JPH109547A - 廃棄物処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】焼却炉を高温から保護すると共に、高い燃焼効
率が得られるようにし、従来における人糞、汚泥等の埋
立式処理の問題、大気汚染等の公害発生の問題、悪臭発
生や環境悪化に伴う廃棄物周辺地域の住民問題、汚水排
水処理の問題等を解決する。 【解決手段】焼却炉２内に投入された被焼却廃棄物を炉
床より上方へ噴水状に吹き上げさせる燃焼給気手段３
と、前記吹き上げられた被焼却廃棄物に重油を散布させ
点火燃焼させる燃焼手段４と、前記吹き上げられた被焼
却廃棄物を囲繞するよう焼却炉内壁に沿ってエアーカー
テン状竜巻旋回構造の高流速送風を与える空気噴出手段
５を有する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人糞や汚泥等の水
分を含有する排泄廃棄物と共に、金属類、スラッジ、廃
液、廃油、廃プラスチック、木屑、塵芥等を高温焼却に
より混合焼却する廃棄物処理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の廃棄物処理施設として、現行では
焼却処理施設が大半を占めており、該焼却処理施設は、
粗大廃棄物処理、高速堆肥化処理、選別再資源化等の各
施設と並び所謂中間処理施設に位置づけられている。ま
た、焼却設備は例えばストーカ式、流動床式の燃焼炉に
大別され、各燃焼炉には夫々燃焼ガス冷却設備、排ガス
処理設備、通風設備が付設されていることを原則として
いる。また、近年廃棄物、特に人糞等は埋立てにより処
理されたり、海洋投棄の処分により処理されていた。し
かし、これらの処分手段は数年後には法令規制に基づき
全て中止されることが決定されている。このように、廃
棄物の適正処理をベースに廃棄物の減量化、資源化によ
り埋立地の延命化や再生資源の有効利用を図るべく循環
型社会構築に向けてリサイクル法や改正廃棄物処理法の
施行に伴い全国の多くの自治体においてこれまでの清掃
条件の大幅な改正が試みられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、廃棄物処理用地
の確保の問題、埋立式処理の問題、廃棄物焼却処理場で
の大気汚染等の公害発生の問題、悪臭発生や環境悪化に
伴う廃棄物周辺地域の住民問題、汚水排水処理の問題等
様々な廃棄物処理の諸問題が提起されている。また、従
来の焼却炉では、水分含有率の高い廃棄物、例えば汚
泥、スラッジ等と同時に人糞等を燃焼させるには余りに
も熱効率が低く、そのため火力の低下に伴う不完全燃焼
およびダイオキシン等の有毒ガスが発生する等の虞れが
あった。また、燃焼効率を上げるために重油等の燃料で
高温燃焼させた場合には、焼却炉自体に熱的歪損傷や過
熱焼損を与えてしまったり、熱的耐久性が低下するとい
うような新たな問題点を有していた。

【０００４】そこで本発明は叙上のような従来存した諸
事情に鑑み創出されたもので、焼却炉を高温から保護す
ると共に、高い燃焼効率が得られ、被焼却廃棄物の完全
燃焼を行なうことができ、従来における人糞、汚泥等の
埋立式処理の問題、大気汚染等の公害発生の問題、悪臭
発生や環境悪化に伴う廃棄物周辺地域の住民問題、汚水
排水処理の問題等様々な廃棄物処理の諸問題を一挙に解
決すべく改善された廃棄物処理装置を提供することを目
的としたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明にあっては、人糞や汚泥等の水分を含有す
る廃棄物と共に、金属類、スラッジ、廃液、廃油、廃プ
ラスチック、木屑、塵芥等を高温焼却により混合焼却す
る廃棄物処理装置において、焼却炉内に投入された被焼
却廃棄物を炉床中央より上方へ噴水状に吹き上げさせる
よう撹拌送風機に連結された燃焼給気手段と、前記吹き
上げられた被焼却廃棄物に燃料を散布させ点火燃焼させ
る燃焼手段と、前記吹き上げられた被焼却廃棄物を囲繞
するよう焼却炉内壁に沿ってエアーカーテン状竜巻旋回
構造の高流速送風を与える空気噴出手段を有することを
特徴とする。

【０００６】また、前記空気噴出手段には、焼却炉内壁
に沿っての風量を制御する送風量調整手段を有するもの
としたり、前記燃焼手段は、前記空気噴出手段によるエ
アーカーテン内部の上方から前記吹き上げられた被焼却
廃棄物に燃料を噴霧状に散布させて点火燃焼させるもの
としたり、前記吹き上げられる被焼却廃棄物と共に燃料
を前記燃焼給気手段により噴水状に吹き上げ点火燃焼さ
せるものとすることができる。さらに、前記焼却炉は、
ストーカ炉、キルン炉、流動床式炉、回転炉、段階火格
子炉等のいずれかによるものであったりすることができ
る。

【０００７】本発明に係る廃棄物処理装置によれば、空
気噴出手段による加圧空気の噴出は、竜巻状の空気の壁
である所謂エアーカーテンを生じさせ、竜巻の中心は空
気圧が低いため、焼却炉下部で燃焼した炎を上部に吸い
込む形になる。また、このエアーカーテン状の竜巻旋回
構造の送風により、燃焼給気手段と燃焼手段との協働作
用に基づく被焼却廃棄物の高温燃焼時に、焼却炉内壁へ
の熱対流に伴う熱伝導を遮蔽することができ、焼却炉内
壁は高温状態に直接晒されることなく高温から保護され
ると共に、エアーカーテン周囲への熱エネルギーの散逸
を防止させる断熱的な閉込効果により、エアーカーテン
内部で高い燃焼効率が得られ、被焼却廃棄物の完全燃焼
を行なわせる。そして、送風量調整手段は、エアーカー
テンの有効範囲を自在に変更制御させ、燃焼部の熱的強
制対流に基づく温度変動に伴う燃焼速度の変動を制御さ
せる。これにより廃棄物処理用地の確保の問題、埋立式
処理の問題、廃棄物焼却処理場での大気汚染等の公害発
生の問題、悪臭発生や環境悪化に伴う廃棄物周辺地域の
住民問題、汚水排水処理の問題等様々な廃棄物処理の問
題を解決することができ地域環境保護に貢献するものと
なる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の一形態を説明するに、図において示される符号１
は、主として人糞、汚泥等の水分含有率の高い排泄廃棄
物と共に金属類、スラッジ、廃液、廃油、廃プラスチッ
ク、木屑、塵芥等を例えば約１３００℃以上の高温焼却
により混合焼却する廃棄物処理装置であり、該廃棄物処
理装置１は、例えば、図１に示すように、分別後の廃棄
物を廃棄物破砕機（図示せず）により任意のサイズに破
砕し、この破砕された廃棄物から鉄金属の一部が再利用
のために除かれるように鉄金属分別回収手段（図示せ
ず）により生成された加工済廃棄物燃料を従来埋立処理
や海洋投棄処理されていた人糞、汚泥等と共に焼却炉２
へ投入させ高温燃焼させるためのものである。尚、廃棄
物処理装置１を人糞と汚泥のみを混合焼却するだけの排
泄廃棄物専用の焼却炉としても良いことは勿論である。
そして、廃棄物処理装置１は、焼却炉２内に投入された
被焼却廃棄物を炉床より上方へ噴水状に強制的に吹き上
げさせるよう撹拌送風機等に連結された燃焼給気手段３
と、前記吹き上げられた被焼却廃棄物に重油等の燃料を
散布させ点火燃焼させる燃焼手段４と、前記吹き上げら
れた被焼却廃棄物を囲繞するよう焼却炉内周に沿ってエ
アーカーテン状竜巻旋回構造の高流速の送風を与える空
気噴出手段５を有するものとしている。

【０００９】また、焼却炉２の上方には、蒸気製造と発
電機作動のための蒸気タービン６および蒸気を焼却炉２
で再利用する水に変えるための空冷式コンデンサー７を
備えた発電手段８と、前記焼却炉２により発生する燃焼
ガスに石灰試薬を噴霧させて酸性ガス成分を飛散させる
噴霧乾燥機９、灰塵を除去させる集塵器１０、空気汚染
制御システムで微粒子を取り除くための飛灰安定装置１
１等を備えた排ガス処理手段１２と、該排ガス処理手段
１２による飛灰内の調整化合物の水準を記録するよう煙
突内部に設置された連続排気モニター手段１３とをシス
テム構造的に備えた構成としている。

【００１０】前記焼却炉２は、図２に示すように、鉄金
属分別回収手段４により生成された加工済廃棄物燃料を
人糞、汚泥と共に高温燃焼させるもので、例えばストー
カ炉式燃焼装置、キルン炉式燃焼装置、流動床式燃焼装
置、回転炉式燃焼装置、階段火格子炉式燃焼装置等のい
ずれかによる焼却炉２を採用することができ、該焼却炉
２上部には炉温の制御と共に余熱再利用ができるボイラ
ー室２Ａを配し、該ボイラー室２Ａ最上部には配管１６
を介して前記発電手段８に接続されている。この焼却炉
２は、例えば耐火材煉瓦を略円筒状に積み上げて炉体２
Ｂを形成し、その燃焼室の周囲に水冷パイプ２Ｃを略螺
旋状に巻回付設させたものとしている。また、焼却炉２
を鋼鉄製の２重壁構造に形成し、その壁面間に冷却水を
循環させたものとしても良い。

【００１１】そして、焼却炉２の炉床中央には、例えば
回転式ファン、撹拌送風機、高圧縮空気用のコンプレッ
サー等により被燃焼廃棄物を噴水状に撹拌浮上させ、超
高温火柱状の燃焼部を形成するための前記燃焼給気手段
３が配されており、また焼却炉２の内壁面上方には、略
燃焼室中心に向けて例えば約５０ｍ／ｓ以上の高流速で
噴射させる小口径の複数のジェットノズル噴射式等によ
る前記空気噴出手段５が配されている。具体的には、図
３に示すように、小口径ノズルの噴出方向を水平方向で
かつ燃焼室の中心方向となす角度が鋭角となる方向へ設
定させた構成を採用しているが、本発明はこのような構
成に何等限定されるものではない。要するに、この空気
噴出手段５による加圧空気の噴出は、焼却炉２内の内壁
周面に沿って仮想円上を旋回するよう竜巻状の空気の壁
である所謂エアーカーテンＰ構造を生じさせ、竜巻の中
心は空気圧が低い負圧状態である所謂吹き抜け現象が生
じるため、焼却炉２下部で燃焼した炎を上部に吸い込む
形に構成されている。したがって所定の空気圧力により
略竜巻旋回構造のエアーカーテンＰを形成するように高
流速で送風させれば、焼却炉２内壁面を直接高温状態に
晒すことなく、且つ焼却炉２中央部にて廃棄物の安定し
た燃焼効果である燃焼部の所謂断熱的な閉込効果が維持
される。

【００１２】尚、図示を省略するが、前記焼却炉２を従
来の流動層焼却炉のように、炉の底部から廃棄物燃焼用
の一次空気を供給する一次燃焼給気孔と、燃焼ガス中の
未燃分を完全燃焼させる二次燃焼給気孔とを併用させた
ものとし、該二次燃焼給気孔を前記空気噴出手段５とし
て兼用させても良い。さらに、低流速の二次空気噴出用
の大口径ノズルと、高流速の二次空気噴出用の小口径ノ
ズルを介して、焼却炉２内へ二次空気を交互に吹き込み
操作させることでエアーカーテン状の二次空気層を形成
させても良い。

【００１３】前記空気噴出手段５には、例えば風量調整
バルブ等の送風量調整手段１４を備えており、エアーカ
ーテンＰの有効範囲を自在に変更制御させ、燃焼部の熱
的強制対流に基づく温度変動に伴う燃焼速度の変動を制
御させるようにしている。また、前記燃焼手段４は、前
記空気噴出手段５によるエアーカーテンＰ内部の上方に
配した高速噴霧装置である例えば油圧噴射弁を用いて燃
料を圧力によりオリフィスより高速噴射させる周知のオ
イルバーナ機構等により、前記吹き上げられた被焼却廃
棄物に重油等の燃料を微粒化霧状に散布させて、エアー
カーテンＰの内部にて点火装置（図示せず）を介して燃
焼させる構成とされている。尚、前記吹き上げられる被
焼却廃棄物と共に重油等の燃料を前記燃焼給気手段３に
より噴水状に直接吹き上げ、エアーカーテンＰの内部に
て点火装置を介して燃焼させる構成としても良い。この
ボイラー室２Ａの中で、人糞は汚泥と共に空中に浮いて
約１３００℃以上の高温にて燃焼され、その人糞灰、汚
泥灰は共に溶融され、炉底の火格子等から搬送用コンベ
アー１５上に落下され、運搬される。

【００１４】前記発電手段８は、焼却炉２によって生じ
る熱エネルギーを配管１６を介して蒸気タービン６側へ
回収させ、該蒸気タービン６を介して発電機６Ａを発電
させるものでる。また、該蒸気タービン６と焼却炉２の
ボイラー室２Ａ底部の火格子の側面との間に導管１７を
介して空冷式コンデンサー７を接続し、これにより蒸気
をボイラー室２Ａで再利用させるよう水に変えるものと
している。

【００１５】前記排ガス処理手段１２を構成する集塵器
１０は、例えばクーロン力により集塵極板に付着させる
繊維フィルター等による電気集塵器を採用している。こ
れは直流高圧電気によりコロナ放電を発生する放電極
と、集塵極が交互に配列された空間を形成したもので、
この放電空間に約３００℃前後の排ガスを通過させると
ガス中のダスト粒子が帯電し、クーロン力により集塵極
板に付着させるものである。そして、集塵器１０による
飛灰を空気汚染制御システムで微粒子を取り除き安定化
させる飛灰安定装置１１により、大気や大地に有毒物質
を飛散させることがないようにしている。

【００１６】前記連続排気モニター手段１３は、煙突か
ら排出される飛灰内の調整化合物の水準を記録し、常時
標準質の清浄な空気に一致させるものである。

【００１７】

【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
特にエアーカーテン状の竜巻旋回構造の強制送風によ
り、焼却炉内壁への熱対流に伴う熱伝導を遮蔽すること
ができ、焼却炉を高温から保護すると共に、エアーカー
テン周囲への熱エネルギーの散逸を防止させる断熱的閉
込効果により、エアーカーテン内部で高い燃焼効率が得
られ、被焼却廃棄物の完全燃焼を行なうことができ、従
来における大気汚染等の公害発生の問題、悪臭発生や環
境悪化に伴う廃棄物周辺地域の住民問題、汚水排水処理
の問題等様々な廃棄物処理の問題を解決することができ
る等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る廃棄物処理装置のシステム概念図
である。

【図２】同じく廃棄物処理装置の焼却手段を示す拡大概
念図である。

【図３】同じく空気噴出手段の吹き込み状態を示す概念
図である。

【符号の説明】

１…廃棄物処理装置 ２…焼却炉 ３…燃焼給気手段 ４…燃焼手段 ５…空気噴出手段 １２…排ガス処
理手段 １３…連続排気モニター手段 １４…送風量調
整手段 Ｐ…エアーカーテン

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 人糞や汚泥等の水分を含有する廃棄物と
   共に、金属類、スラジ、廃液、廃油、廃プラスチック、
   木屑、塵芥等を高温焼却により混合焼却する廃棄物処理
   装置において、焼却炉内に投入された被焼却廃棄物を炉
   床中央より上方へ噴水状に吹き上げさせるよう撹拌送風
   機に連結された燃焼給気手段と、前記吹き上げられた被
   焼却廃棄物に燃料を散布させ点火燃焼させる燃焼手段
   と、前記吹き上げられた被焼却廃棄物を囲繞するよう焼
   却炉内壁に沿ってエアーカーテン状竜巻旋回構造の高流
   速送風を与える空気噴出手段を有することを特徴とする
   廃棄物処理装置。
2. 【請求項２】 前記空気噴出手段には、焼却炉内壁に沿
   っての風量を制御する送風量調整手段を有することを特
   徴とする請求項１記載の廃棄物処理装置。
3. 【請求項３】 前記燃焼手段は、前記空気噴出手段によ
   るエアーカーテン内部の上方から前記吹き上げられた被
   焼却廃棄物に燃料を噴霧状に散布させて点火燃焼させる
   ことを特徴とする請求項１記載の廃棄物処理装置。
4. 【請求項４】 前記燃焼手段は、前記吹き上げられる被
   焼却廃棄物と共に燃料を前記燃焼給気手段により噴水状
   に吹き上げ点火燃焼させることを特徴とする請求項１記
   載の廃棄物処理装置。
5. 【請求項５】 前記焼却炉は、ストーカ炉、キルン炉、
   流動床式炉、回転炉、段階火格子炉等のいずれかによる
   ものであることを特徴とする請求項１記載の廃棄物処理
   装置。