JPH11107575A - 建築物の制震構造 - Google Patents

建築物の制震構造

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JPH11107575A
JPH11107575A JP27465597A JP27465597A JPH11107575A JP H11107575 A JPH11107575 A JP H11107575A JP 27465597 A JP27465597 A JP 27465597A JP 27465597 A JP27465597 A JP 27465597A JP H11107575 A JPH11107575 A JP H11107575A
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JP
Japan
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building
seismic isolation
floor
vibration
main body
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JP27465597A
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Inventor
Tetsuya Ishihara
哲哉 石原
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Original Assignee
JDC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 床部を免震装置により水平方向に移動可能に
支持して免震床とすると同時に、この免震床の水平方向
への揺れを制御して建築物全体の揺れも抑制する建築物
の制震構造を提供すること。 【解決手段】 建築物の本体構造部11に設けられた支
持部材12の上に免震装置13を介して水平方向に可動
に支持された免震床14に加わる水平方向への振動エネ
ルギーを免震装置13に内蔵するダンパー機能か、又は
別体のダンパー装置15で吸収して減衰させる際に、免
震装置13の剛性を、建築物の本体構造部11における
固有振動周期とほぼ同じ周期で振動するように堅めに設
定して本体構造部11の固有振動と共振させ、免震床1
3へ加わる振動エネルギーを免震装置13に内蔵するダ
ンパー機能か、又は別体のダンパー装置15により集中
的に吸収して建築物全体の揺れを抑制するようにしたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築物の制震構造に
関し、更に詳細には複数階の床部を免震装置により可動
に支持することで建築物全体の制震を図る建築物の制震
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の制震手段としては、特開
平1−165885号公報、特開平1−247667号
公報、及び特開平1−250568号公報等に開示され
たものが知られている。特開平1−165885号公報
に開示された制震構造物は、構造物の複数次の固有振動
モードの最大振幅に相当する部分の壁体の少なくとも一
部を水平方向に移動自在に構成し、しかもこれらの壁体
自身の固有振動周期を構造物のそれぞれの振動モードの
固有周期とほぼ一致するようにし、そして壁体に自身の
水平方向の振動を減衰させる減衰機構を付設したことを
特徴とするものである。
【0003】また、特開平1−247667号公報に開
示された重層式免震制震構造物は、柱及び梁からなる主
架構における各層の内部空間にそれぞれ単層又は複数層
の床からなる小架構郡を、主架構とクリアランスを保っ
て当該主架構の梁からサスペンション材を介して懸吊支
持したことを特徴とするものである。
【0004】更に、特開平1−250568号公報に開
示された建築構造体の制震構造は、構造体の一部の壁又
は床を、構造体に対して水平方向に変位自在に設け、そ
の可動壁又は可動床と構造体との間に、両者の設定範囲
内の相対変位を許容する駆動機構を介在させ、構造体の
挙動を検出するために設けられた振動センサによる挙動
検出に基づき、可動壁又は可動床を構造体に対して接近
離隔するように駆動機構を作動する制御装置を備えたこ
とを特徴とするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
1−165885号公報に開示された発明では、構造物
の複数次の固有振動モードの最大振幅に相当する部分の
壁体自身における固有振動周期を構造物のそれぞれの振
動モードの固有周期と一致させると共に壁体自身の水平
方向の振動を減衰機構により減衰させるようにしている
ため、構造物の設計や施工が非常に難しく、従ってコス
トが掛かるという問題があった。
【0006】更に、この従来の制震構造物では、「床の
免震」という考え方は全くなく、床と建物の躯体とは同
一の振動をするため、大地震時にも床の上に位置する人
や物が安全なレベルにまで構造物を制震するためには数
多くの制震装置を設置しなければならないという問題が
あった。
【0007】また、特開平1−247667号公報に開
示された発明の重層式免震制震構造物では、主架構にお
ける各層の内部空間にそれぞれ単層又は複数層の床から
なる小架構郡を、主架構とクリアランスを保って当該主
架構の梁からサスペンション材を介して懸吊支持してい
ることから、非常に構成が複雑となると共にこのような
構造の建物は非現実的であるという問題があった。
【0008】更に、特開平1−250568号公報に開
示された建築構造体の制震構造では、構造体に対して水
平方向に変位自在に設けられた壁又は床を、構造体の挙
動を検出する振動センサによる挙動検出に基づき駆動機
構によって構造体との相対変位を小さくすべく積極的に
動かすようにしているため、加圧ポンプ、制御装置及び
その他の周辺装置などを含めた非常に大がかりな駆動機
構が必要となるという問題があった。
【0009】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解
決するためになされたもので、床部を免震装置により水
平方向に移動可能に支持すると同時に、この床部の水平
方向への揺れを制御して建築物全体の揺れも抑制する建
築物の制震構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は建築物の制震構
造であり、前述した技術的課題を解決するため以下のよ
うに構成されている。すなわち、本発明に係る建築物の
制震構造は、建築物の少なくとも任意の1つの階の床の
一部若しくは全部を、建築物の本体構造部に設けられた
支持部材の上に免震装置を介して水平方向に可動に支持
された免震床として構成し、この免震装置が前記免震床
に加わる水平方向への振動エネルギーを吸収して減衰さ
せるダンパー機能を内蔵し、更に免震装置の剛性を、建
築物の本体構造部における固有振動周期とほぼ同じ周期
で振動するように堅めに設定して前記本体構造部の固有
振動と共振させ、前記免震床へ加わる振動エネルギーを
前記免震装置が有するダンパー機能により集中的に吸収
して前記建築物全体の揺れを抑制するようにしたことを
特徴とする。
【0011】また、他の発明としての建築物の制震構造
は、建築物の少なくとも任意の1つの階の床の一部若し
くは全部を、建築物の本体構造部に設けられた支持部材
の上に免震装置を介して水平方向に可動に支持された免
震床として構成し、免震装置が免震床に加わる水平方向
への振動エネルギーを吸収して減衰させるダンパー機能
を内蔵し、更に免震装置の剛性を、建築物の本体構造部
における固有振動周期よりも更に長い周期で振動するよ
うに弱めに設定し、免震床へ加わる振動エネルギーを免
震装置が有するダンパー機能により吸収減衰して前記建
築物全体の揺れを抑制するようにしたことを特徴とす
る。
【0012】更にまた、他の発明としての建築物の制震
構造は、建築物の少なくとも任意の1つの階の床の一部
若しくは全部を、建築物の本体構造部に設けられた支持
部材の上に免震装置を介して水平方向に可動に支持され
た免震床とし、免震床に加わる水平方向への振動エネル
ギーを吸収して減衰させるべく免震床と建築物の本体構
造部との間にダンパー装置を設置して構成され、免震装
置の剛性を、建築物の本体構造部における固有振動周期
とほぼ同じ周期で振動するように堅めに設定して本体構
造部の固有振動と共振させ、免震床へ加わる振動エネル
ギーをダンパー装置により集中的に吸収して建築物全体
の揺れを抑制するようにしたことを特徴とする。
【0013】更に、別な発明としての建築物の制震構造
は、建築物の少なくとも任意の1つの階の床の一部若し
くは全部を、建築物の本体構造部に設けられた支持部材
の上に免震装置を介して水平方向に可動に支持された免
震床とし、免震床に加わる水平方向への振動エネルギー
を吸収して減衰させるべく免震床と前記建築物の本体構
造部との間にダンパー装置を設置して構成され、免震装
置の剛性を、建築物の本体構造部における固有振動周期
よりも更に長い周期で振動するように弱めに設定し、免
震床へ加わる振動エネルギーをダンパー装置により吸収
減衰して建築物全体の揺れを抑制するようにしたことを
特徴とする。
【0014】<本発明における具体的構成>本発明に係
る建築物の制震構造は、前述した必須の構成要素からな
るが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっ
ても成立する。その具体的構成要素とは、ダンパー装置
が、床部の水平X方向における振動を吸収すべく免震床
の相反する一対の周囲端部と前記外側躯体との間に設置
され、更に前記水平X方向にほぼ直交する水平Y方向に
おける振動を吸収すべく前記免震床の他の相反する一対
の周囲端部と前記本体構造部との間に設置された少なく
とも2つのダンパー装置から構成されていることを特徴
とする。なお、前述した建築物のすべての階の床部の一
部若しくは全部を免震床とすることも好ましい。
【0015】本発明の建築物の制震構造によると、例え
ば地震などによって建築物に振動エネルギーが付与され
た場合には、この建築物の免震床は免震装置が働いて建
築物の本体構造部に相対して水平方向に移動する。その
際、免震装置の剛性によって免震床の振動周期は本体構
造部のそれに一致するか、又は長くなる。
【0016】免震装置を堅めに設定することにより免震
床の振動周期が本体構造部の固有振動周期に一致する場
合には、建築物の本体構造部の固有振動と免震床の振動
とが共振し、建築物全体に掛かる振動エネルギーは免震
床の振動に集中する。従って、この免震床の本体構造部
に相対する水平移動を、免震装置が内蔵するダンパー機
能か若しくは別に設置したダンパー装置により集中的に
減衰(吸収)させることにより本体構造部の振動が結果
的に抑制される。
【0017】免震装置を弱めに設定して免震床の振動周
期を本体構造部の固有振動周期よりも長くするようにし
た場合には、床部への振動外力は伝わり難くなり、極端
に言えば床部は動いていない状態と同じとなる。床部は
建築物全体から見るとかなりの重量を占めることから、
床部が振動を受け難くなると建築物全体に働く地震力は
低減されることになる。その際、免震床の振動エネルギ
ーは、免震装置が内蔵するダンパー機能か若しくはダン
パー装置によって(減衰)吸収される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の建築物の制震構造
を図に示される実施形態について更に詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る制震構造を備える
建築物10が示されている。この実施形態に係る建築物
の制震構造は、建築物10の本体構造部11即ち柱や外
壁等を含む外側躯体に設けられた梁12等からなる支持
部材の上に通常の免震装置13を介して水平方向に可動
に支持された免震床14を含む。
【0019】免震装置13は、図2に示されるように多
数の薄い金属板13aと薄いゴム板13bとを交互に積
み重ねて構成されているもので、その構造は既によく知
られている。免震床14は、建築物10においてこの免
震装置13を使用して本体構造部11に設けられた梁1
2上で水平方向に移動可能に支持された床部をいう。な
お、図1において、免震装置13などを設けずに、梁1
2上に通常のように形成された床部は符号16で示して
いる。
【0020】そして、免震装置13で支持された免震床
14の周囲には、図3に示されるようにその振動時に免
震床14の水平方向移動を止めてその振動を減衰(吸
収)させるべく、複数のオイルダンパー装置15が設置
されている。このオイルダンパー装置15の基本的な構
造としては、シリンダーの内部に位置するロッド端部の
ピストンがロッドの移動に伴ってシリンダー内を動く
時、ピストンによって分割されたシリンダー内の一方の
室からオイルを、ピストンに設けられたオリフィスを通
って他方の室に流入通過させることでピストンの動きを
抑制し、更にロッドをスプリングで元の位置に復帰させ
るようにしたものである。
【0021】このようなオイルダンパー装置15は、既
によく知られているものであり、従ってその詳細な説明
は省略する。オイルダンパー装置15は、免震床14の
水平X方向における振動を吸収すべく免震床14の相反
する一対の周囲端部と本体構造部即ち外側躯体11との
間、及び水平X方向にほぼ直交する水平Y方向における
振動を吸収すべく免震床14の他の相反する一対の周囲
端部と外側躯体11との間に少なくとも設置する必要が
ある。
【0022】このようなオイルダンパー装置15の数、
即ち幾つ設置するかは、ダンパー装置15の性能や建築
物における免震床14の位置(階数)によって異なるた
め、予めこれらの要素を念頭において適宜設計すること
が好ましい。
【0023】ところで、この実施形態に係る建築物の制
震構造では、本体構造部11が揺れた時に、免震床14
を水平方向に移動可能に支持する免震装置13の剛性
を、建築物の本体構造部11における固有振動周期とほ
ぼ同じ周期で振動するように堅めに設定されている。免
震装置13における剛性の設定は、積層ゴムの直径(断
面積)及び使用枚数によって行うことができる。
【0024】これにより、免震床14は、建築物10に
地震などの外力が加わった時、本体構造部11の固有振
動と共振し非常に大きく振動することになる。というこ
とは、本体構造11に加わる地震力は、免震床14を水
平方向に移動させる振動エネルギーに集中することとな
る。そこで、この免震床14の振動を前述したオイルダ
ンパー装置15で減衰(吸収)すれば、建築物10の本
体構造部11の制震ともなり、建築物全体の揺れを大き
くすることなく抑制することができる。
【0025】なお、この実施形態に係る建築物の制震構
造では、免震装置13の剛性を弱めに設定しても本体構
造部11に対する地震力を低減させることができる。す
なわち、免震装置13の剛性を、建築物10の本体構造
11における固有振動周期よりも更に長い周期で振動す
るように弱めに設定すると、免震床14へは振動外力が
伝わり難くなると共に、極めて長い周期で振動すること
になり、極端に言えば動いていない状態に等しくなる。
【0026】床部は建築物全体から見るとかなりの重量
を占めることから、免震床14が振動を受け難くなると
建築物全体に働く地震力は低減される。その結果、建築
物10における本体構造部11の揺れは大きくならず、
制震を図ることができる。
【0027】このように免震床14を免震装置13で水
平方向に移動可能に支持して構成する時、免震装置13
の剛性を、建築物10における本体構造部11の固有振
動周期に一致させるように設定するか、又は本体構造部
11の固有振動周期よりも更に長い振動周期で動くよう
に設定することで、地震時における本体構造部11の揺
れを効果的に抑制することができることから経済的にも
大きな効果を奏する。
【0028】このような免震床14は、少なくとも1つ
設ければそれなりの効果を発揮するが、建築物10にお
ける全ての階の床部を免震床とすれば、地震時に各床部
の上に位置する人や物が激しく揺り動かされることがな
いばかりか、同時に本体構造部の揺れも更に一層抑制す
ることができる。ただし、現実的には、ある階の床すべ
てを免震床とすることはできず、例えば、階段の踊り場
などは、ここで言う「免震床」の対象から除くことが好
ましい。
【0029】そのような意味から「床の全部」とは、本
体構造部からはどうしても切り離せない床部まで含むも
のではなく、あくまで実質的な床部のことを意味するも
のである。そして、「床の一部」とは、このような実質
的な床部の中で、その一部について免震床とすることも
できることを意味している。
【0030】なお、前述した本発明の一実施形態におけ
る制震構造では、免震装置13が薄い金属板13aとゴ
ム板13bとを交互に積層した構成されたものであった
が、図4に示されるように免震床14の下面に球面状の
受け板23aを設け、梁12の上部に、通常は受け板2
3aの中心部に位置するように設置された球体23bを
取り付けるようにして構成された免震装置即ち転がり支
承23を使用してもよい。
【0031】このような転がり支承23によれば、免震
床14が水平方向に移動した時に、受け板23aの球面
を利用して、当該免震床14を元の位置に自動的に復帰
する復元性を持たせることができる。この転がり支承2
3においてその剛性を設定するには、その復元性を強め
たり弱めたりすることであり、それは受け板23aの球
面曲率を変えることにより行うことができる。すなわ
ち、球面の曲率を短くすると周期が短くなって剛性を硬
くしたのと同じ免震効果を得られ、また曲率を長くする
と周期は長くなって剛性を弱くしたのと同じ免震効果を
得ることができる。
【0032】前述した実施形態では、オイルダンパー装
置15を図3に示されるように床部14の端面と外側躯
体11の内壁面との間に設置して説明されているが、本
発明ではダンパー装置のこのような設置位置に限定され
るものではなく、図1に示されるように免震床14の下
面側に設置することもできることはいうまでもない。
【0033】更に、前述の実施形態では、免震床に加わ
る水平方向への振動エネルギーをオイルダンパー装置1
5によって吸収して減衰させるようにしたが、このよう
なオイルダンパー装置15を用いることなく、ダンパー
機能を内蔵した特殊な免震装置を使用することによって
も同様な効果を奏する。
【0034】ダンパー機能を内蔵する免震装置は、近年
開発された「転がり支承」の改良型装置であり、これは
例えば特開平2−54040号公報に開示されている。
また、これ以外にも図2に示される免震装置で、通常の
積層ゴムに代えて高減衰積層ゴムを用いたものが知られ
ている。
【0035】この高減衰積層ゴムも既に公知のものであ
るが、その特性について簡単に説明すると、この積層ゴ
ムは、「荷重支持機能」、「バネ機能」、「減衰(ダン
ピング)機能」を同時に兼ね備えたもので、この履歴ル
ープは粘性的な減衰を持っているため、滑らかな曲線を
描き、その減衰能力は振幅の幅広い範囲で15%(等価
減衰定数)前後を保有しているものである。
【0036】更に、ダンパー機能を内蔵する免震装置と
して、すべり支承を用いることができる。すなわち、す
べり支承を免震装置として用いた場合、すべりに伴う摩
擦力をダンパー機能として利用することができる。この
すべり支承も既に公知のものであるが、簡単に説明する
と、このすべり支承は、「荷重支持機能」と「減衰(ダ
ンピング)機能」を同時に兼ね備えたもので、すべり面
を四ふっ化エチレン系樹脂とステンレス鋼板の組み合わ
せにより、摩擦係数を0.1程度に小さくし、摩擦力を
上回る地震加速度が作用すると鉛直荷重を支持しながら
滑動を生じ、滑動の方向とは逆向きに摩擦抵抗力が作用
するためダンパーと同様な減衰効果が得られる。
【0037】このように高減衰積層ゴムを備える免震装
置、転がり支承の改良型、又はすべり支承を含む、いわ
ゆるダンパー機能を内蔵する免震装置は、支承機能とダ
ンパー機能が一体として働くため、前述したようなオイ
ルダンパー装置を別体に設ける必要がなく、所望の効果
を得ながら構成を単純化することができる。なお、すべ
り支承を用いる場合、これを単独で用いることもできる
が、通常、積層ゴム又はコイルバネなどのスプリングと
併用するか又はすべり面に曲率を施して元の位置に戻る
復元力を持たせるようにすることが必要である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の建築物の
制震構造によれば、床部を従来公知の免震装置で支持す
る際にその免震装置の剛性を、本体構造部の固有振動周
期に一致させるように設定するか、又は本体構造部の固
有振動周期よりも更に長い振動周期で動くように設定す
るだけで、建築物の本体構造の制震も同時に図ることが
できる。そのため、本発明では、複雑な設計や施工をせ
ずに、また多大な費用を掛けることなく建築物の制震を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る制震構造を備える建
築物を概略的に示す構成説明図である。
【図2】図1に示される建築物に取り付けられた免震装
置を拡大して示す概略的な構成説明図である。
【図3】図1に示される建築物に取り付けられた免震床
を概略的に示す斜視図である。
【図4】床部を支持する免震装置の別の例を概略的に示
す構成説明図である。
【符号の説明】
10 建築物 11 本体構造部 12 梁(支持部材) 13 免震装置 14 免震床 15 オイルダンパー装置 16 床部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の少なくとも任意の1つの階の床
    の一部若しくは全部を、前記建築物の本体構造部に設け
    られた支持部材の上に免震装置を介して水平方向に可動
    に支持された免震床として構成し、 前記免震装置が前記免震床に加わる水平方向への振動エ
    ネルギーを吸収して減衰させるダンパー機能を内蔵し、
    更に前記免震装置の剛性を、前記建築物の本体構造部に
    おける固有振動周期とほぼ同じ周期で振動するように堅
    めに設定して前記本体構造部の固有振動と共振させ、前
    記免震床へ加わる振動エネルギーを前記免震装置が有す
    るダンパー機能により集中的に吸収して前記建築物全体
    の揺れを抑制するようにしたことを特徴とする建築物の
    制震構造。
  2. 【請求項2】 建築物の少なくとも任意の1つの階の床
    の一部若しくは全部を、前記建築物の本体構造部に設け
    られた支持部材の上に免震装置を介して水平方向に可動
    に支持された免震床として構成し、 前記免震装置が前記免震床に加わる水平方向への振動エ
    ネルギーを吸収して減衰させるダンパー機能を内蔵し、
    更に前記免震装置の剛性を、前記建築物の本体構造部に
    おける固有振動周期よりも更に長い周期で振動するよう
    に弱めに設定し、前記免震床へ加わる振動エネルギーを
    前記免震装置が有するダンパー機能により吸収減衰して
    前記建築物全体の揺れを抑制するようにしたことを特徴
    とする建築物の制震構造。
  3. 【請求項3】 建築物の少なくとも任意の1つの階の床
    の一部若しくは全部を、前記建築物の本体構造部に設け
    られた支持部材の上に免震装置を介して水平方向に可動
    に支持された免震床とし、前記免震床に加わる水平方向
    への振動エネルギーを吸収して減衰させるべく前記免震
    床と前記建築物の本体構造部との間にダンパー装置を設
    置して構成され、 前記免震装置の剛性を、前記建築物の本体構造部におけ
    る固有振動周期とほぼ同じ周期で振動するように堅めに
    設定して前記本体構造部の固有振動と共振させ、前記免
    震床へ加わる振動エネルギーを前記ダンパー装置により
    集中的に吸収して前記建築物全体の揺れを抑制するよう
    にしたことを特徴とする建築物の制震構造。
  4. 【請求項4】 建築物の少なくとも任意の1つの階の床
    の一部若しくは全部を、前記建築物の本体構造部に設け
    られた支持部材の上に免震装置を介して水平方向に可動
    に支持された免震床とし、前記免震床に加わる水平方向
    への振動エネルギーを吸収して減衰させるべく前記免震
    床と前記建築物の本体構造部との間にダンパー装置を設
    置して構成され、 前記免震装置の剛性を、前記建築物の本体構造部におけ
    る固有振動周期よりも更に長い周期で振動するように弱
    めに設定し、前記免震床へ加わる振動エネルギーを前記
    ダンパー装置により吸収減衰して前記建築物全体の揺れ
    を抑制するようにしたことを特徴とする建築物の制震構
    造。
  5. 【請求項5】 前記ダンパー装置が、前記床部の水平X
    方向における振動を吸収すべく前記免震床の相反する一
    対の周囲端部と前記外側躯体との間に設置され、更に前
    記水平X方向にほぼ直交する水平Y方向における振動を
    吸収すべく前記免震床の他の相反する一対の周囲端部と
    前記本体構造部との間に設置された少なくとも2つのダ
    ンパー装置から構成されていることを特徴とする請求項
    3又は4に記載の建築物の制震構造。
  6. 【請求項6】 前記建築物のすべての階の床部の一部若
    しくは全部を免震床としたことを特徴とする請求項3な
    いし5のいずれかに記載の建築物の制震構造。
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JP27465597A Pending JPH11107575A (ja) 1997-10-07 1997-10-07 建築物の制震構造

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JP (1) JPH11107575A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1156176A1 (en) * 2000-05-19 2001-11-21 Inso Sistemi Per Le Infrastrutture Sociali S.R.L System for disconnection between horizontal elements and supporting structure of a building

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1156176A1 (en) * 2000-05-19 2001-11-21 Inso Sistemi Per Le Infrastrutture Sociali S.R.L System for disconnection between horizontal elements and supporting structure of a building

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