JPH11125846A - 3次非線形光学ガラス - Google Patents

3次非線形光学ガラス

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JPH11125846A
JPH11125846A JP29204897A JP29204897A JPH11125846A JP H11125846 A JPH11125846 A JP H11125846A JP 29204897 A JP29204897 A JP 29204897A JP 29204897 A JP29204897 A JP 29204897A JP H11125846 A JPH11125846 A JP H11125846A
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JP
Japan
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glass
nonlinear optical
fine particles
cucl
cubr
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JP29204897A
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English (en)
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Yutaka Kuroiwa
裕 黒岩
Naoki Sugimoto
直樹 杉本
Setsuo Ito
節郎 伊藤
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非線形光学応答時間のきわめて短い3次非線形
光学ガラスを製造できる。 【解決手段】(1)Cu、(2)ClまたはBr、およ
び(3)AgまたはCd、を含有せしめたホウケイ酸ガ
ラス中に、CuCl、CuBrおよびそれらの固溶体か
らなる群より選ばれた少なくとも1種の微粒子を析出さ
せることによって、1×10-7esu以上3次非線形感
受率を付与したことを特徴とする3次非線形光学ガラ
ス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信や光情報処
理において、非線形光学応答の速い光デバイスの基礎材
料となる3次非線形光学ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】光通信、光情報処理において、情報など
の信号を光によって運ぶためには、変調やスイッチング
などの光制御を行う必要がある。現在、このような光制
御は電気信号による電気−光制御方法が用いられてい
る。この電気−光制御方法は、電気回路のようなCR時
定数による帯域制限を受けたり、また、素子自体の応答
速度や電気信号と信号光との間の速度の不釣り合いによ
って処理速度が制限されたりして、光の利点である高帯
域性、高速性を十分に利用できていない。こうした難題
を解決し、光の高帯域性や高速性を十分に活かすために
は、光信号によって光信号を制御する光−光制御技術が
重要である。
【0003】光通信、光交換、光インターコネクショ
ン、光コンピュータなどの光情報処理機器において、光
−光制御が可能な材料である3次非線形光学材料は、光
スイッチなどとして利用される。これは、光によって、
材料の光学的性質(屈折率、吸収係数など)が変化する
特性を利用する。
【0004】この光スイッチングに要求される特性は、
一般的に、3次非線形感受率(χ(3) )、スイッチング
素子の相互作用長、入射光強度の3つに依存し、3次非
線形感受率が大きいほど、スイッチング素子の相互作用
長が長いほど、また、入射光強度が大きいほど光学的性
質の変化量は大きい。しかし、光−光制御素子の小型化
および、小電力化のためにはスイッチング素子の相互作
用長波短く、入射光強度は小さくする必要があるため、
大きな3次非線形感受率を持つことが要求される。
【0005】一方、光−光制御の高速性を十分に活かす
には、非線形応答時間が十分に小さい必要がある。非線
形応答時間は、材料において光による光学的性質の変化
が緩和する時間に依存するため、この緩和時間が長い
と、系全体が回復するために時間がかかりすぎて非線形
応答時間も長くなり、結局、高速のスイッチングを行え
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来知られている3次
非線形光学材料に、カルコゲナイドガラスや石英ガラス
がある。これらの材料は、非線形応答時間が短く数百フ
ェムト(10-12 )秒を示すが、これらの材料では3次
非線形感受率が10-11 esu(静電単位)より小さた
め、相互作用長を長く、入射光強度を大きくする必要が
あり、素子の小型化および小電力化が難しい問題があ
る。
【0007】一方、3次非線形光学材料としては、半導
体微粒子分散ガラスも知られている。黄色〜赤色のシャ
ープカット色ガラスフィルタとして用いられている、C
dS、CdSeなどの半導体微粒子の分散したガラス
は、高い非線形光学特性を有し、高調波の発生、位相共
役光の発生、光双安定性を利用した光スイッチ、メモリ
ーなどの非線形光学材料として注目されている。半導体
微粒子分散ガラスが高い非線形光学特性を有する理由
は、半導体微粒子中の励起子が、ガラスのつくる深いポ
テンシャルによって3次元的に閉じ込められる量子閉じ
込め効果によるものと考えられている。
【0008】また、前述のCdS−CdSe系の半導体
微粒子分散ガラスの他にも、CuCl微粒子分散ガラス
やCuBr微粒子分散ガラスが知られており(特開平3
−174337号公報)、このガラスの非線形光学特性
は、非線形感受率の値が10-6esuと大きく、従来の
この種のガラスに比べ1000倍以上の高い非線形効果
を示すことが報告されている。
【0009】このような微粒子分散ガラスは、光を吸収
することにより3次非線形効果が発現する。材料への光
照射により光を吸収して3次非線形効果が発現し、光の
照射をやめると材料が元の状態に回復する。しかしなが
ら、こうした光の吸収を伴う反応は、系が元の状態に回
復するまでの時間が長いため、応答速度が遅くなる問題
があった。
【0010】本発明は、半導体微粒子分散ガラスにおけ
る課題を解消し、従来知られていなかった、非線形光学
応答を高速化させた、CuCl、CuBrおよびそれら
の固溶体の微粒子の分散する3次非線形光学ガラスを提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)Cu、
(2)ClまたはBr、および(3)AgまたはCd、
を含有せしめたホウケイ酸ガラス中に、CuCl、Cu
Brおよびそれらの固溶体からなる群より選ばれた少な
くとも1種の微粒子を析出させることによって1×10
-7esu以上の3次非線形感受率を付与したことを特徴
とする3次非線形光学ガラスを提供する。
【0012】また特にホウケイ酸ガラスのガラス組成が
モル%表示で SiO2 10〜65%、 B23 30〜90%、 Al23 0〜40%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 0.1〜50%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜10%、 ZrO2 0〜10%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.01〜2%、 Cl+Br 0.01〜4%、 Ag+Cd 0.001〜0.14%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0.01〜3%、 からなる上記3次の非線形光学特性を付与する3次非線
形光学ガラスを提供する。
【0013】また、ホウケイ酸ガラスのガラス組成がモ
ル%表示で SiO2 40〜80%、 B23 2〜30%、 Al23 0〜30%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 2〜30%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜10%、 ZrO2 0〜10%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.3〜2%、 Cl+Br 0.3〜4%、 Ag+Cd 0.001〜0.2%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0〜3%、 からなる上記3次の非線形光学特性を付与する3次非線
形光学ガラスを提供する。
【0014】本発明によれば、CuCl、CuBrおよ
び/またはそれらの固溶体の微粒子の分散したガラスの
もつ大きな非線形光学特性を大きく損なうことなく、非
線形光学応答の高速化したガラスを容易に製造できる。
【0015】本発明においては、ホウケイ酸ガラスにA
gおよびCdを含有させて、CuCl等の微粒子を析出
させることにより非線形光学応答時間のきわめて短い、
3次非線形光学ガラスが得られる。
【0016】材料中に分散せしめるCuCl、CuBr
およびそれらの固溶体からなる群より選ばれた1種以上
の微粒子の大きさは、1〜100nm、特には1〜50
nm、であることが望ましい。微粒子の大きさが100
nmを超えると、光が微粒子による散乱により失われ、
光スイッチングを有効に行えなくなるおそれがある。ま
た、微粒子の大きさが1nm未満であると、量子閉じ込
め効果が起こらず、非線形性が発現しないおそれがあ
る。
【0017】本発明の3次非線形光学ガラスの3次非線
形感受率は1×10-7esu以上である。こうすると装
置がコンパクトになり、比較的低パワー感度のレーザー
でスイッチングできる。好ましくは1×10-6esu以
上である。また、本発明の3次非線形光学ガラスによれ
ば、例えばCuClを析出させたときに30×10-12
秒以下の非線形光学応答時間が得られる。
【0018】本発明の3次非線形光学ガラスの製造手段
としては、特に制限はなく、例えば諸原料を所定量秤量
して混合し、これを1200〜1500℃で5分〜10
時間加熱溶融し、所定形状に成形せしめる方法が用いら
れる。
【0019】CuCl、CuBrおよびそれらの固溶体
からなる群より選ばれた1種以上の微粒子の析出方法と
しては、特には限定されないが、例えば成形されたガラ
スを一旦室温まで冷却し次いで加熱して所定温度に保持
して微粒子を析出する方法と、成形する温度までの冷却
過程あるいは成形後のガラスを室温まで冷却する過程で
所定の温度で保持したり、冷却速度を制御することによ
って微粒子を析出する方法とがあり、どちらの方法も好
ましい。その他の製造方法としては例えば、スパッタリ
ング法、イオン注入法、イオン交換法などがある。
【0020】本発明におけるガラスの好ましい第一の態
様について説明する。第一の態様は比較的B23 の含
有量が多い場合である。
【0021】ガラス組成はモル%表示で SiO2 10〜65%、 B23 30〜90%、 Al23 0〜40%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 0.1〜50%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜10%、 ZrO2 0〜10%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.01〜2%、 Cl+Br 0.01〜4%、 Ag+Cd 0.001〜0.14%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0.01〜3%、 であることが好ましい。
【0022】以下、単に%と表記した場合はモル%を意
味することとする。SiO2 が10%未満の場合は、ガ
ラスの分相によってガラスの白濁や銅コロイドによる着
色が起こりやすくい。好ましくは20%以上である。逆
に65%を超えた場合は、ガラスの生成温度が高くな
り、Cu、Ag、Cd、Cl、Br成分が揮散してしま
うおそれがある。好ましくは40%以下である。
【0023】B23 は30%未満の場合は、CuC
l、CuBrおよびそれらの固溶体が析出し難いおそれ
がある。好ましくは45%以上である。逆に90%を超
えるとガラスの化学耐久性が低くなるおそれがある。好
ましくは65%以下である。
【0024】Al23 は必須ではないが、ガラスの分
相防止や化学耐久性の向上のために用いてもよい。好ま
しくは5%以上含有される。ただし、40%を超える
と、ガラス化し難くなるのおそれがある。好ましくは1
0%以下である。
【0025】Li2 O、Na2 O、K2 Oは、単一成分
で用いられても、2種類以上混合して用いられてもよ
い。合計量が0.1%未満の場合はガラスの生成温度が
高くなりCu、Ag、Cd、Cl、Br成分が揮散する
おそれがある。好ましくは5%以上である。一方、合計
量が50%を超える場合はガラス中に銅コロイドが析出
して赤色化しやすくなるとともに化学耐久性が低くなる
おそれがある。好ましくは15%以下である。
【0026】MgO、CaO、BaO、ZnO、Sr
O、PbOは必須ではないが、ガラスの化学耐久性の向
上やソーラリゼーションの抑止する効果があるので、こ
れらの1種もしくは2種以上を含有させてもよい。ただ
し、10%を超えるとCuClが析出しにくくなり、ま
たガラスの溶融性も悪くなる傾向がある。好ましくは2
%以下である。
【0027】ZrO2 もまた必須ではないが、ガラスの
化学耐久性の向上やソーラリゼーションの抑止の目的で
用いうる。ただし、10%を超えるとガラスの生成温度
が高くなり、Cu、Ag、Cd、Cl、Br成分が揮散
しやすくなり、またガラスが失透しやすくなる傾向があ
る。好ましくは2%以下である。
【0028】第一の態様では、材料中にCuCl、Cu
Brおよびそれらの固溶体の微粒子を析出させるため
に、銅の酸化物をCuO換算で0.01〜2%、Clま
たはBrを合量で0.01〜4%含有させることが必要
である。
【0029】CuOが合計で0.01%未満の場合は、
CuCl、CuBrおよびそれらの固溶体からなる群よ
り選ばれた1種以上の微粒子が充分析出せず、光スイッ
チング性能が十分でなくなるおそれがある。また析出さ
せる微粒子粒径の制御も容易でなくなるおそれがある。
一方、銅の酸化物は2%を超えても光スイッチング性能
はそれ以上向上せず、逆にCuCl、CuBrおよびそ
れらの固溶体の微粒子の巨大粒子が析出し、ガラスの透
明性が失われ、光スイッチングを有効に行えなくなるお
それがある。好ましくは1%以下である。
【0030】また、ClとBrの合量が0.01%未満
の場合、CuCl、CuBrおよびそれらの固溶体から
なる群より選ばれた1種以上の微粒子が充分析出せず、
光スイッチング性能が十分でなくなるおそれがある。ま
た析出させる微粒子粒径の制御も容易でなくなるおそれ
がある。一方、4%を超えても光スイッチング性能はそ
れ以上向上せず、逆にガラスの分相が生じやすくなりガ
ラスの透明性が失われるおそれがある。好ましくは2%
以下である。Cl、Brは、それぞれ単独で用いられて
も、混合して用いられてもよく、析出させる微粒子の大
きさ、種類により適宜その混合比率も選定される。
【0031】第一の態様において、ガラスの非線形光学
応答を速くするためには、Ag、Cdから選ばれた少な
くとも1種を0.001%〜0.14%含有させること
が必要である。Ag、Cdから選ばれた少なくとも1種
が0.001%未満の場合は応答時間を短くできないお
それがある。好ましくは0.005%以上である。一
方、Ag、Cdから選ばれた少なくとも1種が0.14
%を超えても非線形光学応答はそれ以上高速化せず、逆
に銀やハロゲン化銀、ハロゲン化カドミウム等が析出し
たり、ガラス中に分相が生じやすくなり、ガラスの透明
性が失われるおそれがある。好ましくは0.5%以下で
ある。
【0032】錫およびアンチモンの酸化物は還元作用に
より、ガラスの着色を抑えCuCl、CuBrおよびそ
れらの固溶体が析出しやすくするために、第一の態様に
おいて必須である。錫およびアンチモンの酸化物がSn
O+Sb23 換算で0.01モル%未満の場合は、ガ
ラスが青色に着色しやすく、逆に3モル%を超える場合
にはガラスが赤色に着色しやすい。
【0033】特にガラス組成がモル%表示で SiO2 20〜40%、 B23 45〜65%、 Al23 5〜10%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜2%、 ZrO2 0〜2%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.05〜1%、 Cl+Br 0.05〜2%、 Ag+Cd 0.005〜0.1%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0.05〜0.5%、 よりなるガラスは無色透明の外観を有するとともに制御
された粒径のCuCl、CuBrおよびそれらの固溶体
からなる群より選ばれた1種以上の微粒子が容易に析出
しうるので特に好ましい。
【0034】次に本発明における好ましい第二の態様に
ついて説明する。第二の態様は比較的B23 が少ない
場合である。
【0035】ガラス組成がモル%表示で SiO2 40〜80%、 B23 2〜30%、 Al23 0〜30%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 2〜30%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜10%、 ZrO2 0〜10%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.3〜2%、 Cl+Br 0.3〜4%、 Ag+Cd 0.001%〜0.2%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0〜3% であることが好ましい。
【0036】SiO2 が40%未満の場合は、ガラスの
分相によってガラスの白濁や銅コロイドによる着色が起
こりやすくなるおそれがある。好ましくは55%以上で
ある。逆に80%を超えた場合は、ガラスの生成温度が
高くなり、Cu、Ag、Cd、Cl、Br成分が揮散す
るおそれがある。好ましくは75%以下である。
【0037】B23 は2%未満の場合は、CuCl、
CuBrおよびそれらの固溶体からなる群より選ばれた
少なくとも1種以上の析出が得られ難いおそれがある。
好ましくは15%以上である。逆に30%を超えるとガ
ラスの化学耐久性が低くなるおそれがある。好ましくは
25%以下である。
【0038】Al23 は必須ではないが、ガラスの分
相防止や化学耐久性の向上のために用いてもよい。ただ
し、30%を超えると、ガラス化し難くなるおそれがあ
る。好ましくは5%以下である。
【0039】Li2 O、Na2 O、K2 Oは、単一成分
で用いられても、2種類以上混合して用いられても構わ
ないが、合計量が2%未満の場合はガラスの生成温度が
高くなりCu、Ag、Cd、Cl、Br成分が揮散する
おそれがある。好ましくは合量で5%以上である。一
方、合計量が30%を超える場合はガラス中に銅コロイ
ドが析出して赤色化しやすくなるとともに化学耐久性が
低くなるおそれがある。好ましくは15%以下である。
【0040】MgO、CaO、BaO、ZnO、Sr
O、PbOはガラスの化学耐久性の向上やソーラリゼー
ションの抑止する効果があるので、必須ではないが、こ
れらの1種または2種以上を含有させてもよい。ただ
し、合量で10%を超えるとCuClが析出しにくくな
り、またガラスの溶融性も悪くなるので好ましくない。
好ましくは合量で2%以下である。
【0041】ZrO2 もまた必須ではないが、ガラスの
化学耐久性の向上やソーラリゼーションの抑止の目的で
用いうる。ただし、10%を超えるとガラスの生成温度
が高くなり、Cu、Ag、Cd、Cl、Br成分が揮散
しやすくなるおそれがある。またガラスが失透しやすく
なる。好ましくは5%以下である。
【0042】材料中にCuCl、CuBrおよびそれら
の固溶体からなる群より選ばれた1種以上の微粒子を析
出させるために、銅の酸化物をCuO換算で0.3〜2
%、Cl+Brを0.3〜4%含有させることが第二の
態様において必要である。
【0043】CuOが合計で0.3%未満の場合は、C
uCl、CuBrおよびそれらの固溶体からなる群より
選ばれた1種以上の微粒子が充分析出せず、光スイッチ
ング性能が十分でなくなるおそれがある。また析出させ
る微粒子粒径の制御も容易でない。好ましくは0.35
%以上である。一方、2%を超えても光スイッチング性
能はそれ以上向上せず、逆にCuCl、CuBrおよび
それらの固溶体からなる群より選ばれた1種以上の微粒
子の巨大粒子が析出するため、ガラスの透明性が失わ
れ、光スイッチングを有効に行えなくなるおそれがあ
る。好ましくは1.5%以上である。
【0044】また、ClとBrの合計が0.3%未満の
場合、CuCl、CuBrおよびそれらの固溶体からな
る群より選ばれた1種以上の微粒子が充分析出せず、光
スイッチング性能が十分でなくなるおそれがある。また
析出させる微粒子粒径の制御も容易でない。好ましくは
0.3%以上である。一方、4%を超えても光スイッチ
ング性能はそれ以上向上せず、逆にガラスの分相が生じ
やすくなりガラスの透明性が失われるおそれがある。好
ましくは3%以下である。
【0045】Cl、Brは、それぞれ単独で用いられて
も、混合して用いられてもよく、析出させる微粒子の大
きさ、種類により適宜その混合比率も選定される。
【0046】ガラスの非線形光学応答を速くするために
は、Ag、Cdから選ばれた少なくとも1種を0.00
1%〜0.2%含有させることが第二の態様において必
要である。Ag、Cdから選ばれた少なくとも1種が
0.001%未満の場合は応答時間を短くできないおそ
れがある。好ましくは0.002%以上である。
【0047】一方、Ag、Cdから選ばれた少なくとも
1種が0.2%を超えても非線形光学応答はそれ以上高
速化せず、逆に銀やハロゲン化銀、ハロゲン化カドミウ
ム等が析出したり、ガラス中に分相が生じやすくなり、
ガラスの透明性が失われるおそれがある。好ましくは
0.15%以下である。
【0048】錫およびアンチモンの酸化物は必須ではな
いが、ガラスの着色抑止とCuCl、CuBrおよびそ
れらの固溶体からなる群より選ばれた1種以上の析出性
を向上させるのに用いてもよいが、SnO、Sb23
の合計の含有量が3%を超える場合にはガラスが赤色に
着色しやすくなる。好ましくは1%以下である。
【0049】特にガラス組成がモル%表示で SiO2 55〜75%、 B23 15〜25%、 Al23 0〜5%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 5〜15%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜2%、 ZrO2 0〜5%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.35〜1.5%、 Cl+Br 0.35〜3%、 Ag+Cd 0.002〜0.15%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0〜1%、 よりなるガラスは無色透明の外観を有するとともに制御
された粒径のCuCl、CuBrおよびそれらの固溶体
からなる群より選ばれた1種以上の微粒子が容易に析出
しうるので特に好ましい。
【0050】
【実施例】400gの表の組成のガラスを得られるよう
に原料を調合し、これを白金坩堝に入れて表の溶融温度
の欄に示す温度で1時間溶融した後、ステンレス板上に
流し出して板状のガラスを成形した。このガラスを表の
冷却速度の欄に示す速度でガラス転移点温度以下まで冷
却するか、または、この成形したガラスを一旦冷却した
のち、表の熱処理温度および熱処理時間の欄に示す温
度、時間で熱処理を行うことによって、ガラス中に微粒
子の析出を行った。
【0051】これらのガラスの77Kにおける非線形応
答時間を励起子発光寿命より測定した結果を表の非線形
応答時間の欄に、また、これらのガラスの77Kにおけ
る非線形光学特性を縮退4光波混合法により測定した結
果を非線形感受率の値として表の|χ(3) |の欄に示
す。 なお、表の平均粒径の欄は透過型電子顕微鏡により
求めた半導体微粒子の直径を示している。例18〜23
は比較例である。
【0052】これらの表から、Ag、Cdの添加によっ
て、非線形光学特性を大きく損ねることなしに、非線形
応答時間が大きく短縮していることがわかる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、非線形光学応答時間の
きわめて短い3次非線形光学ガラスが得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)Cu、(2)ClまたはBr、およ
    び(3)AgまたはCd、を含有せしめたホウケイ酸ガ
    ラス中に、CuCl、CuBrおよびそれらの固溶体か
    らなる群より選ばれた少なくとも1種の微粒子を析出さ
    せることによって1×10-7esu以上の3次非線形感
    受率を付与したことを特徴とする3次非線形光学ガラ
    ス。
  2. 【請求項2】ホウケイ酸ガラスのガラス組成がモル%表
    示で SiO2 10〜65%、 B23 30〜90%、 Al23 0〜40%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 0.1〜50%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜10%、 ZrO2 0〜10%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.01〜2%、 Cl+Br 0.01〜4%、 Ag+Cd 0.001〜0.14%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0.01〜3%、 からなることを特徴とする請求項1記載の3次非線形光
    学ガラス。
  3. 【請求項3】ホウケイ酸ガラスのガラス組成がモル%表
    示で SiO2 40〜80%、 B23 2〜30%、 Al23 0〜30%、 Li2 O+Na2 O+K2 O 2〜30%、 MgO+CaO+BaO+ZnO+SrO+PbO 0〜10%、 ZrO2 0〜10%、 銅の酸化物を CuO換算で 0.3〜2%、 Cl+Br 0.3〜4%、 Ag+Cd 0.001〜0.2%、 錫およびアンチモンの酸化物を SnO+Sb23 換算で 0〜3%、 からなることを特徴とする請求項1記載の3次非線形光
    学ガラス。
  4. 【請求項4】析出させるCuCl、CuBrおよびそれ
    らの固溶体からなる群より選ばれた少なくとも1種の微
    粒子の粒径が1〜100nmである請求項1、2または
    3記載の3次非線形光学ガラス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011116633A (ja) * 2009-10-27 2011-06-16 Tokyo Univ Of Science 発光ガラス、当該発光ガラスを備えた発光装置及び発光ガラスの製造方法

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