またはクロム珪化物またはチタ
    ン炭化物のうちの少なくとも一種と、酸化アルミニウム
    と、珪酸ナトリウムとを含むことを特徴とする酸化防止
    剤。
  2. 【請求項2】金属の加熱時の酸化を防止する酸化防止剤
    であって、クロム炭化物またはクロム珪化物またはチタ
    ン炭化物のうちの少なくとも一種と、金属クロムと、酸
    化アルミニウムと、珪酸ナトリウムとを含むことを特徴
    とする酸化防止剤。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、金属チ
    タンまたは酸化珪素のうちの少なくとも一種を含むこと
    を特徴とする酸化防止剤。
  4. 【請求項4】金属の加熱時の酸化を防止する酸化防止剤
    であって、クロム炭化物と酸化珪素と酸化アルミニウム
    と珪酸ナトリウムとを含むことを特徴とする酸化防止
    剤。
  5. 【請求項5】水分を除く組成が、Cr3C2,Cr,Al2O3および
    珪酸ナトリウムからなり、 前記Cr3C2の重量部は5〜50、前記Crの重量部は30
    〜80、前記Al2O3の重量部は15〜40の範囲にあ
    り、 前記Cr3C2,CrおよびAl2O3の総量の100重量部に対す
    る前記珪酸ナトリウムは、1〜30重量部の範囲にある
    ことを特徴とする酸化防止剤。
  6. 【請求項6】水分を除く組成が、Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,T
    i,SiO2,Al2O3および珪酸ナトリウムの組み合わせからな
    り、 前記Cr3C2の重量部は5〜90、 前記CrSi2の重量部は
    0〜40、前記TiCの重量部は0〜40の範囲にあり、
    前記Crの重量部は0〜80、 前記Tiの重量部は0〜4
    0、前記SiO2の重量部は0〜40であり、 前記Al2O3
    重量部は5〜40であって、 前記Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合わせ
    総量は100重量部であり、更に、該Cr3C2,CrSi2,TiC,
    Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合わせ総量の100重量部に
    対する前記珪酸ナトリウムの重量部は、1〜30の範囲
    にあることを特徴とする酸化防止剤。
  7. 【請求項7】請求項5において、前記水分の重量部は、
    前記Cr3C2,CrおよびAl2O3の総量の100重量部に対し
    て、10〜55重量部の範囲であることを特徴とする酸
    化防止剤。
  8. 【請求項8】請求項6において、前記水分の重量部は、
    前記Cr3C2,CrSi2,TiC,Cr,Ti,Al2O3,SiO2の各組み合わせ
    総量の100重量部に対して、10〜60重量部の範囲
    であることを特徴とする酸化防止剤。
  9. 【請求項9】Fe系金属の熱間加工に、請求項1ないし
    請求項7のいずれか1項記載の酸化防止剤を用いること
    を特徴とする熱間加工方法。
JP17062897A 1997-06-26 1997-06-26 酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法 Pending JPH1112644A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17062897A JPH1112644A (ja) 1997-06-26 1997-06-26 酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17062897A JPH1112644A (ja) 1997-06-26 1997-06-26 酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1112644A true JPH1112644A (ja) 1999-01-19

Family

ID=15908403

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17062897A Pending JPH1112644A (ja) 1997-06-26 1997-06-26 酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1112644A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100336552B1 (ko) * 1999-11-02 2002-05-11 최동만 침탄 산화방지제 및 그 제조방법
WO2018070606A1 (ko) * 2016-10-10 2018-04-19 주식회사 포스코 산화방지제, 강재의 처리방법 및 이를 이용하여 제조된 압연제품
JP6387544B1 (ja) * 2017-06-20 2018-09-12 大同化学工業株式会社 温熱間鍛造用非黒鉛系プレコート剤
CN112251688A (zh) * 2020-10-30 2021-01-22 中泽电气科技有限公司 一种降低不锈钢配电柜加工材料残余应力的方法
CN112404437A (zh) * 2020-10-30 2021-02-26 中泽电气科技有限公司 一种高硬度不锈钢配电柜

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100336552B1 (ko) * 1999-11-02 2002-05-11 최동만 침탄 산화방지제 및 그 제조방법
WO2018070606A1 (ko) * 2016-10-10 2018-04-19 주식회사 포스코 산화방지제, 강재의 처리방법 및 이를 이용하여 제조된 압연제품
JP6387544B1 (ja) * 2017-06-20 2018-09-12 大同化学工業株式会社 温熱間鍛造用非黒鉛系プレコート剤
JP2019000898A (ja) * 2017-06-20 2019-01-10 大同化学工業株式会社 温熱間鍛造用非黒鉛系プレコート剤
CN112251688A (zh) * 2020-10-30 2021-01-22 中泽电气科技有限公司 一种降低不锈钢配电柜加工材料残余应力的方法
CN112404437A (zh) * 2020-10-30 2021-02-26 中泽电气科技有限公司 一种高硬度不锈钢配电柜
CN112404437B (zh) * 2020-10-30 2022-12-16 中泽电气科技有限公司 一种高硬度不锈钢配电柜

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5390104B2 (ja) 鋼ストリップをコーティングする方法及び前記コーティングを付与された鋼ストリップ
KR101663207B1 (ko) 연마 후의 표면 내식성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조 방법
JP3825456B2 (ja) 極めて高い機械的特性値をもつ成形部品を被覆圧延鋼板、特に被覆熱間圧延鋼板の帯材から型打ちによって製造する方法
JP4828544B2 (ja) 鉄−炭素−マンガンの鋼帯に亜鉛浴にて溶融めっきを施すための方法
EP3239336A1 (en) Hot press formed parts having excellent powdering resistance during hot press forming, and method for manufacturing same
JP5354600B2 (ja) 機械的な性質及び表面品質に優れた高強度亜鉛メッキdp鋼板及びその製造方法
EP3045558A1 (en) Hot-dip galvanized steel sheet and galvannealed steel sheet of excellent appearance and plating adhesiveness, and manufacturing method therefor
EP3851550B1 (en) Ferritic stainless steel sheet, method for producing same and al plated stainless steel sheet
JPH1112644A (ja) 酸化防止剤及び該酸化防止剤を用いた熱間加工方法
JP3468004B2 (ja) 高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板
JP3870891B2 (ja) 高強度冷延鋼板
US4144378A (en) Aluminized low alloy steel
JP2004238682A (ja) 耐食性に優れた自動車排気系材用溶融Al系めっき鋼板
JP2009068055A (ja) 無方向性電磁鋼板
RU2410456C2 (ru) Титановый материал и выхлопная труба для двигателя
JP3096268B2 (ja) 直接鋳造法により製造されたシリコン鋼板用仕上げ処理方法
JP3508436B2 (ja) 歪取焼鈍後の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板
JPH1112566A (ja) 酸化防止剤
JPH05283149A (ja) 表面絶縁性に優れたヒーター材料とその製造方法
JPH0225982B2 (ja)
JPS5933181B2 (ja) バ−ナ−ヘツド用銅合金
EP4230760A1 (en) Plated steel material
JP3959671B2 (ja) 耐酸化性の優れた高強度Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金及びそれを用いてなる合金板
JPH09256036A (ja) 酸化防止剤及び金属の酸化防止方法
JPH0240731B2 (ja)