JPH11124661A - 成膜装置用構成部品 - Google Patents

成膜装置用構成部品

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JPH11124661A
JPH11124661A JP29942097A JP29942097A JPH11124661A JP H11124661 A JPH11124661 A JP H11124661A JP 29942097 A JP29942097 A JP 29942097A JP 29942097 A JP29942097 A JP 29942097A JP H11124661 A JPH11124661 A JP H11124661A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜装置内に設置される構成部品において、
成膜途中には付着する成膜材料が成長し膜厚が増大して
も脱落せず、従ってパーティクルを発生させず、メンテ
ナンス時等においては付着成膜材料を容易に脱落させ得
る成膜装置用構成部品を提供すること。 【解決手段】 アルミニウム合金の板材の片面に縦横の
両方向に2mmピッチで幅1mmの溝を掘り、深さを2
mmとして形成される凹凸の角を丸めて母材1とする。
その凹凸面に、母材1と比較して硫酸に溶解し易い銅を
溶射して下層易溶性金属膜2を形成し、その上へSUS
420J2を溶射して多孔性金属膜3を形成して成膜装
置用構成部品とする。成膜時には付着成膜材料5は脱落
せず、メンテナンス時には硫酸に浸漬することにより、
硫酸が多孔性金属膜3を経由し浸入して下層易溶性金属
膜2を溶解するので、付着成膜材料5は容易に脱落す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成膜装置内で使用さ
れる構成部品に関するものであり、更に詳しくは、スパ
ッタリング、CVD、真空蒸着等の気相成長方法による
成膜装置の構成部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】LSI、液晶ディスプレイ、光磁気ディ
スク、ハードディスク等は基板上へ目的に応じた成膜材
料による薄膜を形成させて製造されるが、この成膜時に
パーティクルと称される粒径数μm程度の微粒子が成膜
中の基板に付着し配線を短絡させるなどにより製品収率
を大幅に低下させるという看過できない問題がある。
【0003】これに対しては種々の対策が講じられてお
り、例えばスパッタリングによる成膜について言えば、
搬送系から持ち込まれるもの、ターゲット材から発生す
るものなどについてはほぼ解決され、現在では、薄膜を
形成させるべき基板以外の成膜装置用構成部品、例えば
防着板(成膜材料が基板以外の装置用構成部品へ付着す
ることを防ぐために、成膜源の周囲に配置される部品)
に付着し、時間の経過と共に厚く成長した成膜材料が成
膜途中に剥離脱落して飛散することがパーティクルの発
生を招く大きい要因とされている。しかし、付着成膜材
料が脱落する前に成膜装置の運転を停止して付着成膜材
料を頻繁にクリーニングすることは成膜装置の稼動時間
を大巾に低下させてコストを上昇させる。
【0004】上記の問題に対して、特開平3−8735
6号、特開平3−87357号、特開平3−16636
1号、特開平3−166362号等の各公報には、エン
ボス加工により複数の凹凸を形成させた金属箔や蛇腹状
金属箔を成膜装置用構成部品の表面に取り付ける技術が
開示されている。そして、例えばエンボス加工によって
複数の凹凸を形成させた電解銅箔は既に市販されてお
り、成膜装置用構成部品の形状に応じてその表面を覆う
ように重ね、スポット溶接やリベットによって固定して
使用されている。そして電解銅箔は、成膜装置内で使用
され付着した成膜材料の剥離せんとする応力によって電
解銅箔自身が変形されて応力を緩和するので、付着成膜
材料の剥離脱落の防止に有効であるとされている。この
エンボス加工された電解銅箔は付着成膜材料の剥離脱落
の防止に効果的ではあるが、使い捨てであり取り付け取
り外しが面倒であるほか、付着成膜材料の厚さが限度を
越えると、剥離応力によって電解銅箔自身が引き裂かれ
て成膜装置用構成部品が露出するという問題も有してい
る。
【0005】これ以外の方法としては、成膜装置用構成
部品の表面に小径の鋼球を噴射させるショット・ブラス
トやガラス玉を噴射させるガラスビーズ・ブラスト(G
BB)を行って表面の清浄化をはかると共に、凹凸を形
成させ表面積を増大させて、付着成膜材料の付着力を増
大させようとする試みもあるが、付着成膜材料の剥離脱
落の防止効果は不十分であるほか、不十分であるが故に
ブラスト処理を何回も繰り返すことになり、成膜装置用
構成部品にブラスト時の衝撃熱による歪が蓄積され、破
損に至る場合もある。
【0006】更には、成膜装置用構成部品の母材の表面
をショット・ブラストし、更にその上へ軟らかい金属を
溶射する方法、例えば、Al(アルミニウム)合金母材
の表面にAl溶射膜を形成させる方法があり多用されて
いる。この方法は付着成膜材料の剥離応力を軟らかいA
l溶射膜が変形して緩和させるという点では合理的であ
るが、成膜材料が剥離応力の大きいTa(タンタル)系
である場合には、付着成膜材料の厚さが0.5mm程度
になると、Al溶射膜とアルミニウム合金母材との間で
剥離を生じるという問題があり、現在のところ解決の方
法は見出されていない。
【0007】(従来例1)上述のような問題を解決する
ものとして、本願出願人の出願による特開平8ー277
460号公報、「成膜装置用構成部品及びその製造方
法」には、例えば図3のAの部分平面図、同じくBの部
分側面図に示すように、Al合金の板材の片面に機械加
工によって縦横の両方向に2mmピッチで幅1mmの溝
を掘り、深さ2mmとして形成される山M、谷Nを丸め
た母材とし、その凹凸面をショットブラスト処理した
後、濃度17%の硫酸に常温で24時間浸漬し、水洗、
乾燥したものが開示されている。そして、そのようにし
て作成される防着板はTaが厚さ5〜6mmに付着して
も剥離脱落せず、長期間にわたって成膜装置内にパーテ
ィクルを発生させない構成部品として優れたものであっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】成膜材料が付着した成
膜装置用構成部品は成膜装置のメンテナンス時などにお
いて、付着した成膜材料を取り除いて再使用することが
行なわれる。しかし、従来例1の成膜装置用構成部品は
成膜材料が厚く付着しても剥離脱落しないという点では
好ましいものであるが、成膜装置のメンテナンス時など
において、厚く付着した成膜材料を機械的に取り除くに
は困難があり、また成膜材料の付着した構成部品を例え
ば硫酸や硝酸に浸漬しても、成膜材料の種類によっては
付着成膜材料の溶解よりは構成部品の溶解の方が先に進
行する等、成膜装置用構成部品の再使用に関して問題が
あった。
【0009】本発明は上記の問題に鑑みてなされ、成膜
時には成膜材料が厚く付着しても剥離脱落せず、成膜装
置のメンテナンス時などにおいては、付着成膜材料を取
り除いて容易に再使用し得る成膜装置用構成部品を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題は請求項1の
構成によって解決されるが、その解決手段を実施の形態
によって例示すれば、図1は成膜装置用構成部品の表面
部分の拡大断面図であり、同構成部品は金属の板材、例
えばアルミニウム合金(A5052)の板材からなる母
材1の表面に、母材1と比較して無機酸に溶解し易い金
属、例えば銅からなる下層易溶性金属膜2を形成し、更
にその上にステンレス鋼(SUS420J2)による多
孔性金属膜3を形成したものであり、このように形成し
た成膜装置用構成部品によって上記の課題は解決され
る。
【0011】この成膜装置用構成部品を成膜装置内で使
用すると、付着する成膜材料の厚さは成膜時間の経過と
共に増大するが、成膜材料の剥離応力が大であっても、
表面を凹凸状とした母材とすることによって、成膜途中
には剥離脱落せず、メンテナンス時に取り外した成膜装
置用構成部品を無機酸に浸漬すると、構成部品の端部か
ら多孔性金属膜3を経由し浸入する無機酸、例えば硫酸
や硝酸、ないしはそれらの混酸によって下層易溶性金属
膜2が溶解され、厚く付着した成膜材料5が多孔性金属
膜3と共に比較的短時間で母材1から脱落するので母材
1を容易に再使用に供し得る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態による成膜装
置用構成部品は金属の板材、もしくは表面に凹凸を設け
た金属の板材を母材として作製される。金属の種類は特
に限定されないが、一般的にはアルミニウム合金、アル
ミニウム、ステンレス鋼(SUS304)、チタン等が
使用される。母材の表面に凹凸を設ける場合には機械加
工性の点でアルミニウム合金またはアルミニウムとする
ことが好ましい。表面が凹凸状の母材の例を図3、図4
に示した。図3は表面に比較的角張った凹凸を設けた母
材1を示し、図3のAはその部分平面図、図3のBは部
分側面図である。すなわち、厚さ5mmの板状の母材の
片面に、縦方向と横方向にそれぞれ、2mmピッチで幅
1mmの溝を掘り、深さを2mmとして形成される山M
と谷Nの角を丸めたものである。勿論、この凹凸の深さ
や幅のピッチは1mm以下としてもよい。そのほか、図
4のAの部分平面図、図4のBの部分側面図に示すよう
に、表面に丸味のある凹凸を設けた母材1’としてもよ
い。剥離応力が小さい成膜材料の場合には表面が平面状
の母材を使用してもよいがその母材の図示は省略する。
そして成膜装置用構成部品は、例えば母材1について説
明すれば、表面をガラスビーズ・ブラストまたはショッ
ト・ブラスト処理して汚れを除きかつ粗面とした後、そ
の表面部分の断面図である図1に示すように、母材1の
表面に母材1と比較して無機酸に溶解し易い金属からな
る下層易溶性金属膜2を形成し、その上へ多孔性金属膜
3を重ねて形成する。
【0013】図1に示す下層易溶性金属膜2は母材と比
較して硫酸、硝酸などの無機酸、ないしはそれらの混酸
に溶解し易い金属、例えばCu(銅)を母材1の表面に
溶射して形成される。下層易溶性金属膜2の厚さに制限
はないが、コストと効用を考慮して厚さ0.05〜0.
15mmの範囲内とするのが好ましい。因みに、2〜3
種の金属を濃度17%の硫酸に常温浸漬した時の溶解速
度比は、例えば母材1の材料であるアルミニウム合金
(A5052)を1として、Cuは25、Ni(ニッケ
ル)は20、アルミニウム合金(A2017)は2であ
った。勿論、下層易溶性金属膜2を形成させる金属はC
u、Niに限らずアルミニウム合金(A2017)でも
よく、母材1の材料と比較して溶解性が大であり、付着
した成膜材料5(図1において一点鎖線で示す)が多孔
性金属膜3と共に母材1から剥離し易いものであれば、
金属の種類は特に限定されない。勿論、合金であっても
よい。また、上記の溶解速度比は浸漬に使用する無機酸
の種類によって異なることは言うまでもない。
【0014】また、下層易溶性金属膜2の上へ重ねて形
成される多孔性金属膜3は比較的高い融点を有する金
属、例えばステンレス鋼(SUS420J2)を溶射し
て形成される。多孔性金属膜3の厚さも特に限定されな
いが、コストと効用を考慮して厚さ0.1〜0.3mm
の範囲内とするのが好ましい。周知のように、多孔性金
属膜3は溶射される金属微粒の表面が溶融し内部が完全
には溶融していない状態で成膜されることにより、例え
ば気孔率4〜15%の連続気孔pを包含して形成され
る。すなわち、使用する金属の融点と溶射条件(溶射温
度、その他)との関連において各種の金属による多孔性
金属膜3を形成し得る。この多孔性金属膜3は、成膜材
料が付着した成膜装置用構成部品を無機酸に浸漬する時
に、連続気孔pが無機酸の通路となって無機酸が浸入
し、下層易溶性金属膜2を溶解することに寄与する。従
って、付着成膜材料5の剥離応力によって多孔性金属膜
3が破壊されることは望ましくなく、多孔性金属膜3の
形成には比較的剛性のある金属を使用することが好まし
い。勿論、浸漬する無機酸によって溶解され難い金属で
あることが必要である。それらの観点からは、上記のス
テンレス鋼(SUS420J2)以外に、TaやW(タ
ングステン)等が適している。
【0015】上述の様に構成される成膜装置用構成部品
は、成膜装置内での成膜時に付着成膜材料5が成長し厚
さ5mm程度となっても剥離脱落することはない。そし
て、成膜装置のメンテナンス時などにおいて、成膜装置
から付着成膜材料5が厚く成長した構成部品を取り出し
て例えば硫酸に浸漬すると、構成部品の端面部に露出し
ている多孔性金属膜3を経由して硫酸が浸入し下層易溶
性金属膜2が溶解され、5〜15時間後には、付着成膜
材料5が多孔性金属膜3と共に母材1から脱落する。付
着成膜材料5が脱落した母材1は水洗し乾燥した後、再
びその表面に易溶性金属膜2を形成し、更にその上へ多
孔性金属膜3を形成することによって再使用される。
【0016】上記の成膜装置用構成部品は母材1の表面
に下層易溶性金属膜2と多孔性金属膜3を形成させた二
層膜構成の場合であるが、図2に示すように、更にその
多孔性金属膜3の上へ下層易溶性金属膜2と同様な上層
易溶性金属膜4を形成させて三層膜構成としてもよく、
こうすることによって、付着成膜材料の剥離に要する無
機酸への浸漬時間がほぼ半減する。
【0017】
【実施例】次に本発明の成膜装置用構成部品を実施例に
よって具体的に説明する。
【0018】(実施例1)図3に示す角張った凹凸の表
面を有する母材1、すなわち、アルミニウム合金(A5
052)の厚さ5mmの板材の片面をエンドミルで切削
して、縦方向と横方向とのそれぞれに、2mmピッチで
幅1mmの溝を掘り、深さを2mmとして形成される山
Mと谷Nの角を丸めた凹凸を有する母材1を用意した。
この母材1の凹凸面をガラスビーズ・ブラスト処理して
表面の汚れを除きかつ粗面とした。次いで、図1に示す
ように、母材1の表面に硫酸に溶解し易いCuを溶射し
て厚さ0.1mmの下層易溶性金属膜2を形成し、更に
その上へステンレス鋼(SUS420J2)を溶射して
厚さ0.2mmの多孔性金属膜3を形成して二層金属膜
を有する板材とした。
【0019】上記の二層金属膜の板材を複数枚用意し、
真空槽内でTaをスッパタさせてガラス基板に成膜する
成膜装置のTaターゲット板の周囲に、それらの板材を
凹凸面が内側となるように筒状に組み合わせて設置して
防着板とした。成膜操作を開始してバッチ数を重ねるに
従い、防着板へ付着するTaからなる付着成膜材料5は
厚さが増大したが、厚さが5〜6mmとなっても、剥離
応力が大きいとされるTaの付着成膜材料5が剥離脱落
することはなかった。これは防着板に設けた凹凸が剥離
応力を分散させたことによる。
【0020】また、成膜操作の停止後、Taが厚く付着
した防着板を成膜装置から取り外して、17%濃度の硫
酸を張った浸漬槽に投入したが、およそ10時間経過後
にTaの付着成膜材料5が多孔性金属膜3と共に防着板
から脱落した。これは、硫酸がステンレス鋼(SUS4
20J2)による多孔性金属膜3内を浸入してCuの下
層易溶性金属膜2を溶解したことによる。このTa付着
物が脱落した母材1を浸漬槽から取り出し水洗乾燥した
後、上述した新品の母材1の場合と同様にしてその表面
にCuの下層易溶性金属膜2を形成し、ステンレス鋼
(SUS420J2)の多孔性金属膜3を形成させて、
母材1を容易に再利用に供し得た。
【0021】(実施例2)実施例1で使用した母材1の
凹凸面をガラスビーズ・ブラスト処理して表面の汚れを
除きかつ粗面とした後、図2に示すように、母材1の表
面にCuを溶射して厚さ0.05mmの下層易溶性金属
膜2を形成した上へステンレス鋼(SUS420J2)
を溶射して厚さ0.2mmの多孔性金属膜3を形成し、
更にその上にCuを溶射して厚さ0.05mmの下層易
溶性金属膜4を形成して三層金属膜を有する板材とし
た。上記の三層金属膜の板材を、実施例1と同じ成膜装
置のTaターゲット板の周囲に、それらの板材の凹凸面
が内側となるように、筒状に組み合わせて設置して防着
板とした。成膜のバッチ数を重ねるに従い、防着板へ付
着するTaからなる付着成膜材料5は厚さが増大した
が、厚さが5〜6mmとなっても剥離脱落することはな
かった。
【0022】また、成膜操作の停止後、Taが厚く付着
した防着板を取り外して、17%濃度の硫酸に浸漬した
が、付着成膜材料5は約5時間で脱落し、実施例1の場
合と比較して脱落までの浸漬時間は半減した。これはス
テンレス鋼(SUS420J2)の多孔性金属膜3内を
浸入した硫酸がCuの下層易溶性金属膜2と上層易溶性
金属膜4とを同時に溶解したことによると思われる。付
着成膜材料5の脱落した母材1を浸漬槽から取り出し水
洗乾燥した後、新品の母材1の場合と同様に、その表面
にCuによる下層易溶性金属膜2、ステンレス鋼(SU
S420J2)による多孔性金属膜3、Cuによる下層
易溶性金膜4からなる三層金属膜を形成させることによ
り、母材1を容易に再利用し得た。
【0023】(実施例3)図4に示す丸味のある凹凸の
表面を有する母材1’、すなわち、アルミニウム合金
(A5052)の厚さ5mmの板材の片面をエンドミル
で切削して、縦方向と横方向とのそれぞれに、2mmピ
ッチで幅1mmの溝を掘り、深さを2mmとして形成さ
れる山Mと谷NにR0.5mmの丸味を付けた凹凸を有
する母材1’を用意した。この母材1’の凹凸面をショ
ット・ブラスト処理して表面の汚れを除きかつ粗面とし
た。次いで、図1を援用して、母材1’の表面に硫酸に
溶解し易いNiを溶射して厚さ0.1mmの下層易溶性
金属膜2’を形成し、更にその上へステンレス鋼(SU
S420J2)を溶射して厚さ0.2mmの多孔性金属
膜3’を形成して、二層金属膜を有する板材を作製し
た。
【0024】上記の二層金属膜の板材を複数枚用意して
真空槽の内壁材とした。すなわち、Si(シリコン)基
板に形成されているSiO2 (酸化けい素)膜上のTi
N(窒化チタン)薄膜の全面に、WF6 (6弗化タング
ステン)ガスとH2 (水素)ガスとによってW膜を形成
させるCVD法の成膜装置の真空槽の内壁面の一部に上
記の二層金属膜の内壁材を、それらの凹凸面が内側とな
るように取り付けた。成膜操作を開始してバッチ数を重
ねるに従い、内壁材の凹凸面におけるWからなる付着成
膜材料5’の厚さは増大したが、厚さが5〜6mmとな
っても、Wの付着成膜材料5’が脱落することはなかっ
た。
【0025】また、成膜操作の停止後、Wが厚く付着し
た内壁材を取り外して、17%濃度の硫酸を張った浸漬
槽に投入したが、およそ10時間経過後に付着物成膜材
料5’が多孔性金属膜3’と共に内壁材から脱落した。
また、実施例1と同様に、付着成膜材料5’の脱落した
母材1’を浸漬槽から取り出し水洗乾燥した後、上述し
た新品の母材1’の場合と同様にして、その表面にNi
による下層易溶性金属膜2’、ステンレス鋼(SUS4
20J2)による多孔性金属膜3’形成して、母材1’
を容易に再利用し得た。
【0026】本実施の形態の形態による成膜装置用構成
部品は以上の様に構成され作用するが、勿論、本発明は
これらに限られることなく、本発明の技術的思想に基づ
いて種々の変形が可能である。
【0027】例えば本実施の形態においては、成膜装置
用構成部品として防着板および真空槽の内壁面を例示し
たが、本発明の構成部品にはこれら以外の各種の構成部
品が含まれることは言うまでもない。構成部品は、成膜
装置の種類やタイプによっては同一部品を異なる名称で
呼ぶこともあるが、例えば、基板の周囲を抑えるカバー
リング、基板を固定するホールダ、基板へ所定形状に成
膜させるためのマスク、真空蒸着装置において金属蒸気
の流れを導くチムニー(煙突)や蒸発源を開閉するシャ
ッター、スパッタ装置においてターゲットに近接して設
置されるアースリング、CVD装置において原料ガスを
吹き出させるシャワープレート等であり、換言すれば成
膜装置内で基板以外に成膜材料が付着する全ての構成部
品を指す。
【0028】また本実施の形態においては、スパッタ
法、CVD法の成膜装置における構成部品を例示した
が、本発明の成膜装置用構成部品は真空蒸着法による成
膜装置のほか気相成長方法による全ての成膜装置の構成
部品を含む。
【0029】また本実施の形態においては、アルミニウ
ム合金の平板の片面に縦方向、横方向に2mmピッチで
幅1mmの溝を掘り、深さ2mmの溝として角張った凹
凸、または丸味のある凹凸を形成したが、この凹凸の形
状や大きさは成膜材料に固有の剥離応力に応じて適宜決
定されるものであり、一概には定め得ない。また、剥離
応力の大きさは付着成膜材料の厚さに比例するので、固
有の剥離応力が小さい成膜材料が薄くしか付着しない構
成部品においては、母材を平面状とすることも可能であ
る。
【0030】また本実施の形態においては、構成部品の
母材1の片面に凹凸を設け、その表面に下層易溶性金属
膜2、多孔性金属膜3等を形成して成膜装置用構成部品
としたが、成膜装置用構成部品の形状と成膜材料の付着
状況によっては、母材1の両面に凹凸を設けて下層易溶
性金属膜2、多孔性金属膜3等を形成するようにしても
よい。この場合には、無機酸への浸漬に際し、必要によ
っては多孔性金属膜の一部を露出させる必要がある。
【0031】また本実施の形態においては、下層易溶性
金属膜2を溶射法によって形成したが、これに代えて化
学めっき法または電解めっき法によって形成してもよ
い。
【0032】
【発明の効果】本発明の成膜装置用構成部品は上述のよ
うな形態で実施され、以下に述べるような効果を奏す
る。
【0033】本発明の成膜装置用構成部品は成膜装置内
において使用される時、付着成膜材料が時間の経過と共
に成長しても脱落せず、成膜される基板を汚染しない。
また、成膜装置のメンテナンス時などにおいて、成膜装
置から成膜材料の付着した構成部品を取り出して無機酸
に浸漬することにより、多孔性金属膜を経由し無機酸が
浸入して下層易溶性金属膜を溶解し、付着成膜材料が母
材から脱落するので、母材の再使用が極めて容易とな
り、成膜装置の稼動率、生産性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の成膜装置用構成部品の表面部分の断
面図である。
【図2】実施例2の成膜装置用構成部品の表面部分の断
面図である。
【図3】角張った凹凸を表面に有する母材を示す図であ
り、Aは部分平面図、Bは対応する部分側面図である。
【図4】丸味のある凹凸を表面に有する母材を示す図で
あり、Aは部分平面図、Bは対応する部分側面図であ
る。
【符号の説明】
1 母材 1’ 母材 2 下層易溶性金属膜 3 多孔性金属膜 4 上層易溶性金属膜 5 付着成膜材料 p 気孔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属の板材、もしくは表面に大きさが数
    ミリメートルまたはミリメートル以下の凹凸を設けた金
    属の板材を母材とする成膜装置用構成部品において、 前記母材の表面に前記母材と比較して無機酸に溶解し易
    い金属からなる下層易溶性金属膜が形成されており、そ
    の上に多孔性金属膜が形成されていることを特徴とする
    成膜装置用構成部品。
  2. 【請求項2】 前記多孔性金属膜の上に更に前記下層易
    溶性金属膜と同様な上層易溶性金属膜が形成されている
    請求項1に記載の成膜装置用構成部品。
  3. 【請求項3】 前記下層易溶性金属膜および前記上層易
    溶性金属膜が銅、ニッケル、またはアルミニウム合金に
    よって形成されている請求項1または請求項2に記載の
    成膜装置用構成部品。
  4. 【請求項4】 前記多孔性金属膜がタングステンまたは
    ステンレス鋼(SUS420J2)によって形成されて
    いる請求項1から請求項3までの何れかに記載の成膜装
    置用構成部品。
  5. 【請求項5】 前記金属の板材が前記下層易溶性金属膜
    または前記上層易溶性金属膜よりも前記無機酸に溶解し
    難いアルミニウム合金またはアルミニウムの板材である
    請求項1から請求項4までの何れかに記載の成膜装置用
    構成部品。
  6. 【請求項6】 前記下層易溶性金属膜、前記多孔性金属
    膜、および前記上層易溶性金属膜がそれぞれ溶射法よっ
    て形成されている請求項1から請求項5までの何れかに
    記載の装置用構成部品。
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