JPH11121870A - 光半導体装置 - Google Patents

光半導体装置

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JPH11121870A
JPH11121870A JP27755997A JP27755997A JPH11121870A JP H11121870 A JPH11121870 A JP H11121870A JP 27755997 A JP27755997 A JP 27755997A JP 27755997 A JP27755997 A JP 27755997A JP H11121870 A JPH11121870 A JP H11121870A
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JP
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semiconductor
energy
quantum
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JP27755997A
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Inventor
Yoshihiro Nanbu
芳弘 南部
Akihisa Tomita
章久 富田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】キャリア注入効率に優れ、発行効率、高温変調
特性、温度特性等に優れる、量子閉じこめ構造を有する
光半導体装置を提供する。 【解決手段】半導体量子箱を含む活性層を備えた光半導
体装置において、活性層3、5に隣接して帯間間接遷移
型半導体層4を設ける。帯間間接遷移型半導体層4の間
接バンドギャップは、半導体量子箱1の基底準位帯間遷
移エネルギーと略等しくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報処理や光通
信などの分野で利用可能な発光ダイオード、半導体レー
ザなどの光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】サイズがキャリアの熱的ド・ブロイ波長
程度である量子箱、量子細線などの微小な半導体低次元
キャリア閉じ込め構造では量子効果が顕著になり、バル
ク半導体では見られない離散的なエネルギー準位(エネ
ルギー準位の量子化)に起因した光学特性の向上が期待
される。光半導体装置におけるこれら量子力学的サイズ
の低次元キャリア閉じ込め構造(以下、「量子閉じ込め
構造」と呼ぶ)のメリットは、状態密度が先鋭化するこ
とに基づく。量子閉じ込め構造においてはキャリアを局
所的に閉じ込めることによってキャリアの非個別性が失
われ、その結果パウリの排他律が緩和され、媒質中の双
極子(電子−ホール対)を離散的な遷移エネルギー状態
に集中できる。これは、パウリの排他律が効かないと、
多体効果である交換相互作用が生じないためエネルギー
準位が縮退しうるためである。
【0003】このような量子閉じこめ構造を用いた光半
導体装置の研究は盛んに行われている。例えば、「アプ
ライド・フィジックス・レターズ(Applied P
hysics Letters)誌 第69巻 314
0−3142ページ (1996年)」には量子箱を面
発光半導体レーザの活性層として適用した例がSait
o(斉藤)らにより示されている。この例では、AlG
aAsバリア層中にInGaAaからなる量子箱構造を
配置した活性層を有するレーザが示されている。
【0004】このような半導体量子閉じこめ構造レーザ
においては、状態密度が先鋭になることにより光学利得
スペクトル幅は狭くなり、同一キャリア注入量に対して
バルク半導体より大きな利得が得られる。また、キャリ
ア注入量に対する利得変化である微分利得が増大する。
同時に、量子閉じこめ構造の体積が小さいため、量子閉
じこめ構造を発光波長に対して透明とするために要する
キャリア注入量が量子閉じこめ構造の全体積に比例して
減少する。これらの結果、量子閉じこめ半導体レーザに
おいてはバルク半導体レーザに比べるとより低い発振し
きい電流値を達成できることが「アプライド・フィジッ
クス・レターズ(Applied Physics L
etters)誌 第67巻1509−1511ページ
(1995年)]にNambu(南部)らにより示さ
れている。また、量子閉じこめ半導体レーザには微分利
得の増大に基づく高速変調特性の向上や、レーザ温度特
性の向上なども同様に期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら以上に示
したような量子閉じこめ構造を用いた光半導体装置には
以下に示すような問題点があった。
【0006】半導体量子閉じこめ構造においては、その
光学特性の向上はエネルギー準位が離散的となることに
起因する。このエネルギー準位の離散化は一方で光学特
性の向上をもたらす一方で、半導体量子閉じこめ構造へ
の電流注入励起に困難をもたらす。以下にこの困難につ
いて説明する。
【0007】発光ダイオードや半導体レーザなどの発光
型の光半導体装置においては、電子とホールの発光再結
合により光を生成するため、電子とホールが同一空間に
高密度に存在することが望ましい。このため、通常活性
層はそのバンドギャップより大きなバンドギャップを有
するバリア層によりサンドイッチされたヘテロ接合構造
を用い、活性層とバリア層のバンドギャップ差により生
じる電子、ホールに対する閉じこめポテンシャルを利用
して電子とホールを活性層内に高密度に閉じこめるよう
にしている。このような光半導体装置に外部電流源より
電流を注入すると、キャリアはバリア層を通じて活性層
に注入されるが、この際バリア層/活性層のヘテロ界面
を通過する。このヘテロ界面にはエネルギーポテンシャ
ル差が存在するが、ヘテロ界面通過時にキャリアはエネ
ルギー緩和によりそのエネルギーを失い、バリア層のバ
ンド端近傍エネルギー状態から活性層のバンド端近傍エ
ネルギー状態まで緩和することによってはじめて、この
エネルギーポテンシャル差により有効に活性層内に閉じ
こめられるようになる。このエネルギー緩和は主にキャ
リアが結晶格子原子に運動エネルギーを与えることによ
り生じる。半導体の場合、音響フォノンや光学フォノン
を生成する事によりキャリアがその運動エネルギーを失
うことによってエネルギー緩和が起こる。音響フォノン
はそのエネルギーが小さいが、光学フォノンは大きなエ
ネルギーを有するため、特に光学フォノン生成によるエ
ネルギー緩和が重要である。従って電流注入によりキャ
リアが効率よく活性層に注入されるためには活性層/バ
リア層界面で光学フォノン生成によるエネルギー緩和が
起こることが必須である。半導体量子閉じこめ構造につ
いても同様の事情から、キャリアが効率よく閉じこめ構
造に注入されるためには閉じこめ構造とバリア層の界面
でエネルギー緩和が生じることが必要である。
【0008】ところが、量子箱のような半導体量子閉じ
こめ構造においてはこの界面におけるエネルギー緩和が
有効に起こり得ないことがベニスティ(H.Benis
ty)らにより「フィジカル・レビューB(Physi
cal Review B)誌 第44巻 10945
ページ (1991年)」に理論的に指摘されている。
これは、以下のような事情による。エネルギー緩和過程
においては、ミクロには一つ一つのキャリアはフォノン
を放出することにより、より低い運動エネルギー状態へ
と遷移しているが、この遷移の際運動エネルギーや運動
量は保存されなくてはならない。従って、遷移によるキ
ャリアのエネルギー減少量は放出されるフォノンのエネ
ルギーと等しくなくてはならない。光学フォノンのエネ
ルギーは格子原子間の結合の強さによって決まるが、半
導体の場合36meV程度の有限値である。バルク半導
体や半導体量子井戸構造では、電子やホールのエネルギ
ー状態は連続的であるため(半導体量子井戸構造ではサ
ブバンド構造はある)、光学フォノンのエネルギーに対
応するエネルギー準位間の遷移は起こりやすい。ところ
が半導体量子箱では電子やホールのエネルギー準位が離
散化されているため、光学フォノンのエネルギーに対応
するエネルギー差を持つ2つのエネルギー準位が存在し
ない場合がある。半導体量子箱ではエネルギー準位が離
散化される効果を出すために、少なくとも電子やホール
の基底準位と第一励起準位の間のエネルギー間隔を熱的
エネルギー(室温では25meV程度)より十分大きく
とっている。例えばこのエネルギー間隔が50meVで
あれば、量子箱構造内でキャリアは第一励起準位までは
光学フォノンを放出してエネルギー緩和できるが基底準
位には光学フォノンを放出して緩和することができな
い。この場合、量子箱構造に注入されたキャリアは第一
励起準位に留まり、そこで発光過程や非発光過程などに
より消滅してしまう。このような困難をベニスティは
「フォノン・ボトルネック」と呼んだ。
【0009】以上のような困難は半導体量子閉じこめ構
造の閉じこめ次元が最も高い量子箱(3次元的閉じこ
め)で最も深刻であるが、より低い閉じこめ次元を有す
る量子細線(2次元的閉じこめ)などの場合にも問題と
なりうる。これは、エネルギー緩和時のキャリアのエネ
ルギー遷移確率は、帯間の光学遷移と同様キャリアの状
態密度に比例しているためである。量子細線の場合、量
子箱の場合ほどではないが状態密度がエネルギー軸上で
集中しており、光学フォノンエネルギーに対応する遷移
の状態密度が電子やホールの基底準位と第一励起準位の
間でかなり小さくなることがある。この場合、エネルギ
ー緩和はゼロではないが極めて穏やかにしか起こらな
い。エネルギー緩和時間が発光や非発光再結合時間を上
回ることができなければ、注入したキャリアは発光や非
発光再結合により失われてしまう。
【0010】従って、半導体量子箱や半導体量子細線の
ような低次元量子閉じこめ構造においては電流注入より
基底状態へキャリアが有効に注入できないという問題が
発生する。このような問題が発生するのは、低次元量子
閉じこめ構造において電子やホールのエネルギー状態が
離散化されているための当然の帰結である。
【0011】バルク半導体レーザなどにおいては発光物
質であるバルク半導体のエネルギー準位構造が連続的で
あるバンド構造を有するため、前述したとおりエネルギ
ー緩和が有効に起こり、電流注入による励起が簡単にで
きるという特徴を有していた。従って、低次元量子閉じ
こめ構造による電子やホールのエネルギー状態の離散化
は、発光物質の光学特性を向上させる反面電流注入励起
を難しくしてしまうという問題をはらんでいた。
【0012】この問題は、半導体量子箱や半導体細線な
どの低次元半導体量子閉じこめ構造を発光ダイオードや
半導体レーザなどの光半導体装置の活性媒質として用
い、性能向上を達成するためには解決を要する問題であ
る。
【0013】本発明の目的は、以上に示した従来技術の
欠点を克服し、発光効率や高速変調特性、温度特性に優
れる低次元半導体量子閉じこめ構造を用いた光半導体装
置の優位性を活かしつつ、「フォノン・ボトルネック」
の影響なく電流注入による励起効率の優れた光半導体装
置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明によれば、半導体量子閉じこめ構造を有する活性層を
備えた光半導体装置において、該活性層に隣接して帯間
間接遷移型半導体層が設けられたことを特徴とする光半
導体装置が提供される。
【0015】この半導体層はバルク材料でよく、帯間間
接遷移型半導体材料からなるものとする。図2に本発明
の作用を説明する概念図を示した。バルク材料は連続的
なエネルギー準位を持つから「フォノン・ボトルネッ
ク」の影響なく外部から電流注入したキャリアを帯間間
接遷移型半導体層22のΓ点25およびX点26に効率
よく注入することができる。また、帯間間接遷移型半導
体材料であるため、この半導体層22で発光再結合によ
るキャリアの消滅速度は十分遅い。また、十分良質な半
導体層であれば非発光再結合が無視でき、この層でヘリ
ウムの準安定状態同様キャリアを長時間保持することが
可能である。間接遷移型半導体層22の近傍に半導体量
子閉じこめ構造21があると、双極子−双極子相互作用
が原因になり間接遷移型半導体層のΓ点25およびX点
26にある電子27やホール28がフォノン29を放出
し消滅すると同時に、近傍にある低次元半導体量子閉じ
こめ構造が励起される励起移乗が起こり、この半導体層
22から低次元半導体量子閉じこめ構造21にキャリア
を注入することが可能である。
【0016】このような双極子−双極子相互作用に基づ
く励起移乗は「フィジカル・レビューB(Physic
al Review B)誌 第53巻10793−1
0803ページ (1996年)」にTomita(富
田)らにより報告されている。本発明はこの励起移乗を
利用して、間接遷移型半導体層にキャリアを電流注入
し、しかる後に半導体量子閉じこめ構造にそのキャリア
を励起移乗することにより、間接的に半導体量子閉じこ
め構造にキャリアを注入する。さらにこのとき、半導体
量子閉じこめ構造の基底準位の遷移エネルギーと間接遷
移型半導体層のX点−Γ点間の遷移エネルギー(間接バ
ンドギャッップ)を一致させれば、共鳴効果により極め
て高効率に励起移乗が起き、高効率な電流注入ができ
る。
【0017】また本発明によれば、前記帯間間接遷移型
半導体層の間接バンドギャップが、前記量子閉じこめ構
造の基底準位帯間遷移エネルギーと略等しいことを特徴
とする光半導体装置が提供される。すなわち、間接遷移
型半導体層の間接バンドギャップを半導体量子閉じこめ
構造の基底準位の遷移エネルギーと同程度とすることに
より、共鳴効果を利用して電流注入効率向上を狙ったも
のである。
【0018】ここで、前記半導体量子閉じこめ構造は、
たとえば半導体量子箱または半導体量子細線を含む構造
とすることができる。
【0019】また本発明によれば、前記帯間間接遷移型
半導体層が半導体量子井戸層であることを特徴とする光
半導体装置が提供される。
【0020】前述のように電流注入効率を向上させるた
めには、間接遷移型半導体層の間接バンドギャップを半
導体量子閉じこめ構造の基底準位の遷移エネルギーと同
程度とすることが好ましい。しかしながら、一般には間
接遷移型半導体層の間接バンドギャップと半導体量子閉
じこめ構造の基底準位の遷移エネルギーが一致すること
はまれである。そこで、本発明の光半導体装置は、間接
遷移型半導体層を量子井戸構造とすることにより、層厚
により間接バンドギャップを制御することを狙ったもの
である。よく知られているように、量子井戸構造の基底
準位エネルギーは層厚により制御可能であり、量子井戸
層においては基底準位エネルギーギャップがバンドギャ
ップとなる。これにより、間接遷移型半導体層のバルク
の間接バンドギャップを半導体量子閉じこめ構造の基底
準位の遷移エネルギーよりも小さくなるように間接遷移
型半導体材料を選んでおけば、層厚制御により間接遷移
型半導体量子井戸層の間接バンドギャップと半導体量子
閉じこめ構造の基底準位の遷移エネルギーを一致させ、
共鳴効果を利用して電流注入効率向上することが可能で
ある。なお、半導体量子井戸層は十分密な連続エネルギ
ー準位分布を持つので、半導体量子井戸層には「フォノ
ン・ボトルネック」の影響なく電流注入できることは言
うまでもない。
【0021】本発明において、前記帯間間接遷移型半導
体層は、前記活性層中に設けることができる。
【0022】また本発明において、前記帯間間接遷移型
半導体層は、例えばSi、GeまたはAlGaSbから
なる半導体層とすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明における光半導体装置と
は、半導体レーザのみならず、発光ダイオードなど、キ
ャリア注入を伴う種々の半導体装置を含むものである。
また本発明を半導体レーザに適用する場合も、端面発光
型半導体レーザの他、面発光型レーザやリング型レーザ
などの種々の構造のレーザに対して適用することができ
る。
【0024】本発明における間接遷移半導体層とは、S
i、Ge、AlGaSbその他の間接遷移型半導体を用
いることができる。
【0025】間接遷移型半導体層の厚みは、特に制限は
ないが、100Å以上1000Å以下とすることが好ま
しい。100Å以上とすることにより電荷注入効率向上
の効果が顕著となる。また、1000Å以上とすること
も可能であるが、これ以上の値としてもあまり上記効果
の差は生じない。
【0026】間接遷移型半導体層は、量子閉じこめ構造
を含む活性層と隣接して設けられる。例えば、活性層の
中間に配置することができ、また、活性層の片界面側に
配置しても良い。
【0027】本発明において、帯間間接遷移型半導体層
の間接バンドギャップは、前記量子閉じこめ構造の基底
準位帯間遷移エネルギーと略等しくすることが好まし
い。こうすることにより、共鳴効果を利用して電流注入
効率向上を図ることができる。ここで、上記間接バンド
ギャップと上記基底準位帯間遷移エネルギーとを略等し
くするとは、両者のエネルギー差を、キャリアの位相緩
和による間接バンドギャップエネルギーや基底準位帯間
遷移エネルギーの広がりよりも小さくすることをいう。
この位相緩和時間は高温ほど小さくなるが、室温では通
常100フェムト秒(100×10-15秒)程度の値で
あり、これは不確定性原理よりエネルギーの広がりにし
て10meV程度の値となる。したがって、両者のエネ
ルギー差は、室温において約10meV以下とすること
が好ましい。
【0028】なお、本発明の光半導体装置において、間
接遷移半導体層から半導体量子閉じこめ構造へのキャリ
ア注入は、例えば双極子−双極子相互作用による励起移
乗というメカニズムによりなされるが、トンネル効果な
どの他のメカニズムによりキャリア注入がなされるもの
であっても、本発明に含まれることはいうまでもない。
【0029】
【実施例】以下図面を参照しながら本発明の実施例につ
いて説明する。本実施例はInGaAs半導体量子箱レ
ーザに本発明を適用した例について説明する。
【0030】図1には実施例のInGaAs半導体量子
箱レーザの結晶面に垂直方向の断面図を示した。この半
導体量子箱レーザは半導体の成長層に平行な方向に光を
出射する端面発光型レーザである。
【0031】この構造は、以下のような手順で作成し
た。MBEなどの薄膜成長装置でまずn−GaAs基板
6の上にn−AlGaAsクラッド層7を成長し、その
上に活性層8を形成する。活性層8はStranski
−Krastanow成長法(半導体歪層成長時2次元
成長から3次元成長へ成長モードが変化することを利用
する量子箱構造成長法)などによりInGaAs量子箱
構造1を作成しi−AlGaAsバリア層2で埋め込む
ことを繰り返して形成した多層のInGaAs量子ドッ
ト層を含む下部活性層3、間接遷移型半導体層4、同じ
く多層のInGaAs量子ドット量を含む下部活性層5
からなる。しかるのちp−AlGaAsクラッド層9を
成長させ、電流注入するためのp型電極10を形成し、
基板を研磨後基板裏面にn型電極11を形成する。素子
の両端面はへき開により30%程度の反射率を有する反
射鏡として機能し、光共振器を構成する。
【0032】本発明の実施例においては、間接遷移型半
導体層4としてはSiを選択した。Siは知られている
通り間接バンドギャップエネルギー1.2eVを有する
間接遷移型半導体である。また、InGaAs量子箱1
のレーザ発振波長は1.24eV(波長1μm)であ
る。Si間接遷移型半導体層4の間接バンドギャップエ
ネルギーをレーザ発振波長に近づけるため、Si間接遷
移型半導体層4の薄膜は30オングストロームとした。
Si間接遷移型半導体層4とInGaAs量子ドット1
との最近接距離は200Å程度である。なお、この最近
接距離は、双極子モーメントの大きさによっても異なる
が、100Åから1000Å程度の値とすることが適当
である。このようにすることで、共鳴効果が顕著に生じ
るからである。
【0033】n型電極11から注入された電子は、n−
GaAs基板6、n−AlGaAsクラッド層7を通過
し、活性層8に至る。活性層中で一部の電子はInGa
As量子箱1の第一励起準位にトラップされるが、大多
数の電子はSiからなる間接遷移型半導体層4に注入さ
れる。同様にp型電極10から注入されたホールは、p
−GaAs基板、p−AlGaAsクラッド層9を通過
し、活性層8に至る。活性層中で一部のホールはInG
aAs量子箱1の第一励起準位にトラップされるが、大
多数のホールはSiからなる間接遷移型半導体層4に注
入される。間接遷移型半導体層4に注入された電子およ
びホールは、先に示した双極子相互作用に基づく励起移
乗によりInGaAs量子箱1の基底準位へ移動する。
本発明による半導体量子箱レーザを用いれば、キャリア
注入効率に優れ、かつ発光効率や高速変調特性、温度特
性に優れるといった低次元半導体量子閉じこめ構造の特
徴を有する半導体レーザを実現できる。ほん発明の実施
例で作製した半導体量子箱レーザの場合、従来の間接遷
移型半導体層を用いない半導体量子箱レーザに比べる
と、レーザ発振しきい電流値が5分の1から10分の1
と低しきい値で、変調度3dBダウンの最高変調周波数
が10倍程度向上するという優れた特性が得られること
が判明した。
【0034】なお、本実施例ではInGaAsを量子閉
じ込め構造に、AlGaAsをバリア層に用いたレーザ
を一例として説明したが、これらに限定されるものでは
なく、GaAs、InP、InGaAsPなど他の半導
体材料を用いた低次元半導体量子閉じこめ構造レーザに
適用することも可能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
キャリア注入効率に優れ、かつ発光効率や高速変調特
性、温度特性に優れるといった低次元半導体量子閉じこ
め構造の特徴を有する半導体レーザを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体量子箱レーザの模式的断面
図である。
【図2】本発明の半導体レーザにおけるキャリアの励起
移乗現象を説明するための概念図である。
【符号の説明】
1 InGaAs量子箱 2 i−AlGaAsバリア層 3 下部活性層 4 間接遷移型半導体層 5 上部活性層 6 n−GaAs基板 7 n−AlGaAsクラッド層 8 活性層 9 p−AlGaAsクラッド層 10 p型電極 11 n型電極 21 半導体量子閉じこめ構造 22 間接遷移型半導体層 23 伝導体 24 価電子帯 25 Γ点 26 X点 27 電子 28 ホール 29 フォノン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体量子閉じこめ構造を有する活性層
    を備えた光半導体装置において、該活性層に隣接して帯
    間間接遷移型半導体層が設けられたことを特徴とする光
    半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記帯間間接遷移型半導体層の間接バン
    ドギャップが、前記量子閉じこめ構造の基底準位帯間遷
    移エネルギーと略等しいことを特徴とする請求項1記載
    の光半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記半導体量子閉じこめ構造が、半導体
    量子箱または半導体量子細線を含む構造であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の光半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記帯間間接遷移型半導体層が半導体量
    子井戸層であることを特徴とする請求項1乃至3いずれ
    かに記載の光半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記帯間間接遷移型半導体層が、前記活
    性層中に設けられた請求項1乃至4いずれかに記載の光
    半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記帯間間接遷移型半導体層が、Si、
    GeまたはAlGaSbからなる半導体層である請求項
    1乃至5いずれかに記載の光半導体装置。
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