JPH11116479A - 脳癌のための組み合わせ化学療法処置 - Google Patents

脳癌のための組み合わせ化学療法処置

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JPH11116479A
JPH11116479A JP1036898A JP1036898A JPH11116479A JP H11116479 A JPH11116479 A JP H11116479A JP 1036898 A JP1036898 A JP 1036898A JP 1036898 A JP1036898 A JP 1036898A JP H11116479 A JPH11116479 A JP H11116479A
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JP
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trifluoromethylphenyl
carboxamide
methylisoxazole
bcnu
patient
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JP1036898A
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Klaus Peter Hirth
クラウス・ピーター・ハース
Laura Kay Shawver
ローラ・ケイ・シャウバー
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Sugen LLC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、固形腫瘍癌、特に脳癌の処置の方
法を提供すること。 【解決手段】 ニトロソウレア、好ましくはBCNU
QW(カルムスチン)とN−(4−トリフルオロメチル
フェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボ
キサミドとの組み合わせにより、固形腫瘍癌、特に膠芽
細胞腫および神経膠星状細胞腫を処置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に生化学、薬
理学、医薬および癌の処置に関する。より詳しくは、本
発明は、化学療法剤ニトロソウレアおよびN−(4−ト
リフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾ
ール−4−カルボキサミドの投与を含む、固形腫瘍癌の
処置の方法に関する。ニトロソウレアは好ましくはBC
NU(カルムスチン、ビス(2−クロロエチル)ニトロ
ソウレア)であり、好ましい態様においては、処置され
る固形腫瘍癌は脳癌であり、特に膠芽細胞腫および神経
膠星状細胞腫である。
【0002】
【従来の技術】以下は、背景情報としてのみ与えられ、
本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0003】癌はヒトの死亡の主要な原因の一つであり
続けている。癌の大部分は固形腫瘍癌、例えば、卵巣
癌、結腸癌、脳癌、前立腺癌、肺癌、カポジ肉腫および
皮膚癌である。固形腫瘍癌の最も悪性のものの一つは脳
癌であり、特に原発性軸内(intra−axial)
脳癌、例えば多形性膠芽細胞腫、神経膠星状細胞腫、退
性神経膠星状細胞腫、上衣細胞腫、乏突起膠腫、髄芽細
胞腫、髄膜腫、肉腫、血管芽細胞腫および松果実質細胞
癌である。
【0004】脳癌の処置の第一のモードは、すべての固
形腫瘍癌の場合と同様に、別々におよび組み合わせで
の、外科手術、放射線療法および化学療法である。これ
らの3つすべてのアプローチにおける進歩にもかかわら
ず、原発性悪性脳腫瘍と診断された患者の生存率は残念
ながら低いままである;すなわち、長期生存率の顕著な
変化は認められていない(Charette,J.
L.,Neuro−Oncology,7(1):13
5(1995))。
【0005】脳中の悪性腫瘍は、他の癌には伴わない特
別の困難性を呈する。主として、”血液脳関門”が、多
くのタイプの分子が脳組織中に侵入することを防止す
る。他の複雑性は、脳中には細胞廃物および毒素を除去
するリンパ質排出が欠如しており、腫瘍が位置する固定
空間(頭蓋)があるため、ある腫瘍は化学療法を行った
ときに膨張するという事実のために、頭蓋内圧を増加さ
せうることに関連する(Charette,ibi
d)。
【0006】現在のところ、脳腫瘍に対して最も良い活
性を有すると一般に考えられている薬剤はアルキル化剤
であり、これは直接的に比例する用量−応答相関を表す
ことが示されている。アルキル化剤は細胞毒性である。
すなわち、これらは通常はDNAの合成または機能に影
響を与えることにより癌細胞を殺す。
【0007】アルキル化剤の中では、ニトロソウレアは
血液脳関門を越えることができるため、これが脳腫瘍の
処置における最も優れた薬剤である。BCNUは、ニト
ロソウレアの中で、特に高い用量において悪性神経膠腫
に対して最も活性である。しかし、BCNUは、高い用
量、例えば800mg/m2を越える用量で(癌薬剤用
量は一般にmg/kg(体重1kgあたりの薬剤のミリ
グラム数)またはmg/m2(体表面積1m2あたりの薬
剤のミリグラム数)で表され、ほとんどの癌化学療法の
適用において後者が支配的な形式である)、骨髄救済を
伴う場合であっても、許容し得ない程高い罹患率および
死亡率を引き起こし、しばしば肺および/または神経毒
性を伴う(Finlay,J.L.,Bone Mar
rowTransplantation,18(sup
pl.3):S1−S5(1996))。この状況を改
善するかもしれない低用量での多剤組み合わせ療法が多
くのグループにより探求されてきた。例えば、Kiu、
M.C.,et al.,Neuro−Oncolog
y,25(3):215−20(1995);Aas,
A.T.,et al.,British Journ
al of Neurosurgery,8(2):1
87−92(1994);Plowman、J.,et
al.,Cancer Research,54(1
4):3793−9(1994);Wedge,S.
R.,et al.,BritishJournal
of Cancer,73(9):1049−52(1
996);Kurpad,S.N.,et al.,C
ancer Chemotherapy and Ph
armacology,39(4):307−16(1
997);およびHochberg,F.,et a
l.,Neuro−Oncology,32(1):4
5−55(1997)を参照されたい。しかし、これら
の研究は細胞毒性薬剤の組み合わせに焦点を当ててお
り、このような組み合わせのいずれも完全に満足すべき
ものであることが証明されていない。それにもかかわら
ず、化学療法は癌処置の基礎の1つであり続けており、
新規かつより優れた薬剤およびその組み合わせの探求は
減じていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固形腫瘍
癌、特に脳癌の処置の方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】1つの観点においては、
本発明は、細胞に化学療法剤ニトロソウレアおよび細胞
増殖抑制性シグナル伝達阻害剤を含む薬剤の組み合わせ
を投与することを含む、細胞において腫瘍発生活性を阻
害する方法に関する。細胞増殖抑制性シグナル伝達阻害
剤は、好ましくはN−(4−トリフルオロメチルアニリ
ノ)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドである。N−(4−トリフルオロメチルアニリノ)−
5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドは、
任意のニトロソウレア(例えば、クロロゾチシン、フォ
テムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびレニムスチ
ン)とともに有効に働くであろうが、現在のところ、カ
ルムスチン、N、N’−ビス(2−クロロエチル)−N
−ニトロソウレア(BCNUとしても知られている)が
この群で最も活性が高いと考えられる。したがって、本
発明は特に、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドと
BCNUとの組み合わせに関する。
【0010】”方法”との用語は、所定の目的を達成す
るための様式、手段、技術および方法を表し、化学、薬
学、生物学、生化学および医学の技術分野の当業者に知
られた、または当業者により既知の様式、手段、技術お
よび方法から容易に開発される様式、手段、技術および
方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0011】本明細書において”投与する”との関連に
おいて使用される場合、”含む”とは、本発明に従って
投与される薬剤が、N−(4−トリフルオロメチルフェ
ニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサ
ミドとBCNUのみとの単純な組み合わせとして投与さ
れることを意味してもよく、または、その組み合わせに
追加の有益な特徴を提供することが知られているか、ま
たはそのように予測される追加の薬剤を含むように拡張
されてもよいことが意図される。
【0012】本明細書において用いる場合、”組み合わ
せ”とは、それぞれの成分薬剤の特徴の最大の利点を得
るように計算された投与計画にしたがって、同時に、順
番に、連続して、断続的になどで投与される2またはそ
れ以上の化合物または薬剤を表す。本発明の好ましい態
様においては、組み合わせはN−(4−トリフルオロメ
チルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カ
ルボキサミドおよびBCNUを含む。しかし、BCNU
と2,3およびそれ以上の追加の化合物との組み合わせ
は当業者によく知られており、1またはそれ以上のこれ
らの追加化合物をBCNUおよびN−(4−トリフルオ
ロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4
−カルボキサミドとともに含むことも、本発明の範囲お
よび精神の範囲内である。
【0013】”腫瘍発生(tumorigenic)”
活性とは、細胞に関する場合、新生物生成に寄与する細
胞内および細胞外の両方の生化学的活性を表す。
【0014】”新生物”とは、細胞増殖により正常より
早く成長し、新規成長を開始した刺激が停止した後も成
長を続ける異常な組織を表す。新生物は、構造的秩序お
よび正常組織との機能的協調を部分的にまたは完全に欠
失しており、通常ははっきりとした組織の塊体(mas
s)を形成する。このような塊体は、良性(良性腫瘍)
または悪性(固形腫瘍癌)でありうる。悪性新生物は、
局所的に侵襲性かつ破壊的であり、多くの場合転移する
(罹患した生物の原発部位から離れた領域の組織へと広
がり、組織を侵襲かつ破壊する)。新生物形成のプロセ
スは、一般に”腫瘍形成(neoplasia)”と称
される。すなわち、腫瘍形成とは、新生物が形成し成長
する生化学的プロセスである。
【0015】本発明の別の観点においては、N−(4−
トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサ
ゾール−4−カルボキサミドおよびBCNUを一緒に用
いて悪性新生物の形成を阻害する、すなわち、腫瘍形成
を阻害する。
【0016】悪性新生物に関して、”阻害する”また
は”阻害”とは、腫瘍形成を排除、減少すること、例え
ば、妨げる、予防する、遅くする、遅らせるおよび/ま
たは制限することを表す。
【0017】”統計学的に有意の”とは、実験から得ら
れたデータをスチューデントTテストを用いて分析
し、”P”(得られた結果がランダムであり真の傾向を
表さないという計算された確率)が0.05または5%
以下であることを表す。
【0018】用語”悪性新生物”、”癌”、”腫瘍”お
よび”固形腫瘍癌”は、本明細書においては互換的に用
いられ、慣用的に単に”癌”として表される生命の危険
のある疾患として当業者によく知られる状態を表す。
【0019】悪性新生物のうち最も悪性であり治療が困
難なものは脳腫瘍である。脳腫瘍は、原発性、すなわち
脳自体に見いだされる細胞に起源を有するもの;続発性
(secondary)、すなわち中枢神経系の外の部
位から転移するもの;または発達性(developm
ental)、すなわち転位した正中上皮または胚細胞
から生ずるものとに分類される。このような腫瘍は、さ
らに軸内(intra−axial)または軸外(ex
tra−axial)として記述される。軸内脳腫瘍と
は、脳実質組織内、すなわち、脳自体の間質組織または
密接に関連する組織(例えば松果腺、下垂体後葉、脊髄
および網膜)に起源を有するものである。一方、軸外腫
瘍とは、脳には直接関連していないがその近くにある組
織、例えば、頭蓋内、脳神経内または脳付属器(例えば
下垂体)に起源を有するものである。原発性軸内脳腫瘍
の約半分が神経膠腫であり、これには、神経膠星状細胞
腫、特に退性神経膠星状細胞腫、多形性膠芽細胞腫およ
び乏突起膠腫が含まれる。膠芽細胞腫および神経膠星状
細胞腫は両方とも、本発明の薬剤の組み合わせに特に攻
撃されやすいことが予測される。
【0020】神経膠腫の約半分は多形性膠芽細胞腫であ
り、これは本明細書においては単に”膠芽細胞腫”と称
され、これは一般にすべての脳腫瘍で最も悪性であると
考えられている。膠芽細胞腫は、著しい核多形性、壊死
および血管内皮増殖を示す膠起源の未分化退性細胞から
主として構成される。これらは非常に急速に成長し、広
範囲に侵襲する。これらは成人の大脳に最も高い頻度で
生ずる。生存率は多くの因子に依存するが、一般に、膠
芽細胞腫と診断された後、ほとんどの患者は9ヶ月未満
しか生存しない。
【0021】本発明のさらに別の観点においては、患者
に治療的有効量のN−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドおよび治療的有効量の化学療法剤ニトロソウレア、特
にBCNUを投与することにより、患者において固形腫
瘍(悪性新生物)を治療する方法が提供される。N−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソ
オキサゾール−4−カルボキサミドおよびBCNUのい
ずれの個々の薬学的組成物(この組成物は、それぞれの
薬剤の投与を容易にする)も、本発明のさらなる特徴で
ある。N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−
メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドとBCN
Uとの薬学的組成物を、脳腫瘍、特に膠芽細胞腫および
神経膠星状細胞腫の処置に使用することは、本発明の特
に好ましい観点である。
【0022】”患者”とは、新生物の形成に感受性の任
意の高等生物を表す。特に、”患者”とは、哺乳動物、
もちろんとりわけヒトを表す。
【0023】”処置する”、”処置すること”および”
処置”とは、特定の疾患の原因および/または効果を軽
減または排除する方法を表す。癌に関しては、これらの
用語は単に、癌に罹患した個体の予測寿命が増加するで
あろうこと、疾患の症状の1つまたはそれ以上が減少す
るであろうこと、および/または生活の質が向上するで
あろうことを意味する。
【0024】本明細書において用いられる場合、”治療
的有効量”とは、疾患の症状の予防、軽減、減少または
改善に、または処置される患者の生存率を長くするのに
有効な薬剤またはその代謝産物の量を表す。より詳細に
は、悪性新生物、すなわち癌の処置に関しては、治療的
有効量とは、(1)腫瘍のサイズを減少させる(または
好ましくは除去する);(2)腫瘍の転移を阻害する
(すなわち、ある程度遅らせる、好ましくは停止す
る);(3)腫瘍の成長をある程度阻害する(すなわ
ち、ある程度遅らせる、好ましくは停止する);および
/または、(4)癌に伴う1つまたはそれ以上の症状を
ある程度緩和する(または好ましくは除去する)、の効
果を有する量を表す。
【0025】”化学療法”とは、疾患の処置に用いられ
る化学物質または薬剤を表す。この用語は、主として癌
の処置に用いられるような物質または薬剤について最も
しばしば適用される。
【0026】本明細書において用いられる場合、”投与
する”、”投与すること”等は、腫瘍発生活性を有する
細胞を含む環境内に、インビトロで(試験管内で)、お
よびインビボで(生きている生物の細胞または組織内
に)、本発明の化合物を導入する方法を表す。すなわ
ち、腫瘍発生活性は、生物の細胞または組織が生物中に
存在するか生物の外に存在するかによらず、本明細書に
記載される方法により研究または処置することができ
る。生物の外に存在する細胞は、細胞培養皿中で維持ま
たは成長させることができる。すなわち、化合物および
薬剤の組み合わせが特定のタイプの癌に関連した腫瘍発
生活性に影響する能力を決定することができる。すなわ
ち、化合物のIC50(以下に定義される)を決定し
て、組み合わせを実際にそのような複雑な生物で試みる
前に、より複雑な生きている生物中での治療剤としての
その可能性を評価することができる。生物外の細胞につ
いては、化合物を投与する多くの方法が存在し、当業者
にはよく知られている。例えば、細胞マイクロインジェ
クションおよび多くの担体技術があるが、これらに限定
されない。
【0027】生きている生物中に存在する細胞について
も、化合物を投与する無数の方法が存在し、同様に当業
者によく知られている。これらには、経口、静脈内、動
脈内、筋肉内、皮下、間質内等があるが、これに限定さ
れない。
【0028】”薬学的組成物”とは、本明細書に記載さ
れる化合物または薬剤またはその生理学的に許容しうる
塩もしくはプロドラッグの1種類またはそれ以上と、他
の化学化合物、例えば生理学的に許容しうる担体および
賦形剤との混合物を表す。薬学的組成物の目的は、化合
物の生物への投与を容易にすることである。
【0029】本願明細書において用いる場合、”生理学
的に許容しうる担体”とは、例えば化合物を安定化また
は可溶化することにより投与を容易にするが、生物学的
活性および投与された化合物の性質を排除しない担体ま
たは希釈剤を表す。好ましくは、担体は生物に顕著な刺
激を引き起こさない。
【0030】”賦形剤”とは、薬学的組成物に加えて化
合物の投与をさらに容易にする物質を表す。賦形剤の例
としては、炭酸カルシウム、種々の糖および各種デンプ
ン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、界面活性剤
およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0031】
【発明の実施の形態】
1.一般生化学/薬理学 現在のところ、多くの化学療法剤は、DNA合成または
機能に影響を与えることにより作用する。例えば、アル
キル化剤、例えばシクロホスファミドは、DNAを直接
攻撃し、分子に損傷を与え、このことにより分子はその
細胞性機能を発現することができず、その結果細胞は死
滅する。代謝拮抗物質、例えば6−メルカプトプリンお
よび5−フルオロウラシルはDNA合成を妨害する。あ
る種の抗腫瘍抗生物質、例えばドキソルビシンおよびブ
レオマイシンは、DNAに結合し、このことによりRN
Aの合成を防止する。ニトロソウレアはアルキル化剤と
同様に作用し、このうち特にBCNUが現在のところ最
も強力であると考えられている。BCNUは、DNAお
よびDNA−蛋白質の両方の架橋に関与すると仮定され
ている。さらに、ニトロソウレアは、傷害を受けたDN
Aの修復に必要な変化を阻害するようである。これはお
そらくは、ニトロソウレアはアルキル化剤であるととも
にカルバモイル化剤であること、すなわちニトロソウレ
アが生理学的pHにおいて分解する間にイソシアネート
が形成され、蛋白質はBCNUから誘導されるイソシア
ネートによりカルバモイル化されることが知られている
ためである。
【0032】BCNUは、多くの異なる固形腫瘍癌、例
えば、リンパ腫、悪性黒色腫、乳癌および多発性骨髄腫
の治療に用いられてきた。これは、他の薬剤、例えばシ
クロホスファミド、シスプラチン、ビンクリスチン、メ
ルファラン、デキサメタゾン、ビンブラスチン、メトト
レキセート、ダウノルビシン、エトポシド、プロカルバ
ジン、プレドニゾン、シタラビン、チオグアニンおよび
ヒドロキシ尿素との組み合わせで使用されてきた。さら
に、BCNUは、血液脳関門を越えることができるた
め、現在のところ、脳癌、例えば膠芽細胞腫の処置のた
めに最も優れた化学療法剤である。BCNUと他の化学
療法剤との組み合わせは神経膠腫ならびに他の新生物の
処置に用いられているが、多くの他の化学療法剤が血液
脳関門を越えることができないため、そのような組み合
わせの数は脳以外の腫瘍についてのものより少ない。例
えば、神経膠腫の処置のためには、BCNUは、シクロ
ホスファミド、シスプラチン、チオテパ、プロカルバジ
ン、ビンクリスチンおよびエトポシドおよびタキソール
と組み合わせられている。
【0033】単独でまたは他の薬剤との組み合わせにお
いてBCNUを用いることの制限因子は、既知の化学療
法剤の本質的な毒性である。BCNUは、骨髄抑制(白
血球減少症および血小板減少症をもたらす)、肺繊維症
(肺疾患)、肝毒性(肝臓障害)および腎毒性(腎臓障
害)を引き起こすことが知られている。BCNUの効果
は用量依存性であり、進行性であり、かつ蓄積性であ
る。さらに、BCNUそれ自体が、ほぼ臨床的に用いら
れる用量でラットおよびマウスに腫瘍を引き起こすこと
が示されている(Bristol Laborator
ies Oncology Products,市販の
BCNU包装に添付のFDA開示同封物)。
【0034】現存する化学療法剤との組み合わせ療法を
用いて用量を減少させることによりBCNUからの薬剤
関連有害反応の発症率を減少させることは、わずかに有
効なだけである。上述したように、神経膠腫の処置のた
めにBCNUとの組み合わせにおいて最も慣用的に用い
られている薬剤は、他のアルキル化剤であり、これらの
大部分はBCNUと類似の毒性を示す。例えば、シスプ
ラチンに伴う合併症は、腎(腎臓)不全の可能性であ
る。シクロホスファミドは粘膜炎を伴う(vander
Wall,et al.,Cancer Treat
ement Reviews,21(2):105−1
32(1995))。1つの研究においては、チオテパ
およびエトポシドとBCNUとの組み合わせでの処置
(BCNUの総用量:3日間にわたり600mg/
2)は、多臓器不全のため高い死亡率であったことが
報告されている(Finlay,Bone Marro
w Transplantation,18(Supp
l.3):S1−S5(1996))。
【0035】すなわち、必要とされているものは、その
抗腫瘍活性がBCNUの抗腫瘍活性と協調するが、付随
して患者に対する総毒性を増加させない化合物(単数ま
たは複数)である。本発明者らは、N−(4−トリフル
オロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−
4−カルボキサミドがそのような化合物であることを見
いだした。
【0036】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド
は、ヒトの研究においてよく耐容されることが示されて
いる。例えば、第II相臨床試験において、N−(4−ト
リフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾ
ール−4−カルボキサミドで処置された500人のリウ
マチ性関節炎の患者においては、ほとんど副作用が認め
られなかった(Bartlett,et al.,No
n−steroidal Anti−inflamma
tory Drugs:Mechanisms and
Clinical Uses,Lewis,AJ,F
urst,DE,eds.,New York:Dek
ker,1994:349)。N−(4−トリフルオロ
メチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−
カルボキサミドの種々の固形腫瘍(卵巣、前立腺および
非小細胞肺癌を含む)に対する影響についての2つの研
究においては、N−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドは、用いられた最も高い用量において、わずか少しか
ら中程度に毒性であったことが報告されている(Ros
en,et al.,Proc.Annu.Meet.
Am.Soc.Clin.Oncol.,16:A73
9(1997);Van Ummersen,et a
l.,Proc.Annu.Meet.Am.Soc.
Clin.Oncol.,16:A740(199
7))。さらに、N−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドの悪性神経膠腫(この細胞株は、前臨床試験において
この化合物に最も感受性であることが見いだされた)に
対する影響を調べる臨床試験においては、用量制限的な
毒性は観察されなかった(Malkin,et a
l.,Proc.Annu.Meet.Am.Soc.
Clin.Oncol.,16:A1371(199
7))。
【0037】しかし、N−(4−トリフルオロメチルフ
ェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキ
サミドは、本発明者らの知識によれば、既知の化学療法
剤の作用モードとは全く異なる作用モードにより腫瘍に
影響を与え、したがって、これがBCNUとの組み合わ
せにおいて何らかの有利な効果を有するか否かは知られ
ていなかった。すなわち、上述したように、BCNUは
主としてアルキル化剤として作用し、DNA合成に関与
する鍵となる多くの酵素反応およびDNAそれ自体を攻
撃して傷害を与える。報告されている化学療法剤とBC
NUとの組み合わせのほとんどすべては、同様に何らか
の方法によりDNA合成または活性を直接妨害する。一
方、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドは、DNA
合成/活性とは直接相互作用しない。むしろ、N−(4
−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキ
サゾール−4−カルボキサミドは、細胞周期の早期の段
階に介在する。すなわち、N−(4−トリフルオロメチ
ルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カル
ボキサミドは、細胞が最初にDNA合成および細胞増殖
の活性段階(この段階でBCNUおよび他のアルキル化
剤はその主要な活性を示す)に入るのに必要なシグナリ
ング事象を阻害することが示されている。特に、N−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソ
オキサゾール−4−カルボキサミドは、細胞成長、細胞
周期進行および細胞増殖の開始に必要な血小板由来成長
因子(PDGF)媒介性細胞シグナリング事象を阻害す
る。N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドで処理した
とき、細胞は、少なくともDNA合成および細胞分裂
(有子分裂)に関しては本質的に静止となり、N−(4
−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキ
サゾール−4−カルボキサミドによる処置をやめるまで
そのままの状態を維持し、やめたとき細胞活性は回復す
る。N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドでの処置を
いったん終了すると、細胞が正常な活性に戻るであろう
という事実は、N−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドが、BCNUおよび他のアルキル化剤とは異なり、細
胞毒性ではなく細胞増殖抑制性であることを示す。すな
わち、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−
メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドは、細胞
活性を阻害するが細胞を殺さない。
【0038】多くのタイプの腫瘍細胞がPDGFレセプ
ターを過剰発現し、細胞の連続増殖がこの過剰発現から
生じた異常に高いPDGFシグナリング事象に特に依存
することが示されている。例えば、PDGFリガンドお
よびレセプターは、例えば、限定されるものではない
が、神経膠腫、黒色腫、食道腫瘍、胃腫瘍、結腸直腸腺
癌、基底細胞癌、絨毛癌、乳癌、カポジ肉腫、卵巣癌、
非小細胞肺癌腫および前立腺癌に由来する多くの細胞株
または組織で検出されている。ある癌細胞は、PDGF
それ自体ならびにそのレセプターを共発現することも示
されている。このことは、これらの腫瘍細胞が自己刺激
性であるかもしれないこと、すなわち、新生物が外部刺
激が除去されたときにも成長し増殖し続けるという以前
に注目されていた性質を説明するオートクラインならび
にパラクライン成長メカニズムを用いることを示唆す
る。しかし、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド
は、PDGF媒介性活性のブロッカーであり、したがっ
て、腫瘍の非統制的成長および増殖を阻害することがで
きる。
【0039】DNA合成阻害剤であるBCNUと、細胞
がDNA合成が起こる細胞周期に入ることを有効に妨害
するN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミド等の化合物
との組み合わせに関する情報がないため、2つの化合物
の組み合わせから得られる優れた結果は本当に驚くべき
ものである。N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド単
独では、20、10および5mg/kg/日の濃度で有
効であった。BCNU単独では、27および18mg/
kgで有効であった。BCNU単独では12mg/kg
で有効ではなかった。しかし、5mg/kgのN−(4
−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキ
サゾール−4−カルボキサミドと12mg/kgBCN
Uとの組み合わせは、第18日に63.4%程度の高い
統計的に有意のパーセント阻害を示した。さらに、5m
gのN−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−
メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドと18m
g/kgのBCNUもまた、対応する量のN−(4−ト
リフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾ
ール−4−カルボキサミドもしくはBCNU単独より高
いパーセント阻害を示し、10mg/kgのN−(4−
トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサ
ゾール−4−カルボキサミドと12および18mg/k
gのBCNUの組み合わせの両方ともより高いパーセン
ト阻害を示した。さらに、増加した効果は、統計的に有
意のパーセント阻害が得られる日数の増加により示され
るように、BCNU単独により得られるよりもより長い
持続時間を有していた。
【0040】最後に、BCNUとN−(4−トリフルオ
ロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4
−カルボキサミドとの組み合わせを用いたときに、マウ
スの死亡率には変化が認められなかった。これは、その
濃度からの明確な治療的有用性があっても、付加的な一
般毒性がないことを示している。このことは、N−(4
−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキ
サゾール−4−カルボキサミド/BCNU組み合わせの
治療指数、すなわちLD50(集団の50%において致死
的な用量)のED50(集団の50%において治療的に有
効な用量)に対する比が、いずれかの薬剤単独の場合よ
りも高いことを示唆しており、これは、処置の中止を必
要とするような付随の非耐容的副作用の増加を伴うこと
なく可能な限り多くの化学療法を必要とする患者にとっ
ての実質的な利益を意味する。
【0041】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド
は、哺乳動物中でN−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミドに
代謝されることが知られていることに注目すべきであ
る。概して、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド
は、薬剤が経口的に投与されたときに胃において遭遇す
るような酸条件に供されたときに最も早く代謝される傾
向にある。しかし、本発明の組み合わせの好ましい投与
のモードは、より直接的なもの、例えば、静脈内または
動脈内であるが、これらに限定されない。それにもかか
わらず、患者に投与されたN−(4−トリフルオロメチ
ルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カル
ボキサミドの一部分は、標的腫瘍に到達する前にN−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3
−ヒドロキシ−クロトンアミドへと代謝されるであろ
う。したがって、本発明の組み合わせの活性の一部は、
実際には、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−
5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドおよ
びBCNUのみならずN−(4−トリフルオロメチルフ
ェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミ
ドをも含む組み合わせによるものであろう。N−(4−
トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒド
ロキシ−クロトンアミドの作用のモードは、ピリミジン
生合成の阻害、したがって続く細胞成長および/または
生存の阻害であると決定されており、これは実際に本発
明の組み合わせの追加的相乗性を提供するであろう。す
なわち、本発明の範囲および精神は、本発明の組み合わ
せにおけるN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−
5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドおよ
びBCNUのみならず、N−(4−トリフルオロメチル
フェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボ
キサミドの代謝産物であるN−(4−トリフルオロメチ
ル−フェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロト
ンアミドをも意図するものであることが理解される。
【0042】3.薬学的組成物および治療適用 N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
イソオキサゾール−4−カルボキサミドおよびBCNU
は、それ自体で、またはこれらの薬剤が適当な担体また
は賦形剤と混合されている薬学的組成物中でヒト患者に
投与することができる。一般に、薬剤の処方および投与
の技術は、”Remington’sPharmace
utical Sciences”Mack Publ
ishing Co.,Easton,PAの最新版に
見いだすことができる。
【0043】A.投与の経路 投与の適当な経路としては、例えば、経粘膜、筋肉内、
皮下、髄質内、包膜内、脳室内、静脈内、動脈内または
腹腔内が含まれる。
【0044】あるいは、全身的方法ではなく局所的に、
例えば、しばしばデポーまたは持続放出製剤において固
形腫瘍内に化合物を直接注入することにより、N−(4
−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキ
サゾール−4−カルボキサミドおよびBCNUを投与す
ることができる。
【0045】本発明の薬剤を投与する、当業者の知識の
範囲内である他の手段もまた、本発明の範囲および精神
の範囲内である。
【0046】B.組成物/製剤 N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
イソオキサゾール−4−カルボキサミドおよびBCNU
の薬学的組成物は本発明の好ましい態様である。本発明
の薬学的組成物は、当該技術分野においてよく知られた
方法、例えば、慣習的な混合、溶解、顆粒化、乳化、カ
プセル化、包含、または凍結乾燥プロセスにより製造す
ることができる。
【0047】本発明にしたがって用いるための薬学的組
成物は、活性化合物を処理して薬理学的に利用されうる
調製物とすることを容易にする賦形剤および補助剤を含
む1種類またはそれ以上の生理学的に許容しうる担体を
用いて、慣習的な方法で処方することができる。正確な
処方は、選択された投与経路に依存する。
【0048】注射用には、BCNU好ましい処方は市販
の化合物について提供されている。一例としては、BC
NUを脱水アルコール注射用USPに溶解し、次にアル
コール性溶液を滅菌水で無菌的に希釈して、10%エタ
ノール中3.3mg/mlの最終濃度のBCNU、pH
5.6−6.0としたものがある(BristolLa
boratories Oncology Produ
ctsから、BCiNU(登録商標))。
【0049】経粘膜投与用には、境界を浸透するのに適
当な浸透剤を処方物中に用いる。そのような浸透剤は一
般に当該技術分野において知られている。
【0050】化合物は、注射、例えばボーラス注射また
は連続注入による非経口投与用に処方することができ
る。注射用の処方は、単位用量形態、例えばアンプル
で、または保存料を添加して多用量容器で与えることが
できる。組成物は、油性または水性のベヒクル中の懸濁
液、溶液または乳濁液の形態をとることができ、処方
剤、例えば、懸濁剤、安定剤および/または分散剤を含
んでいてもよい。
【0051】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドに
関しては、注射用の好ましい処方は、界面活性剤を含む
エタノール/水を含む。そのような処方の明細は、Sc
hwartz,et al.,米国特許5,610,1
73(1997年5月11日発行)に開示されており、
この特許を本明細書に完全に記載されているように本明
細書の一部としてここに引用する。
【0052】上述した処方に加えて、化合物はまたデポ
ー製剤として処方することができる。そのような長期作
用処方は、移植(例えば皮下または筋肉内)により、ま
たは筋肉内注射により投与することができる。すなわ
ち、例えば、化合物は、適当なポリマー性または疎水性
物質(例えば許容しうる油中の乳濁剤として)またはイ
オン交換樹脂とともに、またはあまり溶解性でない誘導
体として(例えばあまり溶解性でない塩として)処方す
ることができる。
【0053】本発明の薬学的組成物はまた、適当な固体
もしくはゲル相の担体または賦形剤を含んでいてもよ
い。そのような担体または賦形剤の例としては、炭酸カ
ルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セ
ルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコ
ール等のポリマーが挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0054】C.用量 本発明において用いるのに適した薬学的組成物には、活
性成分がその意図される目的を達成するのに有効な量で
含まれる組成物が含まれる。より詳細には、治療的有効
量とは、疾患の症状を予防、緩和または改善するかまた
は処置される患者の生存を長くするのに有効な化合物の
量を意味する。治療的有効量の決定は、特に本明細書に
提供される詳細な開示、およびBCNUについては現存
の文献に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0055】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドに
関しては、用量および間隔を個々に調節して、化合物の
PDGF−媒介性シグナル伝達の阻害効果を維持するの
に必要な量またはそれ以上の量の化合物の血漿レベルを
与えるべきである。HPLCアッセイまたはバイオアッ
セイを用いて血漿濃度を判定することができる。
【0056】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドの
投与間隔もまた、血漿濃度を用いて決定することができ
る。N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドは、時間の
10−90%、好ましくは50−90%、最も好ましく
は70−90%その治療的効果を発揮するのに必要なレ
ベルより高い、好ましくはそれより十分に高い血漿レベ
ルを維持する投与計画を用いて投与すべきである。
【0057】局所投与または選択的取り込みの場合に
は、薬剤の有効局所濃度は血漿濃度とは関連していない
かもしれない。
【0058】投与されるN−(4−トリフルオロメチル
フェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボ
キサミドおよびBCNUの両方の量は、もちろん、処置
される患者、患者の重量(これから体表面積を計算す
る)、癌の重篤度、投与の様式および処方医師の判断に
依存する。
【0059】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドが
細胞毒性ではなく細胞増殖抑制性であるため、本発明
は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドを、処置ク
ールの全体または実質的部分をとおして、N−(4−ト
リフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾ
ール−4−カルボキサミドとBCNUとの組み合わせを
用いて患者に投与することを特徴とする。”処置クール
(course of treatement)”と
は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドおよびBC
NUの投与の予め決定された投与計画の完全なサイクル
を実施する期間であると定義される。
【0060】処置クールの予め決定された投与計画に関
しては、そのような投与計画は、N−(4−トリフルオ
ロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4
−カルボキサミドとBCNUとの同時投与、または処置
医師により特定の患者に関して最も適当であると見なさ
れる順序、用量および間隔での薬剤の逐次投与を意味す
る。あるいは、BCNUの投与の前にN−(4−トリフ
ルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール
−4−カルボキサミドを投与してもよい。逆に、N−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソ
オキサゾール−4−カルボキサミドでの処置を始める前
にBCNUを投与することができる。しかし、好ましく
は、BCNUの投与の前に、N−(4−トリフルオロメ
チルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カ
ルボキサミドを”負荷用量(loading dos
e)”で患者に投与する。
【0061】本明細書において用いる場合、”負荷用
量”とは、初期用量または別の薬剤の投与の前に患者の
身体中で薬剤の初期レベルをもたらすように与えられる
薬剤の用量を表す。負荷用量は、単一用量として、ある
時間にわたる連続注入として、または数回の別個の投与
として等量または非等量の用量を別個の間隔で投与する
ことができる。負荷用量を投与する期間は、処方医師に
より適当であると考えられるものにしたがって変化す
る。しかし、好ましくは、負荷用量は、連続注入として
または負荷用量期間のそれぞれの日に等量の用量を与え
ることにより、3から6日の期間にわたって投与する。
負荷用量は、100から550mg/m2/日であろ
う。好ましくは、負荷用量は200から500mg/m
2/日である。最も好ましくは、これは350−450
mg/m2/日である。もちろん、負荷用量の正確な量
は、治療医師により症例ごとに決定される。
【0062】本発明の好ましい態様においては、負荷用
量の完了直後の日にBCNUを投与する。BCNUは、
単一用量で、または数日間の期間にわたりより少ない用
量を与えることにより投与することができる。投与され
るBCNUの量は、75から200mg/m2であろ
う。用量の実際の選択は、同様に、治療医師の職分の範
囲内である。しかし、好ましくは、BCNUは150か
ら200mg/m2の単一用量で投与する。
【0063】全体の処置クールは、処置医師の判断に依
存して広範囲に変化しうる。好ましくは、これは6から
8週間である。処置クール期間の間、維持用量のN−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソ
オキサゾール−4−カルボキサミドを、処置クールの持
続期間全体にわたり、またはその任意の部分において投
与する。そのような維持用量は、2から10日隔てた間
隔で投与することができる。好ましくは、維持用量は、
6−7日隔てて投与し、そのような維持用量の回数は5
から10であり、好ましくは処置クール全体について1
週あたり一維持用量の率で投与する。例えば8週間の処
置クールが選択される場合、維持用量のN−(4−トリ
フルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾー
ル−4−カルボキサミドをそれらの週のそれぞれの間約
1週間間隔で投与する。維持用量の量は処置する医師に
より選択されるであろうが、好ましくは、100から5
55mg/m2/週、より好ましくは200から450
mg/m2/週、最も好ましくは350から450mg
/m2/週の範囲である。
【0064】”維持用量(maintenance d
ose)”とは、追加の用量、または負荷用量として最
初に与えられた薬剤の用量を表し、その目的は、負荷用
量により達成された薬剤またはその代謝産物のレベルを
長期間維持することである。
【0065】処置クールの結論において患者は評価さ
れ、例えば、限定されないが、治療に対する正の応答お
よび深刻な副作用がないこと等の適応が治療医師の目に
適当であれば、処置クールを繰り返すことができる。繰
り返しの処置クールの数は治療医師の裁量により、治療
医師が継続処置が患者にとって不利益であると決定した
場合にのみ制限すべきである。
【0066】もちろん、上述と異なる用量を投与するこ
とができ、これも本発明の範囲および精神の範囲内であ
ることは理解すべきである。例えば、異なる投与の経
路、例えば腫瘍への直接注射または間質移植は、より直
接的に標的に向けられる場合には希釈および代謝的分解
がより起こりにくいため、本明細書において議論される
よりもさらに低い用量を可能とすることが予測されるで
あろう。組み合わせの2つの薬剤のうちより個別に毒性
であるBCNUの用量を、薬剤の商業的供給者により合
理的目標として通常推奨される用量より50−100m
g/m2低くすることができることは最も有益であろ
う。さらに、上で議論したように、他の既知の化学療法
剤をN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドおよびBC
NUの中心となる一対とともに用いることにより、BC
NUの用量をよりくし、それに伴い追加の薬剤の用量を
同等に低くすることが可能となるであろう。ここでもま
た、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドとニトロソ
ウレアとのユニークな組み合わせが組み合わせ療法の一
部である限り、その組み合わせは本発明の範囲および精
神の範囲内である。
【0067】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドと
BCNUとの組み合わせの、全体的毒性の明らかな増加
のない予測されなかった相乗的活性は、N−(4−トリ
フルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾー
ル−4−カルボキサミドがまた他の化学療法剤との組み
合わせにおいても働くであろうことを示唆する。例え
ば、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドと他のアル
キル化剤との組み合わせは、同様に付随する毒性の増加
なしに相乗的活性を与えるであろう。そのようなアルキ
ル化剤としては、アルキルスルホネート;例えば、ブス
ルファン(慢性顆粒球性白血病の処置において用いられ
る)、インプロスルファンおよびピソスフファン;アジ
リジン類、例えば、ベンゾデパ、カルボクオン、メチュ
レデパ、およびウレデパ;エチレンイミン類およびメチ
ルメラミン類;例えば、アルトレタミン、トリエチレン
メラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレン
チオホスホルアミドおよびトリメチルオルメラミン、お
よびナイトロジェンマスタード類;例えば、クロラムブ
シル(慢性リンパ球性白血病、原発性マクログロブリン
血症および非ホジキンリンパ腫の処置において用いられ
る)、シクロホスファミド(ホジキン病、多発性骨髄
腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、ウイルムス腫
瘍および横紋筋肉腫の処置において用いられる)、エス
トラムスチン、イホスファミド、ノベンブリチン、プレ
ドニムスチンおよびウラシルマスタード(原発性血小板
血症、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病および卵巣癌
用);およびトリアジン類;例えば、ダカルバジン(軟
組織肉腫に用いられる)が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0068】同様に、N−(4−トリフルオロメチルフ
ェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキ
サミドは、代謝拮抗化学療法剤、例えば、限定されない
が、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート(急性リン
パ球性白血病、絨毛癌、菌状息肉腫、乳癌、首部癌およ
び頭部癌および肺癌、骨肉腫の処置に用いられる)およ
びプテロプテリン);ピリミジン類似体(フルオロウラ
シル(5−FU:乳癌、結腸癌、胃癌、膵臓癌、卵巣
癌、頭部癌および首部癌、および泌尿器癌の処置、なら
びに前悪性皮膚病巣について局所的に用いられる)およ
びシタラビン(急性顆粒球性白血病および急性リンパ球
性白血病)およびプリン類似体(例えば、急性顆粒球性
白血病、急性リンパ球性白血病および慢性顆粒球性白血
病の処置において用いられるメルカプトプリンおよびチ
オグアニン)との組み合わせにおいても有利な効果を有
しうる。
【0069】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド
は、天然産物化学療法剤との組み合わせにおいても有効
であることを証明することができる。これらには、ビン
カアルカロイド類(ビンブラスチン(乳癌および精巣癌
に用いられる)、ビンクリスチン、ビンデシン)、エピ
ポドフィロトキシン類(エトポシド、テニポシド(両方
とも精巣癌およびカポジ肉腫の処置において用いられ
る))、抗生物質化学療法剤(ダウノルビシン、ドキソ
ルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン(胃癌、子
宮頸癌、結腸癌、乳癌、膀胱癌および膵臓癌に用いられ
る)、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ブレオマイ
シン(皮膚癌、食道癌および尿生殖路癌に用いられ
る)、および酵素的化学療法剤(例えばL−アスパラギ
ナーゼ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】本発明の開示に基づいて、N−(4−トリ
フルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾー
ル−4−カルボキサミドは、化学療法剤、例えば白金配
位化合物(シスプラチン等)、置換ウレア(ヒドロキシ
ウレア)、メチルヒドラジン誘導体(プロカルバジ
ン)、アドレノコルチコ抑制剤(ミトタン、アミノグル
テチミド)、ならびにホルモンおよびアンタゴニスト、
例えばアドレノコルチコステロイド(プレドニゾン)、
プロゲスチン(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロ
ン)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロール)、
アンチエストロゲン(タモキシフェン)およびアンドロ
ゲン(プロピオン酸テストステロン)の活性にも利点を
与えるであろう。
【0071】最後に、N−(4−トリフルオロメチルフ
ェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキ
サミドとミトキサントロンまたはパクリタキセルとの組
み合わせは、固形腫瘍の処置において特に有利な結果を
示すことが期待されるであろう。
【0072】
【実施例】
材料:BCNUは市販されている。1つの供給源はBr
istol Laboratories Oncolo
gy Products,Princeton,NJで
あり商品名はBiCNU(登録商標)である。
【0073】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドの
製造に適用しうる合成方法は、米国特許第4,087,
535に記載されており、この内容のすべてを本明細書
の一部としてここに引用する。
【0074】方法:ヒト膠芽細胞腫細胞に由来するSF
763T細胞を以下に示すすべての例において用いた。
マウス1匹あたり100μlPBS中の1×107個の
細胞を、雌BALC/c nu/nuマウスの後側腹部
の皮下に移植した。腫瘍を確立させた後、投与を開始し
た。
【0075】N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド
は、VDP:D5W(VDP:3%ベンジルアルコール
(w/v)、8%Tween80(v/v)、65%P
EG300(w/v)、100%エタノールで100%
とする;D5W:水中5%デキストロース(w/v))
中で、2.5、5.0、10および20mg/kgで、
移植後8日から29日にIP投与した。2%エタノール
/食塩水中のBCNUを、8、12、18および27m
g/kgで、移植後8日、12日および16日にIV投
与した。2.5、5.0および10mg/kgのN−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソ
オキサゾール−4−カルボキサミドと8、12および1
8mg/kgのBCNUとの組み合わせもまた、同一の
投与計画で投与した。
【0076】腫瘍重量は、移植後43日まで週に2回測
定した。一般に、腫瘍のサイズは、当業者によく知られ
た方法を用いて、その寸法のうち長さおよび幅の2つを
測定してその深さを推定することにより決定し、そのよ
うな腫瘍の密度に関する標準的仮定に基づいて、その重
量を計算した。
【0077】実施例1 実施例1は、その結果が図1−6のそれぞれにおける
「対照」としてグラフの形で示されており、未処置マウ
スにおける腫瘍成長を示す。続くすべての実施例は、N
−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイ
ソオキサゾール−4−カルボキサミドもしくはBCNU
単独またはこれらの2つの薬剤の種々の組み合わせによ
り統計的に有意の阻害が示されるか否かを決定するため
に、この対照と比較した。
【0078】実施例2 図1にグラフで示されるこの例は、N−(4−トリフル
オロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−
4−カルボキサミド単独の20mg/kg用量での効果
を示す。この例において得られた生データ(示していな
い)の分析は、N−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドを投与した間、腫瘍成長の統計的に有意の阻害が観察
されたことを示す。N−(4−トリフルオロメチルフェ
ニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサ
ミドでの処置を中止したとき、腫瘍成長は再開した。こ
のことは、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−
5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドが実
際に細胞毒性ではなく細胞増殖抑制性であること、すな
わち、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−
メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドは、細胞
活性を一時的に停止するが細胞を殺さないことを示す。
【0079】実施例3 やはり図1に結果がグラフで示されるこの例は、10m
g/kgでのN−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド単
独の結果を示す。ここでもまた、生データの統計的分析
は示していないが、パーセント阻害は20mg/kgで
の場合よりも低いが、N−(4−トリフルオロメチルフ
ェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキ
サミドを積極的に投与している期間をとおして阻害が継
続し、その後N−(4−トリフルオロメチルフェニル)
−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドで
の処置を中止したとき、腫瘍成長が再開したことが示さ
れる。
【0080】実施例4 同様に結果が図1に示されるこの例は、5mg/kgの
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
イソオキサゾール−4−カルボキサミドの効果を示す。
ここでも、パーセント阻害はより低いが、生データをス
チューデントTテストを用いて統計的に分析したとき、
統計的に有意であった。
【0081】実施例5 2.5mg/kgのN−(4−トリフルオロメチルフェ
ニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサ
ミドでは、生データは統計的に有意な腫瘍成長の阻害を
示さなかった。これは図1にグラフとして示され、2.
5mg/kgのカーブは本質的に対照のカーブをたどる
ことがわかる。
【0082】実施例6 ここでは、27mg/kgのBCNU単独の効果を示
す。この率での一用量は、この試験の期間、腫瘍成長の
比較的高いパーセント阻害を維持するのに有効であっ
た。これは、図2にグラフで示される。
【0083】実施例7 18mg/kgで、BCNUはすでにその効力をある程
度失う。生データ(示していない)の分析は、22日ま
でのみ統計的に有意のパーセント阻害を示し、この時点
で腫瘍成長は対照に追いつき始めた。これもまた図2に
グラフで示される。
【0084】実施例8 12mg/kgではBCNUは有効ではないことがわか
った。すなわち、生データからは、統計的に有意なパー
セント阻害は認められなかった。グラフでは、図2に示
されるように、12mg/kgのカーブは、処置のすぐ
後の日においてはある程度の阻害があるが、処置後の日
数が増加するにしたがってカーブは対照のものに近くな
った。
【0085】実施例9 8mg/kgではBCNUは治療的効果を有しなかっ
た。すなわち、図2において、8mg/kgのカーブは
本質的に対照のカーブをたどる。
【0086】実施例10 N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
イソオキサゾール−4−カルボキサミドを10mg/k
gで、およびBCNUを18mg/kgで投与したと
き、結果は非常に陽性であった。生データ(示していな
い)の統計学的分析は、BCNU単独を18mg/kg
で、またはN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−
5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド単独
を10mg/kgで処置したものより全体的なパーセン
ト阻害が実質的により高かったことを示した。さらに、
統計的に有意の阻害が生じた期間は、いずれかの薬剤単
独で観察されたものよりもはるかに長かった。図3はこ
の結果をグラフで示す。
【0087】実施例11 この例においては、10mg/kgのN−(4−トリフ
ルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール
−4−カルボキサミドと12mg/kgのBCNUとの
組み合わせが非常に有効であった。生データは、試験の
25日まで統計的に有意の阻害を示した。これに対し、
12mg/kgのBCNU単独は統計的に有意の効果を
示さなかった。これは、図4にグラフで表される。より
少ない用量のBCNUで阻害を達成するこの能力は、患
者に多大な利益を与える。
【0088】実施例12 18mg/kgのBCNUをわずか5mg/kgのN−
(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソ
オキサゾール−4−カルボキサミドで増強させたとき、
18mg/kgのBCNU単独より高いパーセント阻害
が認められたのみならず、統計的に有意の阻害の持続期
間はより長く、BCNU単独では22日であるのに対し
て29日までであった。このことは、N−(4−トリフ
ルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール
−4−カルボキサミドは、非常に低い用量であっても、
BCNUの効力に対して顕著な正の効果を有することを
示す。これは図5にグラフで示される。
【0089】実施例13 5mg/kgのN−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミ
ドと12mg/kgのBCNUとの組み合わせのグラフ
表示は、ある程度限界的な有効性を示したが、生データ
の統計的分析はこの結果に統計的優位性を付与しなかっ
た。
【0090】すなわち、N−(4−トリフルオロメチル
フェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボ
キサミドと化学療法剤ニトロソウレア、特にBCNUと
の組み合わせは、ヒト膠芽細胞腫腫瘍細胞において、薬
剤を単独で用いる場合に必要なものよりも実質的に低い
用量で、有効な腫瘍抑制剤であることが理解されるであ
ろう。ヒト患者における結果も同等に陽性であることが
予測される。
【0091】ある態様および例を用いて本発明を記載し
てきたが、当業者には、本発明の範囲および精神から逸
脱することなく、示される態様および例を変更すること
ができることが明らかであろう。
【0092】他の態様は特許請求の範囲の範囲内であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、20、10、5.0および2.5m
g/kgのN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−
5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド単独
の腫瘍重量に対する経時的な影響を、未処置対照におけ
るものと比較してグラフにより描写する。
【図2】 図2は27、18、12および8.0mg/
kgのBCNU単独の腫瘍重量に対する経時的な影響
を、未処置対照におけるものと比較したグラフである。
【図3】 図3は、実施例に記載されるように投与し
た、10.0mg/kgのN−(4−トリフルオロメチ
ルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カル
ボキサミド単独、18mg/kgのBCNU単独、およ
び10.0mg/kgのN−(4−トリフルオロメチル
フェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボ
キサミドと18mg/kgのBCNUとの組み合わせの
経時的な影響を対照と比較してグラフにより比較したも
のである。
【図4】 図4は、10mg/kgのN−(4−トリフ
ルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール
−4−カルボキサミド単独、12mg/kgのBCNU
単独および10mg/kgのN−(4−トリフルオロメ
チルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カ
ルボキサミドと12mg/kgのBCNUとの組み合わ
せが腫瘍重量に及ぼす経時的な影響を、やはり未処置対
照と比較したグラフである。
【図5】 図5は、5mg/kgのN−(4−トリフル
オロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−
4−カルボキサミド単独、18mg/kgのBCNU単
独、以下の第4節に記載される様式での5mg/kgの
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
イソオキサゾール−4−カルボキサミドと18mg/k
gのBCNUとの組み合わせ、および未処置対照が腫瘍
重量に及ぼす経時的な影響をグラフで比較したものであ
る。
【図6】 図6は、5.0mg/kgのN−(4−トリ
フルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾー
ル−4−カルボキサミド単独、12mg/kgのBCN
U単独、5.0mg/kgのN−(4−トリフルオロメ
チルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カ
ルボキサミドと12mg/kgのBCNUとの組み合わ
せが腫瘍重量に及ぼす経時的な影響を、上述のように未
処置対照と比較して示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 598009739 230 East Grand Avenu e,South San Francis co,California 94080,U nited States of Ame rica (72)発明者 ローラ・ケイ・シャウバー アメリカ合衆国カリフォルニア州94112, サンフランシスコ,コッター・ストリート 216

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞に化学療法剤ニトロソウレアおよび
    N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
    イソオキサゾール−4−カルボキサミドを投与すること
    により前記細胞において腫瘍発生活性を抑制する方法。
  2. 【請求項2】 前記化学療法剤ニトロソウレアが1,3
    −ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア(B
    CNU)を含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記腫瘍発生活性が悪性新生物を含む、
    請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記悪性新生物が脳腫瘍を含む、請求項
    3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記脳腫瘍が原発性軸内脳腫瘍を含む、
    請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記軸内脳腫瘍が膠芽細胞腫を含む、請
    求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記軸内脳腫瘍が神経膠星状細胞腫を含
    む、請求項5記載の方法。
  8. 【請求項8】 患者において固形腫瘍を処置する方法で
    あって、そのような処置を必要とする前記患者に、治療
    的有効量の化学療法剤ニトロソウレアおよび治療的有効
    量のN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メ
    チルイソオキサゾール−4−カルボキサミドを投与する
    ことを含む方法。
  9. 【請求項9】 前記化学療法剤ニトロソウレアがBCN
    Uを含む、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記治療的有効量の前記BCNUが第
    1の薬学的組成物を含む、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記治療的有効量の前記N−(4−ト
    リフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾ
    ール−4−カルボキサミドが第2の薬学的組成物を含
    む、請求項8記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記治療的有効量のN−(4−トリフ
    ルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール
    −4−カルボキサミドが初期負荷用量を含む、請求項1
    1記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記初期負荷用量が、前記N−(4−
    トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサ
    ゾール−4−カルボキサミドを約3から約6日の間隔で
    前記患者に投与することを含む、請求項12記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 前記初期負荷用量が、前記N−(4−
    トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサ
    ゾール−4−カルボキサミドを前記間隔のそれぞれの日
    に等量で投与することを含む、請求項13記載の方法
  15. 【請求項15】 前記初期負荷用量が、前記N−(4−
    トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサ
    ゾール−4−カルボキサミドを前記3−6日の間隔にわ
    たって連続注入として投与することを含む、請求項13
    記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記初期負荷用量が約350mg/m
    2/日から約450mg/m2/日を含む、請求項14ま
    たは15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記初期負荷用量のN−(4−トリフ
    ルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール
    −4−カルボキサミドの前記患者への前記投与の最終日
    のすぐ後の日に、前記治療的有効用量の前記BCNUを
    前記患者に投与する、請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記治療的有効用量のBCNUが約5
    0mg/m2から約200mg/m2を含む、請求項17
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記負荷用量に続き、維持用量の前記
    N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
    イソオキサゾール−4−カルボキサミドが前記患者に投
    与される、請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記N−(4−トリフルオロメチルフ
    ェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキ
    サミドの前記維持用量が約350mg/m2から約45
    0mg/m2を含む、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 約10から約15回の追加の前記維持
    用量が前記患者に投与される、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記追加の維持用量のそれぞれが、そ
    れぞれの前の前記維持用量の後5から約10日の間隔で
    前記患者に投与される、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記追加の維持用量のそれぞれが、約
    350mg/m2/週から約450mg/m2/週の前記
    N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル
    イソオキサゾール−4−カルボキサミドを含む、請求項
    22記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記固形腫瘍が悪性新生物を含む、請
    求項7記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記悪性新生物が脳腫瘍を含む、請求
    項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記脳腫瘍が原発性軸内脳腫瘍を含
    む、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記原発性軸内脳腫瘍が膠芽細胞腫を
    含む、請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記原発性軸内脳腫瘍が神経膠星状細
    胞腫を含む、請求項26記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記患者が哺乳動物である、請求項7
    記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記哺乳動物がヒトである、請求項2
    9記載の方法。
JP1036898A 1997-10-10 1998-01-22 脳癌のための組み合わせ化学療法処置 Withdrawn JPH11116479A (ja)

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