JPH1096699A - ガス検知素子及びガス測定装置 - Google Patents

ガス検知素子及びガス測定装置

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JPH1096699A
JPH1096699A JP26703696A JP26703696A JPH1096699A JP H1096699 A JPH1096699 A JP H1096699A JP 26703696 A JP26703696 A JP 26703696A JP 26703696 A JP26703696 A JP 26703696A JP H1096699 A JPH1096699 A JP H1096699A
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JP
Japan
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light
gas
thin film
measurement
detection
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JP26703696A
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English (en)
Inventor
Tomotsugu Sakai
智嗣 坂井
Masahiro Motoki
正広 本木
Takashi Doi
崇史 土井
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿度の影響を受けにくく、湿度補正の機構が
不要となり簡便にアンモニアを測定できるアンモニアの
検知素子及びアンモニアの測定装置を提供する。 【解決手段】 pH指示薬を含有する薄膜と該薄膜1を装
荷するための基体2とから構成され、雰囲気のアンモニ
アガス濃度に感応して該薄膜の光の透過率または反射率
が変化することを利用してアンモニアガスの存在を検知
するアンモニアガスの検知素子であって、上記薄膜1が
シリコン系酸化物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガス検知素子及び該
検知素子を用いたガス測定装置に関し、例えば以下のよ
うな装置等において、例えばアンモニアガス等の塩基性
ガス又はSOX ,酢酸等の酸性ガスの漏洩・監視等に適
用されるものである。 (1)化学プラント等のガス漏洩監視、及びプロセスガ
ス濃度監視に適用される。 (2)例えばアンモニアを冷媒として用いる冷凍装置等
の冷媒アンモニアガス漏洩監視に適用される。 (3)プラント等の排出ガス中の例えばアンモニアガス
等の濃度監視に適用される。 (4)例えばアンモニアガス等の濃度を測定する必要の
ある研究・開発に適用される。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
例えばアンモニアガス等の塩基性ガスを測定する技術と
しては、例えばガスクロマトグラフ法、定電位電解法、
検知管、検知テープ、半導体ガスセンサ等が知られてい
る。
【0003】ここで、上記ガスクロマトグラフ法は、装
置が大型化し、操作が簡便ではなく、連続測定に不向き
であると共に、価格が高いという、問題がある。また、
定電位電解法は電解液のメンテナンスが必要であり、あ
まり精度がよくないといった問題がある。また、検知管
と検知テープとを用いた場合には、その検出精度に問題
があり、連続測定ができない。更に、半導体ガスセンサ
による検出は、簡便であるが精度に問題があり、また高
濃度のアンモニアの連続測定には測定値のドリフトとい
った問題がある。
【0004】一方、ガスを検知する検知素子及びそれを
用いたアンモニアガスの測定装置が特開平5−3464
01号公報及び特開平7−243973号公報に開示さ
れている。上記特開平5−346401号公報等で開示
されている技術は、アンモニアガスの存在により、光の
吸収特性あるいは反射特性の変化する発色体を有機材料
に含有し、基体上に成膜してアンモニアガス検知素子を
構成したものであり、電磁気的雑音を受けにくい、検出
感度が高い、応答特性が良いといった特徴を有してい
る。しかし、上記特開平5−346401号公報等に開
示の技術では、検知素子の膜材料にポリマー材料を使用
しているため、湿度の影響も同時に受ける特徴があり、
アンモニアを高精度に測定するためには湿度の影響を排
除、あるいは補正する機構が必要になると共に、長期の
高湿度環境での使用においては、測定値のドリフトが予
想される。
【0005】上述したように、従来の技術では、アンモ
ニアガスを精度よく,応答性よく,電磁気的雑音を受け
にくく、且つ低コストで測定したい場合に、特開平5−
346401号公報等に開示の技術を用いると、湿度の
影響を受ける場合がある。
【0006】また、従来の金属酸化物半導体表面でのガ
ス吸着による電気伝導度変化を測定することを原理とす
るガス検知器の概略を図19を用いて説明する。その構
造は、一対の白金属合金コイル(例えばPd−Irコイ
ル)51,51の間に金属酸化物半導体(例えばSnO
2 の焼結体)5 2を挟み、上記コイル51の周囲を同様
な半導体材料で覆っている。
【0007】この検知器では、空気中でコイル51に通
電すると金属酸化物半導体52粒子の表面に空気中の酸
素が負イオンとして吸着し、内部の電子は表面の負イオ
ンに反発されて中央部に押しやられ、その通路が狭くな
るものである。ここに、例えばNH3 等のガスが吸着す
ると表面の酸素と反応して、酸素を奪い、表面酸素イオ
ン濃度が減少し、電子の通路は広くなって電流が流れや
すくなる。この電流変化を計測してガスを検知してい
る。
【0008】しかしながら、図19に示す従来のガス検
知器は、センシング部である白金属合金線コイル51に
通電しているため、通電状態の電気線がガスに直接触れ
ており、本質的な防爆性を有するものではなく、防爆性
を有するガス検知器が望まれている。
【0009】本発明は、上記問題に鑑み、湿度の影響を
受けにくく、湿度補正の機構が不要となり簡便にアンモ
ニアを測定でき、且つ防爆性を備えたガス検知素子及び
ガス測定装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1のガス検知素子は、pH指示薬を含有する薄膜と
該薄膜を装荷するための基体とから構成され、雰囲気の
ガス濃度に感応して該薄膜の光の透過率または反射率が
変化することを利用してガスの存在を検知するガス検知
素子であって、上記薄膜がシリコン系酸化物からなるこ
とを特徴とする。
【0011】本発明の第2のガス検知素子は、上記ガス
検知素子において、上記pH指示薬がブロムクレゾールパ
ープルであり、該pH指示薬の混入量は、薄膜に対して
0.1〜10重量%であり、上記薄膜がゾルゲル法で成
膜したシリコン酸化物であり、上記基体が可視光から近
赤外光の波長範囲で透明であるガラス基板であることを
特徴とする。
【0012】一方の本発明の第1のガス測定装置は、上
記第1又は第2のガスの検知素子と、所定の測定波長を
発する光源部、または、所定の測定波長の光のみを取り
出す分光手段を有する光源部と、上記ガスの検知素子に
光源部より発生した測定光を導入するための光入力手段
と、上記ガス検知素子より透過または反射してくる測定
光を導出するための光出力手段と、上記ガス検知素子よ
り導出した測定光を受光し、電気信号に変換する受光部
と、該受光部における測定光の変化量から、あらかじめ
求めてある検量線に従い雰囲気のガス濃度を算出する演
算部と、上記演算結果のガス濃度を出力する外部出力部
とを有することを特徴とする。
【0013】また、本発明の第2のガス測定装置は、上
記第1又は第2のアンモニアガスの検知素子と、所定の
測定波長を含む光を発生させる光源部と、上記ガス検知
素子に光源部より発生した光を導入するための光入力手
段と、上記ガス検知素子より透過または反射してくる光
を導出するための光出力手段と、所定の測定波長の光の
みを測定光として取り出す分光手段と、上記ガス検知素
子より導出した測定光を受光し、電気信号に変換する受
光部と、該受光部における測定光の変化量から、あらか
じめ求めてある検量線に従い雰囲気のガス濃度を算出す
る演算部と、演算結果のガス濃度を出力する外部出力部
とを有することを特徴とする。
【0014】また、本発明の第3のガス測定装置は、基
板の上にガスを検知するガス検知膜を設けた検知素子
と、保持体上に相対向して設けられると共に、上記検知
素子のガス検知膜面側に空間を有して該検知素子を挟む
ようにして配置され、光を90度曲げる一対のコーナ反
射器と、一方のコーナ反射器側の保持体内に設けられた
光源部と、他方のコーナ反射器側の保持体内に設けられ
た受光部とからなることを特徴とする。
【0015】本発明によれば、ガスの検知物質への吸着
・脱離による検知物質の光学特性の変化を利用して、光
学的にガスの存在を検知する手段を用いたことにより、
通電部を直接ガスに接触する必要がなくなり、防爆性が
向上する。また、検知光を屈曲させるコーナ反射器を相
対向して設け、発光部と受光部とを保持体内に埋め込
み、上記コーナ反射器で覆うようにしたので、発光部及
び受光部がガス雰囲気に曝されることがない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0017】本発明のガス検知素子は、pH指示薬を含有
するシリコン系酸化物の薄膜と該薄膜を装荷するための
基体とで構成され、測定雰囲気中に例えばアンモニアガ
スが存在する場合、該アンモニアガスが該薄膜に吸着解
離して該薄膜のpHを変化させ、含有されている指示薬の
変色、すなわち該薄膜の吸収スペクトル及び反射スペク
トルの変化をもたらす。
【0018】本発明のガス検知素子は、可視光から近赤
外光の波長範囲で透明なシリコン系酸化物を用いるた
め、例えばアンモニアガスの存在によって変化する該薄
膜の吸収スペクトル及び反射スペクトルの変化を光学的
な測定手段を用いて高精度に測定することができる。こ
こで、本発明で光学的な測定手段とは、光を該検知素子
に入力した後、該検知素子から透過してくる光を測定す
る透過法、該検知素子から反射してくる光を測定する反
射法、該検知素子が散乱する光を測定する散乱法、励起
光で該検知素子を照射することで放射される螢光を測定
する螢光法等をいう。
【0019】ここで、本発明のガス検知素子の薄膜の技
術内容は、上記アンモニアガス検知のみに限定されるも
のではなく、その他種々のアミン類,例えばメチルアミ
ン等の塩基性ガスの検知も可能であることは明らかであ
る。さらに、使用するpH指示薬を性質が塩基性であるも
のを選択するか、酸性のpH指示薬とpH調整するための塩
基とを選択し、該薄膜のpHを該pH指示薬の変色域の塩基
性側になるように設定すれば、例えば酢酸,H2 S,S
X ,HBr,HCl,HF,CO2 ,Cl2 等の酸性
ガスの検知も可能であることも明らかである。つまり、
本発明のガス検知素子の薄膜の技術内容は、一般の塩基
性ガスのみならず、酸性ガスの検知技術に適用できる。
【0020】なお、以下の説明では検知するガスとして
塩基性ガスの代表であるアンモニアを用いて本発明の内
容を説明する。
【0021】本発明のガス検知素子の薄膜のpHは、化学
的に中性なシリコン系酸化物に含有されるpH指示薬の性
質(酸性/塩基性、解離定数)、及び、pH指示薬の含有
量で決定される。本発明において、アンモニアガス検知
のためには、解離して酸性を示すpH指示薬を用いる。そ
して、該薄膜のpHが該pH指示薬の変色域の酸性側、ある
いは変色域よりも酸性側になるようにpH指示薬の含有量
を調節する。このようにアンモニアガスが存在しない場
合に、該薄膜のpHを該pH指示薬の変色域の酸性側に設定
すると、アンモニアガスが存在する場合に、気相中のア
ンモニアガスが該薄膜に吸着解離して該薄膜のpHを塩基
性側へ変化させるので、該薄膜の色調が塩基性側に変化
する。つまり、アンモニアガスの存在によって、該薄膜
の吸収スペクトル及び、反射スペクトルが変化するの
で、光学的な測定手段によってアンモニアガスの検知が
可能となる。
【0022】ここで、本発明で用いるpH指示薬として
は、塩基性ガスを検知する場合では、解離して酸性を示
す性質を有する酸性色素である例えばブロムクレゾール
パープル(JIS K8841 「BCP」)を例示す
ることができる。その他の指示薬としては、例えばブロ
ムクレゾールグリーン,ブロムフェノールブルー,ブロ
ムチモールブルー等を挙げることができるが、本発明で
はこれに限定されるものではない。また、酸性ガスを検
知する場合では、解離してアルカリ性を示すよう、上記
るブロムクレゾールパープル(BCP)に塩基性の塩
(例えば酢酸ナトリウム,炭酸ナトリウム等)を添加し
たものを例示することができるが、本発明ではこれに限
定されるものではない。
【0023】本発明のガス検知素子の薄膜は、例えば、
ゾルゲル法で成膜したシリコン系酸化物から構成されて
おり、pH指示薬はゾルゲル化の前段階でゾルゲル調整液
に規定量混入する。ゾルゲル調整液とは、例えば、シリ
コンのアルコキシド等を挙げることができ、基体に塗布
後、規定の熱処理によって加水分解・重縮合を行ない、
最終的には二酸化ケイ素になるものをいう。
【0024】本発明のガス検知素子の薄膜は、基体塗布
工程にスピンコート法、あるいはディップ法を用いるこ
とによって装荷するこができるため、塗布後の膜厚を制
御することが可能で、再現性もよい。したがって、ガス
検出感度に影響を与える膜厚を規定の厚みで製作できる
ので、複数個の検知素子の素子間の特性のばらつきを抑
えることができる。
【0025】本発明のガス検知素子の薄膜は、基体塗布
後、熱処理を施し、シリコン原子と酸素原子の網目構造
が強固になる結果、該薄膜は水、有機溶剤等によって一
時的に濡れることがあっても特性の変化を生じない。同
時に、該薄膜は常温付近においては高湿度の環境下に暴
露しても、特性の変化は認められなかった。ここで、上
記特性とは、薄膜材料にポリマーを用いた場合に報告さ
れているような、高湿度環境での吸収スペクトルの変化
を意味する。尚、本発明では、上記薄膜の製作工程に熱
処理工程を含むために、耐湿性が従来よりも向上するも
のと考えられる。熱処理の温度、時間、昇温速度、降温
速度等は、使用するpH指示薬の耐熱性、薄膜の膜厚、基
体材料等によって適宜所望な値を選択することができ
る。
【0026】本発明のガス検知素子は、検知部の形状を
薄膜にしているため、アンモニアガスの吸着脱離が速や
かに進行し、速い応答特性を有する。
【0027】本発明のガス検知素子は、気相中のアンモ
ニアガスが該薄膜に吸着解離したことによって生じる該
薄膜の吸収スペクトル及び、反射スペクトルの変化を化
学的に測定するものであるが、該薄膜に吸着するアンモ
ニアの量は気相中のアンモニアガス濃度に比例するた
め、アンモニアガス濃度の定量測定が可能である。ま
た、吸着量とガス濃度とは相平衡の関係にあるため、気
相中のアンモニアガス濃度が減少すれば、該薄膜に吸着
していたアンモニアは気相中に脱離していき、気相中に
アンモニアが存在しなくなったとき、該薄膜中のアンモ
ニアもすべて脱離し、該薄膜の吸収スペクトル及び、反
射スペクトルは初期値に回復する。すなわち、吸着脱離
現象を利用しているため、可逆的なアンモニアガスの検
知が可能で、オンライン計測等に適している。
【0028】本発明のガス検知素子は、基体材料とし
て、可視光から近赤外光の波長範囲で透明な材料、光の
反射率の高い材料、及び、光の散乱の多い材料のいずれ
でも用いることができる。ただし、用いる基体の光学特
性によって、選択できる光学的測定手段は限定される。
【0029】本発明のガス測定装置は、用いるpH指示薬
が吸収し得る波長の光を測定光として利用する。したが
って、測定波長に合致した光源部、または測定波長の光
のみを取り出す分光手段を有する光源部、あるいは測定
波長を含む光を発生させる光源部と、測定波長との光の
みを測定光として取り出す分光手段とを備えることによ
って、アンモニアガスの検知が可能となる。ここで、pH
指示薬の吸収する波長は一般に酸性側の吸収波長と塩基
性側の吸収波長の2種類があり、測定波長としていずれ
か一つの波長を選んでもよいし両方とも測定波長として
使用してもよい。
【0030】本発明のガス測定装置は、測定光を受光し
光の強度を電気的な信号に変換する受光部と、測定光の
変化量から、あらかじめ求めてある検量線にしたがい雰
囲気のアンモニアガス濃度を算出する演算部と、演算結
果のアンモニアガス濃度を出力する外部出力とを備えて
おり、アンモニアガス濃度を連続的に測定することがで
きる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面を参照し
て説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0032】〔実施例1〕図1は、本発明の第1実施例
に係るアンモニアガス測定装置の構成図である。図1
中、符号1は検知膜、2は基板、3は光源、4は光ファ
イバ、5はレンズ、6はレンズ、7は光ファイバ、8は
受光素子、9は演算部、10は外部出力部、11は入力
測定光、12は入力平行測定光、13は出力測定光及び
14は出力集光測定光を各々図示する。
【0033】ここで、上記検知膜1はpH指示薬を含有す
るシリコン系酸化物の薄膜である。先ず、該検知膜1の
製作方法を詳細に説明する。検知膜1の製作は、まずシ
リコンのアルコキシドを主成分としたゾルゲル調整液を
用意する。これは原材料から調整していってもよいが、
本実施例では「SOG」と呼ばれる市販品を使用した。
該SOGは詳しくは、米国アライド・シグナル社の製品
名「ACCUGLASS512」である。このSOGは
基板に塗布後、熱処理過程を経て、二酸化ケイ素(Si
2 )になる。
【0034】上記検知膜1に含有するpH指示薬として、
例えば、ブロムクレゾールパープル(JIS K884
1,以後「BCP」と略す。)を用いた。用意したゾル
ゲル調整液(本実施例ではSOG)に、上記BCPを混
入し、よく攪拌して均一に分散させる。ここで混入量
は、重量比で0.1〜10wt. %、特に好ましいのは
0.3〜3wt. %で、実施例では1wt. %である。BC
Pは分子量540で、変色域がpH=5.2〜6.8であ
り、解離して酸性を示し、その酸解離指数はpKa =6.
4である。通常の比色定量法におけるpH指示薬の使用量
は、指示薬自体が酸性あるいは塩基性を示すため、指示
薬によって溶液のpHが変化しない程度の極微量である。
しかし、本実施例では通常よりも大量にpH指示薬を混入
させ、指示薬量によって検知膜のpHの初期値制御をして
いる。
【0035】ここで指示薬量と検知膜のpHについて説明
しておく。水の平衡状態とBCPの平衡状態(pKa =
6.4)とを連立して解き、混入するBCPの量と溶液
の示すpHの関係を図2に示した。実施例の値を黒丸プロ
ットで示した。この図2から明らかであるが、BCPの
混入量が少ないとpHが高くなり変色域の塩基性側に寄っ
てしまい好ましくない。逆に、BCPの混入量が多すぎ
ると、安定した成膜が困難になり、好ましくない。
【0036】次に、BCPを混入したSOGをスピンコ
ート法で基板2上に装荷させる。本実施例において、基
板2としてはスライドガラスを用いた。スピンコート法
の条件は、基板2上にSOGを十分塗布した後、回転数
500rpmで2秒間、続いて回転数4,000rpm
で20秒間、続いて3秒間かけて回転を停止させる。こ
の条件で厚さ約500nmの均一な薄膜ができる。
【0037】次に、スピンコート法で薄膜を装荷した基
板2を熱処理する。熱処理条件は120℃以上の温度が
好ましい。ただし、使用するpH指示薬の耐熱温度を考慮
して温度の上限が決定され、200℃の熱処理条件では
BCPの脱色が進んだため、本実施例では熱処理条件を
150℃、1時間とした。
【0038】以上説明した方法により製作した検知膜1
は、初期値はBCPの変色域より酸性側のpHを示し、ア
ンモニアガスが存在するとアンモニアガス分子が検知膜
1に吸着解離して、検知膜1のpHを塩基性側に移動させ
て、検知膜1の色調を変化させる。雰囲気中のアンモニ
アガスを無くすと、検知膜1からアンモニアガスが脱離
して検知膜1のpHは初期値に回復するので、可逆的なア
ンモニアガスの検知が可能となる。以後、検知膜1と基
板2で構成される要素を、本発明では、「検知素子」と
呼ぶことにする。
【0039】ここで、検知膜1のアンモニアガスに対す
る色調の変化を詳細に説明する。検知膜1に含有されて
いるBCPの酸性側の吸収スペクトルはプロトンと結合
している指示薬色素H+ Dye- に由来し、そのスペク
トルは図3(a)のグラフに示すように、波長420n
m付近に吸収中心を示し、肉眼では黄色に見える。
【0040】一方、BCPの塩基性側の吸収スペクトル
は、プロトンが脱離した指示薬色素Dye- に由来し、
図3の(b)のグラフに示すような波長590nm付近
に吸収中心を持つ吸収スペクトルを示し、肉眼では紫色
に見える。初期状態ではすべてのBCPがH+ Dye-
になっているため、波長420nm付近の吸光度が最大
値を示し、波長590nm付近の吸光度が最小値を示
す。アンモニアガスの存在によって検知膜1のpHが塩基
性側に移動してBCPの一部がH+ Dye- からDye
- に変化することによって、波長420nmの吸光度が
減少し、波長590nm付近の測定光を使用して検知膜
1の光の透過率を測定すれば、透過率の変化をもとにア
ンモニアガスの検知が可能となる。さらに、あらかじめ
アンモニアガス濃度と透過率の変化量の関係を測定して
検量線を求めておけば、アンモニアガスの定量測定が可
能となる。
【0041】次に、本発明の検知素子の特徴である耐湿
性について述べる。前述の製作法で製作した検知素子の
吸収スペクトルを測定した結果を図4に示す。図4にお
いて実線は初期状態である。この検知素子を恒温恒湿器
を使用して温度25℃、相対湿度93%RHの雰囲気中
に1時間暴露した後の、吸収スペクトルが破線で示して
ある。
【0042】図4より、高湿度の環境下でも検知素子の
特性にほとんど影響が出ないことが分かり、検知素子が
耐湿性を有していることが明らかとなった。これは上述
したように、検知膜1の製作工程に熱処理工程が含まれ
ていることによるものと考えられる。
【0043】図1において、光線3としては、発光ダイ
オード(Light Emitting Diode)
を用いている。該発光ダイオードの発光中心波長は59
4nmであり、検知膜1のDye- に起因する吸光度を
測定するのに適当な波長である。尚、光源3は、発光ダ
イオードに限定されるものではなく、例えば黄色発光の
He−Neレーザー等でもよい。
【0044】なお、光ファイバ4はバンドルファイバで
コア径1mm、波長594nmの入力測定光11を伝送
するのに十分透明である。光ファイバ4から出射した入
力測定光12はレンズ5によって平行化され、入力平行
測定光13として検知膜1と基板2で構成される検知素
子に入力される。該検知素子を透過した出力測定光13
はレンズ6で集光され、光ファイバ7に入力される。光
ファイバ7は光ファイバ4と同質であり、該光ファイバ
7から出射された出力集光測定光14は受光素子8で受
光され、光の強度に応じた電気信号に変換される。電気
信号は演算部9で処理され、あらかじめ求めてある検量
線にしたがいアンモニアガス濃度が算出される。外部出
力部10では適当な出力形態でアンモニアガス濃度を出
力する。ここで、レンズ5及びレンズ6は、光の利用効
率を向上させる役割をしているわけであるが、レンズ5
及びレンズ6が無くても、受光素子8の受光レベルが必
要量以上とれるのならば、レンズ5及びレンズ6を省略
しても構わない。
【0045】以上説明した構成要素によってアンモニア
測定装置が構成されている。この装置でアンモニアガス
を検知した結果、アンモニアガス濃度100ppmに対
して出力測定光14は、13%の減衰を示した。また、
アンモニアガス濃度10ppmに対しては同様に6%の
減衰を示した。アンモニアガス濃度の作業環境基準値は
25ppmであるため、本発明のアンモニアガス測定装
置で作業環境を十分に監視できることは明らかである。
【0046】〔実施例2〕次に、実施例2の内容を図5
を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる要素の
みを説明し、同一部材については同一符号を付して重複
した説明は省略する。
【0047】本実施例では、光源16として、測定光波
長を含む白色、あるいは波長帯域の広いものを用いた。
例えば、電球とか、白色LEDである。上記光源16か
ら放射された入力光15は測定光波長を含む光である。
光源16と光ファイバ4との間に設けた分光素子17
は、測定光波長のみを取り出す働きをするものであり、
例えば、干渉フィルター、分光器等である。上記光ファ
イバ4に入力される入力測定光11は、上記分光素子1
7によって取り出された測定光波長のみの単一波長の光
である。他の要素は実施例1と同じである。
【0048】この構成にすることによって、検知膜1に
用いるpH指示薬の選択の幅を広げることができる。これ
は、pH指示薬ごとに吸収波長が異なり、現状、一般に入
手できるLED光源、あるいはレーザー光源の波長が限
定されていることから生じるpH指示薬と光源の組み合わ
せが限定されてしまうという課題を克服できる。
【0049】〔実施例3〕次に、実施例3の内容を図6
を用いて説明する。ここでは、実施例2と異なる要素の
みを説明し、同一部材については同一符号を付して重複
した説明は省略する。
【0050】光源16から放射されたレンズ5を介して
平行光となった測定光波長を含む入力光19は検知素子
を透過後、出力光20となるが、アンモニアが存在する
場合には測定光波長の光のみ減衰を生じている。光ファ
イバ7から出力された出力光21は、受光素子8の手前
に設けられた分光素子17によって測定光波長のみ取り
出されて測定光22となり、上記受光素子8で受光され
る。分光素子17は、例えば、干渉フィルター、分光器
等である。他の要素は実施例2と同じである。
【0051】この構成にすることによって、検知膜に用
いるpH指示薬の選択の幅を広げることができる。これ
は、pH指示薬ごとに吸収波長が異なり、現状、一般に入
手できるLED光源、あるいはレーザー光源の波長が限
定されていることから生じるpH指示薬と光源の組み合わ
せが限定されてしまうという課題を克服できる。
【0052】〔実施例4〕次に、実施例4の内容を図7
を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる要素の
みを説明し、同一部材については同一符号を付して重複
した説明は省略する。本実施例では、検知素子の構成を
図7のように、基板2の両面に検知膜1,1を各々装荷
するようにする。この構成にすることによって、入力測
定光12は検知膜を2回透過するようになるため、例え
ば、アンモニアガス濃度10ppmに対して実施例1で
は6%の減衰が観測されるのに対して、実施例4では1
2%の減衰となる。したがって信号の変化量を大きくで
きるため、精度向上、及び、検出感度向上が達成でき
る。検知素子の製作方法はまず、第一の検知膜を実施例
1で説明した方法で熱処理工程まで実施して製作した
後、基板2の反対側に第2の検知膜1を同様な方法で製
作する。本発明の検知膜は堅牢であるのでこのような製
作方法が可能となる。
【0053】〔実施例5〕次に、実施例5の内容を図8
を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる要素の
みを説明し、同一部材については同一符号を付して重複
した説明は省略する。
【0054】図8に示すように、検知膜1と基板2から
なる検知素子を、複数個互いに平行に配置する。この構
成によって、入力測定光12は複数回の減衰を受けるた
めに、実施例4と同様に、信号の変化量を大きくできる
ため、精度向上、検出感度向上が達成できる。出力測定
光14の減衰量はデシベル表示で、検知素子の個数nに
比例する。したがって、原理上、nを増やすことで検出
感度は向上する。しかし、出力測定光14の強度を受光
素子8の検出限界以上にする必要があるので、nには上
限値がある。また、検知素子はアンモニアガスの吸着脱
離を損なわないように適当な間隔で相互に配置する必要
がある。
【0055】実施例5ではn=5としてアンモニア検出
を検証した。n=5の場合のアンモニアガス濃度と出力
測定光14の強度の測定結果を図9に示す。図9では横
軸にアンモニアガス濃度(ppm)、縦軸に出力測定光
14の強度の減衰量をデシベル表示(dB)でセンサ出
力として示してある。この結果からアンモニアガス濃度
が増加すると、出力測定光14の強度が減衰していくの
で、アンモニアガスの検知が可能であることが分かる。
また、n=5としたことによって、アンモニアの作業環
境基準値25ppmだけでなく、悪臭防止法で規定され
ているアンモニアガス濃度5ppmの検知も可能とな
り、検出感度の向上が確認できた。
【0056】ここで、アンモニアガスの定量測定のため
の検量線について詳細に説明する。図10の黒丸プロッ
トは図9の測定データの縦軸と横軸を入れ替えて表示し
たものである。横軸はデシベル表示をリニア表示に変換
してある。図10の実線は適当な関数で黒丸プロットを
フィッチングした結果である。フィッチング関数を用い
れば、出力測定光14の強度を測定することによって、
アンモニアガス濃度の測定値を得ることができる。図1
0では3次の多項式関数を用いた。
【0057】〔実施例6〕次に、実施例6の内容を図1
1を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる要素
のみを説明し、同一部材については同一符号を付して重
複した説明は省略する。
【0058】実施例1では光の伝送手段として光ファイ
バ4及び光ファイバ7を用いていた。この構成によって
検知素子周辺は光のみを使用するため、電磁気的雑音に
強く防爆といった特徴が生じた。ただし、使用環境によ
っては、電磁気的雑音レベルが低く、また防爆の必要が
ない場合もある。この場合には上記光ファイバ4,7を
必ずしも使用しなくてよい。これによって、光ファイバ
を省略する結果、低コスト化を図ることができる。
【0059】本実施例では、図11で示すように、光源
3から放射された入力測定光11は、直接レンズ5で平
行化されて入力平行測定光12となって検知素子を透過
し、該検知素子からの出力測定光13はレンズ6で集光
されて出力集光測定光14となって受光素子8で受光さ
れる。このときレンズ5及びレンズ6は、光の利用効率
を向上させる役割をしているわけであるが、レンズ5及
びレンズ6がなくても、受光素子8の受光レベルが必要
量以上とれるのならば、レンズ5及びレンズ6を省略し
ても構わない。
【0060】〔実施例7〕次に、実施例7の内容を図1
2を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる要素
のみを説明し、同一部材については同一符号を付して重
複した説明は省略する。
【0061】図12に示すように、光源3から放射され
た入力測定光11は分岐素子26によって、入力測定光
24と参照光25とに一定の割合で分岐される。入力測
定光24は光ファイバ4に入力され、以後の動作は実施
例1と同じである。参照光25は受光素子27で受光さ
れ、光の強度に応じた電気信号に変換されて演算部9に
参照信号として送られる。分岐素子26は、例えば、プ
リズム、半透過ミラー、光ファイバ式1×2カップラー
等が使用可能である。分岐素子26の特性としては、入
力測定光24の強度の方が参照光25よりも強くなるよ
うな特性が望ましい。演算部9では受光素子8から送ら
れてくる信号と、受光素子27から送られてくる参照信
号とを処理して、光源3の発光強度の変動を打ち消す演
算を行った後、出力測定光14の減衰量からアンモニア
ガス濃度を算出する演算を行う。以上説明した構成によ
れば、何等かの理由によって光源3の発光強度が変動し
ても、検知素子の減衰量だけを取り扱うことができるた
め、ガス検出の安定性が向上する。
【0062】〔実施例8〕次に、実施例8の内容を図1
3を用いて説明する。ここでは、実施例7と異なる要素
のみを説明し、同一部材については同一符号を付して重
複した説明は省略する。
【0063】本実施例では、検知素子の基板2に温度セ
ンサ28が熱的に接触するように配置されている。該温
度センサ28によるその測定温度は検知素子の温度と同
一であり、演算部9に温度データが送られるようになっ
ている。これは、検知素子のアンモニアガス検出感度は
温度依存性を持つので、あらかじめ検知素子の温度依存
性を測定しておくことによって、演算部で温度センサ2
8から送られてくる温度データを用いて温度補償を行
い、検知素子の環境温度変動に起因する測定値のドリフ
トを解消することができるようにするためである。ここ
での検出感度の温度依存性は主に、ガスの溶解度が温度
依存性を持つことに起因している。つまり、温度が上昇
すると溶解度が減少し、見掛上、ガス濃度が減少したよ
うになる。
【0064】以上説明した構成によって、検知素子の環
境温度に左右されることなく安定してアンモニアガスの
測定が可能となる。
【0065】実施例8の構成で試作したアンモニアガス
の測定装置でアンモニアを測定した例を図14に示す。
このデータは図13における外部出力部10からの出力
をオシロスコープで観察した写真である。外部出力部1
0からはガス濃度1ppm当たり10mVの直流電圧が
出力されるようになっている。図14に示すように、検
知素子周辺にアンモニアガスを漏洩させた後、換気扇を
回して、アンモニアガスを拡散させた様子が、本発明の
測定装置によって追跡できていることが判明した。この
結果から応答速度は10秒程度であることが分かった。
【0066】〔実施例9〕次に、実施例9の内容を図1
5を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる要素
のみを説明し、同一部材については同一符号を付して重
複した説明は省略する。
【0067】図15において、本実施例では、上述した
実施例と異なり、検知膜1は基板2上に設けた導波層2
3の表面上に作製し、検知素子としている。上記導波層
23は、ガラス基板2の表面をイオン交換法によって作
製したものであり、深さ約1μm程度である。なお、こ
の作製法は既知である。上記装置において、入力平行測
定光12は一方の端面から導波層23に入力され、該導
波層23を伝搬した後、反対側の端面から出力され、出
力測定光13となる。ここで、上記導波層23を伝搬す
る光の電界分布は、検知膜1中にも存在するので、アン
モニアガスの存在によって減衰を受け、ガスの検知が可
能となる。さらに、上述した実施例1のように、検知膜
1に対して光が直交する方向に透過する構成では、該検
知膜1の膜厚500nmが作用長となるわけであるが、
本実施例9のように、基板2の表面に平行な方向に光を
伝搬させることによって、その作用長をより長くするこ
とが可能となり、検出感度の向上が達成できる。なお、
検知膜1の厚みに依存する応答特性は実施例1〜8の場
合と同じである。
【0068】実施例9の場合、アンモニアの検知試験を
実施したところ、検知膜1の長さ1cmにつき、アンモ
ニアガス濃度1ppmに対して、出力測定光14の減衰
量は−3dBを示した。この結果から本構成によってア
ンモニアガス測定装置の高感度化が達成できることが明
らかとなった。
【0069】本実施例の構成によるアンモニアガスの検
出感度は最高100ppb程度であった。
【0070】〔実施例10〕次に、実施例10の内容を
図16を用いて説明する。ここでは、実施例1と異なる
要素のみを説明し、同一部材については同一符号を付し
て重複した説明は省略する。
【0071】本実施例では、検知素子はその検知膜1面
側に空間を有し、保持体34上に相対向して設けられた
コーナ反射器35A及びコーナ反射器35Bに挟まれて
配置されており、一方のコーナ反射器35A側には、発
光素子36及びレンズ37からなる光源部38が設けら
れており、他方のコーナ反射器35B側には、光学フィ
ルタ39及び受光素子40からなる受光部41が設けら
れている。
【0072】上記コーナ反射器35A及びコーナ反射器
35Bにより、保持体34内に埋め込まれた光源部38
及び受光部41の上面を覆っており、これらがガス雰囲
気に曝されることが防止されている。
【0073】上記光源部38の発光素子36の出射面に
設けたレンズ37は、該発光素子36からの出射光を平
行光とするものであり、該レンズ37によって平行光と
なった検知光42は第1コーナ反射器35Aによってガ
ス検知素子側に90度曲げられている。この90度曲げ
られた検知光42は検知膜1及び基板2を透過した後、
第2コーナ反射器35Bにより、ここで受光部41側に
90度曲げられている。
【0074】この90度曲げられた検知光42は、受光
素子40の上面に設けた光学フィルタ39により所定の
光のみが受光素子40へ送られ、測定光としてここで光
の強度に応じた電気信号に変換される。尚、図16中、
符号43は発光素子用電極及び44は受光素子用電極を
各々図示する。
【0075】上記発光素子36としては、AlInGa
Pを主成分とした発光ダイオード(例えばヒューレッド
パッカード社製、「HLMA−CL00」発光波長:5
94nm)を用いることができる。なお、光源部38は
上記発光ダイオードに限定されるものではなく、例えば
黄色発光のHe−Neレーザ等でもよい。
【0076】上記光学フィルタ39は、検知光42以外
の光により検知器が誤動作することを防止するものであ
り、一般に市販されている誘電体多層膜フィルタやそれ
を応用した干渉フィルタを用いることができる。
【0077】上記コーナ反射器35A,35Bは、石英
ガラス製の光学ガラスや、PMMA(ポリメタクリレー
ト)等の光学プラスチックを材料として用い、研磨・型
抜き等の一般的な手段により、成型・加工してなるもの
である。
【0078】上記装置において、発光素子36から出射
した検知光42は、レンズ37で平行光に変更され、コ
ーナ反射器35Aを介して90度方向を変えられ、検知
膜1に入射する。このとき、塩基性のガス(例えばアン
モニアガス)が雰囲気中に存在している場合、検知膜1
はアンモニアガスを吸着・解離し、その結果、検知膜1
のpHが塩基性側へシフトする。そして、水素イオンと
結合していた色素から水素イオンが脱離し、アンモニウ
ムイオンと結合する。このアンモニウムイオンと結合し
た色素は、本実施例では590nm近傍に吸収を有する
ので、590nm付近の光の透過率が減少し、基板2へ
通り抜ける検知光42の光量が減衰する。
【0079】この光量の減衰は、アンモニアガス濃度に
依存するので、あらかじめ、例えば図10に示すような
検量線を作成しておけば、減少量よりアンモニアガス濃
度を算出することができる。
【0080】この検知光42は、コーナ反射器35Bに
より90度曲げられた後、590nm付近の光のみを通
す光学フィルタ39を通過して、受光素子40に入り、
光学変換作用により、電気信号に変換される。この電気
信号は、受光素子40に入る光量に比例するため、ガス
の有無により変換光量を電気信号として読みだすこと
で、ガスを検知できる。
【0081】本実施例によれば、コーナ反射器35A,
35Bを設けることにより、光源部38及び受光部41
がガス雰囲気に曝されないものとなると共に、装置のコ
ンパクト化を図ることができる。
【0082】〔実施例11〕図17に実施例11のガス
測定装置の要部概略図を示す。図17に示すガス測定装
置は、上述した実施例4を適用したものであり、基板の
両面にガス検知膜を形成したものである以外は、図16
に示す実施例10のガス検知器と同様な構成であるの
で、同一部材には同一符号を付してその内容の説明は省
略する。図17に示すように、本実施例では、基板2の
両側に検知膜1を形成している。このような構成とする
ことにより、検知光42は検知膜を二回透過し、これに
よりガスの検知感度を向上させことができる。この構成
にすることによって、検知光42は検知膜1を2回透過
するようになるため、例えば、アンモニアガス濃度10
ppmに対して実施例10では6%の減衰が観測される
のに対して、実施例11では12%の減衰となる。
【0083】〔実施例12〕図18に実施例12のガス
測定装置の要部概略図を示す。図18に示すガス測定装
置は、コーナ反射器の表面に反射膜を設けてある以外
は、図16に示す実施例10のガス測定装置と同様な構
成であるので、同一部材には同一符号を付してその内容
の説明は省略する。図18に示すように、本実施例で
は、検知素子の両側に設けられるコーナ反射器35A,
35Bの相対向する端面に、反射コーティング45を施
して、検知光42を複数回多重反射させることもでき
る。このような構成とすることにより、検知光42が複
数回反射されて、ガスの検知感度を向上させことができ
る。
【0084】
【発明の効果】本発明のガス検知素子は、pH指示薬を含
有する薄膜にシリコン系酸化物を用い、その製作工程で
熱処理工程が含まれるため、耐湿性が高くなる効果を生
じた。
【0085】本発明のガス検知素子を用いて構成したガ
ス測定装置は、例えばアンモニアガス等の被検知ガスを
感度よく、精度よく、応答性よく、電磁気的雑音を受け
にくく、低コストで、さらに湿度の影響を受けにくく測
定することが可能となった。
【0086】本発明のガス測定装置は、光源の変動、及
び、検知素子の環境温度の変動といった要因を補正する
機構を備えているため、安定して、ガス濃度の測定をお
こなうことが可能となった。
【0087】また、本発明によれば、ガスの検知物質へ
の吸着・脱離による検知物質の光学特性の変化を利用し
て、光学的にガスの存在を検知する手段を用いたことに
より、通電部を直接ガスに接触する必要がなくなり、防
爆性が向上する。
【0088】また、検知光を屈曲させるコーナ反射器を
相対向して設け、発光部と受光部とを保持体内に埋め込
み、上記コーナ反射器で覆うようにしたので、発光部及
び受光部がガス雰囲気に曝されることがなく、また装置
のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るガス測定装置の構成
図である。
【図2】本発明の検知膜のpH指示薬混入量とpHの関係を
示す計算結果を示す図である。
【図3】本発明の検知膜の酸性側と塩基性側の吸収スペ
クトル測定結果を示す図である。
【図4】本発明の検知素子の耐湿性を示す吸収スペクト
ル測定結果を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るガス測定装置の構成
図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るガス測定装置の構成
図である。
【図7】本発明の第4実施例に係るガス測定装置の構成
図である。
【図8】本発明の第5実施例に係るガス測定装置の構成
図である。
【図9】アンモニアガス濃度と減衰量の関係との測定結
果を示す図である。
【図10】アンモニアガス濃度算出のための検量線を示
す図である。
【図11】本発明の第6実施例に係るガス測定装置の構
成図である。
【図12】本発明の第7実施例に係るガス測定装置の構
成図である。
【図13】本発明の第8実施例に係るガス測定装置の構
成図である。
【図14】アンモニアガス測定装置で測定した結果の一
例を示す図である。
【図15】本発明の第9実施例に係るガス測定装置の構
成図である。
【図16】本発明の第10実施例に係るガス測定装置の
概略図である。
【図17】本発明の第11実施例に係るガス測定装置の
概略図である。
【図18】本発明の第12実施例に係るガス測定装置の
概略図である。
【図19】従来のガス検知器の概略図である。
【符号の説明】
1 検知膜 2 基板 3 光源 4 光ファイバ 5 レンズ 6 レンズ 7 光ファイバ 8 受光素子 9 演算部 10 外部出力部 11 入力測定光 12 入力平行測定光 13 出力測定光 14 出力集光測定光 15 入力光 16 光源 17 分光素子 19 入力光 20 出力光 21 出力光 22 測定光 23 導波層 24 入力測定光 25 参照光 26 分岐素子 27 受光素子 28 温度センサ 34 保持体 35A,35B コーナ反射器 36 発光素子 37 レンズ 38 光源部 39 光学フィルタ 40 受光素子 41 受光部 42 検知光 43 発光素子用電極 44 受光素子用電極 45 反射コーティング 51 コイル 52 金属酸化物半導体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH指示薬を含有する薄膜と該薄膜を装荷
    するための基体とから構成され、雰囲気のガス濃度に感
    応して該薄膜の光の透過率または反射率が変化すること
    を利用してガスの存在を検知するガス検知素子であっ
    て、 上記薄膜がシリコン系酸化物からなることを特徴とする
    ガス検知素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガス検知素子において、 上記pH指示薬がブロムクレゾールパープルであり、 該pH指示薬の混入量は、薄膜に対して0.1〜10重量
    %であり、 上記薄膜がゾルゲル法で成膜したシリコン酸化物であ
    り、 上記基体が可視光から近赤外光の波長範囲で透明である
    ガラス基板であることを特徴とするガス検知素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のガス検知素子と、 所定の測定波長を発する光源部、または、所定の測定波
    長の光のみを取り出す分光手段を有する光源部と、 上記ガスの検知素子に光源部より発生した測定光を導入
    するための光入力手段と、 上記ガス検知素子より透過または反射してくる測定光を
    導出するための光出力手段と、 上記ガス検知素子より導出した測定光を受光し、電気信
    号に変換する受光部と、 該受光部における測定光の変化量から、あらかじめ求め
    てある検量線に従い雰囲気のガス濃度を算出する演算部
    と、 上記演算結果のガス濃度を出力する外部出力部とを 有することを特徴とするガスの濃度を定量的に測定する
    ガス測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のガス検知素子と、 所定の測定波長を含む光を発生させる光源部と、 上記ガス検知素子に光源部より発生した光を導入するた
    めの光入力手段と、 上記ガス検知素子より透過または反射してくる光を導出
    するための光出力手段と、 所定の測定波長の光のみを測定光として取り出す分光手
    段と、 上記ガス検知素子より導出した測定光を受光し、電気信
    号に変換する受光部と、 該受光部における測定光の変化量から、あらかじめ求め
    てある検量線に従い雰囲気のガス濃度を算出する演算部
    と、 演算結果のガス濃度を出力する外部出力部とを有するこ
    とを特徴とするガスの濃度を定量的に測定するガス測定
    装置。
  5. 【請求項5】 基板の上にガスを検知するガス検知膜を
    設けた検知素子と、保持体上に相対向して設けられると
    共に、上記検知素子のガス検知膜面側に空間を有して該
    検知素子を挟むようにして配置され、光を90度曲げる
    一対のコーナ反射器と、一方のコーナ反射器側の保持体
    内に設けられた光源部と、他方のコーナ反射器側の保持
    体内に設けられた受光部とからなる、ことを特徴とする
    ガス測定装置。
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