JP3432968B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP3432968B2 JP23875695A JP23875695A JP3432968B2 JP 3432968 B2 JP3432968 B2 JP 3432968B2 JP 23875695 A JP23875695 A JP 23875695A JP 23875695 A JP23875695 A JP 23875695A JP 3432968 B2 JP3432968 B2 JP 3432968B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信、光インタ
ーコネクション、光情報処理等に使用される半導体発光
素子に関し、特に量子ドットを活性層として有する半導
体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】電子・正孔を2次元平面内に閉じ込めた
量子井戸構造は、その特性を向上させるために種々の発
光素子、受光素子に使用されている。これは、閉じ込め
の効果により状態密度スペクトルが階段状となり、バン
ド端近傍の状態密度が通常のバルク半導体に比べ増大す
ること、あるいは発光スペクトル線幅や吸収スペクトル
線幅が狭くなること等の理由のためである。
【0003】一方、電子・正孔を3次元的に閉じ込めた
量子ドット構造においては、電子の状態密度スペクトル
は、原子の線スペクトルと同様に、δ関数的な離散スペ
クトルとなる。この量子ドット構造の状態密度の集中と
離散性を利用して、発光素子、受光素子のさらなる特性
向上が期待されている(Y.Arakawa and H.Sakaki,Appl.
Phys.Lett.40,939(1982),M.Asada et al.,IEEE J.Quant
um Electron.QE-22,1915(1986)) )。半導体レーザに関
しては、閾値の低減、温度特性の向上、変調帯域の増大
が理論的に予測されている。このため、量子ドット構造
を用いた半導体レーザが期待されているが、実際には、
一定のサイズで光学的に高品質の量子ドットを作製する
技術が確立されていないため、量子ドット構造を用いた
半導体レーザが作製された例は極めて稀である。
【0004】従来報告されている量子ドット構造のう
ち、比較的良好な光学的特性を示す例を図9に示す。図
9(A)には、GaAsクラッド層1上にIn0.5 Ga
0.5 As量子ドット2が形成され、その上にさらにGa
Asクラッド層1が形成されてなるものであり、自己組
織化量子ドットあるいは自己組成量子ドットと呼ばれる
構造を示す(D.Leonard et al.,Appl.Phys.Lett.63,320
2(1993) )。この構造は、基板材料とクラッド層等の成
長層の材料との間の格子定数の違いにより生じる歪みの
エネルギーを緩和するために、2次元的な成長が途中で
3次元的な成長(島状成長)に切り替わることにより自
動的に形成されるものである。
【0005】図9(B)には、SiO2 等からなる選択
成長マスク3を用いて、結晶成長速度の面方位依存を利
用してピラミッド構造の頂部に量子ドットを形成した構
造を示す(Y.Nagamune et al.,Appl.Phys. Lett.64,249
5(1994) )。
【0006】いずれの構造もエピタキシャル成長装置内
で一括して形成されるため、界面の不純物による汚染や
加工損傷が生じないので、発光素子の活性層として有望
視されている。最近では、NTTのグループより、自己
組織化InGaAs量子ドットを活性層とする半導体レ
ーザの室温電流注入発振について報告されている(19
95年春期応用物理学会予稿集28p-ZG-14 )。しかしな
がら、理論的に予測されるような著しい諸特性の改善は
実現されていない。
【0007】また、図9に示す従来の量子ドットと量子
井戸層の接している構造においては、その製法上必然的
に量子井戸層は、量子ドットを構成する材料と同様に直
接遷移半導体材料となる。したがって、後述するフォト
ンボトルネック効果によりキャリアが量子井戸層にオー
バーフローし、量子井戸層からの発光再結合が量子ドッ
トでの発光再結合と同程度かそれ以上に生じてしまうと
考えられる。この量子井戸層における発光再結合による
キャリア損失により、閾値が上昇して量子ドット構造を
有するレーザ本来の特性が発揮できなくなる。さらに、
場合によっては、量子井戸層で発振が生じてしまい、量
子ドットからの発振が抑制されてしまうという恐れもあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の量
子ドット構造を有するレーザにおいて、理論通りの良好
な特性が得られない理由としては、単なる作製技術の問
題だけではなく、キャリアの緩和に関する本質的な問題
が指摘されている。すなわち、前述したような量子ドッ
ト構造の導入による特性改善は、注入されたキャリアが
量子ドットの基底準位に速やかに緩和するという仮定の
下になされている。
【0009】ところが、量子ドット中の電子準位の離散
性のため、ドット中のキャリアとフォノンとの散乱確率
が減少し、ドット中のキャリア緩和が抑制される(H.Be
nisty et al.,Phys.Rev.B44,10945(1991) )。これは、
ドット中の電子がある特定の離散的な固有エネルギー値
を持つため、エネルギー保存則を満たした上でキャリア
との散乱に寄与できるフォノンの数が極めて制限されて
しまうためである。
【0010】キャリア緩和の抑制は、変調速度の低下
や、注入キャリアのオーバーフローによる発光効率低下
をもたらす。このような効果は、フォノンボトルネック
効果と呼ばれている。量子ドット構造を有するレーザの
ポテンシャルを充分発揮するためには、このフォノンボ
トルネック効果を回避する必要があるが、この効果を回
避するために有効な具体的な素子構造は示されていな
い。
【0011】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、キャリアの緩和を促進し、変調帯域を拡大し、高
効率化を達成できる半導体発光素子を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、量子ドット構
造を有する活性層と、前記活性層と少なくとも一部で接
触するように設けられた量子井戸層とを具備し、前記量
子井戸層は間接遷移半導体材料で構成されており、前記
量子井戸層における発光再結合を抑制することを特徴と
する半導体発光素子を提供する。
【0013】また、本発明は、量子ドット構造を有する
活性層と、前記活性層と少なくとも一部で接触するよう
に設けられた量子井戸層と、前記活性層および前記量子
井戸層との間に設けられたトンネルバリア層とを具備
し、前記量子井戸層は間接遷移半導体材料で構成されて
おり、前記量子井戸層における発光再結合を抑制するこ
とを特徴とする半導体発光素子を提供する。
【0014】本発明において、活性層を構成する材料と
しては、Inx Ga1-x As(0.1≦x≦1)、Si
x Ge1-x (0≦x≦0.9)、Alx Ga1-x Sb
(0≦x≦0.2)等の半導体材料を用いることができ
る。また、量子井戸層を構成する間接遷移半導体材料と
しては、Alx Ga1-x As(0.4≦x≦1)、Si
x Ge1-x (0≦x≦0.95)、Alx Ga1-x
0.4 Sb0.6 (0≦x≦1)、Alx Ga1-x Sb
(0.2≦x≦1)等を挙げることができる。また、ク
ラッド層またはトンネルバリア層を構成する材料として
は、Alx Ga1-x As(0.4≦x≦1)、Six
1-x (0.05≦x≦1)、Alx Ga1-x0.4
0.6 (0≦x≦1)、Alx Ga1-x Sb(0.2≦
x≦1)、In0.5 (Ga1-x Alx0.5 P(0.6
≦x≦1)、(Alx Ga1-x0.48In0.52As(0
≦x≦1)、InP等を用いることができる。また、基
板を構成する材料としては、GaAs、Si、InP、
GaSb等を用いることができる。
【0015】本発明において、トンネルバリア層の厚さ
としては、30nm以下であることが好ましい。これ
は、トンネルバリア層の厚さが30nmを超えると量子
井戸層と量子ドット中の電子間の相互作用が減少し、量
子井戸層を付与した効果が得られなくなるからである。
本発明の半導体発光素子としては、具体的に半導体レー
ザ、発光ダイオード(LED)等を挙げることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、2次元電子・正
孔系をなし、間接遷移半導体材料で構成される量子井戸
層を、0次元電子・正孔系をなす量子ドットに、直接ま
たはトンネルバリア層を介して結合させることにより、
量子井戸層における発光再結合によるキャリア損失を回
避することである。
【0017】フォノン散乱以外の緩和過程を用いてフォ
ノンボトルネックを回避できる方法として、量子井戸層
中に閉じ込められた電子・正孔プラズマ(2次元EH
P)と量子ドット中のキャリアの散乱とを利用した方法
がある。この2次元EHPと量子井戸層中のキャリアの
散乱に関しては、Bockelmannらによる理論的検討が行わ
れている(U.Bockelmann and T.Egeler,Phys.Rev.B46,1
5574(1992))。
【0018】この理論について図1を用いて簡単に説明
する。図1(A)は量子ドットと量子井戸層とが結合し
ている近傍におけるポテンシャルの基板に平行な面内分
布の一例を示す図である。また、図1(B)は図1
(A)のIB−IB線に沿う断面における伝導帯のポテンシ
ャルと量子ドット中のキャリアの緩和過程を模式的に示
す図である。なお、ここでは、説明を簡単にするために
伝導帯のみを考える。
【0019】このようなポテンシャル中においては、例
えば、図1(B)に示すように、量子ドットに局在した
(0次元)状態|1>,|2>と、量子井戸層に2次元
的に広がった状態|3>が生じる。量子ドットの励起準
位|2>に分布したキャリアは、|3>の電子との散乱
によりエネルギーを失って、基底状態の|1>に緩和さ
れる。ここで、エネルギーを与えられた|3>の電子
は、フォノンを放出して平衡状態に戻る。または、|3
>の状態にいる電子同士の散乱により一方の電子が|1
>または|2>の状態に緩和し、エネルギーを与えられ
たもう一方の|3>の電子がやはりフォノンを放出して
平衡状態に戻る。
【0020】これらの2つの過程は、高密度2次元電子
を媒体としたキャリア緩和過程ということができる。緩
和の時定数は、ピコ秒のオーダーであり、数十GHz程
度の高速変調が可能となる。また、通常の電流注入条件
では、キャリアのオーバーフローは問題とならず、高効
率発光が可能となる。
【0021】本発明においては、量子井戸層が間接遷移
半導体材料により構成されている。間接遷移半導体材料
においては、発光再結合寿命が長いため、量子井戸層中
に高密度のEHPを保ちつつ、キャリア損失を抑制する
ことができる。
【0022】具体的には次のようにして説明することが
できる。電極からの電子・正孔の注入により、キャリア
は量子井戸層および量子ドットの両方に分布する。電子
・正孔の注入量を増やし、量子井戸層にEHPが形成さ
れるような状況、すなわちキャリアの面密度N2DがN2D
>1010cm-2を満たす状況では、EHPと量子ドット
中のキャリアとの散乱確率が、量子ドット中のキャリア
とフォノンとの散乱確率を大きく上回るようになる。そ
の結果、前述のように量子ドットの励起状態にいる電子
・正孔はフォノンボトルネック効果の制限を受けること
なく、速やかに基底状態に緩和することが可能となる。
【0023】一方、キャリア散乱の効果は、N2Dの値に
依存して変化する。N2Dの値は、注入電流や選択する材
料系、構造パラメータによって変化するため、場合によ
ってはキャリア散乱の効果が大きすぎて量子ドットの各
準位のキャリア寿命が極端に短縮することも考えられ
る。その結果、発光線あるいは利得帯域が広がりすぎて
素子特性に悪影響を与える可能性がある。この問題は、
量子井戸層と量子ドットとの間に薄いトンネルバリア
(障壁)層を設けてキャリア散乱の効果をある程度制限
することにより解消することができる。
【0024】以下、本発明の半導体発光素子の具体的構
造について説明する。図2(A)は本発明の半導体発光
素子の一例である量子ドット構造を有する半導体レーザ
の模式図であり、図2(B)は図2(A)に示す半導体
レーザの活性層近傍(X部)を示す拡大図である。
【0025】この半導体レーザの要部は、図2(B)に
示すように、間接遷移半導体材料であるi−Al0.5
0.5 Asで構成され、2次元EHPを形成する量子井
戸層11と、量子井戸層11上に形成され、InAsで
構成された量子ドット構造を有する活性層12と、量子
井戸層11および活性層12を取り囲むように形成さ
れ、In0.5 Al0.5 Pで構成されたクラッド層13a
(p型)、13b(n型)とにより構成されている。こ
こで、量子ドットは、底面の直径が15nm、高さが4
nmであるドーム状の形状を有している。また、量子井
戸層11の厚さは7nmである。
【0026】上記活性層を有する半導体レーザは有機金
属気相成長法(MOCVD法)を用いて次のようにして
作製する。まず、n−GaAs基板21上に厚さ0.5
μmのn−GaAsバッファ層22、厚さ2μmのn−
In0.5 Al0.5 Pクラッド層13b、厚さ7nmのア
ンドープのAl0.5 Ga0.5 As量子井戸層11を順次
形成する。
【0027】次いで、InAsの原料ガスとしてトリメ
チルInガスを2〜4原子層分供給することにより、1
原子層程度のInAs”ぬれ層”上に自己組織化量子ド
ットを有する活性層12を形成する。活性層12上に厚
さ2μmのp−In0.5 Al0.5 Pクラッド層13a、
厚さ0.1μmのp−GaAsコンタクト層23を順次
形成する。
【0028】次いで、コンタクト層23上に絶縁膜とし
てSiO2 層24を形成し、コンタクト層23が幅2μ
mで露出するようにパターニングする。さらに、コンタ
クト層23と接触するようにしてSiO2 層24上にC
r/Au電極(p型)25を形成し、基板21にAuG
e/Au電極(n型)26を形成する。
【0029】このようにして、図2(A)に示すような
電極のストライプ幅が2μmであり、共振器長が150
μmであり、両端面が壁開面である半導体レーザが作製
される。なお、この積層構造は、有機金属分子ビームエ
ピタキシー法(MO−MBE法)により作製することも
可能である。
【0030】上記半導体レーザを用いて、間接遷移量子
井戸層の厚さ(Lw)と、変調帯域を決定する緩和振動
数との関係を調べた。その結果を図3に示す。図3から
分かるように、量子井戸層11の厚さが5〜30nmの
範囲内で10GHz以上の変調帯域が得られる。これ
は、量子井戸層の厚さが5〜30nmの範囲内で量子ド
ット中でのキャリアの緩和が効率よく行われたためであ
ると考えられる。
【0031】本発明にかかる半導体レーザにおいては、
図4(A)に示すように、自己組織化量子ドットを量子
井戸層11の基板側に配置した構造、すなわち量子ドッ
トを量子井戸層11側に向けるようにしてクラッド層1
3b上に活性層12が形成された構造、図4(B)およ
び(C)に示すように、量子井戸層11中に活性層12
を埋め込んた構造、図4(D)に示すように、バッファ
層22上に所定の間隔をおいてSiO2 等からなる選択
成長マスク27を用いて、結晶成長速度の面方位依存に
よりピラミッド構造の頂部に量子ドット構造の活性層1
2を形成し、その上を間接遷移量子井戸層11で覆って
なる構造、図4(E)に示すように、活性層12の構成
材料で形成された量子井戸層11をエッチングすること
により量子ドットを形成し、これを間接遷移半導体材料
で埋め込んだ構造を採用することができる。
【0032】図5(A)は本発明にかかる半導体レーザ
における活性層近傍の構造の他の例を示す断面図であ
る。また、図5(B)は図5(A)のVB−VB線に沿う断
面におけるポテンシャル構造およびエネルギー準位を示
す模式図である。図5(A)に示す構造においては、量
子井戸層11と活性層12との間に厚さ5nmのアンド
ープIn0.5 Al0.5 Pトンネルバリア層28が設けら
れている。その他の構成は図2(B)に示す構成と同じ
である。
【0033】この構造(トンネルバリア層がある構造)
においては、図2(B)に示す構造に比べて利得のスペ
クトル幅が狭くなり、図6における破線に示すように、
トンネルバリア層の厚さLB がLB <30nmの範囲内
で閾値が低減する。ただし、量子ドット中のキャリアと
量子井戸層中のキャリアとの相互作用がトンネルバリア
層28によって制限されるため、図6の実線のように動
作速度の点では不利になる。
【0034】トンネルバリア層28を有する構成におい
ても、図7(A)に示すように、量子ドットを量子井戸
層11側に向けるようにしてクラッド層13b上に活性
層12が形成された構造、図7(B)に示すように、ト
ンネルバリア層28中に活性層12を埋め込んた構造、
図7(C)に示すように、バッファ層22上に所定の間
隔をおいてSiO2 等からなる選択成長マスクを用い
て、結晶成長速度の面方位依存によりピラミッド構造の
頂部に量子ドット構造の活性層12を形成し、その上を
トンネルバリア層28を介して間接遷移量子井戸層11
で覆ってなる構造、図7(D)に示すように、活性層1
2の構成材料で形成された量子井戸層11をエッチング
することにより量子ドットを形成し、その上にトンネル
バリア層28を形成し、これを間接遷移半導体材料で埋
め込んだ構造を採用することができる。
【0035】図2(A)には、最も基本的な構造である
利得導波型のストライプレーザを示したが、本発明は量
子井戸レーザで一般に用いられている屈折率導波型の構
造や電流狭窄構造を導入したさらに複雑な構造に適用す
ることができる。さらに、多層膜反射鏡を組み込むこと
により、図8(A)および(B)に示すような面発光レ
ーザに適用することもできる。
【0036】ここで、図8(A)に示す面発光レーザ
は、p−AlAs/GaAs分布ブラッグ反射膜29a
およびn−AlAs/GaAs分布ブラッブ反射膜29
bを用い、プロトン打ち込みで高抵抗領域30を形成す
ることにより電流狭窄を行った最も単純な面発光レーザ
の例である。なお、開口部の典型的なサイズは5〜30
μmである。
【0037】また、図8(B)に示す面発光レーザは、
低閾値化を特に意識したいわゆるマイクロキャビティー
レーザと称されるものである。このレーザは、柱状の機
能部分31を形成し、この機能部分31を埋め込むよう
にしてポリイミド層32を形成し、さらに、基板21に
基板/空気界面における出力光の反射を抑制し、光取り
出し効率を増大する、あるいは戻り光に起因する種々の
ノイズを抑制するために、窒化ケイ素(SiN)等から
なる無反射コーティング層33を設けてなるものであ
る。機能部分31の典型的なサイズは0.5〜3μmで
ある。このマイクロキャビティーレーザにおいて量子ド
ット構造を用いることにより、量子ドットの利得帯域の
狭さのために、特に著しい閾値低減効果をもたらす。な
お、本発明においては、本実施形態において使用した材
料以外の材料の組み合わせ、例えば、下記第1表に示す
材料の組み合わせを用いてもよい。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の半導体発光
素子は、量子ドット構造を有する活性層と、前記活性層
と少なくとも一部で接触するように設けられた量子井戸
層とを具備し、前記量子井戸層は間接遷移半導体材料で
構成されており、前記量子井戸層における発光再結合を
抑制するものである。このため、量子井戸層の2次元電
子正孔プラズマ(EHP)と量子ドット中のキャリアと
の散乱による効率的なエネルギーの授受が生じ、量子井
戸層から量子ドットへのキャリア捕捉が効率的に行わ
れ、また、量子ドットの励起状態のキャリアが速やかに
基底状態に緩和される。さらに、量子井戸層を構成する
材料が間接遷移半導体材料であるので、量子井戸層から
の発光再結合によるキャリア損失が抑制される。したが
って、これらの相乗効果により、フォノンボトルネック
効果の制限を受けない高速変調、高効率発光が可能とな
る。
【0040】本発明の半導体発光素子は、上記構成にお
いて、量子井戸層と活性層との間に薄いトンネルバリア
層を介在させることも可能である。トンネルバリア層
は、キャリア散乱の効果を制限して量子ドットの各準位
の均一幅の過剰な広がりを抑制することができる。ま
た、トンネルバリア層を導入することにより、材料の選
択や構造、サイズ等の設計の自由度が増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)および(B)は本発明の半導体発光素子
の原理を説明するための図。
【図2】(A)は本発明の半導体発光素子の一例である
半導体レーザを示す概略図、(B)は(A)に示す半導
体レーザの活性層を示す断面図。
【図3】本発明の半導体発光素子における量子井戸層の
厚さと緩和振動数との関係を示す特性図。
【図4】(A)〜(E)は本発明にかかる半導体レーザ
における活性層近傍の構造を示す断面図。
【図5】(A)は本発明にかかる半導体レーザの活性層
の他の例を示す断面図、(B)は(A)のVB−VB線に沿
う断面におけるポテンシャル構造およびエネルギー準位
を示す模式図。
【図6】本発明の半導体発光素子におけるトンネルバリ
ア層の厚さと、緩和振動数および閾値電流との関係を示
す特性図。
【図7】(A)〜(D)は本発明の半導体発光素子にお
ける活性層近傍の構造を示す断面図。
【図8】(A)および(B)は本発明の半導体発光素子
の他の例である面発光レーザを示す概略図。
【図9】(A)および(B)は従来の半導体発光素子の
活性層近傍の構造を示す断面図。
【符号の説明】 11…i−Al0.5 Ga0.5 As量子井戸層、12…I
nAs活性層、13a…p−In0.5 Al0.5 Pクラッ
ド層、13b…n−In0.5 Al0.5 Pクラッド層型、
21…n−GaAs基板、22…n−GaAsバッファ
層、23…p−GaAsコンタクト層、24…SiO2
層、25…Cr/Au電極、26…AuGe/Au電
極、27…選択成長マスク、28…アンドープIn0.5
Al0.5 Pトンネルバリア層、29a…p−AlAs/
GaAs分布ブラッグ反射膜、29b…n−AlAs/
GaAs分布ブラッブ反射膜、30…高抵抗領域、31
…機能部分、32…ポリイミド層、33…無反射コーテ
ィング層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Physical Review B,1991年,44[19],p.10945− 10948 Applied Physics L etters,1994年,64[2],p. 232−234 Hot Carriers in S emiconductors,1996年, p.287−292 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 量子ドット構造を有する活性層と、前記
    活性層と少なくとも一部で接触するように設けられた量
    子井戸層とを具備し、前記量子井戸層は間接遷移半導体
    材料で構成されており、前記量子井戸層における発光再
    結合を抑制することを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 量子ドット構造を有する活性層と、前記
    活性層と少なくとも一部で接触するように設けられた量
    子井戸層と、前記活性層および前記量子井戸層との間に
    設けられたトンネルバリア層とを具備し、前記量子井戸
    層は間接遷移半導体材料で構成されており、前記量子井
    戸層における発光再結合を抑制することを特徴とする半
    導体発光素子。
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