JPH0589726A - NbTi超電導線 - Google Patents

NbTi超電導線

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JPH0589726A
JPH0589726A JP4064902A JP6490292A JPH0589726A JP H0589726 A JPH0589726 A JP H0589726A JP 4064902 A JP4064902 A JP 4064902A JP 6490292 A JP6490292 A JP 6490292A JP H0589726 A JPH0589726 A JP H0589726A
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Japan
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stabilizing
nbti
wire
barrier layer
loss
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JP4064902A
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English (en)
Inventor
Kazuya Daimatsu
一也 大松
Masayuki Nagata
正之 永田
Masanari Kawashima
真生 川島
Kenichi Takahashi
謙一 高橋
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Chodendo Hatsuden Kanren Kiki Zairyo Gijutsu Kenkyu Kumiai
Original Assignee
Chodendo Hatsuden Kanren Kiki Zairyo Gijutsu Kenkyu Kumiai
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 NbTi超電導線において、交流損失を低減
させるとともに、安定性および臨界電流密度を向上させ
る。 【構成】 NbTiフィラメントバンドル部5と内側の
安定化Cu部3との境界およびNbTiフィラメントバ
ンドル部5と外側の安定化Cu部7との境界に、それぞ
れ厚みが5μm以上100μm以下のNbTi合金バリ
ヤ層4および6を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超電導発電機などに
用いることのできるNbTi超電導線に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】超電導発電機は、系統事故のときの急激
な負荷変動に対して、励磁制御を行なうため、界磁電流
とそれに伴う界磁磁束の変動が大きい。そのため、最大
電流と定格電流の比が大きい。
【0003】また、電流変化率も大きく、導体に発生す
る交流損失も大きくなるので、従来にはない低損失型の
導体が必要となる。
【0004】また、電磁力による導体の機械的動きによ
る発熱を抑えるために、高剛性化が必要となり、従来技
術を大幅に超えた低損失・高剛性導体の研究開発が必要
となる。
【0005】このような課題を満たすために、導体の設
計においては交流損失を低減するとともに、界磁巻線の
最大電流および最大磁束密度を交流損失による導体温度
の上昇を考慮して、臨界値に対して十分余裕のあるもの
とする必要がある。
【0006】発電機用導体では、フル導体として5Tで
10kA程度の大容量の導体が必要となる。交流損失低
減の必要性から、フル導体を構成する素線径は、直径
1.6mmから0.6mm程度のものとなる。交流損失
を低減させるために、フィラメント径としては、10〜
2μmが必要であり、また磁界変動に耐え得るために
は、Cu−Ni合金などのような高い抵抗のマトリック
ス中にフィラメントが埋込まれた構造とする必要があ
る。この場合、フィラメントの本数としては1万本から
3万本程度の本数となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
超電導線では、電流密度の向上、交流損失の低減、およ
び安定性の向上の3つの課題が相反するものであるた
め、すべての特性を満足できる超電導線は存在しなかっ
た。
【0008】すなわち、従来の超電導線では、交流損失
を低減させるために、安定化CuをCuNi等の高い抵
抗層で100μm程度分割するか、あるいは安定化Cu
の割合をCuNiに対して1程度に低減する必要があっ
た。しかしながら、このような構成にすると、残留抵抗
比が低下したり、または突発的な擾乱により線材がクエ
ンチするなど安定性が低下する問題があった。
【0009】また、交流損失を低下させるためにCuN
i合金の割合を増加すれば、断面内のNbTi占有率が
低下し、電流密度が低下してしまうという問題があっ
た。
【0010】さらに、高い安定性を得るために、安定化
Cuの割合を増加させたり、安定化Cuの分割をなくし
たりすると、交流損失が増加してしまうという問題があ
った。
【0011】この発明の目的は、上記3つの課題を同時
に克服して、電力密度の向上、交流損失の低減、および
安定性の向上を図ることのできるNbTi超電導線を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明のNbTi超電
導線は、素線内部において環状に配置されたNbTiフ
ィラメントバンドル部の内側および外側に安定化Cu部
を有するNbTi超電導線であり、NbTiフィラメン
トバンドル部と内側の安定化Cu部との境界およびNb
Tiフィラメントバンドル部と外側の安定化Cu部との
境界にそれぞれ厚みが5μm以上100μm以下のCu
Ni合金バリヤ層が配置されていることを特徴としてい
る。
【0013】この発明の超電導線において、CuNi合
金バリヤ層は、5〜100μmの範囲で任意の厚さにす
ることができるが、線断面当りの臨界電流密度を向上さ
せる点からいえば、CuNi合金バリヤ層はより薄い方
が好ましく、この点からCuNi合金バリヤ層の厚みを
たとえば5〜50μmとすることができる。
【0014】また、この発明に従う素線は、NbTiフ
ィラメントバンドル部におけるNbTiフィラメントの
まわりにCu層およびCuNi合金層が設けられている
構造のシングルスタックであることが好ましい。これに
より、NbTiフィラメント間の電磁気的結合をCuN
i合金で抑えることができ、交流損失を低減することが
できるからである。またNbTiフィラメントのまわり
をCu層で囲んでいるため、安定性に優れる。
【0015】この発明に従う超電導素線は、複数本撚っ
て導体に仕上げることができるが、素線間の結合損失を
防止するため、一般的に、その表面にホルマール等で絶
縁を施すことができる。
【0016】この発明に従う超電導線は、素線の長手方
向に連続的に形成され、かつ素線の外周方向において外
側の安定化Cu部を分断する溝部をさらに備えてもよ
い。このような溝部は、素線の外周方向において回転対
称な配置となるよう複数設けると大変効果的である。
【0017】この溝部は、たとえば、溝切ダイス等を用
いた引き抜き切削加工、またはローラダイス等を用いた
圧延加工などにより、素線の長手方向に沿って、外側の
安定化Cu部の一部を連続的に除去して形成することが
できる。このような加工方法は、上述したように、ホル
マール等の絶縁を施す場合にも有効である。
【0018】この溝部は、外側の安定化Cu部における
結合電流のパスを阻止するので、上記CuNi合金バリ
ヤ層を5〜100μmの範囲内で薄くすることができ
る。CuNi合金バリヤ層を薄くすることによって、N
bTiフィラメントバンドル部の占める割合を向上さ
せ、線断面あたりの臨界電流密度を増加させることがで
きる。したがって、溝部が形成された超電導線では、電
流損失を低減させた状態で臨界電流密度を向上させるた
め、CuNi合金バリヤ層の厚みの範囲を5〜50μm
と小さくすることができる。
【0019】この発明に従う超電導線は、素線の長手方
向に連続的に設けられ、かつ素線の外周方向において外
側の安定化Cu部を分断する誘電体をさらに備えること
ができる。この誘電体は、たとえば、ホルマール、ポリ
エステル、ポリエステルイミドなどの有機絶縁体等から
形成することができる。このような誘電体は、たとえ
ば、上述したように形成された溝部に有機樹脂等を詰め
ることにより形成することができる。
【0020】さらに、この発明に従う超電導線は、素線
の長手方向に連続的に設けられ、かつ素線の外周方向に
おいて外側の安定化Cu部を分断する金属バリヤ層をさ
らに備えることができる。この金属バリヤ層は、たとえ
ば、Cu−Ni、Cu−Mn、Cu−Si、Cu−Cr
等から形成することができる。特に、CuNi合金およ
びCuMn合金は、金属バリヤ層を形成するための材料
として適切である。
【0021】たとえば、このような金属バリヤ層をCu
Ni合金で形成した場合、この層によって外側の安定化
Cu部で発生する交流損失を低減することができる。こ
のため、NbTiフィラメントバンドル部を含むCuN
i合金バリヤ層の厚みを5〜100μmの範囲内で薄く
することができ、それによって、NbTiフィラメント
バンドル部の占める割合を向上させ、線断面当りの臨界
電流密度を増加させることができる。したがって、Cu
Ni合金で外側の安定化Cu部を分断した場合、電流損
失を低減させた状態で臨界電流密度を向上させるため、
CuNi合金バリヤ層の厚みを5〜30μmと小さくす
ることができる。また、このとき、外側の安定化Cu部
の厚みは5〜50μmとすることができ、CuNiによ
るバリヤ層の厚みも安定化Cu部の厚みに応じて5〜5
0μmの範囲で変えることができる。
【0022】一方、この発明の超電導線において、外側
の安定化Cu部の厚みは30μm以下であることがより
好ましい。30μm以下とすることで、外側の安定化C
u部における渦電流損失を低く抑えておくことができ
る。
【0023】また、外側の安定化Cu部の厚みを30μ
m以下とする場合、さらに渦電流損失を低減させるた
め、この安定化Cu部を上述したような溝部、誘電体ま
たは金属バリヤ層で分断してもよい。
【0024】
【作用】この発明のNbTi超電導線では、素線内部に
おいて、NbTiフィラメントバンドル部と内側および
外側の安定化Cu部との境界にそれぞれCuNi合金バ
リヤ層が配置されている。このため、安定化Cu部を通
る結合電流のパスをCuNi合金バリヤ層で防止するこ
とができ、交流損失を低減させることができる。
【0025】この発明において、CuNi合金バリヤ層
の厚みを5μm以上としているのは、5μm未満である
と、結合損失の低減が不十分となるからである。また、
CuNi合金バリヤ層の厚みを100μm以下としてい
るのは、100μmを超えると、CuNiフィラメント
部の発熱を安定化Cu部に伝達することが困難となる。
すなわち、安定化Cu部への電流の分流が困難となり、
安定性が低下する。
【0026】この発明のNbTi超電導線では、NbT
iフィラメントバンドル部の内側と外側に安定化Cu部
が配置されている。このため、NbTiフィラメントの
発熱による電流の分流が安定Cu部で容易に行なわれ、
また、常電導の発生も安定化Cu部により抑えられるた
め、安定性がより向上される。
【0027】また、この発明の超電導線において、外側
の安定化Cu部を溝部で分断することにより、この安定
化Cu部における結合電流のパスを阻止することができ
る。この発明に従った構造を有する素線では、結合電流
のパスは、特に外側の安定化Cu部を通るものが大きく
なることを本発明者らは知見している。したがって、こ
のパスを溝部により阻止することは、超電導線の交流損
失を低減する上で非常に効果的である。同様にして、外
側の安定化Cu部を誘電体により分断して結合電流のパ
スを阻止することができる。
【0028】また、外側の安定化Cu部を抵抗の高い金
属バリヤ層で分断しても、安定化Cu部を通る結合電流
のパスを防止し、超電導線の交流損失を低減させること
ができる。
【0029】なお、以上に示した安定化Cu部の分断の
ための手段のうち、溝部は他の手段よりも容易に形成す
ることができ、量産に適している。
【0030】この発明の超電導線において、外側の安定
化Cu部は、30μm以下とすることがより好ましい。
これは、以下の実施例で示すように、30μmを超える
と、外側の安定化Cuによる渦電流損失が急激に増加す
るためである。
【0031】
【実施例】
実施例1 図1は、この発明に従うNbTi超電導線の1つの具体
例を示す断面図である。図1を参照して、このNbTi
超電導線1は、平角成型撚線であり、9本の素線2から
構成されている。
【0032】図2は、図1のNbTi超電導線の素線を
示す断面図である。図2を参照して、素線2の中心には
内側安定化Cu部3が設けられており、内側安定化Cu
部3のまわりにNbTiフィラメントバンドル部5が設
けられている。このNbTiフィラメントバンドル部5
のまわりに外側安定化Cu部7が設けられている。
【0033】また、内側安定化Cu部3とNbTiフィ
ラメントバンドル部5の間の境界には、CuNi合金バ
リヤ層4が設けられている。このCuNi合金バリヤ層
4は、内側安定化Cu部3の内部にまで伸び、内側安定
化Cu部3を7つの区画に分割している。
【0034】NbTiフィラメントバンドル部5と外側
安定化Cu部7との間の境界には、CuNi合金バリヤ
層6が設けられている。外側安定化Cu部7のまわりに
は、外皮CuNi層8が設けられている。
【0035】図3は、図2の素線中のNbTiフィラメ
ント部を示す断面図である。図3を参照して、NbTi
フィラメント10のまわりには断面六角形形状のCu部
11が設けられており、このCu部11のまわりにはさ
らにCuNi層12が設けられている。
【0036】この実施例では、CuNi合金バリヤ層4
およびCuNi合金バリヤ層6の厚みを5μm以上10
0μm以下としている。
【0037】70MW級の低速応励磁型発電機の界磁巻
線用導体として、図1〜図3に示すような平角成型撚線
を作製した。CuNi合金バリヤ層4およびCuNi合
金バリヤ層の厚みを約50μmとした導体(実施例1)
を作製するとともに、比較として、CuNi合金バリヤ
層4およびCuNi合金バリヤ層6の厚みを約2μmと
したもの(比較例1)も作製した。
【0038】作製した実施例1および比較例1の素線お
よび導体の形状、ならびに臨界電流値などの特性を表1
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】撚線後熱処理し、そのときの熱処理温度を
変化させることにより、表2に示すような異なる残留抵
抗比の撚線を実施例1および比較例1について作製し
た。残留抵抗比の高いものは、熱処理温度を高くするこ
とにより作製した。
【0041】こうして得られた残留抵抗比の異なる実施
例1および比較例1の撚線について、結合損失を測定し
た。得られた値は表2に実測値として示した。また表2
には、結合損失の計算値も併せて示した。
【0042】
【表2】
【0043】表2から明らかなように、この発明に従う
実施例の撚線は、比較例のものに比べ、実測値および計
算値において低い結合損失を示している。表2から明ら
かなように、この発明に従う実施例では、残留抵抗比が
高くなっても、外側安定化Cu部の結合損失が低く抑え
られていることがわかる。
【0044】以上のように、この発明に従いNbTiフ
ィラメントバンドル部と内側および外側の安定化Cu部
との境界に所定の厚みのCuNi合金バリヤ層を設ける
ことにより、交流損失を低減させるとともに、高い安定
性が得られることがわかった。 実施例2および3 図4は、この発明に従うNbTi超電導線の他の具体例
を示す断面図である。図4を参照して、このNbTi超
電導線21は、素線22を7本撚した一次撚線23をさ
らに11本平角撚にして圧縮成型した平角成型二重撚線
である。図4に示す超電導線の素線には、2種類の形状
のものを使用した。そのうち1つは、図5(実施例2)
に示すとおりであり、もう1つは図6(実施例3)に示
すとおりである。
【0045】図5を参照して、素線22の中心には内側
安定化Cu部3が設けられており、内側安定化Cu部3
のまわりにNbTiフィラメントバンドル部5が設けら
れている。このNbTiフィラメントバンドル部5のま
わりに外側安定化Cu部7が設けられている。
【0046】また、内側安定化Cu部3とNbTiフィ
ラメントバンドル部5の間の境界には、CuNi合金バ
リヤ層4が設けられている。このCuNi合金バリヤ層
4は内側安定化Cu部3の内部にまで延び、内側安定化
Cu部3を7つの区画に分画している。
【0047】NbTiフィラメントバンドル部5と外側
安定化Cu部7との間の境界には、CuNi合金バリヤ
層6が設けられている。また、外側安定化Cu部7の表
面には、ホルマール絶縁層13が形成されている。
【0048】図6に示す素線22′では、外側安定化C
u7部に6個のV字型溝8が形成されている。6個の溝
8は、素線の外周において回転対称に配置されている。
また、溝8は、CuNi合金バリヤ層6に到達している
とともに、図示しないが、素線の長手方向(主面に垂直
方向)に連続的に延びており、溝と溝の間の外側安定化
Cu部7は完全に独立している。
【0049】このような素線22′において、外側安定
化Cu部7の内側は、図5に示す素線と同じ構造を有し
ている。また、外側安定化Cu部7の表面には、ホルマ
ール絶縁層13′が形成されている。なお、このホルマ
ール絶縁層13′は、溝を切削加工で形成する場合、溝
の部分だけ除去されている一方、溝を圧延加工で形成す
る場合、溝の表面にも存在することになる(図6は圧延
加工の場合を示している)。
【0050】図7は、図5および図6の素線中のNbT
iフィラメント部を示す断面図である。図7を参照し
て、NbTiフィラメント10のまわりには、断面六角
形形状のCu部11が設けられており、このCu部11
のまわりにはさらにCuNi層12が設けられている。
【0051】図5および図6に示す素線をそれぞれ用
い、図4に示す平角成型二重撚線を70MW級の超速応
励磁型発電機の界磁巻線用導体として作製した。なお、
図5および図6に示す素線において、内側のCuNi合
金バリヤ層4の厚みはともに5μm、外側のCuNi合
金バリヤ層6の厚みはともに15μmであった。また、
図6に示す素線は、図5に示す素線についてローラダイ
スによる圧延加工で溝を形成することにより作製した。
圧延加工を用いたため、溝部にもホルマール絶縁層が形
成されており、この層の厚みは約10μmであった。
【0052】図5の素線より作製した撚線を実施例2、
図6の素線より作製した撚線を実施例3として、それぞ
れにつき素線および導体の形状ならびに臨界電流密度な
どの特性を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】実施例2と3を比較して明らかなように、
外側の安定化Cu部を一部除去して溝を形成することに
より、交流損失を低減させることができた。また、表3
に示すように、交流損失の低減は、結合+渦電流損失の
低減によっている。
【0055】なお、実施例3の特性は、規格値(臨界電
流密度>2600A/mm2 、交流損失<10kW/m
3 、残留抵抗比>100)を満足している。 実施例4および5 図8は、この発明に従うNbTi超電導線の他の例を示
す断面図である。図8を参照して、このNbTi超電導
線31は、平角成型撚線であり、9本の素線32から構
成されている。
【0056】図9は、図8のNbTi超電導線の素線を
示す断面図である。図8を参照して、素線32の中心に
は内側安定化Cu部3が設けられており、内側安定化C
u部3のまわりに、NbTiフィラメントバンドル部5
が設けられている。このNbTiフィラメントバンドル
部5のまわりに外側安定化Cu部7が設けられている。
内側安定化Cu部3とNbTiフィラメントバンドル部
5の間の境界には、CuNi合金バリヤ層4が設けられ
ている。CuNi合金バリヤ層4は、内側安定化Cu部
3の内部にまで延び、内側安定化Cu部3を7つの区画
に分画している。
【0057】NbTiフィラメントバンドル部5と外側
安定化Cu部7との間の境界には、CuNi合金バリヤ
層6が設けられている。また、外側安定化Cu部7のま
わりには、外皮CuNi層18が設けられている。
【0058】さらに、外側安定化Cu部7は、CuNi
合金バリヤ層9により6つに分画されている。6つのC
uNi合金バリヤ層9は、回転対称に設けられるととも
に、図示しないが、素線の長手方向(紙面に対して垂直
方向)に沿って連続的に設けられている。
【0059】図10は、図9の素線中のNbTiフィラ
メント部を示す断面図である。図10を参照して、Nb
Tiフィラメント10のまわりには、断面六角形形状の
Cu部11が設けられており、このCu部11のまわり
にはさらにCuNi層12が設けられている。
【0060】この実施例では、CuNi合金バリヤ層4
およびCuNi合金バリヤ層6の厚みを5μm以上30
μm以下としている。また、外側の安定化Cu部および
CuNi合金バリヤ層9の厚みを5μm以上100μm
以下としている。
【0061】70MW級の低速応励磁型発電機の界磁巻
線用導体として、図9に示す素線を用いて図8に示すよ
うな平角成型撚線を作製した。素線において、CuNi
合金バリヤ層4およびCuNi合金バリヤ層6の厚みが
約20μmのものを用いて撚線を作製した(実施例
4)。また、比較として、CuNi合金バリヤ層4およ
びCuNi合金バリヤ層6の厚みは同様で、CuNi合
金バリヤ層9を設けない素線を用いて撚線を作製した
(実施例5)。
【0062】作製した実施例4および実施例5の素線お
よび導体の形状、ならびに臨界電流値などの特性を表4
に示す。
【0063】
【表4】
【0064】撚線後熱処理し、そのときの熱処理温度を
変化させることにより表5に示すような異なる残留抵抗
比の撚線を実施例4および実施例5について作製した。
残留抵抗比の高いものは、熱処理温度を高くすることに
より作製した。
【0065】このようにして得られた残留抵抗比の異な
る実施例4および実施例5の撚線について結合損失を測
定した。得られた値は表5に実測値として示した。ま
た、表5には、結合損失の計算値も併せて示した。
【0066】
【表5】
【0067】表5から明らかなように、実施例4の素線
は、実施例5のものに比べ、実測値および計算値におい
て低い結合損失を示している。表5から明らかなよう
に、外側の安定化Cu部7をCuNi合金バリヤ層9で
分断することにより、残留抵抗比が高くなっても、外側
安定化Cu部の結合損失が低く抑えられていることがわ
かる。
【0068】また、CuNi合金の増加もNbTiの1
に対し0.9と低く抑えられており、NbTi当りの高
い臨界電流密度2750A/mm2 (5T)が得られれ
ば、線断面当りの臨界電流密度について大幅な向上も図
れることが実証された。このように、外側の安定化Cu
部をCuNi合金バリヤ層で分断することにより、交流
損失を低減させるとともに、高い臨界電流密度および高
い安定性が得られることがわかる。 実施例6 図11は、この発明に従うNbTi超電導線の他の例を
示す断面図である。図11を参照して、このNbTi超
電導線41は、素線42を7本撚した一次撚線43をさ
らに11本平角撚にして圧縮成型した平角成型二重撚線
である。
【0069】図12は、図11のNbTi超電導線の素
線を示す断面図である。図12を参照して、素線42の
中心には内側安定化Cu部3が設けられており、内側安
定化Cu部3のまわりには、NbTiフィラメントバン
ドル部5が設けられている。このNbTiフィラメント
バンドル部5のまわりには、外側安定化Cu部7が設け
られている。
【0070】また、内側安定化Cu部3とNbTiフィ
ラメントバンドル部5の間の境界には、CuNi合金バ
リヤ層4が設けられている。このCuNi合金バリヤ層
4は、内側安定化Cu部3の内部にまで延び、内側安定
化Cu部3を7つの区画に分画している。
【0071】NbTiフィラメントバンドル部5と外側
安定化Cu部7との間の境界には、CuNi合金バリヤ
層6が設けられている。
【0072】図13は、図12の素線中のNbTiフィ
ラメント部を示す断面図である。図13を参照して、N
bTiフィラメント10のまわりには、断面六角形形状
のCu部11が設けられており、このCu部11のまわ
りには、さらにCuNi層12が設けられている。
【0073】この実施例では、CuNi合金バリヤ層4
およびCuNi合金バリヤ層6の厚みを5μm以上50
μm以下とするとともに、外側の安定化Cu部7の厚み
を30μm以下としている。
【0074】70MW級の超速応励磁型発電機の界磁巻
線用導体として、図12に示す素線より図11に示すよ
うな平角成型二重撚線を作製した。
【0075】CuNi合金バリヤ層4およびCuNi合
金バリヤ層6の厚みが約50μmのもの(実施例6)を
作製するとともに、比較として、CuNi合金バリヤ層
4およびCuNi合金バリヤ層6の厚みが約1μmのも
の(比較例2)も作製した。なお、実施例6および比較
例2とも、外側安定化Cu部7の厚みは20μmとして
いる。
【0076】作製した実施例6および比較例2の素線お
よび導体の形状、ならびに臨界電流密度などの特性を表
6に示す。
【0077】
【表6】
【0078】表6から明らかなように、比較例2および
実施例6とも臨界電流密度と安定性を決める残留抵抗比
は、基準値(臨界電流密度は2600A/mm2 以上、
残留抵抗比は100以上)を満たしている。一方、交流
損失について、実施例6は基準値である10kW/m3
以下を満足する一方、比較例2は基準値を大幅に上回っ
ている。このことから、NbTiフィラメントバンドル
部と、内側および外側の安定化Cu部との境界に所定の
厚みのCuNi合金バリヤ層を設けることにより、交流
損失を低減させるとともに、高い臨界電流密度と高い安
定性を有する導体を作製できることがわかる。
【0079】実施例6では、外側安定化Cu部の厚みを
比較例2とともに20μmとしたが、外側安定化Cu部
の厚みによる交流損失の低減効果を明らかにするため、
表7に示す5種類の試料を作製し、渦電流損失の測定を
行なった。
【0080】
【表7】
【0081】CuNi単線(No.1)の渦電流損失は
0.1kW/m3(4T→6T→4T、10T/s)以
下で非常に小さいことが判明した。これに比べ、Cuを
外皮としたCu/CuNi複合線(No.2〜No.
5)の磁化曲線は、Cu外皮厚が大きいほど磁化曲線の
面積が大きくなり、渦電流損失と外皮厚の関係は図14
に示すとおりとなった。図14から明らかなように、3
0μm以上の外皮厚では、渦電流損失が急激に増加す
る。
【0082】そこで実施例6のタイプの素線を用いてさ
らに詳細な検討を行なった。交流損失の成分は次式のと
おりとなる。
【0083】 交流損失=ヒステリシス損失+結合損失+渦電流損失 ヒステリシス損失はCuNi径に比例する。実施例6で
は、3.1μmφのフィラメントであるから、ヒステリ
シス損失は数kW/m3 となる。これを踏まえて、先ほ
どの実験例から、渦電流損失は、外側安定化Cu部の厚
みが30μm以下であれば、0.5kW/m3 以下であ
ることが判明した。
【0084】実施例6で用いた素線において、外側安定
化Cu部の厚みを種々変えたものを作製し、結合損失の
評価を行なった。その結果を図15に示す。
【0085】図15に示すように、外側安定化Cu部の
厚みに比例して結合損失は増加することが実験的に明ら
かになった。これより、交流損失を規格の10kW/m
3 以下とするためには、外側Cu部の厚みを30μm以
下にすればよい。厚みを40μmとすれば、結合損失は
約10kW/m3 となり、他のヒステリシス損、渦電流
損に対する余裕がなくなる。さらに余裕を設けたいなら
ば、外側安定化Cu部の厚みを20μm以下とすること
がより好ましい。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のNbT
i超電導線は、交流損失が低減され、高い安定性を有
し、さらに高い電流密度を保持することができるので、
たとえば、超電導発電機などに用いられる発電機用超電
導線として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従うNbTi超電導線の一具体例を
示す断面図である。
【図2】図1のNbTi超電導線の素線を示す断面図で
ある。
【図3】図2の素線中のNbTiフィラメント部を示す
断面図である。
【図4】この発明に従うNbTi超電導線の他の例を示
す断面図である。
【図5】図4の超電導線に用いる素線の一具体例を示す
断面図である。
【図6】図4の超電導線に用いる素線のもう1つの具体
例を示す断面図である。
【図7】図5および図6の素線中のNbTiフィラメン
ト部を示す断面図である。
【図8】この発明に従うNbTi超電導線の他の例を示
す断面図である。
【図9】図8の超電導線に用いる素線を示す断面図であ
る。
【図10】図9の素線中のNbTiフィラメント部を示
す断面図である。
【図11】この発明に従うNbTi超電導線の他の例を
示す断面図である。
【図12】図11の超電導線に用いる素線を示す断面図
である。
【図13】図12の素線中のNbTiフィラメント部を
示す断面図である。
【図14】渦電流損失とCu外皮厚の関係を示す図であ
る。
【図15】外皮Cu厚を変えて結合損失を測定した結果
を示す図である。
【符号の説明】 1、21、31、41 NbTi超電導線 2、22、22′32、42 素線 3 内側安定化Cu部 4 CuNi合金バリヤ層 5 NbTiフィラメントバンドル部 6 CuNi合金バリヤ層 7 外側安定化Cu部 8 溝 9 CuNi合金バリヤ層 18 外皮CuNi層 10 NbTiフィラメント 11 Cu部 12 CuNi層 なお、図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
フロントページの続き (72)発明者 川島 真生 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 高橋 謙一 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素線内部において環状に配置されたNb
    Tiフィラメントバンドル部の内側および外側に安定化
    Cu部を有するNbTi超電導線において、 前記NbTiフィラメントバンドル部と内側の安定化C
    u部との境界および前記NbTiフィラメントバンドル
    部と外側の安定化Cu部との境界にそれぞれ厚みが5μ
    m以上100μm以下のCuNi合金バリヤ層が配置さ
    れていることを特徴とする、NbTi超電導線。
  2. 【請求項2】 前記素線の長手方向に連続的に形成され
    る溝部により、前記外側の安定化Cu部が、前記素線の
    外周方向において分断されていることを特徴とする、請
    求項1に記載のNbTi超電導線。
  3. 【請求項3】 前記素線の長手方向に連続的に設けられ
    る誘電体により、前記外側の安定化Cu部が、前記素線
    の外周方向において分断されていることを特徴とする、
    請求項1に記載のNbTi超電導線。
  4. 【請求項4】 前記素線の長手方向に連続的に設けられ
    る金属バリヤ層により、前記外側の安定化Cu部が、前
    記素線の外周方向において分断されていることを特徴と
    する、請求項1に記載のNbTi超電導線。
  5. 【請求項5】 前記外側の安定化Cu部の厚みが、30
    μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のN
    bTi超電導線。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008147175A (ja) * 2006-11-14 2008-06-26 Furukawa Electric Co Ltd:The パルス用NbTi超電導多芯線およびパルス用NbTi超電導成形撚線
US20220005632A1 (en) * 2018-09-28 2022-01-06 Furukawa Electric Co., Ltd. Insulation-coated compound superconducting wire and rewinding method thereof

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