JPH1112211A - フェノール類の製造方法および装置 - Google Patents

フェノール類の製造方法および装置

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JPH1112211A
JPH1112211A JP9170217A JP17021797A JPH1112211A JP H1112211 A JPH1112211 A JP H1112211A JP 9170217 A JP9170217 A JP 9170217A JP 17021797 A JP17021797 A JP 17021797A JP H1112211 A JPH1112211 A JP H1112211A
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acid
concentration
reactor
catalyst
reaction
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Naoto Yasaka
直登 八坂
Tokuyuki Takeda
徳幸 武田
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】芳香族ハイドロパーオキサイドの開裂反応工程
において、フェノール類を安定して高収率で得られる方
法および装置を提供すること。 【解決手段】反応器1,2で芳香族ハイドロパーオキサ
イドを酸触媒と接触させてフェノール類を生成させる酸
開裂工程を含むフェノール類の製造方法において、酸開
裂工程を構成する酸開裂反応器1,2の少なくとも一つ
の反応器の反応生成物中の残留芳香族ハイドロパーオキ
サイド濃度を、近赤外分析計20により800〜250
0nmの近赤外線領域の吸光度から算出し、測定された
濃度に基づいて、制御装置30により反応生成物中の残
留芳香族ハイドロパーオキサイド濃度が所定の範囲に維
持するように酸開裂工程の反応条件を制御することを特
徴とするフェノール類の製造方法および該方法に使用さ
れる装置が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ハイドロパ
ーオキサイドを酸触媒と接触させてフェノール類を生成
させる酸開裂工程を含むフェノール類の製造方法、詳し
くは、上記酸開裂工程により連続的にフェノール類を製
造するためのフェノール類の製造方法に関する。さらに
本発明は、該フェノール類の製造方法を行うに当たって
用いられる装置にも関する。 【0002】 【従来の技術】フェノール類の製造は、イソプロピルベ
ンゼン類を出発原料とする方法が一般的である。この方
法は、イソプロピルベンゼン類を芳香族ハイドロパーオ
キサイドに酸化する工程と、芳香族ハイドロパーオキサ
イドをフェノール類とアセトンに開裂する工程、および
反応生成物をフェノール類、アセトンに蒸留分離する工
程を含む。 【0003】例えば、フェノールをクメンから製造する
方法は、周知の如く、下記の工程から構成されている。
即ち、純クメンを空気酸化して、例えばクメンハイドロ
パーオキサイド(CHP)濃度20〜40重量%の混合
溶液を得た後、蒸留によりクメンを分離してCHP濃度
60〜90重量%程度に濃縮する。この濃縮CHPは、
3〜9重量%程度のジメチルフェニルカルビノールと、
0.4〜1.2重量%程度のアセトフェノンと、5〜3
5重量%程度のクメンとを含有している。 【0004】濃縮CHPは、硫酸触媒を用いた酸開裂反
応工程に付され、フェノールとアセトンが生成する。こ
のとき、上記ジメチルフェニルカルビノールの脱水反応
によりイソプロペニルベンゼン(α−メチルスチレン)
が副生する。生成したフェノールおよびアセトンは精製
されて、工業製品となる。また副生α−メチルスチレン
は、水素化反応によりクメンとし、酸化原料として使用
される。上記酸開裂反応工程でのフェノール収率の低下
は、主として、未開裂CHPの残留、ジクミルパーオキ
サイド(DCP)の副生、α−メチルスチレンのダイマ
ー化等による。 【0005】上記未開裂CHPの残留量およびDCPの
副生量は、酸開裂工程の反応条件が緩やかなときに多く
なり、一方α−メチルスチレンのダイマー化量は酸開裂
反応を促進させる反応条件のときに多くなる。従って、
フェノールの収率を最大とするには、適当な反応条件で
反応を行う必要がある。そのときの酸開裂工程の反応生
成物中のCHP濃度は、原料として使用する濃縮CHP
の濃度、酸触媒の種類、濃度、反応時間、その他の条件
に依存するが、これらの条件が決まれば、ある濃度範囲
内に収まる。 【0006】従来から、上記酸開裂工程で安定して高収
率でフェノールを得るために、上記酸開裂工程の反応生
成液中の残留CHP濃度を測定し、その測定値に基づき
残留CHP濃度を条件の所定の範囲内とするように上記
酸開裂工程の反応条件を制御することが行われている。
しかしながら、CHP濃度測定には、通常かなりの時間
を必要とするので、CHP濃度変動時に迅速な対応がで
きない。 【0007】例えば、反応生成液中の芳香族ハイドロパ
ーオキサイド濃度を直接分析する方法として、特開昭6
1−241663号公報には、ヨウ化アルカリ金属化合
物を用いてハイドロパーオキサイド類を還元し、その際
に遊離するヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液により滴定
する方法が記載されているが、この方法はCHP濃度測
定に時間がかかり、対応に遅れが生じる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、芳香
族ハイドロパーオキサイドの開裂反応工程において、フ
ェノール類を安定して高収率で得られる方法およびこの
方法に使用される装置を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、次のフェノー
ル類の製造方法および装置である。 (1)芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と接触さ
せてフェノール類を生成させる酸開裂工程を含むフェノ
ール類の製造方法において、酸開裂工程を構成する酸開
裂反応器の少なくとも一つの反応器の反応生成物中の残
留芳香族ハイドロパーオキサイド濃度を800〜250
0nmの近赤外線領域の吸光度から算出し、測定された
濃度に基づいて、反応生成物中の残留芳香族ハイドロパ
ーオキサイド濃度が所定の範囲に維持するように酸開裂
工程の反応条件を制御することを特徴とするフェノール
類の製造方法。 (2)酸触媒をアセトンに溶解した溶液として酸開裂工
程に供給し、酸開裂工程を構成する酸開裂反応器の少な
くとも一つの反応器の反応生成物中の酸触媒濃度、また
は酸開裂工程に供給される触媒溶液の触媒濃度を800
〜2500nmの近赤外線領域の吸光度から算出し、測
定された濃度に基づいて、反応生成物中の酸触媒濃度を
所定の範囲に維持するように酸開裂工程の反応条件を制
御する上記(1)記載のフェノール類の製造方法。 (3)酸触媒をアセトンに溶解した溶液として酸開裂工
程に供給し、酸開裂工程を構成する酸開裂反応器の少な
くとも一つの反応器の反応生成物中の水分濃度、または
酸開裂工程に供給される触媒溶液の水分濃度を800〜
2500nmの近赤外線領域の吸光度から算出し、測定
された濃度に基づいて、反応生成物中の水分濃度を所定
の範囲に維持するように酸開裂工程の反応条件を制御す
る上記(1)または(2)記載の製造方法。 (4)芳香族ハイドロパーオキサイドが、クメンハイド
ロパーオキサイド、サイメンハイドロパーオキサイド、
またはビス(ハイドロパーオキシイソプロピル)ベンゼ
ンである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のフ
ェノール類の製造方法。 (5) 酸触媒が硫酸、弗酸、ホウ弗化水素酸、または
リンタングステン酸である上記(1)ないし(4)のい
ずれかに記載のフェノール類の製造方法。 (6)制御する酸開裂工程の反応条件が、反応温度、酸
触媒を溶解したアセトン溶液中の酸触媒濃度、酸触媒の
アセトン溶液中の水分濃度、反応時間および酸開裂反応
器内のアセトン濃度である上記(1)ないし(5)のい
ずれかに記載のフェノール類の製造方法。 (7)芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒を溶解し
たアセトン溶液と酸開裂反応器内で接触させてフェノー
ル類を生成させる酸開裂工程を含むフェノール類の製造
方法において、上記酸開裂反応器の出口の芳香族ハイド
ロパーオキサイド類濃度ならびに上記アセトン溶液中の
無機酸および水分濃度を、800〜2500nmの近赤
外線波長域の吸光度を測定可能な近赤外線分析計により
定量し、測定濃度が変動したときに供給アセトン中の無
機酸濃度を調節して、芳香族ハイドロパーオキサイド類
濃度を一定範囲内に制御することを特徴とするフェノー
ル類の製造方法。 (8)芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と酸開裂
反応器内で接触させてフェノール類を生成させる酸開裂
工程を含むフェノール類の製造方法において、上記酸開
裂反応器出口の芳香族ハイドロパーオキサイド類濃度
を、近赤外線波長域の吸光度が測定可能な近赤外線分析
計により定量し、測定濃度が変動したときに反応温度を
調節して、芳香族ハイドロパーオキサイド類濃度を一定
範囲内に制御することを特徴とするフェノール類の製造
方法。 (9)芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と接触さ
せて酸開裂によりフェノール類を生成させる反応器と、
反応器に芳香族ハイドロパーオキサイドを供給するライ
ンと、反応器に酸触媒溶液を供給するラインと、反応器
からフェノールを取り出すラインと、反応器の反応液中
の芳香族ハイドロパーオキサイド含量、触媒含量、およ
び水分含量の少なくとも1項目を800〜2500nm
の近赤外線領域での吸光度により定量する近赤外線分析
計と、近赤外線分析計の定量値が所定範囲を維持するよ
うに反応器における反応条件を制御する制御装置とを備
えていることを特徴とするフェノール類の製造装置。 (10)芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と接触
させて酸開裂によりフェノール類を生成させる第1反応
器と、第1反応器に芳香族ハイドロパーオキサイドを供
給するラインと、第1反応器に触媒調製槽から酸触媒を
溶解した溶液を供給するラインと、第1反応器の反応生
成物中の残留芳香族ハイドロパーオキサイドを分解する
第2反応器と、第1反応器の出口、第2反応器の出口、
触媒調製槽および触媒を溶解した溶液の供給ラインの少
なくとも一箇所における試料中の芳香族ハイドロパーオ
キサイド含量、触媒含量および水分含量の少なくとも1
項目を800〜2500nmの近赤外線領域での吸光度
により定量する近赤外線分析計と、近赤外線分析計によ
る定量値と予め設定された値との差を演算処理して上記
酸開裂反応の反応条件を変更する制御装置とを備えてい
ることを特徴とするフェノール類の製造装置。 【0010】本発明において、製造の対象となるフェノ
ール類は、芳香族ハイドロパーオキサイドの酸開裂工程
により生成させることが可能なフェノールおよびその誘
導体であって、次の(1)式で表される化合物が対象と
なる。 【0011】 【化1】 (式中、Rは、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、またはハロゲン原子を、nは、1、2または3を示
す。) 【0012】本発明において使用する芳香族ハイドロパ
ーオキサイドとしては、上記フェノール類に対応するハ
イドロパーオキサイドを使用することができる。例えば
クメンハイドロパーオキサイド、サイメンハイドロパー
オキサイド、およびビス(ハイドロパーオキシイソプロ
ピル)ベンゼンを挙げることができ、各々からフェノー
ル、m,p−クレゾール、m,p−ジヒドロキシベンゼ
ンを、酸開裂反応により得ることができる。また、使用
できる酸触媒としては、硫酸、弗酸、ホウ弗化水素酸、
およびリンタングステン酸を挙げることができる。 【0013】本発明では前述の製造装置を用い、前述の
製造方法によりフェノール類を製造する。本発明におい
てフェノール類製造のために用いる反応器は、芳香族ハ
イドロパーオキサイドを酸触媒と接触させて酸開裂によ
りフェノール類を生成させる反応器であればよいが、こ
の場合芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と接触さ
せて酸開裂によりフェノール類を生成させる第1反応器
と、第1反応器の反応生成物中の残留芳香族ハイドロパ
ーオキサイドを分解する第2反応器とにより2段階に分
けて反応させるものが好ましい。 【0014】近赤外線分析計は、反応器の反応液中の芳
香族ハイドロパーオキサイド含量、触媒含量、および水
分含量を800〜2500nmの近赤外線領域での吸光
度により定量するように設けられるが、2段反応の場合
は第1反応器の出口、第2反応器の出口、触媒調製槽お
よび触媒を溶解した溶液の供給ラインの少なくとも一箇
所に分析計のプローブを設置して分析するように構成す
るのが好ましい。 【0015】制御装置は、近赤外線分析計の定量値が所
定範囲を維持するように反応器における反応条件を制御
するように構成されるが、この場合近赤外線分析計によ
る定量値と予め設定された値との差を演算処理して上記
酸開裂反応の反応条件を変更するように構成するのが好
ましい。 【0016】以下、クメンハイドロパーオキサイドから
フェノールを得る態様について主に説明するが、以下の
説明は他の芳香族ハイドロパーオキサイドからフェノー
ル類を得るときにも適用することができるし、あるいは
若干変更して適用することができる。 【0017】図1に、クメンハイドロパーオキサイドか
ら酸開裂反応によりフェノールおよびアセトンを生成す
る工程の概略がフローシートとして示されている。図1
において、1は第1酸開裂反応器、2は第2酸開裂反応
器であって、2段階に分けてフェノールの生成を行なう
ように構成されている。第1酸開裂反応器1は、原料で
ある芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と接触させ
て酸開裂によりフェノール類を生成させるようにされて
いる。第1酸開裂反応器1での生成物は、熱交換器9に
て温度を上げた後、第2酸開裂反応器2へ供給するよう
に構成されている。第2酸開裂反応器2は、第1酸開裂
反応器1の反応生成物中の残留芳香族ハイドロパーオキ
サイドを分解するようにされている。10は、精製系、
20は近赤外線分析計、30は制御装置である。 【0018】図1におけるフェノール類の製造方法につ
いて説明すると、まず原料である濃縮CHPは、ライン
4から第1酸開裂反応器1へ供給され、アセトンによっ
て希釈された酸触媒である硫酸は、触媒調製槽3よりラ
イン7を経て第1酸開裂反応器1へ供給される。触媒調
製槽3には、硫酸およびアセトンが各々ライン5および
ライン6から供給され、触媒調製槽3で硫酸がアセトン
により希釈される。第1酸開裂反応器1は、完全混合型
反応槽であり、滞留時間10〜30分間とし、反応温度
70〜80℃程度として、CHPをフェノールとアセト
ンに開裂する。酸開裂反応は発熱反応であるので、生成
したアセトンを主成分とする蒸気を第1酸開裂反応器1
の上部付近よりライン11を経て抜き出し、熱交換器1
2により冷却液化して、液化したアセトンを、ライン1
3から第1酸開裂反応器1へ循環することにより除熱が
行われる。第1酸開裂反応器1は、通常常圧ないし減圧
で運転される。 【0019】第1酸開裂反応器1の反応生成物は、直接
精製系10へ導入して精製フェノールおよび精製アセト
ンを取得してもよいが、より高温で運転される第2酸開
裂反応器2へ導入する、いわゆる2段階方式を採用する
ことが好ましい。この場合、第1酸開裂反応器1からの
反応生成物は、ライン8を経由して熱交換器9で加熱さ
れ、好ましくはプラグフロー性を有する管型の第2酸開
裂反応器2に導入され、そこで約90〜110℃の温
度、且つ5〜15分間の滞留時間で、第1酸開裂反応器
1の反応生成物中の残留CHPおよび副生DCPを開裂
させる。 【0020】酸開裂反応を2段に分けて行う利点は、下
記の通りである。即ち、第1酸開裂反応器1において穏
やかな条件で酸開裂反応を行うことにより残留CHP量
は若干多くなるが、α−メチルスチレンのオリゴマー化
量は少ない。そしてプラグフロー性を有する第2酸開裂
反応器2で高温下、短時間、酸開裂反応を行うことによ
り、残留CHP量および副生DCPが減少し、一方α−
メチルスチレンのオリゴマー化の反応は、プラグフロー
性を有する反応器を使用することにより、あまり進行し
ない。従って、全体として残留CHPおよび副生DCP
量は少なく、且つα−メチルスチレンのオリゴマー化量
も少ないので、フェノール収率は向上する。 【0021】第2酸開裂反応器2からの反応生成物は、
ライン14から酸触媒の中和工程を含んだ精製系10に
導入されて精製され、ライン15から精製フェノール、
およびライン16から精製アセトンが得られる。精製系
10にて得られる粗アセトンの一部が、ライン6から触
媒調製槽3に循環される。粗アセトンは水分を0.4〜
3重量%程度含有している。水分含量がこれ以上に少な
く精製された粗アセトンの使用は、経済的でない。ま
た、水分含量が3重量%以下であると、酸触媒の活性を
低下させず好ましい。触媒調製槽3では、通常98重量
%の濃硫酸が0.05〜1.5重量%となるように粗ア
セトンで希釈される。 【0022】以上のフローに従うCHPの酸開裂工程
は、原料である濃縮CHPのCHP濃度が約80重量%
であって、フェノール収率を高くしようと意図するとき
は、第1酸開裂反応器1の反応生成物中には、CHPが
0.5〜2重量%、ジクミルパーオキサイド(DCP)
が2〜6重量%、硫酸が150〜500ppm、水分が
0.5〜2重量%の濃度で各々存在するように、また、
第2酸開裂反応器2の反応生成物中には、CHPが0.
01〜0.03重量%、ジクミルパーオキサイドが0.
1〜0.4重量%、硫酸が150〜500ppm、水分
が0.5〜2重量%の濃度で各々存在するように反応条
件が選択される。なお、酸開裂反応を一つの酸開裂反応
器のみで行うときは、反応生成物中のCHPが0.01
〜0.03重量%、ジクミルパーオキサイドが0.3〜
0.8重量%、硫酸が1500〜3000ppm、水分
が0.5〜2重量%の濃度で各々存在するように反応条
件が選択される。 【0023】本発明においては、CHPの酸開裂工程を
構成する上記第1酸開裂反応器1および第2酸開裂反応
器2のうち少なくとも第1酸開裂反応器1の反応生成物
中の残留CHP、副生DCP濃度を800〜2500n
mの近赤外線領域の吸光度から算出し、算出された濃度
に基づき酸開裂工程の反応条件を制御して、上記反応生
成物中の残留CHP濃度、副生DCP濃度を所定の範囲
に維持する操作が行われる。 【0024】加えて、好ましくは、上記酸開裂反応器の
少なくとも一つの反応器の反応生成物中の酸触媒濃度
(硫酸濃度)または触媒調製槽3の触媒濃度を800〜
2500nmの近赤外線領域の吸光度から算出し、算出
された濃度に基づき酸開裂工程の反応条件を制御して、
該反応生成物中の酸触媒濃度を所定の範囲に維持する操
作が行われる。この操作を上記操作と併用することによ
り、上記二つの反応器の反応生成物中のCHP濃度、D
CP濃度を一層安定して所定の範囲に維持することがで
きる。 【0025】また、さらに加えて、好ましくは、上記酸
開裂反応器の少なくとも一つの反応器の反応生成物中の
水分濃度をまたは触媒調製槽3の触媒溶液中の水分濃度
を800〜2500nmの近赤外線領域の吸光度から算
出し、算出された濃度に基づき酸開裂工程の反応条件を
制御して、該工程の触媒活性を維持する操作が行われ
る。この操作を上記の操作と併用することにより、上記
二つの反応器の反応生成物中のCHP濃度を一層安定し
て所定の範囲に維持することができる。 【0026】図1では触媒調製槽3,第1反応器1およ
び第2反応器2の出口のライン7、8、14に近赤外線
分析計20のプローブ21、22、23を設置して、光
ファイバー24、25、26により近赤外線分析計20
に接続して、それぞれから得られる試料の800〜25
00nmの近赤外線領域の吸光度を測定して各成分濃度
を定量するように構成されている。近赤外線分析計20
により測定された濃度信号aは、制御装置30に入力さ
れるようになっている。制御装置30は、信号aに基づ
いてライン5,6に設けられたバルブ31,32に、流
量を調節する信号b1、b2を出力するように構成され
ている。 【0027】CHPの酸開裂工程の第1酸開裂反応器1
の反応に影響を与える主な反応条件は、反応温度、滞留
時間(反応時間)、触媒濃度(硫酸濃度)、水分濃度、
アセトン濃度である。 【0028】反応温度が高ければ、CHPおよびDCP
の開裂反応速度およびα−メチルスチレンのオリゴマー
化速度は速くなるが、α−メチルスチレンのオリゴマー
化反応は、CHP、DCPの開裂反応と比較して温度依
存性が小さい。従って、反応温度の制御により、残留C
HP量、さらにはα−メチルスチレンのオリゴマー化量
を制御することができる。反応温度の制御は、それ自体
公知の方法、例えばジャケットによる加熱または冷却に
よって行なうことができるが、第1反応器の反応は沸騰
状態で行われているため、触媒調製槽3へのアセトン供
給量を変化させて、第1反応器内の反応液の沸点を変え
る方法、あるいは減圧機の作動または圧力弁の調整等に
より、反応器内の圧力を変えて沸点を変える方法が好ま
しい。例えば制御装置30からの信号b2によりバルブ
32を開いてアセトン供給量を増やすことにより、反応
系内のアセトン濃度が増加し、これにより反応液の沸点
が低下するために反応温度が低下する。 【0029】滞留時間(反応時間)が長ければ、残留C
HP量は少なくなり、一方α−メチルスチレンのオリゴ
マー化量は多くなる。しかしながら、滞留時間(反応時
間)はフェノールの生産量および反応器の大きさで予め
決められていることが多いので制御の対象にはなりにく
い。 【0030】触媒(硫酸)濃度が高ければ、CHPの開
裂反応速度およびα−メチルスチレンのオリゴマー化速
度は速くなる。従って、信号b1によりバルブ31を開
閉して触媒濃度を制御することにより、残留CHP量、
さらにはα−メチルスチレンのオリゴマー化量を制御す
ることができる。触媒濃度の制御は、触媒調製槽3への
硫酸供給量により行なうことができる。また、触媒濃度
の監視は、触媒調製槽3の触媒溶液を監視することによ
っても行なうことができる。この方法は、触媒濃度変化
に対して素早く対応がとれることから好ましい方法であ
る。 【0031】水分は、過剰に存在すると触媒の活性を下
げることになり、残留CHPおよび副生DCPの量が多
くなる。従って、水分濃度を監視することにより残留C
HPおよび副生DCPの量が一定範囲に収まるように運
転制御ができる。例えば水分濃度が過剰になったとき
は、応急措置として、触媒濃度を増加して触媒活性を維
持すると共に、精製系の運転条件を変えて粗アセトンの
水分濃度を下げることができる。水分濃度の監視は、直
接酸開裂反応器の反応生成物について行うことができる
が、触媒調製槽3からのライン7から試料について監視
する方法も好ましい。 【0032】アセトンは、CHPの開裂によりフェノー
ルと当モル生成すると共に硫酸の希釈剤として第1酸開
裂反応器1に供給されるので、第1酸開裂反応器1中の
反応液中に高濃度で存在する。さらに、アセトン濃度の
制御は、触媒調製槽3への粗アセトンの供給量により行
うことができる。温度の制御に関連して上述したよう
に、アセトン濃度の増減により、反応温度を制御するこ
とができる。 【0033】第2酸開裂反応器2の反応条件は、実質上
反応温度のみが制御可能である。反応温度の制御は、例
えば熱交換器9で行うことができる。第2酸開裂反応槽
器2の反応反応生成物の触媒含量、水分含量、およびア
セトン含量は、第1酸開裂反応器1の反応反応生成物と
実質上同じであり、CHPおよびDCPの残留量が異な
る。 【0034】以上から明らかなように、第1酸開裂反応
器1の反応温度および触媒濃度を所定の範囲となるよう
に制御することにより、該反応器の反応生成物中のCH
P濃度を所定の範囲とすることができる。さらに水分濃
度を監視することにより、過剰な水分量となったとき
に、触媒を多く供給して活性を維持し残留CHPおよび
副生DCPの増加を防ぐことができる。 【0035】さらに、第2酸開裂反応器2の反応生成物
中のCHP濃度は、さらには触媒濃度、水分濃度、およ
びアセトン濃度は、第1酸開裂反応器1の反応条件と熱
交換器9の加熱条件とを組み合わせることにより所定の
範囲とすることができる。 【0036】本発明では、前記したように、酸開裂反応
器の反応生成物のCHP濃度、DCP濃度、触媒濃度、
水分濃度を、800〜2500nmの近赤外線領域の吸
光度を近赤外線分析計で測定し、吸光度から算出する
が、以下その算出方法およびそれを用いた制御方法を説
明する。 【0037】近赤外線分析計による、定量分析は以下の
原理で行う。近赤外線波長域の吸収スペクトルは、赤外
線波長域で起こる分子の基準振動の倍音もしくは結合音
に帰属する。また、近赤外線波長域の吸光度と物質の濃
度は、ランベルト−ベールの法則により、線形の関係で
ある。そのため、濃度変化に帰属する波長を調べ、その
吸光度の変化量から重回帰分析により検量式を作成す
る。プロセス計として連続分析を行うときは、酸開裂反
応器から留出してくる反応生成物の近赤外線スペクトル
を採取し、統計計算により作成した検量式により処理し
て各成分の定量値を算出する。 【0038】近赤外線スペクトルには、被測定液の各成
分の情報が含まれているために、1度の測定で複数成分
の定量分析が可能になる。また、1台の分析計に複数の
プローブを設置することで、複数箇所での測定が可能に
なる。そのため、多項目の測定が必要な工程では、設置
コストの低減になり、経済的な装置である。 【0039】定量分析を行う手順および、運転管理は以
下のようになる。まず近赤外線分析計の検量式を作成す
るためのデータ採取を行う。安定した検量式を作成する
には、測定する成分の濃度範囲を広く取ることが好まし
い。また、近赤外線分析計による分析法は、従来法によ
る分析値に対する相対分析法であるために、基準となる
分析値の精度が低いと、検量式の信頼性も大幅に低下す
る。酸開裂工程の運転管理は、前述の通りCHPおよび
DCP濃度、酸触媒濃度、水分濃度であり、一定範囲内
で制御できれば反応収率の向上につながり、かつ運転の
安定性が得られる。そのため酸開裂反応器中のCHP濃
度、DCP濃度、酸触媒濃度、水分濃度をリアルタイム
で連続的に測定することが好ましいが、酸触媒濃度、水
分濃度に関しては、触媒調製槽3で測定することがさら
に好ましい。 【0040】前記したように、CHPの酸開裂反応で
は、酸触媒は精製系から循環される粗アセトンに希釈し
て供給される。循環粗アセトンには、0.4〜2.5重
量%の水分が含まれている。循環粗アセトン中の水分濃
度が変動すると、開裂反応液中の水分濃度が変動するた
め、反応組成が変動し、収率低下を招く恐れがある。そ
のため、循環粗アセトン中の水分濃度の連続監視による
安定化は、反応収率の向上につながる。近赤外線分析計
により、これら成分の濃度測定を行うと、15秒〜5分
間隔で濃度の管理が行えるので、プロセス変動の影響を
抑制できる。また、開裂反応器内で酸触媒濃度、および
水分濃度の監視をするよりも、触媒調製槽3で調製され
た触媒溶液で監視した方が、反応系の変動をより速く検
知できる。触媒調製槽中の触媒濃度は通常0.05〜
1.5重量%、水分濃度は0.4〜2.5重量%の範囲
で運転される。 【0041】反応生成物中の残留芳香族ハイドロパーオ
キサイドの測定は、開裂反応器内、若しくは反応器出口
で測定するのが好ましい。但し、開裂反応熱の除熱をア
セトンの蒸発潜熱を利用するときは、反応器出口で測定
する方法が好ましい。なぜなら、このプロセスでの反応
液は沸騰状態であるため、反応器内で近赤外線スペクト
ルの測定を行うと、気泡の影響で安定したスペクトルが
得られず、測定誤差を生じるためである。また、開裂反
応で残留する芳香族ハイドロパーオキサイド類濃度は、
開裂反応に使用する芳香族ハイドロパーオキサイドによ
り異なるが、例えばCHPを原料とする場合には、1段
方式のときで0.1〜1重量%、多段反応方式のときの
1段目反応液で1〜8重量%である。またサイメンハイ
ドロパーオキサイドを原料とする場合は、0.2〜1.
2%となる。反応液中に芳香族ハイドロパーオキサイド
は、通常数種類存在する。例えば、CHPの開裂反応で
残留する芳香族ハイドロパーオキサイドは、CHP、D
CP等が存在する。そのため測定は、全芳香族ハイドロ
パーオキサイド濃度で表示しても、また個々の芳香族ハ
イドロパーオキサイドで行ってもよい。 【0042】近赤外線分析計で測定を行う際には、各成
分濃度に対応した検量式を作成する必要がある。検量式
を作成するには、測定試料の濃度が従来法により定量分
析されているもののスペクトルデータを採取し、近赤外
線スペクトルの吸光度と該分析値で多変量解析を行い検
量式を作成する。このときに採取するスペクトルデータ
は、工程内の実サンプルでなければならない。なぜなら
近赤外線スペクトルは、温度、流量等の測定環境の影響
を受け、ベースライン、吸収波長が変動するからであ
る。このとき採取するスペクトルデータは30以上、好
ましくは100以上である。 【0043】検量式作成用に採取した近赤外線スペクト
ルは、多変量解析を行う前にスペクトルの前処理をする
必要がある。近赤外線スペクトルは、測定サンプルの物
理的性質(密度、流量等)の変化によりスペクトルが変
動する。安定した測定値を得るには、この影響を排除す
る必要がある。スペクトルの前処理方法としては、スペ
クトルのベースラインを同一にする手法もあるが、2次
微分を行う方法が好ましい。2次微分によるスペクトル
処理の効果として、見かけ上単一に見えるが相互に干渉
している複数のピークを分離する効果がある。 【0044】この微分処理したスペクトルは各波長の吸
光度と各成分濃度との相関を調べ、相関の高い波長の吸
光度を使用して検量式を作成する。検量式の作成手法と
して、Multiple Linear Regression法(MLR法)、Pa
rtial Least Squares法 (PLS法)がある。これら統
計処理法はそれぞれ特徴があり、測定する試料の特性に
より使い分けることが好ましい。 【0045】MLR法は、測定する成分の濃度変化に帰
属する波長を選定し、そのスペクトルデータを説明変数
とする手法である。MLR法は、定量分析を行う上で変
動要因となる波長のデータを排除することが可能である
ため、濃度変化に帰属する波長が存在する場合、この統
計手法を用いることが好ましい。しかし、近赤外線領域
のスペクトルは、複数の吸収ピークが重なりあって構成
されているため、帰属波長の吸収においても、測定成分
以外の吸収ピークが重なりあっている可能性がある。そ
のため、特定成分の検量式を作成するには、ピークが重
複している成分の影響を打ち消すために、重複成分の帰
属波長の吸収を使用した補正項が必要になる。以上の方
法で作成した検量式は、1ないしは複数の波長のスペク
トルデータを説明変数とする式となる。 【0046】PLS法は選定した波長域全てのデータを
使用して、検量式を作成する手法である。PLS法で
は、目的成分と吸収スペクトル変化の相関の高い波長を
統計処理により抽出し、そのデータに重み付けを行いな
がら、検量式に取り込んでいく。そのため、近赤外線波
長域のあらゆる情報を検量式に取り込める利点がある。
しかし、作成した検量式に、スペクトルのノイズが取り
込まれる恐れがあり、その場合測定値のバラツキが大き
くなる。また、選定する波長域が広くなることから、検
量式には測定成分以外の情報が取り込まれている可能性
があり、測定誤差の要因となる。これら影響を抑制する
には、大量のスペクトルデータの取り込みが必要にな
り、そのときのデータは想定される反応条件をすべて網
羅しなければならない。 【0047】次に近赤外線分析計を使用した、CHPの
酸開裂工程の運転制御方法を示す。尚、CHPの開裂反
応を例に示すが、他の芳香族ハイドロパーオキサイドに
関しても同様の手法で運転管理が可能である。 【0048】近赤外線領域の水分の吸収量は、他の成分
と比較して大きいため、アセトン中の硫酸濃度の検量式
には、水分濃度の変化に対する補正項が必要である。近
赤外線領域での水の吸収は、1400〜1600nm、
および1800〜2000nmの波長域で大きいため、
この範囲の吸収量の変化を使用して補正項を作成する。 【0049】触媒溶液の硫酸濃度が変動したときは、循
環粗アセトンへの硫酸の供給量を変える。例えば、硫酸
濃度が低下したときは硫酸供給量を増やし、一定濃度範
囲にコントロールする。また、水分濃度が変動したとき
も硫酸の供給量で調節することが好ましい。水分濃度の
変動は、精製系で、アセトンを分離する粗アセトン蒸留
塔の運転状態の変化により起こる。そのため、アセトン
中の水分濃度が変動したら粗アセトン蒸留塔の運転条件
を変えれば元に戻るが、蒸留塔の運転条件の変更は時間
がかかるため、水分濃度が変動したときに条件が元に戻
るまでに費やす時間が長い。また水分は、酸触媒の活性
を低下させるため、水分濃度が増加したとき硫酸濃度を
高くすると、反応速度は一定になる。そのため、酸開裂
工程反応条件の変更は、循環粗アセトンへの硫酸供給量
を変えることが、最も応答性の速い方法である。 【0050】管型反応器(第2酸開裂反応器)2で残留
CHP、DCPの開裂反応を行う場合、反応器出口に近
赤外線分析計を設置し、CHP、DCP濃度をそれぞれ
単独、または合計濃度を測定する。反応器出口のCHP
濃度は0.01〜0.03重量%、DCP濃度は0.1
〜0.4重量%の範囲になるとき、フェノールの反応収
率が最大になる。工程の変動により、CHP、DCP濃
度が最適範囲を超えたときは、熱交換器12により該反
応器への供給液(第1酸開裂反応器の反応生成物)の温
度を変え、過酸化物濃度を一定範囲内に制御する。 【0051】本発明では、近赤外線分析計20で定量さ
れた各成分の濃度が入力信号aとして制御装置へ入力さ
れ、制御装置において、予め設定された値との差が許容
限度を越えた場合、反応条件を変更するよう演算処理さ
れ、例えば出力信号b1、および/またはb2によりバ
ルブ31,および/または32の開閉が指示される。こ
れらの一連のフローは、コンピューターを用いた制御装
置によって行うことができる。 【0052】 【発明の効果】酸開裂反応の反応生成物の組成変動が少
なくなり、反応ロスを抑制でき、その結果フェノール類
製造にあたって原料原単位が向上する。 【0053】 【発明の実施の形態】次に実施例に基づいて本発明を具
体的に説明するが、本発明の範囲は実施例により制限さ
れない。。 【0054】標準スペクトルの採取 CHP開裂工程の近赤外線分析計による運転制御を行う
べく、各成分の検量式作成のための標準サンプルの測定
を行った。測定箇所は、触媒溶液の供給ライン7、第1
酸開裂反応器1の出口、第2酸開裂反応器2の出口とし
た。検量式作成のための標準スペクトルは、各測定箇所
毎に120サンプルを採取した。これらサンプルの組成
は、化学分析およびガスクロマトグラフィーで分析し
た。標準スペクトルを採取したときの各成分の濃度範囲
を表1に示した。 【0055】 【表1】【0056】検量式1の作成例 上記で採取した標準スペクトルから検量式を作成した。
検量式を作成するに当たり、スペクトルの前処理として
2次微分を行った。近赤外線分析計では、ライン7から
触媒溶液の硫酸、水分濃度、および出口ライン8から第
1酸開裂反応器1の反応生成物のCHP、DCP濃度を
測定した。これら成分の検量式は、MLR法で作成し
た。硫酸濃度は、1400〜1450nmと1900〜
1950nmの範囲からそれぞれ最適波長を選択し、水
分濃度は1850〜1950nmの範囲から最適波長を
選択して検量式を作成した。第1酸開裂反応器1の反応
生成物のCHP濃度は1450〜1500nmの範囲か
ら1波長、1600〜1950nmの範囲から2波長選
択して検量式を作成し、DCP濃度は1600〜190
0nmの範囲で2波長選択して検量式を作成した。 【0057】検量式2の作成例 上記で採取した標準スペクトルから検量式を作成した。
検量式を作成するに当たり、スペクトルの前処理として
2次微分を行った。近赤外線分析計での測定項目は、循
環粗アセトン中の硫酸、水分濃度、および第1酸開裂反
応器1の反応生成物のCHP、DCP濃度の合計量から
なる全過酸化物濃度とした。検量式は、循環粗アセトン
中の硫酸、水分濃度と、第2酸開裂反応器2の出口の全
過酸化物濃度の検量式は検量式の作成例−1と同様の方
法で作成した。過酸化物濃度は、1300〜2000n
mの範囲の全波長を使用したPLS法で検量式を作成し
た。 【0058】検量式3の作成例 上記で採取した標準スペクトルを基に検量式を作成し
た。検量式を作成するに当たり、スペクトルの前処理と
して2次微分を行った。近赤外線分析計での測定項目
は、第1酸開裂反応器1の反応生成物のCHP、DC
P、硫酸、水分濃度とした。このときCHP、DCP濃
度の検量式は検量式の作成例−2と同様の手法で作成し
た。第1酸開裂反応器1の反応生成物中の硫酸濃度は、
1300〜2000nmの全波長を使用してPLS法で
検量式を作成し、水分濃度は1850〜1950nmの
波長から1波長を選択したMLR法で検量式を作成し
た。 【0059】比較1 開裂反応プロセスの運転管理として、1段目反応器出口
にCHP分析用のタイトレーター、硫酸分析用のタイト
レーター、水分析用のTCD検出器付きのガスクロマト
グラフィー計を設置した。CHP分析計はヨードメトリ
ー法、水分はカールフィッシャー法による分析も追加
し、測定を行った。 【0060】実施例1 検量式1〜3(本発明法)、比較1の方法を用いて、C
HP酸開裂反応生成物液の連続測定を行った。第1酸開
裂反応器1の反応条件は、反応温度78℃、水分濃度
1.0%、硫酸濃度700ppmで行った。この条件か
ら、触媒調製槽への硫酸供給量を半分に減らしたとき
の、各分析計の変動検知時間を調べた。分析値の変動の
検知の基準として、測定値が10%以上変動したときの
検知時間を比較した。尚、各分析計の測定間隔は、近赤
外線分析計が2分毎、CHP分析計が20分毎、硫酸分
析計が15分毎、水分計が10分毎となる。組成変動の
検知時間と、そのときの各成分の濃度を表2示す。 【0061】 【表2】【0062】表2の結果より、近赤外線分析計による開
裂反応の運転監視は、従来型の分析手法と比較して、迅
速にプロセスの変動を測定できることが明らかである。 【0063】実施例2 実施例1の方法で工程の変動を検知した後に、硫酸の供
給量を元に戻した。このときに、反応が初期状態に戻る
までの時間を調べた。結果を表3に示す。 【0064】 【表3】 【0065】表3の結果より、近赤外線分析計による開
裂反応の運転監視は、従来型の分析手法と比較して、迅
速にプロセスの変動を測定できることが明らかである。 【0066】実施例3 前記で採取した標準スペクトルを基に、第2酸開裂反応
槽器の反応生成物の過酸化物の検量式を作成した。検量
式を作成するに当たり、スペクトルの前処理として2次
微分を行った。検量式は、1300〜2000nmの範
囲の全波長を使用してPLS法で作成した。この検量式
を基に、CHP開裂反応生成液の連続測定を行った。プ
ラントの運転は、第1酸開裂反応器の反応温度78℃、
水分濃度1.0%、硫酸濃度700ppm、2段目の反
応温度100℃で行った。この条件から、触媒調製槽の
水分濃度を10重量%増やし、各分析計の変動検知時間
を調べた。分析値の変動の検知の基準として、測定値が
10%以上変動したときの検知時間を比較した。尚、各
分析計の測定間隔は、2分毎とした。 【0067】比較例1 酸開裂工程の運転管理として、第2酸開裂反応器出口
(B)に過酸化物分析用のタイトレーターを設置した。
過酸化物の分析はヨードメトリー法で行った。このとき
実施例3と同じ方法でプラントの運転条件を変化させ
て、そのときの過酸化物の変動を測定した。尚、タイト
レーターでの測定間隔は、20分毎である。 【0068】 【表4】 【0069】実施例4 実施例3、比較例1の方法でプロセスの変動を検知した
後に、反応温度を上げて過酸化物濃度を初期状態に戻し
た。このときの経過時間を調べた。結果を表3に示す。 【0070】 【表5】 【0071】表4、5の結果より、近赤外線分析計によ
る開裂反応の運転監視は、従来型の分析手法と比較し
て、迅速にプロセスの変動を測定できることが明らかで
ある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の製造方法の一態様の概略を示すフロー
シートである。 【符号の説明】 1 第1酸開裂反応器 2 第2酸開裂反応器 3 触媒調製槽 4〜8、11、13〜16 ライン 9、12 熱交換器 10 精製系 20 近赤外線分析計 21〜23 プローブ 24〜26 光ファイバー 30 制御装置 31、32 バルブ a 近赤外線分析計から制御装
置への入力信号 b1、b2 制御装置からの出力信号

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と
    接触させてフェノール類を生成させる酸開裂工程を含む
    フェノール類の製造方法において、 酸開裂工程を構成する酸開裂反応器の少なくとも一つの
    反応器の反応生成物中の残留芳香族ハイドロパーオキサ
    イド濃度を800〜2500nmの近赤外線領域の吸光
    度から算出し、 測定された濃度に基づいて、反応生成物中の残留芳香族
    ハイドロパーオキサイド濃度が所定の範囲に維持するよ
    うに酸開裂工程の反応条件を制御することを特徴とする
    フェノール類の製造方法。 【請求項2】酸触媒をアセトンに溶解した溶液として酸
    開裂工程に供給し、 酸開裂工程を構成する酸開裂反応器の少なくとも一つの
    反応器の反応生成物中の酸触媒濃度、または酸開裂工程
    に供給される触媒溶液の触媒濃度を800〜2500n
    mの近赤外線領域の吸光度から算出し、 測定された濃度に基づいて、反応生成物中の酸触媒濃度
    を所定の範囲に維持するように酸開裂工程の反応条件を
    制御する請求項1記載のフェノール類の製造方法。 【請求項3】酸触媒をアセトンに溶解した溶液として酸
    開裂工程に供給し、 酸開裂工程を構成する酸開裂反応器の少なくとも一つの
    反応器の反応生成物中の水分濃度、または酸開裂工程に
    供給される触媒溶液の水分濃度を800〜2500nm
    の近赤外線領域の吸光度から算出し、 測定された濃度に基づいて、反応生成物中の水分濃度を
    所定の範囲に維持するように酸開裂工程の反応条件を制
    御する請求項1または2記載の製造方法。 【請求項4】芳香族ハイドロパーオキサイドが、クメン
    ハイドロパーオキサイド、サイメンハイドロパーオキサ
    イド、またはビス(ハイドロパーオキシイソプロピル)
    ベンゼンである請求項1ないし3のいずれかに記載のフ
    ェノール類の製造方法。 【請求項5】 酸触媒が硫酸、弗酸、ホウ弗化水素酸、
    またはリンタングステン酸である請求項1ないし4のい
    ずれかに記載のフェノール類の製造方法。 【請求項6】制御する酸開裂工程の反応条件が、反応温
    度、酸触媒を溶解したアセトン溶液中の酸触媒濃度、酸
    触媒のアセトン溶液中の水分濃度、反応時間および酸開
    裂反応器内のアセトン濃度である請求項1ないし5のい
    ずれかに記載のフェノール類の製造方法。 【 請求項7】芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒
    を溶解したアセトン溶液と酸開裂反応器内で接触させて
    フェノール類を生成させる酸開裂工程を含むフェノール
    類の製造方法において、 上記酸開裂反応器の出口の芳香族ハイドロパーオキサイ
    ド類濃度ならびに上記アセトン溶液中の無機酸および水
    分濃度を、800〜2500nmの近赤外線波長域の吸
    光度を測定可能な近赤外線分析計により定量し、 測定濃度が変動したときに供給アセトン中の無機酸濃度
    を調節して、芳香族ハイドロパーオキサイド類濃度を一
    定範囲内に制御することを特徴とするフェノール類の製
    造方法。 【 請求項8】芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒
    と酸開裂反応器内で接触させてフェノール類を生成させ
    る酸開裂工程を含むフェノール類の製造方法において、 上記酸開裂反応器出口の芳香族ハイドロパーオキサイド
    類濃度を、近赤外線波長域の吸光度が測定可能な近赤外
    線分析計により定量し、 測定濃度が変動したときに反応温度を調節して、芳香族
    ハイドロパーオキサイド類濃度を一定範囲内に制御する
    ことを特徴とするフェノール類の製造方法。 【請求項9】芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒と
    接触させて酸開裂によりフェノール類を生成させる反応
    器と、 反応器に芳香族ハイドロパーオキサイドを供給するライ
    ンと、 反応器に酸触媒溶液を供給するラインと、 反応器からフェノールを取り出すラインと、 反応器の反応液中の芳香族ハイドロパーオキサイド含
    量、触媒含量、および水分含量の少なくとも1項目を8
    00〜2500nmの近赤外線領域での吸光度により定
    量する近赤外線分析計と、 近赤外線分析計の定量値が所定範囲を維持するように反
    応器における反応条件を制御する制御装置とを備えてい
    ることを特徴とするフェノール類の製造装置。 【請求項10】芳香族ハイドロパーオキサイドを酸触媒
    と接触させて酸開裂によりフェノール類を生成させる第
    1反応器と、 第1反応器に芳香族ハイドロパーオキサイドを供給する
    ラインと、 第1反応器に触媒調製槽から酸触媒を溶解した溶液を供
    給するラインと、 第1反応器の反応生成物中の残留芳香族ハイドロパーオ
    キサイドを分解する第2反応器と、 第1反応器の出口、第2反応器の出口、触媒調製槽およ
    び触媒を溶解した溶液の供給ラインの少なくとも一箇所
    における試料中の芳香族ハイドロパーオキサイド含量、
    触媒含量および水分含量の少なくとも1項目を800〜
    2500nmの近赤外線領域での吸光度により定量する
    近赤外線分析計と、 近赤外線分析計による定量値と予め設定された値との差
    を演算処理して上記酸開裂反応の反応条件を変更する制
    御装置とを備えていることを特徴とするフェノール類の
    製造装置。
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