JPH11104866A - アルミニウム容器及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム容器及びその製造方法

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JPH11104866A JP9282530A JP28253097A JPH11104866A JP H11104866 A JPH11104866 A JP H11104866A JP 9282530 A JP9282530 A JP 9282530A JP 28253097 A JP28253097 A JP 28253097A JP H11104866 A JPH11104866 A JP H11104866A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器内部を高温度にすることなく、密封性高
くかつルート割れを起こさない接合を有する密封容器及
びその容器を歩留高く製造する方法の提供。 【解決手段】 アルミニウムまたはアルミニウム合金か
らなる容器本体1及び蓋体2を、スラブレーザを用いて
溶融接合部3の深さ(D)と溶融接合部3の幅(W)の
比[アスペクト比(D/W)という。]が1〜5で接合
した密封容器及び高性能電池のための電池ケース。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精密度が高く、密
閉度の高い金属製容器、例えば精密電気材料、精密機械
材料、医薬品または宇宙あるいは深海などの特殊な環境
において使用する材料などの容器、特にリチウムイオン
二次電池などの高性能電池のための電池ケース、中でも
アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下単に両者を
「アルミニウム」という。)の箔またはアルミニウム板
を用いた電池ケースの製造に関する。容器本体と蓋体の
溶融接合に際し、内容物に熱的な影響を与えず、かつ耐
衝撃性、耐震性に優れ、高い密封性及び高い寸法精度が
要求されるアルミニウム製電池ケースの接合方法に関す
【0002】
【従来の技術】密閉容器、例えばアルミニウムなどの素
材を用いた各種の電池ケースが開発されているが、リチ
ウムイオン二次電池などのためにはアルミニウム製電池
ケースが多く使用されている。この電池ケースの製造に
は、電極及び電解液などを充填した後、容器本体及び蓋
体を接合することによって行われる。この接合する方法
として現在実施されている方法の一つにレーザ溶接が挙
げられる。これは比較的薄肉のアルミニウム容器本体に
載置あるいは嵌め込みなどの方法により組まれた蓋体が
接した部分を直接炭酸ガスレーザあるいはYAGレーザ
などにより加熱し溶接する方法である。電池ケースの継
ぎ手形状はほとんどの場合、図5に示すような片側に壁
を有する突合わせ接合がほとんどであり、炭酸ガスレー
ザやYAGレーザではアスペクト比(D/W)が小さい
ため溶け込みが浅くなり、未溶融部4が比較的大きく残
ることが避けられなかった。その結果、溶け込み不良や
溶着部にルート割れを起こし易く、密閉度不良を発生す
ることになる。
【0003】このルート割れの対策として、図5に示す
ように容器本体1の外周部に切り欠き部5を設ける(特
開平8−77983)、あるいは図6に示すような蓋体
内面に切り欠き部5を設け、蓋体の完全溶け込みを得よ
うとしたり、接合部形状に工夫を凝らした提案がなされ
ている。これらの対策はいずれも加工工程を増すことに
なり、生産性の面からはマイナス要素となり積極的に採
用することにはならなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ムの容器本体と蓋体を高密度熱源溶接により接合し、内
容物に悪影響を与えると思われる容器内部を高温度にす
ることなく、密封性高くかつルート割れを起こさない接
合を有する密封容器及びその容器を歩留高く製造する方
法の開発を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) アル
ミニウムまたはアルミニウム合金からなる容器本体及び
蓋体を、溶融接合部の深さ(D)と溶融接合部の幅
(W)の比[本発明においてはアスペクト比(D/W)
という。]が1〜5で接合した密封容器、(2) アル
ミニウムまたはアルミニウム合金からなる容器本体及び
蓋体を接合するに際し、スラブレーザを用いて、アスペ
クト比(D/W)が1〜5の範囲になるように接合する
ことを特徴とする密封容器の製造方法、及び(3) ア
ルミニウムまたはアルミニウム合金からなる容器本体及
び蓋体を、アスペクト比(D/W)が1〜5で接合した
高性能電池のための電池ケースを開発することにより上
記の課題を解決した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、アルミニウムと
は、アルミニウム及びアルミニウムを主体とした合金を
意味する。特にリチウム電池などにおいて汎用されるマ
ンガン系合金(3000番系)が好適に用いられる。従
来の容器本体と蓋体との接合に比して、大きいアスペク
ト比(D/W)を必要とする本発明においては、溶融接
合で使用できる高密度熱源として加熱されるところがで
きるだけ狭く局限されており、かつ供給熱量が大きい大
出力化及び高収束化できるものであればその種類は問わ
ないが、現時点においては、YAGスラブ型レーザが有
効である。YAGレーザは、アルミニウムなどの高反射
率材に対する加工性の良いこと、光ファイバーによる扱
い易さなどの特徴を持ち、近年大出力化も可能となった
のにともない一般的な加工である溶接、溶断の分野に適
用されるようになってきた。このようなYAGレーザに
おいても更なる大出力化、高収束化、及び小型化の要求
がある。これに対しスラブレーザは、原理的に大出力化
に適し、更に高収束されたビームの発生に適している方
法であり、本発明の接合部のアスペクト比(D/W)を
達成するのに好適な手段である。
【0007】容器本体と蓋体の接合において、レーザビ
ームの収束度が高くなるに従い、容器本体と蓋体の嵌合
が精密になることが要求される。このため本発明の密閉
容器の製造においては、嵌合が精密であればその製法は
問題ないが、例えばレーザビームが高収束である場合に
は、蓋体の上部は容器本体の内側のサイズより極めてわ
ずか大きくすることなどにより嵌合した時に容器本体と
蓋体の間にすき間を生ずることのないような成形加工す
ることが好ましい。
【0008】またレーザビームの高収束化は、アルミニ
ウム製電池ケースを使用した二次電池、例えばリチウム
イオン二次電池などのためのケースの接合に好適であ
る。リチウムイオン二次電池などの高性能電池は、容器
本体に電極、セパレーター、電解液など必要な素材を充
填した後蓋体を接合する。このため、容器本体と蓋体の
接合に際して電池ケースはできるだけ温度をかけないよ
うにすることが必要であり、このためこれらの容器の接
合には加熱部が局限されている高密度熱源溶接が好適に
用いられる。
【0009】エレクトロンビーム、レーザ、プラズマま
たは高周波誘導加熱などの高密度熱源による時は、接合
部のアスペクト比(D/W)が小さく、特別の加工をす
る時以外は1.0に達することはなく、通常は0.5〜
0.8程度であり、表面部分のみが接合されている。こ
の接合は、図4に示すように表面の溶融接合幅(W)は
広い割には溶融接合深さ(D)は浅く、表面的には完全
に接合がされているように見えるが、その接合部の断面
は図4のように接合部断面に対して未溶接部がそのほと
んどを占めている。このため高密度熱源で溶融した時は
比較的広い範囲に亙り溶融されているが、凝固時にはル
ート割れを起こし易い。
【0010】かかる場合に、アスペクト比(D/W)が
大きいほど凝固収縮が大きいため、接合部のアスペクト
比(D/W)が0.5〜0.8のように小さい場合には
接合部のルート割れを惹起し、このアスペクト比(D/
W)が1.0を超える時はルート割れの発生が急激に低
下し、その危険率は無視できる程度になる。このアスペ
クト比(D/W)が1.0〜5.0、好ましくは1.0
〜3.0の範囲にあると、凝固時のルート割れが顕著に
少なくなるのは局部的な加熱による溶融、冷却及びそれ
に伴う再結晶化が影響しているものと考えるが、断面積
で見るとほぼ同じ断面積であってもその未溶融部に接す
る線の長さ(実態的には未溶融部に接する界面の面積)
は短く、冷却速度が小さくなり、それが影響しているも
のと推定している。ただし、容器接合部を加熱して冷却
速度を小さくしても余りその影響がないところから見て
他の要因、例えば凝固に際して凝縮方向がアスペクト比
(D/W)が大きい時はその方向性が接合深さの方向に
大きくなるのに対し、アスペクト比(D/W)が小さい
時はその凝縮方向が溶融面に平行する方向になるためな
どの影響が大きく働いている可能性も否定できない。こ
の場合接合部のアスペクト比(D/W)が1.0未満で
あると、ルート割れの発生が発生する率が大きくなる。
一方アスペクト比(D/W)が5.0以上にしてもルー
ト割れの発生率はほとんど極限まで低下しているので変
わらず、容器の形状にも限界があり、エネルギーを多量
消費するだけでメリットはない。
【0011】以下図面を参照して詳細に説明する。図1
は、容器本体1の一部を切り欠き、蓋体2を嵌めさせる
タイプの嵌合を行ったものである。この場合の溶融接合
深さ(D)と溶融接合幅(W)の比、アスペクト比(D
/W)を1〜5、好ましくは1〜3にすることである。
図2は、容器本体1に蓋体2を突合わせタイプのはめ込
みをしたものであり、この場合においてもアスペクト比
(D/W)は同様に1〜5、好ましくは1〜3とするこ
とが必要である。 いずれの場合においても、高密度熱
源としてスラブレーザを用いる時は、簡単なテストを行
うことにより接合部のアスペクト比(D/W)を容易に
1以上とする接合条件を見いだすことは容易であり、簡
単にテストランをすることで、耐衝撃性の優れたアルミ
ニウム密閉容器を製造することができる。
【0012】容器本体がプレス成形などで製造する場合
において、ある程度の加工のバラツキが避けられない。
したがって、本発明の容器の接合方法においては、容器
本体及び蓋体を図3に示すように、蓋体Aに角度(α)
5〜30°で、蓋体厚みの30〜70%の高さ(T)の
テーパー部を設け、該テーパー部の高さの中央部(T/
2のところ)における、幅(紙面に垂直な面)と長さW
1 を容器本体の開口部の内側のサイズ(幅と長さW2
と同一とし、これを容器本体に圧入・嵌合することが好
ましい方法である。かかる方法による時は容器本体の加
工による誤差が、マイナスの時であってもプラスの時で
あってもバラツキを吸収し、容器本体と蓋体の接合面の
密着性を高め、溶け込みをルート部の先端近くまで行か
せることによりルート割れを効果的に防止することが可
能である。
【0013】
【実施例】
(実施例1)図1に示すような、角型電池ケースとし
て、厚さ0.5mm、内面のサイズが8.0mm×50
mm(コーナー部2R)、ケース内部の高さ70mmか
らなるJIS 3003アルミニウム(マンガン系アル
ミニウム合金)製のプレス成形された容器本体及び全体
の厚さ(H)が1.5mm、テーパー部高さ(T)が
0.7mm、テーパー部の角度(α)を15°、蓋体テ
ーパー部中央部のサイズを8.0mm×50mm(コー
ナー部2R)に仕上げた容器本体と同材質の板状体の蓋
体を準備し、蓋体を容器本体に圧入に近い状態で嵌合し
て接合界面に圧縮応力が加わるようにし、これにアシス
トガスとしてアルゴン30リットル/分を用い、テスト
ランでアスペクト比(D/W)が1になる条件を検討し
た後、YAGスラブレーザ(出力:2000W、接合速
度25m/分)で溶接した。この容器を500個準備
し、水中気密テストを行ったところ漏洩品はなかった。
水中気密テストを行った密閉容器の1個を取り出し切断
して、その接合部のアスペクト比(D/W)を測定した
ところ、1.1であり、再現性の良い接合ができること
が確認できた。
【0014】(実施例2〜4)容器本体、蓋体及びYA
Gスラブレーザはは実施例1で用いたものと同じもので
あるが、接合部のアスペクト比(D/W)を1.3〜
3.0になるようにYAGスラブレーザの接合速度を調
整し、実施例1と同様に水中気密テストを行った。結果
を表1に示す。
【0015】(比較例1〜2)YAGスラブレーザに代
え、Nb−YAGレーザ(出力2000W)を用い、ア
スペクト比(D/W)を0.5〜0.8とするために接
合速度を4〜2m/分としたほかは実施例1と同様に処
理を行った。水中気密テストの合格率は96.8%、9
8.2%であった。
【0015】実施例1〜4及び比較例1〜2で得た容器
の水中気密テストの結果を表1に示す。
【表1】 漏れ試験:常温で24時間、5kg/cm2 のN2 ガス
を圧入して漏れ試験を行った。
【0016】
【発明の効果】本発明はアルミニウム製容器本体及びア
ルミニウム製蓋体の接合を、アスペクト比(D/W)が
1〜5の範囲になるように接合する時は、従来のレーザ
などの高密度熱源を用いた通常の接合(一般にアスペク
ト比(D/W)が0.5〜0.8程度)に比較して、接
合部のルート割れを起こさない優れた密閉容器となるこ
とを見いだした。このような接合にに好適な熱源として
はスラブレーザを使用して接合する時は、容易にアスペ
クト比(D/W)が1〜5を達成する条件を見いだすこ
とができ、安定に製造することができる。本発明方法に
より製造されたアルミニウム製容器は、高性能のリチウ
ムイオン二次電池などの高密度電池のためのアルミニウ
ムを用いた電池ケースとして使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接合部の断面図の一例。
【図2】本発明の接合部の断面図の一例。
【図3】本発明の実施に好適な蓋材の形状の一例。
【図4】従来の高密度熱源により接合した断面の一例。
【図5】ルート割れを防ぐために容器本体外側を切り欠
きした断面拡大図。
【図6】ルート割れを防ぐために蓋体内側を切り欠きし
た断面拡大図。
【符号の説明】
1 容器本体 2 蓋体 3 溶融接合部 4 未溶融部 5 切り欠き部 D 溶融接合部の深さ W 溶融接合部の幅 A 蓋体 B 容器本体 H 蓋体の厚み T 傾斜部の高さ α 傾斜部の角度 W1 蓋体傾斜部の中央における幅 W2 容器本体内側の幅

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金か
    らなる容器本体及び蓋体を、溶融接合部の深さ(D)と
    溶融接合部の幅(W)の比[本発明においてはアスペク
    ト比(D/W)という。]が1〜5で接合した密封容
    器。
  2. 【請求項2】 アルミニウムまたはアルミニウム合金か
    らなる容器本体及び蓋体を接合するに際し、スラブレー
    ザを用いて、アスペクト比(D/W)が1〜5の範囲に
    なるように接合することを特徴とする密封容器の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 アルミニウムまたはアルミニウム合金か
    らなる容器本体及び蓋体を、アスペクト比(D/W)を
    1〜5の範囲で接合した高性能電池のための電池ケー
    ス。
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