JPH11111078A - インターフェースケーブル - Google Patents

インターフェースケーブル

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JPH11111078A
JPH11111078A JP9282873A JP28287397A JPH11111078A JP H11111078 A JPH11111078 A JP H11111078A JP 9282873 A JP9282873 A JP 9282873A JP 28287397 A JP28287397 A JP 28287397A JP H11111078 A JPH11111078 A JP H11111078A
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JP
Japan
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conductor
see
metal conductor
attenuation
outer diameter
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JP9282873A
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English (en)
Inventor
Jun Shibayama
純 柴山
Yasushi Horie
靖 堀江
Yoshihiro Yokoyama
佳広 横山
Masahiro Tanaka
正浩 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 インターフェースケーブルにおいて、IEE
E1394で定める減衰量規格を満足することができる
と同時に側圧に対する充分な強度を確保する。 【解決手段】 インターフェースケーブル10は、金属
導体18に絶縁体20を被覆して形成され相互に撚り合
わされた4つの絶縁線12と、これらの4つの絶縁線の
上に一括して被覆されたシールド層14と、シース16
とから成り、特性インピーダンスが110Ωであり、か
つ、外径が4.2mm以下である。金属導体は、20℃
における導体抵抗Rが510Ω/km以下であり、か
つ、金属導体の20℃における導体抵抗Rと絶縁体20
の誘電率εとの関係がε≧0.004533(R−2.
61)である。また、絶縁体は、誘電率εが1.84以
上、2.3以下である。更に、シースの厚みTshe とイ
ンターフェースケーブル10の中心からシースの内周面
までの距離Rrad との比r(Tshe /Rrad )が0.5
9以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、デジタル
カメラ、スチルカメラ、スキャナ、プリンタ等の機器を
コンピュータに接続して、データの直列伝送を行うシリ
アルバスインターフェースケーブルの改良に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータに、デジタルカメラ
やスチルカメラ、また、スキャナ、プリンタ等の外部機
器を接続する新しいシリアルバスインターフェースが、
開発されている。その中でも、特に、最近は、アメリカ
電気電子学会(以下、『IEEE』という。)1394
で定められている規格が、次世代のシリアルバスインタ
ーフェースとして注目を集めている。このような傾向か
ら、実際にも、すでに、このIEEE1394で定める
インターフェースを備えたデジタルカメラ等が市販され
るに至っている。
【0003】このIEEE1394においては、そのイ
ンターフェースに使用するケーブルとして、2つのタイ
プのインターフェースケーブルが規定されている。具体
的には、2組の通信回線と2本の電源線で構成された6
芯のケーブル(以下、『標準タイプ』という。)と、こ
の標準タイプとは異なり、電源は供給することなく信号
のみを伝送する4芯のケーブル(以下、『AVタイプ』
という)の2種類である。
【0004】IEEE1394は、これらの標準タイ
プ、AVタイプいずれのインターフェースケーブルに関
しても、特性インピーダンスについては110±6Ω、
減衰量については、インターフェースケーブルの長さ最
長4.5m当たりにおいて、周波数100MHzにおけ
る減衰量が2.3dB以下、周波数200MHzにおけ
る減衰量が3.2dB以下、周波数400MHzにおけ
る減衰量が5.8dB以下であることを規定している。
加えて、特に、電源線を持たないAVタイプのインター
フェースケーブルについては、そのコネクタの寸法が、
IEEE1394で4.0±0.2mmであることが要
求されているため、これに合わせて、インターフェース
ケーブルの外径を4.2mm以下に抑えることが必要と
なる。
【0005】この場合、このAVタイプのインターフェ
ースケーブルに関しては、従来、コネクタ側からの要求
である4.2mm以下という外径の範囲内で特性インピ
ーダンスに関する規格を満足させるものとしては、対形
のインターフェースケーブルしか提案されていなかっ
た。具体的には、図12に示すように、金属導体18を
絶縁体20で被覆して成る2本の絶縁線12を撚り合わ
せて形成された2つの対30と2つの介在32とを相互
に撚り合わせて、その上にシールド層14(アルミニウ
ムポリエステルラミネートテープ等のテープのラップ巻
き22及び編組24)を被覆し、このシールド層14の
上に更にシース16を被覆して形成されていた。
【0006】即ち、インターフェースケーブル10の外
径DK (図12参照)がIEEE1394で定めるコネ
クタ側からの要求である4.2mm以下となる範囲内
で、特性インピーダンスをIEEE1394で定める1
10±6Ωに設定するためには、金属導体18の外径を
小さくすることが必要となる。このため、従来は、図1
2に示すように、介在32を挿入することにより、金属
導体18の外径及び絶縁線12の外径DI (図12参
照)をある程度細くしつつ、同時にシールド層14の外
径の減少を防止して、特性インピーダンスの低減を防止
し、インターフェースケーブル10の外径DK (図12
参照)が4.2mm以下という範囲内でIEEE139
4で定める特性インピーダンスに関する規格を満足させ
ていたのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来技術
の2つの対30と2つの介在32とから構成されたAV
タイプのインターフェースケーブル10では、同時に、
同じくIEEE1394で定める減衰量に関する規格を
も満足させた上で、インターフェースケーブル10の外
径DK (図12参照)がIEEE1394におけるコネ
クタ側からの要求である4.2mm以下となるように製
造すると、シース16の厚みTshe (図12参照)が、
0.5mmより薄くなる。
【0008】具体的には、この従来技術の対形のAVタ
イプのインターフェースケーブル10において、金属導
体18として、IEEE1394で定める減衰量に関す
る規格を満足させることができる、例えば、0.3mm
の外径の金属導体(錫メッキ軟銅線)18を使用する
と、この外径が0.3mmの金属導体18において同時
にIEEE1394で定める特性インピーダンスに関す
る規格を満足させるためには、絶縁線12の外径DI
(図12参照)を約0.7125mmとする必要がある
(従って、1つの対30の外径DT (図12参照)は、
約1.425mmとなる)。
【0009】そして、IEEE1394で定めるインタ
ーフェースケーブル10は、比較的高周波のデータ伝送
に使用されるため、これを考慮すると、電磁界の放射を
避けるため、シールド層14を形成することも必須とな
る。このため、実際、IEEE1394においても、シ
ールド層14を設けることが示唆されている。この場
合、シールド層14のうち、まず、編組24について
は、素線切れを回避して安全に形成するためには、外径
0.1mm以上の素線を使用することが必要となり、こ
れを編組24とした場合の厚みは、素線の外径の約2.
5倍となるため約0.25mmとなる。また、テープの
ラップ巻き22についても、例えば、通常用いられる
0.025mmの厚みを有するアルムニウムポリエステ
ルラミネートテープ等を1/3幅づつ重ねてラップ巻き
22にしたとすると、ラップ巻き22の厚みは、1/n
幅重ねてラップ巻き22とする場合には、テープ厚×n
/(n−1)となることから(この場合には1/3重ね
るためn=3)、0.25(mm)×3/2=0.03
75mmとなる。よって、シース16の内径Dshe (図
12参照)は、3.425mmとなる。その結果、イン
ターフェースケーブル10の外径DK (図12参照)を
4.2mm以下にすると、シース16の厚みTshe(図
12参照)は、(4.2mm−3.425mm)/2=
0.3875mmより、必然的に0.3875mmしか
採れないこととなる。
【0010】しかし、このように、シース16の厚みT
she (図12参照)が薄いと、製造、出荷、配線等の際
における巻取作業や運搬作業等により、また、配線後に
おいて机や椅子の脚等により踏み潰されると、インター
フェースケーブル10に側圧が加わることから、特性イ
ンピーダンスが小さくなる問題が生じる。したがって、
特に、立ち上がり時間が早いパルス信号を伝送する場
合、このパルス信号を正しく伝送することができなくな
る可能性が高くなる。
【0011】この問題を回避するためには、シース16
の厚みTshe (図12参照)を厚くして、側圧に対する
強度を向上させることが考えられるが、そのためには、
絶縁線12の金属導体18の外径を小さくして、絶縁線
12の外径DI (図12参照)を細くすること(例え
ば、外径0.24mmとする等)が必要となる。しか
し、これでは、上記のとおり、減衰量が増加するため、
IEEE1394で定める減衰量の規格を満足すること
ができなくなる問題が生じる。
【0012】このように、優れたインターフェースケー
ブルを提供するには、インターフェースケーブルの各構
成要素について様々な条件を考慮する必要があるが、従
来は、これらの種々の条件を考慮しても、IEEE13
94で定める減衰量に関する規格を満足しつつ、同時に
側圧に対する充分な強度をも有するAVタイプのインタ
ーフェースケーブル10は提案することができなかっ
た。
【0013】なお、インターフェースケーブル10は、
例えば、コンピュータとデジタルカメラ等の機器間の接
続に用いられるものであるため、アメリカの保全業者安
全試験所(以下、『UL』という。)20276で定め
る外部使用規格を満足することが前提となる。そして、
このUL20276では、シース16の平均最小厚は、
0.508mmと規定されているため、実際に製造する
インターフェースケーブル10においては、シース16
の厚みTshe (図12参照)を、この0.508mm以
上とせざるを得ない。しかし、上記のように、シース1
6の厚みTshe(図12参照)を、0.508mm以上
とすると、IEEE1394で定める減衰量に関する規
格を満足することができなくなる。このため、実際に
は、IEEE1394で定める減衰量規格とUL202
76で定めるシース16の平均最小厚に関する外部使用
規格とを同時に満足するAVタイプのインターフェース
ケーブル10は、提供されていなかったのが実情であ
る。
【0014】本発明の課題は、上記の問題点に鑑み、I
EEE1394で定める減衰量規格を満足することがで
きると同時に側圧に対する充分な強度をも確保すること
ができると共に、UL20276で定めるシースの平均
最小厚に関する外部使用規格をも同時に満足することが
できるAVタイプのインターフェースケーブルを提供、
実現することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するための手段として、金属導体にポリオレフィン
から成る絶縁体を被覆して形成され相互に撚り合わされ
た4つの絶縁線と、この相互に撚り合わされた4つの絶
縁線の上に被覆されて相互に撚り合わされた4つの絶縁
線を一括してシールドするシールド層と、このシールド
層の上に被覆されたシースとから成るカッド形のインタ
ーフェースケーブルであって、特性インピーダンスが1
10±6Ωであり、かつ、外径が4.2mm以下である
インターフェースケーブルにおいて、(1)金属導体
は、20℃における導体抵抗Rが510Ω/km以下で
あり、かつ、金属導体の20℃における導体抵抗Rと絶
縁体の誘電率εとの関係がε≧0.004533(R−
2.61)であり、(2)絶縁体は、誘電率εが1.8
4以上2.3以下であり、(3)シースの厚みTshe
インターフェースケーブルの中心からシースの内周面ま
での距離Rrad との比r(Tshe /Rrad )が0.59
以上であることを特徴とするインターフェースケーブル
を提供するものである。
【0016】即ち、本発明のAVタイプのインターフェ
ースケーブルは、4芯を構成する手段として、従来の2
つの対ではなく、星形カッドを使用したカッド形のイン
ターフェースケーブルであって、上記の(1)乃至
(3)の全てを備えたインターフェースケーブルとする
と、IEEE1394で定める特性インピーダンスに関
する規格及びコネクタ側から要求されるインターフェー
スケーブルの外径を満足するインターフェースケーブル
において、後に述べる実験例及び本発明の実施例から判
るように、IEEE1394で定める減衰量規格を満足
しつつ、同時に、シースの厚みTshe を充分に厚くする
と共に絶縁体が潰れるのを防止して側圧に対する充分な
強度をも確保することができるため、側圧を受けても伝
送品質が劣化することがなく、良好な伝送特性を維持す
ることができる。更に、UL20276で定めるシース
の平均最小厚に関する外部使用規格をも同時に満足する
ことができる。
【0017】加えて、星形カッド形としているため、ま
た、上記のように絶縁体の誘電率も後に述べる実験例か
ら判るように適切に限定しているため、伝搬遅延時間差
と近端漏話特性をも同時に改善することができる。
【0018】更に、上記の課題解決手段において、絶縁
線の金属導体としては、一般に用いられる軟銅線等を使
用することができるが、特に、錫入り銅合金線を使用す
ると、後述する実験例から判るように、更に、金属導体
の屈曲特性をも向上させることができるため、屈曲や側
圧等に対する機械的強度を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して詳細に説明すると、図1は本発明のインターフェー
スケーブル10を示し、このインターフェースケーブル
10は、相互に撚り合わされた4つの絶縁線12と、こ
れらの絶縁線12の上に被覆されて相互に撚り合わされ
た4つの絶縁線12を一括してシールドするシールド層
14と、このシールド層14の上に被覆されたシース1
6とから成っている。
【0020】従って、本発明のインターフェースケーブ
ル10は、カッド形、より具体的には、図1及び図2に
示すように、星形カッド形のケーブルである。このた
め、特に、図12に示す従来の対形のインターフェース
ケーブル10に比べて、伝搬遅延時間差と近端漏話特性
が優れている。
【0021】絶縁線12は、図2に示すように、金属導
体18に熱可塑性樹脂であるポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィンから成る絶縁体20を押出被
覆等することにより形成することができる。この金属導
体18は、図2(A)に示すように、単線の金属導体1
8であっても、また、図2(B)に示すように、複数本
の素線を撚り合わせて形成された金属導体18であって
もよい。但し、後者の場合には、素線の本数が、2本か
ら6本であると、金属導体18が円形となりにくく、そ
の結果、インターフェースケーブル10全体を円形にし
にくいと共に、電気的にも安定性を欠くものとなるた
め、図2(B)に示すように、少なくとも7本以上の素
線を撚り合わせて形成することが望ましい。
【0022】また、この金属導体18としては、例え
ば、一般に用いられる軟銅線等種々の金属導体18を使
用することができるが、特に、錫入り銅合金線を使用す
ると、後述する実験例から解るように、IEEE139
4及びUL20276で定める規格を満足することがで
きると同時に側圧に対する充分な強度をも確保しつつ、
更に、屈曲特性をも向上させることができ、屈曲や側圧
等に対する機械的強度を向上させることができるため、
望ましい。なお、これらの金属導体18は、通常、コネ
クタ部分で半田により接続されるので、その表面に錫メ
ッキが施される。
【0023】シールド層14は、図1に示すように、相
互に撚り合わされた4つの絶縁線12の上に被覆された
テープのラップ巻き22と、このテープのラップ巻き2
2の上に施された編組24とから成っている。これらの
シールド層14は、本発明の目的であるIEEE139
4で定めるインターフェースが、比較的高周波のデータ
伝送に使用されることを考慮して、電磁界の放射を避け
るために形成される。
【0024】このテープのラップ巻き22は、例えば、
アルミニウム層を貼り付けたポリエステルテープ(アル
ミニウムポリエステルラミネートテープ)等の、通常、
遮蔽効果に優れるとして使用されるテープ等を1枚重ね
等して形成することができ、また、編組24も、例え
ば、錫メッキ軟銅線等の通常用いられる素線を1重編み
組み等して形成することができる。この場合、編組24
を構成する素線は、例えば、外径0.08mm以下等の
細径の素線では、編み組みの際等に素線切れを起こすお
それがあるため、安全に編組24を形成するために、外
径0.1mm以上の素線を使用することが必要である。
但し、テープや編組24の素線等は、必ずしも、上記の
アルミニウムポリエステルラミネートテープや、錫メッ
キ軟銅線等に限られるものではなく、充分な遮蔽効果を
有すれば、他の適宜な材料を使用することができる。
【0025】なお、シース16は、例えば、ポリ塩化ビ
ニル(以下『PVC』という。)、その他の適宜な材料
から形成することができ、図1に示すように、シールド
層14の上に被覆することにより、インターフェースケ
ーブル10内部の絶縁線12やシールド層14を外部環
境から保護する。
【0026】また、本発明のインターフェースケーブル
10は、IEEE1394で定める特性インピーダンス
に関する規格及びコネクタ側から要求されるインターフ
ェースケーブル10の外径DK (図1参照)を満足させ
た場合に、更に、(1)IEEE1394で定める減衰
量に関する規格と(2)側圧に対する充分な強度を確保
するためシース16の厚みTshe (図1参照)を充分に
厚くすること(特に、UL20276の規格を満足させ
るために、0.508mm以上とすること)の両方を同
時に達成することが目的であるため、インターフェース
ケーブル10の特性インピーダンスがIEEE1394
の規格値である110±6Ωであり、かつ、インターフ
ェースケーブル10の外径DK (図1参照)が4.2m
m以下であることが前提となる。
【0027】この場合、特性インピーダンスは、金属導
体18の材質、また、金属導体18の外径DC (図2参
照)と絶縁体20の厚みTI (図2参照)との比等を適
切に調整することにより、IEEE1394の規格値で
ある110±6Ωに設定することができる。なお、図2
(B)に示す複数本の素線を撚り合わせて形成された金
属導体18においては、その外径DC (図2(B)参
照)とは、図2(B)に示すように、複数本の素線に外
接する円の直径をいう。
【0028】以上の前提の下で、本発明のインターフェ
ースケーブル10は、更に、条件(1)金属導体18と
しては、その20℃における導体抵抗Rが510Ω/k
m以下であり、かつ、金属導体18の20℃における導
体抵抗Rと絶縁体20の誘電率εとの関係がε≧0.0
04533(R−2.61)であるものを用い、条件
(2)絶縁体20としては、その誘電率εが1.84以
上2.3以下であるものを用い、条件(3)シース16
の厚みTshe (図1参照)とインターフェースケーブル
10の中心からシース16の内周面までの距離Rrad
(図1参照)との比r(Tshe /Rrad )が0.59以
上とされている。
【0029】このように、上記の条件(1)から条件
(3)を同時に備えたインターフェースケーブル10と
すると、次に述べる実験例及び本発明の実施例から判る
ように、IEEE1394で定める特性インピーダンス
に関する規格及びコネクタ側から要求されるインターフ
ェースケーブル10の外径DK (図1参照)を満足する
インターフェースケーブル10において、更に、IEE
E1394で定める減衰量規格を満足しつつ、同時に、
シース16の厚みTshe (図1参照)を充分に厚くする
と共に絶縁体が潰れるのを防止して側圧に対する充分な
強度をも確保することができるため、側圧を受けても伝
送品質が劣化することがなく、良好な伝送特性を維持す
ることができる。加えて、UL20276で定めるシー
ス16の平均最小厚に関する外部使用規格をも同時に満
足することができる。
【0030】
【実験例及び実施例】次に、本発明を実施例及び実験例
を参照しながら、更に具体的に説明する。
【0031】《1.条件(1)について》まず、IEE
E1394で定める特性インピーダンスに関する規格
(110±6Ω)及びコネクタ側から要求されるインタ
ーフェースケーブル10の外径DK(4.2mm以下:
図1参照:この実験例及び実施例の記載において『ケー
ブル外径』という。)を満足するカッド形のインターフ
ェースケーブル10を前提として、同時に同じくIEE
E1394の規格で定める減衰量(周波数100MHz
においては2.3dB以下、周波数200MHzにおい
ては3.2dB以下、周波数400MHzにおいては
5.8dB以下)を満足させるための条件について説明
する。
【0032】この場合、減衰量は、一般に、高周波のデ
ータ伝送となる程増大し、条件的に厳しくなる。このた
め、IEEE1394で規定されている上記の100M
Hz、200MHz、400MHzの3つの周波数の中
でも、最大値である周波数400MHzにおける減衰量
が最も厳しい条件となることがと予想される。従って、
この周波数400MHzにおける減衰量を、IEEE1
394で定める規格値である5.8dB以下に抑制する
ことができれば、それ以下の周波数である100MHz
や200MHzにおける減衰量も、IEE1394で定
める規格値をクリアすることができると考えられる。そ
こで、IEEE1394で定める減衰量規格を満足する
ための条件の模索に際しては、この周波数400MHz
における減衰量を問題とした。
【0033】ここに、減衰量は、金属導体18の導体
抵抗と、絶縁体20の発泡率(誘電率)による影響を
受けると考えられる。具体的には、減衰量は、まず、金
属導体18自体の問題として、その金属導体18の導体
抵抗に比例して増加する傾向にある。そして、この場
合、金属導体18の導体抵抗は、金属導体18の外径D
C (図2参照:同様に、『導体外径』という。)に反比
例し、導体外径DC (図2参照)が小さくなるに従い増
大し、大きくなるに従い低下する(即ち、導体外径DC
(図2参照)が大きければ減衰量が低減し、規格値をク
リアする可能性が高まる)。
【0034】また、減衰量は、金属導体18自体の導体
抵抗の問題のみならず、同じ導体抵抗(導体外径DC
(図2参照))の金属導体18であっても、この金属導
体18の上に被覆される絶縁体20の発泡率(誘電率)
が上昇するに従い、絶縁線12の外径DI (図2参照:
同様に、『絶縁外径』という。)が小さくなる(絶縁体
20の厚みTI (図2参照:同様に、『絶縁厚』とい
う。)が薄くなる)結果、これらの絶縁線12を相互に
撚り合わせた場合の4つの絶縁線12の金属導体18間
の間隔が小さくなり、相互の影響が強まることから、近
接効果が生じて、減衰量が増加する傾向がある。
【0035】以上を考慮して、これらの減衰量と金属
導体18の導体抵抗との関係と、減衰量と絶縁体20
の発泡率(誘電率)との関係(金属導体18の導体抵抗
と絶縁体20の発泡率(誘電率)との関係による減衰量
の変化)を調べることとした。なお、特に、前者につい
ては、本発明では、ケーブル外径DK (図1参照)をI
EEE1394で定めるコネクタの寸法に合わせて4.
2mm以下に抑制するため、導体外径DC (図2参照)
を小さくする必要があることから、ここでは、この金属
導体18の導体抵抗の問題を同時に導体外径DC (図2
参照)の問題としても捉え、これも考慮、併記して評価
することとした。
【0036】そこで、上記の減衰量と金属導体18の
導体抵抗との関係、即ち、IEEE1394で定める減
衰量規格を満足することができる金属導体18の導体抵
抗の最大値(導体外径DC (図1参照)の最小値)と、
減衰量と絶縁体20の発泡率(誘電率)との関係、即
ち、金属導体18の各導体抵抗値における減衰量規格を
満足するための誘電率の最小値(発泡率の最大値)とに
関する本発明の効果を裏付けるべく、種々の実験を行っ
た。
【0037】具体的には、4つの絶縁線12を相互に撚
り合わせて、星形カッドとし、この星形カッドに、厚み
0.010mmのアルミニウム層を厚み0.012mm
のポリエステルテープの片面に貼り付けて積層形成され
たアルミニウムポリエステルラミネートテープ(テープ
全体の厚みは接着剤の厚み0.003mmを含めて0.
025mm)をアルミニウム層を外側にして巻付けてラ
ップ巻き22を形成し、このラップ巻き22の上に、外
径0.1mmの素線(錫メッキ軟銅線)から形成された
編組24を施して、シールド層14とし(シールド層1
4の厚みは約0.2875mm)このシールド層14の
上にPVCから成るシース16を被覆して、図1に示す
形態のインターフェースケーブル10を製造した。な
お、ケーブル外径DK (図1参照)は、IEEE139
4で定めるコネクタの寸法規格である4.0±0.2m
mの中心値である4.0mmに設定した。
【0038】そして、絶縁線12として、図2(B)に
示すように、1本の素線を中心としてその周囲に6本の
素線を撚り合わせて形成された軟銅線(錫メッキ軟銅
線:以下、この実験例及び実施例において同じ)から成
る金属導体18に、ポリエチレンから成る絶縁体20を
被覆して形成されたものを使用した。
【0039】この場合において、まず、減衰量と金属導
体18の導体抵抗との関係を調べるため、金属導体18
として、導体抵抗が、それぞれ、310Ω/km(導
体外径DC =0.30mm)、360Ω/km(導体
外径DC =0.28mm)、410Ω/km(導体外
径DC =0.26mm)、530Ω/km(導体外径
C =0.24mm)である4種類の金属導体18を使
用した。
【0040】更に、減衰量と絶縁体20の誘電率との関
係(金属導体18の導体抵抗と絶縁体20の誘電率との
関係)を調べるため、これらのからの各金属導体1
8に、次の各発泡率(誘電率)の絶縁体20(ポリエチ
レン)を被覆した。まず、上記の金属導体18につい
ては、それぞれ、発泡率が、A)0%(ポリエチレンか
ら成る絶縁体20における誘電率2.3:実験例1)、
B)43%(同(誘電率)1.65:実験例2)、C)
53%(同1.52:実験例3)、D)63%(同1.
4:実験例4)である絶縁体20を被覆した。
【0041】同様にして、上記の金属導体18にも、
それぞれ、発泡率が、A)0%(同2.3:実験例
4)、B)24%(同1.93:実験例6)、C)44
%(同1.64:実験例7)、D)55%(同1.4
9:実験例8)の絶縁体20を被覆し、上記の金属導
体18には、発泡率が、A)0%(同2.3:実験例
9)、B)25%(同1.92:実験例10)、C30
%(同1.84:実験例11)、D)40%(同1.
7:実験例12)の絶縁体12を被覆し、上記の金属
導体18には、それぞれ、発泡率が、A0%(同2.
3:実験例13)、B)10%(同2.14:実験例1
4)、C)20%(同1.988:実験例15)、D)
30%(同1.84:実験例16)である絶縁体20を
被覆して、計16種類の絶縁線12を有するインターフ
ェースケーブルを製造した。
【0042】この場合、上記の実験例では、金属導体1
8の導体抵抗のみによる減衰量の変化も考察するため、
上記からの全ての金属導体18間で、必ず一つは、
等しい発泡率(0%(誘電率2.3))の絶縁体20を
被覆した(上記実験例1、実験例5、実験例9、実験例
13)。この場合、発泡率0%以外の、例えば、他の2
0%等の異なる発泡率で共通させても、誘電率が一定で
ある以上、それに比例して、横軸に金属導体18の導体
抵抗をとって縦軸に減衰量をとったグラフにより両者の
関係を関数化した場合の導体抵抗と減衰量との関数
(曲)線は、誘電率の低下に伴い減衰量が増加するため
全体的に上方へは移行するものの、相対的な関係として
は変化しない。その一方、金属導体18の各導体抵抗値
における減衰量規格を満足することができる絶縁体20
の誘電率の最小値(発泡率の最大値)は、後述するよう
に別途規制するため、ここでは、得られる減衰量が最も
小さくなり、IEEE1394で定める減衰量規格を満
足することができる金属導体18の導体抵抗値の中での
最大値となる(最も大きな範囲を採択することができ
る)発泡率0%(ポリエチレンから成る絶縁体20にお
ける誘電率2.3)を共通の発泡率とした。
【0043】一方、上記からの金属導体18間で、
共通の発泡率0%(誘電率2.3)以外の各発泡率は、
金属導体18の各導体抵抗値におけるIEEE1394
で定める減衰量規格値を満足することができる発泡率の
最大値(誘電率の最小値)の境界近傍になると予想され
る発泡率とした。このため、各導体抵抗値(からの
各金属導体18)で、上限となる発泡率(下限となる誘
電率)は異なると考えられることから、それぞれの発泡
率(誘電率)も異なっている。
【0044】なお、いずれの実験例においても、前提と
して、絶縁厚TI (図2参照)は、それぞれ、特性イン
ピーダンスが、IEEE1394で定める規格の中心値
である110Ωとなるように、設定した。その結果、こ
れらの実験例1乃至実験例16のインターフェースケー
ブル10の絶縁外径DI (図2参照)、また、上撚り半
径Rrad (図1参照)、シース16の厚みTshe (図1
参照):同様に、『シース厚』という。)等の仕様は、
次の表1に示す通りであった。
【0045】
【表1】
【0046】そして、これらの実験例1乃至実験例16
のインターフェーフケーブル10の各々について、IE
EE1394で定める周波数400MHzにおける減衰
量(IEEE1394で定めるインターフェースケーブ
ル10の最長値4.5m当り)を測定した。なお、この
減衰量の測定は、インターフェースケーブル10の通常
の使用環境である20℃下で行った。その結果、得られ
た各実験例1乃至実験例16の減衰量の測定値を、上記
の表1に併記すると共に(表1の減衰量の欄における数
値(測定値)の右横に付した『×』は、減衰量の測定値
が、IEEE1394で定める減衰量規格である5.8
dBを越え規格を満足できなかったことを、『○』は
5.8dB以下に抑えることができ規格を満足できたこ
とを、それぞれ示している。)、図3にプロットした。
【0047】即ち、この図3は、横軸に金属導体18の
導体抵抗(Ω/km)を、縦軸に減衰量(dB/4.5
m)をとって、幾つか設定した導体抵抗のうちのとある
導体抵抗の金属導体18において、同じく幾つか設定し
た発泡率(誘電率)のうちのとある発泡率(誘電率)の
絶縁体20を被覆した場合に、各々得られた減衰量を示
したものである。従って、この図3は、減衰量と、金属
導体18の導体抵抗及び絶縁体20の発泡率(誘電率)
との関係を示したものであり、この図3から、減衰量と
金属導体18の導体抵抗との関係、並びに、減衰量と絶
縁体20の発泡率(誘電率)との関係が判る。
【0048】〈1.−1:減衰量と金属導体の導体抵抗
及び導体外径との関係〉その結果から、まず、減衰量と
金属導体18の導体抵抗との関係に着目する。具体的に
は、図3において、上述したようにからの金属導体
18間で共通する発泡率0%(誘電率2.3)の場合の
減衰量(即ち、実験例1、実験例5、実験例9、実験例
13の減衰量)の測定値を採り上げ、それらのプロット
を結んで(図3の線A参照)、減衰量と金属導体18の
導体抵抗との関係を考察した。
【0049】この図3から判るように、金属導体18の
20℃における導体抵抗Rが510Ω/km以下であれ
ば、IEEE1394で定める減衰量規格である周波数
400MHzにおける上限である5.8dB以下に抑制
することができる。このことは、実際に、表1を見て
も、上記発泡率が0%の実験例1、実験例5、実験例
9、実験例13のみに着目してこの範囲内で考察した場
合、20℃における導体抵抗Rが上記の510Ω/km
以下である実験例(具体的には、実験例1(310Ω/
km)、実験例5(360Ω/km)、実験例9(41
0Ω/km)では、減衰量が、IEEE1394で定め
る規格値を満足している一方、510Ω/kmを越えた
実験例13(530Ω/km)では、規格値を満たして
いないことからも判る。
【0050】また、この場合、IEEE1394で規定
する周波数の中でも、条件が最も厳しい400MHzに
おける周波数で、5.8dB以下という減衰量規格値を
満足することができるため、上記の金属導体18の20
℃における導体抵抗Rが510Ω/km以下であれば、
それよりも低い周波数の100MHz(2.3dB以
下)、200MHz(3.2dB以下)においても、同
様に減衰量規格を満足することができる。
【0051】このことから、上記の条件(1)のうちの
『金属導体18は、その20℃における導体抵抗Rが5
10Ω/km以下であること』という条件を満足すれば
IEEE1394で定める減衰量規格を満足することが
できる可能性があることが判る。
【0052】なお、上記の金属導体18の導体抵抗R
を、導体外径DC (図2参照)に置換して考察すべく、
上記のIEEE1394で定める減衰量規格を満足する
実験例の導体外径DC (図2参照)に着目すると、これ
らの実験例の範囲では、実験例9の0.26mm(導体
抵抗410Ω/km)が最も小さい。このことから、実
際の実施に際しては、上記実験例と同じ7本の素線を撚
り合わせて形成された軟銅線から成る金属導体18を使
用する場合には、導体外径DC (図2参照)を、少なく
とも、この0.26mm以上とすれば、IEEE139
4で定める減衰量規格を満足できる可能性があるといえ
る(勿論、後述する発泡率(誘電率)との関係は考慮す
る必要はある。)。但し、勿論、導体外径DC (図2参
照)は、この0.26mm以上に限定されるものではな
く、これより小さい導体外径DC (図2参照)となる4
10Ω/km超510Ω/km以下の導体抵抗Rを有す
る金属導体18とすることもできる。
【0053】また、金属導体18の導体抵抗Rは、金属
導体18の材質及び断面積(導体外径DC (図2参
照))を調整することにより任意に設定することができ
る。このため、上記の実験例と異り、7本より多い素線
を撚り合わせて金属導体18を形成する場合や単線の金
属導体18を使用する場合、また、軟銅線以外の材質の
金属導体18を使用する場合にも、金属導体18の材質
に応じて、これらの断面積(導体外径DC (図2参
照))を適宜調整して、上記の金属導体18の20℃に
おける導体抵抗Rが510Ω/km以下である金属導体
18とすれば、IEEE1394で定める減衰量規格を
満足することができる。即ち、減衰量は、金属導体18
のみを捉えた場合には、上記実験例と同じく4つの絶縁
線12を相互に撚り合わせることを前提とした場合の表
皮効果を考慮に入れても導体抵抗Rの値によってほぼ一
定に定まるので、次に述べる絶縁体20の発泡率による
影響を考慮することを除いた段階では、金属導体18の
材質、導体外径DC (図2参照)や構成(単線か、複数
本の素線を撚り合わせるか、更には、その素線本数)を
問わず、導体抵抗Rが上記の510Ω/km以下である
金属導体18を用いれば、IEEE1394で定める減
衰量規格を満足することができると考えられる。
【0054】そこで、まず、素線本数や単線の金属導体
18について具体的に考察すると、単線の金属導体18
の導体外径DC (図2(A)参照)を1とした場合にお
ける、上記実験例1乃至実験例16で使用した7本の素
線を撚り合わせて形成された金属導体18の導体外径D
C (図2(B)参照)の等価係数は、およそ0.94と
なる。これは、単線の金属導体18と、複数本の素線を
撚り合わせて形成された金属単線18とを比較すると、
同じ導体外径DC (図2参照)であっても、後者の方
が、外周面等に落ち込みがある分、断面積が小さくなる
ためである。
【0055】このため、換言すれば、例えば、上記実験
例で得られた7本の素線から成る金属導体18と、導体
抵抗Rを等しくするためには(例えば、実験例5乃至実
験例8の360Ω/kmとするためには)、実験例の7
本の素線を撚り合わせて形成された金属導体18の導体
外径DC (図2参照:同じく0.28mm)から、0.
94をかけることにより求めることができる(即ち、上
記例で約0.26mm)。この場合、単線の金属導体1
8の方が、導体外径DC (図2参照)が小さくなるが、
これは、同じ外径DC (図2参照)の、単線の金属導体
18と、7本の素線を撚り合わせて形成された金属単線
18とでは、後者の方が、断面積が小さい分、導体抵抗
Rが大きく、素線の本数を上記の7本より更に増加させ
るに従い、断面積が1に近づくため(断面積が次第に大
きくなって単線の断面積に近づくため)、導体抵抗Rが
小さくなり、減衰量は低減するためである。
【0056】このことから、同じ導体外径DC (図2参
照)では、減衰量が最も大きくなる上記の7本の素線を
撚り合わせて形成された金属導体18で、IEEE13
94で定める減衰量規格を満足できる以上、それより減
衰量を低減することができる8本以上の素線を撚り合わ
せて形成された金属導体18、また、単線の金属導体1
8でもIEEE1394で定める減衰量規格を満足でき
ることが判る。換言すれば、例えば、8本等の7本以外
の如何なる本数の素線を撚り合わせて形成された金属導
体18、また、単線の金属導体18であっても、金属導
体18の断面積(導体外径DC (図2参照))を調整す
ることにより、20℃における導体抵抗Rが510Ω/
km以下である金属導体18とすれば、このように導体
抵抗Rが定まれば(510Ω/km以下)、それに応じ
て減衰量も上記のようにほぼ同様に定まる(周波数40
0MHzにおいて5.8dB以下等)ため、これにより
IEEE1394で定める減衰量規格を満足することが
できるといえる。
【0057】次に、金属導体18の材質面について考察
すると、とある材質の金属導体18の単位長さ辺りの導
体抵抗Rは、金属導体18の導体外径DC (図2参照)
により決定されるため、いかなる材質の金属導体18を
使用する場合でも、導体外径DC (図2参照)を調整す
ることにより、上記の20℃における導体抵抗Rが51
0Ω/km以下である金属導体18にできることが判
り、これによりIEEE1394で定める減衰量規格を
満足することができると考えられる。この点について
は、後述する実験例17乃至実験例19により、具体的
に説明する。
【0058】なお、この意味で、導体抵抗Rは、金属導
体18の材質毎に異なり、同じ外径DC (図2参照)で
あっても、その材質によって減衰量の値も変化すること
から、上記の20℃における導体抵抗Rが510Ω/k
m以下である金属導体18の導体外径DC (図2参照)
というのは、金属導体18の材質に関係なく一律に定め
られるものではなく、従って、IEEE1394で定め
る減衰量規格を満足することができる金属導体18の外
径DC (図2参照)の最小値も、金属導体18の材質毎
に異なる。
【0059】以上より、この段階では、金属導体18の
材質及び導体外径DC (図2参照)の如何を問わず、そ
の20℃における導体抵抗Rが510Ω/km以下であ
る金属導体18を用いれば、IEEE1394で定める
減衰量規格を満足できることが判る。
【0060】〈1.−2:減衰量と絶縁体の誘電率(発
泡率)との関係〉次に、上記の減衰量の測定結果から、
減衰量と絶縁体20の発泡率(誘電率)との関係に着目
する。具体的には、表1に着目すると、各導体抵抗R毎
(上記のからの金属導体18毎)に、IEEE13
94で定める減衰量規格を満足することができる誘電率
の下限(発泡率の上限)が異なっている(具体的には、
の金属導体18(導体抵抗R=310Ω/km)で
は、誘電率1.52、の金属導体18(同360Ω/
km)では同1.64、の金属導体18(同410Ω
/km)では、1.84である)。
【0061】そこで、次に、この場合の金属導体18の
導体抵抗Rと絶縁体20の誘電率εとの関係を図4に示
す。即ち、この図4は、横軸に金属導体18の導体抵抗
R(Ω/km)をとり、縦軸に誘電率εをとって、表1
に示した各実験例の金属導体18における誘電率εをプ
ロットしたものである。なお、上記のの金属導体18
(導体抵抗R=530Ω/km)を使用した実験例13
乃至実験例16については、(発泡率が0%でも)、I
EEE1394で定める減衰量規格を満足することがで
きなかったので、表示されない。
【0062】そして、この図4において、表1に示した
各実験例1乃至実験例16のうち、同じ導体抵抗Rであ
る実験例1から実験例4(導体抵抗R=310Ω/k
m)の中から、実験例5から実験例8(導体抵抗R=3
60Ω/km)の中から、実験例9乃至実験例12(導
体抵抗R=410Ω/km)の中から(即ち、上記の
からの各導体抵抗Rの金属導体18それぞれの中か
ら)、それぞれ、IEEE1394で定める減衰量規格
(5.8dB以下)を満足することができた場合の誘電
率εの最小値のプロットのみに着目してみる。
【0063】そして、この図4において、各導体抵抗R
における誘電率εの最小値を線で結ぶと、図4に示す曲
線Bのようになる。この場合、この曲線Bは、各導体抵
抗Rにおいて、IEEE1394で定める減衰量規格を
クリアすることができる誘電率εの中の最小値を示して
いるものであるため、上記の510Ω/km以下の各導
体抵抗Rにおいて、更に、絶縁体20の誘電率εとの関
係がこの曲線Bよりも上方の領域となる金属導体18と
すれば、減衰量を、IEEE1394で定める減衰量規
格である5.8dB以下に抑えることができることが判
る。
【0064】但し、この場合、本発明においては、絶縁
体20の誘電率εは、後述する条件(2)により、結果
的には、1.84以上2.3以下の範囲内に限られる。
このため、図4に示すように、IEERE1394で定
める減衰量規格を満足することができる誘電率εの下限
が、本発明における誘電率の下限である1.84より大
幅に下回っている上記の金属導体を使用した実験例1
乃至実験例4については、上記の1.84以上2.3以
下の誘電率εの範囲ではいかなる誘電率εとしても、I
EE1394で定める減衰量規格を満足することができ
るといえるため、この誘電率εとの関係を考慮する必要
が全くないといえる。
【0065】このため、それより大きい導体抵抗Rを有
する上記、金属導体のみにおけるIEEE1394
で定める減衰量規格を満足する誘電率εの下限を考察す
べく、図4に示す曲線Bを上記、の金属導体18に
おける減衰量規格を満足することができる誘電率εのみ
に着目し、かつ、結果的には上記のとおり、誘電率εが
1.84以上2.3以下というごく微小な範囲での誘電
率εのみが問題となるので、この曲線Bを近似した近似
直線を求めてみる。
【0066】具体的には、図4に示すように、曲線Bよ
りも上の領域において若干のマージンを持たせて(狭い
領域となるようにして)、この曲線Bの近似直線を求め
たところ、図4の直線B′に示す通りであった。この結
果、510Ω/km以下の各導体抵抗Rにおいて、絶縁
体20の誘電率εとの関係が図4の直線B′よりも上方
の領域となる金属導体18とすれば、IEEE1394
で定める減衰量規格を満足することができることにな
る。そして、この場合の直線B′よりも上方の領域を、
導体抵抗Rと誘電率εとの関数として数式で表示すると
『ε≧0.004533(R−2.61)』であること
が判った。
【0067】このことから、本発明においては、『金属
導体18は、金属導体18の20℃における導体抵抗R
と絶縁体20(ポリオレフィンであることが前提)の誘
電率εとの関係がε≧0.004533(R−2.6
1)であれば、IEEE1394で定める減衰量規格を
満足できることが判る。
【0068】なお、この場合、本発明においては、上述
したように、次に述べる条件(2)により、ポリエチレ
ン等のポリオレフィンから成る絶縁体20の誘電率εが
1.84以上2.3以下(発泡率0%から30%)の範
囲に限定されるため、誘電率εがこの範囲内であること
が前提となり、結果的には、この範囲内でのみ上記の条
件(1)の数式が問題となる。即ち、図4において、誘
電率εが1.84以下の領域(勿論、上限は、ポリエチ
レンから成る絶縁体20の誘電率εの最大値である2.
3(発泡率0%)以下の領域内に限られる)は無視する
ことができ、結果的には、誘電率εとの関係が図4のハ
ッチで示す関係となる導体抵抗Rとすれば良いことにな
る。
【0069】その結果、図8から判るように、導体抵抗
Rが少なくとも約410Ω/km以下の場合には、本発
明の範囲である1.84以上2.3以下のいずれの誘電
率ε(絶縁体20はポリオレフィン)としても、減衰量
を、IEEE1394で定める5.8dB以下に抑え
て、IEEE1394で定める減衰量規格を満足できる
ことが判る。これは、上記の表1を見ても、導体抵抗R
が、この410Ω/km以下である実験例については、
誘電率εが1.84以上2.3以下の範囲では、全てI
EEE1394で定める減衰量規格値を満足しているこ
とからも裏付けられる。
【0070】この意味では、上記の条件(1)における
数式は、特に、導体抵抗Rが410Ω/km超の時にの
み問題とすれば足り、導体抵抗Rが410Ω/km以下
の場合には、前提となる1.84以上2.3以下の範囲
内では如何なる誘電率εであっても、必ず、上記の数式
を満足し、IEEE1394で定める減衰量規格を満足
することができるため、問題とならないといえる。
【0071】なお、上記の〈1.−1〉において前述し
たように、金属導体18の材質や、また、単線か複数本
の素線を撚り合わせて形成されているか等によって、導
体抵抗Rが変化し、その結果、特性インピーダンスを調
整すると導体外径DC (図2参照)が小さくなり、同じ
導体抵抗Rであっても、絶縁厚TI (図2参照)が薄く
なることがある。しかし、この絶縁厚TI (図2参照)
の変化も、同様に、1000分の1ミリから100分の
1ミリ単位でのごく微細なものであるため、これによる
影響も殆ど問題とならない程度のものであるといえ、ま
た、上記のように、導体抵抗Rと誘電率εとの関係を、
それが問題となる範囲内(導体抵抗Rが410Ω/km
超510Ω/km以下)ではIEEE1394で定める
減衰量規格を満足することができる領域より若干のマー
ジンを有しているため、更には、上記の曲線Bを見れば
判るように、IEEE1394で定める減衰量規格を満
足することができる誘電率εの下限は、実際には、本発
明における誘電率εの下限となる1.84よりも、半分
以上の領域で、大きく下回っているため、この余裕を考
慮することによっても、問題がないといえる。
【0072】なお、上記の金属導体18の材質の違いに
よる導体抵抗R、及び、導体抵抗Rと誘電率εとの関係
を確認するため、更に、上記の実験例1乃至実験例16
と異なり、金属導体18として、錫入り銅合金線を使用
した幾つかのインターフェースケーブル10を製造し、
その減衰量を測定した。
【0073】具体的には、絶縁線12として、図2
(B)に示す7本の素線を撚り合わせて形成された錫入
り銅合金線から成る金属導体18に、ポリエチレンから
成る絶縁体20を被覆して形成されたものを使用した。
この場合において、まず、ポリエチレンから成る絶縁体
20の発泡率を、上記の実験例1乃至実験例16(発泡
率0%:誘電率εは2.3)と異なり、発泡率20%
(誘電率1.988)とし、また、属導体18の導体
抵抗Rが、それぞれ、330Ω/km(実験例17:
素線外径は0.1mmで錫含有量は0.15%、導体外
径DC =0.30mm)、430Ω/km(実験例1
8:素線外径は0.1mmで錫含有量は0.3%、導体
外径DC =0.30mm)、580Ω/km(実験例
19:素線外径は0.08mmで錫含有量は0.15
%、導体外径DC =0.24mm)である4つのインタ
ーフェースケーブル10を製造した。
【0074】この場合、特性インピーダンスを110Ω
とした結果、絶縁外径DI (図2参照)は、実験例17
及び実験例18では0.76mm(絶縁厚TI (図2参
照)0.23mm)、実験例19では0.6mm(絶縁
厚TI (図2参照)0.18mm)であった。なお、こ
れらの絶縁線12以外の条件は、全て実験例1乃至実験
例16と同じとした。その結果、これらの実験例17乃
至実験例19のインターフェースケーブル10の仕様
は、次の表2に示す通りであった。
【0075】
【表2】
【0076】そして、これらの実験例17乃至実験例1
9のインターフェーフケーブル10の各々についても、
同様にして周波数400MHzにおける減衰量を測定し
た。その結果を、実験例1乃至実験例16と同様に、表
2に併記すると共に(表2の減衰量の欄の『○』、
『×』は表1と同じ意味である。)、図5に示す。
【0077】これらの表2及び図5から判るように、錫
入り銅合金線から成る金属導体18でも、軟銅線から成
る金属導体18と同様に、20℃における導体抵抗Rが
510Ω/km以下であり、かつ、金属導体18の20
℃における導体抵抗Rと絶縁体20の誘電率εとの関係
が、ε≧0.004533(R−2.61)である場合
には、周波数400MHzにおける減衰量を、IEEE
1394の規定である5.8dB以下に抑えることがで
き、減衰量規格を満足することができる。
【0078】即ち、まず、金属導体18の導体抵抗Rの
値に着目すると、図5に示す通り、20℃における導体
抵抗Rが上記の510Ω/km以下である実験例17
(330Ω/km)と実験例18(430Ω/km)で
は、減衰量がIEEE1394で定める規格値を満足し
ているが、510Ω/kmを超えている実験例19(5
80Ω/km)については、規格値を満足できなかった
ことからも、金属導体18は、減衰量規格を満足するた
めには、導体抵抗Rが510Ω/km以下である必要が
あることが判る。
【0079】このことからも、材質を問わず、導体抵抗
Rが510Ω/km以下であれば、IEEE1394で
定める減衰量規格を満足できるのが判る。なお、軟銅線
に関する表1と錫入り銅合金線に関する表2に着目した
場合、同じ導体外径DC (図2参照)の金属導体18で
あっても、具体的には、例えば、同じ0.3mmである
実験例1乃至実験例4(軟銅線)と実験例17(錫入り
銅合金線)、実験例1乃至実験例4(軟銅線)と実験例
18(錫入り銅合金線)、更には同じ錫入り銅合金線で
あっても錫の含有量の異なる実験例17と実験例18と
の間で、導体抵抗Rが異なり、錫入り銅合金線の場合の
方が導体抵抗Rが大きく(即ち、その性質上、錫入り銅
合金線の方が、軟銅線に比べて導体抵抗Rが大きい)、
更に錫の含有量が増加するにつれて導体抵抗Rが上昇し
ているにもかかわらず、いずれも導体抵抗Rが510Ω
/km以下であるためIEEE1394で定める減衰量
規格を満足できていることが判る。
【0080】逆にいえば、金属導体18の材質に関係な
く(いかなる材質の金属導体18を使用した場合で
も)、金属導体18を、20℃における導体抵抗Rが5
10Ω/km以下となる導体外径DC (図2参照)とす
れば、IEEE1394で定める減衰量規格を満足する
ことができ、他の材質の金属導体18についても同様で
あることが裏付けられる。具体的には、1000分の1
ミリから100分の1ミリ単位での微小な違いではある
が、金属導体18の材質自体の導体抵抗Rが軟銅線より
も大きければ断面積(導体外径DC )を軟銅線に比べて
全体的に大きくすることにより、逆に導体抵抗Rが軟銅
線よりも小さければ断面積(導体外径DC (図2参
照))を軟銅線に比べて全体的に小さくすること等によ
り、20℃における導体抵抗Rが510Ω/km以下で
ある金属導体18として、IEEE1394で定める減
衰量規格を満足することができる。
【0081】次に、誘電率εとの関係を考察すると、7
本の素線を撚り合わせて形成された「錫入り銅合金線」
から成る金属導体18に発泡率20%の絶縁体20を被
覆した上記の実験例17乃至19に着目しても、上記の
『ε≧0.004533(R−2.61)』を満たして
いる実験例17(導体抵抗R=330Ω/km:誘電率
ε=1.988)は勿論のこと、特に、上記の数式が問
題となる導体抵抗Rが410Ω/kmを超える実験例1
8(導体抵抗R=430Ω/km:誘電率ε=1.98
8)であっても、IEEE1394で定める減衰量規格
を満足している。このことからも、金属導体18の材質
及び形態(単線か複数本の素線を撚り合わせて形成され
ているか)を問わずして、絶縁体20の誘電率εとの関
係が上記の数式となる導体抵抗Rの金属導体18とすれ
ば、IEEE1394で定める減衰量規格を満足できる
ことが裏付けられた。
【0082】〈1.−3:総括〉以上より、IEEE1
394で定める特性インピーダンスに関する規格及びコ
ネクタ側から要求されるインターフェースケーブルの外
径DK (図1参照)を満足しつつ、同時に同じくIEE
E1394で定める減衰量規格を満足させるためには、
『金属導体18は、その20℃における導体抵抗Rが5
10Ω/km以下であり、かつ、金属導体18の20℃
における導体抵抗Rと絶縁体20(ポリオレフィン)の
誘電率εとの関係がε≧0.004533(R−2.6
1)であること』という条件を満たす必要があることが
判る。
【0083】《2.条件(2)及び条件(3)につい
て》次いで、インターフェースケーブル10が側圧を受
けた場合にも、伝送特性が影響を受けない機械的強度を
付与するための条件について具体的に説明する。この場
合、IEEE1394では信号の最大の立ち上がり時間
についても言及しており、具体的には、データ伝送速度
100Mbpsで3.2ns、200Mbpsで2.2
ns、400Mbpsで1.2nsであることが規定さ
れている。ここに、信号の立ち上がり時間とは、1つの
パルス信号の立ち上がりにおいて、電圧レベルが最大値
の10%から90%に遷移する時間を意味する。
【0084】一方、例えば、インターフェースケーブル
10に側圧が加わると特性インピーダンスが低下し、こ
のように特性インピーダンスに擾乱が生じると、伝送特
性が低下する。ここに、図6は、インターフェースケー
ブル10(図12に示す2つの対30と2つの介在32
とを有する対形の形態)に側圧を加えた場合の特性イン
ピーダンスの変化を時間領域反射計(TDR)で測定し
た一例であり、上方の線は、信号の立ち上がり時間を
0.312nsとした場合の結果であり、下方の線は、
信号の立ち上がり時間を2.48nsとした場合の結果
である。
【0085】この図6は、横軸に時間(t)を、縦軸に
特性インピーダンスをとったものであり、図中の矢印で
示した部分が側圧が加わった場所である。なお、この図
6では、結果を見易くするため、縦軸のリファレンス値
を変えて表示している。この図6から判るように、立ち
上がり時間の短いパルス信号(0.312ns)では、
特性インピーダンスの低下が顕著に表れる。これに対し
て、立ち上がり時間の長いパルス信号(2.48ns)
では、特性インピーダンスの変化は殆ど見られなかっ
た。
【0086】即ち、信号の立ち上がり時間が短い場合の
方が、特性インピーダンスが影響を受け易い。このた
め、上記のIEEE1394で規定されている信号の立
ち上がり時間のうち、最小値である1.2nsの立ち上
がりの信号を与えた場合に、特性インピーダンスに変化
が見られなければ、それ以上の立ち上がり時間の信号を
与えても特性インピーダンスは変化しないと考えられる
ことから、この立ち上がり時間の最小値である1.2n
sを問題として考察する。
【0087】そこで、インターフェースケーブル10に
側圧が加わった状態で、規格の最小値である1.2ns
の立ち上がり時間の信号を与えた場合も、特性インピー
ダンスが変化せず、信号の反射を引き起こさない機械的
強度を有するインターフェースケーブル10の条件を調
べることとする。なお、側圧の付加は、インターフェー
スケーブル10が踏み潰された状態を想定して、図7に
示すように、厚さt(図7参照)が5mm、幅w(図7
参照)40mm四方の2枚の鉄板50で、インターフェ
ースケーブル10を挟み込み、30kgの荷重を加える
ことにより行うこととした。
【0088】そして、この図7に示す鉄板50により側
圧を加える対象となるインターフェースケーブル10と
して、下記の8つのインターフェースケーブル10を製
造した。即ち、まず、上記の条件(1)を備えたインタ
ーフェースケーブル10(即ち、IEEE1394で定
める減衰量、特性インピーダンス、コネクタ側からの要
求であるケーブル外径DK (図1参照)を満足するイン
ターフェースケーブル10)となる絶縁線12を使用し
た。
【0089】具体的には、7本の素線を撚り合わせて形
成された軟銅線から成る金属導体18に、ポリエチレン
から成る絶縁体20を押出被覆して絶縁線12を形成
し、この場合において、導体抵抗Rが410Ω/km
で導体外径DC (図1参照)が0.26mmの金属導体
18と、導体抵抗Rが310Ω/kmで導体外径DC
(図1参照)が0.30mmの金属導体18の2つを用
いた。
【0090】そして、特性インピーダンスが110Ωと
なるように、上記の金属導体18を使用して、A)誘
電率が2.3(発泡率0%)で絶縁外径DI (図2参
照)が0.70mm(絶縁厚TI (図2参照)0.22
mm)の絶縁線12としてシース厚Tshe (図1参照)
を0.55mmとした「実験例20」、B)A)と全く
同じ絶縁線12としてシース厚Tshe (図1参照)を
0.67mmとした「実験例21」、C)誘電率が1.
985(発泡率20%)で絶縁外径DI (図2参照)が
0.66mm(絶縁厚TI (図2参照)0.20mm)
の絶縁線12としてシース厚Tshe (図1参照)を0.
72mmとした「実験例22」、D)誘電率が1.84
(発泡率30%)で絶縁外径DI (図2参照)が0.6
1mm(絶縁厚TI (図2参照)0.175mm)の絶
縁線12としてシース厚Tshe (図1参照)を0.82
mmとした「実験例23」の4つのインターフェースケ
ーブル10を製造した。
【0091】また、同様にして、上記の金属導体18
を使用して、A)誘電率が2.3(発泡率0%)で絶縁
外径DI (図2参照)が0.8mm(絶縁厚TI (図2
参照)0.25mm)の絶縁線12としてシース厚T
she (図1参照)を0.60mmとした「実験例2
4」、B)A)と全く同じ絶縁線12としてシース厚T
she(図1参照)を0.75mmとした「実験例2
5」、C)誘電率が1.985(発泡率20%)で絶縁
外径DI (図2参照)が0.76mm(絶縁厚TI (図
2参照)0.23mm)の絶縁線12としてシース厚T
she (図1参照)を0.80mmとした「実験例2
6」、D)誘電率が1.84(発泡率30%)で絶縁外
径DI (図2参照)が0.70mm(絶縁厚TI (図2
参照)0.20mm)の絶縁線12を使用してシース厚
she (図1参照)を0.87mmとした「実験例2
7」の4つのインターフェースケーブル10を製造し
た。
【0092】なお、これらの合計8つのインターフェー
スケーブル10においては、絶縁線12やシース厚T
she (図1参照)以外の、シールド層14の材質や厚
み、また、シース16の材質は、実験例1乃至実験例1
6と同じとした。
【0093】この場合、いずれの実験例においても、ポ
リエチレンから成る絶縁体20において誘電率εを、
1.84以上2.3以下の範囲(発泡率を0%から30
%の範囲)に限定したのは、次の2つの理由による。第
1に、IEEE1394で定める伝搬遅延時間に関する
規格をも満足させるためである。具体的には、IEEE
1394では、伝搬遅延時間は、5.05ns/m以下
であることが規定されており、この伝搬遅延時間は、理
論的には、(√ε)/0.3ns/m(ε=誘電率)か
ら求めることができる。この場合、上記の5.05ns
/m以下という規格を満足するためには、誘電率εは最
大でも2.3以下とする必要があるためである。
【0094】第2に、機械的強度との関係を考慮したも
のである。即ち、上記の実験例で使用したポリエチレン
から成る絶縁体20において、発泡率を40%以上とす
ると、4つの絶縁線12を相互に撚り合わせて星形カッ
ドとする時や、また、インターフェースケーブル10に
側圧が加わった場合に、絶縁体20が潰れて、特性イン
ピーダンスが低下し、伝送損失を低下させるおそれがあ
るためである。ここに、ポリエチレンから成る絶縁体2
0における誘電率εの最大値である2.3とは、即ち、
発泡率0%であり、充分な強度を有する。一方、上記の
IEEE1394で定める伝搬遅延時間は、誘電率εを
2.3以下とすれば達成できることから、その意味では
誘電率εの下限を設ける必要はないが、上記のように、
発泡率を40%以上としないために、ポリエチレンから
成る絶縁体20における発泡率30%である誘電率ε=
1.84を下限としたのである。
【0095】なお、この場合、絶縁体20を、ポリプロ
ピレン等のポリエチレンと同じポリオレフィンとした時
も、その電気的特性や機械的強度において、ほぼ同じで
あることから、絶縁体20としてはポリオレフィンであ
れば減衰量、特性インピーダンス等、ほぼ変わりなく維
持することができると考えられる。
【0096】これらのことより、側圧に対する充分な強
度を確保するためには、また、IEEE1394で定め
る伝搬遅延時間差に関する規格を満足するためには、ポ
リオレフィンから成る絶縁体20において『誘電率εが
1.84以上2.3以下であること』が必要であること
が判る。
【0097】そして、上記実験例20乃至実験例27の
インターフェースケーブル10の機械的強度を測定する
ため、これらのインターフェースケーブル10に図7に
示す状態で側圧を加えた状態でパルス信号を送り、この
パルス信号の立ち上がり時間を徐々に長くしていった。
そして、特性インピーダンスの変化が見られなくなった
立ち上がり時間を、各実験例毎に測定した。
【0098】なお、評価の方法としては、本発明では、
IEEE1394で定める特性インピーダンスや減衰
量、特に、コネクタの寸法に関する規格値から要求され
るケーブル外径DK (図1参照)の上限である4.2m
m以下、という範囲内で、シース厚Tshe (図1参照)
をできるだけ大きく採ることが必要となるため、また、
本発明では、UL20276で定めるシース16の平均
最小厚である0.508mm以上を満たすことも目的と
しているため、単に、シース厚Tshe (図1参照)のみ
から評価しても意味がないことから、シース厚Tshe
(図1参照)と上撚り半径Rrad (図1参照)との比r
(Tshe /Rrad )から、これを評価することとした。
その結果、及び、各実験例の仕様を、下記の表3に示
す。なお、表3の立ち上がり時間の欄における数値(測
定値)の右横の『○』はIEEE1394で定める1.
2nsの立ち上がり時間ではもはや特性インピーダンス
に変化が見られず規格を満足していることを、『×』は
1.2nsよりも長い立ち上がり時間でも特性インピー
ダンスが変化し規格を満足できなかったことを、それぞ
れ示している。
【0099】
【表3】
【0100】また、この表3に示した、特性インピーダ
ンスの変化が見られなくなった立ち上がり時間と、シー
ス厚Tshe (図1参照)と上撚り半径Rrad (図1参
照)との比r(Tshe /Rrad )の関係を、図8に示
す。この図8から、シース厚Tsh e (図1参照)と上撚
り半径Rrad (図1参照)との比r(Tshe /Rrad
が、0.59以上であれば、いずれの導体外径DC (図
2参照)であっても、IEEE1394で定める規格値
である1.2nsの立ち上がり時間では特性インピーダ
ンスに変化が生じないことが判る。
【0101】このことは、表3を見ても、シース厚T
she (図1参照)と上撚り半径Rrad(図1参照)との
比r(Tshe /Rrad )が、0.59以上である実験例
21乃至実験例23、及び、実験例25乃至実験例27
のみが、1.2nsよりも短い立ち上がり時間でのみ特
性インピーダンスが変化し、IEEE1394で定める
1.2nsでは、特性インピーダンスが変化しないこと
からも裏付けられる。
【0102】また、同時に、上記の表3に着目すると、
シース厚Tshe (図1参照)と上撚り半径Rrad (図1
参照)との比r(Tshe /Rrad )が0.59未満であ
る実験例20及び実験例24においても、そのシース厚
she (図1参照)はUL20276で定めるシース1
6の平均最小厚である、0.508mm以上となってい
る(0.55mmと0.60mm)。この場合、特に、
実験例20と実験例21、また、実験例24と実験例2
5を見ると、いずれも上撚り半径Rrad (図1参照)が
同じ値でありながら、シース厚Tshe (図1参照)と上
撚り半径Rrad(図1参照)との比r(Tshe /R
rad )がより小さい(即ち、シース厚Tshe(図1参
照)がより薄い)実験例20、実験例24ですらUL2
0276で定める平均最小厚を満足できている。このこ
とは、特性インピーダンスの値等を考慮するとそれより
もシース厚Tshe (図1参照)が厚くなる上記のr(T
she /Rrad )≧0.59という本発明の範囲では、必
ず、シース厚Tshe (図1参照)を0.508mm以上
とできることを意味している。従って、シース厚Tshe
(図1参照)と上撚り半径Rrad (図1参照)との比r
(Tshe /Rrad )が0.59以上であれば、同時に、
UL20276で定めるシース16の平均最小厚に関す
る外部仕様規格をも満足できることが判る。
【0103】以上より、シース厚Tshe (図1参照)を
充分に厚くして側圧に対する充分な強度を確保するた
め、同時に、UL20276で定めるシース16の平均
最小厚に関する外部仕様規格も満足するためには、前述
した『シース厚Tshe (図1参照)と上撚り半径Rrad
(図1参照)との比r(Tshe /Rrad )が0.59以
上であること』が必要であることが判る。
【0104】なお、この条件(3)は、上記の条件
(2)を前提として得られた結果である。即ち、誘電率
εが1.84以上2.3以下であると限定することによ
り、絶縁線12自体の機械的強度を維持することができ
ると共に、特性インピーダンスを110Ωを維持しなが
らシース厚Tshe (図1参照)を充分に厚くすることが
できたものである。即ち、条件(2)と条件(3)とが
相俟って、側圧に対する充分な機械的強度を確保するこ
とができると同時にUL20276で定めるシース16
の平均最小厚に関する外部使用規格をも満足することが
できるため、側圧に対する充分な強度を確保するために
は、これらの条件(2)及び条件(3)を同時に備えた
インターフェースケーブル10とする必要がある。
【0105】更に、IEEE1394で定める特性イン
ピーダンスに関する規格及びコネクタ側からの要求であ
るケーブル外径DK (図1参照)を満たすと同時に、側
圧に対する充分な強度を確保し、また、UL20276
で定めるシース16の平均最小厚に関する外部使用規格
をも満足するためには、上記の条件(1)乃至条件
(3)の全てを同時に備えたインターフェースケーブル
10とする必要がある。このことは、上記条件(2)及
び条件(3)が、条件(1)を備えることを前提として
設定された実験例20乃至実験例27から導き出された
ことからも判る。
【0106】《3.実施例》そこで、更に、上記の条件
(1)乃至条件(3)を同時に備えた本発明のインター
フェースケーブル10の実施例について説明する。
【0107】具体的には、金属導体18として、1本の
素線を中心としてその周囲に6本の素線を撚り合わせて
形成された軟銅線(錫メッキ軟銅線)から成る図7
(B)に示す形態のものを使用した。なお、金属導体1
8を構成する7本の各素線としては、外径0.1mmの
軟銅線(錫メッキ軟銅線)を使用した。この場合の金属
導体18の導体外径DC (図1参照)は0.3mmであ
った。
【0108】また、絶縁体20としては、ポリエチレン
を使用し、これを約20%発泡させて、上記の金属導体
18に押出被覆して、絶縁線12を形成した。この場
合、勿論、絶縁線12の特性インピーダンスは、110
Ωとなるように設定した。その結果、絶縁厚TI (図2
参照)は、0.23mm、絶縁外径DI (図2参照)
は、0.76mmであった。
【0109】次いで、この絶縁線12を4本用いて、相
互に撚り合わせて星形カッドとし、その上に、厚み0.
010mmのアルミニウム層を厚み0.012mmのポ
リエステルテープの片面に貼り付けて積層形成されたア
ルミニウムポリエステルラミネートテープ(テープ全体
の厚みは接着剤の厚み0.003mmを含めて0.02
5mm)を、アルミニウム層を外側にして巻付けてテー
プのラップ巻き22を形成し、このラップ巻き22の上
に、外径0.1mmの素線(錫メッキ軟銅線)から形成
された編組24を施して、シールド層14を形成した。
なお、このシールド層14の厚みは、約0.2875m
mであった。
【0110】最後に、このシールド層14の上に、シー
ス厚Tshe (図1参照)が0.8mmのPVCから成る
シース16を被覆して、図1に示す形態のインターフェ
ースケーブル10を製造した。この場合の、ケーブル外
径DK (図1参照)は、4.0mmであった。この結
果、勿論、前提となるIEEE1394で定める特性イ
ンピーダンスが110±6Ω、また、コネクタ側からの
要求であるケーブル外径DK (図1参照)が4.2mm
以下であることを満足している。また、上記のように、
シース厚Tshe (図1参照)が、0.8mmであるた
め、UL20276で定めるシース16の平均最小厚で
ある0.508mm以上という規格をも満足しているこ
とが判る。この本発明の実施例のインターフェースケー
ブル10の仕様を、次の表4に示す。
【0111】
【表4】
【0112】この表4から判るとおり、まず、金属導体
18の導体抵抗Rが、310Ω/kmであり、510Ω
/km以下である。また、この場合、ポリエチレンから
成る絶縁体20の発泡率が約20%であるため、その誘
電率εは、約1.988である。この結果、ε≧0.0
04533(R−2.61)、すなわち、誘電率εが
1.40以上であることという条件を満たしていること
が判る。以上より、まず、条件(1)を備えていること
が判る。
【0113】また、ポリエチレンから成る絶縁体20の
誘電率εが、約1.988であるため、上記のポリオレ
フィンから成る絶縁体20の誘電率εが1.84以上
2.3以下であることという条件(2)も備えている。
【0114】更に、上記の本発明の実施例のインターフ
ェースケーブル10は、シース厚Tshe (図1参照)が
0.8mmで、また、上撚り半径Rrad (図1参照)
が、1.205であり、シース厚Tshe (=0.8m
m)と上撚り半径Rrad (=1.205mm)との比r
(Tshe /Rrad )が、約0.664であるため、上記
のシース厚Tshe (図1参照)と上撚り半径Rrad (図
1参照)との比r(Tshe/Rrad )が0.59以上で
あることという条件(3)も備えている。以上より、本
発明の実施例は、上記の条件(1)乃至条件(3)を同
時に備えている。
【0115】そこで、上記の本発明の実施例のインター
フェースケーブル10について、まず、IEEE139
4で定める100MHz、200MHz、400MHz
の各周波数毎に減衰量を測定した。その結果を、次の表
5及び図9に示す。なお、これらの表5及び図9におい
ては、IEEE1394で定める各周波数毎の減衰量規
格値も併せて併記した。
【0116】
【表5】
【0117】これらの表5及び図9から判るように、本
発明の実施例のインターフェースケーブル10では、減
衰量を、全ての周波数において、IEEE1394で定
める減衰量規格値以下(周波数100MHzで2.3d
B以下、周波数200MHzで3.2dB以下、周波数
400MHzで5.8dB以下)に抑制することがで
き、いずれの周波数においても、充分なマージンをもっ
て、IEEE1394で定める減衰量規格を満足できて
いることが判る。
【0118】次に、このインターフェースケーブル10
において、側圧を加えた場合の特性インピーダンスに変
化が見られなくなった場合の信号の立ち上がり時間を測
定した。なお、その測定方法は、上記実験例20乃至実
験例27と同じく、図7に示す状態で、徐々に立ち上が
り時間を上げていくことにより行った。その結果を、次
の表6及び図10に示す。なお、表6においても、同様
に、IEEE1394の規格値を示す。
【0119】
【表6】
【0120】これらの表6及び図10から判る通り、本
発明のインターフェースケーブル10では、いずれのデ
ータ伝送速度においても、立ち上がり時間を徐々に上げ
ていった場合に1.05nsまでで特性インピーダンス
に変化が見られ、IEEE1394で定めるデータ伝送
速度100Mbpsにおいては3.2ns、200Mb
psにおいては2.2ns、400Mbpsにおいては
1.2nsの立ち上がり時間ではもやは特性インピーダ
ンスは変化せず、規格を満足しており、側圧に対する充
分な強度を有していることが判る。なお、本発明の実施
例のインターフェースケーブル10では、全てのデータ
伝送速度において、特性インピーダンスに変化が見られ
なくなった場合の立ち上がり時間が1.05nsである
が、これは、一つのパルス信号を入力して、ただ、その
データ伝送速度、即ち、パルスの幅のみを変化させて測
定しているためである。即ち、パルスの幅が最も狭く、
また、最も厳しい条件となる400Mbpsで1.05
nsまでの立ち上がり時間で特性インピーダンスに変化
が見られなければ、それよりパルス幅が広がる400M
bps未満のデータ伝送速度においても同じ結果となる
ためである。
【0121】なお、本発明の実施例のインターフェース
ケーブル10の伝搬遅延時間を測定したところ、伝搬遅
延時間τ=4.465nsであった。この測定値は、理
論的に、τ=(√ε)/0.3ns/mより求められる
τ=4.699nsよりも下回っており、勿論、IEE
E1394で定める伝搬遅延時間τは、5.05ns/
m以下であることという規定を満足している。
【0122】以上より、IEEE1394で定める特性
インピーダンスに関する規格及びコネクタ側から要求さ
れるケーブル外径DK (図1参照)を満足するインター
フェースケーブル10において、本発明の条件(1)乃
至条件(3)を同時に備えたインターフェースケーブル
10とすれば、IEEE1394で定める減衰量規格を
満足することができると同時に、側圧に対する充分な強
度をも有し、更には、UL20276で定めるシース1
6の平均最小厚に関する外部仕様規格をも満足できるこ
とが立証された。
【0123】《4.錫入り銅合金線による屈曲特性の向
上》最後に、金属導体18として、錫入り銅合金線を使
用した場合の屈曲特性の向上を確認するため、次のよう
な実験を行った。具体的には、金属導体18の材質のみ
による屈曲特性の変化を確認するため(軟銅線の場合と
同様の条件下での屈曲特性の向上を確認するため)、上
記の本発明の実施例のインターフェースケーブル10に
おいて、金属導体18の材質のみを、上記の軟銅線では
なく錫入り銅合金線に代えたインターフェースケーブル
10を製造し(即ち、金属導体18の材質以外は全て同
じ)、このインターフェースケーブル10と、上記実施
例のインターフェースケーブル10とを用いて、屈曲試
験を行った。なお、この錫入り銅合金線の錫含有量は、
0.15%とした。
【0124】屈曲試験の方法は、図11に示すように、
上記の2つのインターフェースケーブル10に、おもり
52により50gの荷重を負荷した状態で、直径1イン
チ(半径12.7mm)の2つのマンドレル54をあて
がって、±90°屈曲させて行った。評価の方法として
は、図11に示す→→→の4つの行程で1回
(1サイクル)として数え、金属導体18を構成する7
本の素線のうちのいずれかが切断された時の屈曲回数
(サイクル数)をもって評価した。この場合において、
平均的な値をとるため、各インターフェースケーブル1
0につき、各々異なる3本づつのインターフェースケー
ブル10を用いて、上記の屈曲試験を3回行った(試験
回数N=3)。なお、屈曲速度は、1分当たり30サイ
クル(30サイクル/分)となるように設定した。そし
て、その結果得られたいずれかの素線が切断された場合
の屈曲回数を、次の表7に示す。
【0125】
【表7】
【0126】この表7、特にその平均回数から判るとお
り、金属導体18として、錫入り銅合金線を使用した場
合の方が、軟銅線を使用した場合に比べて、いずれかの
素線に切断が生じた場合の屈曲回数が、約2倍となって
おり、屈曲特性に優れることが判る。このことから、I
EEE1394で定める特性インピーダンスに関する規
格及びコネクタ側から要求されるケーブル外径DK (図
1参照)を満足するインターフェースケーブル10にお
いて、上記の本発明の条件(1)乃至(3)を同時に備
えたインターフェースケーブル10とし、金属導体18
として、錫入り銅合金線を使用すれば、更に屈曲特性を
向上して、側圧等による屈曲に対する機械的強度を向上
させることができることが判った。
【0127】
【発明の効果】本発明によれば、上記の実験例及び実施
例から判るように、条件を適切に限定しているため、上
記の(1)乃至条件(3)の全てを備えたインターフェ
ースケーブルとすると、IEEE1394で定める特性
インピーダンスに関する規格及びコネクタ側から要求さ
れるインターフェースケーブルの外径を満足するインタ
ーフェースケーブルにおいて、IEEE1394で定め
る減衰量規格を満足しつつ、同時に、シースの厚みを充
分に厚くすると共に絶縁体が潰れるのを防止して側圧に
対する充分な強度をも確保することができるので、側圧
を受けても伝送品質が劣化することがなく、良好な伝送
特性を維持することができる実益がある。更に、本発明
によれば、上記のように、UL20276で定めるシー
スの平均最小厚に関する外部使用規格をも同時に満足す
ることができる実益がある。
【0128】加えて、本発明によれば、星形カッド形の
インターフェースケーブルにおいて、上記効果を達成し
ているため、また、絶縁体の誘電率も上記の実験例から
解るように適切に限定しているため、伝搬遅延時間差と
近端漏話特性をも同時に改善することができる実益があ
る。
【0129】更に、この場合において、本発明によれ
ば、絶縁線の金属導体として、錫入り銅合金線を使用し
ているため、上記の実験例から解るように、金属導体の
屈曲特性をも向上させることができるため、側圧等によ
る屈曲に対する機械的強度を向上させることができる実
益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインターフェースケーブルの概略断面
図である。
【図2】図2は本発明に用いられる絶縁線の断面図であ
り、同図(A)は単線の金属導体を使用した絶縁線の断
面図、同図(B)は7本の素線を撚り合わせて形成され
た金属導体を使用した絶縁線の断面図である。
【図3】本発明に関する実験例について得られた減衰量
と、軟銅線の金属導体の導体抵抗及び絶縁体の誘電率と
の関係を示すプロット図である。
【図4】本発明に関する実験例の金属導体(軟銅線)の
導体抵抗と、減衰量規格を満足することができる絶縁体
の誘電率との関係を示すプロット図である。
【図5】本発明に関する実験例について得られた減衰量
と、錫入り銅合金線の金属導体の導体抵抗との関係を示
すプロット図である。
【図6】信号の立ち上がり時間による特性インピーダン
スの変化を測定したグラフ図である。
【図7】インターフェースケーブルに側圧を加える実験
状態の斜視図である。
【図8】シースの厚みと上撚り半径との比と、特性イン
ピーダンスに変化が見られなくなった場合の信号の立ち
上がり時間との関係を示したプロット図である。
【図9】本発明の実施例について得られた減衰量を示す
プロット図である。
【図10】本発明の実施例について得られた減衰量を示
したプロット図である。
【図11】本発明の実施例について得られた特性インピ
ーダンスに変化が見られなくなった場合の信号の立ち上
がり時間を示したプロット図である。
【図12】従来技術のインターフェースケーブルの概略
断面図である。
【符号の説明】
10 インターフェースケーブル 12 絶縁線 14 シールド層 16 シース 18 金属導体 20 絶縁体 22 テープのラップ巻き 24 編組 30 対 32 介在 DC 金属導体の外径 DI 絶縁線の外径 DK インターフェースケーブルの外径 TI 絶縁体の厚み Tshe シースの厚み Rrad インターフェースケーブルの中心からシースの内
周面までの距離(上撚 り半径Rrad ) DT 対の外径 Dshe シースの内径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 正浩 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属導体にポリオレフィンから成る絶縁
    体を被覆して形成され相互に撚り合わされた4つの絶縁
    線と、前記相互に撚り合わされた4つの絶縁線の上に被
    覆されて前記相互に撚り合わされた4つの絶縁線を一括
    してシールドするシールド層と、前記シールド層の上に
    被覆されたシースとから成るカッド形のインターフェー
    スケーブルであって、特性インピーダンスが110±6
    Ωであり、かつ、外径が4.2mm以下である前記イン
    ターフェースケーブルにおいて、(1)前記金属導体
    は、20℃における導体抵抗Rが510Ω/km以下で
    あり、かつ、前記金属導体の20℃における導体抵抗R
    と前記絶縁体の誘電率εとの関係がε≧0.00453
    3(R−2.61)であり、(2)前記絶縁体は、誘電
    率εが1.84以上2.3以下であり、(3)前記シー
    スの厚みTshe と前記インターフェースケーブルの中心
    から前記シースの内周面までの距離Rrad との比r(T
    she /Rrad )が0.59以上であることを特徴とする
    インターフェースケーブル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインターフェースケー
    ブルであって、前記金属導体が錫入り銅合金線であるこ
    とを特徴とするインターフェースケーブル。
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