JPH1112279A - Ras蛋白の阻害活性を有する新規なアグライアスタチン立体異性体とそれらの製造法 - Google Patents

Ras蛋白の阻害活性を有する新規なアグライアスタチン立体異性体とそれらの製造法

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JPH1112279A
JPH1112279A JP17135697A JP17135697A JPH1112279A JP H1112279 A JPH1112279 A JP H1112279A JP 17135697 A JP17135697 A JP 17135697A JP 17135697 A JP17135697 A JP 17135697A JP H1112279 A JPH1112279 A JP H1112279A
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JP17135697A
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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Takumi Watanabe
匠 渡辺
Kazuo Umezawa
一夫 梅澤
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Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ras蛋白の機能の阻害活性とRas蛋白の合成の
阻害活性を有して抗癌活性を示すアグライアスタチンの
合成方法を開発し、また有用な生理学的活性を有するア
グライアスタチンの新しい立体異性体を得ることを目的
とする。 【解決手段】 既知の化合物、1,8b-ジヒドロキシ-6,8-
ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,3,
3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1
H)-カルボン酸から出発して、複数の反応工程により、
アグライアスタチンとこれの新規エナンチオマーの等量
混合物(すなわちアグライアスタチンB)、ならびに2種
の新規ジアスレオマーの等量混合物(すなわちアグライ
アスタチンC)が新規物質として合成された。これら新
規物質はRas蛋白を発現する癌細胞の増殖の阻害活性を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はRas蛋白の機能を阻
害する活性ならびにRas蛋白合成を阻害する活性を有し
て抗癌活性を示す物質であるアグライアスタチンとアグ
ライアスタチンの新規な立体異性体とからなる新規物質
に関し、また本発明はこれらの物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来既知の制癌剤は、殺癌細胞性の活性
物質を主体とする薬剤が主なものであった。この種の抗
癌剤は現在多く研究をされ、また臨床に用いられている
ものもある。しかし、従来既知の制癌剤は癌の治療に対
して未だ充分に満足なものとは言い難い。これらの殺癌
細胞性の薬剤による癌治療に当っては、問題点として、
癌細胞を選択的に殺傷する性質に欠けること、および、
殺細胞性の活性物質に抵抗性を有する癌細胞が存在する
ことが挙げられる。これらの点を解決する方法として、
癌細胞が増殖する上で重要な生物学的機構のうち、癌細
胞に特有な機構を阻害する物質を薬剤として癌の治療に
用いることが考えられる。そしてこのように癌細胞の増
殖に特有な機構の一例として、Ras蛋白の活性化を挙げ
ることができる。Ras蛋白は全ての細胞が増殖する上で
必須の蛋白質であるが、このRas蛋白の機能の異常な亢
進が癌の発生と密接な関係があることが最近広く知られ
るようになった。膵癌の癌細胞においては約80%にRas蛋
白の活性化が認められる。これをはじめとして、全体の
悪性新生物疾患の癌細胞においては約20から30%がRas蛋
白の活性化を伴なっていることが判っている。
【0003】そのため、Ras蛋白の機能を阻害する物質
は、癌に選択的な増殖阻害を示す制癌剤となる可能性が
高い。このような性質の制癌性物質を天然より得るため
に、先に、本発明者らはRas蛋白を高発現している細胞
を、正常な細胞に変化させ得る物質を検索する方法を見
い出した。その検索方法によりタイ原産の植物アグライ
ア・オドラタ(Aglaia odorata)からRas蛋白活性の阻害
物質アグライアスタチン(aglaiastatin)を単離した(Jo
urnal of Natural Products,59巻7号,650-652頁、1996
年)。
【0004】アグライアスタチンは、融点157-160℃お
よび比旋光度[α]D 23 +59.7°(c 0.3, メタノール)の白
色粉末状の物質であり、メタノール、クロロホルムに可
溶であるが、水、ヘキサンに僅溶〜難溶性である。アグ
ライアスタチンは、分子式がC31H30N2O6であり、それの
構造は次式(Ia) で示され、化学名は(6R,6aR,11bS,12aS)-11b-ヒドロキ
シ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メトキシフェニル)-6-フェ
ニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オクタヒドロベンゾフロ
[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]ピロロ[1,2-a]ピリミ
ジン-5(5H)-オンである。
【0005】アグライアスタチンは、in vitro抗癌活性
の試験において、Ras蛋白を高発現している癌細胞の増
殖をきわめて低い濃度で抑制することが認められた。ア
グライアスタチンは、K-ras-NRK細胞では2.8ナノグラム
/ml, K-ras-NIH3T3細胞では5.6ナノグラム/ml, H-ras-N
IH3T3細胞では1.0ナノグラム/ml,N-ras-NIH3T3細胞では
1.8ナノグラム/ml, RSV-NIH3T3細胞では1.9ナノグラム/
mlの量で細胞増殖を50%阻害することが認められた。こ
のことから、ヒト腫瘍に最も重要なK-rasを高発現して
いる癌細胞にアグライアスタチンが有効であることが特
筆される。 また、アグライアスタチンは、これまで有
効な制癌剤が全く知られていない細胞、たとえば膵癌AS
PC-1細胞に対しても1ml中2.8ナノグラム(ng)というきわ
めて低いIC50値で増殖抑制を示す。さらにアグライアス
タチンはRas蛋白合成に対して阻害活性を有することも
認められた。
【0006】このような性質からアグライアスタチンは
今後の癌化学療法において従来の薬剤になかった効果を
示す可能性が高い。しかし、アグライアスタチンは前述
の天然物抽出法によると、アグライア・オドラタの葉を
乾燥したもの100グラムより2.1mgしか得ることができな
いので、臨床での使用の目的に供するのには量が不足で
ある。また、天然の植物より薬効成分を抽出すること自
体が資源保護の観点からは問題である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、アグライアス
タチンを十分な量で供給するためにはそれの化学合成的
な製造方法を確立することが強く要望されている。化学
的に合成することにより、アグライアスタチンとともに
それの新しい立体異性体が得られたり、あるいは種々の
反応試剤を変えることにより新しい誘導体が得られる可
能性があり、これらの場合、得られる新規化合物は、よ
り良好な制癌活性あるいはアグライアスタチンとは異な
った生理活性を備えている可能性もある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはアグライア
スタチンおよびアグライアスタチンの種々な立体異性体
を合成的に得ることを目的として研究を進めた。その研
究の結果、後述する合成方法によって、前記の式(Ia)で
示されるアグライアスタチンと後記の式(Ib)で示される
アグライアスタチンの新規な立体異性体(6S,6aS,11bR,1
2aR-エナンチオマー)との均質な等量混合物を新規物質
として得ることに成功し、さらに後記の式(Ic)で示さ
れるアグライアスタチンの新規な立体異性体(6R,6aR,11
bS,12aR-ジアステレオマー)と式(Id)で示されるアグラ
イアスタチンの新規な立体異性体(6S,6aS,11bR,12aS-ジ
アステレオマー)との均質な等量混合物を新規物質とし
て得ることに成功した。
【0009】そして、式(Ia)のアグライアスタチンと
式(Ib)の立体異性体との等量混合物は、現在のところ薄
層クロマトグラフィーでは単一なスポットを与え、クロ
マトグラフィー的な手法ではそれぞれの構成化合物(Ia)
および(Ib)に相互に単離できないことが認められたから
一物質であるとみなして、アグライアスタチンBと仮称
することにした。また、式(Ic)の立体異性体と式(Id)の
立体異性体との等量混合物は、これも薄層クロマトグラ
フィーでは単一のスポットを与え、それぞれの構成化合
物(Ic)および(Id)に相互に単離できないと認められたか
ら一物質であるとみなしてアグライアスタチンCと仮称
することにした。
【0010】さらに、本発明者は、前記のようなアグラ
イアスタチンBおよびアグライアスタチンCもRas蛋白
を高発現している癌細胞において、癌細胞の増殖を阻害
する活性を有することを認めた。これらの知見に基づい
て、本発明は完成された。
【0011】従って、第1の本発明においては、次式
(Ia) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
タチンと、その鏡像体であって次式(Ib) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
タチンの6S,6aS,11bR,12aR-エナンチオマーとの等量混
合物から成り、Ras蛋白質の機能の阻害活性とRas蛋白合
成の阻害活性を有する物質、アグライアスタチンBが提
供される。
【0012】第1の本発明による式(Ia)のアグライアス
タチンとその鏡像体としての式(Ib)のアグライアスタチ
ンの6S,6aS,11bR,12aR-エナンチオマーの均質な等量混
合物(すなわちアグライアスタチンBと仮称するもの)
は、前出の論文「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロ
ダクツ」59巻7号650-652頁(1996)に示されたアグライア
スタチンと同様に融点157-160℃の白色粉末状物質であ
り、メタノール、クロロホルムに可溶であるが水、ヘキ
サンに僅溶である。しかし、この物質の比旋光度の値は
アグライアスタチンのそれと一致しなかったが、その他
の物理化学的特性にアグライアスタチンのそれと一致し
た。
【0013】さらに、第2の本発明においては、次式
(Ic) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
タチンの6R,6aR,11bS,12aR-ジアステレオマーと、その
鏡像体であって次式(Id) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
タチンの6S,6aS,11bR,12aS-ジアステレオマーとの等量
混合物から成り、Ras蛋白質の機能の阻害活性とRas蛋白
合成の阻害活性を有する物質、アグライアスタチンCが
提供される。
【0014】第2の本発明による式(Ic)のアグライアス
タチン-6R,6aR,11bS,12aR-ジアステレオマーと、その鏡
像体として式(Id)のアグライアスタチン-6S,6aS,11bR,1
2aS-ジアステレオマーとの等量混合物(すなわちアグラ
イアスタチンCと仮称するもの)は、融点117℃(分解)
の白色粉末状物質であり、クロロホルム、アセトン、メ
タノール等の有機溶媒によく溶けるが、水に僅溶であ
る。また、それの分子式はC31H30N2O6である。この物質
の高分解能マススペクトルおよび赤外部吸収スペクトル
ならびに13炭素核共鳴吸収スペクトルは次に示す通りで
ある。
【0015】高分解能マススペクトル(FAB,positive):
m/z 527.2199(M+H)+ [C31H31N2O6の計算値: 527.2182] IRスペクトル(KBr, cm-1) : 3371, 2839, 1624, 1511,
1425, 1250, 1147,1111, 1033, 8111 H-NMRスペクトル(400MHz, CDCl3) : δ6.91-7.07(5H,
m),7.05(2H, d, J=9.0Hz), 6.56(2H, d, J=9.0Hz), 6.2
8(1H, d, J=1.9Hz),6.08(1H, d, J=1.9Hz), 5.25(1H, b
rs), 5.07(1H, dd, J=8.0, 5.5Hz),4.48(1H, s), 3.86
(3H, s), 3.83(3H, s), 3.67(3H, s), 3.63(1H, m),3.4
1(1H, m), 2.26(2H, m), 2.18(1H, s), 2.08(1H, m),
1.85(1H, m)。
【0016】13C-NMR(100MHz, CDCl3): δ163.8, 162.
7, 161.2, 158.5, 157.6, 157.1,138.2, 129.6, 128.8,
127.2, 126.8, 126.3, 112.2, 107.2, 106.1, 103.9,9
2.6, 89.5, 89.3, 72.4, 58.8, 55.7, 55.0, 42.9, 32.
8, 21.6。
【0017】第1の本発明による式(Ia)の化合物と式(I
b)の化合物との等量混合物(すなわちアグライアスタチ
ンB)、ならびに第2の本発明による式(Ic)の化合物
と式(Id)の化合物との等量混合物(すなわちアグライア
スタチンC)の癌細胞増殖阻害活性を、MTT法(「Journal
of Immunological Methods」65巻,55-60頁(1983)参照)
で測定した細胞増殖50%抑制濃度(IC50)を基準として試
験したところ、3日間培養のK-ras-NRK細胞ではアグラ
イアスタチンBは6.85ng/mlのIC50値を示し、またアグ
ライアスタチンCは26.75ng/mlのIC50値を示した。比較
のため、天然のアグライアスタチンを同様に試験したと
ころ、それのIC50値は1.65ng/mlであった。第1の本発
明によるアグライアスタチンBおよび第2の本発明によ
るアグライアスタチンCは、天然アグライアスタチンよ
りも低い活性であるけれども、K-ras-NRK細胞の増殖を
阻害する活性を明らかに有するものである。
【0018】さらに、第1の本発明による新規物質と第
2の本発明による新規物質の合成方法として、第3の本
発明においては、次式(II) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される1,8b-ジヒド
ロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フ
ェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾ
フラン-2(1H)-カルボン酸にペプチド縮合試薬の存在下
に式H2N-(CH2)3-CH(OR)2(但しRは低級アルキル基を示
す)の4-アミノブチルアルデヒドジアルキルアセタール
を縮合反応させて次式(III) 〔式中、Meはメチル基であり、Rは低級アルキル基であ
る〕で示されるN-(4,4-ジアルコキシブチル)-1,8b-ジヒ
ドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-
フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベン
ゾフラン-2(1H)-カルボン酸アミドを生成し、次いで式
(III)の化合物の1位の水酸基を、温和な酸化剤で酸
化して次式(IV) 〔式中、MeおよびRは前記の意味をもつ〕で示されるN-
(4,4-ジアルコキシブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメト
キシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-
2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-
2(1H)-カルボン酸アミドを生成し、さらに式(IV)の化
合物を有機溶剤中で無機酸の水溶液で処理して脱アセタ
ール反応および環化反応を起させ、これによって次式
(V) で示されるN-[8b-ヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メ
トキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-2,3,3a,8a-テト
ラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボニ
ル]-2-ヒドロキシピロリジンを生成し、次に、式(V)
の化合物に無機酸または有機酸、およびこの酸のアンモ
ニウム塩を反応させて次式(I) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される11b-ヒドロキ
シ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メトキシフェニル)-6-フェ
ニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オクタヒドロベンゾフロ
[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]ピロロ[1,2-a]ピリミ
ジン-5(5H)-オンを生成し、この式(I)の化合物を反
応液から採取後にさらにクロマトグラフィーにかけて次
式(Ia) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6R、6aR、11b
S,12aS)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
イアスタチン)とその鏡像体であって次式(Ib) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6S、6aS、11b
R,12aR)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
イアスタチンの6S,6aS,11bR,12aR-エナンチオマー)と
の等量混合物(アグライアスタチンBという)、ならび
に次式(Ic) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6R、6aR、11b
S,12aR)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
イアスタチンの6R,6aR,11bS,12aR-ジアステレオマー)
とその鏡像体であって次式(Id) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6S、6aS、11b
R,12aS)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
イアスタチンの6S,6aS,11bR,12aS-ジアステレオマー)
との等量混合物(アグライアスタチンCという)をそれ
ぞれ分離して得ることを特徴とする、アグライアスタチ
ンBおよびアグライアスタチンCの製造方法が提供され
る。
【0019】次に上記の第3の本発明によるアグライア
スタチンBおよびアグライアスタチンCの製造方法につ
いて具体的に説明する。
【0020】この第3の本発明方法においては、アニス
アルデヒドとフロログルシノールから出発してテイラー
らの方法〔「J. Chem. Soc. Perkin Trans. I」2657-266
6頁(1992年)参照〕によって多段工程で合成された前記
の式(II)の1,8b-ジヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-
メトキシフェニル)-3-フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒド
ロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボン酸を、
出発化合物として用いる。
【0021】出発化合物として用いる前記の式(II)の化
合物は、次式(IIa) で示される(1S,2R,3S,3aR,8bS)-1,8b-ジヒドロキシ-6,8
-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸と、その鏡像体であって次式(IIb) で示される(1R,2S,3R,3aS,8bR)-1,8b-ジヒドロキシ-6,8
-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸と、式(IIa)の化合物のジアステロマー
であって次式(IIc) で示される(1S,2S,3S,3aR,8bS)-1,8b-ジヒドロキシ-6,8
-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸と、式(IIc)の化合物の鏡像体であって
次式(IId) で示される(1R,2R,3R,3aS,8bR)-1,8b-ジヒドロキシ-6,8
-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸との混合物からなるものである。
【0022】第3の本発明方法においては、式(II)の出
発化合物に不活性な有機溶媒、例えば塩化メチレン中で
室温にてペプチド縮合剤、例えばBOP試薬とトリエチル
アミンまたはジメチルアミノピリジンのようなアミン化
合物との存在下に、前記の式の4-アミノブチルアルデヒ
ドジアルキルアセタール(好ましくはジメチルまたはジ
エチルアセタール)を縮合反応させる(工程a)。これに
よって、式(III)で示される酸アミド化合物が生成され
る。
【0023】この式(III)の酸アミド化合物は、次式(II
Ia) (式中、Rは低級アルキル基である)で示される(1S,2
R,3S,3aR,8bS)-N-(4,4-ジアルコキシブチル)-1,8b-ジヒ
ドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-
フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベン
ゾフラン-2(1H)-カルボン酸アミドと、これの鏡像体で
あって次式(IIIb) (式中、Rは前記と同じ)で示される(1R,2S,3R,3aS,8b
R)-N-(4,4-ジアルコキシブチル)-1,8b-ジヒドロキシ-6,
8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸アミドと、式(IIIa)の化合物のジアス
レオマーであって次式(IIIc) (式中、Rは前記と同じ)で示される(1S,2S,3S,3aR,8b
S)-N-(4,4-ジアルコキシブチル)-1,8b-ジヒドロキシ-6,
8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸アミドと、これの鏡像体であって次式
(IIId) (式中、Rは前記と同じ)で示される(1R,2R,3R,3aS,8b
R)-N-(4,4-ジアルコキシブチル)-1,8b-ジヒドロキシ-6,
8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,
3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2
(1H)-カルボン酸アミドとの混合物からなるものであ
る。
【0024】次に、第3の本発明方法においては、式(I
II)の化合物にジメチルスルホキシドのような有機溶媒
中で温和な酸化剤、例えばピリジン-三酸化硫黄複合体
より調製した酸化剤を作用させる。この場合、好ましく
はジメチルスルホキシド溶液としての式(III)の化合物
にあらかじめトリエチルアミンを加えておいたものに酸
化剤のジメチルスルホキシド溶液を室温で加えた後、1
時間から2時間室温で反応させるのがよい(工程b)。
この工程bによって、前記の式(IV)の1-オキソ化合物が
生成される。
【0025】この式(IV)の化合物は、次式(IVa) (式中、Rは前記と同じ)で示される(2R,3S,3aR,8bR)-N
-(4,4-ジアルコキシブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメト
キシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-
2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-
2(1H)-カルボン酸アミドと、式(IVa)の化合物の鏡像体
であって次式(IVb) (式中、Rは前記と同じ)で示される(2S,3R,3aS,8bS)-N
-(4,4-ジアルコキシブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメト
キシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-
2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-
2(1H)-カルボン酸アミドと、式(IVa)の化合物のジアス
テレオマーであって次式(IVc) (式中、Rは前記と同じ)で示される(2S,3S,3aR,8bR)-N
-(4,4-ジアルコキシブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメト
キシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-
2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-
2(1H)-カルボン酸アミドと、これの鏡像体であって次式
(IVd) (式中、Rは前記と同じ)で示される(2R,3R,3aS,8bS)-N
-(4,4-ジアルコキシブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメト
キシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-
2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-
2(1H)-カルボン酸アミドとの混合物からなるものであ
る。
【0026】次に、第3の本発明方法においては、式(I
V)の化合物を不反応性の有機溶剤と塩酸、臭化水素酸の
ような無機酸の水溶液との混合物に溶解して、式(IV)の
化合物を酸処理する(工程c)。これによって脱アセター
ル反応と環化反応が起きて、前記の式(V)の化合物が
生成される。
【0027】さらに、反応液から式(V)の化合物を例
えばクロロホルムで抽出して回収する。式(V)の化合
物に対して、低級アルカノール、例えばメタノールの如
き有機溶剤中で、各種の無機酸または有機酸およびこの
酸のアンモニウム塩、例えばギ酸と、鉱酸もしくは有機
酸のアンモニウム塩、例えばギ酸アンモニウムとを作用
させると式(I)の化合物(すなわちアグライアスタチ
ンとこれの各種エナンチオマーと各種のジアステレオマ
ーとの混成生成物)が生成される(工程d)。
【0028】式(I)で示される生成物は、次いでこれを
クロマトグラフィー的な分離法、例えばクロロホルム−
メタノール(40:1)で展開される分取用シリカゲル薄層
クロマトグラフィーにかけ(工程e)、これによって分離
精製すると、式(Ia)のアグライアスタチンと式(Ib)の6
S,6aS,11bR,12aR-エナンチオマーとの等量混合物(アグ
ライアスタチンBと仮称されるもの)、ならびに式(Ic)
の6R,6aR,11bS,12aR-ジアスレオマーと式(Id)の6S,6aS,
11bR,12aS-ジアスレオマーとの等量混合物(アグライア
スタチンCと仮称されるもの)をそれぞれ得ることがで
きる。
【0029】以下に、本発明方法の実施例を示すが、こ
れらは単に例示であって本発明を限定するものではな
い。本発明を逸脱しない範囲で種々の変形および修正が
可能であることはいうまでもない。
【0030】実施例1 (イ) 式(III)で示されるN-(4,4-ジエトキシブチル)-1,
8b-ジヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェ
ニル)-3-フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペン
タ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボン酸アミドの製法 式(II)で示される1,8b-ジヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3
a-(4-メトキシフェニル)-3-フェニル-2,3,3a,8a-テトラ
ヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボン酸
の214.5mgとBOP試薬164.2mgを塩化メチレン5mlに溶
解した。その溶液に4-アミノブチルアルデヒドジエチル
アセタール0.22mlとジメチルアミノピリジン164.2mgを0
℃にて順次加えた。得られた反応混合物を室温で3時間
攪拌した。反応液に塩化メチレンを加えた後、これを飽
和食塩水で洗浄した。得られた水層は塩化メチレンで更
に2回抽出し、有機溶媒層を集め、硫酸ナトリウムで乾
燥した。次に、有機層は硫酸ナトリウムをろ去した後、
濃縮し、オレンジ色のオイル状の化合物を得た。
【0031】これを、展開溶媒系を酢酸エチル-n-ヘキ
サン(2:1)からクロロホルム-メタノール(80:1)、さらに
クロロホルム-メタノール(40:1)へと徐々に変化させた
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて分離精製
すると、式(III)で示されるN-(4,4-ジエトキシブチル)-
1,8b-ジヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフ
ェニル)-3-フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペ
ンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボン酸アミドの231.5m
gを白色粉末として得た。スペクトル用のサンプルは、
分取薄層クロマトグラフィーにて式(IIIa)、(IIIb)の化
合物の混合物、および式(IIIc)、(IIId)の化合物の混合
物を得た。
【0032】式(IIIa)の化合物と式(IIIb)の化合物の混
合物の物性は次のとおりである。 色および形状: 白色粉体 分子式: C35H43NO9 高分解能マススペクトル(FAB, Positive): m/z 622.298
6(M+H)+[calcd. forC35H44NO9: 622.3016] 融点: 84℃ IR(KBr): 3311, 2974, 2931, 1655, 1630, 1608, 1516,
1502, 1456, 1254,1219, 1201, 1182, 1147, 1117, 10
50, 999
【0033】1H-NMR(400 MHz, CDCl3, δppm): δ 7.16
(2H, d, J=9.3Hz),7.03-7.06(3H, m), 6.78-6.82(2H,
m), 6.71(1H, d, J=9.3Hz),6.23(1H, d, J=2.0Hz), 6.0
8(1H,d, J=2.0Hz), 5.83(1H, br t, J=5.5Hz),4.87(1H,
t, J=5.4Hz), 4.35(1H, t, J=5.4Hz), 3.82(3H, s),
3.81(3H, s),3.73(3H, s), 3.66(1H, d, J=13.7Hz), 3.
41(2H,m),3.15(1H, dd, J=7.3, 13.7Hz), 3.13(2H, m),
3.00(1H, br s), 1.41(4H, m),1.17(3H, t, J=7.3Hz),
1.16(3H, t, J=7.3Hz)
【0034】13C-NMR(100MHz, CDC3, δppm): δ 171.
3, 163.9, 159.8, 158.6, 157.7,136.3, 128.7, 128.2,
127.8, 127.2, 126.7, 112.8, 110.6, 102.4, 101.8,9
2.5, 89.2, 84.5, 75.6, 61.2, 61.2, 55.7, 55.6, 55.
2, 55.1, 52.3, 39.1,30.6, 24.4, 15.3
【0035】また、式(IIIc)の化合物と式(IIIb)の化合
物の混合物の物性は次のとおりである。 色および形状: 白色粉体 分子式: C35H43NO9 高分解能マススペクトル(FAB, Positive): m/z 622.304
4(M+H)+ [calcd, forC35H44NO9: 622.3016] 融点: 76℃ IR(KBr): 3520, 3230, 3086, 2973, 1641, 1528, 1454,
1248, 1147, 1117,1055, 808
【0036】1H-NMR(400 MHz, CDCl3, δppm): δ 7.12
(2H, d, J=9.3Hz),6.98-7.09(5H, m), 6.65(1H, d, J=
9.3Hz), 6.28(1H, d, J=2.0Hz),6.12(1H, d, J=2.0Hz),
5.94(1H, br t, J=6.0Hz),4.91(1H, dd, J=5.4, 1.6H
z),4.33(1H, t, J=5.4Hz), 4.25(1H, d, J=14.2Hz),3.8
7(3H, s), 3.84(3H,s), 3.74(1H, dd, J=5.4, 14.2Hz),
3.70(3H, s),3.54(2H, m), 3.39(2H, m), 3.16(2H,
m), 1.91(1H, s), 1.38-1.42(4H, m),1.15(3H, t, J=7.
0Hz), 1.15(3H, t, J=7.1Hz)
【0037】13C-NMR(100MHz, CDCl3, δppm): δ 170.
2, 164.0, 161.0, 158.7, 157.4,136.5, 129.0, 128.3,
127.9, 126.8, 126.6, 112.6, 107.2, 102.5, 101.8,9
3.5, 92.4, 89.0, 79.0, 61.2, 56.1, 55.7, 55.7, 55.
1, 52.0, 39.1, 30.6,24.3, 15.3
【0038】(ロ) 式(IV)で示されるN-(4,4-ジエトキ
シブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メト
キシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-2,3,3a,8a-テトラ
ヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボン酸
アミドの製造 前項(ロ)で得た式(III)の化合物の231.5mgをメチルスル
ホキシド1.2mlに溶解した溶液に、トリエチルアミン0.6
mlを室温で加えた。ここに、ピリジン-三酸化硫黄複合
体をジメチルスルホキシド1.2mlに溶解し30分静置した
溶液を室温で滴下した。得られた反応混合物を2時間室
温で攪拌後、反応溶液をトルエンに注加した。これを飽
和食塩水で洗浄した後、水層をさらにトルエンで3回抽
出した。有機層を集め、硫酸ナトリウムで乾燥後、これ
を濃縮し黄色オイルを得た。
【0039】このオイルはクロロホルム-メタノール(2
0:1)を用いる分取薄層クロマトグラフィーによって分離
精製し、式(IV)で示されるN-(4,4-ジエトキシブチル)-8
b-ヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニ
ル)-1-オキソ-3-フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシク
ロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボン酸アミドの1
0.7mgを黄色オイルとして得た。スペクトル用サンプル
としては、分取薄層クロマトグラフィーにより式(IV
a)、式(IVb)の化合物の混合物と、式(IVc)、式(IVd)の
化合物の混合物とが1:0.2である混成生成物を得た。こ
れの物性は次のとおりである。
【0040】色および形状: 無色油状物質 マススペクトル(negativ): 618(M-H)- 1 H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm): δ 6.88-7.15(8.4H,
m),6.69(2H, d, J=8.8Hz), 6.56(0.2H, d, J=8.8Hz),
6.50(1H, br t, J=5.8Hz),6.35(1H, d, J=2.0Hz), 6.21
(0.2H, J=2.0Hz), 6.08(1.2H, d, J=2.0Hz),4.91(0.2H,
br t, J=6.0Hz), 4.44(1H, t, 4.5Hz), 4.32(1H, d, J
=12.7Hz),4.30(0.2H, d, J=4.5Hz), 4.29(0.2H, d, J=1
2.7Hz), 3.84(3.6H, s),3.82(1H, d, J=12.7Hz), 3.81
(0.6H, s), 3.79(0.2H, d, J=12.7Hz),3.79(3H, s), 3.
71(3H, s), 3.67(0.6H, s), 3.56-3.64(2H, m),3.42-3.
54(2.4H, m), 3.33-3.40(0.4H, m),3.15-3.28(2.4H,
m),2.91(1H, br s), 1.50-1.62 and 1.10-1.32(12H, m)
【0041】13C-NMR(100MHz, CDCl3, δppm): δ 207.
3, 171.0, 169.1, 165.1, 164.0,163.6, 161.3, 160.6,
158.8, 158.6, 158.4, 158.1, 137.0, 136.8, 128.8,1
28.1, 127.9, 127.8, 127.5, 126.8, 125.9, 113.2, 11
2.2, 106.6, 105.9,102.5, 102.3, 101.7, 101.5, 99.
6, 93.0, 92.5, 90.0, 89.0, 88.7, 88.4,61.3, 61.2,
60.9, 57.2, 56.7, 55.7, 55.7, 55.6, 55.1, 51.2, 3
9.6, 38.4,30.6, 30.4, 24.6, 24.5, 15.3, 15.3
【0042】(ハ) 式(V)で示されるN-[8b-ヒドロキシ-
6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-
フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベン
ゾフラン-2(1H)-カルボニル]-2-ヒドロキシピロリジン
の製造 前項(ロ)で得た式(IV)の化合物の12.8mgを、テトラヒド
ロフラン0.6mlに溶解した溶液に1規定塩酸を0.3ml、0℃
にて加え、これを室温で4時間攪拌した。反応溶液をク
ロロホルムで3回抽出した後、有機層を硫酸ナトリウム
にて乾燥、しかる後に濃縮した。式(V)の化合物を含む
残渣が得られた。
【0043】(ニ) 式(Ia)の(6R,6aR,11bS,12aS)-11b-
ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メトキシフェニル)
-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オクタヒドロベン
ゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]ピロロ[1,2-a]
ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグライアスタチン)
と式(Ib)の(6S,6aS,11bS,12aR)-11b-ヒドロキシ-9,11-
ジメトキシ-6a-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,2,
3,6,6a,11b,12,12a-オクタヒドロベンゾフロ[2',3':4,
5]シクロペンタ[1,2-d]ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)
-オンとの混合物、ならびに式(Ic)の(6R,6aR,11bS,12a
R)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6-(4-メトキシフ
ェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オクタヒ
ドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]ピロロ
[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オンと式(Id)の(6S,6aS,11b
R,12aS)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オンとの混合物の製造 前項(ニ)で得た式(V)の化合物を含む残渣を、メタノー
ル0.5ml-水0.2mlに溶解し、ここにギ酸アンモニウム240
mgとギ酸0.25mlを室温にて順次加え、この溶液を4日間
室温で攪拌した。反応溶液にクロロホルムを加え、さら
に飽和重曹水で中和し、さらにクロロホルムによる抽出
を3回行った。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮
し、白色粉体として式(I)の化合物を得た。このものを
クロロホルム-メタノール(40:1)で展開する分取薄層ク
ロマトグラフィーで分離精製すると、式(Ia)のアグライ
アスタチンと式(Ib)の化合物との等量混合物(すなわち
アグライアスタチンB)の2.6mgが得られ、また式(Ic)
の化合物と式(Id)の化合物との等量混合物(すなわちア
グライアスタチンC)の2.7mgが得られた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
    タチンと、その鏡像体であって次式(Ib) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
    タチンの6S,6aS,11bR,12aR-エナンチオマーとの等量混
    合物から成り、Ras蛋白質の機能の阻害活性とRas蛋白合
    成の阻害活性を有する物質、アグライアスタチンB。
  2. 【請求項2】 次式(Ic) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
    タチンの6R,6aR,11bS,12aR-ジアステレオマーと、その
    鏡像体であって次式(Id) 〔式中、Meはメチル基である〕で示されるアグライアス
    タチンの6S,6aS,11bR,12aS-ジアステレオマーとの等量
    混合物から成り、Ras蛋白質の機能の阻害活性とRas蛋白
    合成の阻害活性を有する物質、アグライアスタチンC。
  3. 【請求項3】 次式(II) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される1,8b-ジヒド
    ロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-フ
    ェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾ
    フラン-2(1H)-カルボン酸にペプチド縮合試薬の存在下
    に式H2N-(CH2)3-CH(OR)2(但しRは低級アルキル基を示
    す)の4-アミノブチルアルデヒドジアルキルアセタール
    を縮合反応させて次式(III) 〔式中、Meはメチル基であり、Rは低級アルキル基であ
    る〕で示されるN-(4,4-ジアルコキシブチル)-1,8b-ジヒ
    ドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-3-
    フェニル-2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベン
    ゾフラン-2(1H)-カルボン酸アミドを生成し、次いで式
    (III)の化合物の1位の水酸基を、温和な酸化剤で酸
    化して次式(IV) 〔式中、MeおよびRは前記の意味をもつ〕で示されるN-
    (4,4-ジアルコキシブチル)-8b-ヒドロキシ-6,8-ジメト
    キシ-3a-(4-メトキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-
    2,3,3a,8a-テトラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-
    2(1H)-カルボン酸アミドを生成し、さらに式(IV)の化
    合物を有機溶剤中で無機酸の水溶液で処理して脱アセタ
    ール反応および環化反応を起させ、これによって次式
    (V) で示されるN-[8b-ヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メ
    トキシフェニル)-1-オキソ-3-フェニル-2,3,3a,8a-テト
    ラヒドロシクロペンタ[b]ベンゾフラン-2(1H)-カルボニ
    ル]-2-ヒドロキシピロリジンを生成し、次に、式(V)
    の化合物に無機酸または有機酸、およびこの酸のアンモ
    ニウム塩を反応させて次式(I) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される11b-ヒドロキ
    シ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メトキシフェニル)-6-フェ
    ニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オクタヒドロベンゾフロ
    [2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]ピロロ[1,2-a]ピリミ
    ジン-5(5H)-オンを生成し、この式(I)の化合物を反
    応液から採取後にさらにクロマトグラフィーにかけて次
    式(Ia) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6R、6aR、11b
    S,12aS)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
    キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
    クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
    ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
    イアスタチン)とその鏡像体であって次式(Ib) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6S、6aS、11b
    R,12aR)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
    キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
    クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
    ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
    イアスタチンの6S,6aS,11bR,12aR-エナンチオマー)と
    の等量混合物(アグライアスタチンBという)、ならび
    に次式(Ic) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6R、6aR、11b
    S,12aR)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
    キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
    クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
    ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
    イアスタチンの6R,6aR,11bS,12aR-ジアステレオマー)
    とその鏡像体であって次式(Id) 〔式中、Meはメチル基である〕で示される(6S、6aS、11b
    R,12aS)-11b-ヒドロキシ-9,11-ジメトキシ-6a-(4-メト
    キシフェニル)-6-フェニル-1,2,3,6,6a,11b,12,12a-オ
    クタヒドロベンゾフロ[2',3':4,5]シクロペンタ[1,2-d]
    ピロロ[1,2-a]ピリミジン-5(5H)-オン(すなわちアグラ
    イアスタチンの6S,6aS,11bR,12aS-ジアステレオマー)
    との等量混合物(アグライアスタチンCという)をそれ
    ぞれ分離して得ることを特徴とする、アグライアスタチ
    ンBおよびアグライアスタチンCの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000007579A3 (de) * 1998-08-05 2000-09-08 Bayer Ag VERWENDUNG VON CYCLOPENTABENZOFURANDERIVATEN ZUR BEKÄMPFUNG VON NF-λB-ABHÄNGIGEN KRANKHEITEN
US6710075B2 (en) 2000-07-05 2004-03-23 The Government Of The State Of Sarawak, Malaysia Therapeutic compounds and methods
JP2005534623A (ja) * 2002-04-08 2005-11-17 スミスクライン ビーチャム コーポレーション Erbファミリーの阻害剤並びにraf及び/又はras阻害剤を投与することを含む癌の治療法

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