JPH11124855A - 多様性のある法面緑化工法 - Google Patents

多様性のある法面緑化工法

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JPH11124855A
JPH11124855A JP9288515A JP28851597A JPH11124855A JP H11124855 A JPH11124855 A JP H11124855A JP 9288515 A JP9288515 A JP 9288515A JP 28851597 A JP28851597 A JP 28851597A JP H11124855 A JPH11124855 A JP H11124855A
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JP
Japan
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spraying
slope
layer
plant
organism
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Application number
JP9288515A
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English (en)
Inventor
Seiichi Mori
清一 森
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Ibiden Greentec Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Greentec Co Ltd
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Publication date
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  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】吹付作業によって少なくとも2種類以上の植生
区域を造成し、且つ、それぞれの植生区域で導入された
植物が十分に発芽・生育して、早期に、多様性のある植
物群落を安価に造成でき、さらに維持管理を軽減できる
緑化工法を提供すること。 【解決手段】法面20の吹付作業中において、前記生育
基盤材中に第1類の発芽生命体を混入させた第1吹付材
からなる第1吹付層11を形成し、この第1吹付層11
の表面または無吹付部に、前記生育基盤材中に第2類の
発芽生命体を混入させた第2吹付材、またはこの第2吹
付材と他類の吹付材とを吹き付けて、第2吹付層12、
または第2吹付層12及びこれとは異なる他の吹付層と
を形成し少なくとも2種類以上の植生区域を造成するよ
うにしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、法面・斜面におけ
る吹付工法による緑化工法に関し、吹付作業で少なくと
も2種類以上の植生区域を造成し、且つ、発芽・生育に
適する吹付厚で吹付けを行うことができる多様性に富ん
だ植生相を早期に、且つ安価に造成でき、さらに維持管
理を軽減できる緑化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、法面・斜面(以下、単に法面とい
う)に対しては、その保護、あるいは周囲景観の改良を
行うために、法面に植物を積極的に生育させる、所謂
「緑化」がなされている。この緑化を行う従来工法とし
ては、法面上に植物を直接植え付けて行う「直植工
法」、あるいは植物の種子(発芽生命体の一種)や肥料
などを一体化したシート状物を法面上に敷設したりして
行う「張芝工法」等、種々な工法があるが、中でも、生
育基盤材とともに、植物の種子等の発芽生命体を法面上
に吹き付ける、所謂「吹付工法」は最も盛んに行われて
いる工法である。
【0003】この従来の吹付工法においては、生育基盤
材と種子を混合した一種類の基材のみを吹付る方法が行
われているのが一般的である。仮に、多様な緑化を造成
する場合であっても、上記張芝工法のように、多種類の
種子や肥料を付着あるいは封入した袋体を法面に張り付
けたり、多種類の木本類の苗を植栽したり、または植栽
された苗の周囲にさらに上述の生育基盤材の吹付を行っ
たりすることが行われており、いずれにしても非常に手
間が掛かり、後述の表1のように、費用のかさむものと
なっていたのである。
【0004】そして、最近の法面緑化工は、初期緑量の
確保や浸食防止を目的とした「外来草本植物」主体の緑
化から、周辺環境との調和、生態系の早期復元、防災機
能の向上、維持管理の軽減等を目的とした「木本植物」
主体の緑化工へと移り変わってきており、該木本植物
は、外来草本植物と混播した場合、外来草本植物に被圧
されて発芽・生育を阻害されたり、また発芽できる覆土
厚が薄く、生育基盤層の乾燥等により発芽が阻害されや
すい等、発芽条件や生育条件が制約されるため、従来の
緑化工法では、発芽率が低下する等の問題を有する。
【0005】すなわち、従来の生育基盤材と種子を混合
して吹付る施工方法では、吹付厚が厚い場合には、生育
基盤の下層部の種子は覆土厚が厚くなるため発芽するこ
とができず、使用する種子の大半が無駄になることが避
けられなかった。例えば、吹付厚が5cmであった場
合、下層部4cm程度中の種子は殆ど発芽しないことが
多く、吹き付けられた種子の8割が無駄になっているの
である。このような問題は、高価な種子や貴重な種子の
場合には無視のできないことであった。
【0006】また、木本植物が外来草本植物に被圧され
ないようにする手段として、外来草本植物を極力少なく
配合し吹付を行う方法が取られているが、木本植物の発
芽・生育が遅いため、早期緑化を図れないという問題も
有する。特に、植物種子の配合の仕方が一種類の吹付基
材のみを吹付た場合には、法面全体が単一(将来像が一
様)の植生となるため、周辺環境に調和しなかったり、
また、植物の遷移を遅延させるという問題も有り、論議
の的にもなっている。特に、木本植物を導入する場合、
のり尻付近の樹木が側溝や道路に覆いかぶさって、視界
を遮るなどするため、法面下部を刈り込むなどメンテナ
ンスの面でも問題を有する。
【0007】ところで、実際の吹付作業は、図1にも示
すように、吹付ノズルを持った作業者が、法面20の法
肩(法面20の上端)から法面20下部に向かって、ロ
ープを伝って降りながら、吹付ノズルからの生育基盤材
の吹き付けを行うことによりなされるものであり、熟練
を要する大変なものである。また、作業者が持っている
吹付ノズルは、それ自体重量のあるのものであるだけで
なく、法面20下部に設置してある生育基盤材の供給装
置にホースを介して接続されおり、しかも吹き付け時に
はその反動力も加わるから、作業者にとっては非常に取
り扱いにくいものとなっている。
【0008】そこで、本発明者は、実際の吹付作業の上
記実状を踏まえながら、効果的な緑化を容易かつ確実に
行うにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねて
きた結果、本発明を完成したのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の実状
に鑑みて成されたものであり、その解決しようとする課
題は、法面や斜面の緑化をより効果的に行える工法を提
供することである。
【0010】すなわち、まず請求項1に係る発明の目的
とするところは、吹付作業によって少なくとも2種類以
上の植生区域を造成し、且つ、それぞれの植生区域で導
入された植物が十分に発芽・生育して、早期に、多様性
のある植物群落を安価に造成でき、さらに維持管理を軽
減できる緑化工法を提供することである。
【0011】また、請求項2〜請求項4に係るそれぞれ
の発明の目的とするところは、上記請求項1に係る発明
の目的を達成することができる他、植生区域の造成を、
より一層多様性に富んだものとすることのできる緑化工
法を提供することである。
【0012】さらに、請求項5の発明の目的とするとこ
ろは、上記請求項1〜請求項4の発明の目的を達成する
ことができる他、各吹付層の上記目的にあった施工を、
作業者が目で確認しながらより、一層容易に行えるよう
にした緑化工法を提供することである。
【0013】そして、請求項6の発明の目的とするとこ
ろは、上記請求項1〜請求項5の発明の目的を達成する
ことができる他、一回の吹付作業で少なくとも2種類以
上の植生区域を造成して、各吹付層を完全なものとする
ことのできる緑化工法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、まず請求項1に係る発明の採った手段は、後述す
る実施の形態の説明中で使用する符号を付して説明する
と、「生育基盤材中に植物の種子等の発芽生命体を混入
させ、これを法面20等に吹き付けて法面20を植生に
よって緑化を行う法面の緑化工法であって、法面20の
吹付作業中において、前記生育基盤材中に第1類の発芽
生命体を混入させた第1吹付材からなる第1吹付層11
を形成し、この第1吹付層11の表面または無吹付部
に、前記生育基盤材中に第2類の発芽生命体を混入させ
た第2吹付材、またはこの第2吹付材と他類の吹付材と
を吹き付けて、第2吹付層12または第2吹付層12及
びこれとは異なる他の吹付層とを形成し、少なくとも2
種類以上の植生区域を造成するようにした法面緑化工
法」である。
【0015】すなわち、この法面緑化工法では、吹付作
業中において、少なくとも2種類以上のタイプで配合さ
れた生育基盤材を交互あるいは、数回に一度の割合で変
えることにより、少なくとも第1吹付層11及び第2吹
付層12として、パッチ状(図1または図2に示した状
態)、縦縞状(図8に示した状態)、帯状(図9に示し
た状態)、あるいは層状に吹き分け、同一法面20上に
少なくとも2種類以上の緑化目的の異なる植生区域を造
成するようにしたものである。
【0016】つまり、法面20上部より下部に向かって
吹付ける際、例えば最初の第1吹付材を外来草本植物3
1主体の種子配合のものとしてこれを吹き付け、次いで
木本植物32のみの種子配合で第2吹付層12を練り混
ぜ、すでに吹付けてある草本植物31区である第1吹付
層11の表面に、例えば図3に示すように、薄くパッチ
状、縦縞状あるいは帯状に吹付けたり、図4に示す無吹
付部11a内の地山に直接吹付けることを繰り返すこと
により、図1及び図2に示すような、全体的に草本植物
区である第1吹付層11の中に、パッチ状、縦縞状ある
いは帯状に点在または線在する木本植物区である第2吹
付層12を造成することを特徴とする。
【0017】より具体的には、図1に示したように、ま
ず法面20上に、草本植物31を主体とした第1発芽生
命体と生育基盤材とを混練させて形成した第1吹付材を
吹き付けて、第1吹付層11を法面20上に形成する。
図1では、図3にも示すように、法面20上全体に対し
て第1吹付材を吹き付ける状態が示してあるが、これに
限らず、図4に示すように、第2吹付層12等となるべ
き法面20上の部分に第1吹付材の吹き付けを行わない
無吹付部11aを形成するように施工することもある。
次に、例えば木本植物32を主体とした第2発芽生命体
と生育基盤材とを混練させて形成した第2吹付材を、図
3等に示したように、第1吹付層11上にパッチ状、縦
縞状あるいは帯状に吹き付けて第2吹付層12を形成す
るか、あるいは、図4等に示したように、無吹付部11
a内の法面20または地山に第2吹付材を吹き付けてパ
ッチ状、縦縞状あるいは帯状に点在または線在する第2
吹付層12を形成するのである。
【0018】勿論、草本植物区である第1吹付層11の
中にパッチ状、縦縞状あるいは帯状に点在または線在す
る第2吹付層12は、他の発芽生命体を混在させた第2
吹付層12とは別のものを点在または線在させることが
できるものであり、これにより、同一法面20上に少な
くとも2種類以上の緑化目的の異なる植生区域を造成す
ることが可能である。
【0019】以上の第1吹付材や第1発芽生命体等の吹
付作業中では、作業者が持っている吹付ノズルに対して
は、法面20下部に設置してある図示しない供給装置に
よって、第1吹付材または第2吹付材等が必要に応じて
供給されるものである。
【0020】この請求項1に係る発明で採用している発
芽生命体とは、要するに、これから植物の発芽生育が望
めるとともに、生育基盤材との混練を行ってもその発芽
生育能力が衰えないものであり、前述しているように、
植物の種子を代表とするものである。この種子の他の発
芽生命体としては、地下茎、根系、裁断した幹枝、ある
いは挿穂等が考えられるものである。
【0021】以上のような本発明に係る生育基盤材を施
工した法面20上においては、全体的には(図1中では
点で示した部分)草本植物31が早期に発芽・生育して
早期緑化を果たし、その中に点在または線在する木本植
物32区(図1中では斜線で示した部分)等では、草本
植物31が配合されていないため、被圧されることなく
時間をかけて発芽・生育するとともに、周辺からの植物
の侵入を容易に受け入れることができるため、多様性に
富んだ法面緑化を造成することができる。
【0022】上記課題を解決するために、請求項2〜請
求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1の生育
基盤材について、「第1類の発芽生命体は草本植物31
主体の配合とし、前記第2吹付材または他類の吹付材の
発芽生命体は木本植物32主体の配合」し(請求項
2)、「第1類の発芽生命体は草本植物31主体の配合
とし、前記第2吹付材または他類の吹付材の発芽生命体
は草花植物33及び木本植物32主体の混合配合」し
(請求項3)、あるいは、「第1類の発芽生命体は草本
植物31主体の配合とし、前記第2吹付材または他類の
吹付材の発芽生命体は草花植物33主体の配合」したも
の(請求項4)である。
【0023】つまり、第1吹付層11のための第1吹付
材中には草本植物31主体の第1発芽生命体を混在させ
るのであるが、第2吹付層12のための第2吹付材中に
は、木本植物32主体の第2発芽生命体、草花植物33
主体の第2発芽生命体、あるいは木本植物32と第2発
芽生命体とを混合したものを主体とした第2発芽生命体
を混在させるようにしたものである。これにより、これ
らの請求項2〜請求項4のいずれかに係る発明では、法
面20上に少なくとも2種類以上のタイプの異なる植生
区域を造成するようにしたものである。
【0024】例えば、第2吹付層12の草花植物33と
して、ワイルドフラワー等を導入することにより、花の
咲く季節には、法面20全体として多様性に非常に富ん
だ法面緑化を行うこともできる。これらの草花植物33
や木本植物32の種子等の第2発芽生命体は、草本植物
31のそれに比して高価であることが一般的であり、こ
れらの草本植物31や木本植物32をパッチ状、縦縞状
あるいは帯状に点在または線在させるようにした本発明
に係る生育基盤材は、高価な種子等の第2発芽生命体の
無駄を少なくして利用することができるため、多様性の
ある法面緑化を安価に提供することができることにもな
るのである。
【0025】また、本発明に係る生育基盤材において、
法面20の法尻より1〜2m程度の範囲を、草本植物3
1配合の吹付で行うことにより、法面20の法尻での木
本植物32の繁茂を抑制することができるから、木本植
物32の刈り取り等のメンテナンスを行わなくてもよい
ようにすることができ、所謂メンテナンスフリーの法面
緑化を提供することもできる。
【0026】さらに、上記課題を解決するために、請求
項5に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項
4の生育基盤材について、「第1吹付材または第2吹付
材等を構成する前記生育基盤材中に、他方の吹付材が呈
する色とは異なる色を呈する着色材を混入させて、前記
第1吹付材からなる第1吹付層11に対して他の吹付層
を形成するに際して、両者の境界が明確になるようにし
て、各吹付層を形成するようにしたこと」である。
【0027】すなわち、この請求項5の緑化工法におい
て採用される生育基盤材では、第1吹付材や第2吹付材
に着色材を混入して、吹付作業時に、例えば第1吹付層
11と第2吹付層12とが明確に区別できるようにした
ものである。
【0028】図1及び図2の施工例では、第1吹付層1
1を点で、第2吹付層12を斜線で明確に区別できるよ
うに図示したのであるが、実際上は、生育基盤材がその
大部分を占める第1吹付材及び第2吹付材は殆ど同色の
ものであり、両者の境界は全く区別がつかない。そこ
で、上記のようにすることによって、各吹付層の区別を
明確にし、その作業性を向上させたのである。
【0029】ここで使用される着色材としては、各吹付
層の境界が区別できればよいのであるから、例えば植物
に悪影響を与えない程度の量のセメント系接合材や、石
灰等が採用されるのであり、この場合には、茶色っぽい
第1吹付層11に対して、白っぽい第2吹付層12を形
成できるようにするのである。
【0030】そして、上記課題を解決するために、請求
項6に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項
5の緑化工法について、「前記吹付作業は、法面20の
法肩より法面20下部に向かって、一下りで行うこと」
としたものである。
【0031】すなわち、この請求項6の法面緑化工法で
は、一回の吹付作業、換言すれば、法面20の法肩より
法面20下部に向かって一下りで行う吹付作業中におい
て、少なくとも2種類以上のタイプで配合された生育基
盤材を交互あるいは、数回に一度の割合で変えることに
より、少なくとも第1吹付層11及び第2吹付層12と
してパッチ状あるいは層状に吹き分け、同一法面20上
に少なくとも2種類以上の緑化目的の異なる植生区域を
造成するようにしたものである。
【0032】以上の第1吹付材や第1発芽生命体等の吹
付作業中は、作業者は上方へは全く移動しないのであ
り、法面20上の同一位置で上記作業を行うのである。
勿論、作業者が持っている吹付ノズルに対しては、法面
20下部に設置してある図示しない供給装置によって、
第1吹付材または第2吹付材等が必要に応じて供給され
るものである。
【0033】このようにする理由は、まず、吹付される
べき生育基盤材は、上記吹付ノズルへのホース内を流れ
易くするとともに、法面20に密着した均一な吹付面と
しなければならないから、これを水に混入させて供給装
置内で「練られる」ものだからである。つまり、吹き付
けられた直後の吹付面は軟弱なものであり、その上を急
激に伝い降りたり、吹付機材の重量を直接掛けたり、更
に別の工事を行ったりすることが困難なものとなってい
るからなのである。
【0034】以上のことを考慮すると、所謂吹付工法に
おける吹付作業は、法面20の法肩から法面20下部へ
の一下りで行うのが必要で、法面20上を何度も往復し
て行わない方が良好となるのである。
【0035】以上のような本発明に係る緑化工法を採用
した場合の単価費用は、従来のそれと比較して示すと、
後述する表1に示す通りであり、10%〜27%までの
費用削減を行うことができるのである。この種の緑化工
法は、非常に広い面積にわたって行われることが多いも
のであるから、1万m2 程度の規模の緑化を行うのであ
れば、場合によっては3000万円もの費用節減が可能
となり、非常に有用な緑化施工となるものである。
【0036】
【発明の実施の形態】次に、上記のように構成した各発
明を、図面に示した実施の形態に従って説明すると、以
下の通りであるが、その前に、第1発芽生命体や第2発
芽生命体とするための具体的植物名称をグループ分け
(Aグループ〜Eグループ)して示すと次の通りであ
る。また、そのグループ分けしたものを使用して、第1
吹付材または第2吹付材とした場合の、現在の一般的単
価(円/m3 )をも併せて示すと、次の通りである。
【0037】グループA;落葉広葉樹主体の木本類 ヤマモミジ、ヤマハゼ、ヤマハギ、コマツナギ 一般的単価(13,700円/m3) グループB;常緑広葉樹主体の木本類 ネズミモチ、シャリンバイ、ヤマハギ、コマツナギ 一般的単価(32,900円/m3) グループC;草本種子主体その1 トールフェスク、クリーピングレッドフェスク、ケンタ
ッキーブルーグラス、メドハギ 一般的単価(320円/m3) グループD;草本種子主体その2 バミューダグラス、ケンタッキーブルーグラス 一般的単価(320円/m3) グループE;花 類 ワイルドフラワー等の混合 一般的単価(15,000円/m3
【0038】ここでの実施形態の緑化工法では、法面2
0の金網張工施工後に、例えば図1に示したように、ま
ず草本植物31となるべき第1発芽生命体主体の配合の
第1吹付材を数バッチ吹付ける。通常、図示しない供給
装置によると、1バッチでは約200リットルの第1吹
付材が製造でき、200リットルの第1吹付材は、吹付
厚5cmとした場合には、概略約2m2 の第1吹付層1
1の吹付が行えるものである。この第1吹付層11の吹
付形成では、図3に示したような全面的なものとする
他、図4に示したように、第1吹付層11のない無吹付
部11aを点在または線在状態で形成しながら行うこと
もある。
【0039】次いで、草本植物31となるべき第2発芽
生命体主体の配合の第2吹付材を1バッチを練り、これ
を既に吹付けられている数バッチ分の第1吹付層11の
表層あるいは無吹付部11a内に吹付けることにより第
2吹付層12を形成するのであり、図2に示したよう
に、対象法面20に少なくとも2種類以上の緑化目的の
違う植生区域をパッチ状、縦縞状あるいは帯状に造成す
るものである。
【0040】以上のように第1吹付層11及びパッチ
状、縦縞状あるいは帯状の第2吹付層12を形成した結
果、図3に示した施工例では、図5に示したように、法
面20上に草本植物31と木本植物32とが混在する緑
化が行えるのであり、第2吹付層12の下側となってい
る第1吹付層11中の草本植物31は、第2吹付層12
の存在によって生育しないことになる。この場合、第2
吹付層12中の第2発芽生命体として草花植物33から
採れたものを採用すれば、図6に示したように、法面2
0上に花壇が点在または線在する緑化を行うことができ
る。勿論、第2吹付層12中の第2発芽生命体として
は、木本植物32と草花植物33とを混在させたものと
することができる。
【0041】図4に示したような、各無吹付部11a内
に第2吹付材を吹き付けて、パッチ状、縦縞状あるいは
帯状の第2吹付層12を形成した場合には、図7に示し
たように、この第2吹付層12から木本植物32、草花
植物33、あるいは木本植物32と草花植物33との両
者が生育することになる。この場合、第2吹付層12の
厚さは、例えば5cm程度と厚くなっているから、特に
木本植物32はこの第2吹付層12内で十分保護され
る。例えば、木本植物32の第2発芽生命体として種子
を採用した場合には、木本植物32の種子は1〜2年の
発芽可能期間を有するから、木本植物32の種子は、そ
の発芽可能期間中、第2吹付層12内にて保護されると
いうことになる。
【0042】従って、無吹付部11a内に第2吹付層1
2を形成して、しかもこの第2吹付層12内に木本植物
32の種子を混在させた場合には、1〜2年の発芽可能
期間中に、発芽可能時期が1回は訪れることになる。こ
のため、当該生育基盤材の施工時期を、木本植物32の
発芽時期に合わせて行う必要がなくなり、その施工を季
節に関係なく行うことができるのである。
【0043】この実施形態の生育基盤材では、第1吹付
材や第2吹付材に着色材を混入して吹付作業時に、例え
ば第1吹付層11と第2吹付層12とが明確に区別でき
るようにしている。このようにすることによって、施工
作業者が各吹付層の区別を明確に行えるようにしている
のであり、その作業性を向上させているのである。
【0044】ここで使用される着色材としては、各吹付
層の境界が区別できればよいのであるから、例えば植物
に悪影響を与えない程度の量のセメント系接合材や、石
灰等が採用されるのであり、この場合には、茶色っぽい
第1吹付層11に対して、白っぽい第2吹付層12を形
成できるようにするのである。この着色材としては、第
1吹付層11と識別できるような色の顔料や染料を採用
することができるのであり、例えばマラカイトグリーン
が採用できる。
【0045】本発明の緑化工法は、具体的には表1に示
したような各植物を使用して、各実施例のようにして施
工される。この表1の各実施例では、上記A〜Eにグル
ープ分けした各発芽生命体を使用して第1吹付層11や
第2吹付層12を形成し、吹付層の厚さを5cm及び7
cmにした場合に分けている。そして、この表1では第
1吹付層11及び第2吹付層12にどのグループの発芽
生命体を使用したかを示すとともに、その場合の本発明
に係る単価(円/m2)を、従来工法のそれと対比して
示してある。
【表1】 なお、上記表1中で、第1は第1吹付層11を意味し、
第2は第2吹付層12を意味するものである。
【0046】以上のような本発明に係る緑化方法を施工
し、木本植物32等が生育すると、例えば図7または図
10に示したような法面20が完成するのである。
【0047】
【発明の効果】以上詳述した通り、まず、請求項1に係
る発明においては、上記実施形態にて例示した如く、
「法面20の吹付作業中において、前記生育基盤材中に
第1類の発芽生命体を混入させた第1吹付材からなる第
1吹付層11を形成し、この第1吹付層11の表面また
は無吹付部に、前記生育基盤材中に第2類の発芽生命体
を混入させた第2吹付材、またはこの第2吹付材と他類
の吹付材とを吹き付けて、第2吹付層12、または第2
吹付層12及びこれとは異なる他の吹付層とを形成し、
少なくとも2種類以上の植生区域を造成するようにし
た」ことにその特徴があり、これにより、吹付作業によ
って少なくとも2種類以上の植生区域を造成し、且つ、
それぞれの植生区域で導入された植物が十分に発芽・生
育して、早期に、多様性のある植物群落を安価に造成で
き、さらに維持管理を軽減できる緑化工法を提供するこ
とができるのである。
【0048】すなわち、この請求項1の生育基盤材によ
れば、緑化目的の違う複数の植生区域を吹付け作業で造
成することができるため、早期緑化を図ることができる
とともに、発芽・生育の比較的遅い木本植物32や高価
な草花植物33を必要最小限に使用できることから、確
実かつ安価に植生区域を造成することができるのであ
る。また、ワイルドフラワー等の草花植物33について
も確実に、しかも安価に造成することができる。さら
に、のり尻付近には草本植物31区を造成することによ
り、法面20の周囲をすっきりとした景観とすることが
でき、メンテナンスフリーの多様性に富んだ法面緑化工
を造成することができる。
【0049】また、請求項2〜請求項4に係るそれぞれ
の発明によれば、第2吹付層12中に混在させるべき第
2発芽生命体を、上記のように種々変更することによ
り、上記請求項1に係る発明の目的を達成することがで
きる他、植生区域の造成を、より一層多様性に富んだも
のとすることのできる緑化工法を提供することができる
のである。
【0050】さらに、請求項5の発明によれば、上記請
求項1〜請求項4の生育基盤材について、「第1吹付材
または第2吹付材等を構成する前記生育基盤材中に、他
方の吹付材が呈する色とは異なる色を呈する着色材を混
入させて、前記第1吹付材からなる第1吹付層11に対
して他の吹付層を形成するに際して、両者の境界が明確
になるようにして、各吹付層を形成するようにしたこ
と」にその構成上の特徴があり、これにより、上記請求
項1〜請求項4の発明の目的を達成することができる
他、各吹付層の上記目的にあった施工を、作業者が目で
確認しながらより、一層容易に行えるようにした緑化工
法を提供することができるのである。
【0051】そして、上記課題を解決するために、請求
項6に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項
5の緑化工法について、「前記吹付作業は、法面20の
法肩より法面20下部に向かって、一下りで行うこと」
としたものであり、これにより、この請求項6の法面緑
化工法では、少なくとも第1吹付層11の損傷を与える
ことなく、同一法面20上に少なくとも2種類以上の緑
化目的の異なる植生区域を確実に造成することができる
のである。
【0052】すなわち、この請求項6に係る緑化工法に
よれば、上記請求項1〜請求項5の発明の目的を達成す
ることができる他、一回の吹付作業で少なくとも2種類
以上の植生区域を造成して、各吹付層を完全なものとす
ることのできる緑化工法を提供することができるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る法面緑化工の第1吹付層施工中の
一例を示す法面正面図である。
【図2】同法面緑化工の第2吹付層施工中の一例を示す
法面正面図である。
【図3】同法面緑化工の一例を示すもので、第1吹付層
上にパッチ状の第2吹付層を吹付た状態の部分断面図で
ある。
【図4】同法面緑化工の一例を示すもので、第1吹付層
に形成したパッチ状の無吹付部内に第2吹付層を吹付た
状態の部分断面図である。
【図5】同法面緑化工後の生育初期の状態を示す部分断
面図である。
【図6】同法面緑化工後の生育初期の他の状態を示す部
分断面図である。
【図7】同法面緑化工後の生育初期の、さらに他の状態
を示す部分断面図である。
【図8】同法面緑化工の他の一例を示すもので、第1吹
付層と第2吹付層とを縦縞状に吹付ける状態の部分断面
図である。
【図9】同法面緑化工のさらに他の一例を示すもので、
第1吹付層と第2吹付層とを帯状に吹付ける状態の部分
断面図である。
【図10】本発明に係る法面緑化工の一例を示す緑化将
来像の断面概略図である。
【符号の説明】
11 第1吹付層 11a 無吹付部 12 第2吹付層 20 法面 31 草本植物 32 木本植物 33 草花植物

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生育基盤材中に植物の種子等の発芽生命
    体を混入させ、これを法面等に吹き付けて法面を植物に
    よって緑化を行う法面の緑化工法であって、 前記法面の吹付作業を行う場合において、前記生育基盤
    材中に第1類の発芽生命体を混入させた第1吹付材から
    なる第1吹付層を形成し、この第1吹付層の表面または
    無吹付部に、前記生育基盤材中に第2類の発芽生命体を
    混入させた第2吹付材、またはこの第2吹付材と他類の
    吹付材とを吹き付けて、第2吹付層、または第2吹付層
    及びこれとは異なる他の吹付層とを形成し、少なくとも
    2種類以上の植生区域を造成するようにした法面緑化工
    法。
  2. 【請求項2】 前記第1類の発芽生命体は草本植物主体
    の配合とし、前記第2吹付材または他類の吹付材の発芽
    生命体は木本植物主体の配合として、前記法面上に少な
    くとも2種類以上のタイプの異なる植生区域を造成する
    ようにした請求項1に記載の法面緑化工法。
  3. 【請求項3】 前記第1類の発芽生命体は草本植物主体
    の配合とし、前記第2吹付材または他類の吹付材の発芽
    生命体は草花植物及び木本植物主体の混合配合として、
    前記法面上に少なくとも2種類以上のタイプの異なる植
    生区域を造成するようにした請求項1に記載の法面緑化
    工法。
  4. 【請求項4】 前記第1類の発芽生命体は草本植物主体
    の配合とし、前記第2吹付材または他類の吹付材の発芽
    生命体は草花植物主体の配合として、前記法面上に少な
    くとも2種類以上のタイプの異なる植生区域を造成する
    ようにした請求項1に記載の法面緑化工法。
  5. 【請求項5】前記第1吹付材または第2吹付材等を構成
    する前記生育基盤材中に、他方の吹付材が呈する色とは
    異なる色を呈する着色材を混入させて、前記第1吹付材
    からなる第1吹付層に対して他の吹付層を形成するに際
    して、両者の境界が明確になるようにして、各吹付層を
    形成するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項
    4のいずれかに記載の法面緑化工法。
  6. 【請求項6】 前記吹付作業は、前記法面の法肩より法
    面下部に向かって、一下りで行うことを特徴とする請求
    項1〜請求項5のいずれかに記載の法面緑化工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010259331A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Toko Geotech Corp 緑化工法

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