JPH05146820A - 伸線用ダイスおよびその製造方法 - Google Patents

伸線用ダイスおよびその製造方法

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JPH05146820A JP31568091A JP31568091A JPH05146820A JP H05146820 A JPH05146820 A JP H05146820A JP 31568091 A JP31568091 A JP 31568091A JP 31568091 A JP31568091 A JP 31568091A JP H05146820 A JPH05146820 A JP H05146820A
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drawing die
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Abstract

(57)【要約】 【構成】孔径が1mm以下の伸線用ダイスが内部に設置
された反応炉内に炉内圧力1torr以下の条件にて電
子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法により前記伸線
用ダイスの孔内面に表面粗さ(Rmax)が0.8μm
以下の好ましくは実質的にダイヤモンドと非晶質炭素か
ら構成され、ラマン分光スペクトル分析において1333±
10cm-1のピーク強度H1 と、1500±100 cm-1のピー
ク強度H2 のH2 /H1 の比率が0.2〜20の硬質炭
素膜を被覆形成する。 【効果】孔径の小さい伸線用ダイスに対して硬質で、成
膜後の表面粗さの小さい炭素膜を均一に形成することが
できるとともに、AlやCu等の軟質な金属の伸線加工
においてダイスに対して溶着等が生じずに耐摩耗性を向
上させダイスの長寿命化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属を線材化する時に
用いられる伸線用ダイスの改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、中心に孔が形成されたダイスに
金属素材を通して引き抜くことにより金属を線材化する
方法が知られている。この伸線用ダイスは、一般には鋼
製、超硬合金製、ダイヤモンド製のものが使用されてい
る。
【0003】伸線しようとする金属が、Al、Au、A
g、Cu等の軟質金属であっても、通常、ダイスの孔内
面は摩耗が生じる。孔内面に摩耗が生じると引き出され
た線材の断面形状が変化し、また表面に凹凸が形成され
る。そのために摩耗が大きくなると孔内面を研磨して再
使用されるが、線材の太さが研磨前よりも大きくなると
いう問題がある。よって、ダイスは再研磨するまでのダ
イス寿命が長いことが望まれるために、金属との接触部
分、即ち孔の内面を高硬度の材質で形成することが提案
されている。
【0004】従来の伸線用ダイスの材質としてはダイヤ
モンドが最も優れているが、ダイヤモンド自体が非常に
高価であるために小型のダイスにしか適用できなかっ
た。
【0005】そこで、最近に至り、孔の内面に硬質の材
料を被覆することによりダイス寿命を延長することが提
案されている。例えば、特開昭61−74725号で
は、WCダイスの孔内面にTiNを被覆することが提案
され、また、特開平1−62213号、特開平3−11
4610号にはCVD法によりダイヤモンド膜やこれに
類似する硬度を有する炭素膜を、特開平3−23010
号には、硬質炭素膜を被覆することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、特開
平1−62213号には、金属基体に直接又は中間層を
介してダイヤモンド膜を形成しようとするものである
が、金属基体とは中間層とを介してもダイヤモンド膜と
の付着強度が足りず、しかも一般的CVD法では成膜表
面が結晶により凹凸を有するために研磨することが必要
であるが、付着強度が小さいと研磨することが困難であ
り、しかも使用中に膜が剥離するという問題がある。
【0007】また、特開平3−114610号では、膜
厚を50〜150μmと厚くするために成膜表面の凹凸
がさらに大きくなり、これを研磨するためには多大な時
間と費用を要する。また、記載される熱フィラメントC
VD法ではダイス孔内部や回りにフィラメントを設置す
ることが必要であり、生産性に乏しくフィラメントのメ
ンテナンス等の問題がある。
【0008】さらに、特開平3−23010号は、超硬
合金基体に硬質炭素膜を形成したものであるが、この膜
が非晶質炭素膜であり、一般にDLC(ダイヤモンド−
ライク−カーボン)と呼ばれる水素を多く含んだ膜であ
り、結晶質のダイヤモンドに比較して硬度は約半分程度
と耐摩耗性に劣っている。また、伸線が高速度になると
ダイス温度が上昇し膜に含有されている水素が膜から抜
けてグラファイトとなるために更に耐摩耗性が劣化して
いく恐れがある。また、前処理として塩酸でダイス表面
のCo相を除去しているために基体のダイスが脆くなり
伸線加工時に破損する恐れがある。
【0009】これらの先行技術によれば、いずれもダイ
スの長寿命化という観点からは不十分であり、また、い
ずれも孔径がある程度大きいダイスにしか適用すること
のできないものであり、孔径が小さいダイスに適用しよ
うとすると、孔の入口付近にのみ膜が生成し孔の内面に
成膜することができないという問題があった。また、熱
フィラメント法で孔内部にフィラメントを設置すること
はフィラメントの過熱、あるいは母材が導電性である場
合にはショートする恐れがあり、現実的には不可能であ
る。
【0010】よって、本発明の目的は、孔径が小さいダ
イスに対して優れた耐摩耗性と長寿命化を図ることので
きる伸線用ダイス、および孔内面に均一に耐摩耗性に優
れた硬質炭素膜を生成させるための方法を提供するにあ
る。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は上記目的
に対して検討を重ねた結果、孔径が1mm以下の伸線用
ダイスに対して硬質炭素膜を形成する場合の各種の成膜
方法や、生成される炭素膜の特性について詳細に検討し
たところ、成膜方法として電子サイクロトロンプラズマ
CVD法により所定の条件にて成膜すると、孔径が1m
m以下の微小孔径の伸線用ダイスに対しても孔内面に均
一で且つ耐摩耗性に優れた硬質炭素膜が生成されること
を知見した。
【0012】即ち、本発明は、孔径が1mm以下の伸線
用ダイスが内部に設置された反応炉内に炉内圧力1to
rr以下の条件にて炭素含有ガスを導入し,マイクロ波
によりプラズマを発生させるとともに、該プラズマが発
生した領域に磁界を作用させることにより電子サイクロ
トロン共鳴プラズマを生ぜしめて、前記伸線用ダイスの
孔内面に表面粗さ(Rmax)が0.8μm以下の硬質
炭素膜を被覆したことを特徴とするもので、具体的に
は、硬質炭素膜が実質的にダイヤモンドと非晶質炭素か
ら構成され、ラマン分光スペクトル分析において133
3±10cm-1に存在するピークをH1 、1500±1
00cm-1に存在するピークをH2 とした時、H2 /H
1 で表される強度比が0.2乃至20であることを特徴
とするものである。
【0013】以下、本発明を詳述する。本発明における
伸線用ダイスは、図1に示すようにダイス孔Aの孔径a
が1mm以下の微小孔径よりなるものである。そして、
孔Aの内面には硬質炭素膜が被着形成されている。この
硬質炭素膜は、その表面粗さRmaxが0.8μm以下
であることが必要で、表面粗さが0.8μmより大きい
と伸線加工時に線材の断面形状が変化したり、線材表面
に傷が付いたりするとともに加工時の金属との接触抵抗
が大きく、硬質炭素膜の摩耗が大きくなったり、炭素膜
の剥がれ等を生じるためである。
【0014】表面粗さは、通常研磨加工により制御する
ことができるが、孔径の小さいダイス等の内面を研磨加
工することは困難である。そこで、本発明では、硬質炭
素膜を構成する結晶の平均粒径が3μm以下、特に1μ
m以下の微細な結晶よりなるとともに、膜自体がダイヤ
モンドと非晶質炭素膜より構成され、その比率がラマン
分光スペクトル分析において1333±10cm-1に存
在するピークをH1 、1500±100cm-1に存在す
るピークをH2 とした時、H2 /H1 で表される強度比
が0.2〜20、特に1〜10である。結晶の平均粒径
が3μmより大きいと炭素膜の表面粗さを上記の範囲に
制御することが困難である。また、硬質炭素膜がダイヤ
モンドのみからなると結晶性が高まり、結晶の平均粒径
が大きくなるととともに表面粗さも大きくなるからであ
る。
【0015】なお、本発明において伸線用ダイスの基材
としては、特に限定されるものではないが、例えば窒化
珪素、炭化珪素等のセラミックス材料の他にWC−Co
系超硬合金やTiC、TiCNを主成分とするサーメッ
ト等を用いることができるが、これらの中でも特に窒化
珪素が付着力が高いことから望ましい。
【0016】上記伸線用ダイスを製造するためには、成
膜方法として、電子サイクロトロンプラズマCVD法
(以下、ECRプラズマ法という)を採用する。この方
法による製造方法について図2をもとに説明する。反応
炉1内には炭素膜が形成される孔径が1mm以下の伸線
用ダイス基材2が設置されている。また反応炉の周囲に
は反応炉内にプラズマを発生させるためのマイクロ波発
生装置3および磁界を発生させるための電磁コイル4が
配置されている。
【0017】かかる装置を用いて成膜する場合には、反
応炉内に炭素膜生成用ガスとして少なくとも炭素を含有
する原料ガスを、場合により水素等のキャリアガスとと
もにガス導入路5を経由して路内に導入して反応炉内を
圧力1torr以下の低圧力に維持すると同時に、導波
管6により2.45GHzのマイクロ波を炉内に導入す
る。それと同時に電磁コイル4により約875ガウス以
上のレベルの磁界を印加する。これにより、電子はサイ
クロトロン周波数f=eB/2πm(m:電子の質量、
e:電子の電荷、B:磁束密度)に基づきサイクロトロ
ン運動を起こす。この周波数がマイクロ波の周波数
(2.45GHz)と一致するとき、即ち、磁束密度B
が875ガウスとなる時に、電子サイクロトロン共鳴が
生じる。これにより電子はマイクロ波のエネルギーを著
しく吸収して加速され、中性分子に衝突し電離を起こさ
せ、低圧力でも高密度のプラズマを生成するようにな
る。
【0018】なお、この時の基体の温度を150〜12
00℃に保持することにより、基体表面に炭素膜を形成
することができる。
【0019】本発明において、前述した所定の特性を有
する硬質炭素膜を生成させる場合には、およそ基体温度
を150℃〜800℃、原料ガス濃度を10〜60%、
炉内圧力を1×10-3torr〜1torrの範囲に設
定すればよい。
【0020】上記製造方法において用いられる炭素含有
原料ガスとしては、メタン、エタン、プロパン等の炭化
水素ガスの他にCX Y Z (x、y、zはいずれも1
以上)で示されるような有機化合物やCO、CO2 等の
ガスを用いることもできる。
【0021】これらのガスの配合比率や種類は、特開昭
60−19197号や特開昭61−183198号等の
開示される公知の方法のいずれを用いても本発明の効果
に何ら影響を及ぼさない。
【0022】
【作用】成膜時の基体形状に対して生成される膜厚の均
一性は、成膜時のプラズマ密度と、プラズマ中に基体を
設置した時の基体の表面に形成されるプラズマシースの
厚さに大きく左右されるが、低圧の成膜条件下ではプラ
ズマ密度が大きいほどプラズマシースの厚みが小さくな
り、また、プラズマシースの厚みが小さいほど複雑な表
面形状を有する基体に均一に生成することができる。
【0023】従来のマイクロ波によりプラズマを発生さ
せて所定の基体表面に炭素膜を形成するマイクロ波プラ
ズマCVD法では、炉内の圧力が高く、しかもプラズマ
密度が低いためにプラズマシースが厚く、そのために孔
径が1mm以下の小さいダイスの孔内面にはシースが形
成されず、均一に炭素膜を生成することが困難である。
また、高周波プラズマCVD法では、シース部が時間的
に変動し、プラズマ密度に関係なく厚いシースが形成さ
れるために、同様に均一な成膜を行うことが困難であ
る。熱フィラメント法においてもダイス孔内面等の複雑
な凹凸形状を有する基体表面には均一に成膜できない。
【0024】これに対して、本発明によれば、炉内圧力
を1torr以下と非常に低い領域で成膜時のプラズマ
密度を高めることができ、また電子サイクロトロン共鳴
により基体近傍にて発生するプラズマ密度を通常のプラ
ズマCVD法に比較して10倍以上に高めることができ
る。これにより成膜時の基体表面のプラズマシースの厚
みを薄くすることができ、孔径の小さいダイスの孔内面
に均一な炭素膜を形成することができる。
【0025】また、かかる方法によりダイヤモンドと非
晶質炭素が混在した膜を形成することにより炭素膜の結
晶性が緩和され、成膜後の表面粗さが小さく、耐摩耗性
に優れた炭素膜となるために膜の研磨加工をとりわけ必
要とせず、しかも軟質金属の溶着が生じることがなく、
ダイスの長寿命化を図ることができる。
【0026】さらに、本発明における硬質炭素膜は摩擦
係数が低いために金属の引き抜き時の抵抗が小さく、引
き抜き速度を上げても発熱が生じにくいという利点を有
し、また、孔径の小さいダイスであっても摩耗して寿命
がつきたダイスに再度炭素膜を当初の孔径になるまで被
覆を行うことにより同寸法のダイスとして再生を行うこ
とができる。
【0027】
【実施例】図2に示したような装置を用いて、反応炉内
に直径が40mm、表面粗さRmaxが0.1μmの超
硬合金製のディスク基体を設置し、ECRプラズマCV
D法により、最大2kガウスの強度の磁場を印加すると
ともに、マイクロ波出力3.0kWの条件で、基体温度
650℃、炉内圧力0.3torrの条件で基体表面に
成膜を行った。なお、反応ガスとしてはメタンガス、C
2 および水素ガスをそれぞれ54sccm、36sc
cm、210sccmの流量比で混合したものを用い
た。この条件で炭素膜が約6μmの膜厚となるように作
成した。
【0028】このときのプラズマ密度と電子温度をラン
グミュアプローブにより測定したところ、プラズマ密度
(np)は4×1011cm-3、電子温度(Te)は4e
Vであった。なお、npとTeよりプラズマシースの厚
みは70μm以下と計算された。
【0029】得られた炭素膜に対して、膜表面のラマン
分光スペクトル分析を行ったところ、ダイヤモンドのピ
ークと若干の非晶質炭素のピークが観察され、ダイヤモ
ンドと非晶質炭素との2相構造であることがわかった。
なお、ラマン分光は488nmのArレーザビームをビ
ーム径約1μmに絞って行った。ピーク強度比は110
0cm-1と1700cm-1の位置間で斜線を引き、これ
をベースラインとしてそれぞれのピークをローレンツタ
イプとしてカーブフィッティング処理を行い、ピーク分
離した後、各ピークの高さを求め、比率を算出した。ま
た、表面粗さを触針式表面粗さ計により評価したとこ
ろ、Rmax0.3μm以下であった。
【0030】この膜の摺動特性を評価するために、炭素
膜が形成された超硬合金ディスクと先端部が曲率半径R
=4.763mmのアルミニウム製のピンを用いてピン
オンディスク法により摺動試験を行った。摺動条件は荷
重19.6N、摺動速度2m/sec、室温、大気中、
無潤滑で約45時間試験連続して試験を行った。この試
験により摩擦係数、比摩耗量の評価を行った。比較のた
めに炭素膜を有しない超硬合金ディスクでも同様な摺動
試験を行った。
【0031】図3に摺動特性(距離)に対する摩擦係数
の変化の様子を示した。炭素膜を被覆しない超硬合金デ
ィスクでは摩擦係数が0.6〜0.8の間を推移してお
りバラツキも大きい。それに対して、本発明に基づき炭
素膜を形成したディスクは、摺動初期から0.1以下の
低い摩擦係数を示し、ほとんどバラツキもないことが判
る。また摺動痕を観察すると被覆しないディスクはピン
で削り取られた痕跡があり、その深さは約5μmであっ
た。また摺動痕全体にべっとりアルミニウムが付着して
いるのが観察された。それに対して炭素膜を被覆したデ
ィスクはアルミニウムピンではほとんど削り取られず、
深さは2μm程度であり、アルミニウムの溶着もほとん
ど見られなかった。摺動痕を表面粗さ計で測定した結果
を図4に示した。このようにして求めた摺動痕の断面積
より炭素膜および超硬合金の比摩耗量を見積もることが
できる。その結果、炭素膜を形成したディスクではアル
ミニウムピンの重量減少は0.012g、比摩耗量は
2.0×10-17 2 /Nであったのに対して、炭素膜
を形成しないディスクではアルミニウムピンの重量減少
量が0.096g、比摩耗量は2.0×10-15 2
Nであり、上記方法により作成した炭素膜は超硬合金に
比較して100倍もの耐摩耗性を有することがわかっ
た。
【0032】次に、孔内面を表面粗さRmax0.1μ
m以下に鏡面仕上げ加工した孔径が0.4mmの窒化珪
素製のアルミニウム伸線用ダイスの孔内面に上記炭素膜
を2μm成膜した。成膜時はガスの流通をよくするため
に基板ホルダーからダイスを浮かせて保持し、被覆の必
要のない箇所には金属板によりマスキングを行い、炭素
膜が被覆しないようにした。成膜後のダイスは表面が平
滑で且つ剥離のない硬質炭素膜が一様に被覆されてい
た。同ロットのダイスを破断し、炭素膜の表面粗さを測
定したところ、Rmax0.3μmであり、ダイスの仕
様を十分に満足していた。またSEMにより膜厚分布を
調べたところ、±10%以内でほぼ均一であることが確
認された。
【0033】このダイスを用いて直径0.4mmのアル
ミニウムの伸線加工を行ったところ、40万mのアルミ
ニウムの伸線を行うことができた。比較のために従来の
超硬合金製の同形状のダイスで同様に伸線加工を行った
ところ、8万mの伸線で摩耗により劣化した。
【0034】上記の試験を、硬質炭素膜を種々の条件で
被覆する以外は、上記と全く同様な方法により伸線加工
を行った。なお、伸線加工はアルミニウム以外に銅でも
行った。なお、試料No.1〜No.11についてはいずれ
もECRプラズマCVD法により成膜し、試料No.13
は通常のマイクロ波プラズマCVD法、試料No.14は
熱フィラメント法によりフィラメントをダイスの下部に
設置して成膜を行った。その結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】表1によれば、本発明の条件を満たす試料
No.1〜No.5はいずれもアルミニウム線、銅線の伸線
において、従来の超硬合金ダイス(試料No.12)の数
倍の寿命を得ていることがわかる。また、No.6、7は
表面粗さがRmax0.8μmで表面粗さの大きいもの
であるが、このダイスで伸線加工すると得られた伸線の
表面に傷が生じた。しかし、このダイス孔内面を通常の
ダイヤモンドダイスの加工に用いられるスカイフ法によ
り表面粗さを0.8μm以下の鏡面に仕上げた試料No.
8、9は非常に優れた特性を示した。
【0037】また、H2 /H1 比率において、比率が
0.2より小さい試料No.11では膜の結晶性が高く、
膜を構成する粒子が大きく膜の表面粗さが大きくなっ
た。また比率が20より大きい試料No.10では従来品
の試料No.12に比較してダイス寿命は若干向上した
が、膜の磨滅が認められた。
【0038】さらに、比較のためにマイクロ波プラズマ
CVD法による試料No.13、および熱フィラメントC
VD法では、膜自体はダイヤモンドよりなるものの、ダ
イスの外面および孔内面の外側に近い部分のみに膜が形
成され、内面にはダイスとして使用に耐えうる炭素膜が
形成されなかった。
【0039】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば孔径
の小さい伸線用ダイスに対して硬質で、成膜後の表面粗
さの小さい炭素膜を均一に形成することができるととも
に、AlやCu等の軟質な金属の伸線加工においてダイ
スに対して溶着等が生じずにダイスの長寿命化を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伸線用ダイスの一例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明において用いられる成膜装置の概略図で
ある。
【図3】摺動時間(距離)に対する摩擦係数の変化を示
した図である。
【図4】摺動痕の表面粗さを示す図であり、(a)が超
硬合金表面に硬質炭素膜を形成したもの、(b)が超硬
合金のみからなるものである。
【符号の説明】
1 反応炉 2 基材 3 マイクロ波発生装置 4 電磁コイル 5 ガス導入炉 A ダイス孔 a ダイス孔径

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】孔径が1mm以下の伸線用ダイスの少なく
    とも孔内面に表面粗さ(Rmax)が0.8μm以下の
    硬質炭素膜を被覆したことを特徴とする伸線用ダイス。
  2. 【請求項2】前記硬質炭素膜が実質的にダイヤモンドと
    非晶質炭素から構成され、ラマン分光スペクトル分析に
    おいて1333±10cm-1に存在するピークをH1
    1500±100cm-1に存在するピークをH2 とした
    時、H2 /H1 で表される強度比が0.2乃至20であ
    る請求項1記載の伸線用ダイス。
  3. 【請求項3】孔径が1mm以下の伸線用ダイスが内部に
    設置された反応炉内に炉内圧力1torr以下の条件に
    て炭素含有ガスを導入し,マイクロ波によりプラズマを
    発生させるとともに、該プラズマが発生した領域に磁界
    を作用させることにより電子サイクロトロン共鳴プラズ
    マを生ぜしめて前記伸線用ダイスの孔内面に硬質炭素膜
    を被覆形成したことを特徴とする伸線用ダイスの製造方
    法。
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