JPH1091940A - 保護膜 - Google Patents

保護膜

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JPH1091940A
JPH1091940A JP25431597A JP25431597A JPH1091940A JP H1091940 A JPH1091940 A JP H1091940A JP 25431597 A JP25431597 A JP 25431597A JP 25431597 A JP25431597 A JP 25431597A JP H1091940 A JPH1091940 A JP H1091940A
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film
dlc
magnetic
carbon
substrate
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JP25431597A
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Shigenori Hayashi
茂則 林
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Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
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Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の耐久性および摩擦係数の向上を課題と
する。 【構成】 基板にDLC膜を形成する際に、接着性の向
上のため、DLCと基板との界面近傍にシリコンを添加
したもの。また、接着性改善により基板の耐久性が向上
した。また、DLCを形成し、基板表面の中心線平均粗
さを30nm以下とできたため摩擦係数の向上が果たせ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオーディオテープ、
ビデオテープ、フロッピィディスク、ハードディスク等
磁気記録媒体に関するものである。特に前記磁気記録媒
体の特性向上のための磁性薄膜上被膜の形成に関する技
術を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】オーディオテープ、ビデオテープ、フロ
ッピィディスク、ハードディスク等磁気記録媒体は一般
に有機樹脂もしくは金属等の支持基板上に磁性膜を形成
して構成される。磁性膜は塗布、もしくは蒸着、スパッ
タ等の真空プロセスにより形成される。性能よりはコス
トを優先させる場合は塗布で、高性能が要求される場合
は真空プロセスが用いられる。
【0003】これら磁気記録媒体はその使用状態におい
て、常時もしくは一時的に、磁気ヘッド(信号書込み・
読み取り装置)またはその機構部品、およびキャプスタ
イン、ロラー等送り機構部品と接触しており、機械的負
荷を受ける。このため、磁気特性と同時に機械的耐久性
および低摩擦性が要求される。従来、摩擦係数を下げる
方策として、磁性膜表面に潤滑膜を塗布する、表面に凹
凸を設け実質的な接触面積を低下させる等の対策が採ら
れているが、接触、慴動により潤滑膜は磨耗し、摩擦係
数が上昇し、加速的に劣化が進行してしまう。
【0004】また、近年は映像、音響等従来アナログ信
号として扱ってきた情報をディジタル化する流れにあ
り、磁気記録媒体に対してもその記録信頼性の向上が望
まれている。このような背景においては長期的に摩擦係
数が安定して低いレベルに保たれる必要がある。
【0005】磁性薄膜は有機物ポリマーに磁性材料粉を
混入させ、塗布により基板上に層を形成する方法と磁性
材料自体を真空蒸着またはスパッタ法等の真空プロセス
により層形成する方法があるが、真空プロセスを用いた
ほうが磁気特性が良好となる。磁性材料はフェライト、
金属等を用いるのが一般的である。金属磁性材料として
はNiCo、CoPtCr等が用いられる。
【0006】一方、炭素もしくは炭素を主成分とする硬
度の高い被膜をプラズマCVD技術を用いて形成できる
ことは特公平3−72711、特公平4−27690、
特公平4−27691等に開示されており、良く知られ
ている。即ち、減圧容器内に主に炭化水素ガスと水素ガ
スを原料ガスとして導入し、容器内に設置した一対もし
くはそれ以上の電極に通常高周波の電界を印加し、該電
界により原料ガスをプラズマ化して炭素を含む粒子を活
性化し、これを基板に堆積させる技術である。
【0007】これらの被膜は硬度が高く、ダイヤモンド
状の物性を示すことからダイヤモンドライクカーボン
(以下DLCと略称)と称される。通常、DLCを成膜
するときにはプラズマ電位に対して負のバイアスが基板
に印加されるよう自己バイアス、もしくは外部電源によ
るバイアスが印加される。これにより炭素膜中のグラフ
ァイトライクな物性を示す結合(sp2 混成軌道+p軌
道)がエッチングされ、ダイヤモンドライクな物性を示
す結合(sp3 混成軌道)が主に形成されることとな
る。
【0008】このようなDLC薄膜の硬度はビッカース
硬度にして2000kg/mm2 以上と高く、摩擦係数
も低いため、磁性膜表面の保護膜、潤滑膜として好適な
ものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらDL
C膜は磁性材料、特に金属磁性材料との接着性が充分で
なく成膜後に自然に剥離したり、機構部品との接触、慴
動により剥離してしまい、実用に耐えるだけの接着強度
を有しないという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め本発明では、磁性薄膜上に形成される炭素もしくは炭
素を主成分とする被膜に4族の元素を20原子%以下添
加するものである。4族元素としてはSi、Geを用い
ることができる。
【0011】DLCに4族元素を添加すると接着性が向
上する理由は以下のように推察できる。DLC膜中には
グラファイトライクな物性を示す結合(sp2 混成軌道
+p軌道)とダイヤモンドライクな物性を示す結合(s
3 混成軌道)が混在しており、sp3 混成軌道の場合
は4つのσ電子が結合に寄与するもののsp2 混成軌道
+p軌道の場合は3つのσ電子と1つのπ電子により結
合がなされる。π電子による結合はσ電子によるそれよ
り結合力が小さいと考えられるのでsp3 混成軌道とな
っている炭素原子の比率が高いDLC膜ほど硬度が高
く、ダイヤモンドに近い物性を示す。これは金属との界
面においても同様に考えることが出来、界面近傍にsp
2 混成軌道+p軌道をもった炭素原子が少ないほど結合
力すなわち密着性が良好となると考えられる。
【0012】一方、Si原子はアモルファス状態にあっ
てもsp3 混成軌道状態(4配位)しかとりえないこと
が知られており、また、4配位元素中に孤立状態では3
配位もしくは5配位する元素を添加した場合周りの配位
数と同じ配位数すなわち4配位となるほうが熱的に安定
である事実はSiにPまたはBをドープしたときPまた
はBが4配位していることでよく知られている。すなわ
ち、sp2 混成軌道+p軌道(3配位)状態にある炭素
原子の最近接原子に4配位状態しか取りえないSi原子
を配置すると炭素原子は4配位となり、結果としてsp
3 混成軌道となっている炭素原子の比率が上昇すること
となる。よって、Siを添加したDLC膜は密着性が良
くなると考えられる。
【0013】DLC中に添加されるSiの量は20原子
%以下が良く、好ましくは1〜15原子%がよい。添加
されるSiの量が増大するとC−Cの結合が減少し、C
−Si、Si−Siの結合量が増大する。C−Si、S
i−Siの結合量が増えるとその膜の物性はSi膜に近
くなり、硬度は低下し、摩擦係数は上昇する。よってS
i量には最適値が存在する。
【0014】また、DLC中にはC、Siの他にH元素
が存在する。これは炭化水素を原料ガスとして用いてい
ることよりHが膜中に入ってしまうものであるが、さら
に水素ガスを原料ガスに加えて積極的に膜中に水素をい
れることもある。膜中の水素はダングリングボンド(未
結合手)のターミネーターとして働き、膜の電気的、光
学的特性の向上、熱的安定性の向上として作用する。本
発明のDLCにも10〜60原子%、好ましくは15〜
40原子%のHが含まれている。
【0015】さらに3族もしくは5族の元素を添加する
こともできる。3族の元素としてB、Al、Ga、5族
の元素としてN、P、As等を用いることができる。こ
れら3族もしくは5族の元素はDLC膜の内部応力を緩
和するように作用させることが可能である。接着性はD
LCと磁性材料との界面での接着強度に大きく依存する
が、DLC自体の有する内部応力を低下させることによ
り接着性を改善することができる。すなわち、膜を剥離
させようとする駆動力はDLC自体の有する内部応力で
あるためそれを緩和するものである。
【0016】DLC中に含まれるSi原子の濃度は膜の
深さ方向で一定でも良いが、表面近くになるに従いSi
原子濃度が減少するほうがより好ましい。これは、Si
原子濃度が上昇するほどsp3 性は高くなるものの、摩
擦係数が増大するためである。界面近傍の接着性が要求
される部分ではSi添加によりsp3 性を高くし、表面
の低摩擦係数が要求される部分ではSi添加を行わない
というようにDLC層を少なくとも2層に分け、各々機
能を分離するものである。磁性薄膜上のDLC膜の構成
としては機能分離型が好ましい。例えば、DLC膜は、
図10(A)または図10(B)に示すような不純物
(例えばSi、Ge、Sn、Pb)の濃度分布を有して
いてもよい。不純物濃度は磁性膜とDLC膜の界面から
DLC膜の表面に向かって減少する。また、DLC膜の
表面付近のDLC膜の不純物濃度は、前記界面付近のD
LC膜の不純物濃度より小さい。
【0017】上記の方法で接着性を改善し、更に、本発
明人はDLCの効果を確かめる実験を行ったところ、従
来必要であった表面の凹凸がDLCを用いることにより
必要がなくなり、その結果、磁気ヘッドと磁性材料間の
距離を縮めることが可能となったため磁気特性を大幅に
向上させることが可能となった。それは、以下の理由に
よる。
【0018】一般に、単位面積当たりの磁化が一定であ
るとすると磁気ヘッドの距離は磁性体に近い程S/N比
は向上し、逆に磁気ヘッドの距離が十分に近ければ一定
以上のS/N比を保証する磁束を少なくできる。よって
記録信頼性を向上しようとすれば磁気ヘッドをできるだ
け磁性材料に近づける必要がある。
【0019】従来磁気記録媒体の表面摩擦係数を低下さ
せるため表面に凹凸を付けていた。表面に凹凸が有る場
合、実効的な接触面積が低下するため摩擦係数は低下す
るからである。が、これは磁気特性を犠牲にして摩擦係
数を優先していたと言える。
【0020】本発明では上記の相反する特性、すなわ
ち、磁気記録媒体表面と各種機構部品との摩擦係数の低
下と、記録信頼性の向上を同時に満足することができ
る。
【0021】発明人の実験ではDLCを成膜しない表面
の摩擦係数は中心線平均粗さ(Ra)が30nmの場合
で0.4程度、Ra=10nmの場合で0.8となる。
実用的な摩擦係数は0.4以下であり、DLCを成膜し
ない場合はRa=30nm以上必要であることがわか
る。一方DLCを成膜すると摩擦係数はRa=10nm
の場合でも0.2〜0.4と低レベルにあり、しかも、
慴動を繰り返しても摩擦係数の変化はほとんど無かっ
た。
【0022】なお、摩擦係数はDLC膜厚の依存性をも
ち、DLC膜厚が大きいほど摩擦係数が小さくなること
が実験によりわかっている。実用的な摩擦係数は10n
m以上で得られる。
【0023】すなわち、摩擦係数は低レベルに保ったま
ま表面の凹凸を減少させ、磁気特性を向上させることが
可能となる。
【0024】DLCの作製方法を以下に示す。従来技術
で述べた通りDLCはプラズマCVD法を用いて作製で
きる。プラズマCVD法は一般的な平行平板電極を用い
たものでも、また、プラズマの陽光柱部分を用いた陽光
柱方式のプラズマCVDでもよい。平行平板電極方式の
場合は基板が平面に限定されるのに対し陽光柱方式では
立体に成膜可能なため基板形状を選ばず、量産性の点で
も有利となる。
【0025】基板は平板状の場合基板ホルダーにセット
して反応空間内に保持される。基板がフィルムの場合は
ロール状態で真空中に導入し、ロールからロールに巻き
取る方式で反応空間内を走行させて成膜することができ
る。
【0026】反応ガスは炭素の原料として炭化水素を用
いることができる。炭化水素の例としてはメタン、エタ
ン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素、エチレン、ア
セチレン等の不飽和炭化水素があげられる。ベンゼン、
トルエン等の芳香族系、アダマンタン、アダマンタノー
ル等を用いてもよい。また、炭化水素分子の水素のうち
1個もしくは複数個がF、Cl、Br等のハロゲン系元
素におきかわったハロゲン化炭化水素を用いてもよい。
【0027】反応ガスには炭化水素の他に水素を添加し
てもよい。水素を添加するとプラズマ中での水素ラジカ
ルが増加し、膜中の余分な水素を引き抜く効果が期待で
きる。よって、より高品質な膜を得ることが可能とな
る。全ガス流量に対する水素ガス流量の比は90〜30
%、好ましくは70〜50%が良い。全ガス流量に対す
る水素ガス流量の比が多すぎると成膜速度が減少し、少
なすぎると余分な水素の引抜き効果がなくなる。
【0028】4族元素を添加するためのガスはSiにた
いしてはシラン、ジシラン、フッ化シラン等を用いるこ
とができる。Geにたいしてはゲルマン、フッ化ゲルマ
ン等を用いることができる。3族元素に対してはジボラ
ン、3フッ化ボロン、トリメチルボロン等、4族元素の
窒素にたいしてはN2 、アンモニア、3フッ化窒素等、
Pにたいしてはフォスフィン等のガスを用いることがで
きる。添加ガスの流量比は圧力、印加電力等他の成膜パ
ラメータにもよるが炭素源ガスに対して10%以下にな
る流量に制御するのが良い。
【0029】反応ガスを反応容器内に導入し、所定の圧
力に制御して、反応容器内に設置された一対もしくは複
数の電極に高周波電力を印加し、前記反応ガスをプラズ
マ化する。反応ガスの総流量は反応空間体積が約0.0
2立方メートルの場合で30sccm以上、好ましくは
50sccm以上必要となる。総流量の上限値は排気装
置の排気速度によって決まるが、少なくとも前記の値は
必要である。
【0030】反応圧力は5mTorrから1000mT
orr、好ましくは10〜100mTorrが良い。高
周波の電力は通常13.56MHzの周波数を用いる。
印加する電力は0.01〜1W/cm2 、好ましくは
0.05〜0.5W/cm2 とするのがよい。
【0031】基板の温度は非加熱で良く、この点は量産
性を考慮した場合大きなメリットとなる。
【0032】DLC成膜の場合はプラズマ中の粒子、主
にイオンが基板表面に入射するような電界を存在させる
と硬度向上と膜の緻密化に対して有利である。平行平板
方式の場合はRF電力給電側の電極にブロッキングコン
デンサを設置せしめて該電極側に自己バイアスを発生さ
せ、これをイオンが基板表面に入射させる電界として利
用する方法がある。この場合基板はRF電力給電側に設
置する。
【0033】陽光柱方式の場合は陽光柱内に基板をセッ
トしただけではイオンが基板表面に入射するような電界
は発生しないので外部電源により前記電界を発生させる
必要がある。外部電源による電界は交流が効果的で、周
波数はプラズマ内のイオンプラズマ周波数と電子プラズ
マ周波数の間にとるのが良い。イオンと電子の質量の差
によりイオンプラズマ周波数の方が電子プラズマ周波数
より数桁小さくなる。イオンプラズマ周波数よりも高く
電子プラズマ周波数よりも低い周波数の外部電場を印加
した場合、イオンの動きは外部電場に追随できず、一
方、電子は外部電場に追随に追随するため、基板表面は
負に帯電する。その結果基板表面にはイオンが基板表面
に入射するような電界が発生し、該入射イオンの作用で
硬くて緻密なDLC膜が生成されるようになる。バイア
ス印加のための外部電場の周波数は、プラズマ内の電子
温度、電子密度、イオン温度、イオン密度にもよるが、
1〜1000kHzの間が良く、好ましくは10〜50
0kHzが良い。電場の強さはピークツゥピークで50
〜1000V、好ましくは100〜400Vが良い。
【0034】本発明のDLC膜は図9のCVD装置を用
いて形成することができる。図9において、CVD装置
は、絶縁物51、52、53、54、55および56、
キャンロール31(カソード電極として機能する。)、
巻き出しロール33、巻き取りロール32、ガイドロー
ル34、ブロッキングコンデンサ58を介してキャンロ
ール31に接続されているRF電源35、真空ポンプに
接続されている排気パイプ36、37、38、39、4
2、45および47、アノード43の内側を介して放電
空間44に延在しているガス供給通路40、DLC膜成
膜空間41、水素プラズマ処理空間49、アノード46
の内側を介して放電空間48に延在しているガス供給通
路50からなる。フィルム基板57(その上には磁性材
料層が設けられている。)は、巻き出しロール33から
供給され、巻き取りロール32に巻き取られる。空間4
9と放電空間48は、真空ポンプによって排気パイプ4
7を介して真空引きされ、H2 ガスをガス供給通路50
から供給し空間49と放電空間48の圧力は60〜10
0Pa例えば80Paに維持する。空間41と放電空間
44は排気パイプ42を介して真空ポンプによって真空
引きされH2 ガスとC2 4 ガスをガス供給通路40か
ら供給し空間41と放電空間44の圧力は60〜100
Pa例えば80Paに維持する。アノード43および4
6は例えば接地される。カソード電極即ちキャンロール
31には13.56MHzでRF電源35からRF電力
が供給される。このようにして、キャンロール(カソー
ド)31とアノード46の間に放電が起き、またキャン
ロール(カソード)31とアノード43の間にも放電が
起きる。こうして、フィルム基板57は、放電空間48
において水素プラズマ処理が行われ、放電空間44にお
いて磁性材料層の上にDLC膜の成膜が行われる。キャ
ンロール31の表面とアノード43の表面59の間の距
離、キャンロールの表面とアノード46の表面60の間
の距離は20mm以下好ましくは18mm以下である。
キャンロール31の表面と絶縁物51、52、55およ
び56のそれぞれの表面との間の距離は5mm以下例え
ば2mm以下である。
【0035】
【実施例】
〔実施例〕本実施例1ではフィルム状基板に磁気記録媒
体を形成した例を述べる。本実施例により作製される磁
気テープの層構成を図1に示す。
【0036】支持基板として厚さ7μmのPET(ポリ
エチレンテレフタレート)フィルム(11)を用いた。
基板表面の中心線平均粗さ(Ra)は3nmである。該
基板は400mm幅のロールとして供給される。DLC
膜を形成する前にあらかじめ磁性膜(12)の成膜を行
った。磁性膜(12)はCoNiの合金を用いた。成膜
は真空蒸着により行い、膜厚は200nmとした。該磁
性膜(12)上にDLC膜(13)を厚さ10nm〜5
0nmの間で変化させて成膜した。
【0037】DLC膜は陽光柱方式のCVD装置を用い
た。装置の概略を図2に示す。真空容器(21)内に一
対の電極(22)(点線で図示)を設置し、該電極(2
2)にマッチングボックス(図示せず)を介してRF電
源(図示せず)よりRF電力を加えると反応空間(2
5)にプラズマが発生する。反応空間には原料ガスとし
てメタンガスを50sccm、水素50sccmもしく
はメタンガスを30sccm、水素70sccmの2水
準について導入した。圧力は10mTorrに制御し
た。印加したRF電力は100Wとした。
【0038】DLCと磁性膜界面にSiを添加するた
め、反応時間の10%にあたる1分間だけ前記反応ガス
にSiH4 ガスを添加した。流量は2.5sccmとし
た。
【0039】基板フィルムは送り出しロール(26)よ
り供給され、巻取りロール(27)に成膜後巻き取られ
る。反応空間(25)内ではローラー(28)により複
数回のターンが繰り返され反応空間を有効に利用してス
ループットの向上を図っている。
【0040】フィルムの裏面に接してバイアス電極(2
9)を設置してバイアス電界を印加した。バイアス電圧
周波数は50kHz、バイアス電圧(ピークツウピーク
値)200Vとした。
【0041】この時、同一バッチ内にシリコンウエファ
ーを膜質モニター用に設置し、このサンプルにより膜質
を評価したところ硬度はヌープ硬度で2500kg/m
2であった。また、FT−IR測定の結果を図3に、
ラマン分光結果を図4に示す。FT−IR測定結果より
700〜800cm-1付近にSi−C結合の伸縮振動
が、2100cm-1付近にSi−H結合の伸縮振動が見
られる。また、ラマン分光結果よりDLCに特徴的な1
550cm-1付近のブロードな散乱光ピークが見られて
いる。このことよりSiが添加され、かつ、DLCの構
造も保たれていることが分かる。
【0042】本実施例で作製された磁気テープの摩擦係
数を測定した。測定方法は直径3mmのステンレスピン
にテープを半周巻付け、荷重を20g、慴動速度428
mm/min、慴動距離50mmで行った。
【0043】膜厚に対する初期摩擦係数のグラフを図5
に示す。CH4 濃度30%の場合は膜厚依存性があり、
膜厚15nmでは摩擦係数0.44と大きく、膜厚が大
きくなるに従い摩擦係数は低下する。膜厚20nm程度
で実用的な摩擦係数である0.4以下となる。一方、C
4 濃度50%の場合は膜厚依存性はなく、膜厚15n
mでも0.3以下である。
【0044】膜厚に対する経時摩擦係数の変化を図6に
示す。変化の値は初期摩擦係数に対し200回慴動を行
った後の摩擦係数の増加分とした。図6より、CH4
度に係わらず膜厚依存性を示し、膜厚が大きいほど経時
摩擦係数の変化は小さくなっているのが分かる。実用状
態においては経時摩擦係数の変化が無いのが理想である
が、摩擦係数が0.4を越えないことを限度とするな
ら、CH4 濃度50%の場合で経時摩擦係数の変化0.
1以下、CH4 濃度30%の場合で0以下が望ましく、
よって膜厚はCH4 濃度50%の場合で27nm以上、
CH4 濃度30%の場合で21nm以上が望ましいこと
が分かる。
【0045】初期摩擦係数と経時摩擦係数の変化よりC
4 濃度50%の場合で27nm以上、CH4 濃度30
%の場合で21nm以上の膜厚が必要となることがわか
る。磁気特性は一般的に磁気ヘッドが10nm離れると
信号レベルが1dB低下することが知られている。本実
施例では表面粗さ3nmの基板を用いたため、実用に必
要な摩擦係数を保証するだけのDLCを成膜すると濃度
50%の場合で3dB、濃度30%の場合で2.4dB
の低下となる。
【0046】一方、従来の方法では30nmの凹凸が必
要であり、さらに10nm以上の潤滑膜が必要であった
ので、4dB以上のレベル低下となっていた。よって、
本発明のDLC膜を用いると1dB以上のレベル改善と
なる。
【0047】〔比較例〕実施例との比較のためSiを添
加しないDLC膜を作製した。磁気テープ、作製方法は
原料ガスにシランガスを加えない以外は実施例と同じに
した。作製された膜のFT−IR測定結果を図7に、ラ
マン測定結果を図8に示す。ラマン測定結果より典型的
なDLC膜であり、かつFT−IR測定結果よりSiは
膜中に含まれていないことが分かる。磁気テープ上のD
LCは自然に剥離が発生し、膜にはならなかった。
【0048】
【発明の効果】磁気記録媒体上に保護膜もしくは潤滑膜
としてDLC膜を成膜するに際し、Siを添加すること
により磁性材料との接着性を向上させることができた。
また、磁気記録媒体上にDLC膜を成膜する事により媒
体表面の凹凸を少なくでき、よって磁気特性を従来に比
べて1dB以上向上させることができた。
【0049】なお、本実施例のDLC膜は陽光柱方式の
CVD装置を用いて成膜したが、成膜方式によって本発
明の効果が制限されるものではない。よって、実施例に
は記述しなかったが、平行平板型CVD装置であって
も、また、炭素イオンビームによる成膜方式であっも良
いのはいうまでもない。
【0050】また、本実施例では接着性改善のための添
加物としてSiを用いたが、他の4族元素であるGeに
ついても同様の接着強度が実現されることは言うまでも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の層構成を示す
【図2】陽光柱方式のプラズマCVD装置の概略図を示
【図3】シリコンを添加したDLC膜のFT−IR測定
結果を示す
【図4】シリコンを添加したDLC膜のラマン分光測定
結果を示す
【図5】初期摩擦係数のDLC膜厚依存性を示す
【図6】経時摩擦係数変化のDLC膜厚依存性を示す
【図7】シリコンを添加しないDLC膜のFT−IR測
定結果を示す
【図8】シリコンを添加しないDLC膜のラマン分光測
定結果を示す
【図9】DLC膜形成用ロールトゥロール型装置の概略
図を示す。
【図10】不純物濃度分布を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された炭素または炭素を主成
    分とする保護膜において、 前記基板は凹凸を有し、 前記保護膜の表面は中心線平均粗さが30nm以下であ
    ることを特徴とする保護膜。
  2. 【請求項2】基板上に形成された炭素または炭素を主成
    分とする保護膜において、 前記保護膜の表面は中心線平均粗さが30nm以下であ
    り、 前記保護膜は少なくとも2層からなり、 前記保護膜の最も基板に近接している層は4族の元素を
    含有し、 前記保護膜の最も表面に近接している層は4族の元素を
    含有していないことを特徴とする保護膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記
    炭素膜はSP3 結合を有する非晶質な結晶構造を有する
    ことを特徴とする保護膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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