JPH1112115A - 品質保持剤及びその使用方法 - Google Patents

品質保持剤及びその使用方法

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JPH1112115A
JPH1112115A JP9180644A JP18064497A JPH1112115A JP H1112115 A JPH1112115 A JP H1112115A JP 9180644 A JP9180644 A JP 9180644A JP 18064497 A JP18064497 A JP 18064497A JP H1112115 A JPH1112115 A JP H1112115A
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Hiroshi Tougeda
博史 垰田
Eiji Watanabe
栄次 渡辺
Tooru Nonami
野浪  亨
Mitsuharu Fukaya
光春 深谷
Hiroshi Nakazawa
宏 中澤
Hideaki Omori
英昭 大毛利
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化防止効果、防カビ効果、殺菌効果、防虫
効果などに現に優れており、また安全性にも優れている
と推定される、品質保持剤及びその使用方法の提供。 【解決手段】 酸素欠陥を有する二酸化チタンを有効成
分として含有する品質保持剤、及び該品質保持剤を品質
保持の対象とする物と一緒に1つの密閉系内に、該品質
保持剤に光が当る状態で保持することを特徴とする該品
質保持剤の使用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、品質保持剤及びそ
の使用方法に関する。さらに詳しくは、本発明は食品、
衣料品、医薬品、革製品、木製品、精密機械などの種々
の物や商品のカビや菌、虫、酸化などによる品質の劣化
を防止する品質保持剤及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カビや菌、虫などによる物や商品の被害
防止剤として、これまでクレゾールなどの殺菌剤、ナフ
タリンなどの防虫剤、銀、銅、亜鉛、白金などを含んだ
抗菌抗カビ剤などが使われてきた。しかし、これらはい
ずれも人体に対して有害であるため、アレルギーなどを
引き起こすという問題があり、また、食品への使用は不
可能であった。最近、鉄を含んだ脱酸素剤が食品の劣化
防止剤として普及してきているが、食品の味や色を変質
させることがあり、しかも、殺菌についてはほとんど効
果がないなどの欠点があった。最近、二酸化チタンに光
を当てた際に生じる電子と正孔に基づくOHラジカルな
どの活性酸素による抗菌効果や有機物の分解が注目され
ている(垰田ら、「用水と廃水」 Vol.38、N
o.4、290−296(1996);垰田、「セラミ
ックス」 Vol.31No.7、587−589(1
996);垰田、「東海化学工業会会報」 No.19
6、1−4(1996)など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記点に鑑
み、安全性に優れ、酸化防止効果や防カビ効果、殺菌効
果、防虫効果に優れた経済的な品質保持剤及びその使用
方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、食品添加物とし
て認められている安全無害な物質である二酸化チタンを
窒素ガスなどの不活性ガス中で加熱したり、密閉系で光
を照射したりすると、酸素欠陥を有する二酸化チタンが
得られ、これを密閉系内で食品や衣料などと一緒に置い
ておくと、系内の酸素を吸収して酸素欠乏状態を作り出
して酸化を防ぐと共に優れた殺菌抗カビ作用、防虫作用
を示し、そのとき、さらにこの酸素欠陥を有する二酸化
チタンに光が当たるようにしておくと、電子と正孔が生
成してその酸化還元作用、つまり光触媒作用により菌や
カビの出す毒素を分解するとともに雑菌およびカビの繁
殖を効果的に防止できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は酸素欠陥を有する二酸
化チタンを有効成分として含有する品質保持剤、および
該品質保持剤を品質保持の対象とする物と一緒に1つの
密閉系内に、該品質保持剤に光が当る状態で保持するこ
とを特徴とする該品質保持剤の使用方法に関する。
【0005】なお、「従来の技術」の項で言及した本発
明者の一人である垰田または垰田らの文献には二酸化チ
タンに光を照射した際に生じる光触媒作用についての記
載はあるが、酸素欠陥を有する二酸化チタンについての
記載および示唆はなく、その酸素吸収能や光触媒作用に
ついても当然記載されておらずまた示唆されていない。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる酸素欠陥を有
する二酸化チタンは、ルチルやブルッカイトなどの結晶
形や非晶質のものでも良いが、アナターゼの形のものが
より好ましい。また、酸素欠陥を有する二酸化チタンの
形状は、特に制限はなく、例えば粒状、球状、板状、円
柱状、円筒状、粉末状、顆粒状などであって良いが、表
面積が大きく、酸素吸収速度の大きな粉末状や顆粒状の
ものがより好ましく、超微粒子状のものが特に好まし
い。さらに酸素欠陥を有する二酸化チタンの純度は、低
いものでも使用できるが、性能の点から高いほうが好ま
しく、例えば80〜100%のものが、その中でも10
0%またはそれに近いものが好ましく用いられる。
【0007】本発明に用いられる酸素欠陥を有する二酸
化チタンの酸素欠陥の割合は、二酸化チタン中の酸素原
子の数の0.01%から50%の範囲であること、すな
わち、二酸化チタン中の0.01〜50%が脱離したも
のが好ましい。酸素欠陥の割合がこれ以下であると、二
酸化チタン1mol当り1ml以下の酸素吸収能とな
り、酸素吸収能が小さすぎて殺菌抗カビ作用や防虫作用
に乏しく、また、これ以上であっても、酸素を吸収しに
くくなり殺菌抗カビ作用や防虫作用が小さくなってしま
う。
【0008】本発明で使用する酸素欠陥を有する二酸化
チタンは、二酸化チタンを無酸素雰囲気中で加熱するこ
とによって製造される。そのときの加熱温度は高いほう
が製造時間が短くて済み、酸素欠陥の割合も大きくな
り、酸素吸収能力も大きくなるが、あまり加熱温度が高
すぎると二酸化チタンの結晶形が光触媒活性の低いルチ
ルになってしまうため、加熱温度は800℃までが好ま
しい。また、二酸化チタンを加熱して酸素欠陥を有する
二酸化チタンを製造する際に、光を照射しながら行う
と、製造時間が短くて済み、酸素欠陥の割合も大きくな
り、酸素吸収能力も大きくなる。光としては自然光、紫
外線、可視光などを用いることができるが、紫外線など
の波長の短い光が好ましい。光の照射下の製造は、室温
でも行うことができる。
【0009】酸素欠陥を有する二酸化チタンを製造する
際の雰囲気は、無酸素雰囲気であれば良いが、アルゴ
ン、ネオン、ヘリウム等の希ガス元素、窒素ガス、水素
ガスあるいはそれらの混合ガスの雰囲気であることが好
ましい。また、酸素欠陥を有する二酸化チタンは、密閉
系で二酸化チタンに光を照射することによっても製造で
き、このとき加熱すると迅速に製造できる。さらに、酸
素欠陥を有する二酸化チタンの製造を減圧下に行うと迅
速に製造できる。なお、上記のようにして製造された酸
素欠陥を有する二酸化チタンの結晶形及び形状は、原則
として原料として用いた二酸化チタンの結晶形及び形状
と同様であるが、高温で加熱した場合には結晶転移が起
こる。
【0010】本発明の品質保持剤は、上記のようにして
製造した酸素欠陥を有する二酸化チタンのみからなって
いてもよいが、種々の担体に担持させた酸素欠陥を有す
る二酸化チタンからなっていてもよい。担体としては特
に制限はないが、例えば、シリカゲル、ゼオライト、素
焼粘土、セラミックス、ガラス玉、プラスチック、紙な
どが挙げられる。
【0011】担体に担持させた酸素欠陥を有する二酸化
チタンは、単に酸素欠陥を有する二酸化チタンと担体と
を混合することによっても製造することができるが、密
着性の観点から以下のようにして製造するのが好まし
い。すなわち、二酸化チタン粉末の懸濁液や、チタンの
アルコキシド(チタンテトライソプロポキシドなど)な
どを硝酸などの触媒の存在下に加水分解して調製したチ
タニアゾルを担体にコートして加熱焼成してチタニアゾ
ルを二酸化チタンに変換したり、二酸化チタンを担体の
繊維にすき込んだりした後、二酸化チタンから、上記酸
素欠陥を有する二酸化チタンの製造方法と同様にして、
酸素を脱離させることによって製造することができる。
なお、上記のようにして担体に担持させた二酸化チタン
を製造する方法は、例えば前出の垰田ら、「用水と廃
水」 Vol.38、No.4、290−296(19
96)に例示されている。
【0012】このようにして得られた本発明による品質
保持剤を空気が透過する袋などに入れ、箱や缶や、でき
れば密閉できる容器などの中に、保存すべき食品や衣
料、医薬品、革製品、木製品、精密機械などの物や商品
と一緒に入れておくと、系内の酸素を吸収して酸素欠乏
状態を作り出して酸化を防ぐと共に、優れた殺菌抗カビ
作用、防虫作用を示し、物や商品に有害化学物質が染み
込むこともなく、安全にその品質を長期間保持すること
ができる。
【0013】そして、その使用時に、袋や容器を透明な
ものにするなどして二酸化チタンに光が当るようにして
おくと、二酸化チタンに電子と正孔が生成してその酸化
還元作用、すなわち光触媒作用により系内の酸素を活性
酸素に変え、その強力な酸化力により系内の臭いや菌・
カビの出す毒素を炭酸ガスにまで分解すると共に、雑菌
やカビの繁殖を効果的に防止することができる。なお、
光としては、紫外線を多く含む光が好ましいが、自然光
や可視光でも、また電球や蛍光灯の光でも良く、これら
の光で光触媒作用が発揮される。
【0014】本発明の品質保持剤の使用量は、これを使
用する系内の酸素量と品質保持剤中の酸素欠陥を有する
二酸化チタンの酸素吸収能との比較から決定することが
できる。本品質保持剤を光の当らない状況下で使用する
場合には、系内の酸素量を望まれる量(この量は使用さ
れる個々の場合及びその目的によって変化し得る)、例
えば0にするのに見合う量の品質保持剤を使用する必要
があるが、光の当る状況下では、必ずしもこの見合う量
を使用する必要はなく、この見合う量より少ない量、例
えばその半分とか1/10の量の使用量でも良い。その
理由は、すでに述べたごとく、光触媒作用により、系内
の残存酸素が活性酸素に変化して系内の臭いや毒素の炭
酸ガスへの分解や微生物の繁殖の防止が効果的に行われ
ると共に、それにより系内の酸素がさらに減少するから
である。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。 実施例1 予め乾燥した二酸化チタンの超微粒子10gを電気炉に
入れ、窒素気流中で800℃で加熱した結果、12%の
重量減少が見られた。これは、二酸化チタン中の酸素原
子の約30%が脱離したことに相当する。得られた酸素
欠陥を有する二酸化チタン(品質保持剤)を空気の通る
紙袋に入れ、和菓子の入っている500mlの容積のプ
ラスチック容器に入れて密閉し、酸素濃度計で容器内の
空気中の酸素濃度を測定した。その結果、酸素濃度が急
激に減少し、数十分でほぼ0になった。そして、品質保
持剤を入れなかった場合、3日後にカビが生えてきた
が、品質保持剤を入れたものは半月経ってもカビが生え
てこなかった。この品質保持剤を用いて同実験を繰り返
したところ、効果に変化が見られなかった。
【0016】実施例2 予め乾燥した径約5mmのアナターゼ形の粒状二酸化チ
タン10gを電気炉に入れ、減圧下150℃で加熱した
後、室温まで放冷した。その結果、1%の重量減少が見
られた。これは、二酸化チタン中の酸素原子の約2.5
%が脱離したことに相当する。得られた酸素欠陥を有す
る二酸化チタン(品質保持剤)を空気が通るようにした
入れ物に入れ、桃ジュースを入れた透明なガラス容器
(容積250ml)の蓋の内側にはめて、蓋を閉めた。
そして、酸素濃度計で容器上部の残存空気中の酸素濃度
を測定した結果、酸素濃度が8%にまで減少した。つい
で該容器を明るいところに移したところ、酸素濃度がさ
らに減少してほぼ0になった。そして、品質保持剤を入
れなかった場合、1日も経たないうちに桃ジュースに色
がついてきて味もおかしくなってきたが、品質保持剤を
入れたものは3日経っても桃ジュースの色や味に変化が
なかった。実験後、品質保持剤を取り出してX線回折装
置で結晶形を調べた結果、二酸化チタンのアナターゼ1
00%であった。
【0017】実施例3 予め乾燥した二酸化チタン粉末15gを容積100ml
の透明なプラスチック容器に入れて密閉した後、ポンプ
で減圧しながら、300Wのキセノンランプの光を照射
した結果、3%の重量減少が見られた。これは、二酸化
チタン中の酸素原子の約7.5%が脱離したことに相当
する。その後、この容器にラップで包んだ白菜漬を入れ
て密閉し、蛍光灯の下に放置し、酸素濃度計で容器内の
空気中の酸素濃度を測定した。その結果、酸素濃度が減
少し、ほぼ0になった。そして、1週間後、品質保持剤
を入れなかった場合、白菜漬がすっぱくなっていたが、
品質保持剤を入れたものは味に変化がなかった。
【0018】実施例4 アナターゼ形の二酸化チタン粉末と粘土を等量混ぜて焼
き固めた径1cmほどの二酸化チタンペレット120g
を電気炉に入れ、アルゴン気流中で室温から500℃ま
で加熱した後、室温まで放冷した。その結果、5%の重
量減少が見られた。これは、二酸化チタン中の酸素原子
の約25%が脱離したことに相当する。得られた品質保
持剤を酸素透過性の透明なポリ袋に入れ、容積2Lの透
明なプラスチックス容器に入れた生茶ソバの上に置き密
閉した後、2000ルックスの電灯の下に置き、酸素濃
度計で容器内の酸素濃度を測定した。その結果、酸素濃
度が0にまで減少した。品質保持剤を入れなかった場合
は5日後にソバのクロロフィルの緑色が退色してきた
が、品質保持剤を入れた場合は20日経っても色が変わ
らず、退色防止と風味保持効果が見られた。
【0019】実施例5 予め乾燥した二酸化チタン粉末50gをセラミックスの
容器に入れ、グローブボックスの中のホットプレートの
上に置き、グローブボックスを閉じた後、ポンプで減圧
しながら、石英ガラスの窓を通して500Wの水銀ラン
プの光を照射し、250℃に加熱した。その結果、14
%の重量減少が見られた。これは、二酸化チタン中の酸
素原子の約35%が脱離したことに相当する。得られた
酸素欠陥を有する二酸化チタン(品質保持剤)を空気の
通る紙袋に入れ、風邪薬の入っている500mlの容積
の透明なプラスチック容器に入れて密閉し、明るいとこ
ろに置いて酸素濃度計で容器内の空気中の酸素濃度を測
定した。その結果、酸素濃度が急激に減少し、数分でほ
ぼ0になった。そして、1カ月後に風邪薬の品質を調べ
たところ、品質保持剤を入れなかった場合、風邪薬の中
のビタミンCの酸化が進んでいたが、品質保持剤を入れ
た場合はビタミンCの品質に変化がなかった。
【0020】実施例6 蓋の内側に物が入れられ空気が通るように小部屋をつけ
てある透明なプラスチック容器(容積300ml)の小
部屋に予め乾燥した径約7mmのアナターゼ形の球状二
酸化チタン20gを入れた後、内部の空気をアルゴンガ
スで置換した。次に、容器の外側から二酸化チタンに向
けて太陽光を1時間ほど当て、酸素を脱離させて酸素欠
陥を有する二酸化チタン(品質保持剤)を作った。その
後、容器内にリンゴジュースを注いで密閉し、明るいと
ころに置いて酸素濃度計で容器内の残存空気中の酸素濃
度を測定した。その結果、酸素濃度が5%にまで急激に
減少し、ついでさらに徐々に減少してほぼ0になった。
そして、品質保持剤を入れなかった場合、半日も経たな
いうちにリンゴジュースに色がついてきたが、品質保持
剤を入れた場合には1日経っても色の変化がなかった。
実験後、二酸化チタンを取り出して、X線回折装置で結
晶形を調べた結果、アナターゼ100%であった。
【0021】実施例7 予め乾燥した径約5mmの粒状二酸化チタン100gを
電気炉に入れ、水素気流中で700℃に加熱した結果、
20%の重量減少が見られた。これは、二酸化チタン中
の酸素原子の約50%が脱離したことに相当する。得ら
れた酸素欠陥を有する二酸化チタン(品質保持剤)を容
積4000mlの透明なプラスチックス容器の8分目ま
で入れた玄米の上に撒いて密閉した後、南側窓際に置い
て、酸素濃度計で容器内の酸素濃度を測定した。その結
果、酸素濃度が急激に0まで減少していった。品質保持
剤を入れなかった場合は、10日後にコクゾウ虫がわい
てきたが、品質保持剤を入れた場合には1カ月経っても
虫がわかず、玄米に対する防虫効果が見られた。
【0022】実施例8 予め乾燥したアナターゼ形の二酸化チタンの径2mmの
ペレット30gを電気炉に入れ、空気中で150℃で加
熱した後、室温まで放冷した。その結果、0.1%の重
量減少が見られた。これは、二酸化チタン中の酸素原子
の約0.25%が脱離したことに相当する。得られた酸
素欠陥を有する二酸化チタン(品質保持剤)を和紙の袋
に入れ、ポテトチップスと共に容積500mlの透明な
プラスチック容器に入れて日の当るところに置き、酸素
濃度計で容器内の酸素濃度を測定した。その結果、酸素
濃度が徐々に0%にまで減少していった。2週間後、開
封してポテトチップスの過酸化物価(P.O.V.)を
調べた結果、品質保持剤を入れなかった場合、4.5か
ら42(meq/kg)に上昇したが、品質保持剤を入
れた場合、4.5(meq/kg)のまま変わらず、酸
化に対する顕著な防止効果が見られた。
【0023】実施例9 シリカゲルの表面に二酸化チタンをコートした予め乾燥
した径3mmのペレット90g(二酸化チタン含有量1
0%)を電気炉に入れ、ヘリウム気流中で550℃で加
熱した後、室温まで放冷した。その結果、1.8%の重
量減少が見られた。これは、二酸化チタン中の酸素原子
の約45%が脱離したことに相当する。得られた品質保
持剤を食パンと共に容積1200mlのパンケースに入
れて密閉し、明るいところに置いて、酸素濃度計で容器
内の空気中の酸素濃度を測定したところ、酸素濃度が減
少してほぼ0になった。そして、品質保持剤を入れなか
った場合は3日後にカビが生えてきたが、品質保持剤を
入れた場合は2週間経ってもカビが生えてこなかった。
【0024】実施例10 予め乾燥したアナターゼ形の二酸化チタンの4mmのペ
レット30gをセラミックス製の容器に入れ、グローブ
ボックスの中の微量天秤の上に置き、ガス雰囲気をアル
ゴンで置換した後、二酸化チタン中の酸素原子の約0.
01%相当の酸素が脱離するまでグローブボックスのブ
ラックライトの光を照射した。得られた酸素欠陥を有す
る二酸化チタン(品質保持剤)を酸素透過性の透明なポ
リ袋に入れ、バターピーナッツ100gの入っている酸
素不透過性の透明ポリ袋の中に入れた後、密閉し、日の
当るところに置いた。その結果、品質保持剤を入れなか
った場合、1週間後、バターピーナッツの過酸化物価
(P.O.V.)が0から22(meq/kg)に上昇
したが、品質保持剤を入れた場合、2(meq/kg)
とほとんど変わらず、酸化に対する顕著な防止効果が見
られた。
【0025】実施例11 予め乾燥した径約3mmのアナターゼ形の粒状二酸化チ
タン5gを電気炉に入れ、窒素とアルゴンの混合気流中
で300℃まで加熱した結果、5%の重量減少が見られ
た。これは、二酸化チタン中の酸素原子の約12.5%
が脱離したことに相当する。得られた酸素欠陥を有する
二酸化チタン(品質保持剤)を酸素透過性の透明なポリ
袋に入れ、65℃で10分間火入れした日本酒の入って
いる720mlの容積の瓶の栓の所に空気が流通するよ
うに入れ、密栓した後、窓際に置き、酸素濃度計で容器
内の空気中の酸素濃度を測定した。その結果、酸素濃度
が3%にまで減少した後、さらに徐々に減少してほぼ0
になった。
【0026】1カ月後、中に入れていた日本酒の着色度
(430mm10mmセル使用)、鉄イオン濃度を調
べ、官能検査を行った。その結果、品質保持剤を入れな
かった場合、鉄イオン濃度は0.044ppmで変わら
なかったが、着色度が0.002から0.0032に増
加したのに対し、品質保持剤を入れた場合には、鉄イオ
ン濃度も変わらず、着色度も0.0022とほとんど変
わらなかった。また、味、香り、色について8名のパネ
ラーによって5点法(1:最良)で評価した結果、品質
保持剤を入れなかった場合、2.5であったのに対し、
品質保持剤を入れた場合には1.2と優れた値が得られ
た。さらに、上記品質保持剤の代わりに鉄系脱酸素剤を
使用して同様の実験を行った結果、鉄イオン濃度が0.
044ppmから0.053ppmに、また、着色度も
0.002から0.0034に増加し、官能検査の結果
も2.7で渋みと異臭が指摘された。また、実験後、二
酸化チタンを取り出して、X線回折装置で結晶形を調べ
た結果、アナターゼ100%であった。以上のように、
本発明の品質保持剤が鉄系脱酸素剤に比較しても優秀な
性能を有していることが判明した。
【0027】
【発明の効果】本発明の品質保持剤は、以上に説明した
ように、安全性に優れ、酸化防止効果や防カビ効果、殺
菌効果、防虫効果に優れる。本発明の品質保持剤は、食
品添加物として認められている安全無害な物質である二
酸化チタンを原料としており、単にその酸素の一部を脱
離することにより製造されるので、安全性が高いものと
推定される。
【0028】本品質保持剤を密閉系内で食品や医薬品、
衣料品などと一緒に置いておくと、系内の酸素を吸収し
て酸素欠乏状態を作り出して酸化を防ぐと共に優れた殺
菌防カビ作用、防虫作用を示す。そしてこのとき、二酸
化チタンに光が当るようにしておくと、二酸化チタン上
に電子と正孔が生成してその酸化還元作用により活性酸
素が生じ、その強力な酸化力で密閉系内のにおいや菌、
カビの出す毒素などの有機物を炭酸ガスにまで酸化分解
して系内の酸素を消費していくと共に、活性酸素の働き
により雑菌やカビの繁殖を効果的に防止できる。
【0029】二酸化チタンは塗料や化粧品、歯磨き粉な
どにも使われており、耐候性や耐久性に優れ、安全無害
という利点を持っている。このため、本発明による品質
保持剤も耐熱性、耐光性、耐候性、安定性、安全性に優
れており、さらにある程度の湿気も吸着して除くことが
でき、耐水性にも優れている可能性が高い。さらに、本
発明による品質保持剤は、熱や光を加えることによって
簡単に再生でき、半永久的に繰り返し使用できるため、
非常に経済的である。
フロントページの続き (71)出願人 597095979 渡辺 栄次 愛知県海部郡佐屋町大字善太新田字古株41 番地 (71)出願人 597039869 野浪 亨 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70番 地 猪子石住宅1棟302号 (71)出願人 597095980 深谷 光春 愛知県名古屋市千種区北千種1丁目6番32 号 千種西住宅2棟501号 (74)上記5名の代理人 弁理士 坂口 昇造 (72)発明者 垰田 博史 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70番 地 猪子石住宅4棟301号 (72)発明者 渡辺 栄次 愛知県海部郡佐屋町大字善太新田字古株41 番地 (72)発明者 野浪 亨 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70番 地 猪子石住宅1棟302号 (72)発明者 深谷 光春 愛知県名古屋市千種区北千種1丁目6番32 号 千種西住宅2棟501号 (72)発明者 中澤 宏 千葉県船橋市本町3丁目33番13号丸勝産業 株式会社内 (72)発明者 大毛利 英昭 千葉県船橋市本町3丁目33番13号丸勝産業 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素欠陥を有する二酸化チタンを有効成
    分として含有する品質保持剤。
  2. 【請求項2】 酸素欠陥を有する二酸化チタンがアナタ
    ーゼの結晶形である請求項1記載の品質保持剤。
  3. 【請求項3】 酸素欠陥を有する二酸化チタンの酸素欠
    陥の割合が0.01〜50%である請求項1または2記
    載の品質保持剤。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の品
    質保持剤を品質保持の対象とする物と一緒に1つの密閉
    系内に、該品質保持剤に光が当る状態で保持することを
    特徴とする該品質保持剤の使用方法。
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