JPH11100488A - 半導体装置およびそれに用いる半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体装置およびそれに用いる半導体封止用エポキシ樹脂組成物

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JPH11100488A
JPH11100488A JP26127697A JP26127697A JPH11100488A JP H11100488 A JPH11100488 A JP H11100488A JP 26127697 A JP26127697 A JP 26127697A JP 26127697 A JP26127697 A JP 26127697A JP H11100488 A JPH11100488 A JP H11100488A
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epoxy resin
resin composition
semiconductor
amine
silicone oil
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JP26127697A
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Minoru Nakao
稔 中尾
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低応力性,耐湿信頼性および捺印性の全てに優
れた半導体装置およびそれに用いる半導体封止用エポキ
シ樹脂組成物を提供する。 【解決手段】下記の(A)〜(D)成分を含有する半導
体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止
する。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フェノール樹脂。 (C)アミン変性シリコーンオイル。 (D)ブタジエン系ゴム粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低応力性と耐湿信
頼性を兼ね備え、しかも成形性に優れた半導体封止用エ
ポキシ樹脂組成物を用いてなる半導体装置およびそれに
用いる半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】トランジスタ,IC等の半導体装置は、
外部環境からの保護および素子のハンドリングを可能に
する観点から、セラミックおよびプラスチックパッケー
ジ等により封止され半導体装置化されている。上記セラ
ミックパッケージは、構成材料そのものが耐湿性に優
れ、しかも中空パッケージのため半導体素子にかかる応
力を無視することができる。このため、信頼性の高い封
止が可能であるが、構成材料そのものが高価であり、量
産性に劣るという問題を有している。
【0003】このようなことから、最近ではエポキシ樹
脂組成物を用いたプラスチックパッケージが主流となっ
てきている。このエポキシ樹脂組成物による封止では、
量産性に優れ安価に作製することができるものの、プラ
スチックパッケージの有する透湿性と、半導体素子に比
べて大きい線膨張係数を有するため、耐湿性および低応
力性の改良が大きな課題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体封止用樹脂の低
応力化としては、従来からゴム粒子を添加し分散させ
ることによる低応力化や、シリコーンオイルによる樹
脂の変性等が行われている。しかしながら、これらの方
法では、つぎのような問題があった。すなわち、上記
のゴム粒子を分散させる方法では、ゴム粒子自体が高い
凝集性を有するため、エポキシ樹脂組成物中に均一かつ
充分に分散させることができない。したがって、半導体
封止用樹脂として要求される低応力性に限界があった。
さらに、凝集したゴム粒子が、この封止用樹脂を用いて
成形された半導体パッケージの内部のみならず、その外
表面にも析出して外観不良を招くという問題がしばしば
生起した。そして、ゴム粒子自身に含まれるイオン性不
純物の影響により、半導体素子への耐湿信頼性を大きく
低下させていた。
【0005】また、上記のシリコーンオイルによる樹
脂の変性方法では、シリコーンオイルによる素子の耐湿
信頼性は向上するものの、変性シリコーンオイルが半導
体パッケージ表面に滲出することにより外表面が汚れた
り、滲出したシリコーンオイルのためにマーキングイン
クの捺印性が低下する。さらに、封止樹脂の強度の低下
による成形上の問題が生じる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、低応力性,耐湿信頼性および捺印性の全てに優
れた半導体装置およびそれに用いる半導体封止用エポキ
シ樹脂組成物の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、下記の(A)〜(D)成分を含有するエ
ポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半
導体装置を第1の要旨とし、上記(A)〜(D)成分を
含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を第2の要旨
とする。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フェノール樹脂。 (C)アミン変性シリコーンオイル。 (D)ブタジエン系ゴム粒子。
【0008】すなわち、この発明者は、低応力化と耐湿
信頼性を図り、しかも外観および捺印性等に支障のない
封止樹脂を得るために一連の研究を重ねた。そして、先
に述べた従来から行われているゴム粒子の添加による低
応力化方法に着目し、このゴム粒子の添加方法を中心に
さらに研究を重ねた。その結果、ゴム粒子を凝集させな
いために、ブタジエン系ゴム粒子を用いる際に、一緒に
アミン変性シリコーンオイルを用いると、上記ブタジエ
ン系ゴム粒子が凝集せずに均一に分散して凝集物が外表
面に析出することなく低応力化が図られることを突き止
めた。しかも、アミン変性シリコーンオイルの配合によ
り耐湿信頼性が大幅に向上し、アミン変性シリコーンオ
イルとブタジエン系ゴム粒子の併用によってアミン変性
シリコーンオイルの滲出が防止されることを見出し本発
明に到達した。
【0009】そして、上記各成分に加えて、さらにメル
カプト系シランカップリング剤を用いると、得られる封
止樹脂とリードフレームおよび半導体素子との接着性が
向上して、より一層耐湿信頼性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて詳しく説明する。
【0011】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成
分)と、アミン変性シリコーンオイル(C成分)と、ブ
タジエン系ゴム粒子(D成分)とを用いて得られるもの
であり、通常、粉末状もしくはそれを打錠したタブレッ
ト状になっている。
【0012】上記エポキシ樹脂(A成分)としては、特
に限定するものではなく、クレゾールノボラック型,フ
ェノールノボラック型,ビスフェノール型,ビフェニル
型等の各種のエポキシ樹脂を用いることができる。これ
らエポキシ樹脂のなかでも、特に融点が室温を超えてお
り、室温下では固形状もしくは高粘度の液状を示すもの
を用いることが好ましい。例えば、ノボラック型エポキ
シ樹脂としては、通常、エポキシ当量150〜250、
軟化点50〜130℃のものが用いられ、クレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量180
〜210、軟化点60〜110℃のものが一般に用いら
れる。
【0013】上記エポキシ樹脂(A成分)とともに用い
られるフェノール樹脂(B成分)は、上記エポキシ樹脂
(A成分)の硬化剤として作用するものであり、特に限
定するものではなく、フェノールノボラック,クレゾー
ルノボラック等があげられる。これらフェノール樹脂と
しては、水酸基当量が70〜150,軟化点が50〜1
10℃のものを用いることが好ましい。
【0014】上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール
樹脂(B成分)の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキ
シ基1当量あたり、フェノール樹脂中の水酸基が0.5
〜2.0当量となるように配合することが好ましい。よ
り好ましくは0.8〜1.2当量である。
【0015】上記A成分およびB成分とともに用いられ
るアミン変性シリコーンオイル(C成分)としては、特
に制限するものではなく半導体封止用樹脂組成物に配合
される一般的なアミン変性シリコーンオイルをそのまま
用いることができるが、特に下記の一般式(1)で表さ
れるアミン変性シリコーンオイルを用いることが好まし
く、この式(1)で表されるアミン変性シリコーンオイ
ルを用いることによりより高い信頼性を得ることができ
る。
【0016】
【化1】
【0017】上記式(1)において、R1 ,R2 は一価
のアミノ変性アルキル基であり、例えば、−C3 6
NH2 、−C6 4 −NH2 ,−C3 6 −NH−C2
4 −NH2 、−C3 6 −NH−CH3等があげられ
る。そして、R1 ,R2 は相互に同じであっても異なっ
ていてもよい。
【0018】また、上記式(1)において、繰り返し数
nは特に好ましくはn=0〜20の範囲である。
【0019】さらに、上記式(1)で表されるアミン変
性シリコーンオイルとしては、式(1)において、通常
n=0〜40の両末端アミノプロピル基変性ジメチルポ
リシロキサンが特に好ましく用いられる。なかでも好ま
しくはn=0〜20の両末端アミノプロピル基変性ジメ
チルポリシロキサンが用いられる。
【0020】上記一般式(1)で表されるアミン変性シ
リコーンオイル等のアミン変性シリコーンオイルは、従
来公知の製法により得ることができ、その配合量は、エ
ポキシ樹脂組成物全体の0.01〜1.0重量%(以下
「%」と略す)の割合に設定することが好ましく、より
好ましくは0.01〜0.3%である。すなわち、上記
アミン変性シリコーンオイルの配合量が0.01%未満
では半導体装置の耐湿信頼性の充分な向上効果がみられ
ず、また1.0%を超えるとエポキシ樹脂組成物の成形
性が低下する傾向がみられるからである。
【0021】上記A〜C成分とともに用いられブタジエ
ン系ゴム粒子(D成分)は、通常、メタクリル酸アルキ
ル,アクリル酸アルキル,ブタジエン,スチレン等の共
重合反応によって得られるものが用いられる。好適に
は、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合
体が用いられ、特にブタジエンの組成比率が70%以
下、メタクリル酸メチルの組成比率が15%以上のもの
が好ましい。さらに、上記ブタジエン系ゴム粒子として
は、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合
体、アクリル酸メチル−ブタジエン−ビニルトルエン共
重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸
メチル−ブタジエン−ビニルトルエン共重合体、ブタジ
エン−ビニルトルエン共重合体等をあげることができ
る。
【0022】また、上記ブタジエン系ゴム粒子として
は、コア−シェル構造を有するものが好ましい。このコ
ア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子は、核と
なるコア部分がブタジエン系ゴム類からなる粒子で形成
され、この核を被覆するよう核の外表面に、重合体樹脂
からなるシェル部分(外層)が形成されたゴム粒子であ
る。上記核の形成材料であるブタジエン系ゴム類として
は、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス等があげら
れる。また、上記核を被覆する外層の形成材料となる重
合体樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が70℃以
上となる重合体樹脂があげられ、この重合体樹脂は不飽
和二重結合を有する不飽和単量体の重合によって得られ
る。上記不飽和単量体としては、メタクリル酸メチル、
アクリロニトリル、スチレン等があげられる。このよう
なコア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子は、
例えば、水媒体重合法によって得られる。詳しく述べる
と、上記核の形成材料であるブタジエン系ゴム類と水を
配合し重合させて核となるブタジエン系ゴム粒子を調製
する。ついで、この水媒体中に、外層の形成材料となる
不飽和単量体を添加して上記核であるブタジエン系ゴム
類の表面に不飽和単量体を重合させ、重合体樹脂を上記
核の外周面上に積層形成することによってコア−シェル
構造を有するブタジエン系ゴム粒子が得られる。このよ
うなコア−シェル構造を有するブタジエン系ゴム粒子と
しては、コア(核)部分がスチレン−ブタジエン共重合
体からなり、シェル部分がメタクリル酸メチルからなる
ものが特に好ましく、その組成比は、前述のように、ブ
タジエンの組成比率が70%以下、メタクリル酸メチル
の組成比率が15%以上のものが好ましい。
【0023】このブタジエン系ゴム粒子(D成分)の配
合量は、エポキシ樹脂組成物全体の0.1〜4.0%の
割合に設定することが好ましく、より好ましくは0.1
〜2%である。すなわち、0.1%未満ではエポキシ樹
脂組成物の充分な低応力化効果が得られず、4.0%を
超えるとゴム粒子に含まれるイオン性不純物に起因する
半導体素子の信頼性の低下がみられ、さらにゴム粒子が
充分かつ均一に分散しなくなる傾向がみられるからであ
る。
【0024】さらに、上記A〜D成分に加えて、さら
に、シランカップリング剤を用いてもよい。このよう
に、シランカップリング剤を用いることにより、半導体
素子と封止樹脂との接着性の向上、リードフレームと封
止樹脂との接着性の向上、樹脂強度の向上という効果が
得られ、より一層好ましい。そして、上記シランカップ
リング剤としては、γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン等のアミノ系シランカップリング剤、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ系シ
ランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤等が
あげられる。なかでも、より一層の半導体素子と封止樹
脂との接着性の向上、リードフレームと封止樹脂との接
着性の向上、樹脂強度の向上という観点から、メルカプ
ト系シランカップリング剤が好ましく用いられる。
【0025】上記シランカップリング剤の配合量は、半
導体封止用エポキシ樹脂組成物全体の0.1〜1%の範
囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.2〜
0.5%である。すなわち、シランカップリング剤の配
合量が少な過ぎると、接着力の向上効果が乏しく、逆に
多過ぎると樹脂組成物の粘度の上昇やゲル化物の発生等
がみられる傾向があるからである。
【0026】なお、本発明に用いられるエポキシ樹脂組
成物には、上記A〜D成分およびシランカップリング剤
以外に必要に応じて硬化促進剤、無機質充填剤や、ブロ
ム化エポキシ樹脂等のハロゲン系の難燃剤や三酸化アン
チモン等の難燃助剤、カーボンブラック等の顔料等の他
の添加剤が適宜に用いられる。
【0027】上記硬化促進剤としては、アミン型,リン
型等のものがあげられる。アミン型としては、2−メチ
ルイミダゾール等のイミダゾール類、トリエタノールア
ミン,ジアザビシクロウンデセン等の三級アミン類等が
あげられる。また、リン型としては、トリフェニルホス
フィン等があげられる。これらは単独でもしくは併せて
用いられる。そして、この硬化促進剤の配合割合は、エ
ポキシ樹脂組成物全体の0.1〜1.0%の割合に設定
することが好ましい。さらに、エポキシ樹脂組成物の流
動性を考慮すると好ましくは0.15〜0.35%であ
る。
【0028】上記無機質充填剤としては、特に限定する
ものではなく、一般に用いられる石英ガラス粉末,シリ
カ粉末,アルミナ,タルク等があげられる。上記無機質
充填剤の配合量は、通常、エポキシ樹脂組成物全体の7
0〜85%の範囲に設定することが好ましい。
【0029】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
は、例えばつぎのようにして製造することができる。す
なわち、上記A〜D成分およびシランカップリング剤、
さらに他の添加剤を適宜配合して予備混合した後、ミキ
シングロール機等の混練機にかけ加熱状態で溶融混合
し、これを室温に冷却した後、公知の手段によって粉砕
し、必要に応じて打錠するという一連の工程により製造
することができる。
【0030】上記製造において、シランカップリング剤
を使用する場合、フェノール樹脂(B成分)とシランカ
ップリング剤とを予備反応させてもよい。この予備反応
の後、予備反応生成物を用い、残りの各成分とともに上
記製法に従って半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造
することもできる。
【0031】このようなエポキシ樹脂組成物を用いての
リードフレームに搭載された半導体素子の封止は、特に
制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の
公知のモールド方法により行うことができる。
【0032】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物
を封止材料として使用する場合、得られる半導体装置と
しては、封止樹脂との良好な接着性という観点から、上
記リードフレームのなかでも、パラジウムによる先付け
めっきリードフレーム(以下「Pd−PPF」という)
を用いた半導体装置が好ましくあげられる。
【0033】上記Pd−PPFとしては、銅あるいは銅
合金等のリードフレーム素体の表面にパラジウムめっき
が施されたものがあげられる。また、上記パラジウムめ
っき処理により形成されたパラジウムめっき層上に、さ
らに金めっきが施されたものがあげられる。通常、これ
らPd−PPFは封止樹脂との接着性に乏しいものであ
るが、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用い
た場合、この樹脂組成物により得られる封止樹脂とは接
着性に優れており、その結果、高い耐湿信頼性が得られ
るようになる。
【0034】このようにして得られる半導体装置は、封
止用樹脂組成物として用いられるエポキシ樹脂組成物中
に、ブタジエン系ゴム粒子がアミン変性シリコーンオイ
ルによって均一に分散されているため、低応力性に優
れ、しかも上記ゴム粒子の凝集物が形成されず優れた外
観を有するものである。さらに、アミン変性シリコーン
オイルの有する効果により、優れた耐湿信頼性を備えて
いる。そして、上記ブタジエン系ゴム粒子を用いること
によりアミン変性シリコーンオイルの滲出が防止され、
捺印性の低下を招くこともない。
【0035】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0036】まず、実施例に先立ってアミン変性シリコ
ーンオイルとして下記に示すものを準備した。
【0037】〔アミン変性シリコーンオイル〕下記の構
造式(2)で表される両末端アミノプロピル変性ジメチ
ルシロキサンを準備した。
【0038】
【化2】
【0039】
【実施例1〜6、比較例1】下記の表1に示す各原料
を、同表に示す割合で配合し、90〜110℃に加熱し
たロール混練機にかけて3分間溶融混練した。つぎに、
この溶融物を冷却した後粉砕し、さらにタブレット状に
打錠することにより半導体封止用エポキシ樹脂組成物を
得た。
【0040】
【表1】
【0041】このようにして得られた実施例品および比
較例品について、つぎのような測定を行った。まず、封
止樹脂の耐湿信頼性を評価するために、アルミニウム電
極を蒸着した半導体素子(サイズ:7mm×7mm)
を、80ピンのクワッドフラットパッケージ(「QFP
−80」と略す)用のリードフレーム(Pd−PPF:
銅合金素体に厚さ500μmのニッケルめっき層が形成
され、さらに厚さ50μmのパラジウムめっき層が形成
され、さらに厚さ80Åの金めっき層が形成されたも
の)に組み立てて、ワイヤーボンディングを行った。つ
いで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて樹脂封
止することにより半導体装置を得た。そして、この半導
体装置の初期の導通試験を行った後、さらにその合格品
を125℃/85%RHの高温高湿条件下に曝してバイ
アス電圧30Vをかけて〔プレッシャークッカーバイア
ス試験(PCBTテスト)〕、一定時間毎の抵抗値変化
率を測定した。この変化率が初期の2倍以上になったも
のを導通不良とし、全体の試験個数の半分が不良となる
時間を求めた。この結果を後記の表2および表3に示し
た。
【0042】さらに、封止樹脂の応力性を測定するた
め、ピエゾ素子(サイズ:7mm×7mm)を、QFP
−80用の上記と同様のフレームに組み立てて、ワイヤ
ーボンディングを行った後、半導体封止用エポキシ樹脂
組成物を用いて樹脂封止し、半導体装置を得た。そし
て、ピエゾ素子にかかる応力を素子の抵抗の変化により
計測した。この結果を後記の表2および表3に示した。
【0043】また、樹脂硬化物の熱膨張係数と弾性率を
測定するための試験片を作製し、それぞれ熱機械分析装
置および曲げ試験装置によりその物性を計測した。さら
に、樹脂硬化物の応力の指数を熱膨張係数と弾性率の積
により求めた。その結果を後記の表2および表3に併せ
て示した。
【0044】そして、上記各パッケージに通常のマーキ
ングインクによるマーキングを行いその捺印性を測定し
評価した。その結果を後記の表2および表3に併せて示
した。
【0045】さらに、上記で用いたリードフレームと各
実施例品および比較例品のエポキシ樹脂組成物からなる
樹脂硬化物との接着性を下記の方法に従って測定し評価
した。その結果を後記の表2および表3に併せて示し
た。
【0046】〔接着性〕まず、図1に示すような3層構
造(上型10,中型11,下型12)からなる成形型
の、中型11と下型12との間に測定用のフレーム13
(材質:銅合金素体に厚さ500μmのニッケルめっき
層が形成され、さらに厚さ50μmのパラジウムめっき
層が形成され、さらに厚さ80Åの金めっき層が形成さ
れた上記リードフレームと同様の材質・大きさ:3cm
×7cm)を挟持させたものを準備し、型内にエポキシ
樹脂組成物14を充填して図2に示す測定用のサンプル
を成形した。図2において、13は測定用のフレームで
あり、15は円錐台形状の樹脂硬化体(下面の直径1c
m、上面の直径<1cm)である。成形は、通常のモー
ルド条件と同じく、175℃×2分間の成形とし、さら
に175℃×5時間の硬化を行った。そして、得られた
サンプルを、図3に示すように、固定治具16に固定
し、フレーム13の端部を引張試験機17でチャック
し、樹脂硬化体15とフレーム13の剪断力を測定し
た。そして、この剪断力より樹脂硬化体15とフレーム
13の接着性を評価した。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】上記表2および表3の結果から、各実施例
品は、PCBTテストによる平均寿命が700時間と長
く耐湿信頼性に優れていることがわかる。また、ピエゾ
素子による応力性の測定結果から、各実施例品はパッケ
ージの長軸方向および短軸方向のいずれも低応力である
ことがわかる。さらに、実施例品は比較例品に比べて曲
げ弾性率および応力指数の全てに低い値であった。そし
て、捺印性では、比較例品は不良であったのに対して実
施例品は全て良好であった。さらに、各実施例品の接着
性に関しては、それぞれの値が比較例品と比べて高い値
を示しており、接着性に関しても優れたものであること
がわかる。
【0050】さらに、前記実施例1のエポキシ樹脂組成
物を用いて、前述と同様の半導体装置および樹脂硬化物
を作製し、前述と同様の特性を測定評価した。なお、測
定評価用のリードフレームとしては、最外層表面に金め
っき層が形成されておらず、銅合金素体に厚さ500μ
mのニッケルめっき層が形成され、さらに厚さ50μm
のパラジウムめっき層が形成されたものを用いた。その
結果、実施例1と略同様の良好な結果が得られた。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明は、エポキシ樹脂
組成物中にブタジエン系ゴム粒子(D成分)がアミン変
性シリコーンオイル(C成分)によって均一に分散され
た特殊な半導体封止用エポキシ樹脂組成物であり、この
エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子が樹脂封止され
た半導体装置である。このため、通常の配合,混練りを
行った樹脂組成物による封止樹脂よりも優れた低応力性
を備えている。さらに、アミン変性シリコーンオイル
(C成分)の撥水効果により優れた耐湿信頼性をも備え
ている。しかも、上記アミン変性アミン変性シリコーン
オイル(C成分)とブタジエン系ゴム粒子(D成分)を
併用することにより、パッケージ表面のアミン変性シリ
コーンオイル成分の滲出が防止されマーキングインクの
捺印性の低下が防止される。
【0052】さらに、前記A〜D成分とともに、メルカ
プト系シランカップリング剤を配合することにより、半
導体素子およびリードフレームと封止樹脂のより一層の
接着性の向上効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エポキシ樹脂組成物からなる樹脂硬化体の接着
性を評価する際に用いられる評価用サンプルの製造方法
を示す断面図である。
【図2】上記製造方法により得られた評価用サンプルを
示す斜視図である。
【図3】樹脂硬化体とフレームとの剪断力の測定方法を
示す説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 83:04 9:00)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)〜(D)成分を含有するエ
    ポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半
    導体装置。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フェノール樹脂。 (C)アミン変性シリコーンオイル。 (D)ブタジエン系ゴム粒子。
  2. 【請求項2】 上記(A)〜(D)成分に加えて、さら
    にメルカプト系シランカップリング剤が配合されている
    請求項1記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 下記の(A)〜(D)成分を含有する半
    導体封止用エポキシ樹脂組成物。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フェノール樹脂。 (C)アミン変性シリコーンオイル。 (D)ブタジエン系ゴム粒子。
  4. 【請求項4】 上記(A)〜(D)成分に加えて、さら
    にメルカプト系シランカップリング剤が配合されている
    請求項3記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
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