JPH1095877A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH1095877A
JPH1095877A JP25490396A JP25490396A JPH1095877A JP H1095877 A JPH1095877 A JP H1095877A JP 25490396 A JP25490396 A JP 25490396A JP 25490396 A JP25490396 A JP 25490396A JP H1095877 A JPH1095877 A JP H1095877A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可撓性、高難燃性、燃焼時にハロゲンガスな
どの有害ガスの発生が無いなど低公害性を保持しつつ、
機械的特性の向上した難燃性樹脂組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 下記の(イ)〜(ニ)の条件を満足する
エチレン(共)重合体からなる樹脂成分100重量部に
対して無機系難燃剤30〜200重量部を含むことを特
徴とする難燃性樹脂組成物: (イ)密度(d)0.86〜0.97g/cm3 、(ロ)メルト
フローレート(MFR)0.01〜200g/10分、
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)が 1.5〜 4.5、(ニ)
組成分布パラメーター(Cb)が 1.01〜 1.2。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難然性樹脂組成物に
関する。さらに詳しく言えば、特定の分子量分布および
組成分布の狭いエチレンの単独重合体またはエチレンと
炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(本明細
書においては、これら単独重合体または共重合体を、一
括してエチレン(共)重合体という。)と無機無リン系
難燃剤あるいは無機無リン系難燃剤と赤リン、あるいは
これらに加えてオレフィン系重合体および官能基を含む
組成物であって、可撓性を有し、耐熱性、機械的特性が
優れるとともに、燃焼時にハロゲンガスなどの有害ガス
の発生が無い難然性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂は物理的性質およ
び化学的性質に優れ、押出し成形、射出成形などの種々
の成形方法でフィルム、シート、パイプ、容器、被覆電
線(以下、単に電線という。)、ケーブルなどに成形さ
れ、家庭用、工業用として多くの用途に用いられる最も
需要の多い汎用樹脂である。しかし、上記オレフィン系
樹脂は、易燃性であるため、これを難燃化するための方
法が従来より種々提案されている。その最も一般的な方
法はポリエチレン系樹脂にハロゲンまたはリン系などの
有機系難燃剤を添加することにより難燃化する方法であ
る。
【0003】しかしながら、これらの難燃剤は少量の配
合量で効果を有するものの、燃焼時に有害なハロゲンガ
スを発生するという欠点を有している。そこで最近で
は、燃焼時に有害ガスの発生が無く、低発煙性で、無公
害型の難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウムなどの無機金属化合物の水和物を添加する方法が
種々検討されている(特開平2-53845 号公報、特開平2-
145632号公報)。
【0004】しかるに、無機系難燃剤を使用した難燃性
樹脂組成物においては、その難燃性を高めるためには無
機系難燃剤を多量に充填する必要がある。しかし、充填
量を増やすと機械的強度や可撓性、加工性が低下するた
め実用上難点があり、これを改良するために軟質ポリオ
レフィン系樹脂を高濃度で配合して無機系難燃剤の受容
量を高める技術も開示されている(米国特許 4722959
号,米国特許 4845146号)。
【0005】しかし、かかる軟質樹脂を多量に含む難燃
性樹脂組成物は、一般的な電線、ケーブル、保護管、ジ
ョイントカバーなどの電気材料、シート、床材などの内
装材などにおいて一応の成功をおさめているものの、自
動車、車両、航空機、船舶、産業用ロボット用などの電
線、ケーブルあるいはキャビネット、ボックスなどの成
形品などを製造する場合、製造作業時、運搬時および使
用時などに受ける過酷な高温、低温、振動などのため
に、外傷を受けやすく、機械的強度、耐摩耗性などの改
善が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、フィルム、シート、容器、電線、ケーブル、バッキ
ング、シール剤、ホース類、射出成形品などの成形用途
として利用される樹脂組成物であって、機械的強度、可
撓性、加工性、高度の難燃性を保持させながら耐熱性、
機械的特性、耐摩耗性を向上せしめたバランスの良い諸
物性を保有する難燃性樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の第1発明は、 (A)下記(イ)〜(ニ)の条件を満足するエチレン
(共)重合体からなる樹脂成分100重量部に対して
(B)無機無リン系難燃剤30〜200重量部を含むこ
とを特徴とする難燃性樹脂組成物である: (イ)密度(d)0.86〜0.97g/cm3 、(ロ)メルト
フローレート(MFR)0.01〜200g/10分、
(ハ)分子量分布(Mw/Mn) 1.5〜 4.5、(ニ)組
成分布パラメーター(Cb)1.01〜 1.2。
【0008】また、本願の第2発明は、前記樹脂成分と
して前記第1発明に記載の(A)の(イ)〜(ニ)の条
件を満足するエチレン(共)重合体2重量%以上と、
(A’)として以下の(A’1)〜(A’3)から選ば
れる少なくとも1種類のオレフィン系重合体98重量%
未満以下を含む樹脂成分100重量部に対して、(B)
無機無リン系難燃剤30〜200重量部を含むことを特
徴とする難燃性樹脂組成物である: (A’1)前記(イ)〜(ニ)の条件を満足するエチレ
ン(共)重合体とは異なるエチレン・α−オレフィン共
重合体、(A’2)高圧ラジカル重合法によるエチレン
系共重合体、(A’3)ゴム。
【0009】さらに、本願の第3の発明は、前記樹脂成
分(A)、(A’)または(A)+(A’)の少なくと
も一部が、下記(a)〜(f)から選択される少なくと
も一種の官能基を、樹脂成分1g当たり10-7〜5×1
-4モル含有していることを特徴とする前記第1または
第2発明の難燃性樹脂組成物である: (a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基、(b)
エポキシ基、(c)ヒドロキシル基、(d)アミノ基、
(e)アルケニル環状イミノエーテル基、(f)シラン
基。
【0010】さらに、本願の第4の発明は、難燃剤とし
て、さらに前記樹脂成分100重量部に対して赤リン
0.1〜20重量部を含む前記第1乃至第3発明のいずれ
かの難燃性樹脂組成物である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おけるエチレン(共)重合体(A)とは、分子量分布や
組成分布が狭く、シクロペンタニル骨格を有する配位子
を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助
触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む触媒の存
在下にエチレン単独あるいはエチレンと炭素数3〜20
のα−オレフィンとを共重合させることにより得られる
ものである。また、上記触媒に予めエチレンおよび/前
記α−オレフィンを予備重合させて得られるものを触媒
に供してもよい。
【0012】上記α−オレフインとしては、炭素数が3
〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的には
プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘ
キセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1
などが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含
有量は、通常30モル%以下、好ましくは5〜25モル
%の範囲で選択されることが望ましい。
【0013】本発明の上記エチレン(共)重合体を製造
する触媒であるシクロペンタジエニル骨格を有する配位
子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシクロペン
タジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シ
クロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエ
ニル基としては、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル
基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シ
アノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲ
ン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少
なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニ
ル基等が挙げられる。前記置換シクロペンタジエニル基
の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基
同志が互いに結合して環を形成してもよい。
【0014】前記炭素数1〜10の炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、 sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シク
ロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のア
ラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基
が好ましい。
【0015】置換シクロペンタジエニル基の好適なもの
としては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシク
ロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニ
ル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,
3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3
−n−プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基な
どが具体的に挙げられる。これらの中でも炭素数3以上
のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ま
しく、特に1,3−置換シクロペンタジエニル基が好ま
しい。
【0016】置換基同志すなわち炭化水素同志が互いに
結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シク
ロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1
〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置
換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8
の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換さ
れた置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アル
キル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニ
ル基等が好適なものとして挙げられる。
【0017】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属とし
ては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げら
れ、特にジルコニウムが好ましい。遷移金属化合物は、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を通常1〜3
個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互い
に結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素
数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、シ
ランジイル基などが挙げられる。
【0018】周期律表第IV族の遷移金属化合物において
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子
としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20
の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール
基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基
等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基など
が挙げられる。
【0019】これらの具体例としては以下のものがあ
る。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタ
ジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)ハフニウムジフェニルなどがある。モノアルキ
ルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロラ
イドなどがある。また、モノシクロペンタジエニルチタ
ノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニ
ウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニ
ルチタニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げ
られる。
【0020】置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニ
ウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジ
フェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペン
タジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライ
ド、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルなどが
挙げられ、また、ペンタアルキルシクロペンタジエニル
チタニウム化合物としては、ビス(1,2−ジメチルシ
クロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジク
ロライド、ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニ
ル)チタニウムジフェニルまたはジクロライドが挙げら
れ、また他のジハライド錯体、シリコン、アミンまたは
炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチルシ
リルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまた
はジクロライド、メチレンジシクロペンタジエニルチタ
ニウムジフェニルまたはジクロライド、他のジハライド
錯体が挙げられる。
【0021】ジルコノセン化合物としては、ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、
ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリク
ロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジフェニルが挙げられ、アルキル置換シク
ロペンタジエンとしては、ビス(エチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルが挙げ
られ、それらのハロアルキルまたはジハライド錯体、ジ
アルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタ
アルキルシクロペンタジエンとしては、ビス(ペンタメ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビ
ス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジメチル、およびそれらのジハライド錯体、シリコ
ン、炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチ
ルシリルジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル
またはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジ
ルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシク
ロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライ
ドなどが挙げられる。
【0022】さらに他のメタロセンとしては、ビス(シ
クロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス
(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなど
が挙げられる。本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属
化合物の例として、下記一般式(I)で示されるシクロ
ペンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子
および遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨
格を有する配位子であり、Xは水素、ハロゲン、炭素数
1〜20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオ
キシ基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を
表し、YはSiR2 、CR2 、SiR2 SiR2 、CR
2 CR2 、CR=CR、SiR2 CR2 、BR2 、BR
からなる群から選ばれる2価基であり、
【0025】Zは−O−、−S−、−NR−、−PR−
またはOR、SR、NR2 、PR2からなる群から選ば
れる2価中性リガンド、SiR2 、CR2 、SiR2
iR2 、CR2 CR2 、CR=CR、SiR2 CR2
BR2 、BRからなる群から選ばれる2価基を示す。た
だし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、ア
リール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン
化アリール基、またはY、ZまたはYとZの双方からの
2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成するもので
ある。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0026】式(I)で表される化合物の例としては、
(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタ
ジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライ
ド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、
(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)
ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン
チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル
(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニ
ウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラ
メチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライ
ド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシ
クロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが
挙げられる。
【0027】本発明でいう助触媒としては、前記周期律
表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になし
得る、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷
を均衝させ得るものをいう。本発明において用いられる
助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベン
ゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミ
ニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなど
のランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの
中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0028】また、触媒は無機または有機化合物の担体
に担持して使用してもよい。具体的には、SiO2 、A
2 3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 3 、C
aO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合
物が挙げられ、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −V2
5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −MgO、SiO
2 −Cr2 3 等が挙げられる。これらの中でもSiO
2 およびAl2 3 からなる群から選択された少なくと
も1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0029】有機アルミニウム化合物としては、トリエ
チルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等の
トリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハ
ライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキ
ルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイ
ドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げら
れる。
【0030】本発明のエチレン(共)重合体(A)の製
造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しな
い気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造さ
れるが、好ましくは気相法により製造される。重合は、
実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に
例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下
で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温
度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、
さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低
中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 ・G、好まし
くは常圧〜20kg/cm2 ・Gであり、高圧法の場合
通常1500kg/cm2 ・G以下が望ましい。重合時
間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5
分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜
30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。ま
た、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー
濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに
異なる2段階以上の多段重合法などでもよく、特に限定
されるものではない。
【0031】本発明におけるエチレン(共)重合体
(A)とは、エチレン単独重合体あるいはエチレンと炭
素数3〜20のα−オレフィンより選ばれた一種以上と
の共重合体である。ここで、炭素数3〜20のα−オレ
フィンはとしては、好ましくは3〜12のものであり、
具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、
1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オ
レフインの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ま
しくは3〜20モル%の範囲で選択されることが望まし
い。
【0032】本発明のエチレン(共)重合体(A)の密
度は、0.86〜0.97g/cm3 、好ましくは0.88〜 0.945
g/cm3 、より好ましくは0.90〜0.93g/cm3 の範
囲である。
【0033】本発明のエチレン(共)重合体(A)のメ
ルトフローレート(MFR)は0.01〜200g/10
分、好ましくは 0.1〜100g/10分、さらに好まし
くは 0.2〜50g/10分の範囲にあることが望まし
い。MFRが0.01g/10分未満では成形加工性が劣
り、200g/10分以上では耐衝撃性などの機械的強
度が低下する。
【0034】本発明のエチレン(共)重合体(A)の分
子量分布(Mw/Mn)の算出方法は、ゲルパーミエイ
ションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比M
w/Mnを求めるものである。本発明のエチレン(共)
重合体のMw/Mnは1.5 〜4.5 、好ましくは1.8 〜3.
5 である。Mw/Mnが1.5 未満では成形加工性が劣
り、 4.5以上では耐衝撃性が劣る。
【0035】本発明のエチレン(共)重合体(A)の組
成分布パラメーター(Cb)は1.01〜1.2 であり、好ま
しくは1.02〜1.18であり、さらに好ましくは1.03〜1.17
の範囲にあることが望ましい。1.2 を超えると、成形品
の機械的強度が低下する。
【0036】本発明のエチレン・α−オレフイン共重合
体の組成分布パラメーター(Cb)の測定法は下記の通
りである。試料に耐熱安定剤を加え、オルソジクロルベ
ンゼン(以下、ODCBと略記する。)に試料濃度が
0.2重量%となるように135℃で加熱溶解する。この
加熱溶液を、けい藻土(セライト545)を充填したカ
ラムに移送し充満後 0.1℃/分で25℃まで冷却し、試
料をセライト表面に析出沈着させる。次に、このカラム
にODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃
きざみに120℃まで段階的に昇温しながら、各温度に
おいて、試料を溶解した溶液を採取する。この溶液を冷
却後メタノールで試料を再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出
温度における試料を得る。この分別された試料の重量分
率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定
する。分岐度の測定は13C−NMRにより求める。
【0037】このような方法で30℃から90℃で採取
した各フラクションについては次のような、分岐度の補
正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度
をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、
検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。
この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度と
する。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクショ
ンについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成
立しないのでこの補正は行わない。
【0038】次ぎにそれぞれのフラクションの重量分率
i を、溶出温度5℃当たりの分岐度bi の変化量(b
i −bi-1 )で割って相対濃度ci を求め、分岐度に対
して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この
組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パ
ラメーターCbを算出する。
【0039】Cb=(Σcj j 2 /Σcj j )×
(Σcj /Σcj j ) ここで、cj とbj はそれぞれj番目の区分の相対濃度
と分岐度である。組成分布パラメーター(Cb)は試料
の組成が均一である場合に 1.0となり、組成分布が広が
るに従って値が大きくなる。
【0040】なお、エチレン・α−オレフィン共重合体
の組成分布を記述する方法については多くの提案がなさ
れている。例えば、特開昭60-88016号では、試料を溶剤
分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分
率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値
処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度
(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分
岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が
下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係
数はかなり低く、値の精度は充分でない。このCw/C
nと本発明のCbとは、定義および測定方法が異なる。
【0041】本発明における(A’)成分とは、(A’
1)前記(イ)〜(ニ)の条件を満足するエチレン
(共)重合体(A)とは異なるエチレン・α−オレフィ
ン共重合体、(A’2)高圧ラジカル法によるエチレン
系共重合体、(A’3)ゴムから選ばれた少なくとも一
種であるオレフィン系重合体またはゴムである。
【0042】(A’1)の前記(イ)〜(ニ)の条件を
満足するエチレン(共)重合体とは異なるエチレン・α
−オレフィン共重合体とは、チーグラー触媒やフィリッ
プス触媒などを用いる中低圧法およびその他の公知の方
法によるエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン共
重合体であり、密度0.86〜0.94g/cm3 のエチレン・
α−オレフィン共重合体(すなわち、超低密度ポリエチ
レン(VLDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE))である。
【0043】具体的なα−オレフィンとしては、炭素数
3〜12のプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン
などを挙げることができる。これらのうち好ましいのは
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテンであり、特に好ましいのは1−ブテン
である。エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オ
レフィン含有量は5〜40モル%であることが好まし
い。
【0044】前記(A’2)成分の高圧ラジカル重合法
によるエチレン系共重合体としては、分岐状低密度ポリ
エチレン(LDPE)やエチレンとα,β−不飽和カル
ボン酸アルキルエステルおよびその誘導体、ビニルエス
テルなどのカルボキシル基含有モノマーとの共重合体が
挙げられる。
【0045】上記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸
アルキルエステルおよびその誘導体との共重合体として
は、α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、およ
びその金属塩、アミド、イミドなどが挙げられる。具体
的にはエチレン・アクリル酸(あるいはメタクリル酸)
メチル共重合体、エチレン・アクリル酸(あるいはメタ
クリル酸)エチル共重合体などが挙げられる。特にエチ
レン・アクリル酸エチル共重合体(以下、EEAと略す
ことがある。)が好ましい。
【0046】エチレン−アクリル酸エチル共重合体のメ
ルトフローレート(MFR)は 0.1〜50g/10分、
好ましくは 0.5〜20g/10分の範囲から選択するの
がよい。MFRが 0.1g/10分未満では樹脂組成物の
流動性が悪くなり、50g/10分を越えると引張強度
などの低下が起こり望ましくない。また、エチレン・ア
クリル酸エチル共重合体(EEA)のアクリル酸エチル
(EA)成分含量 0.5〜50重量%、好ましくは5〜3
0重量%のものが物性的、経済的な理由から選択され
る。
【0047】上記エチレン−ビニルエステル共重合体
は、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分
とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビ
ニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリ
ン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエス
テル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好
ましいものとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(以下、EVAと略すことがある。)を挙げることがで
きる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、酢酸ビニ
ル 0.5〜50重量%からなる共重合体が好ましい。
【0048】本発明における(A’3)成分のゴムとし
ては、エチレンプロピレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、
イソプレン系ゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、イソブチ
レンゴムなどが挙げられる。これらは単独でも混合物で
もよい。
【0049】上記エチレンプロピレン系ゴムとしては、
エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重
合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー
(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)
を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPD
M)が挙げられる。
【0050】上記ブタジエン系ゴムとしては、ブタジエ
ンを構成要素とする共重合体をいい、スチレンーブタジ
エンブロック共重合体(SBS)およびその水添または
部分水添誘導体であるスチレンーブタジエンーエチレン
共重合体(SBES)、1,2ーポリブタジエン(1,
2−PB)、無水マレイン酸−ブタジエン−スチレン共
重合体、コアシェル構造を有する変性ブタジエンゴム等
が例示される。
【0051】上記イソプレンゴムとしては、イソプレン
を構成要素とする共重合体をいい、スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体(SIS)およびその水添または部
分水添誘導体であるスチレン−イソプレン−エチレン共
重合体(SIES)、コアシェル構造を有する変性イソ
プレンゴム等が例示される。
【0052】本発明における(A’)成分のオレフィン
系重合体は、高度の難燃化を保持するために多量の無機
無リン系難燃剤を配合した場合において、機械的強度を
低下させることなく、可撓性、耐衝撃性などを高める役
割を果たす。また、特にエチレン・アクリル酸エチル共
重合体(EEA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(E
VA)を使用すると燃焼時に強固な炭化層を形成し、高
度の難燃性を付与することができる。
【0053】本発明の重合体成分における(A)成分お
よび(A’)成分の配合量は、(A)成分100〜2重
量%に対して、(A’)成分0〜98重量%、好ましく
は(A)成分80〜20重量%に対して、(A’)成分
20〜80重量%である。
【0054】さらに、本発明の樹脂成分は、(A)成
分、(A’)成分、または(A)+(A’)成分の少な
くとも一種に(a)カルボン酸基またはカルボン酸無水
物基、(b)エポキシ基、(c)ヒドロキシル基、
(d)アミノ基、(e)アルケニル環状イミノエーテル
基、(f)シラン基から選ばれた少なくとも1種の官能
基が、全重合体1g当り10-7〜5×10-4モルの範囲
にあることが好ましい。
【0055】前記官能基(a)(カルボン酸基またはカ
ルボン酸酸無水物基)を導入する化合物としては、マレ
イン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,
β−不飽和ジカルボン酸またはこれらの無水物、アクリ
ル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢
酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられ
る。
【0056】官能基(b)(エポキシ基)を導入する化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテン
トリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカ
ルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸
トリグリシジルエステルおよびα−クロロアクリル酸、
マレイン酸、クロトン酸、フマール酸等のグリシジルエ
ステル類またはビニルグリシジルエーテル、アリルグリ
シジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテ
ル、スチレン・p−グリシジルエーテルなどのグリシジ
ルエーテル類、p−グリシジルスチレンなどが挙げられ
るが、特に好ましいものとしてはメタクリル酸グリシジ
ル、アリルグリシジルエーテルを挙げることができる。
【0057】官能基(c)(ヒドロキシル基)を導入す
る化合物としては、1−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。
【0058】官能基(d)(アミノ基)を導入する化合
物としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、プロ
ピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、
フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘ
キシルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。
【0059】官能基(e)(アルケニル環状イミノエー
テル基)を導入する化合物としては、以下の構造式で表
される化合物がある。
【化2】
【0060】ここで、nは1、2および3であり、好ま
しくは2および3、より好ましくは2である。また、R
1 、R2 、R3 およびRは、それぞれ独立してC1〜C
12の不活性なアルキル基および/または水素を示し、
アルキル基にはそれぞれ不活性な置換基があってもよ
い。ここでいう不活性とはグラフト反応やその生成物の
機能に悪影響を及ぼさないことを意味する。また複数の
Rは同一である必要はない。好ましくはR1 =R2
H、R3 =HあるいはMe、R=H、すなわち2−ビニ
ルおよび/または2−イソプロペニル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニルおよび/または2−イソプロペニル−
5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンである。
これらは単独でも混合物でもよい。これらの中でも特に
2−ビニルおよび/または2−イソプロペニル−2−オ
キサゾリンが好ましい。
【0061】官能基(f)(シラン基)を導入する化合
物としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリク
ロロシラン等の不飽和シラン化合物が挙げられる。
【0062】本発明の重合体成分中に官能基を導入する
具体的な方法としては、少なくとも1種の官能基含有
モノマーを(A)成分、(A’)成分あるいは(A)+
(A’)成分の一部あるいは全部にグラフトした変性重
合体として導入する方法、官能基を、エチレンと官能
基含有化合物とのランダム共重合体を樹脂成分に配合し
導入する方法、とで得られた樹脂を混合する方法
等が挙げられる。
【0063】本発明のグラフトした変性重合体の製造方
法としては、ラジカル開始剤の存在下に前記官能基を有
する化合物の少なくとも1種を樹脂とともに押し出し機
内で溶融しながら反応させる溶融法、または樹脂ととも
に溶液で溶解しながら反応させる溶液法で重合体にグラ
フト変性させる方法が挙げられる。ラジカル開始剤とし
ては、有機過酸化物、ジヒドロ芳香族化合物、ジクミル
化合物等が挙げられる。
【0064】有機過酸化物としては、例えば、ヒドロパ
ーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルク
ミルパーオキサイド、ジアルキル(アリル)パーオキサ
イド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、
ジプロピオニルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオ
キサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パーオキシコハ
ク酸、パーオキシケタール、2,5−ジメチル−2,5
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルオキ
シアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等
が好適に用いられる。
【0065】ジヒドロ芳香族化合物としては、ジヒドロ
キノリンまたはその誘導体、ジヒドロフラン、1,2−
ジヒドロベンゼン、1,2−ジヒドロナフタレン、9,
10−ジヒドロフェナントレン等が挙げられる。
【0066】ジクミル化合物としては、2,3−ジメチ
ル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−
2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3
−ジ(p−メチルフェニル)ブタン、2,3−ジエチル
−2,3−ジ(p−ブロモフェニル)ブタン等が例示さ
れ、特に2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン
が好ましく用いられる。
【0067】本発明のランダム共重合体の製造方法とし
ては、チューブラーリアクターまたはオートクレーブリ
アクターを使用し、ラジカル開始剤および連鎖移動剤の
存在下で、圧力2500〜3000kg/cm2 、温度250℃
前後の条件でエチレンと前記官能基を有する化合物の少
なくとも一種を共重合する方法が挙げられる。ラジカル
開始剤としては前記有機過酸化物が挙げれる。
【0068】本発明の重合体成分中の前記官能基は、グ
ラフト変性重合体を用いる場合には10-7〜5×10-4
モル/gの範囲になるように、またエチレンと官能基含
有化合物とのランダム共重合体を用いる場合には5×1
-6〜5×10-4モル/gの範囲になるように調整され
る。グラフト変性重合体を用いる場合に官能基が10-7
モル/g未満、またエチレンと官能基含有化合物とのラ
ンダム共重合体を用いる場合に官能基が5×10-6モル
/g未満では、樹脂成分と後述する(B)成分の無機無
リン系難燃剤とのカップリング効果が不十分となり、機
械的強度等が劣る場合がある。また、組成物が燃焼した
場合においてのチャー(炭化層)の形成が損なわれ、耐
ドリップ性も低下するおそれがある。また、官能基の含
有量が5×10-4モル/g以上では、カップリング効果
が大きくなりすぎ樹脂組成物の機械的強度や特に伸びが
低下する。
【0069】これら官能基を含有する変性重合体または
エチレンと官能基含有化合物とのランダム共重合体の中
でも特に密度0.91〜0.94g/cm3 の無水マレイン酸グ
ラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体が好まし
く使用される。
【0070】本発明の(B)成分である無機無リン系難
燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化ジルコニウム、ドロマイト、ハイドロタルサ
イト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズの
水和物、硼砂等の無機金属化合物の水和物、硼酸亜鉛、
メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸カル
シウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジル
コニウム、酸化スズ等が挙げられる。
【0071】これらは1種または2種以上併用してもよ
い。これらの中でも特に水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトからなる群から
選ばれた少なくとも1種の金属化合物の水和物、とりわ
け水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが難燃効果
がよく、経済的にも有利である。またこれら無機無リン
系難燃剤の粒径は、種類によって異なるが上記水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウムなどにおいては、平均
粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下が好まし
い。
【0072】本願発明の(B)成分の無機無リン系難燃
剤の配合量は重合体成分(A)あるいは(A)+
(A’)100重量部に対して30〜200重量部、好
ましくは40〜150重量部である。配合量が30重量
部未満では、無機無リン系難燃剤単独では十分な難燃化
が難しいので有機系難燃剤の併用が必要となる。一方2
00重量部を超える量を配合した場合には、引張り強
度、伸び、耐衝撃強度の低下等の機械的強度が低下し、
可撓性がなくなり、かつ低温特性が劣る。
【0073】本発明においては、前記第1発明ないし第
3発明の組成物に赤リンを配合した第4の発明により更
に高度の難燃性を有する難燃性樹脂組成物を提供するこ
とができる。本発明において赤リンとしては、好ましく
は有機および/または無機化合物で被覆された赤リンを
使用することが望ましい。有機および/または無機化合
物で被覆された赤リンとは、赤リンの粒子表面をエポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコー
ン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性
樹脂で被覆したもの、水酸化アルミニウム、亜鉛、マグ
ネシウム等で被覆し、さらに前記熱硬化性樹脂を被覆し
たもの、金属リン化物にした後に熱硬化樹脂で被覆した
もの、チタン、コバルト、ジルコニウム等の金属複合水
和酸化物で被覆したもの等の改質赤リンが挙げられる
【0074】赤リンは平均粒径が5〜30μmで、かつ
粒径が1μm以下および100μm以上のものの含有率
が5重量%以下であるものが好ましく、赤リンの粒子表
面への沈積被覆量が、チタン・コバルト系などの複合水
和酸化物の場合は赤リン粒子に対し、全重量当たりTi
+Coなどの金属成分として 0.5〜15重量%、同様に
有機樹脂については全重量当たり、 0.1〜20重量%が
好ましい。これらの改質赤リンは耐熱安定性、耐加水分
解性に優れており、水分の存在下あるいは高温下での加
水分解反応がほぼ完全に抑えられるので、有臭有毒なホ
スフィンガスが発生しない。
【0075】上記の赤リンの配合量は樹脂成分100重
量部に対して、 0.1〜20重量部、好ましくは 0.2〜1
5重量部の範囲である。赤リンの配合量が 0.1重量部未
満では添加効果が小さく十分な難燃効果が得られない場
合があり、20重量部を超える量を配合しても難燃効果
がそれ以上は改良されず、物性的にも経済的にも好まし
くない。
【0076】本発明においては、上記組成物と無機充填
剤を併用することにより、難燃剤の配合量を減少させる
こともできるし、他の特性を付与させることもできる。
無機充填剤としては、硫酸カルシウム、珪酸カルシウ
ム、クレー、珪藻土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス
粉、酸化鉄、金属粉、グラファイト、炭化珪素、窒化珪
素、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボン
ブラック、雲母、ガラス板、セリサイト、パイロフィラ
イト、アルミフレーク、黒鉛、シラスバルーン、金属バ
ルーン、ガラスバルーン、軽石、ガラス繊維、炭素繊
維、ウイスカー、金属繊維、グラファイト繊維、シリコ
ンカーバイト繊維、アスベスト、ウオラストナイト等が
挙げられる。無機充填剤は本発明の組成物100重量部
に対して100重量部程度まで配合される。配合量が1
00重量部を越えると成形品の衝撃強度等の機械的特性
が低下するので好ましくない。
【0077】本発明においては、前記無機系難燃剤もし
くは無機充填剤などを使用する場合においては、前記難
燃剤、充填剤の表面を、ステアリン酸、オレイン酸、パ
ルミチン酸などの脂肪酸またはその金属塩、パラフィ
ン、ワックス、ポリエチレンワックス、またはそれらの
変性物、有機ボラン、有機チタネートなどで被覆するな
どの表面処理を施すことが好ましい。
【0078】本発明の組成物において、各成分の主な役
割は以下のように考えられる。(A)成分(特定範囲の
エチレン・α−オレフィン共重合体)は機械的特性を著
しく向上させる役割を果たす。(A’)成分(オレフィ
ン系重合体)は、高度の難燃化を保持するために多量の
無機系難燃剤を配合した場合において、機械的強度を低
下させることなく、可撓性、耐衝撃性などを高める役割
を果たす。また、特にエチレン・アクリル酸エチル共重
合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体を使用すると燃焼
時に強固な炭化層を形成し、高度の難燃性を付与するこ
とができる。
【0079】(B)成分(無機系難燃剤)は、ハロゲン
フリーの高度の難燃化を達成させる役割を担うものであ
る。重合体成分(A)、(A’)中の官能基は、重合体
成分(A)、(A’)と(B)成分の無機系難燃剤との
カップリング効果と、樹脂相互の相溶性を高め、機械的
強度、耐摩耗性、耐熱性および加工性を改良するととも
に、燃焼時のチャー(炭化層)形成による耐ドリップ性
を向上させる役割を果している。また、赤リンは、高度
の難燃化を達成せしめる役割を果している。
【0080】本発明においては、難燃組成物の物性を損
なわない範囲で、鉱油、ワックス、パラフィン類、
高級脂肪酸およびそのエステル、アミドもしくは金属
塩、シリコーン、多価アルコールの部分的脂肪酸エ
ステルまたは脂肪酸アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミ
ド、アルキルフェノールもしくはアルキルナフトールア
ルキレンオキサイド付加物の少なくとも1種の傷付き白
化防止剤、有機フィラー、酸化防止剤、滑剤、有機ある
いは無機系顔料、紫外線防止剤、分散剤、銅害防止剤、
中和剤、可塑剤、核剤等を添加してもよい。
【0081】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれらによって限定される
ものではない。なお、下記の説明中、「部」は特に記載
のない限り「重量部」である。
【0082】[使用樹脂および材料] (A)成分 試料Aの重合 (1)触媒の調製 窒素下で電磁誘導撹拌器付き500mlナス型フラスコ
に精製トルエン150mlを加え、ついでビスインデニ
ルジルコニウムジメチルのトルエン溶液(濃度1mmo
l/ml)2.5 mlとメチルアルモキサンのトルエン溶
液(濃度1mmol/ml)200mlを加え室温で1
時間反応させた。次に、窒素下で撹拌機付 1.5l三つ口
フラスコに予め600℃で5時間焼成したシリカ(富士
デビソン社製、グレード#952、表面積300m2
g)50gを加えたのち、前記溶液の全量を添加し、室
温で時間撹拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去し
て流動性のよい粉末を得た。
【0083】(2)重合 連続式の流動床気相法重合装置を用い,重合温度70
℃,全圧20kgf/cm2 ・Gでエチレンとブテン−
1の共重合を行った。系内のガス組成はブテン−1/エ
チレンモル比0.08,エチレン濃度60mol%とした。
前記触媒を連続的に供給し系内のガス組成を一定に保つ
ため,各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。M
FRの調整は系内の水素濃度を調整することにより行っ
た。生成した重合体の物性は表1のとおりである。
【0084】
【表1】項目(単位) 物性値 MFR(g/10分) 1.2 密度(g/cm3 ) 0.919 分子量分布(Mw/Mn) 2.0Cb (−) 1.03
【0085】(A−M−1):溶融法無水マレイン酸変
性(A)成分[密度=0.92g/cm3、MFR= 1.2g
/10分、無水マレイン酸反応量= 1.5×10-5モル/
g、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A−M−2):溶融法無水マレイン酸変性(A)成分
[密度=0.92g/cm3、MFR= 1.3g/10分、無
水マレイン酸反応量= 5.1×10-6モル/g、日本ポリ
オレフィン(株)製]、 (A−A):溶融法アルケニル環状イミノエーテル変性
(A)成分[密度=0.92g/cm3 、MFR= 1.2g/
10分、反応量= 1.6×10-5モル/g、日本ポリオレ
フィン(株)製]、 (A−S):溶融法ビニルトリメトキシラン変性(A)
成分[密度=0.92g/cm3 、MFR= 1.2g/10
分、反応量= 1.1×10-5モル/g、日本ポリオレフィ
ン(株)製]、
【0086】(A’1)成分 (A’1−1):直鎖状低密度ポリエチレン(LLDP
E)[密度= 0.922g/cm3 、MFR= 1.0g/10
分、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A’1−1−M):溶融法無水マレイン酸変性直鎖状
低密度ポリエチレン[密度=0.92g/cm3 、MFR=
1.5g/10分、無水マレイン酸反応量= 1.6×10-5
モル/g、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A’1−1−A):溶融法アルケニル環状イミノエー
テル変性直鎖状低密度ポリエチレン[密度=0.92g/c
3 、MFR= 1.3g/10分、反応量= 1.6×10-5
モル/g、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A’1−1−S):溶融法ビニルトリメトキシラン変
性直鎖状低密度ポリエチレン[密度=0.92g/cm3 、M
FR= 1.2g/10分、反応量= 1.3×10-5モル/
g、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A’1−2):エチレン・ブテン−1共重合体(VL
DPE)[密度= 0.900g/cm3 、MFR= 1.0g/
10分、日本ポリオレフィン(株)製]、
【0087】(A’2−1):エチレン・アクリル酸エ
チル共重合体(EEA)[EA含量=10wt%、MF
R= 0.4g/10分、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A’2−2):エチレン・酢酸ビニル共重合体(EV
A)[VA含量=10wt%、MFR= 1.0g/10
分、日本ポリオレフィン(株)製]、 (A’2−G):エチレン・メタクリル酸グルシジル共
重合体(EGMA)[GMA含量= 1.2×10-3モル/
g、MFR= 4.0g/10分、日本ポリオレフィン
(株)製]、
【0088】(A’3):エチレン・プロピレン共重合
体ゴム(EPM)[プロピレン=27wt%、MFR=
0.7g/10分、EP07P、日本合成ゴム(株)
製]。
【0089】(B)成分 (B−1):水酸化マグネシウム[商品名:キスマ5
A、協和化学工業(株)製]、 (B−2):水酸化アルミニウム[商品名:ハイジライ
トH−42M、昭和電工(株)製]。
【0090】試験法 (1)引張試験(Kg/cm2 )および伸び(%) 厚さ1mmのシートから3号ダンベルで打ち抜いた試験
片で、テンシロンを用いて引張速度200mm/分の速
度で測定した。 (2)酸素指数(OI) JIS K7201 に準拠して行った。酸素指数は燃焼を持続さ
せるために必要な最低の酸素濃度と定義されており、こ
の数値は高いほど難燃性が高くなる。
【0091】実施例1〜41:表2〜表7に示す配合の
組成物をドライブレンドした後、50mmφの押出機を
用い樹脂温度200℃で溶融混練し、ペレタイズした。
さらに180℃、圧力100kg/cm2 、時間5分で
プレス成形して試料を作成し、試験に供した。試験結果
を表2〜表7に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【表7】
【0098】実施例1〜2 (A)成分100部に対して水酸化マグネシウム、また
は水酸化アルミニウムを140部配合して試料を作製
し、試験に供した。引張破断強さおよび引張破断伸びは
十分な値を示し、酸素指数も高い値を示した。
【0099】実施例3〜6 (A)成分に(A’1−1)成分のLLDPEを配合し
た樹脂成分100部に対し水酸化マグネシウムを140
部配合した試料を作製し、試験に供した。引張破断強さ
および引張破断伸びは十分な値を示し、酸素指数も高い
値を示した。
【0100】実施例7〜9 (A)成分に(A’2−1)成分のEEAを配合した樹
脂成分100部に対し水酸化マグネシウムを140部配
合した試料を作製し試験に供した。引張破断強さおよび
引張破断伸びは十分な値を示した。また、酸素指数も含
酸素共重合体によるチャー形成の効果により十分に高い
値を示した。
【0101】実施例10〜11 (A)成分に(A’1−1)成分のLLDPEおよび
(A’2−1)成分のEEAを配合した樹脂成分100
部に対し水酸化マグネシウムを140部配合した試料を
作製し試験に供した。引張破壊強さおよび引張破壊伸び
は十分な値を示した。また、酸素指数も含酸素共重合体
によるチャー形成の効果により十分に高い値を示した。
【0102】実施例12〜15 (A)成分を無水マレイン酸グラフト変成した(A−M
−1)成分、(A’2―1)成分のEEAまたは(A’
2−2)成分のEVAを配合した樹脂成分100部に対
し水酸化マグネシウムあるいは水酸化アルミニウムを1
40部配合した試料を作製し試験に供した。酸素指数は
含酸素共重合体であるEEA、EVAのチャー形成効果
とともに、導入した官能基による無機難燃剤とのカップ
リング力によりさらに強固なチャー形成がなされ著しい
向上がみられた。
【0103】実施例16 (A)成分を無水マレイン酸グラフト変成した(A−M
−1)成分に(A’3)成分のEPRからなる樹脂成分
100重量部に対し水酸化マグネシウム140重量部を
配合した試料を作成し試験に供した。導入した官能基に
よる無機難燃剤とのカップリング力により十分な引張破
断強さを示した。
【0104】実施例17〜19 (A)成分に(A)成分を無水マレイン酸グラフト変成
した(A−M−1)成分と(A’2−1)成分のEEA
を配合した樹脂成分100部あるいは(A)成分に
(A’1−1)成分のLLDPE、(A)成分を無水マ
レイン酸グラフト変成した(A−M−1)成分および
(A’2−1)成分EEAを配合した樹脂成分100部
に対し水酸化マグネシウムを140部配合した試料を作
製し試験に供した。(A)成分の配合により著しい引張
破断強さの改善がみられた。さらに酸素指数は含酸素共
重合体であるEEAのチャー形成効果とともに、導入し
た官能基による無機難燃剤とのカップリング力によりさ
らに強固なチャー形成がなされ著しい酸素指数の向上が
みられた。
【0105】実施例20〜22 (A)成分に(A’1−1)成分のLLDPEを無水マ
レイン酸グラフト変成した(A’1−1−M)成分と
(A’2−1)成分のEEAを配合した樹脂成分100
部あるいは(A)成分に(A’1−1)成分LLDPE
および(A’1−1)成分のLLDPEを無水マレイン
酸グラフト変成した(A’1−1−M)成分と(A’2
−1)成分のEEAを配合した樹脂成分100部に対し
水酸化マグネシウムを140部配合した試料を作製し試
験に供した。(A)成分の配合により著しい引張破壊強
さの改善がみられた。さらに酸素指数は含酸素共重合体
であるEEAのチャー形成効果とともに、導入した官能
基による無機難燃剤とのカップリング力によりさらに強
固なチャー形成がなされ著しい酸素指数の向上がみられ
た。
【0106】実施例23〜26 (A)成分に(A)成分を無水マレイン酸グラフト変成
した(A−M−1)成分またはアルケニル環状イミノエ
ーテルグラフト変成した(A−A)成分またはビニルト
リメトキシシラン変成した(A−S)成分を配合した樹
脂成分100部に対し水酸化マグネシウムを140部配
合した試料を作製し試験に供した。(A)成分の配合お
よび導入した官能基による無機難燃剤とのカップリング
効果により著しい引張破断強さの改善がみられた。ま
た、導入した官能基による無機難燃剤とのカップリング
力によりチャー形成がなされ酸素指数の向上がみられ
た。
【0107】実施例27 (A)成分にエチレンとアクリル酸グリジシルランダム
共重合した(A’2−G)成分のEGMAを配合した樹
脂成分100部に対し水酸化マグネシウムを140部配
合した試料を作製し試験に供した。(A)成分の配合お
よび導入した官能基による無機難燃剤とのカップリング
効果により著しい引張破断強さの改善がみられた。ま
た、導入した官能基による無機難燃剤とのカップリング
力によりチャー形成がなされ酸素指数の向上がみられ
た。
【0108】実施例28〜31 (A’1−1)成分のLLDPEまたは(A’1−2)
成分のVLDPEに(A)成分を無水マレイン酸グラフ
ト変成した(A−M−1)成分を配合した樹脂成分10
0部に対し水酸化マグネシウムを140部配合した試料
を作製し試験に供した。(A)成分を無水マレイン酸グ
ラフト変成した(A−M−1)成分の配合および導入し
た官能基による無機難燃剤とのカップリング効果により
著しい引張破断強さの改善がみられた。また、導入した
官能基による無機難燃剤とのカップリング力によりチャ
ー形成がなされ酸素指数の向上がみられた。
【0109】実施例32〜35 (A)成分に(A’1−1)成分のLLDPEおよび
(A)成分を無水マレイン酸グラフト変成した(A−M
−1)成分を配合した樹脂成分100部、または(A)
成分に(A’1−2)成分のVLDPEおよび(A)成
分を無水マレイン酸グラフト変成した(A−M−1)成
分を配合した樹脂成分100部に対し水酸化マグネシウ
ムを140部配合した試料を作製し試験に供した。
(A)成分を無水マレイン酸グラフト変成した(A−M
−1)成分の配合および導入した官能基による無機難燃
剤とのカップリング効果により著しい引張破断強さの改
善がみられた。また、導入した官能基による無機難燃剤
とのカップリング力によりチャー形成がなされ酸素指数
の向上がみられた。
【0110】実施例36〜38 (A)成分に(A’1−1)のLLDPE成分を無水マ
レイン酸グラフト変成した(A’1−1−M)成分また
はアルケニル環状イミノエーテルグラフト変成した
(A’1−1−A)成分またはビニルトリメトキシシラ
ン変成した(A’1−1−S)成分を配合した樹脂成分
100部に対し水酸化マグネシウムを140部配合した
試料を作製し試験に供した。(A)成分の配合および導
入した官能基による無機難燃剤とのカップリング効果に
より著しい引張破断強さの改善がみられた。また、導入
した官能基による無機難燃剤とのカップリング力により
チャー形成がなされ酸素指数の向上がみられた。
【0111】実施例39〜40 (A)成分に(A’1−1)のLLDPE成分および
(A’1−1)のLLDPE成分を無水マレイン酸グラ
フト変成した(A’1−1−M)成分配合した樹脂成分
100部に対し水酸化マグネシウムを140部配合した
試料を作製し試験に供した。(A)成分の配合および導
入した官能基による無機難燃剤とのカップリング効果に
より著しい引張破断強さの改善がみられた。また、導入
した官能基による無機難燃剤とのカップリング力により
チャー形成がなされ酸素指数の向上がみられた。
【0112】実施例41 実施例18と同様の樹脂組成100部に対し、水酸化マ
グネシウム80部、赤りん3部配合した。強度、酸素指
数とも良好であった。
【0113】
【表8】
【0114】比較例1 (A)成分を使用せず、(A’2)成分に対して、
(B)成分の無機系難燃剤を配合したものを表8に示し
た。実施例に比べて引張強さ、引張伸びがが著しく劣
る。
【0115】比較例2〜4 比較例2は、実施例15と同様に官能基の導入方法とし
て(A)成分を異なる濃度で無水マレイン酸変性した
(A−M)成分を1部添加し、樹脂成分中の(A)成分
の量を範囲外とした。また比較例3および比較例4は
(A’1)成分に(B)成分を配合した。結果を表8に
示す。実施例に比べて引張破断強さ、引張破壊伸びが著
しく低い結果となった。
【0116】比較例5〜6 実施例23と同様の樹脂成分に(B)成分をそれぞれ2
50部(比較例5)、25部(比較例6)となるように
配合した。結果を表8に示す。250部では引っ張り破
断強さ、引っ張り破壊伸びが著しく低く、25部では難
燃性が満足できるものではなかった。
【0117】
【発明の効果】本発明は特定のパラメータ範囲を満足す
るエチレン・α−オレフィン共重合体および無機系難燃
剤、あるいはさらにオレフィン重合体および特定の官能
基を特定量含む重合体成分とからなる難燃性樹脂組成物
であり、可撓性、高難燃性、燃焼時にハロゲンガスなど
の有害ガスの発生が無いなど低公害性を保持しつつ、機
械的特性を大幅に改善できたものである。特に(A)成
分は、組成分布が従来のエチレン・α−オレフィン共重
合体に比べ非常に狭いことから、著しい強度の改善に寄
与している。また、特に特定の官能基は、重合体成分と
無機系難燃剤もしくは無機充填材とをカップリングさせ
る役割を果たし、樹脂相互の相溶性を高め、機械的強
度、加工性、耐摩耗性等を改良する。また燃焼時におい
てはチャー(炭化層)の形成に寄与して樹脂のドリッピ
ングを防止し、自消化させる役割も有している。
【0118】このように本発明の樹脂組成物は、高度の
難燃性を有するとともに、燃焼時にハロゲンガスなどの
有毒ガスの発生がなく、耐摩耗性および耐熱性にすぐ
れ、かつ安全性、可撓性、機械的特性、耐薬品性、電気
的特性などにもすぐれているので、フィルム、シート、
パイプ等の押出成形品あるいは射出成形品等の成形用途
向けや、電線、ケーブル向け等として利用され、繊維、
電気、電子、自動車、船舶、航空機、建築、土木等の諸
分野で活用できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23/18 C08L 23/18 23/26 23/26 51/06 51/06 //(C08L 23/04 23:08) (C08L 23/04 21:00) (C08K 3/00 3:22 3:32) (C08L 21/00 23:04) (C08L 23/08 23:04)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記の(イ)〜(ニ)の条件を満
    足するエチレン(共)重合体からなる樹脂成分100重
    量部に対して(B)無機無リン系難燃剤30〜200重
    量部を含むことを特徴とする難燃性樹脂組成物: (イ)密度(d)0.86〜0.97g/cm3 、(ロ)メルト
    フローレート(MFR)0.01〜200g/10分、
    (ハ)分子量分布(Mw/Mn) 1.5〜 4.5、(ニ)組
    成分布パラメーター(Cb)1.01〜 1.2。
  2. 【請求項2】 樹脂成分として請求項1に記載の(A)
    の(イ)〜(ニ)の条件を満足するエチレン(共)重合
    体2重量%以上と、(A’)下記の(A’1)〜(A’
    3)から選ばれる少なくとも1種類のオレフィン系重合
    体98重量%未満を含む樹脂成分100重量部に対し
    て、(B)無機無リン系難燃剤30〜200重量部を含
    むことを特徴とする難燃性樹脂組成物: (A’1)前記(イ)〜(ニ)の条件を満足するエチレ
    ン(共)重合体とは異なるエチレン・α−オレフィン共
    重合体、(A’2)高圧ラジカル重合法によるエチレン
    系共重合体、(A’3)ゴム。
  3. 【請求項3】 前記樹脂成分(A)、(A’)または
    (A)+(A’)の少なくとも一部が、下記(a)〜
    (f)から選択される少なくとも一種の官能基を、樹脂
    成分1g当たり10-7〜5×10-4モル含有しているこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性樹脂組
    成物: (a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基、(b)
    エポキシ基、(c)ヒドロキシル基、(d)アミノ基、
    (e)アルケニル環状イミノエーテル基、(f)シラン
    基。
  4. 【請求項4】 さらに難燃剤として、前記樹脂成分10
    0重量部に対して赤リン 0.1〜20重量部を含む請求項
    1乃至3のいずれかの項に記載の難燃性樹脂組成物(本
    項追加)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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