JPH11119778A - 楽音合成装置及び楽音合成方法 - Google Patents

楽音合成装置及び楽音合成方法

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JPH11119778A
JPH11119778A JP9283336A JP28333697A JPH11119778A JP H11119778 A JPH11119778 A JP H11119778A JP 9283336 A JP9283336 A JP 9283336A JP 28333697 A JP28333697 A JP 28333697A JP H11119778 A JPH11119778 A JP H11119778A
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Masahiro Nakanishi
雅浩 中西
Katsuyoshi Fujii
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 楽器音等の波形形状の変形処理により音色変
化を行う際、ノイズの発生を防止し聴感上好ましい音色
変化を実現する。 【解決手段】 楽器音を予め周期波形と非周期波形に分
離し、それぞれを波形メモリ11,12に記憶する。そ
して発音指示に応じてそれぞれの波形を読み出し回路9
2で読み出し、周期波形のみに非線形変換テーブル93
による波形形状の変形を行い、それに非周期波形を加算
器13で加算し、所望の合成音データを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子楽器の音源と
して用いられる楽音合成装置に関し、特に楽器音をデジ
タルサンプリングすることによって得られた波形データ
に対し、非線形変換を施して音色を加工する楽音合成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置として、メモリに記
憶された楽音データを発音指示に応じて読み出し、読み
出したデータに対して、テーブルに記憶された非線形変
換特性を作用させ、波形形状を変形させ音色を変化させ
る楽音合成装置が開示されている(例えば、特開昭61
−110199号公報)。
【0003】以下、図面を参照しながら上述したような
従来の楽音合成装置について説明する。
【0004】図9は従来の楽音合成装置のブロック図で
ある。91は予めピアノ等の楽器音をデジタルサンプリ
ングすることによって得られた波形データを記憶する波
形メモリ、92は発音開始フラグKONの発生時以降に
システムクロックSCK(サンプリング周波数に対応す
る速度で発生するクロック)の発生タイミングに同期し
て、波形メモリ91に記憶された波形データを読み出し
出力する読み出し回路、93は読み出された波形データ
の振幅値をアドレス値として、予め記憶された非線形変
換特性値を読み出す非線形変換テーブルである。なお、
読み出し回路92は簡単なカウンタ回路を用いて構成で
きるので説明を省略する。
【0005】図10は非線形変換テーブル93の変換特
性図である。横軸xはテーブルアドレス値、縦軸yは変
換特性値である。
【0006】図11は波形メモリ91に記憶されたピア
ノ音の振幅周波数スペクトルを示す図であり、横軸に周
波数、縦軸に振幅レベルを示している。また、図12は
合成音データの振幅周波数スペクトルを示す図である。
【0007】以上のように構成された従来の楽音合成装
置について動作説明をする。まず打鍵等の発音指示に応
じて、発音開始フラグKONが値1となり読み出し回路
92は、波形メモリ91の0番地から順に、システムク
ロックSCKの周期に同期して波形データを読み出す。
この時、打鍵された鍵盤の音高位置に応じたピッチデー
タが読み出し回路92に送出され、読み出し回路92は
ピッチデータに応じた読み出しステップ幅で波形メモリ
91をアドレッシングするので、ピッチデータに応じた
音高の波形データが発生される。この波形データは非線
形変換テーブル93にアドレス値として入力され、図1
0に示す変換特性値が読み出される。ここで、非線形変
換テーブル93に1次特性(縦軸をy、横軸をxとした
場合、y=xとなる特性)が記憶されている場合、アド
レス値として入力された波形データはそのままスルーで
出力されることとなる。また、図10に示すような非線
形特性、即ちアドレス値(入力レベル)が大きくなるに
つれて、次第に飽和する特性の場合、入力された波形デ
ータの振幅周波数スペクトルの奇数次倍音が増幅される
ような変換を受けることになる。即ち、図11に示した
振幅周波数スペクトルが、図12に示したような振幅周
波数スペクトルに変換される。このように、非線形変換
テーブル93に記憶する変換特性の形状に合わせて、音
色を変化させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の楽音合成装置では、波形メモリ91には、ピア
ノ等の楽器音をデジタルサンプリングされたものがその
まま記憶されているため、例えば、ピアノ音を録音する
ときに含まれてくる、暗騒音や残響音などの非周期的な
成分(周期性の非常に弱い成分も含む)まで、波形メモ
リ91に含まれることになる。これらの非周期成分は、
合成時にそのまま再現されると、音の定位感など、いわ
ゆる音像のリアリティに反映する有意味な成分である
が、一旦、非線形変換テーブル等によってその形状が変
形されてしまうと、聴感上意味をもたないノイズ成分に
なってしまう。一方、ピアノの弦振動などの倍音構造を
もつ成分、即ち周期成分は、非線形テーブル93による
波形形状の変形により、もともと存在していた倍音成分
の特定成分(例えば奇数次成分)が増幅/減衰されるこ
とによって新たな倍音構造をもった波形に変化するの
で、ノイズが発生することなく波形形状が変化すること
となる。このように、従来の楽音合成装置では、非周期
成分に対しても波形形状の変形がなされていた為、ノイ
ズの多い音色になってしまうという問題点を有してい
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明は、楽器音から少なくとも定常的な非周
期成分を除いた成分に対応する波形データを記憶した第
1の記憶手段と、楽器音中の定常的な非周期成分に対応
する波形データを記憶した第2の記憶手段と、第1の記
憶手段及び第2の記憶手段に記憶された波形データを読
み出す読み出し手段と、第1の記憶手段から読みだされ
た周期波形の波形形状を変化させる非線形変換手段と、
非線形変換手段の変換出力と第2の記憶手段から読み出
された波形データとの混合処理を行う混合手段とを備
え、第1の記憶手段から読み出された波形データ、即ち
周期波形のみに非線形変換手段における波形形状の変形
処理がなされ、周期波形の倍音構造が変化し、これに第
2の記憶手段から読み出された波形データ、即ち非周期
波形(例えば、ピアノなどの楽音を録音するときに一緒
に録音される暗騒音や残響音などであり、音の定位感な
ど、いわゆる音像のリアリティに関する有意味な成分)
を混合し、所望の合成音を得ることとなる。従って、非
周期成分の波形形状を変化させた結果得られる無意味な
波形(ノイズ)を合成音に混入させることなく所望の合
成音を合成することとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、ピアノなどの楽器音の
周期波形と非周期波形をそれぞれ記憶した第1の波形メ
モリ及び第2の波形メモリと、発音指示及びピッチデー
タに応じてそれらに記憶された波形データを読み出す読
み出し回路と、第1の波形メモリから読み出された周期
波形の波形形状の変形を行う非線形変換手段と、非線形
変換手段の変換出力と第2の波形メモリから読み出され
た非周期波形との加算を行う加算器とを備え、打鍵等の
発音指示があった時、読み出し回路がピッチデータに応
じた読み出しステップで第1の波形メモリから周期波形
を読み出した後、非線形変換器において波形形状の変形
処理がなされ、周期波形の倍音構造が変化した周期波形
が得られる。そして、加算器におけて、この周期波形
と、第2の波形メモリから読み出された非周期波形(例
えば、ピアノなどの楽音を録音するときに一緒に録音さ
れる暗騒音や残響音などであり、音の定位感など、いわ
ゆる音像のリアリティに関する有意味な成分)とが加算
され、所望の合成音を得ることとなる。
【0011】以下、本発明の実施の形態について、図面
を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、特に
説明のない限り従来と同様の構成要件には同一符号を付
し、説明を省略する。
【0012】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1における楽音合成装置の構成を示すブロック図で
ある。図1において、11はピアノ等の楽器音をデジタ
ルサンプリングすることによって得られた楽音の周期成
分に相当する波形データを予め記憶する波形メモリ、1
2は同楽音の非周期成分に相当する波形データを予め記
憶する波形メモリ、13は非線形変換テーブル93の変
換結果と波形メモリ12から読み出された波形データ
(非周期波形)との加算を行う加算器である。その他の
ブロックは従来の楽音合成装置と同様である。
【0013】図2は、楽音を周期成分と非周期成分に分
離するアルゴリズムを示すブロック図である。周期成分
とは、ピアノの弦の振動などの周期性(倍音構造)を有
する成分であり、一方、非周期成分とは、ハンマー音や
残響成分、あるいは録音時の暗騒音といった、周期性の
ない、あるいは周期性の非常に弱い成分のことである。
図2において、21は波形メモリ91から読み出された
楽音波形の振幅レベルを減衰させる乗算器、22は同楽
音波形の基本周期(音高に相当)に対応する遅延時間分
データを遅延させる遅延器、23は遅延器22の出力レ
ベルを減衰させる乗算器、24は乗算器21の出力と乗
算器23の出力を加算する加算器である。25は乗算器
21,23、遅延器22、加算器24からなる巡回型コ
ムフィルタであり、26,27も同様の巡回型コムフィ
ルタである。28は同楽音波形から乗算器30の出力で
ある周期成分を減算する減算器、29は波形メモリ91
から楽音波形を読み出す読み出し回路、30は巡回型コ
ムフィルタ27の出力レベルを調整する乗算器である。
なお、巡回型コムフィルタ25,26,27の回路構成
は同一である。また巡回型コムフィルタ26,27の間
に、同様の巡回型コムフィルタが複数段挿入されている
ものとする。
【0014】図3は巡回型コムフィルタ25の伝達特性
図である。なお、共振峰のレベルAは乗算器23の乗算
係数aに、またレベルBは乗算器21の乗算係数bに対
応する。また、周波数f0は、波形メモリ91から読み
出される楽音波形の基本周期に対応する周波数である。
【0015】図4は、ピアノ原音の周期成分の振幅周波
数スペクトルを示すグラフであり、図5は、ピアノ原音
の非周期成分の振幅周波数スペクトルを示すグラフであ
り、図6は、本実施の形態における楽音合成装置及び楽
音合成方法によって出力される合成音データの振幅周波
数スペクトルを示すグラフである。
【0016】以上のように構成された楽音合成装置につ
いて動作説明をする。まず、予め図2に示す方法等で、
楽音を周期成分と非周期成分に分離し、それぞれに対応
する波形データを波形メモリ11,12に記憶しておく
ものとする。なお、分離についての詳細説明について
は、実施の形態2で述べる。鍵盤の打鍵等による発音指
示により発音開始フラグKONが発生し、その発生タイ
ミングを起点として読み出し回路92は波形メモリ1
1、12のアドレッシングを開始する。アドレス更新で
のステップ幅はピッチデータに対応し、システムクロッ
クSCK(サンプリング周期に対応するクロック)の周
期に同期してアドレスの更新を行う。波形メモリ11か
らは楽音の周期成分に対応する波形データが読み出され
る。その波形データの振幅周波数スペクトルは図4に示
すようなノイズフロアー成分のない、即ち倍音のみで構
成される波形データである。そして非線形変換テーブル
93において、波形形状の変形が行われ、従来の楽音合
成装置のように、奇数次倍音が増幅された周期波形が得
られる。一方波形メモリ12からは楽音の非周期成分に
対応する波形データが読み出される。その波形データの
振幅周波数スペクトルは図5に示すようなノイズフロア
ー成分だけの波形データである。この波形データは加算
器13に送出され、非線形変換テーブル93の出力との
加算が行われ、図6に示す振幅周波数スペクトルの合成
音データが得られる。
【0017】以上のように、本実施の形態によれば、図
6に示す振幅周波数スペクトルの合成音データが得ら
れ、図11に示すピアノ音とを比較すると、ノイズフロ
アーの成分は変化せず、倍音構造のみが変化することと
なる。即ち、ピアノなどの楽音を録音するときに一緒に
録音される暗騒音や残響音といった、音の定位感などの
音像のリアリティに関する有意味な成分(波形形状を変
形すると無意味なノイズ成分に変化するもの)は非線形
変換テーブル93による波形形状の変形を受けず、その
ままの波形が合成音データに反映されることとなり、聴
感上好ましい音色変化(倍音構造のみの変化)を実現す
ることができる。
【0018】なお、非線形変換テーブル93は図10に
示す変換特性のみならず、任意の変換特性をもたせても
よい。また、ピアノのハンマー音のような過渡的な(比
較的短時間の)非周期成分は、非線形変換による波形形
状の変形を行っても、ノイズの発生時間が極めて短時間
なので、波形メモリ11が記憶する周期成分側に含ませ
るようにしてもさしつかえない。また、楽音は、いわゆ
る楽器音の全てをデジタルサンプリングしたものだけで
はなく、例えば、定常的な波形区間をルーピングした
り、あるいはサンプルを間引きしたりといった、いわゆ
る圧縮したものであっても構わない。また、音量の時間
減衰情報は、波形メモリ11,12内の波形に含ませて
もよいし、また、加算器13の後段などにいわゆるエン
ベロープを乗算する乗算器などを介挿して実現するよう
にしてもよい。また、非線形変換手段は、非線形変換テ
ーブル93のようなテーブル参照タイプのみならず、非
線形演算による非線形処理としてもよい。また、読み出
し回路92は波形メモリ11,12を同時にしかも同じ
アドレス値でアドレッシングするが、それぞれの波形メ
モリに独立した読み出し回路を備えるようにしてもよ
い。
【0019】(実施の形態2)以下、本発明の実施の形
態2について図面を参照しながら説明する。
【0020】図7は、本発明の実施の形態2による楽音
合成装置の構成を示すブロック図である。図7におい
て、71は波形合成及び波形分離処理の両者を行うプロ
セッサ、72は波形データおよび非線形変換テーブル値
を記憶するROM(読み出し専用メモリ)、73は波形
データを記憶するRAM(読み書きメモリ)である。
【0021】以上のように構成された楽音合成装置につ
いて動作説明をする。プロセッサ71は内部演算の処理
アルゴリズムを内部のメモリ等に記憶したプログラマブ
ルなプロセッサであり、例えばDSP(Digital Signal
Processer)やCPU(Central Processing Unit)で
ある。プロセッサ71は実施の形態1で説明した波形合
成、即ち、図1に示す回路が行う処理をプログラマブル
に実行するとともに、実施の形態1で説明した波形分離
(実施の形態1では前処理工程であったもの)、即ち図
2のアルゴリズムをプログラマブルに実行するものであ
る。まず、音色指示データが指示されることにより、R
OM72に記憶された、複数種類の楽音のうちの1種類
(例えばピアノ音)が選択されて、プロセッサ71に読
み込まれる。そして図2に示す楽音の分離処理がなさ
れ、分離結果である周期成分と非周期成分のそれぞれに
対応する波形データが抽出され、RAM73に一時記憶
される。その後、発音開始フラグKONの発生タイミン
グを起点として、RAM73に記憶された波形データが
読み出され、実施の形態1の図1で説明した動作と同じ
動作をプロセッサ71内部で実行する。ここで、図2,
3を用いて、楽音の分離処理について説明する。
【0022】まず、波形メモリ91に記憶された楽音は
読み出し回路29によって読み出され、巡回型コムフィ
ルタ25,26,27によってフィルタリングされる。
このフィルタリングにおける伝達特性が図3に示す特性
である。巡回型コムフィルタ25における入力ゲインa
(乗算器21における乗算係数)と図3のレベルAとの
関係は、A(dB)=6×LOG2{1/(1−a)}であ
る。また帰還ゲインb(乗算器21における乗算係数)
と図3のレベルBとの関係は、B(dB)=6×LOG2
である。
【0023】ここで、入力ゲインaと帰還ゲインbは巡
回型コムフィルタ25,26,27で共通の値をとるも
のとし、直列接続する巡回型コムフィルタの総数をnと
すると、巡回型コムフィルタ25,26,27で構成さ
れるフィルタの伝達特性のピーク部分(共振峰)のレベ
ル(Anとする)とディップ部分のレベル(Bn)はそ
れぞれ、An(dB)=6×n×LOG2{1/(1−
a)}、Bn(dB)=6×n×LOG2bで表すことがで
きる。
【0024】このAn、Bnに従う伝達特性でフィルタ
リングすることにより、周期成分(倍音成分)を抜き取
ることができる。そして乗算器30により、巡回型コム
フィルタ27の振幅レベルを波形メモリ91から読み出
される楽音の振幅レベルに概等しくなるように調整し、
減算器28で減算することにより、非周期成分も抜き取
ることができ、結果として、周期成分と非周期成分を分
離することができる。
【0025】なお、各巡回型コムフィルタで乗算係数
a,bの値を異ならせてもよい。また、巡回型コムフィ
ルタの総数は任意の段数であってもよい。
【0026】以上のように、本実施の形態によれば、プ
ロセッサ71が実施の形態1の図1で説明した合成処理
と、図2で説明した分離処理を行うので、予め、楽音の
周期成分と非周期成分のそれぞれに対応した波形データ
を準備するまでもなく、一般的に市販されているような
サンプルデータ(楽音をデジタルサンプリングした波形
データやそれらを圧縮処理した波形データ)を用いて、
実施の形態1と同様に、非線形変換による副次的ノイズ
を発生させることなく、聴感上好ましい音色変化(倍音
構造のみの変化)を実現することができる。
【0027】なお、非線形変換テーブルはROM72内
に予め記憶させるのではなく、初期設定時等に外部から
RAM73内に書き込むようにしてもよい。またROM
72やRAM73はプロセッサ71の外付け回路ではな
く、プロセッサ71の内部メモリを使用してもよい。
【0028】(実施の形態3)図8は、本発明の実施の
形態3による楽音合成方法を示すフローチャートであ
る。このフローチャートの処理内容について説明する。
なお、このフローチャートは、パソコンや大型コンピュ
ータなどのプログラマブルプロセッッサを搭載した装置
などを用いて簡単に実現できるものであり、処理の流れ
は実施の形態2と同様である。まず、音色の選択指示が
あった後、波形をリードする。ここでいう波形とは、実
施の形態1,2で扱った、例えばピアノ音などをデジタ
ルサンプリングした波形である。次に巡回型コムフィル
タなどのフィルタリング処理によりこの波形を周期波形
と非周期波形に分離し、記憶させる。以上が分析処理で
ある。
【0029】次に合成開始指示があった後、分析処理で
導出された周期波形をリードし、非線形変換がなされ
る。そして変換後の波形と、分析処理で導出された非周
期波形とのミックスがなされ所望の合成音データの1サ
ンプル点を求めることができる。そして、この合成処理
を、分析処理で導出された周期波形あるいは非周期波形
の全サンプル点について実行し、所望の合成音データの
全てを導出することとなる。
【0030】以上のように、本実施の形態によれば、非
線形変換による副次的ノイズを発生させることなく、非
線形変換の変換特性に応じた音色を自由につくることが
できる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以
下に記載されるような効果を奏する。
【0032】読み出し手段が、第1の記憶手段に記憶さ
れた楽音の周期成分(楽器音から少なくとも定常的な非
周期成分を除いた成分)に対応する波形データと、第2
の記憶手段に記憶された楽音の非周期成分(主に楽器音
中の定常的な非周期成分)に対応する波形データを読み
出し、非線形手段が第1の記憶手段から読み出された波
形データの波形形状を変化させ、混合手段が非線形変換
手段の変換出力と第2の記憶手段から読み出された波形
データとの混合処理を行うようにしたので、楽音中の周
期成分が非線形変換手段によって波形形状が変形(倍音
構造の変化)を受けるとともに、楽音に含まれる非周期
成分、即ち録音時の暗騒音や残響音といった、音の定位
感などの音像のリアリティに関する有意味な成分(波形
形状を変形すると無意味なノイズ成分に変化するもの)
は非線形変換手段による波形形状の変形を受けず、その
ままの波形が合成音データに反映されることとなり、聴
感上好ましい音色変化(倍音構造のみの変化)を実現す
ることができる。
【0033】また、選択手段が、第1の記憶手段に記憶
された複数の楽器音に対応する複数の波形データのうち
少なくとも1種類の波形データを選択し、読み出し手段
が選択手段により選択された波形データを読み出し、分
離手段が読み出された波形データを少なくとも定常的な
非周期成分とそれ以外の成分にそれぞれ対応する少なく
とも2種類の波形データ(非周期波形データと周期波形
データ)に分離し第2の記憶手段に一時記憶させ、第2
の読み出し手段が、周期波形データと非周期波形データ
を読み出し、非線形手段が第2の記憶手段から読み出さ
れたうちの周期波形データの波形形状を変化させ、混合
手段が非線形変換手段の変換出力と第2の記憶手段から
読み出されたうちの非周期波形データとの混合処理を行
うようにしたので、一般的に市販されているようなサン
プルデータ(楽音をデジタルサンプリングした波形デー
タやそれらを圧縮処理した波形データ)を用いて、非線
形変換による副次的ノイズを発生させることなく、聴感
上好ましい音色変化(倍音構造のみの変化)を実現する
ことができる。
【0034】また、デジタルサンプリングされた楽音を
定常的な非周期成分とそれ以外の成分にそれぞれ対応す
る少なくとも2種類の波形データ(非周期波形データと
周期波形データ)とに分離し、それぞれの波形データを
記憶させ、記憶されたそれぞれの波形データを読み出
し、読み出された周期波形データに対して非線形変換処
理を施し、非線形変換処理によって得られた波形データ
と非周期波形データとを混合し、所望の合成音を合成す
るようにしたので、楽音中の周期成分が非線形変換処理
によって波形形状が変形(倍音構造の変化)を受けると
ともに、楽音に含まれる非周期成分、即ち録音時の暗騒
音や残響音といった、音の定位感などの音像のリアリテ
ィに関する有意味な成分(波形形状を変形すると無意味
なノイズ成分に変化するもの)は非線形変換手段による
波形形状の変形を受けず、そのままの波形が合成音デー
タに反映されることとなり、聴感上好ましい音色を作る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による楽音合成装置の構
成を示すブロック図
【図2】同楽音合成装置の各波形メモリが記憶すべき周
期波形,非周期波形の抽出方法を示すブロック図
【図3】同楽音合成装置の巡回型コムフィルタの伝達特
性図
【図4】同楽音合成装置のピアノ音の周期成分の振幅周
波数スペクトルを示す図
【図5】同楽音合成装置のピアノ音の非周期成分の振幅
周波数スペクトルを示す図
【図6】同楽音合成装置が出力する合成音データの振幅
周波数スペクトルを示す図
【図7】本発明の実施の形態2による楽音合成装置の構
成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態3による楽音合成方法を示
すフローチャート
【図9】従来の楽音合成装置のブロック図
【図10】同楽音合成装置における非線形変換テーブル
の変換特性図
【図11】同楽音合成装置のピアノ音の振幅周波数スペ
クトルを示す図
【図12】同楽音合成装置の合成音データの振幅周波数
スペクトルを示す図
【符号の説明】
11,12 波形メモリ 13,24 加算器 21,23,30 乗算器 25,26,27 巡回型コムフィルタ 28 減算器 92 読み出し回路 93 非線形変換テーブル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 楽器音から少なくとも定常的な非周期成
    分を除いた成分に対応する波形データを記憶した第1の
    記憶手段と、楽器音中の定常的な非周期成分に対応する
    波形データを記憶した第2の記憶手段と、前記第1の記
    憶手段及び前記第2の記憶手段に記憶された波形データ
    を読み出す読み出し手段と、前記第1の記憶手段から読
    みだされた波形データの波形形状を変化させる非線形変
    換手段と、前記非線形変換手段の変換出力と前記第2の
    記憶手段から読み出された波形データとの混合処理を行
    う混合手段とを備えた楽音合成装置。
  2. 【請求項2】 第1の記憶手段がピアノの弦の振動に相
    当する周期波形を記憶し、第2の記憶手段が前記周期波
    形以外のピアノ音の成分を記憶することを特徴とする請
    求項1に記載の楽音合成装置。
  3. 【請求項3】 第1の記憶手段がピアノの弦の振動に相
    当する周期波形とハンマー音を記憶し、第2の記憶手段
    が前記周期波形及びハンマー音以外のピアノ音の成分を
    記憶することを特徴とする請求項1に記載の楽音合成装
    置。
  4. 【請求項4】 複数の楽器音に対応する複数の波形デー
    タを記憶する第1の記憶手段と、前記複数の波形データ
    のうち少なくとも1種類の波形データを選択する選択手
    段と、前記選択手段により選択された波形データを読み
    出す第1の読み出し手段と、読み出された波形データを
    少なくとも定常的な非周期成分とそれ以外の成分にそれ
    ぞれ対応する少なくとも2種類の非周期波形データと周
    期波形データとに分離する分離手段と、前記分離手段に
    よって生成された少なくとも2種類の波形データを一時
    記憶する第2の記憶手段と、発音開始を指示する発音開
    始指示手段と、前記発音開始指示手段の発音開始指示に
    応じて前記第2の記憶手段に記憶された少なくとも2種
    類の波形データを読み出す第2の読み出し手段と、前記
    第2の記憶手段から読み出された前記周期波形データに
    対して非線形変換を行う非線形変換手段と、前記非線形
    変換手段の変換出力と前記第2の記憶手段から読み出さ
    れた前記非周期波形データとの混合処理を行う混合手段
    とを備えた楽音合成装置。
  5. 【請求項5】 周期波形データは、ピアノの弦の振動に
    相当する周期波形であり、非周期波形データは、前記周
    期波形以外のピアノ音の成分であることを特徴とする請
    求項4に記載の楽音合成装置。
  6. 【請求項6】 周期波形データは、ピアノの弦の振動に
    相当する周期波形とハンマー音であり、非周期波形デー
    タは、前記周期波形及びハンマー音以外のピアノ音の成
    分であることを特徴とする請求項4に記載の楽音合成装
    置。
  7. 【請求項7】 デジタルサンプリングされた楽音を定常
    的な非周期成分とそれ以外の成分にそれぞれ対応する少
    なくとも2種類の非周期波形データと周期波形データと
    に分離し、それぞれの波形データを記憶させ、記憶され
    たそれぞれの波形データを読み出し、読み出された前記
    周期波形データに対して非線形変換処理を施し、前記非
    線形変換処理によって得られた波形データと前記非周期
    波形データとを混合し、所望の合成音を合成することを
    特徴とする楽音合成方法。
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