JPH1090282A - ピペッティング方法、ピペッティング装置、および記憶媒体 - Google Patents

ピペッティング方法、ピペッティング装置、および記憶媒体

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JPH1090282A
JPH1090282A JP14075997A JP14075997A JPH1090282A JP H1090282 A JPH1090282 A JP H1090282A JP 14075997 A JP14075997 A JP 14075997A JP 14075997 A JP14075997 A JP 14075997A JP H1090282 A JPH1090282 A JP H1090282A
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浩正 太田
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耕司 高野
Shigeru Kato
茂 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被搬送液体の吐出量不足を確実に検知できる
ピペッティング方法、およびそのピペッティング方法を
採用したピペッティング装置、ならびにそのピペッティ
ング装置を動作させるためのプログラムを格納した記憶
媒体を提供する。 【解決手段】 ノズルに連通して被搬送液体をノズルの
開口から吸引および吐出させるポンプと、ポンプとノズ
ルの開口との間の空気流路の圧力を検出する圧力検出手
段とを有するピペッティング装置を用いて、ノズルの開
口から所定量の被搬送液体を吸引する吸引工程と、吸引
工程において吸引した被搬送液体をノズルの開口から吐
出する吐出工程とを含む工程を実行するピペッティング
方法であって、吐出工程において、ポンプとノズルの開
口との間の空気流路の圧力変化を圧力検出手段からの出
力信号に基づいて検出し(S6)、その圧力変化に基づ
いて被搬送液体の吐出量を判断する(S7,S11)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、容器内の被搬送
液体を吸引して所望の位置にて吐出するピペッティング
作業において、被搬送液体の吐出量不足を検知するピペ
ッティング方法、およびそのピペッティング方法を採用
したピペッティング装置、ならびにそのピペッティング
装置を制御するためのプログラムを格納した記憶媒体に
関する。
【0002】
【従来の技術】人間や動物の血清、血液、尿などの液体
試料、あるいは薬剤、洗浄液、接着剤など、各種被搬送
液体を容器から吸引して所定の位置で吐出するに際し
て、被搬送液体の吐出量が所定量であることが極めて重
要である。たとえば、ピペッティング装置を臨床検査装
置に組み込んだ場合、被搬送液体としての液体試料の吐
出量の不足は、検査結果を誤らせることがある。
【0003】そこで従来のピペッティング装置において
は、被搬送液体を吸引するときに、ノズル配管内の圧力
変化を監視することにより、正常な吸引が行われたか否
かを判断していた。すなわち、吸引が正常に行われた場
合、所定量の被搬送液体が吸引され、したがって所定量
の被搬送液体が吐出されるものとの前提で吐出量を判断
していた。
【0004】しかし、上記従来のピペッティング装置で
は、被搬送液体の吸引が正常に行われたことをもって、
所定量の被搬送液体が吐出されるものと判断していたの
で、何らかの原因で吐出不良が発生したことによる吐出
量の不足を検知することができなかった。また、被搬送
液体の吸引が正常に行われなかったにも拘らず、正常に
行われたと判断してしまった場合にも吐出量の不足を生
じるが、このような吐出量の不足も検知できなかった。
すなわち、吸引量の不足は、容器内の被搬送液体の被膜
や気泡の位置を液面位置であると誤検知したり、被搬送
液体の粘度が非常に高いような場合に生じるが、ノズル
配管内の圧力変化を監視することによりこれらを完全に
検知できるとは限らず、何らかの原因で誤検知を生じる
こともある。
【0005】
【発明の開示】本願発明は、上記した事情のもとで考え
出されたものであって、被搬送液体の吐出量不足を確実
に検知できるピペッティング方法、およびそのピペッテ
ィング方法を採用したピペッティング装置、ならびにそ
のピペッティング装置を動作させるためのプログラムを
格納した記憶媒体を提供することを、その課題とする。
【0006】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を講じている。
【0007】本願発明の第1の側面によれば、ノズルに
連通して被搬送液体をノズルの開口から吸引および吐出
させるポンプと、ポンプとノズルの開口との間の空気流
路の圧力を検出する圧力検出手段とを有するピペッティ
ング装置を用いて、ノズルの開口から所定量の被搬送液
体を吸引する吸引工程と、吸引工程において吸引した被
搬送液体をノズルの開口から吐出する吐出工程とを含む
工程を実行するピペッティング方法であって、吐出工程
において、ポンプとノズルの開口との間の空気流路の圧
力変化を圧力検出手段からの出力信号に基づいて検出
し、その圧力変化に基づいて被搬送液体の吐出量を判断
することを特徴とする、ピペッティング方法が提供され
る。
【0008】このピペッティング方法によれば、吐出工
程において、ポンプとノズルの開口との間の空気流路の
圧力変化を圧力検出手段からの出力信号に基づいて検出
し、その圧力変化に基づいて被搬送液体の吐出量を判断
するので、被搬送液体の吐出量不足を確実に検知でき
る。すなわち、被搬送液体の吐出量不足を生じると、吐
出工程において、ポンプとノズルの開口との間の空気流
路の圧力低下の時期が早くなるので、その圧力低下を検
出することにより、被搬送液体の吐出量不足を確実に検
知できる。
【0009】したがって、正確に所定量の被搬送液体を
供給できることから、たとえば臨床検査装置に用いた場
合、点着時の試料量不足による検査結果の誤りや再検査
の手間をなくすことができる。
【0010】本願発明の第2の側面によれば、ノズルに
連通して被搬送液体をノズルの開口から吸引および吐出
させるポンプと、ノズルと被搬送液体を収容した容器と
を相対的に移動させる駆動装置と、ポンプとノズルの開
口との間の空気流路の圧力を検出する圧力検出手段と、
圧力検出手段からの出力信号が入力されてポンプおよび
駆動装置を制御する制御装置とを有し、制御装置によっ
てポンプおよび駆動装置を制御することにより、ノズル
の開口から容器内の被搬送液体を所定量吸引し、また吸
引した被搬送液体をノズルの開口から吐出するピペッテ
ィング装置であって、制御装置は、吸引した被搬送液体
をノズルの開口から吐出させるに際して、ポンプとノズ
ルの開口との間の空気流路の圧力変化を圧力検出手段か
らの出力信号に基づいて検出し、その圧力変化に基づい
て被搬送液体の吐出量を判断する構成としたことを特徴
とする、ピペッティング装置が提供される。
【0011】このピペッティング装置によれば、本願発
明のピペッティング方法を採用したので、その方法によ
る効果を享受できる。
【0012】ノズルとポンプとは、直接あるいは接続具
を介して連結され、互いに近接配置されていてもよい
し、あるいは、可撓管を介して連結され、互いに相対移
動可能になされていてもよい。ノズルは、全体が一体に
構成されていてもよいし、複数の部品を接続することに
より構成されていてもよい。ノズルの開口は、一般にノ
ズルの先端に形成されるが、他の位置に形成してもよ
い。ポンプは、たとえばシリンダと、このシリンダのプ
ランジャを往復移動させるパルスモータとからなるシリ
ンジポンプであってもよいし、その他の種類のポンプで
あってもよい。
【0013】被搬送液体としては、たとえば血清や血液
や尿などの液体試料が考えられるが、もちろんこれらに
限定されるものではなく、試薬、洗浄剤、接着剤など、
液体であればいかなる種類であってもよい。
【0014】ノズルと被搬送液体を収容した容器とを相
対的に移動させる駆動装置は、たとえばラック・ピニオ
ン機構と電動機とからなるものであってもよいし、その
他の機構であってもよい。また、ノズルを移動させる場
合、ノズルのみを移動させる構成であってもよいし、ノ
ズルとポンプとを一体的に移動させる構成であってもよ
い。
【0015】ポンプとノズルの開口との間の空気流路の
圧力を検出する圧力検出手段は、空気流路に直接設置さ
れていてもよいし、ポンプ、ノズル、あるいはポンプと
ノズルとを連結する連結具や可撓管から延設された導管
を介して空気流路に連通するように構成されていてもよ
い。また、この圧力検出手段は、たとえばダイヤフラム
と半導体歪検出素子とを組み合わせてなるものであって
もよく、他の構成のものであってもよい。
【0016】制御装置は、たとえばマイクロコンピュー
タあるいはパーソナルコンピュータなどにより実現でき
る。
【0017】好ましい実施の形態によれば、被搬送液体
は試薬パッドに点着される液体試料であり、制御装置
は、吸引した液体試料をノズルの開口から試薬パッドに
吐出するに際して、吐出のためのポンプの駆動が終了し
た後でかつノズルの開口を試薬パッドから離間させる前
の所定の時期におけるポンプとノズルの開口との間の空
気流路の圧力が所定値未満であれば、液体試料の吐出量
が所定値に達していないと判断する。
【0018】すなわち、液体試料の吐出量が正常の場
合、吐出のためのポンプの駆動が終了した後、液体試料
が試薬パッドに展延している間は、ポンプとノズルの開
口との間の空気流路の圧力の逃げがなくなって圧力は上
昇したままであり、ノズルが上昇してノズルの開口が試
薬パッドから離間することにより圧力が逃げて、ポンプ
とノズルの開口との間の空気流路の圧力が低下するので
あるが、液体試料の吐出量が不足した場合、吐出のため
のポンプの駆動が終了してノズルを上昇させるまでに液
体試料が全て試薬パッドに展延されてしまい、これによ
りポンプとノズルの開口との間の空気流路の圧力が低下
することから、この圧力の低下により吐出量の不足を検
知できる。なお、ポンプとノズルの開口との間の空気流
路の圧力を検出する時期、および吐出量不足と判断する
検出圧力の値は、液体試料の吐出量誤差の許容範囲など
に基づいて適宜決定すればよい。
【0019】別の好ましい実施の形態によれば、ノズル
は、ノズル本体と、このノズル本体に着脱可能に取り付
けられて開口を有するノズルチップとからなる。
【0020】このようにすれば、吸引した被搬送液体を
ノズルチップの内部にのみ貯留しておくことが可能にな
り、1回の被搬送液体の吸引および吐出毎にノズルチッ
プを交換することによって、他の被搬送液体の混入を良
好に防止できる。したがって、ピペッティング装置をた
とえば臨床検査装置などに採用した場合、正確かつ衛生
的に検査を行える。
【0021】本願発明の第3の側面によれば、ノズルに
連通して被搬送液体をノズルの開口から吸引および吐出
させるポンプと、ポンプとノズルの開口との間の空気流
路の圧力を検出する圧力検出手段とを有するピペッティ
ング装置を動作させるプログラムを格納した記憶媒体で
あって、ノズルの開口から所定量の被搬送液体を吸引す
る吸引工程を実行させる吸引プログラムと、吸引工程に
おいて吸引した被搬送液体をノズルの開口から吐出する
吐出工程を実行させる吐出プログラムと、吐出工程にお
いて、ポンプとノズルの開口との間の空気流路の圧力変
化を圧力検出手段からの出力信号に基づいて検出し、そ
の圧力変化に基づいて被搬送液体の吐出量を判断させる
吐出量判断プログラムとを含むプログラムが格納されて
いることを特徴とする、記憶媒体が提供される。
【0022】この記憶媒体によれば、格納されているプ
ログラムに基づいてピペッティング装置のCPUなどを
動作させることにより、本願発明のピペッティング方法
を実施できる。
【0023】記憶媒体としては、たとえばROMが考え
られるが、これに限定されるものではなく、フレキシブ
ルディスク、CD−ROM、EEPROMなどであって
もよい。
【0024】本願発明のその他の特徴および利点は、添
付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より
明らかとなろう。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の
形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】図1は、本願発明に係るピペッティング装
置を備えた試料検査装置の一例を示す外観斜視図であっ
て、この試料検査装置1は、筐体2内に後述のピペッテ
ィング装置3を組み込んだものであり、この筐体2の前
面部には、蓋体4によって開閉可能な開口部5が設けら
れている。蓋体4は、操作スイッチを兼ねたタッチパネ
ルタイプのディスプレイ装置6などを開蓋状態における
前面部に具備し、この試料検査装置1の操作盤としての
機能を有するものである。また、筐体2には、この筐体
2の開口部5の手前位置から筐体2内の奥部へ移動する
ように矢印a方向にスライド自在なスライドテーブル7
が設けられている。このスライドテーブル7の上面に
は、検査対象となる被搬送液体の一例としての液体試料
を収容した複数の容器8を起立保持させるためのホルダ
ー9、液体試料を検査するための複数の試薬パッド1
0、およびこの試薬パッド10に液体試料が点着された
後の色彩の変化を測定する測定装置(図示略)などが設
けられる。なお、蓋体4には、検査結果などを印字出力
するプリンタ11がディスプレイ装置6に隣接して設置
されている。
【0027】この試料検査装置1では、たとえば液体試
料として血清が用いられ、この血清がピペッティング装
置3の動作によって試薬パッド10に点着されると、そ
の後この試薬パッド10に対して光ファイバを介して単
色光を照射させてから、その反射光をホトダイオードで
読み取るようになっている。そして、周知の方法を用い
て測定データを分析し、血清中の各種の成分をディスプ
レイ装置6の表示画面に表示したり、あるいはプリンタ
11を用いて記録紙に印字出力するようになっている。
【0028】図2はピペッティング装置3の概略全体構
成図であって、ノズル21は、ノズル本体22とノズル
チップ23とにより構成されている。すなわち、ノズル
チップ23は樹脂製であり、ノズル本体22の先端小径
部に挿抜自在に装着されており、先端が開口している。
ノズル本体22のノズルチップ23側とは反対側の端部
には、ジョイント管24を介してシリンジポンプ25が
接続されている。このシリンジポンプ25は、シリンダ
26と、このシリンダ26内を移動するプランジャ27
と、このプランジャ27を往復移動させるパルスモータ
28とにより構成されている。なお、パルスモータ28
の出力軸の回転運動をプランジャ27の直線運動に変換
する機構は、周知であるので説明を省略する。これらノ
ズル21およびシリンジポンプ25は、電動機29によ
りラック・ピニオン機構やベルト・プーリ機構を介して
駆動される移動台(図示せず)に搭載されて、上下方向
および図1の矢印a方向に直交する水平方向に移動可能
なように構成されている。ノズル21とシリンジポンプ
25とを接続するジョイント管24からは分岐管30が
分岐しており、この分岐管30には圧力センサ31が接
続されている。
【0029】ノズル21およびシリンジポンプ25の移
動すなわち電動機29の駆動、ならびにシリンジポンプ
25の駆動すなわちパルスモータ28の駆動は、制御装
置32により制御される。この制御装置32は、CPU
33、ROM34、RAM35、および入出力インター
フェイス36を備えており、入出力インターフェイス3
6には、パルスモータ28、電動機29、圧力センサ3
1、操作部37、表示部38、および印字部39が接続
されている。操作部37および表示部38は、図1のデ
ィスプレイ装置6により構成されており、印字部39
は、図1のプリンタ11により構成されている。
【0030】パルスモータ28は、制御装置32により
制御されて、シリンジポンプ25のプランジャ27を移
動させることにより、ノズル21に容器8内の液体試料
を吸引および吐出させたり、あるいは空気を吸引および
吐出させたりする。電動機29は、制御装置32により
制御されて、ノズル21およびシリンジポンプ25を昇
降および水平移動させ、ノズルチップ23の先端開口を
容器8内の液体試料中に没入させたり、図1の試薬パッ
ド10に接触させたりする。圧力センサ31は、たとえ
ばダイヤフラムと半導体歪検出素子とからなり、シリン
ジポンプ25とノズル21の開口との間の空気流路の圧
力を検出し、その圧力に応じた電圧のアナログ信号を出
力する。制御装置32は、試料検査装置1の全体を制御
する。CPU33は、予めROM34に格納されている
プログラムに基づいて動作し、圧力センサ31や操作部
37などからの信号に基づいて、パルスモータ28、電
動機29、表示部38、および印字部39などに制御デ
ータを出力する。ROM34は、プログラムや所定のデ
ータなどを記憶している。RAM35は、図外の電池に
より電源バックアップが施されており、各種のデータを
記憶する。入出力インターフェイス36は、アナログ・
ディジタル変換、シリアル・パラレル変換、あるいはタ
イミング制御など、CPU33と外部の装置との信号の
授受を制御する。操作部37は、使用者によるディスプ
レイ装置6(図1)の表示画面のタッチ操作などに応じ
た指令信号を制御装置32に供給する。表示部38は、
制御装置32により制御されて、各種の文字あるいは図
形などをディスプレイ装置6(図1)の表示画面に表示
する。印字部39は、制御装置32により制御されて、
分析結果などを記録紙に印字出力する。この印字部39
は、実際には図1のプリンタ11である。
【0031】すなわち、シリンジポンプ25は、ノズル
21に連通して液体試料をノズル21の開口から吸引お
よび吐出させるポンプを構成している。電動機29は、
ノズル21を移動させる駆動装置の一部を構成してい
る。圧力センサ31は、シリンジポンプ25とノズル2
1の開口との間の空気流路の圧力を検出する圧力検出手
段を構成している。制御装置32は、圧力センサ31か
らの出力信号が入力されてパルスモータ28および電動
機29を制御する制御装置を構成している。ROM34
は、ノズル21の開口から所定量の液体試料を吸引する
吸引工程を実行させる吸引プログラムと、吸引工程にお
いて吸引した液体試料をノズル21の開口から吐出する
吐出工程を実行させる吐出プログラムと、吐出工程にお
いて、シリンジポンプ25とノズル21の開口との間の
空気流路の圧力変化を圧力センサ31からの出力信号に
基づいて検出し、その圧力変化に基づいて液体試料の吐
出量を判断させる吐出量判断プログラムとを含むプログ
ラムが格納されている記憶媒体を構成している。
【0032】この試料検査装置1は、ノズル21により
容器8内の液体試料を所定量吸引し、その液体試料を試
薬パッド10に点着して、試薬パッド10の色彩の変化
により液体試料である血清の成分分析を行うものであ
り、これらは全て制御装置32により制御されて自動的
に行われる。このような制御装置32による制御動作の
うち、液体試料の吐出量不足を判断するステップを含む
吐出処理の手順について、図3に示すフローチャートを
参照しながら説明する。
【0033】いま、ノズルチップ23内には液体試料が
吸引されており、ノズルチップ23の先端開口は、図1
の試薬パッド10の真上の所定高さの位置に存在してい
るものとする。先ずCPU33が、パルスモータ28を
制御してシリンジポンプ25のプランジャ27を吐出側
に移動させ、ノズルチップ23の先端開口から液体試料
を少し吐出させて液玉を形成させる(S1)。さらにC
PU33が、電動機29を制御して、ノズル21および
シリンジポンプ25を下降させ、ノズルチップ23の先
端開口を試薬パッド10の表面に当接させる(S2)。
これにより、ノズルチップ23の先端開口近傍に形成さ
れた液体試料の液玉が試薬パッド10に展延されてい
く。そしてCPU33が、パルスモータ28を制御して
シリンジポンプ25のプランジャ27を吐出側に移動さ
せ、ノズルチップ23内に残った少量の液体試料をノズ
ルチップ23の先端開口から吐出させる(S3)。そし
てCPU33が、予め決められた所定時間を計時するタ
イマをセットし(S4)、そのタイマがタイムアップし
たか否かを判断する(S5)。すなわち、吐出した液体
試料が試薬パッド10に展延されるにはある程度の時間
を要するので、ノズルチップ23の先端開口を試薬パッ
ド10の表面に当接させた状態で所定時間待機するので
ある。
【0034】タイマがタイムアップすれば(S5:YE
S)、CPU33が、圧力センサ31からの出力信号を
監視して、圧力センサ31による検出圧力が予め決めら
れた所定値以上であるか否かを判断する(S6)。すな
わち、液体試料の吐出量が正常の場合、吐出のためのシ
リンジポンプ25の駆動が終了した後、液体試料が試薬
パッド10に十分に展延されるまでは、シリンジポンプ
25とノズルチップ23の先端開口との間の空気流路の
圧力の逃げがなくなって圧力は上昇したままであり、ノ
ズル21が上昇してノズルチップ23の先端開口が試薬
パッド10の表面から離間することにより圧力が逃げ
て、シリンジポンプ25とノズルチップ23の先端開口
との間の空気流路の圧力が低下する。しかし、液体試料
の吐出量が不足した場合、液玉形成の段階でノズルチッ
プ23内に液体試料は殆ど残存しておらず、吐出のため
のシリンジポンプ25の駆動が終了してノズル21を上
昇させるまでに液体試料が全て試薬パッド10に展延さ
れてしまい、これによりシリンジポンプ25とノズルチ
ップ23の先端開口との間の空気流路の圧力が低下する
ことから、この圧力の低下により吐出量の不足を検知し
ようとしているのである。
【0035】圧力センサ31による検出圧力が所定値以
上であれば(S6:YES)、液体試料の吐出量は正常
ということなので、CPU33が、フラグFを1にセッ
トする(S7)。このフラグFは、RAM35に記憶さ
れる。そしてCPU33が、電動機29を制御してノズ
ル21およびシリンジポンプ25を所定の位置まで上昇
させる(S8)。そしてCPU33が、フラグFが1で
あるか否かを判断し(S9)、フラグFが1であれば
(S9:YES)、液体試料が正常に吐出されたという
ことなので、このルーチンを終了する。
【0036】S9において、フラグFが1でなけば(S
9:NO)、フラグFが0であり、液体試料の吐出量不
足が生じたということなので、CPU33が、ディスプ
レイ装置6の表示画面に吐出量不足が生じた旨を表示さ
せ(S10)、このルーチンを終了する。もちろんこの
場合、試薬パッド10の反射率の測定は行わず、プリン
タ11により印字出力される検査結果に、液体試料の吐
出量不足が生じた旨を記録する。
【0037】S6において、圧力センサ31による検出
圧力が予め決められた所定値以上でなければ(S6:N
O)、吐出量不足を生じたということなので、CPU3
3が、フラグFを0にセットし(S11)、S8に進
む。すなわち、吐出量不足を生じたか否かを、フラグF
の内容によって記憶するのである。
【0038】S5において、タイマがタイムアップして
いなければ(S5:NO)、S5に戻ってタイマがタイ
ムアップするまで待機する。
【0039】図4および図5は上記S6の検出圧力判定
ステップにおける圧力センサ31の出力波形およびその
微分波形の説明図である。図4において、実線41は液
体試料の吐出量が所定量の場合の圧力センサ31の出力
波形、実線42は液体試料の吐出量が所定量の場合の圧
力センサ31の出力の微分波形を表している。図5にお
いて、実線43は液体試料の吐出量が所定量よりも少な
い場合の圧力センサ31の出力波形、実線44は液体試
料の吐出量が所定量よりも少ない場合の圧力センサ31
の出力の微分波形を表している。
【0040】図4において、液体試料の吐出後、ノズル
21の上昇が開始されるタイミングを41a,42aで
示しており、このタイミング41a,42aよりも前に
おいては、明らかに検出圧力が高くなっている。これ
は、ノズルチップ23の先端開口から吐出された液体試
料が所定量の場合、その液体試料が試薬パッド10に展
延されるのに時間を要し、ノズルチップ23の先端開口
が閉塞されたような状態になって、ノズル21が上昇を
開始してノズルチップ23の先端開口が試薬パッド10
の表面から離間するまで圧力センサ31による検出圧力
が低下しないからである。これに対し、図5において、
液体試料の吐出後、ノズル21の上昇が開始されるタイ
ミングを43a,44aで示しているが、このタイミン
グ43a,44aよりも前において、検出圧力の上昇は
殆どみられない。これは、ノズルチップ23の先端開口
から吐出された液体試料が所定量よりも少ない場合、液
玉の形成時点でノズルチップ23内に残留する液体試料
が殆どなくなり、その液体試料が試薬パッド10に展延
される時間が極めて短くなるため、シリンジポンプ25
のプランジャ27を吐出側に移動させてもノズルチップ
23の先端開口が閉塞されず、圧力センサ31による検
出圧力が上昇しないからである。したがって、ノズルチ
ップ23の先端開口を試薬パッド10の表面に当接させ
てノズルチップ23内に残留した液体試料を吐出させた
時点からノズル21を上昇させる時点までのいずれかの
時点で、圧力センサ31による検出圧力が所定値以上で
あるか否かを判断することにより、正確に吐出量不足を
検知できる。なお、図4および図5において、41b,
42b,43b,44bは、ノズルチップ23の先端開
口を試薬パッド10の表面に当接させてノズルチップ2
3内に残留した液体試料を吐出させた時点をそれぞれ示
しており、41c,42c,43c,44cは、液体試
料の液玉形成時点をそれぞれ示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るピペッティング装置を備えた試
料検査装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】本願発明に係るピペッティング装置の概略全体
構成図である。
【図3】本願発明に係るピペッティング装置による吐出
処理の手順を説明するフローチャートである。
【図4】本願発明に係るピペッティング装置に備えられ
た圧力センサによる、液体試料の吐出量が所定量である
場合における出力波形およびその微分波形の説明図であ
る。
【図5】本願発明に係るピペッティング装置に備えられ
た圧力センサによる、液体試料の吐出量が所定量よりも
少ない場合における出力波形およびその微分波形の説明
図である。
【符号の説明】
1 試料検査装置 3 ピペッティング装置 6 ディスプレイ装置 8 容器 10 試薬パッド 11 プリンタ 21 ノズル 22 ノズル本体 23 ノズルチップ 25 シリンジポンプ 28 パルスモータ 29 電動機 31 圧力センサ 32 制御装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルに連通して被搬送液体を前記ノズ
    ルの開口から吸引および吐出させるポンプと、前記ポン
    プと前記ノズルの開口との間の空気流路の圧力を検出す
    る圧力検出手段とを有するピペッティング装置を用い
    て、 前記ノズルの開口から所定量の前記被搬送液体を吸引す
    る吸引工程と、 前記吸引工程において吸引した前記被搬送液体を前記ノ
    ズルの開口から吐出する吐出工程とを含む工程を実行す
    るピペッティング方法であって、 前記吐出工程において、前記ポンプと前記ノズルの開口
    との間の空気流路の圧力変化を前記圧力検出手段からの
    出力信号に基づいて検出し、その圧力変化に基づいて前
    記被搬送液体の吐出量を判断することを特徴とする、ピ
    ペッティング方法。
  2. 【請求項2】 ノズルに連通して被搬送液体を前記ノズ
    ルの開口から吸引および吐出させるポンプと、前記ノズ
    ルと前記被搬送液体を収容した容器とを相対的に移動さ
    せる駆動装置と、前記ポンプと前記ノズルの開口との間
    の空気流路の圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力
    検出手段からの出力信号が入力されて前記ポンプおよび
    前記駆動装置を制御する制御装置とを有し、 前記制御装置によって前記ポンプおよび前記駆動装置を
    制御することにより、前記ノズルの開口から前記容器内
    の前記被搬送液体を所定量吸引し、また吸引した前記被
    搬送液体を前記ノズルの開口から吐出するピペッティン
    グ装置であって、 前記制御装置は、吸引した前記被搬送液体を前記ノズル
    の開口から吐出させるに際して、前記ポンプと前記ノズ
    ルの開口との間の空気流路の圧力変化を前記圧力検出手
    段からの出力信号に基づいて検出し、その圧力変化に基
    づいて前記被搬送液体の吐出量を判断する構成としたこ
    とを特徴とする、ピペッティング装置。
  3. 【請求項3】 前記被搬送液体は試薬パッドに点着され
    る液体試料であり、 前記制御装置は、吸引した前記液体試料を前記ノズルの
    開口から前記試薬パッドに吐出するに際して、吐出のた
    めの前記ポンプの駆動が終了した後でかつ前記ノズルの
    開口を前記試薬パッドから離間させる前の所定の時期に
    おける前記ポンプと前記ノズルの開口との間の空気流路
    の圧力が所定値未満であれば、前記液体試料の吐出量が
    所定値に達していないと判断する、請求項2に記載のピ
    ペッティング装置。
  4. 【請求項4】 前記ノズルは、ノズル本体と、このノズ
    ル本体に着脱可能に取り付けられて前記開口を有するノ
    ズルチップとからなる、請求項2または請求項3に記載
    のピペッティング装置。
  5. 【請求項5】 ノズルに連通して被搬送液体を前記ノズ
    ルの開口から吸引および吐出させるポンプと、前記ポン
    プと前記ノズルの開口との間の空気流路の圧力を検出す
    る圧力検出手段とを有するピペッティング装置を動作さ
    せるプログラムを格納した記憶媒体であって、 前記ノズルの開口から所定量の前記被搬送液体を吸引す
    る吸引工程を実行させる吸引プログラムと、 前記吸引工程において吸引した前記被搬送液体を前記ノ
    ズルの開口から吐出する吐出工程を実行させる吐出プロ
    グラムと、 前記吐出工程において、前記ポンプと前記ノズルの開口
    との間の空気流路の圧力変化を前記圧力検出手段からの
    出力信号に基づいて検出し、その圧力変化に基づいて前
    記被搬送液体の吐出量を判断させる吐出量判断プログラ
    ムとを含むプログラムが格納されていることを特徴とす
    る、記憶媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002098707A (ja) * 2000-09-22 2002-04-05 Fuji Photo Film Co Ltd 点着検出方法および点着検出装置
JP2007040998A (ja) * 2005-08-01 2007-02-15 Ortho-Clinical Diagnostics Inc 液体の吸入量の予測

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