JPH1092235A - 交流用超電導導体 - Google Patents

交流用超電導導体

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JPH1092235A
JPH1092235A JP8241855A JP24185596A JPH1092235A JP H1092235 A JPH1092235 A JP H1092235A JP 8241855 A JP8241855 A JP 8241855A JP 24185596 A JP24185596 A JP 24185596A JP H1092235 A JPH1092235 A JP H1092235A
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JP
Japan
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superconducting
wire
conductor
wires
stranded
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Withdrawn
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JP8241855A
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English (en)
Inventor
Hiroyasu Yumura
洋康 湯村
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 交流損失が低く、高い交流臨界電流値を有す
る金属系の交流用超電導導体を提供する。 【解決手段】 交流用超電導導体は、CuおよびCu合
金からなる群から選択される常電導金属マトリックスと
該マトリックス中に埋込まれた多数本の超電導金属フィ
ラメントとからなる、ツイストされた複合多芯超電導素
線2を複数本撚合せた撚線からなる。該撚線において、
超電導素線2は、超電導素線自体のツイスト方向と同一
方向に撚られており、かつ超電導素線の撚りピッチは、
撚線外径の4〜8倍である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導ケーブル、
変圧器、限流器、発電機などの電力応用分野で使用され
る交流用超電導導体に関する。
【0002】
【従来の技術】液体ヘリウム中で用いる合金系の交流用
超電導線材として、超電導フィラメントの直径を1μm
以下に細くし、これを銅合金からなる常電導マトリック
ス中に複数本埋込んだ交流用NbTi超電導素線および
交流用Nb3 Sn超電導素線が開発されつつある。
【0003】一般に、超電導線材を商用周波数の50/
60Hzで用いるためには、印加される交流磁界下での
交流損失を低減する必要がある。交流損失は、超電導フ
ィラメントに発生するヒステリシス損失、フィラメント
間に誘起される結合電流による結合損失、および常電導
マトリックスに発生する渦電流損失に分けることができ
る。ヒステリシス損失は、超電導フィラメントの径に比
例するため、超電導フィラメントを細くすることにより
低減することができる。一般に商用周波数で使用する場
合には、超電導フィラメントをサブミクロンのオーダに
まで細くする。結合損失は、超電導フィラメントのツイ
ストピッチの2乗に比例するため、結合損失を低減する
にはツイストピッチを短くする必要がある。ツイストピ
ッチは線径に依存するため、線径を細くする必要が生じ
る。一般に商用周波数で使用することを目的とした交流
用超電導線材の線径は、0.3〜0.1mmφ程度とな
っている。また、常電導マトリックスに高抵抗の銅合金
を使用し、結合損失および渦電流損失の低減を図ってい
る。
【0004】このように、商用周波数で用いるために交
流損失を低減した超電導線材は細径化されているので、
線材1本に流すことのできる電流値は限られてくる。し
かし、交流電力用途ではkA級の電流容量を有する超電
導導体が必要とされており、大電流容量の導体を得るた
め、細径化された超電導素線を複数本束ねて撚線を得る
方法が取られている。
【0005】たとえば、超電導変圧器に用いられる1k
A級超電導導体は、0.1〜0.3mmφの超電導素線
6本を常電導金属からなる中心線の周りに撚合せて1次
撚線とし、さらに1次撚線を6本常電導金属からなる中
心線の周りに撚合せた2次撚線導体となっている。さら
に、2次撚線を6本常電導金属からなる中心線の周りに
撚合せて3次撚線を形成することで、電流容量が数kA
級の大電流容量導体が得られる。これらの撚線導体にお
いて、撚り方向および撚りピッチについては、製造の容
易な条件が用いられる場合が多かった。たとえば、撚線
における超電導素線の撚りピッチは、製造容易性の観点
から、撚線の外径の10倍以上であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】大電流容量の導体を得
るために複数本の超電導素線を撚合せることによって、
得られた導体の交流臨界電流値が、素線自体の直流臨界
電流値の撚線本数倍を大きく下回ってくるという問題が
生じている。特に、電流容量が数kA級の大容量導体を
目指した2次以上の高次撚線でこの傾向が顕著であっ
た。
【0007】NbTi線材の場合、素線のマトリックス
に高抵抗Cu合金を使用し、フィラメント径の低減とと
もに、交流損失は数十kW/m3 (±0.5T,50H
z)のレベルまで低減できるが、素線を撚合せた撚線導
体の交流臨界電流値は直流臨界電流値に比べて大きく低
下する。特に、交流損失を低く抑えるためにマトリック
スに高抵抗のCu合金を使用し、安定化CuのNbTi
に対する比率が小さいかあるいは安定化Cuを全く含ん
でいない超電導素線を用いた導体では、この傾向は顕著
であり、外部磁界が1T以下の低磁界において交流臨界
電流値は直流臨界電流値の50%以下に低下する。線材
マトリックスに熱伝導のよいCuを使用すれば、交流損
失により生じた熱がCuを介して冷媒である液体ヘリウ
ムに拡散されるため、線材内部の温度上昇を抑制するこ
とができ、交流通電電流の低下を抑制することができ
る。これに対し、マトリックスに高抵抗のCu合金を使
用した線材では、一般に、高抵抗Cu合金の熱伝導率は
Cuに比べて1/1000と小さいため、交流損失によ
り生じた熱が線材の外部に拡散される効果は小さく、冷
却効率は悪い。このような線材では、臨界電流値に達す
る前にクエンチを起こすと考えられる。しかし、交流電
流値の低下を抑制するために安定化Cuの比率を増やす
ことは、交流損失の増加およびクエンチ抵抗値の低下を
引起こす要因となる。
【0008】このような特性を有する超電導導体を用い
て、超電導コイルなどの素子をある一定の規格電流値を
持たせるように設計する場合、それぞれの素線に負担さ
せる電流量をより低く設定する必要がある。このため、
導体を構成する素線の本数は増加し、さらに撚り次数も
増加する。このことは、導体断面積を増加させ、交流損
失の増大を招き、機器の規模を大きくする。
【0009】交流用超電導導体では、限流器や変圧器な
どの電力機器へ適用するため、kA級の電流容量を有
し、交流損失が100kW/m3 (±0.5T,50H
z)以下、好ましくは数十kW/m3 (±0.5T,5
0Hz)のレベルに抑えられた導体を開発することが必
須となる。このためには、超電導素線のフィラメント径
が0.2μm以下でかつ交流臨界電流の低下が少ない導
体を構成することが望まれる。
【0010】特に超電導限流器を構成する超電導コイル
は、短絡電流を限流するためにクエンチ抵抗を持って設
計されるため、大電流容量を得るために超電導素線の本
数や撚り次数を増加させると導体の断面積が増加し、所
望のクエンチ抵抗を得るために使用する超電導導体は長
くなり、コイルの交流損失も増大し、機器の規模も大き
くなる。さらに、上述した安定化Cu比の増加は、クエ
ンチ抵抗を低下させることになり、高いクエンチ抵抗を
必要とする限流器用線材では実施することができない。
【0011】限流器用の交流用導体としては、安定化C
uがない構成において、できるだけ少ない素線本数、少
ない撚り次数、すなわちできるだけ少ない断面積を有す
る導体で大電流容量を稼ぐ必要がある。
【0012】本発明の目的は、上述した問題点を解決
し、従来よりも高い交流臨界電流値を示し、かつ交流損
失の低い交流用超電導導体を提供することである。
【0013】本発明のさらなる目的は、上述した問題点
を解決し、交流電界電流値の直流臨界電流値に対する比
が従来より高く、交流損失が10kW/m3 (±0.5
T,50Hz)のレベルに抑えられる交流用超電導導体
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に従う交流用超電
導導体は、CuおよびCu合金からなる群から選択され
る常電導金属マトリックスと前記マトリックス中に埋込
まれた多数本の超電導金属フィラメントとからなる、ツ
イストされた複合多芯超電導素線を複数本撚合せた撚線
からなる。この撚線において、超電導素線は、超電導素
線自体のツイスト方向と同一方向に撚られており、かつ
超電導素線の撚りピッチは、撚線の外径(撚線の外接円
の直径)の4〜8倍である。
【0015】本発明の導体は、1次撚線とすることがで
きる。1次撚線は、たとえば非超電導線の周りに超電導
素線を複数本撚合せた構造を有することができる。
【0016】また、本発明の導体は、高次撚線とするこ
とができる。たとえば、非超電導線の周りに(n−1)
次撚線(nは2以上の整数)を複数本撚合せたn次撚線
の構造を有する導体を本発明に従って提供することがで
きる。n次撚線は、1〜(n−1)次撚線の少なくとも
いずれかまたは1〜(n−1)次撚線のすべてを超電導
素線自体のツイスト方向と同一の方向に撚り合わせて構
成されていることが望ましい。また、n次撚線における
i次撚線(iは2〜nまでの少なくともいずれかまたは
すべて)は、i次撚線の外径の4〜8倍のピッチで(i
−1)次撚線を撚り合わせたものであることが好まし
い。
【0017】また、本発明は、CuおよびCu合金から
なる群から選択される常電導金属マトリックスとマトリ
ックス中に埋込まれた多数本の超電導金属フィラメント
とからなる、ツイストされた複合多芯超電導素線を複数
本撚合せた撚線からなる交流用超電導導体であって、撚
線において超電導素線が超電導素線自体のツイスト方向
と逆方向に撚られており、かつ超電導素線の撚りピッチ
が撚線の外径の8〜15倍である導体を提供する。
【0018】本発明において、超電導素線を構成する超
電導フィラメントの直径はヒステリシス損失低減の観点
から0.2μm以下が好ましく、たとえば0.05〜
0.2μmの範囲、より好ましくは0.1〜0.15μ
mの範囲とすることができる。
【0019】超電導素線を構成する常電導マトリックス
は、結合損失および渦電流損失の低減の観点から、高抵
抗Cu合金を使用することが好ましい。高抵抗Cu合金
として、Cu−Ni合金、Cu−Ni−Mn合金、Cu
−Sn合金、Cu−Mn合金、Cu−Si合金などを用
いることができる。特に高クエンチ抵抗が必要とされる
限流器用超電導導体の素線においては、常電導マトリッ
クスにCuがなく、Ni、Mn、SiおよびSnからな
る群から選択される1種類以上の元素を含み、かつ4.
2K(液体ヘリウム温度)において2×10-7Ω・m以
上の抵抗値を有する非磁性Cu合金で常電導マトリック
スが構成されることが好ましい。
【0020】本発明の導体において、素線径を0.3m
mφ以下にし、超電導フィラメントのツイストピッチを
短くすることによって結合損失の低減を図ることができ
る。超電導素線のツイストピッチは、素線の直径の10
倍以下、好ましくは4〜6倍とすることができる。
【0021】特に、超電導素線の常電導金属マトリック
スにおいて、合金でない安定化銅のNbTiに対する体
積比(Cu/NbTi比)が0〜0.5である場合、本
発明による導体の構造はより効果的である。すなわち、
超電導素線を形成する際に、マトリックスとして高抵抗
のCu合金のみを用いるか、マトリックスにおける安定
化Cuの割合を小さく抑えた導体において、本発明の構
造が特に効果的である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、超電導素線を撚合せた
超電導導体において、素線を適当な撚り方向および撚り
ピッチで撚合せることにより、従来問題となっていた導
体の交流臨界電流値の大幅な低下を抑制できることを見
出したものである。本発明に従う導体では、交流臨界電
流値の直流臨界電流値に対する比が従来よりも大きくな
っている。
【0023】本発明者は、まず、撚線を構成する超電導
素線の撚り方向を、素線自体のツイスト方向に一致さ
せ、さらに素線の撚りピッチを顕著に短くしていくこと
で、撚線導体の交流臨界電流値を向上できることを見出
した。本発明者は、従来製造容易性の観点から選択され
ていた撚りピッチ、たとえば撚線外径の10倍以上の撚
りピッチよりも、撚線外径の8倍以下の撚りピッチの方
が顕著に高い交流臨界電流値を与えることを見出した。
そして、撚線における素線の撚りピッチを、撚線の外径
の4〜8倍とすることで、交流臨界電流値の直流臨界電
流値に対する比が70%〜85%と高い導体を実現する
ことができた。従来の導体では、この比が50%以下で
あった。特に、この効果は丸導体において顕著であっ
た。撚りピッチを撚線外径の4倍未満とすることは、製
造において撚り乱れが生じるため好ましくなかった。一
方、撚りピッチを撚線外径の8倍より大きくすると、交
流臨界電流値の向上について顕著な効果が見られなくな
った。
【0024】一方、本発明者は、撚線において、素線を
素線自体のツイスト方向と逆方向に撚合せた場合、撚り
ピッチは撚線外径の8倍以上、さらに10倍以上が好ま
しいことを明らかにした。この範囲に設定することによ
り、交流臨界電流値の大幅な低下を抑制することができ
る。なお、撚り乱れなどの撚線外観上の観点から、撚り
ピッチの上限は撚線外径の15倍以下であることが好ま
しい。
【0025】本発明の超電導導体は、高次撚線導体とす
ることができる。2次撚線構造では、非超電導線材(た
とえば常電導金属からなる線材)からなる中心線の周り
に超電導素線を複数本撚合せた1次撚線をさらに中心線
の周りに撚合せたものとすることができる。さらに、こ
のようにして得られる2次撚線を中心線の周りに撚合せ
た3次撚線を得ることができる。同様に、中心線の周り
に(n−1)次撚線を複数本撚合せたn次撚線を得るこ
とができる。得られた高次撚線を構成する低次の撚線の
すべてまたは一部を素線のツイスト方向と同一方向に撚
合せることで、逆方向に撚合せた場合よりも高い交流臨
界電流値が得られる。さらに、低次撚線のすべてまたは
一部の撚りピッチを、それを撚合せて得られる撚線の外
径の4〜8倍とすることで、従来の導体よりも交流臨界
電流値の低下を抑制することができる。
【0026】このような導体の構造において、超電導フ
ィラメントの直径を上述したような適当な範囲にするこ
とで、ヒステリシス損失をさらに低減することができ
る。さらに、常電導マトリックスおよび中心線等に使用
される非超電導線において、電気抵抗の高いCu合金を
使用することで、結合損失を低減させることができる。
また、超電導フィラメントのツイストピッチを上述した
ような適当な範囲にすることで、さらに結合損失の低減
を図ることができる。特に、本発明の構造は、安定化マ
トリックスとして銅の割合が小さく銅合金の割合が高い
場合により効果的である。
【0027】本発明の導体構造を用いれば、容量が大き
く、交流損失が低く、クエンチ抵抗の高い導体をコンパ
クトな形状において実現することが可能になる。
【0028】
【実施例】
例1 図1に示すような構成を有する超電導導体を作製した。
得られた導体は、図に示すように、中心に1本の補強材
としてCu−30wt%Ni線1が配置され、その周り
にCu−30wt%Niをマトリックスとする6本の交
流用NbTi超電導素線2が配置される。導体に用いた
交流用NbTi超電導素線の諸元を表1に示す。素線径
は0.214mmφ、フィラメント径は0.14μm
φ、素線のツイストはS(右)方向である。ツイストピ
ッチは素線径の5倍である。このような素線を、中心補
強材の周りに配置し、素線の撚り方向、および撚りピッ
チをそれぞれ変えた超電導導体を作製した。素線の撚り
ピッチは、得られる撚線導体の外径の4.6〜10倍と
した。なお、撚りピッチ2.5mm(撚線外径の3.8
倍)において撚線を作製しようとしたが、撚り乱れが生
じ良好な撚線を得ることはできなかった。素線の撚り方
向は、素線自体のツイスト方向と同方向(S撚り)また
は反対方向(Z撚り)とした。
【0029】
【表1】
【0030】得られた種々の超電導導体について、50
Hz交流クエンチ電流(交流Iq(導体))を測定し
た。Iq測定は、導体サンプルにテンションをかけて測
定用治具に取付け、液体ヘリウム(4.2K)中で0T
の条件下、50Hzの交流電流を徐々に増加させ、常電
導抵抗が発生するまでに通電することができた最大電流
値を測定することによって行なった。
【0031】作製した1次撚線サンプルの撚線条件およ
び交流Iq測定の結果を表2に示す。また、交流Iq測
定の結果を撚りピッチと導体外径の比(撚りピッチ/導
体外径)についてグラフにしたものを図2に示す。測定
結果からわかるように、撚り方向が素線のツイスト方向
と同じである導体サンプルの交流Iqは、撚り方向がツ
イスト方向と逆である導体サンプルの交流Iqに比べて
顕著に高い。また、撚り方向がツイスト方向と同じ導体
では、撚りピッチが短い導体サンプルにおいて導体Iq
が高くなることがわかった。特に図2からわかるよう
に、撚りピッチと導体外径の比(撚りピッチ/導体外
径)が8倍以下であれば、導体Iqはそれ以上の場合に
比べて顕著に増加している。一方、ツイスト方向と撚り
方向が逆である導体では、撚りピッチが短い導体サンプ
ルにおいて導体Iqが低いことがわかった。特に図2か
らわかるように、撚りピッチと導体外径の比(撚りピッ
チ/導体外径)が8倍以下になると、それ以上の場合に
比べて導体Iqは顕著に低くなる。
【0032】以上の結果より、素線のツイスト方向と同
一方向に撚線が形成されていることが、高い交流Iqを
得るために好ましいことがわかった。特に、素線のツイ
スト方向と撚り方向とが一致する場合、撚りピッチ/導
体外径は8倍以下、好ましくは4倍〜8倍であれば、よ
り高い交流Iqを得ることが可能である。一方、素線の
ツイスト方向と撚り方向とが逆である場合、撚りピッチ
/導体外径が8倍以上となるように撚線が形成されてい
れば、交流Iqの低下が比較的小さく、大容量の導体を
得ることが可能になる。
【0033】
【表2】
【0034】例2 図3に示すような2次撚線導体を構成した。図に示すよ
うに、1次撚線5においては、中心に補強材としてCu
−30wt%Ni線3が配置され、その周りにCu−3
0wt%Niをマトリックスとする6本の交流用NbT
i超電導素線が配置されている。さらに、中心に1本の
補強材としてCu−30wt%Ni線6が配置され、そ
の周りに6本の1次撚線5が配置されて2次撚線が構成
される。導体に用いた交流用NbTi超電導素線の諸元
は表3に示すとおりである。素線径は0.214mm
φ、フィラメント径は0.11μmφ、ツイストはS
(右)方向である。ツイストピッチは素線径の5倍であ
る。
【0035】表4に示すように、1次撚線における素線
の撚り方向および撚りピッチ、2次撚線における1次撚
線の撚り方向および撚りピッチを変えて、それぞれ導体
のサンプルを作製した。
【0036】
【表3】
【0037】作製した2次撚線導体について交流Iq測
定を行なった。測定は、例1と同様に実施した。
【0038】測定結果を表4に示す。1次撚線および2
次撚線ともに、素線のツイストと同一の方向(SS撚
り)に撚合せた導体Aおよび導体Cが高い交流Iqを有
していた。さらに、導体Aは導体Cよりも交流Iqが大
幅に高かった。SS撚りにおいて撚りピッチを撚線外径
の10倍から7.5倍へと短くすることにより、大幅に
交流Iqを増加できることがわかった。一方、1次撚線
および2次撚線ともに撚り方向が素線のツイスト方向と
反対(ZZ撚り)の導体Fおよび導体Hは、交流Iqが
低かった。導体Fは導体HよりもIqが低い。ZZ撚り
の場合、撚りピッチを撚線外径の10倍から7.5倍に
短くすることにより交流Iqが大幅に低下することがわ
かった。また、素線のツイスト方向と同一方向の撚りお
よび反対方向の撚りをともに有する導体(SZ撚りおよ
びZS撚り)では、SS撚りとZZ撚りの間の交流Iq
を有することがわかった。
【0039】以上の結果、素線のツイスト方向と同一方
向に撚線を行なうことで交流Iqが増加することがわか
った。この場合、撚りピッチを短くすることにより、さ
らに交流Iqを増加させることができる。一方、素線の
ツイスト方向と撚り方向が逆の場合、交流Iqは低下
し、撚りピッチを短くすればさらに交流Iqは低下す
る。高次撚線の場合、それを構成する低次撚線のうちい
ずれかの次数の撚線が素線のツイスト方向と同一の方向
に撚合せていれば、すべての次数の撚線が素線のツイス
ト方向と逆に撚合された導体に比べ、交流Iqは増加す
る。
【0040】以上に示すとおり、高次撚線においても撚
り方向、撚りピッチを適当な条件に設定することによ
り、大容量の導体を作製できることが明らかとなった。
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高い交流臨界電流値を有する交流用超電導導体を提供す
ることができる。本発明は、特に、小さい断面積でより
大きな電流を流す必要があり、かつ高クエンチ抵抗を必
要とする用途においてより効果的に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に関する導体の構造を示す概略
断面図である。
【図2】本発明の実施例の実験における交流Iq特性を
示した図である。
【図3】本発明のもう1つの実施例に関する導体の構造
を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 Cu−30wt%Ni中心線 2 超電導素線 3 Cu−30wt%Ni中心線 4 超電導素線 5 超電導1次撚線 6 Cu−30wt%Ni中心線

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuおよびCu合金からなる群から選択
    される常電導金属マトリックスと、前記マトリックス中
    に埋込まれた多数本の超電導金属フィラメントとからな
    る、ツイストされた複合多芯超電導素線を複数本撚合せ
    た撚線からなる交流用超電導導体であって、 前記撚線において、前記超電導素線は、前記超電導素線
    自体のツイスト方向と同一方向に撚られており、かつ前
    記超電導素線の撚りピッチは、前記撚線の外径の4〜8
    倍であることを特徴とする、交流用超電導導体。
  2. 【請求項2】 CuおよびCu合金からなる群から選択
    される常電導金属マトリックスと、前記マトリックス中
    に埋込まれた多数本の超電導金属フィラメントとからな
    る、ツイストされた複合多芯超電導素線を複数本撚合せ
    た撚線からなる交流用超電導導体であって、 前記撚線において、前記超電導素線は、前記超電導素線
    自体のツイスト方向と逆方向に撚られており、かつ前記
    超電導素線の撚りピッチは、前記撚線の外径の8〜15
    倍であることを特徴とする、交流用超電導導体。
  3. 【請求項3】 前記撚線は、非超電導線の周りに前記超
    電導素線を複数本撚合せた1次撚線であることを特徴と
    する、請求項1記載の交流用超電導導体。
  4. 【請求項4】 CuおよびCu合金からなる群から選択
    される常電導金属マトリックスと、前記マトリックス中
    に埋込まれた多数本の超電導金属フィラメントとからな
    る、ツイストされた複合多芯超電導素線を複数本撚合せ
    た撚線からなる交流用超電導導体であって、 前記撚線は、非超電導線の周りに(n−1)次撚線(n
    は2以上の整数)を複数本撚合せたn次撚線の構造を有
    し、 前記n次撚線は、1〜(n−1)次撚線の少なくともい
    ずれかまたは1〜(n−1)次撚線のすべてを前記超電
    導素線自体のツイスト方向と同一の方向に撚り合わせて
    構成されており、かつ前記n次撚線におけるi次撚線
    (iは2〜nまでの少なくともいずれかまたはすべて)
    は、前記i次撚線の外径の4〜8倍のピッチで(i−
    1)次撚線を撚り合わせることにより構成されているこ
    とを特徴とする、交流用超電導導体。
  5. 【請求項5】 前記超電導金属フィラメントが直径0.
    2μm以下のNbTi合金であることを特徴とする、請
    求項1〜4のいずれか1項記載の交流用超電導導体。
  6. 【請求項6】 前記超電導素線の直径が0.3mmφ以
    下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1
    項記載の交流用超電導導体。
  7. 【請求項7】 前記超電導素線のツイストピッチが前記
    素線の直径の10倍以下であることを特徴とする、請求
    項1〜6のいずれか1項記載の交流用超電導導体。
  8. 【請求項8】 前記常電導金属マトリックスおよび前記
    撚線の中心線として用いられる非超電導線のすべてまた
    は一部が、Ni、Mn、SiおよびSnからなる群から
    選択される1種類以上の元素を含み、かつ4.2Kの温
    度において2×10-7Ω・m以上の抵抗値を有する非磁
    性Cu合金からなることを特徴とする、請求項1〜7の
    いずれか1項記載の交流用超電導導体。
  9. 【請求項9】 前記常電導金属マトリックスにおいて、
    安定化Cu/NbTi比が0〜0.5であることを特徴
    とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の交流用超電
    導導体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009026755A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 Nexans 超伝導電気ケーブル

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