JPH1094394A - レトロウイルス - Google Patents

レトロウイルス

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JPH1094394A
JPH1094394A JP8271467A JP27146796A JPH1094394A JP H1094394 A JPH1094394 A JP H1094394A JP 8271467 A JP8271467 A JP 8271467A JP 27146796 A JP27146796 A JP 27146796A JP H1094394 A JPH1094394 A JP H1094394A
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JP
Japan
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hiv
patient
seq
peptide
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JP8271467A
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English (en)
Inventor
Takashi Kurimura
敬 栗村
Seiji Kageyama
誠二 景山
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Eiken Chemical Co Ltd
Original Assignee
Eiken Chemical Co Ltd
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、AIDSの原因となる新規な
レトロウイルスとその塩基配列を提供することにある。 【構成】本発明は、特定の塩基配列を含む新規なレトロ
ウイルス、その塩基配列によってコードされるたんぱく
質、そしてそれらの応用である。 【効果】本発明によって、公知のHIV−1やHIV−
2サブタイプに基づく診断技術ではスクリーニングが困
難な新規なレトロウイルスが明らかにされる。本発明
は、より確実なHIVのスクリーニング技術の開発と、
新しいAIDS原因ウイルスの確定診断を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なレトロウイルス
に関するものである。具体的には、後天性免疫不全症候
群患者の血液から得ることができる新たなレトロウイル
スと、このレトロウイルスの構造を決定している遺伝
子、ならびに遺伝子によってコードされるペプチドやた
んぱく質、更にはこれら遺伝子やたんぱく質の診断や治
療への応用に関する。
【0002】
【従来技術の問題点】AIDS(Acquired immune defi
ciency syndorome、後天性免疫不全症候群)は、LA
V、HTLV−III、あるいはARVなどと名付けられ
たレトロウイルスの感染によってもたらされる伝染性疾
患であることが明らかにされた[ 1][ 2][ 3]。これらの
レトロウイルスは、その後互いにきわめてよく似た構造
を持っていることが明らかにされ、HIV(Human Immu
nodefficiency Virus)と統一して命名された[ 4]。H
IVは、レトロウイルス(retrovirus)に属するウイルス
で、その遺伝子はRNAである。同じくレトロウイルス
として分離されたHTLV等とは異なり、レンチウイル
ス(lentivirus)と呼ばれるグループに分類される。構造
的には、遺伝子の両端にLTR(Long Terminal Rpeat)
と呼ばれる調節領域を持ち、更にgag(group specific a
ntigen)、pol(polymerase)、env(envelope)、tat(trans
-actingtranscriptional activator)、trs/art(trans-r
egulator of splicing/anti-repressiontrans-activato
r)、sor(short open reading frame)、そして3'orf(3'o
penreading frame)と名付けられた構造遺伝子等で構成
されている。このうちgagやpolの遺伝子配列は保存性が
高く、envやtat等では多様な変異の起きることが報告さ
れている[ 5]。更に世界各地で幅広いサンプルから分離
した多くの株について構造を比較した結果、最初に原因
ウイルスとして分離されたHIVとは異なった構造を持
つ西アフリカの患者に由来する新しいウイルスが報告さ
れた[ 6][ 7][ 8]。類似の新しいウイルスはその後も報
告され、遺伝子の配列も決定された[ 9][10]。新しいウ
イルスはHIV type 2(HIV−2)と名付けられ、
一方最初に報告されたHIVはtype 1(HIV−1)
として区別されている。
【0003】HIV−2は、比較的保存性が高いとされ
ているgag、およびpol領域でもHIV−1との間でアミ
ノ酸配列を比較すると60%程度のホモロジーを示すに
過ぎない。変異の大きいenvのみならず、保存性の高い
とされているgagやpolにおいてもホモロジーが低いた
め、両者は遺伝的にも遠い関係に有ると推測された。た
だし免疫学的にみた場合は、gagやpol領域に対する両者
の抗体は交差することが確認されている[11]。一方env
においては、免疫学的にもHIV−1とは明らかに異な
った反応性を持っている。そのためHIV−1のサブタ
イプの間では共通性を持った抗原決定部位が存在し、あ
るサブタイプの抗原によって他のサブタイプに対する抗
体の検出が可能となる。他方HIV−1の間で共通性を
持つ抗原をもってしても、HIV−2に対する抗体の一
部(たとえば抗env抗体)は検出することはできない。
このような背景からHIVに対する抗体を幅広く検出す
るために、HIV−1とHIV−2に対応する合成ペプ
チドを組み合わせて抗体検出用抗原とする試みが報告さ
れている[12][13][14][15]。
【0004】HIV−2についても、HIV−1と同じ
ように異なるサンプルからいろいろな株が分離され構造
の比較が行われた。現在では少なくとも5つのサブタイ
プ、すなわちA−Eが知られている[16]。これらの5つ
のサブタイプは遺伝的には明確に区別できるが、免疫学
的にはよく似た性質を持っており、いずれも商業的に供
給されている免疫学的な試験方法によって抗体を検出す
ることが可能とされている。HIV−2のサブタイプに
共通する抗原については、いくつかの変異株に由来する
抗原の利用が公知である[17]。こうして多くのHIV関
連ウイルスが分離され、その構造的な違いや免疫学的な
特徴が解明されつつあるが、それでもなお未知の感染因
子の存在が予想されている。具体的には、HIV−2の
サブタイプ[18][19][20]や、HIV−3と称するHIV
−1や2の配列とはハイブリダイズしないゲノムを持つ
ウイルスに関する報告もある[21]。
【0005】更に本発明者らは、合成ペプチドを用いた
市販のHIV−1/2抗体検出用のキットでは反応しな
い患者血漿、あるいは血清(以下、特に区別する必要の
無いときには血液試料と記載する)のあることを確認し
た。この患者血漿はインド人HIV感染者のもので、P
CR法による遺伝子レベルでの検出結果ではHIV−1
/HIV−2重複感染でありながら、商業的に供給され
ているHIV−2抗体検出用のキットでは陰性の結果を
与える。
【0006】HIV−1とHIV−2の間で免疫学的に
交差するgagやpolに対する抗体を指標として診断できれ
ば検出洩れの防止につながる可能性もある。しかし実際
にはこれらの領域に対する抗体が必ずしも測定可能なレ
ベルに有るとは限らないため、env領域に対する抗体を
スクリーニングの指標とすることは重要な条件となって
いる。特にブロッティング抗原を利用した抗体の検出用
キットでは、env領域に対する抗体の反応性が不十分な
場合には陽性と判定できないものが有る。また、HIV
−1とHIV−2のどちらのウイルスに感染しているの
かを明確にするには、免疫学的に異なっているenv抗原
を利用せざるをえない。このような理由により、HIV
−2に感染していながらenvを抗原とした市販の抗体検
出用キットで陰性と判定される感染者血液試料の存在は
重大な問題である。
【0007】HIV感染細胞を抗原として用いる蛍光抗
体法や粒子凝集反応法に基づくキットでは、かなり幅広
いサブタイプを十分な感度で検出することができるもの
もある。しかし感染細胞を安定した品質で大量に供給す
るには高度な技術が要求され、またコストの面でも高価
な抗原を多量に使うことになるので不利である。
【0008】HIV−2に対する抗体検出用の抗原につ
いては多くの報告が有るが[22][23][24][25][26]、いず
れも市販のキットで利用されているものと同じタイプA
のアミノ酸配列をもとにしたものである。したがって本
発明者らが確認した市販のキットでHIV−2陰性とな
る血液試料に対しては、同様の陰性結果を与えるものと
推測される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、市販
の抗体検出用試薬では検出洩れにつながる可能性のある
未知のAIDS原因ウイルスを明らかにし、そのウイル
スによる感染を確実に検出することができる新たな診断
技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、配列1、配列
2、配列3、配列4、配列5、および配列6で構成され
る群から選択される塩基配列、またはその断片を含み、
後天性免疫不全症候群患者血清と反応するたんぱく質を
コードするDNAを提供する。配列1−6に示した塩基
配列を備えたDNAは、以下のような特徴a)、b)を
持ったHIV感染患者血漿をもとにRT−PCR法によ
り得られたものである。 a)PCR反応でHIV−2のLTR領域の配列が増幅
される b)HIV−1とHIV−2のサブタイプAを抗原とす
るウエスタンブロッティングアッセイによって、env領
域に対する抗体を検出できない
【0011】本発明者らはこのような特殊な患者の血液
試料をインド人のHIV感染者より得た。実験に用いた
血液試料はPCR法でHIV−1とHIV−2の重複感
染と判定されたものであるが、別の実験によればHIV
−2単独感染の患者からも同じ塩基配列を持つ核酸が増
幅されることを確認しているので、重複感染そのものは
必要な条件ではない。前記DNAは、あるいはこのよう
な免疫学的な反応性を示す患者の末梢血単核球(PBM
Cs)に含まれるプロウイルスDNAを鋳型としてPC
R反応を行うことによって得てもよい。いずれの方法を
用いるにしても、本発明の提供する新規なHIV−2
は、サブタイプAのような公知のHIV−2に比べて血
中濃度が低いと推測されるため、通常のPCRよりも増
幅効率の大きい方法を利用するのが有利である。このよ
うな遺伝子増幅技術としては、たとえばnsetedPCRと
呼ばれる遺伝子増幅技術が知られている。nsetedPCR
では、標的配列の両端を規定するプライマーに加え更に
その外側に位置する1組のプライマーセットを組み合わ
せるため、外側のプライマーによる増幅産物が内側のプ
ライマーの鋳型として機能し、結果的に高い特異性と大
きな増幅効率を達成することができる遺伝子増幅方法で
ある。
【0012】HIV−1、あるいは公知のHIV−2の
RNAゲノムやプロウイルスDNAに対してnestedPC
Rを適用した例は公知で[27][28]、HIV−1ではga
g、HIV−2(サブタイプA)に対してはLTR領域を標
的としている。具体的な操作は実施例において詳細に触
れるが、これらの先行技術に対して本発明では、HIV
−2のenv内にある膜貫通領域(trans membrane regio
n、TMと省略する)の配列から選択したHIV−2に
特異的な配列をプライマーに用いて同じくnestedPCR
法により配列1等に示す塩基配列を持つDNAを得、そ
の配列を決定した。
【0013】配列1−6に示した塩基配列は、互いに高
い相同性を備えている(図1)が、公知のHIV−2の
サブタイプのいずれともまったく相同性を示さない。ま
た他の生物で得られた遺伝子の塩基配列に対しても高い
相同性を示すものは知られておらず、まったく新規な塩
基配列である。また配列1−6に示した塩基配列の増幅
に利用したプライマーは、HIV−2のTMの特異的な
増幅に用いられている配列を持つが、得られる増幅産物
の配列も長さもまったく異なっている。すなわち、本発
明の配列1−6の長さは、210bpああるいは207bp
である。一方同じプライマーでHIV−2を増幅すれ
ば、500bpのバンドが増幅される。この特徴を利用
し、配列12−13によって示した塩基配列を持つプラ
イマーを利用し、約210bpのバンドが増幅産物として
得られるかどうかを観察することによって、本発明の新
規なレトロウイルスの検出が可能である。鋳型となるウ
イルス遺伝子の濃度が低い時には、更に配列10−11
に示すプライマーセットと組み合わせてnestedPCRを
行うと良い。
【0014】本発明は、HIV−2に感染した患者の血
液から得られた新規な塩基配列のみならず、ゲノムRN
Aがこの塩基配列に対応する配列を含むことで特徴付け
られるレトロウイルス粒子、ならびにこのレトロウイル
スのプロウイルスDNAを与えるものである。前記配列
1−6に示す塩基配列を持つDNAを得た患者のPBM
Csでは、HIV−2に特異的なLTR領域を増幅するnse
tedPCRによって明らかにHIV−2特異的なバンド
が増幅されており、HIV−2が存在することが明らか
である。また、実験データは示していないが、HIV−
1感染細胞を利用した市販の蛍光抗体法による抗体検出
キットでも陽性反応を確認しているので、gagやpolとい
ったHIV−1と免疫学的に交差性のある領域を備えた
構造を持つことが示唆される。これらの性状を総合的に
判断すると、本発明によって確認された新規なレトロウ
イルスは、次のような特徴を持つ。またもともとTMの
ためのプライマーによって増幅されたことから、配列1
−6に示す配列はやはりenvのTMに相当しているもの
と推測される。
【0015】・HIV−2サブタイプAのLTRに特異的
なプライマーによってPCR法を行うと、HIV−2に
特異的なバンドが増幅される ・HIV−2のenv領域のTMに特異的なプライマーに
よってPCR法を行うと、HIV−2サブタイプAでは
500bpのバンドが増幅されるのに対して本発明のレト
ロウイルスでは約210bpのバンドが得られる ・HIV−1のgagやpol等の構造たんぱく質と免疫学的
に交差する ・後天性免疫不全症候群患者の血液から得ることができ
【0016】本発明のレトロウイルス粒子の構造は、前
記配列1−6の情報をもとに当業者であれば常法に従っ
て決定することができる。たとえば、配列1−6は本発
明によるレトロウイルスに特異的な配列であることがわ
かっているので、この配列の一部を一方のプライマーと
することで本発明によるレトロウイルスの遺伝子を特異
的に増幅することが可能である。もう一方のプライマー
は、やはり本発明によるレトロウイルスが備えているこ
とが明らかなLTR領域の配列を利用したり、あるいは免
疫学的に交差することがわかっているHIV−2サブタ
イプAのpolやgagの配列を利用することもできる。この
ようなプライマーペアを利用してPCR等の遺伝子増幅
反応を行えば、本発明によるレトロウイルスの遺伝子を
特異的に増幅し、クローニングすることができる。後で
触れるように配列1−6に示す塩基配列を持つDNA
が、RNAを鋳型とするRT−PCR反応であっても、
あるいはプロウイルスDNAを鋳型とするPCR反応で
あっても増幅されてくることから、構造決定のための出
発材料は、リンパ球であってもウイルス粒子の存在が疑
われる血液であっても良い。どのような材料を用いるに
しろ、前記のような特徴を持つHIV−2感染患者血液
を出発材料とするかぎりは、本発明のレトロウイルスの
遺伝子の増幅が可能である。
【0017】構造決定には、酵素的な遺伝子増幅反応を
利用したクローニングの他、以下のような方法を採用す
ることもできる。すなわち、RNAを抽出してランダム
プライマーによりcDNAを増幅する。得られたcDN
Aの5’側と3’側にクローニングベクターに組み込む
ための制限酵素サイトを含む2本鎖のリンカープライマ
ーをライゲーションして鋳型とする。このリンカーを付
加したcDNAについて、リンカー部分の配列をプライ
マーとしPCR法によって増幅する。生成した増幅産物
を制限酵素で処理してから適当なクローニング用のベク
ターに組み込む。クローニング用のベクターには、患者
血清によるイムノスクリーニングも可能とするλgt1
1等が一般に利用されている。こうして得られたベクタ
ーライブラリーを、配列1−6の配列を持つ標識DNA
をプローブとしてスクリーニングし、ポジティブクロー
ンの配列を決定する。決定した配列の一部をプローブに
使って更に先のベクターライブラリーをスクリーニング
する作業を繰りかえすことによって、ウイルスゲノムの
構造が決定される。
【0018】出発材料として用いる血液にウイルスが低
い濃度でしか存在していなければ、ウイルスを他の培養
細胞に感染させてもよい。たとえば公知のHIV−2サ
ブタイプであるROD(サブタイプA)では、HUT78
細胞やCEM細胞に感染させることが可能で、培地上清
中の逆転写酵素活性を指標としてウイルス粒子が回収さ
れている。いずれにせよ、このような操作を行うには、
HIV−1との重複感染患者よりも、本発明のレトロウ
イルス単独感染患者の材料を利用した方が望ましいこと
は言うまでもない。
【0019】構造が決定できれば、診断等に必要な配列
1−6以外の領域の遺伝子もPCRや増幅用のベクター
に組み込むことで容易に入手できる。またその遺伝子が
コードするたんぱく質は、公知の発現ベクターに組み込
み、適当な宿主を形質転換することで製造することが可
能である。またワクチンや、HIVの他のタイプ、ある
いはサブタイプの抗体を確認するための抗原を得ること
を目的として、他の遺伝子と融合させることが可能であ
る。このような例は、HIVのgag-env融合たんぱく質
等として公知である。
【0020】更に、決定したゲノムRNAの塩基配列情
報を公知の他の生物(特にHIV−1やHIV−2のサ
ブタイプ)の遺伝子配列と比較し、本発明による新規な
レトロウイルスに特異的な領域を選択することができ
る。こうして設定した特異的な遺伝子配列(またはそれ
にハイブリダイズする配列)は、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイ用のプローブや、遺伝子増幅用のプライマー
として有用である。たとえば配列1−6に示した、本発
明によるレトロウイルスの塩基配列は、明らかに本発明
のレトロウイルスに特異的なものであり、プローブやプ
ライマーとして利用することができる。遺伝子の増幅に
はPCR法のような酵素的な増幅技術が公知である。
【0021】本発明は、配列1−6に示す塩基配列を持
つDNAによってコードされるペプチド、このペプチド
と免疫学的に交差するペプチド、あるいはそのペプチド
のエピトープを含む断片をコードするDNAをも含むも
のである。配列1−6が与えられれば、本明細書の以下
の記述によってそれがコードするペプチドのアミノ酸配
列が明らかにされる。そして本発明の与えるアミノ酸配
列をもとに、そのエピトープを決定すること、あるいは
そのエピトープを含むペプチド断片をコードするDNA
の塩基配列を決定することは、当業者であれば自明であ
る。
【0022】本発明は配列1−6の塩基配列によってコ
ードされるペプチドを提供する。これらの配列を増幅し
たプライマーがもともとHIV−2サブタイプAのenv
TMの増幅に用いられたものであることから、このプラ
イマーに対応する配列がサブタイプAのTMにおいてア
ミノ酸をコードしているフレームに沿って、配列1−3
においてもアミノ酸への翻訳を行った。配列2は207
塩基で3塩基短くなっているが、これは31からの3塩
基が欠損しているためである。前記のような読み取り枠
でアミノ酸への翻訳を行えば、この3塩基の欠損がちょ
うどアミノ酸1残基に相当するので、他の配列との間で
アミノ酸配列の相同性が高い水準で維持される。このよ
うな理由からも、配列1−3がコードするアミノ酸配列
は、配列7−9に示すような配列であると考える。更
に、このような考え方で翻訳したアミノ酸配列に基づい
て合成したペプチドが、患者血液試料と特異的な免疫反
応を示したことから考えても、配列7−9に示したアミ
ノ酸配列は本発明のレトロウイルスに由来するものであ
る。なお本発明においてアミノ酸の名称は以下のように
省略する。
【0023】 アラニン A or Ala アルギニン R or Arg アスパラギン N or Asn アスパラギン酸 D or Asp システイン C or Cys グルタミン Q or Gln グルタミン酸 E or Glu グリシン G or Gly ヒスチジン H or His イソロイシン I or Ile ロイシン L or Leu リジン K or Lys メチオニン M or Met フェニルアラニン F or Phe プロリン P or Pro セリン S or Ser トレオニン T or Thr トリプトファン W or Trp チロシン Y or Tyr バリン V or Val
【0024】本発明のペプチドは、それをコードするD
NAを適当な発現用ベクターに組み込んで発現用の宿主
を形質転換することによって得ることができる。後で述
べるように、配列7−9に示した本発明のペプチドは疎
水性の高いアミノ酸を多く含むため、一般的なホスト・
ベクター系では高い生産量を期待できない場合がある。
このような場合は、ベクターのコピー数が十分に増加後
に発現を誘導できる発現ベクターを利用すると良い成績
を得ることができる。このようなベクターにはpET2
1等が知られている。またエピトープを含む比較的短い
ペプチド断片であれば、化学合成によって製造すること
も可能である。
【0025】配列7−9に示したアミノ酸配列を含む本
発明のペプチド、またはそのエピトープを含むペプチド
断片は、未知のHIV−2に対する抗体を検出するため
の抗原として有用である。なお配列7−9に示したアミ
ノ酸配列を持つペプチド、あるいはその断片は、場合に
より疎水性が高いことが予想される。実際、実験データ
は示さないものの、配列7をもとに合成したいくつかの
ペプチド断片はきわめて疎水性が高く、水系溶媒には溶
け難いものが有った。このような疎水性アミノ酸を多く
含むペプチドの場合、水に対する溶解性に乏しいため、
試料として取り扱いづらい。しかし疎水性ペプチドのN
末端やC末端に親水性アミノ酸を付加し、溶解性を高め
ることが可能である。親水性アミノ酸としては、アルギ
ニン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸などを挙
げられる。付加するアミノ酸は3−5個程度である。目
的とするペプチド領域との間で高次構造に影響を与え、
そのものの持つ免疫活性等に望ましくない結果をもたら
してはならない。そのため付加するアミノ酸は3個程度
が望ましい。もちろん付加するアミノ酸の一次配列も免
疫活性に大きな影響を与ないように注意する。水溶性を
与えるためには、アミノ酸のほか合成高分子であるポリ
エチレングリコールで化学修飾する方法も知られてい
る。モノメトキシポリエチレングリコール(CH3O-PEG-O
H)を用い、トリアジン環を介してペプチドに存在するア
ミノ基と結合させる方法が一般的である。
【0026】ペプチドを抗体検出用の抗原とするときに
は、ある種のリンカーや担体たんぱく質とのコンジュゲ
ートとする事によって、水溶性や抗原活性の改善を期待
できることが知られている。リンカーには、sulfo
−SMCC(sulfosuccinimidyl -4-(N-maleimidomethy
l)cyclohexane-1-carboxylate)、EMCS(N-(ε-malei
midocaproiloxy)succinimido)、sulfo−LC−S
PDP、あるいはDSS(2,2-Dimethyl-2-silapentane-
5-sulfonate)等が公知である。これらのリンカーは、目
的とするペプチドとともに室温で反応させ、グリシンの
ようなアミノ酸を添加して反応を停止すればペプチドに
導入することができる。リンカーはもともとペプチド間
を結合するために開発された化合物であるが、単にペプ
チドに結合するだけでも抗原活性の改善などにつながる
ため、抗体検出用抗原に導入されることも多い。あるい
は更に以下に述べるような担体たんぱく質の結合に利用
することもできる。
【0027】担体たんぱく質には、ウシ血清アルブミン
(BSA)や、ヒト血清アルブミン(HSA)が利用で
きる。担体たんぱく質に各種リンカー導入ペプチドを結
合するために、担体となるたんぱく質に内在するS−S
結合を還元により解離するか、またはアミノ基に新たに
−SH基を導入する。この−SH基に前述のリンカー導
入ペプチドを最適な反応条件で反応させ、未反応の遊離
合成ペプチドから分離する。
【0028】これらの抗原、あるいは親水性アミノ酸を
導入した誘導体等は、ビーズやプレートに吸着させた状
態でスクリーニングの対象となる血液試料と接触させら
れ、更にヒトイムノグロブリンに対する標識抗体を反応
させることによって抗HIV−2抗体の検出が可能とな
る。標識には、酵素、発光成分、蛍光成分、そしてラジ
オアイソトープ等が知られている。このときに、公知の
HIV−1、HIV−2サブタイプの抗原とともに組み
合わせて利用すれば、HIVに対する抗体を幅広くチェ
ックすることができる。またヒトイムノグロブリンに対
する標識抗体にイムノグロブリンクラスを認識するもの
を用いれば、クラス別にイムノグロブリンを測定するこ
とが可能である。血液試料中に特定のウイルス抗原に対
する抗体を検出する時には、過去に宿主がそのウイルス
に接触した事実を示すもので、一般的には感染経験の指
標とされている。
【0029】これら固相イムノアッセイの他、ラテック
スやゼラチンのような人工的な粒子担体を利用した抗体
検出技術も簡便なスクリーニング方法として公知であ
る。粒子担体には、本発明のペプチド(誘導体)を化学
的な結合によって、あるいは物理吸着によって結合させ
る。ペプチドを結合した粒子は抗体の存在下で凝集する
ので、凝集像を観察するか、あるいは凝集状態を光学測
定することによって抗体活性を測定することが可能であ
る。
【0030】
【発明の効果】本発明の知見により、公知のHIV−2
の5つのサブタイプ(A−E)とは明瞭に区別される未
知のHIV−2株が存在し、その感染が確認された。本
発明のHIV−2は、ちょうどHIV−1におけるサブ
タイプOのように市販の免疫学的なテストキットで感染
をチェックすることができない。したがってenvのペプ
チドを使ったHIV−1/HIV−2抗体のためのスク
リーニングテストでは、HIV−2の単独感染、あるい
はHIV−1/HIV−2重複感染の広がりを確実に防
止できていない可能性がある。本発明によって提供され
る新規なレトロウイルスに関する情報を基に、現在のス
クリーニング技術では洩れてしまう未知のウイルスの感
染を捕捉することが可能となる。また、本発明によって
明らかにされた新規なレトロウイルスの遺伝子情報は、
HIVに対するワクチンの開発にもきわめて有用な情報
を提供することになろう。以下に実施例に基づいて本発
明を更に具体的に説明する。
【0031】
【実施例】
1.患者血漿 血漿とPBMCsは、インドの病院でHIV感染が疑わ
れた患者のものを用いた。血漿サンプルは、市販のウエ
スタン・イムノブロット用キット(NEW LAV BLOT 1/2、
およびPEPTILAV 1/2、いずれもSanofi-Diagnostics Pas
teur製、商品名)、ならびに合成ペプチドによる抗体検
出用キット(SELECT-HIV、BioChem Immunosystems Inc.
製、登録商標)によって指示書にしたがい抗HIV抗体
の試験を行った。NEW LAV BLOT 1/2はHIV抗原を(ウ
エスタンブロット)、またPEPTILAV 1/2は、合成したペ
プチドをライン状にブロッティングしたもの(ラインブ
ロット)である。EIAキットは、HIV−1と2に対
するいずれの抗体も検出可能なものである。
【0032】2.PCR タイプ特異的な配列をプライマーとしたnestedPCR(p
olymerase chain reaction)により、PBMCsからプ
ロウイルスDNAを鋳型として長鎖DNAを増幅し抽出
した。HIV−1のターゲットにはgag領域を選び、外
側のプライマーセットとしてMZ13−14を、内側の
プライマーセットにMZ8−9を用いた。HIV−2に
ついてはLTR領域をターゲットに選び、外側のプライマ
ーセットにOG01−24を、内側のプライマーセット
にはOG04−19を用いた。実験に用いたプライマー
は化学合成したものである。PCR反応は公知の方法[2
7][28]にしたがって行った。コンタミネーションを避け
るために、全ての試薬は分注済みのものを用い、更にポ
ジティブ−ディスプレイスメントピペット、フィルター
付きチップ、UVキャビネットを利用した。各PCR反
応ごとに、陰性対照である健常人のサンプルについてタ
イプ特異的なプライマーを反応させた。更に、HIV−
2のenvDNA断片(HIV−2RODのヌクレオチド77
82−8281に相当)をnestedPCR法で増幅した。
外側のプライマーは、envA(配列10)とenvB(配列
11)、内側のプライマーにはenvC(配列12)とenv
D(配列13)を利用した。各プライマーの詳細は表1
に示した。
【0033】
【表1】
【0034】3.QC−RT PCR 血漿中に存在するHIV−2関連RNAはQC−RT
PCR法(QuantitativeCompetitive Reversetranscript
ase PCR)によって定量できることが知られている[29]。
その原理は次のようなものである。まず、両端は増幅対
象としている領域の配列と同じ配列を持つが、中間部分
の配列が欠損している短いRNAテンプレート(competi
tive RNA template)を調製した。一方、サンプルからは
ISOGEN-LS(ニッポンジーン製)でRNAを抽出し、Eth
achinmate(ニッポンジーン製)で沈殿させて回収し
た。250μlの血漿(ウイルス濃度が低いものでは1m
lの血漿を用いた)から抽出したRNAをテンプレート
とし、先に調製した5μlのRNAテンプレートをコピ
ー数を段階的に増やして添加し逆転写した。ひき続いて
先に述べたnestedPCR法によってHIV−2のLTR領
域の遺伝子増幅を行った。血漿中に存在するHIV−2
関連RNAの量を、添加したRNAテンプレートの増幅
産物(野生型のものよりも中間部分を欠損している分だ
け短い)との比によって定量した。
【0035】4.配列分析 HIV−2の増幅したLTR領域とenv領域のDNA産物
は、クローン化し、dyeprimer cycle sequencing kit
あるいは dyedeoxy(登録商標) terminator cycle seq
uencing kit(いずれもアプライドバイシステムズ製、
商品名)を利用して指示書にしたがい配列決定した。
【0036】5.結果 表2にまとめたように、PCR法の結果90例の感染が
疑われた患者サンプルのうち、47例がHIV−1の単
独感染、5例がHIV−2の単独感染、17例がHIV
−1/HIV−2重複感染、そして21例を感染無しと
判定した。HIV−1単独感染、HIV−2単独感染、
そしてHIV非感染の場合、免疫学的試験の結果はPC
R法の結果と一致していた。しかしPCR法でHIV−
1/2重複感染と判定された17例のうち、13例で免
疫学的な試験ではHIV−1の単独感染と判定され、両
者の結果に食い違いが生じた。PCR法と免疫学的な試
験で結果が一致していたのは4例のみである。
【0037】
【表2】
【0038】更にQC−RT PCR法による血中HI
V−2濃度には特筆すべき多様性が観察された。すなわ
ち、14例の重複感染患者を選んでその免疫学的な試験
結果を見たところ、免疫学的試験で陰性となった10例
ではウイルスのコピー数が低く(20以下−206)な
っていた。これに対して免疫学的試験でHIV−2陽性
となったものでは650−130880という高い値を
示した。
【0039】PCR法によるHIV−2の検出結果を検
証するために、次の実験を行った。PCRで重複感染/
免疫学的にHIV−1単独感染となったサンプル2例
(TK-62と71)、そしてPCRと免疫学的試験の両方で
重複感染となった1例(TK-64)を選んで、HIV−2
診断用プライマーOG01−24/OG04−19によ
るPCR産物である169bpをダイレクトシーケンスし
た。HIV−2RODのLTR領域に相当するPCR産物を比
較すると、TK−62、71そして64の間で95.
9、94.7、そして95.3%という高いホモロジー
が確認された。この結果から、PCR法で重複感染、免
疫学的にはHIV−1単独感染と判定される集団におい
て、HIV−2感染のあることが立証された。
【0040】今回用いた免疫学的な試験キットは、主に
envに相当する合成ペプチドに基づくものである。具体
的には、PEPTILAV 1/2はHIV−2のenvから選択した
アミノ酸配列qdqarlnswgcafrqvcを、またSELECT-HIVも
同じ領域から選択したkvtaiekylqdqarlnswgcafrqvchttv
pwvndsというアミノ酸配列を利用している。このように
envの部分的な配列しか利用していないため、HIV−
2のenv配列に対する抗体の反応性が不十分な可能性が
ある。HIV−2のenv領域におけるDNA断片は、通
常のプライマーでPBMCsから増幅することができ
た。5例のHIV−2単独感染の全て、ならびにPCR
と免疫学的な試験の両方で重複感染と判定された4例
(TK-8、29、64、そして106)において、500bpの増
幅産物を確認した。また増幅産物の配列解析の結果(図
2)も92%以上と非常にホモロジーが高く、いずれも
遺伝的にはサブタイプAと考えられた。これに対して1
3例のPCR重複感染/免疫学的HIV−1単独感染の
サンプルでは、驚くべきことに約210bpの増幅産物が
誘導されていた。配列1−3に示す207−210bpの
増幅産物は3人の違う患者に由来するPBMCsサンプ
ル(TK-62、71、および102)からプロウイルスDNAを
鋳型として得たものでありながら、ほとんど同じ配列と
ほぼ同じ大きさ(210bp)を持っていた(図1)。同
じような核酸塩基配列は、違う3人の患者(TK−1
2、34、そして73)血漿から抽出したRNAを鋳型
としたRT・PCRによっても得ることができたため、
これらの210bpの配列はウイルスに特異的なものと考
えた。なおTK−12とTK−34では、今回決定した
210bpの範囲においては塩基配列が完全に一致してい
る。更にDNAデータベースによる検索によって、過去
に相同性の高い配列は報告されておらず、配列1−6は
新規な塩基配列であることがわかった。更にTK−62
やTK−71の結果から、LTRはHIV−2RODとの間で
高い相同性を持ちながら、envの一部ではまったく異な
った構造を持つウイルスの存在が示唆された。しかもen
vの一部(TM)として増幅された本発明の遺伝子は、n
estedPCRによって得られたものである。この遺伝子
増幅方法は、2組のプライマーにハイブリダイズするこ
とができる限られた遺伝子のみが増幅されるという特徴
を持つ、特異性に優れた反応である。にもかかわらず、
生成する増幅産物の塩基配列に、プライマーに相当する
部分以外に共通性が見られないという事実は、本発明に
よるウイルスの特殊性を示していると言えよう。
【0041】HIV−1とHIV−2との免疫学的な交
差性のため、実際にはHIV−1単独感染であってもH
IV−2との重複感染陽性結果の原因となり、HIV−
1/HIV−2重複感染が実際よりも多く報告されてい
るという指摘がある[30]。一方、今回の試験結果によれ
ばPCR重複感染/免疫学的HIV−1単独感染の患者
を確認した。6ヶ月後にも同じ患者(TK-7、12、59)の
血漿とPBMCsを採取して、免疫学的な試験とPCR
法による測定を実施したが、最初の実験結果と同じよう
にPCR法と免疫学的な試験の結果は一致しなかった。
これらの患者血漿では公知のHIV−2に対する免疫学
的な反応性が無く、免疫応答の時間的な問題でHIV−
2陰性となったのではないと結論した。HIV−2の5
つのサブタイプ(A−E)による感染ならばウエスタン
・ブロット法のような免疫学的手法によって検出できる
ことから、これらの患者(実際にはHIV−1/HIV
−2重複感染でありながら免疫学的にはHIV−2陰性
となる)では新しいHIV−2サブタイプの感染が考え
られる。これらの集団のHIV−2血中濃度レベルは、
HIV−2サブタイプAによる4例(単独感染、あるい
はHIV−1との重複感染)の患者に比べて低く、この
新しいウイルスはサブタイプAよりも病原性が低いと思
われる。
【0042】これまでHIV−1/HIV−2重複感染
に関する研究では、一般に免疫学的なスクリーニングの
結果に基づいてPCR分析が行われていた。つまり免疫
学的に重複感染が確認された患者についてのみ、PCR
分析を行っていたのである。そのため本発明のような異
なるHIV−2株に関する知見が報告されていないもの
と思われる。本発明者らも免疫学的な、あるいは臨床的
な知見に基づいて実験材料を選ぼうとしたが、実際には
HIV−2単独感染グループにおける異なるHIV−2
感染を確認できなかった。その理由は、免疫学的スクリ
ーニングの問題と、この新しいHIV−2株の病原性が
低いことによるものと思われる。また本発明らは、RT
−PCR(OG01−24とOG01−19をプライマ
ーとするnestedPCR)によっても別の患者血漿からH
IV−2ウイルス粒子関連RNAを検出した。この患者
は、免疫学的にはHIV−1/HIV−2陰性であり、
本発明で確認した新規なHIV−2株が、HIV−1/
HIV−2重複感染のみならず、単独感染患者で確認で
きることも解明されている(表2、TK−)。
【0043】6.ペプチドの合成 以上の実験で明らかにされた新規なHIV−2の塩基配
列にコードされるペプチドを合成した。実験に利用した
のは配列1の塩基配列によってコードされるアミノ酸配
列のうち、プライマーに用いた塩基配列に相当する部分
に合わせて翻訳したアミノ酸配列の部分配列である。つ
まりHIV−2RODにおけるenvTMにおいては、プライ
マーであるenvCの5’末端からGIVH....と翻訳されて
いるので、配列1をもとに翻訳したアミノ酸配列は配列
7に示すとおりとなる。この配列7で示されるアミノ酸
配列の31−56番目に相当するアミノ酸配列(配列1
4:LLLIIGRKSF FLHLPPMLQA SPIWLK)を持つペプチドを
合成した。操作は次のとおりである。
【0044】ペプチド合成は段階的固相法に従って行っ
た。固相には9-Fluorenylmethoxycarbonyl-O-Resin p-A
lkoxybenzyl Alcohol Resin(Fmoc-アミノ酸アルコ・レ
ジン、渡辺化学工業製)を用い、アミノ酸(L体)は、
アミノ基を9-Fluorenylmethoxycarbonyl基(以下Fmocと
略す)で保護した。また各アミノ酸の側鎖は、各々以下
の保護基で保護した。 Arg:Pmc (2,2,5,7,8-pentamethylchroman-6-sulfonyl) AspとGlu:OtBu (beta-t-butyl) CysとHis:Trt (S-trityl) Lys:Boc (t-butoxycarbonyl) SerとThrとTyr:tBu (t-butyl) その他のアミノ酸の側鎖:無保護
【0045】カップリングは、樹脂上ペプチド末端Fmoc
アミノ酸のFmoc基をピペリジンで脱保護し、カップリン
グする次のアミノ酸のカルボキシル基をN-methylmorpho
line、HOBt(1-hydroxybenzotriazole)およびBOP
reagent(Benzotriazole-1-yl-oxy-tris(dimethylamin
o)phosphonium hexafluorophosphate)で活性化し、室温
で1〜3時間混合し反応を行った。反応時間はアミノ酸
の種類と組み合わせによって設定した。なお、グルタミ
ンおよびアスパラギンに関しては、既に活性化している
エステル体を用いた。反応しなかった遊離のアミノ酸は
DCM(Dichloromethane)、DMF(N,N-Dimethylformam
ide)で樹脂を洗浄し除去した。必要な反応サイクル終了
後、トリフルオロ酢酸(TFA)、チオアニソール、エ
タンジチオールおよびm-クレゾールで保護基の除去と合
成ペプチドの樹脂からの切り離しを行い、冷エーテルで
ペプチドを回収した。回収した粗ペプチドは逆相HPL
Cで精製した。すなわち、粗ペプチドをODS−80T
sカラム(東ソー製、1.8×15cm)にロードし、水
−アセトニトリル(0.1%TFA含有)を0.5ml/mi
n.の速度で送液して0.5mlづつ分取しピークフラクシ
ョンをプールした。
【0046】7.合成ペプチドと患者血清の反応 6で得た合成ペプチドをラジオアイソトープで標識し、
患者血清との反応性を調べた。精製したペプチド4μg
をクロラミンT法により40MBqのNa125Iで標識し
た。全量を前記ODS−80Tsカラムによる逆相HP
LCと同じ操作により精製した。得られた各フラクショ
ンを感染者血清および健常人血清と反応させ、更に抗ヒ
トIgGヤギ血清を加えてインキュベートし2000g
で30分間遠心分離して沈殿分画の放射活性を測定し
た。両者のカウント数の差の大きいフラクションを選
び、以下のRIA用標識抗原に用いた。
【0047】7−1.RIA 標識抗原と検体1μlを混合し、室温で1時間反応後、
抗ヒトIgGヤギ血清を加えて30分−1時間インキュ
ベートし、2000gで30分間遠心分離し、沈殿部分
の放射活性をウエル型γカウンターで測定した。患者血
清には、これまでの結果から本発明によるレトロウイル
スの感染が疑われる感染者血清9例、対照にはPCR法
によりウイルスの感染を確認できないボランティアの血
清9例を用いた。 7−2.インヒビション RIAの標識抗原との反応系に標識していないペプチド
を添加して反応させた。この実験により、標識抗原が標
識していないペプチドと競合的に患者血清中のIgGと
反応し、7−1の反応が免疫学的な反応によるものであ
ればカウント数は低下する。 7−3.希釈直線性 RIAの結果で抗HIV−2抗体陽性となった患者血清
については、健常人の血清で段階希釈して希釈直線性を
観察した。この実験により、7−1の反応が免疫学的な
反応であればカウント数は希釈段階に応じて低下するは
ずである。
【0048】8.合成ペプチドによる実験結果 まず標識抗原の免疫活性に関する結果を表3および図3
に示した。これらの結果により、フラクション番号42
を標識抗原に用いることにした。この標識抗原と患者血
清との反応性を示すのが表4である。ペプチド未添加の
列が抗体と反応した標識抗原のカウント数と、添加カウ
ント数(total)に対する反応カウント数(bound)の%
(B/T%)を示している。患者血清は健常人の血清と
比較していずれも標識抗原との高い結合活性を示し、我
々が合成したペプチドがHIV−2感染患者血清に含ま
れるIgGと反応していることが確認できた。更に、イ
ンヒビション試験(表4のペプチド添加の列)、希釈直
線性試験(表5)のいずれの結果においても理論どおり
のカウント数の低下が観察されているので、表4(ペプ
チド未添加の列)に示した患者血清と標識抗原との反応
は、特異的な免疫学的な反応であると考えられる。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】引用文献 [ 1] Science, 220, 868-870, 1983 [ 2] Science, 224, 497-500, 1984 [ 3] Science, 225, 840-842, 1984 [ 4] Science, 232, 697, 1986 [ 5] Science, 230, 949-951, 1985 [ 6] Lancet II,1387-1389, 1985 [ 7] Science, 233, 343-346, 1986 [ 8] WO87/04459(公表昭63-502242) [ 9] Nature, Vol.326,662-669, 1987 [10] EP 239425 [11] Nature, 324,691-695,1986 [12] 特開平1-224397 [13] 特開平2-218693 [14] WO92/00997(公表平6-508837) [15] WO93/03376(公表平6-509868) [16] J.Virol.,68,7433-7447,1994 [17] 特開平2-131576 [18] 特開平2-131575 [19] 特開平7-278189 [20] 特開平1-289486 [21] WO89/12094(公表平2-504583) [22] WO88/08005(公表平1-503462) [23] WO88/05440(公表平1-502119) [24] 特開平1-163198 [25] 特開平2-448 [26] 特開平2-119791 [27] J.Med.Virol.,38:172-174,1992 [28] J.Acq.Immune.Def.Synd.,5:286-293,1992 [29] BioTech,14:70-79,1993 [30] Lancet 340:339-340,1992
【0053】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:210 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源:Human Immunodefficiency Virus 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−62からRT−PCRにより得られた増幅産物 配列: GGGATAGTGC ATCAACAGCA ACAGCAACAA CAACCTTTAA ACCCTGTCTG TCCTCTAAAT 60 ATTGGGAATC TGTGCTCTGA TTGCTGGTTG CTGCTTCTGA TCATAGGCAG GAAATCATTC 120 TTTTTGCATC TCCCCCCCAT GTTGCAAGCT TCCCCCATTT GGTTGAAGTG ACTTCCAAAG 180 TTATTTAAAG GGCTATAGGC CTGTTTTCTC 210
【0054】配列番号:2 配列の長さ:207 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源:Human Immunodefficiency Virus 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−71からRT−PCRにより得られた増幅産物 配列: GGGATAGTGC AGCAACAGCA ACAGCAACAA CCTTTAAACC CTGTCTGTCC TCTAAATATT 60 GGGAATCTGT GCTCTGATTG CTGGTTGCTG CTTCTGATCA TAGGCAGGAA ATCATTCTTT 120 TTGCATCTCC CCCCCATGTT GCAAGCTTCC CCCATTTGGT TGAAGTGACT TCCAAAGGTA 180 TTTAAAGGGC TATAGGCCTG TTTTCTC 207
【0055】配列番号:3 配列の長さ:210 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源:Human Immunodefficiency Virus 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−102からRT−PCRにより得られた増幅産物 配列: GGGATAGTGC AGCAACAGCA ACAACAACAA CAACCTTTAA ACCCTGTCTG TCCTCTAAAT 60 ATTGGGAATC TGTGCTCTGA TTGCTGGTTG CTGCTTCTGA TCATAGGCAG GAAATCATTC 120 TTTTTGCATC TCCCCCCCAT GTTGCAAGCT TCCCCCATTT GGTTGAAGTG ACTTCCAAAG 180 TTATTTAAAG GGCTATAGGC CTGTTTTCTC 210
【0056】配列番号:4 配列の長さ:210 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源:Human Immunodefficiency Virus 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−34からRT−PCRにより得られた増幅産物 配列: GGGATAGTGC AGCAACAGCA ACAGCAACAA CAACCTTTAA ACCCTGTCTG TCCTCTAAAT 60 ATTGGGAATC TGTGCTCTGA TTGCTGGTTG CTGCTTCTGA TCATAGGCAG GAAATCATTC 120 TTTTTGCATC TCCCCCCCAT GTTGCAAGCT TCCCCCATTT GGTTGAAGTG ACTTCCAAAG 180 TTATTTAAAG GGCTATAGGC CTGTTTTCTC 210
【0057】配列番号:5 配列の長さ:210 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源:Human Immunodefficiency Virus 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−12からRT−PCRにより得られた増幅産物 配列: GGGATAGTGC AGCAACAGCA ACAGCAACAA CAACCTTTAA ACCCTGTCTG TCCTCTAAAT 60 ATTGGGAATC TGTGCTCTGA TTGCTGGTTG CTGCTTCTGA TCATAGGCAG GAAATCATTC 120 TTTTTGCATC TCCCCCCCAT GTTGCAAGCT TCCCCCATTT GGTTGAAGTG ACTTCCAAAG 180 TTATTTAAAG GGCTATAGGC CTGTTTTCTC 210
【0058】配列番号:6 配列の長さ:210 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 起源:Human Immunodefficiency Virus 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−73からRT−PCRにより得られた増幅産物 配列: GGGATAGTGC AGCAACAGCA ACAGCAACAA CAACCTTTAA ACCCTGTCTG TCCTCTAAAT 60 ATTGGGAATC TGTGCTCTGA TTGCTGGTTG CTGCTTCTGA TCAGAGGCAG GAAATCATTC 120 TTTTTGCATC TCCCCCCCAT GTTGCAAGCT TCCCCCATTT GGTTGAAGTG ACTTCCAAAG 180 TTATTTAAAG GGCTATAGGC CTGTTTTCTC 210
【0059】配列番号:7 配列の長さ:56 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−62からRT−PCRにより得られた増幅産物に
よってコードされるペプチド 配列: Gly Ile Val His Gln Gln Gln Gln Gln Gln Gln Pro Leu Asn Pro 1 5 10 15 Val Cys Pro Leu Asn Ile Gly Asn Leu Cys Ser Asp Cys Trp Leu 20 25 30 Leu Leu Leu Ile Ile Gly Arg Lys Ser Phe Phe Leu His Leu Pro 35 40 45 Pro Met Leu Gln Ala Ser Pro Ile Trp Leu Lys 50 55
【0060】配列番号:8 配列の長さ:55 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−71からRT−PCRにより得られた増幅産物に
よってコードされるペプチド 配列: Gly Ile Val Gln Gln Gln Gln Gln Gln Gln Pro Leu Asn Pro Val 1 5 10 15 Cys Pro Leu Asn Ile Gly Asn Leu Cys Ser Asp Cys Trp Leu Leu 20 25 30 Leu Leu Ile Ile Gly Arg Lys Ser Phe Phe Leu His Leu Pro Pro 35 40 45 Met Leu Gln Ala Ser Pro Ile Trp Leu Lys 50 55
【0061】配列番号:9 配列の長さ:56 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−102からRT−PCRにより得られた増幅産物
によってコードされるペプチド 配列: Gly Ile Val Gln Gln Gln Gln Gln Gln Gln Gln Pro Leu Asn Pro 1 5 10 15 Val Cys Pro Leu Asn Ile Gly Asn Leu Cys Ser Asp Cys Trp Leu 20 25 30 Leu Leu Leu Ile Ile Gly Arg Lys Ser Phe Phe Leu His Leu Pro 35 40 45 Pro Met Leu Gln Ala Ser Pro Ile Trp Leu Lys 50 55
【0062】配列番号:10 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 他の情報:nestedPCRによるHIV−2RODのenvTM
増幅用プライマーenvA 配列: GCTAGGGTTC TTGGGTTTTC TCGCGAC
【0063】配列番号:11 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 他の情報:nestedPCRによるHIV−2RODのenvTM
増幅用プライマーenvB 配列: CAAGAGGCGT ATCAGCTGGC GGATCAGGAA
【0064】配列番号:12 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 他の情報:nestedPCRによるHIV−2RODのenvTM
増幅用プライマーenvC 配列: GGGATAGTGC AGCAACAGCA ACAG
【0065】配列番号:13 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 他の情報:nestedPCRによるHIV−2RODのenvTM
増幅用プライマーenvD 配列: GAGAAAACAG GCCTATAGCC CTT
【0066】配列番号:14 配列の長さ:26 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 他の情報:HIVの感染が疑われるインド人患者の血漿
TK−62からRT−PCRにより得られた増幅産物に
よってコードされるペプチドの断片 配列: Leu Leu Leu Ile Ile Gly Arg Lys Ser Phe Phe Leu His Leu Pro 1 5 10 15 Pro Met Leu Gln Ala Ser Pro Ile Trp Leu Lys 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規なレトロウイルスに由来する塩基
配列の比較。図中、−は塩基の一致を示し、.はデリー
ションを示す。塩基の異なる部分のみ配列を記載してあ
る。
【図2】免疫学的な試験結果でもHIV−1/HIV−
2重複感染と判定した患者のenvTMのPCR増幅産物
の塩基配列比較。図中、−は塩基の一致を示し、塩基の
異なる部分のみ配列を記載してある。
【図3】125I標識した合成ペプチドの精製フラクショ
ンの免疫学的な活性を示す。図中、縦軸は放射活性(MB
q)、横軸はフラクション番号(0.5ml)を示す。また
図中に−○−で示したのは、各フラクションそのものの
放射活性である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 7/00 C12N 7/00 C12Q 1/68 C12Q 1/68 A G01N 33/53 G01N 33/53 D 33/569 33/569 H //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:92) (C12N 7/00 C12R 1:92)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列1、配列2、配列3、配列4、配列
    5、および配列6で構成される群から選択される塩基配
    列を含み、後天性免疫不全症候群患者血清と反応するた
    んぱく質をコードするDNA、またはその断片、あるい
    はそれらDNAとストリンジェントな条件下でハイブリ
    ダイズしうるDNA
  2. 【請求項2】配列7、配列8、および配列9で構成され
    る群から選択されるアミノ酸配列を含む後天性免疫不全
    症候群患者血清と反応するたんぱく質、またはそのエピ
    トープを含む断片
  3. 【請求項3】後天性免疫不全症候群患者の血液から得る
    ことができるレトロウイルス粒子であって、ゲノムRN
    Aが、配列1、配列2、配列3、配列4、配列5、およ
    び配列6で構成される群から選択される塩基配列に対応
    する配列、またはこれらの配列を持つ核酸とストリンジ
    ェントな条件下でハイブリダイズしうる配列を含むこと
    によって特徴付けられるレトロウイルス粒子
  4. 【請求項4】下記の特徴を持つ後天性免疫不全症候群患
    者血清と反応するたんぱく質を含む請求項3のレトロウ
    イルス粒子 a)PCR反応でHIV−2のLTR領域の配列が増幅
    される b)HIV−1とHIV−2のサブタイプAを抗原とす
    るウエスタンブロッティングアッセイによって、env領
    域に対する抗体を検出できない
  5. 【請求項5】後天性免疫不全症候群の患者血清と反応
    し、配列1、配列2、配列3、配列4、配列5、および
    配列6で構成される群から選択される塩基配列でコード
    されるアミノ酸配列を含むペプチド、このペプチドと免
    疫学的に交差するペプチド、あるいはそれらのペプチド
    のエピトープを含む断片
  6. 【請求項6】請求項5のペプチドをコードするDNA、
    またはその断片
  7. 【請求項7】請求項5のペプチド、またはそのエピトー
    プを含む断片からなることを特徴とする、後天性免疫不
    全症候群患者の血液から得ることができるレトロウイル
    スに対する抗体検出用抗原
  8. 【請求項8】請求項7の抗原を被検血液試料と接触さ
    せ、前記抗原と反応するイムノグロブリンを測定する抗
    体測定方法
  9. 【請求項9】請求項8の抗体測定方法によって、後天性
    免疫不全症候群患者の血液から得ることができるHIV
    −1、HIV−2サブタイプA以外のレトロウイルスの
    感染をスクリーニングする方法
  10. 【請求項10】抗原が、その免疫学的な性状に影響を与
    えず、かつ親水性を与える付加的なアミノ酸配列を持つ
    請求項7の抗原
  11. 【請求項11】親水性を与えるアミノ酸配列が、アルギ
    ニン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸からなる
    群から選択されるアミノ酸で構成される2−5アミノ酸
    残基である請求項10の抗原
  12. 【請求項12】配列1、配列2、配列3、配列4、配列
    5、および配列6からなる群から選択される塩基配列、
    またはこの塩基配列を持つ核酸に対してストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズしうる配列を持つDNA、
    あるいはその部分配列で構成されることを特徴とする、
    後天性免疫不全症候群患者の血液から得ることができる
    レトロウイルスの遺伝子検出用プローブ、またはプライ
    マー
  13. 【請求項13】下記の性状によって特徴付けられる後天
    性免疫不全症候群患者の血液から逆転写酵素によって誘
    導したcDNA、またはその患者のリンパ球に感染した
    プロウイルスDNAを鋳型とし、配列12に示す5’プ
    ライマーと配列13に示す3’プライマーを用いてPC
    R反応を行ったときに207−210bpの長さを持つD
    NAを生じることを特徴とする、前記血液に含まれるウ
    イルスの核酸、またはその断片 a)PCR反応でHIV−2のLTR領域の配列が増幅
    される b)HIV−1とHIV−2のサブタイプAを抗原とす
    るウエスタンブロッティングアッセイによって、env領
    域に対する抗体を検出できない
  14. 【請求項14】請求項13のウイルス核酸、またはその
    断片によってコードされるたんぱく質、またはそのたん
    ぱく質と免疫学的に交差するたんぱく質
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