JPH08266802A - 近赤外線による蒸留塔制御方法 - Google Patents

近赤外線による蒸留塔制御方法

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JPH08266802A
JPH08266802A JP9582595A JP9582595A JPH08266802A JP H08266802 A JPH08266802 A JP H08266802A JP 9582595 A JP9582595 A JP 9582595A JP 9582595 A JP9582595 A JP 9582595A JP H08266802 A JPH08266802 A JP H08266802A
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JP
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liquid
column
distillation column
analysis
concentration
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JP9582595A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Hamada
一幸 浜田
Tetsumi Hirahara
哲己 平原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 蒸留塔の留出液または、缶出液の近赤外線吸
収スペクトルを測定し、組成分析を行い、得られた結果
をもとに蒸留塔のフィード量、環流比、缶出量、留出
量、リボイラー負荷及び塔内温度から選んだ1つもしく
は2以上を操作量として変更し、蒸留塔の運転を制御す
る。 【効果】 本発明の近赤外線による蒸留塔制御方法によ
り蒸留塔の塔頂及び塔底の組成分析をオンラインでかつ
迅速に行い、組成変化を蒸留塔の運転に迅速に反映する
ことが可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は近赤外線を利用した蒸留
塔の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の蒸留塔の運転管理では所望の塔
頂、及び塔底の組成を維持するために、必要に応じて塔
頂液及び塔底液の組成分析を行ってきた。しかしこれら
の分析は直接装置からサンプル採取をして行ってきたた
めに、大きな時間遅れと、作業量の増加を招いていたの
である。その上、時間遅れが発生すると生産は続行して
いるから、測定結果が規格外であれば製品のロスになっ
たり、規格外が次工程に回された場合には更に損害が増
加したり、場合によってはプラントが不安定になり運転
の続行が不可能になるという問題があった。
【0003】そこで時間遅れを解消する方法として便宜
的に塔頂、塔底の温度監視をし、組成変化の目安としこ
れをもって運転管理の目安としているが、温度監視だけ
では近年要求されるような高いレベルの運転は達成する
ことができない。すなわち、該方法では管理目標とする
塔頂液または塔底液の組成と実際の組成のずれをほとん
どなくし、塔底液成分が塔頂液に混入したりもしくはそ
の逆を防ぐことのできる本発明の目的とする高いレベル
の運転は実現できないのである。
【0004】近年これを解決する手段としてオンライン
分析機器を蒸留塔に導入し、分析の時間遅れを最小限に
し、分析値から人間が判断したり、装置が自動に判断し
高いレベルの制御ができるようにする試みがなされてい
る。しかしながらこれらのオンライン分析機器は通常の
ガスクロマトグラフィー分析のサンプリングを自動で行
う所に特徴があり、機器が分析をする時間の方はなんら
短縮はされてはおらず、より迅速なオンラインのリアル
タイム分析手法が要望されていた。
【0005】一方、オンラインのリアルタイム分析を行
う新しい手法として、近赤外線による分析が知られてい
る。この分析手法はもともと穀類などの蛋白質の測定に
用いられてきたが、昨今石油化学プラントの運転を最適
化もしくは自動化する方法に用いられ注目され始めてい
る。例えば特開平2−28293号公報には赤外線分析
光度計を使用してクラッキングファーネスに供給する炭
化水素を分析することにより、エチレン、プロピレン等
の(ジ)オレフィン等の収率を該分析の関数として制御
する方法が開示されている。
【0006】この技術は供給された炭化水素をオンライ
ンで分析し分析値をリアルタイムで測定しているのであ
るが、その特徴は供給液の組成を分析して操作量(反応
条件)を制御している所にある。しかし蒸留塔の制御
で、同様な制御を行おうとしても供給液の組成の分析値
から、操作量を変更して塔頂液や塔底液の組成を目標値
にコントロールするのは困難であり、より工夫された新
しい制御方法が要求されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、蒸留
塔の留出液、缶出液の組成分析を時間遅れなく行うこと
により、蒸留塔の制御を行う方法を提供するところにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため鋭意研究を重ねた結果、蒸留塔の留出液、缶
出液に直接近赤外線を透過させその吸収スペクトルを測
定することにより、組成分析が可能になることを見い出
し、更にその分析値を用いれば蒸留塔の運転管理を時間
遅れなく且つ高い精度でできることを見い出し、本発明
をなすに至った。
【0009】すなわち本発明は蒸留塔の運転制御におい
て、波長範囲が700nm〜2500nmである近赤外
線スペクトルで塔内液の塔頂液及び塔底液の一方もしく
は両方の組成分析を行い、得られた測定値を用いて、蒸
留塔のフィード量、環流比、塔底抜き出し液量、塔頂抜
き出し液量、リボイラー供給熱量、重合防止剤の供給量
及び塔内温度から選んだ1つもしくは2つ以上を操作量
として変更することによって、塔頂液の組成もしくは塔
底液の組成の一方または両方の組成を一定にすることを
特徴とする蒸留塔制御方法である。
【0010】本発明で用いられる近赤外線とは可視光
(400〜700nm)と中間赤外線(2500〜10
000nm)の中間にある波長の光のことである。この
近赤外線の特徴としては、この範囲にある波長のスペク
トルは、中間赤外線領域でおこる吸収の倍音及び結合振
動によって吸収が起こるので、中間赤外線領域でのスペ
クトルのピーク数より著しく少なく、また近赤外線の吸
収スペクトルの単位濃度変化に対する吸光度変化は中間
赤外線のそれと比較して10〜1000分の1 である。
【0011】以下に分析原理を近赤外線の吸収スペクト
ルを例に述べるが、反射スペクトル、内部散乱スペクト
ル、透過スペクトルも基本原理は同じである。被測定物
質に近赤外線の所定の波長域の光を当てその吸光度を測
定し、濃度と吸光度との関係から検量線を求めている。
また多く場合連続吸収スペクトルを波長で2次微分変換
することにより各々のスペクトルの特徴が強調されて更
に精度の高い分析が可能になる。分析目的とする注目成
分の純物質スペクトルの1次微分もしくは2次微分の中
でその成分に独自のピークを帰属波長と呼び、この波長
で検量線を作製する。帰属波長が存在しないときには数
百波長を用いた多変量回帰をもちいる。
【0012】サンプルから近赤外線を集めるスペクトル
を得る方法は一般に3種類ある。即ち光を被測定物質に
照射しその反射光を集めるもの、サンプルの透過光を集
めるもの、そして透過と内部散乱との組合せである。透
過法は透明度の高いフィルム及び散乱度の高い溶液、ま
たはペースト状のもの、スラリー状のもの、懸濁液など
幅広く適用できる。透過と内部散乱の組合せはクリヤー
で散乱がわずかな液体、懸濁液もしくはゲル状の物質に
対して明確なスペクトルが得られる。反射光を検出する
方法は不透明粉体、高濃度物や可動する固体などに対し
て最適である。
【0013】反射法の場合、光源からの光は分散させる
ために回折格子を最初に通し、それからそのエネルギー
はサンプルに送られる。各スキャン毎にサンプルから反
射してくるエネルギーを集めてプローブで検出して、デ
ータは計器に送られる。透過法、透過と内部散乱との組
合せ法は、サンプルを透過させたサンプルスペクトルか
ら参照用のリファレンススペクトルを引き算してその演
算後のスペクトルを回折格子に導きスペクトルの分散と
検出を行う。
【0014】近赤外線による分析では多成分を同時にし
かも高速に約1分位で測定できる。分析した結果をオペ
レーターが監視してそれをマニュアルで運転に反映する
ことも可能であるが、分析器を直接調節器と連結し分析
結果を塔の制御に自動で反映させることも可能である。
【0015】ここで制御とは蒸留塔のフィード量、環流
比、塔底抜き出し液量、塔頂抜き出し液量、リボイラー
供給熱量及び塔内温度の中から選んだ1つもしくは2つ
以上を操作量として変更することによって、塔頂液の組
成もしくは塔底液の組成の一方または両方の組成を一定
にすることを指す。したがってオペレーターは分析結果
を見て、蒸留塔の環流比を変更したり、フィード量を変
更したり、塔頂または塔底からの抜き出し量を変更した
り、リボイラーへの供給熱量を変更することにより制御
することが可能になる。
【0016】分析器と調節器を連結する場合は、以上の
操作をオペレーターの手を介さずに自動で行わせ、塔頂
液の組成もしくは塔底液の組成が管理目標値になるよう
に調節器が自動で蒸留塔の環流比を変更したり、フィー
ド量を変更したり、塔頂または塔底からの抜き出し量を
変更したり、リボイラーへの供給熱量を変更することが
可能である。
【0017】本発明で用いられる蒸留塔の種類は特に限
定されるされるものではなく、充填塔であっても、棚段
塔であってもよい。また蒸留塔の操作圧力も望ましい圧
力範囲を以下に示すものの特に限定されるものではな
く、減圧蒸留塔であっても、加圧蒸留塔であっても、常
圧蒸留塔であってもよい。さらに被測定組成物の態様も
本発明をなんら制限するものではなく液体でも気体でも
よい。
【0018】被測定組成物として炭化水素が挙げられる
が、具体的な例として例えば、エチルベンゼンの製造工
程におけるエチレンとベンゼンの反応による反応生成物
はエチルベンゼンと未反応のベンゼン、ベンゼン環にエ
チル基が1〜6付加したポリエチルベンゼン、ジフェニ
ルエタン、エチルジフェニルエタンなどの沸点の高い物
質であり、一般にこれらの混合物は以下の蒸留塔で分離
され最初のベンゼン塔では塔頂よりベンゼン、塔底より
エチルベンゼン、ポリエチルベンゼン、ポリエチルベン
ゼンより沸点の高い物質を分離し、2番目のエチルベン
ゼン塔では塔頂よりエチルベンゼン、塔底よりポリエチ
ルベンゼン、ポリエチルベンゼンより沸点が高い物質を
分離し、3番目のポリエチルベンゼン塔では塔頂よりポ
リエチルベンゼン、塔底より沸点がポリエチルベンゼン
より高い物質を分離しているが、本発明はこれらの組成
物の分離蒸留にもちいることができる。
【0019】また、スチレンモノマーの製造工程におい
て、エチルベンゼンの脱水素反応による反応生成物はス
チレンモノマーとトルエンと未反応のベンゼンと未反応
のエチルベンゼンと重質化され沸点がスチレンモノマー
より高い物質であり、一般にこれらの反応生成物は以下
の蒸留で分離され最初の粗スチレン塔では塔頂よりトル
エン、ベンゼン、塔底よりスチレンモノマー、スチレン
モノマーより沸点が高い物質が分離され、2番目のエチ
ルベンゼン塔では塔頂よりエチルベンゼン、塔底よりス
チレンモノマー、沸点がスチレンモノマーより高い物質
が分離され、3番目のスチレン塔では塔頂よりスチレン
モノマー、塔底より沸点がスチレンモノマーより高い物
質が分離されるが、本発明はこれらの組成物の分離蒸留
に用いることができる。
【0020】更に粗スチレン塔では内液の重合を防止す
るため重合禁止剤を混合しているが、この濃度管理は塔
内液のサンプリングを行い、この液の吸光度を分光光度
計で測定することにより行っている。なお本発明で濃度
を測定することのできる重合防止剤は特に限定されるも
のではないが、2,4−ジニトロ−s−ブチルフェノー
ルや2,4−ジニトロフェノールが一般的である。
【0021】以上の分析の測定対象は凝縮前の塔頂のオ
ーバーヘッドガスでも、凝縮後の塔頂液でも組成分析可
能であるが、液状の方が近赤外線のスペクトル感度は高
く分析精度は高い。更に液体状態の方が測定温度が一般
に低く測定機器に対してより過酷ではなく、下記の望ま
しい測定温度範囲に入りやすい。この近赤外線は蒸留塔
の塔頂、塔底の液分析だけでなくエチルベンゼン製造プ
ロセスにおいて反応液の中の酸濃度例えば塩酸濃度や酸
化アルミニウムの測定もこの近赤外線で可能である。
【0022】また被測定の炭化水素の温度と圧力は特に
制限されず、且つ炭化水素の化学的特性にも何等影響を
受けないが、−10℃〜300℃、0〜70kg/cm2
の範囲内に被測定物質が維持されるのが望ましく、更に
望ましくは0℃〜50℃、0〜20kg/cm2 Gである。
この温度範囲外、圧力範囲外の温度域では近赤外線測定
装置のプローブ等に使用されているパッキング用シール
材の耐性上の問題により測定が一般に困難になる。
【0023】本発明でいう操作量の1つである環流比と
は塔頂から流出される製品量に対する環流量の比率であ
り、本発明は環流比の操作範囲を何等制限するものでな
い。塔頂の抜き出し液量、塔底の抜き出し液量もまた本
発明は操作量としてその変更範囲を何等制限するもので
はない。リボイラー供給熱量の変更はリボイラーに供給
される熱源の供給量を変更して行う。熱源としては水ス
チームが一般的であるが、プロセス液ないしはプロセス
蒸気の熱回収としてプロセス液もしくはプロセス蒸気を
リボイラーに供給することができるが本発明はこれら熱
源の種類を何等限定するものではなく、これら熱源の流
量もしくは圧力調整によりリボイラーの供給熱量を変更
することが可能である。
【0024】近赤外線の波長の範囲は700nm〜25
00nmであるが、スペクトルをとった時、対象となる
被測定物質によってその物質のもつ特異的なピークが異
なる。例えばポリエチレンやポリビニルアセテートのペ
レットは1800nm〜2200nmのあたりに特異的
なピークが表れ、ポリスチレンの場合は1100nm〜
2500nmのあたりに特異的なピークが表れる。エチ
レンとベンゼンの反応によるアルキレーションの反応生
成物では1100nm〜2100nmのあたりに特異的
なピークが表れる。エチルベンゼンの脱水素反応による
反応生成物では1100nm〜1900nmのあたりに
特異的なピークが表れる。
【0025】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげて本発明を更
に具体的に説明する。
【0026】比較例1、4、7 エチルベンゼン製造でポリエチルベンゼン、例えばジエ
チルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベン
ゼン、ペンタエチルベンゼン、ヘキサエチルベンゼン
と、重質化した高沸点成分、例えばジフェニルエタンや
エチルジフェニルエタン類を分離する蒸留塔(以下ポリ
エチルベンゼン塔という)の運転管理を塔底の温度と塔
頂製品中のジフェニルエタンの濃度で行った。塔底の温
度は温度計で瞬時にして検出し、塔の制御に迅速に反映
した。
【0027】塔頂のジフェニルエタンの濃度管理は従来
通り塔頂製品をサンプリングし、これをガスクロマトグ
ラフィにて分析することによりジフェニルエタン濃度を
求め蒸留塔の運転管理に反映させた。すなわちジフェニ
ルエタンが管理濃度以下であるときは塔の環流比を下げ
たり、炊き上げ量を増やし塔頂抜きだし量をふやし、一
方、管理濃度以上であるときには環流比のアップしたり
炊き上げ量を押さえて塔頂からの抜き出し量を減らし
た。
【0028】この運転管理では運転条件を最適化しよう
とする度にサンプリングして、ガスクロマトグラフィで
分析する必要があるため、サンプリング時間や分析時間
を考慮すると塔の運転条件変更を実際に行うまでに時間
遅れがあり迅速な制御ができなかった。この時間遅れは
平均60分〜90分である。しかもこれらは自動ではな
いため常時濃度を監視することができるわけではなく運
転管理は非常におおざっぱなものになり、分析と分析の
合間には管理濃度とのずれが発生し、この間無駄な運転
を行っていた。この方法によるポリエチルベンゼン塔の
塔頂液のガスクロマトグラフィーによる分析結果と分析
に要する時間、操作量の変更方法、管理されている塔頂
液の濃度に回復するまでの時間を表1〜3に示す。
【0029】実施例1、4、7 エチルベンゼン製造で、ポリエチルベンゼン塔の塔頂製
品のコンデンサーからでたラインに近赤外線分光分析器
を設置し凝縮した塔頂製品の分析を行った。分析はオン
ラインでしかも解析時間も短いために約1分程で分析す
ることができ、分析結果を見て迅速に塔の運転管理に反
映させることができた。その結果塔頂製品中のジフェニ
ルエタンの濃度の管理基準からのズレを常時監視するこ
とができ、無駄のない高度な運転管理が可能になった。
この方法によるポリエチルベンゼン塔の塔頂液の近赤外
線を用いた分析結果と分析に要する時間、操作量の変更
方法、管理されている塔頂液の濃度に回復するまでの時
間、スペクトルの種類を表1〜3に示す。
【0030】比較例2、5、8 スチレンモノマー製造で、粗スチレンをスチレン、エチ
ルベンゼン、高沸点物質のグループとトルエン、キシレ
ンのグループに分離する蒸留塔(以下粗スチレン塔とい
う)の運転管理は塔底製品中のスチレン、エチルベンゼ
ンの濃度で行った。塔底のスチレン、エチルベンゼンの
濃度管理は従来通り塔底製品をサンプリングし、これを
ガスクロマトグラフィにて分析することによりスチレン
濃度とエチルベンゼン濃度を求め蒸留塔の運転管理に反
映させた。すなわちスチレン、エチルベンゼンが管理濃
度範囲外であるときは塔の環流比を上げるか又は下げ、
あるいは炊き上げ量を変えて塔頂抜きだし量を変更し
た。
【0031】この運転管理では運転条件を最適化しよう
とする度にサンプリングして、ガスクロマトグラフィに
て分析する必要があり、サンプリング時間や分析時間を
考慮すると塔の運転条件変更を実際に行うまでに時間遅
れがあり迅速な制御ができなかった。この時間遅れは平
均60分〜90分である。しかもこれらは自動ではない
ため常時濃度を監視することができるわけではなく、運
転管理は非常におおざっぱなものにならざるをえず、分
析と分析の合間には管理濃度とのずれが発生し、この間
無駄な運転を行っていた。この方法による粗スチレン塔
の塔底液のガスクロマトグラフィーによる分析結果と分
析に要する時間、操作量の変更方法、管理されている塔
頂液の濃度に回復するまでの時間を表1〜3に示す。
【0032】実施例2、5、8 スチレンモノマー製造で、粗スチレン塔の塔底製品ライ
ンに近赤外線分光分析器を設置し塔底製品の分析を行っ
た。分析はオンラインでしかも解析時間も短いため、約
1分程で分析することができ、分析結果を見て迅速に塔
の運転管理に反映させることができた。その結果、塔底
製品中のスチレン、エチルベンゼンの濃度の管理基準か
らのズレを常時監視することができ、無駄のない高度な
運転管理が可能になった。この方法による粗スチレン塔
の塔底液の近赤外線を用いた分析結果と分析に要する時
間、操作量の変更方法、管理されている塔頂液の濃度に
回復するまでの時間、スペクトルの種類を表1〜3に示
す。
【0033】比較例3、6 スチレンモノマー製造における前記の粗スチレン塔で内
液が重合するのを防止するため重合禁止剤を混合した。
この濃度管理は塔内液のサンプリングを行いこの液の吸
光度を分光光度計で測定することにより行った。この分
析結果をもとに重合禁止剤である2,4−ジニトロ−s
−ブチルフェノールの供給量を変更したが、現場サンプ
リングと分光光度計による分析操作があるためすぐには
分析結果を出すことはできなかった。この方法での粗ス
チレン塔の塔底液の分光光度計による重合禁止剤の濃度
分析結果と分析に要する時間、操作量の変更方法、管理
されている塔頂液の重合禁止剤濃度に回復するまでの時
間を表1〜2に示す。
【0034】実施例3、6 スチレンモノマー製造において、粗スチレン塔の塔底製
品ラインに近赤外線分光分析器を設置し塔底重合禁止剤
(2,4−ジニトロ−s−ブチルフェノール)の分析を
行った。分析はオンラインでしかも解析時間も短いため
に約1分程で分析でき分析結果を見て、迅速に塔の運転
管理に反映させることができた。そのため塔底製品中の
スチレン、エチルベンゼンの濃度の管理基準からのズレ
を常時監視することができ、無駄のない高度な運転管理
が可能になった。この方法での粗スチレン塔の塔底液の
近赤外線による分析結果と分析に要する時間、操作量の
変更方法、管理されている塔頂液の濃度に回復するまで
の時間、スペクトルの種類を表1〜2に示す。
【0035】比較例9 スチレンモノマー製造における前記の粗スチレン塔で内
液が重合するのを防止するため重合禁止剤を混合した。
この濃度管理は塔内液のサンプリングを行いこの液の吸
光度を分光光度計で測定することにより行った。この分
析結果をもとに重合禁止剤である2,4−ジニトロフェ
ノールの供給量を変更したが、現場サンプリングと分光
光度計による分析操作があるためすぐには分析結果を出
すことはできなかった。この方法での粗スチレン塔の塔
底液の分光光度計による重合禁止剤の濃度分析結果と分
析に要する時間、操作量の変更方法、管理されている塔
頂液の重合禁止剤濃度に回復するまでの時間を表3に示
す。
【0036】実施例9 スチレンモノマー製造において、粗スチレン塔の塔底製
品ラインに近赤外線分光分析器を設置し塔底重合禁止剤
(2,4−ジニトロフェノール)の分析を行った。分析
はオンラインでしかも解析時間も短いために約1分程で
分析でき分析結果を見て、迅速に塔の運転管理に反映さ
せることができた。そのため塔底製品中のスチレン、エ
チルベンゼンの濃度の管理基準からのズレを常時監視す
ることができ、無駄のない高度な運転管理が可能になっ
た。この方法での粗スチレン塔の塔底液の近赤外線によ
る分析結果と分析に要する時間、操作量の変更方法、管
理されている塔頂液の濃度に回復するまでの時間、スペ
クトルの種類を表3に示す。
【0037】比較例10 エチルベンゼン製造において前記のポリエチルベンゼン
塔の運転管理を従来通り塔底の温度と塔頂製品中のジフ
ェニルエタンの濃度で行った。塔底の温度は温度計で瞬
時にして検出できるので塔の制御に迅速に反映した。一
方、ポリエチルベンゼン塔のフィード液のラインに近赤
外線分光分析器を設置し蒸留塔のフィード液の組成分析
を行った。分析はオンラインで行い、フィード液の分析
結果を見て、塔の運転管理に反映させた。そしてフィー
ド液中のジフェニルエタンの濃度の管理基準からのズレ
を常時監視して操作量を変更した。
【0038】しかしフィード液のジフェニルエタン濃度
を基にして塔の操作量の変更をしても塔頂製品のジフェ
ニルエタン濃度を管理濃度にコントロールすることはで
きなかった。なお、塔頂製品中のジフェニルエタン濃度
が管理濃度かどうかの判定は塔頂液をガスクロマトグラ
フィー測定にて行った。この方法でのポリエチルベンゼ
ン塔でフィード液の近赤外線分析に要する1回当たりの
時間、操作量の変更方法、フィードが液管理されている
濃度に回復するまでの時間、その前後の塔頂液の濃度、
スペクトルの種類を表4に示した。
【0039】比較例11 スチレンモノマー製造において前記の粗スチレン塔での
運転管理を塔底製品中のスチレン、エチルベンゼンの濃
度で行った。粗スチレン塔のフィードラインに近赤外線
分光分析器を設置しフィード液の分析を行った。分析は
オンラインで分析し、分析結果を見て、塔の運転管理に
反映させた。そしてフィード液中のスチレン、エチルベ
ンゼンの濃度の管理基準からのズレを常時監視して操作
量を変更した。
【0040】しかしフィード液のスチレン、エチルベン
ゼンの組成を基にして塔の操作量の変更をしても塔底製
品のスチレン、エチルベンゼン組成を管理値にコントロ
ールすることはできなかった。なお、塔底液中のスチレ
ン、エチルベンゼン濃度が管理濃度かどうかの判定はガ
スクロマトグラフィー測定にて行った。この方法での粗
スチレン塔でフィード液の近赤外線分析に要する1回当
たりの時間、操作量の変更方法、フィード液が管理され
ている濃度に回復するまでの時間、その前後の塔底液の
組成、スペクトルの種類を表4に示す。
【0041】比較例12 スチレンモノマー製造において前記の粗スチレン塔で内
液が重合するのを防止するため重合禁止剤を混合した。
粗スチレン塔のフィードラインに近赤外線分光分析器を
設置し塔底重合禁止剤(2,4−ジニトロ−s−ブチル
フェノール)の分析を行った。分析はオンラインで分析
でき分析結果を見て、塔の運転管理に反映させた。そし
てフィード液中の重合禁止剤(2,4−ジニトロ−s−
ブチルフェノール)濃度の管理基準からのズレを常時監
視して操作量を変更した。
【0042】しかしフィード液の重合禁止剤(2,4−
ジニトロ−s−ブチルフェノール)を基にして塔の操作
量の変更をしても塔底製品の重合禁止剤(2,4−ジニ
トロ−s−ブチルフェノール)濃度を管理濃度にコント
ロールすることはできなかった。尚、塔底液中の重合禁
止剤(2,4−ジニトロ−s−ブチルフェノール)濃度
が管理濃度かどうかの判定は塔底液のガスクロマトグラ
フィー測定にて行った。この方法での粗スチレン塔でフ
ィード液の近赤外線分析に要する1回当たりの時間、操
作量の変更方法、フィード液の重合禁止剤がが管理され
ている濃度に回復するまでの時間、その前後の塔底液中
の重合禁止剤の濃度、スペクトルの種類を表4に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】本発明の近赤外線による蒸留塔制御方法
により蒸留塔の塔頂及び塔底の組成分析をオンラインで
かつ迅速に行い、組成変化を蒸留塔の運転に迅速に反映
することが可能になった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸留塔の運転制御において、波長範囲が
    700nm〜2500nmである近赤外線スペクトルで
    塔内液の塔頂液及び塔底液の一方もしくは両方の組成分
    析を行い、得られた測定値を用いて、蒸留塔のフィード
    量、環流比、塔底抜き出し液量、塔頂抜き出し液量、リ
    ボイラー供給熱量、重合防止剤の供給量及び塔内温度か
    ら選んだ1つもしくは2つ以上を操作量として変更する
    ことによって、塔頂液の組成もしくは塔底液の組成の一
    方または両方の組成を一定にすることを特徴とする蒸留
    塔制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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