JPH1088277A - 非調質高張力厚肉鋼材とその製造方法 - Google Patents

非調質高張力厚肉鋼材とその製造方法

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JPH1088277A
JPH1088277A JP24750596A JP24750596A JPH1088277A JP H1088277 A JPH1088277 A JP H1088277A JP 24750596 A JP24750596 A JP 24750596A JP 24750596 A JP24750596 A JP 24750596A JP H1088277 A JPH1088277 A JP H1088277A
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less
steel material
strength
steel
toughness
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JP24750596A
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English (en)
Inventor
Masanori Nishimori
正徳 西森
Kenji Oi
健次 大井
Tatsumi Kimura
達巳 木村
Akio Omori
章夫 大森
Fumimaru Kawabata
文丸 川端
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 板厚方向の強度、靱性のばらつきが少ない非
調質高張力厚肉鋼材の製造方法を提案する。 【解決手段】 C、Si、Mn、Al量を調整し、さらにV:
0.04〜0.15%、B:0.0003〜0.0030%、N:0.0050〜0.
0100%を含有させ、VN、BNの析出を利用し、粒内フェラ
イトの析出により板厚方向の組織を均一に微細化させ、
板厚方向の靱性ばらつきを少なくする。また、さらに、
必要に応じ、Cu、Ni、Cr、Mo、あるいはNb、Ti、あるい
はREM を含有してもよい。また、1050℃以上に加熱し
て、累積圧下率で30%以上の熱間加工を施し、1000℃以
上で熱間加工を終了したのち、室温まで空冷または5℃
/sec以下の冷却速度で冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築構造物、橋
梁、海洋構造物や、造船、土木、建設等の分野で使用さ
れる厚鋼板、形鋼、鋼管等の高張力厚肉鋼材に関し、と
くに板厚方向の強度、靱性のばらつきが少ない非調質高
張力厚肉鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板において高強度、高靱性を確保す
る方法として、TMCP(ThermoMechanical Control P
rocess)による製造方法が知られている。例えば、特開
昭64-73019号公報には、鋼素材を(Ae3 −200 ℃)〜
(Ae3 −250 ℃)の温度域で2相域圧延を施し、加工中
にフェライトを析出させ、加工後に微細なフェライト組
織とする方法が提案されている。また、特開平3-223419
号公報には、鋼素材を(Ar3 +150 ℃)以上の再結晶温
度域で30%以上の圧下を施したのち、(Ar3 +150 ℃)
〜Ar3 の温度域で50%以上の圧下を加える厚鋼板の製造
方法が提案されている。この方法では、未再結晶域での
強圧下により変形帯を導入し組織の微細化を図ってい
る。
【0003】また、特開平2-25968 号公報には、Ca、Ti
とNbまたはVを含有する鋼片を900〜1100℃に加熱し、9
00 ℃以下の圧下量が30%以上で、かつ圧延仕上温度が6
80〜860 ℃の熱間圧延を施したのち、3〜10℃/secの冷
却速度で500 ℃以下まで冷却する厚肉高張力鋼の製造方
法が提案されている。しかしながら、上記したような未
再結晶温度域での圧延の効果を十分に発揮させるために
は、より低温で高圧下を加える必要があり、圧延機に多
大な負荷が掛かるため多大のエネルギーを消費するう
え、厚鋼板の場合には温度調節の待ち時間が増大して圧
延能率が低下するなどの問題が残されていた。また、極
厚鋼板のように低温での高圧下が確保できない場合に
は、変形帯の導入が不十分となり、特に中心部の組織の
微細化が達成できず、一方、薄肉鋼板の場合には、集合
組織の形成による音響の異方性や、500 ℃以下といった
低温まで冷却されるため残留応力・残留歪が大きくなる
などの問題があった。
【0004】さらに、上記したような未再結晶温度域で
の圧延および圧延後の加速冷却による厚鋼板の製造方法
では、圧下量や冷却速度に依存し組織が変化するため、
鋼板の板厚方向での材質変化、とくに靱性のばらつきが
大きいという問題を残していた。これに対し、例えば特
開昭63-179020 号公報には、再結晶域での熱間圧延の圧
下量を60%以上とし、さらに冷却速度を15℃/sec以上、
冷却停止温度を500 〜650 ℃に制御し、板厚方向におけ
る硬度変化を小さくする鋼板の製造方法が提案されてい
る。しかしながら、この方法は、制御圧延、加速冷却を
採用しているため、鋼板板厚方向の加工量の分布、冷却
速度分布は解消されておらず、鋼板板厚方向で組織変化
が生じている。したがって、この方法によってもまだ、
鋼板板厚方向の靱性ばらつきを抑制するまでに至ってい
ない。
【0005】一方、上記した方法とは異なり、VNを利
用して、組織を微細化して圧延のままの強度靱性を向上
させた高強度鋼が、従来から知られている(例えば、鉄
と鋼、Vol.77(1991)No.1、p.171 )。また、特開平5-18
6848号公報には、V、Nに加えTiを添加し、TiN-MnS-VN
の複合析出物を分散させ、フェライト生成機能を有効に
作用させHAZ 部靱性を向上させる技術が示されている。
しかしながら、これらの技術では、とくに極厚鋼板の場
合には、必ずしもVNの作用が効率良く発揮されてはおら
ず、圧延のままの母材特性は不十分であるという問題を
残していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
問題を有利に解決し、板厚方向の強度、靱性のばらつき
が少ない非調質高張力厚肉鋼材とその製造方法を提案す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、板厚方向
の靱性ばらつきを少なくするために、熱間加工度、冷却
速度が変化しても均質な組織が得られる非調質高張力厚
肉鋼材の製造方法について、鋭意検討した結果、未再結
晶温度域圧延・加速冷却によることなく、V窒化物とB
窒化物を同時に利用することにより、オーステナイト粒
内のフェライト析出が均一に促進され、厚肉鋼材の板厚
中央部の組織をも微細化することができることを知見し
た。
【0008】この発明は、上記知見をもとに完成された
ものである。すなわち、この発明は、重量%で、C:0.
04〜0.18%未満、Si:0.60%以下、Mn:0.20〜1.80%、
Al:0.100 %以下、V:0.04〜0.15%、B:0.0003〜0.
0030%、N:0.0050〜0.0100%を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする材質ばらつき
の少ない板厚40mm以上の非調質高張力厚肉鋼材である。
【0009】また、この発明では、上記基本組成に加え
て、重量%で、Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:
1.0 %以下、Mo:1.0 %以下の群のうちから選ばれた1
種または2種以上を含有してもよい。また、上記基本組
成に加えて、重量%で、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.00
5 〜0.02%の群のうちから選ばれた1種または2種を含
有してもよい。また、上記基本組成に加えて、重量%
で、REM :0.02%以下を含有してもよい。また、上記基
本組成に加えて、Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、C
r:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下の群のうちから選ばれ
た1種または2種以上およびNb:0.003 〜0.05%、Ti:
0.005 〜0.02%の群のうちから選ばれた1種または2
種、あるいはREM :0.02%以下を含有してもよい。ま
た、上記基本組成に加えて、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:
0.005 〜0.02%の群のうちから選ばれた1種または2種
およびREM :0.02%以下を含有してもよい。また、上記
基本組成に加えて、Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、
Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下の群のうちから選ばれ
た1種または2種以上、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.00
5 〜0.02%の群のうちから選ばれた1種または2種およ
びREM :0.02%以下を含有してもよい。
【0010】また、この発明は、重量%で、C:0.04〜
0.18%未満、Si:0.60%以下、Mn:0.20〜1.80%、Al:
0.100 %以下、V:0.04〜0.15%、B:0.0003〜0.0030
%、N:0.0050〜0.0100%を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる鋼素材を、1050℃以上に加熱して、
累積圧下率で30%以上の熱間加工を施し、1000℃以上で
熱間加工を終了したのち、室温まで空冷することを特徴
とする材質ばらつきの少ない板厚40mm以上の非調質高張
力厚肉鋼材の製造方法であり、また、この発明では、前
記室温まで空冷するに代えて、室温まで5℃/sec以下の
冷却速度で冷却してもよく、また、前記鋼素材が、重量
%で、C:0.04〜0.18%未満、Si:0.60%以下、Mn:0.
20〜1.80%、Al:0.100 %以下、V:0.04〜0.15%、
B:0.0003〜0.0030%、N:0.0050〜0.0100%を含み残
部Feおよび不可避的不純物からなる基本組成に加え、さ
らに、Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:1.0 %以
下、Mo:1.0 %以下の群のうちから選ばれた1種または
2種以上を含有してもよく、また、上記基本組成に加え
て、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.005 〜0.02%の群のう
ちから選ばれた1種または2種を含有してもよく、ま
た、上記基本組成に加えて、REM :0.02%以下を含有し
てもよく、また、上記基本組成に加えて、上記3群、す
なわち、Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:1.0 %
以下、Mo:1.0 %以下の群、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:
0.005 〜0.02%の群、REM :0.02%以下の群、のうちの
2群または3群から選ばれた2種以上を含有してもよ
い。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明でいう鋼材とは厚鋼板、熱
延鋼板、鋼管、形鋼、棒鋼を含む鋼材を意味する。本発
明で用いて好適な鋼素材の化学組成についてまず説明す
る。 C:0.04〜0.18%未満 Cは鋼の強度を増加させる元素であり、強度確保のため
に0.04%以上の添加が必要である。しかし、0.18%以上
添加すると、粒内フェライトの析出を抑制し、母材靱性
および溶接性が劣化するため、Cは0.05〜0.18%未満の
範囲に制限した。なお、好ましくは0.08〜0.16%の範囲
である。
【0012】Si:0.60%以下 Siは固溶強化により鋼の強度を増加させ、オーステナイ
トからの冷却中にフェライトの析出を促進する元素であ
る。この効果を得るためには、0.05%以上添加すること
が好ましいが、0.60%を超えると、母材靱性、溶接性を
著しく劣化させる。このため、Siは0.60%以下とした。
なお、好ましくは0.05〜0.40%である。
【0013】Mn:0.20〜1.80% Mnは鋼の強度を増加させる元素であり、強度確保のため
に0.20%以上の添加が必要である。しかし、1.80%を超
えると、オーステナイトからの冷却中にフェライトの析
出を抑制し、母材靱性、溶接性が劣化する。このため、
Mnは0.20〜1.80%の範囲とした。なお、好ましくは1.00
〜 1.70 %である。
【0014】Al:0.100 %以下 Alは脱酸剤として作用するが、多量に添加すると非金属
介在物が多くなり、清浄度が低下し、靱性、溶接性が劣
化する。このため、Alは0.100 %以下とした。なお、脱
酸のためには、好ましくは0.010 〜0.040 %である。 V:0.04〜0.15% Vは、B、Nとともに本発明では重要な元素である。本
発明では、VNとBNを同時に利用するところに特徴があ
る。Vは、Nと結合しVNを形成し、圧延後冷却中にオー
ステナイト中に析出して、フェライト析出核として作用
し、結晶粒を微細化し靱性を向上させる。また、フェラ
イト変態後フェライト中にも微細析出し、冷却を強化す
ることなく母材強度を高めることができ、鋼材板厚方向
の特性の均一性、残留応力・残留歪を軽減できる。しか
し、VNのみでは、冷却速度の速い板厚表層部でVNの析出
量が不足し、板厚表層部の靱性が劣化するが、BNを同時
に利用すると、BはVよりNとの親和力が強く、冷却速
度の速い板厚表層部でもBNが析出し粒内フェライトが生
成しやすくなる。また、VNは冷却速度の遅い板厚中心部
では十分に微細析出し粒内フェライトの析出を促進す
る。これにより、板厚全体にわたり、粒内フェライトの
析出が促進され、板厚各部で均一な微細組織となる。こ
れらの効果を得るためには、0.04%以上の添加を必要と
するが、0.15%を超えて添加すると、析出硬化による母
材靱性の劣化を招く。このため、Vは0.04〜0.15%の範
囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.10%である。
【0015】B:0.0003〜0.0030% 本発明では、BはV、Nとともに重要な元素であり、上
記したようにBNとVNとを同時に利用することが重要にな
る。Bは粒界に偏析し、粗大な粒界フェライトの析出を
抑制するとともに、Nと結合してBNとして粒内フェライ
トの析出を促進し、組織の微細化に寄与する。このよう
な効果を得るためには、0.0003%以上の添加を必要とす
るが、0.0030%を超えて添加すると、Fe23(C,B)6等のB
化合物がオーステナイト粒界に析出して粗大な粒界フェ
ライトとなり靱性を劣化させる。このため、Bは0.0003
〜0.0030%の範囲に限定した。BNのみの利用では冷却速
度の遅い板厚中央部で、Bは粒界に偏析しやすく、BNの
析出が遅れあるいは析出したBNが粗大化して、粒内フェ
ライトの析出を促進できなくなる。
【0016】N:0.0050〜0.0100% NはV、Bと結合し窒化物を形成し、オーステナイトか
らの冷却中にフェライト析出核として作用し、粒内フェ
ライトの析出を促進し、結晶粒を微細化し靱性を向上さ
せる作用を有している。0.0050%未満では、必要とする
窒化物量が不足する。一方、0.0100%を超えると、固溶
N量が増加し、母材靱性、溶接性を劣化させる。このた
め、Nは0.0050〜0.0100%の範囲に制限した。
【0017】本発明では、上記した基本組成に加えて、
下記3群のうちの1群または2群以上から選ばれた1種
または2種以上の元素を必要に応じ添加できる。 Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:1.0 %以下、M
o:1.0 %以下の群、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.005
〜0.02%の群、およびREM :0.02%以下の群、の少なく
とも1群から選ばれた1種または2種以上 Cu、Ni、Cr、Moは、いずれも強度を増加させる元素であ
り、強度増加のために、Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以
下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下のうちから選ばれ
た1種または2種以上を添加できる。
【0018】Cuは、強度を増加させる元素であるが、0.
6 %を超える添加は熱間加工性、靱性を劣化させるた
め、Cuは0.6 %以下に限定した。Cuは多量添加すると、
熱間加工性が劣化するため、Niを同時に添加するのが好
ましいが、0.60%を超えて添加しても効果が飽和し、経
済的にも高価となる。Niは、強度および靱性を向上させ
る元素であるが、0.6 %を超える添加は経済的に高価で
あり、さらに粒内フェライトの析出を抑制する。このた
め、Niは2.0%以下に限定した。
【0019】Crは、強度を増加させる作用を有している
が、1.0 %を超える添加は溶接性を劣化させる。このた
め、Crは1.0 %以下に限定した。Moは、常温強度および
高温強度を増加させる作用を有しているが、1.0 %を超
える添加は溶接性を劣化させる。このため、Moは1.0 %
以下に限定した。また、Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.00
5 〜0.02%のうちから選ばれた1種または2種を添加で
きる。Nb、Tiは、いずれもAr3 変態点を低温化し、それ
により粒内フェライトの析出を促進させる作用を有して
いる。
【0020】Nbは、析出強化により母材強度を向上させ
るが、さらにAr3 変態点を低温化し、オーステナイトの
過冷度を増加させて粒界フェライトの析出を抑制し、粒
内フェライトの析出を助長させる。これらの効果を得る
ためには、0.003 %以上の添加を必要とするが、0.05%
を超えて添加すると、未再結晶温度域が拡大し、熱間加
工によるオーステナイトの再結晶を阻害して、Bの粒界
偏析を助長させ、BNの粒内析出を妨げる。このため、Nb
は、0.003 〜0.05%の範囲に限定した。
【0021】Tiは、Nbと同様、Ar3 変態点を低温化し、
オーステナイトの過冷度を増加させて粒界フェライトの
析出を抑制し、粒内フェライトの析出を助長させる。ま
た、Nと結合しTiNを形成し、加熱時のオーステナイト
粒の成長を抑制し、溶接部の靱性を向上させる。これら
の効果を得るためには、0.005 %以上の添加が必要であ
るが、0.02%を超えると、VN、BNの析出を抑制し、粒内
フェライトの析出を阻害し、母材の靱性を劣化させる。
このため、Tiは0.005 〜0.02%の範囲に限定した。な
お、好ましくは0.010 〜0.015 %である。
【0022】REM :0.02%以下 REM はフェライト粒の微細化に寄与する作用を有してお
り、必要に応じ添加できる。REM は安定な酸硫化物を形
成し微細に鋼中に分散して、オーステナイト粒の成長を
抑制し、溶接熱影響部の靱性を向上させるが、0.02%を
超えて添加すると、析出物量が増加し、しかも粗大化す
るため、清浄度が低下し母材の靱性が劣化する。このた
め、REM は0.02%以下に限定した。
【0023】その他、残部Feおよび不可避的不純物であ
る。上記に規定した元素以外の元素では、Pは粒界に偏
析し靱性を低下させるため、できるだけ低減するが、0.
030%まで許容できる。なお、好ましくは0.015 %以下
である。また、Sは板厚方向の延性・靱性を劣化させる
ため、できるだけ低減するが、0.015 %まで許容でき
る。また、O:0.0025%以下の含有が許容できる。
【0024】つぎに、製造方法について説明する。上記
した組成の鋼の溶製は、転炉、電気炉等通常公知の溶製
方法がいずれも適用でき、とくに限定する必要はない。
溶製された溶鋼は、連続鋳造法あるいは造塊法により凝
固され圧延素材とされる。本発明の鋼は、熱間圧延によ
り、厚鋼板、熱延鋼板、鋼管、形鋼、棒鋼等に成形する
ことができる。
【0025】熱間圧延の加熱温度は、1050℃以上とす
る。加熱温度が1050℃未満では鋳造段階で粗大析出した
V、B等の析出物を十分に固溶させることができない。
また、加熱温度が1050℃未満では熱間加工の終了温度が
低くなりすぎ、変形抵抗の増加により、所定の圧下率/
パス、累積圧下率の確保が困難となる。このため、加熱
温度は1050℃以上に限定した。なお、好ましくは、加熱
温度は1350℃以下である。1350℃を超えると、加熱炉原
単位を悪化させるとともにスケールロスの増加や炉補修
回数の増加等を招く。
【0026】鋼素材を加熱後、ついで、累積圧下率で30
%以上の熱間加工を施す。熱間加工の終了温度は1000℃
以上とし、熱間加工後、室温まで空冷する。累積圧下率
が30%未満では、十分な再結晶細粒化効果が得られず、
BN、VNによる組織微細化効果を発揮させても最終組織が
粗くなり、母材靱性が低下する。このため、累積圧下率
を30%以上とした。また、熱間加工終了温度が1000℃未
満では、オーステナイトの再結晶が遅滞しBが粒界に偏
析し、粒内フェライトの析出を抑制する。このため、熱
間加工終了温度は1000℃以上とした。
【0027】なお、1パスあたりの圧下率は、5%以上
とすることが好ましい。5%未満では十分な細粒化効果
が得られないためである。圧延終了後、室温まで空冷す
る。空冷のような緩冷却を施すことにより、強度・靱性
のばらつき、残留応力・残留歪が軽減できる。
【0028】また、本発明では、前記室温まで空冷する
に代えて、5℃/sec以下の冷却速度で室温まで冷却して
もよい。冷却速度が5℃/secを超えると、冷却中のオー
ステナイトから粒内フェライトの析出が不足し、組織の
微細化が図れない。また、冷却速度が5℃/secを超える
と組織がベイナイトまたはマルテンサイトあるいはそれ
らの混合組織となりやすく靱性が劣化する。
【0029】本発明で規定する温度、冷却速度は板厚方
向の平均として鋼材の板厚T/4 部での値である。
【0030】
【実施例】表1に示す組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳
造法で125 〜215mm 厚のスラブとした。ついで、これら
スラブを表2に示す温度に加熱し、表2に示す熱間圧延
条件で厚鋼板とした。圧延終了後、直ちに表2に示す冷
却速度で冷却した。これらの製品板を用いて、母材の引
張特性、靱性を調査した。その結果を表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】なお、母材の引張特性、靱性の試験方法は
下記に示す通りである。 (1)母材の引張試験 上記製品板の板厚1/4 T部から圧延方向と直角方向にJI
S Z 2201に規定する4号試験片を採取し、JIS Z 2241に
準拠して、降伏点(YS)、引張強さ(TS)を求め
た。 (2)母材の靱性試験 上記製品板の板厚T/10 部、T /4 部、T/2部から圧延
方向と直角方向にJISZ 2202に規定する4号試験片を採
取し、JIS Z 2242に準拠して、−10℃におけるシャルピ
ー吸収エネルギー(vE-10 )を求めた。
【0034】表2から、本発明例では、TSで500MPa以
上の高強度で、vE-10 で80J以上の高靱性が得られ、し
かも板厚方向の各位置の靱性のばらつきが少なく、母材
の強度・靱性はともに優れて、かつ靱性ばらつきも少な
いことがわかる。一方、鋼組成が本発明の範囲から外れ
る比較例No.14 〜No.18 では、粒内フェライトの析出が
不足するため、板厚方向各部位とも靱性が劣化してい
る。
【0035】また、本発明例の中でも、熱間加工条件が
好ましい範囲から外れる本発明例No.19 〜No.25 は、熱
間加工条件が好ましい範囲内の本発明例と比べ、若干靱
性が劣化し、ばらつきも多少多くなる。例えば、圧延熱
間加工終了温度が900 ℃と好ましい範囲から外れる本発
明例No.19 、No.21 、No.23 、No.24 は、熱間加工中に
Bが粒界に偏析したため、板厚表層部(T/10 部)の靱
性が若干劣化している。
【0036】また、熱間加工の累積圧下率が好ましい範
囲から外れる本発明例No.20 は、熱間加工中にBが粒界
に偏析したため、板厚表層部(T/10 部)の靱性が若干
劣化している。また、スラブ加熱温度が好ましい範囲か
ら外れる本発明例No.21 、No.24 は、熱間加工終了温度
が低すぎるため、板厚表層部(T/10 部)の靱性が若干
劣化している。
【0037】さらに、熱間加工後の冷却速度が好ましい
範囲から外れる本発明例No.22 、No.25 は、板厚表層部
(T/10 部)の靱性が若干劣化している。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、板厚中心部の靱性およ
び表層部の靱性が著しく改善され、板厚方向の靱性のば
らつきが少ない板厚40mm以上の非調質高張力厚肉鋼材
が、工業的に容易に製造でき、産業上多大な効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 達巳 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 大森 章夫 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 川端 文丸 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.04〜0.18%未満、 Si:0.60%以下、 Mn:0.20〜1.80%、 Al:0.100 %以下、 V:0.04〜0.15%、 B:0.0003〜0.0030%、 N:0.0050〜0.0100% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを
    特徴とする材質ばらつきの少ない板厚40mm以上の非調質
    高張力厚肉鋼材。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.04〜0.18%未満、 Si:0.60%以下、 Mn:0.20〜1.80%、 Al:0.100 %以下、 V:0.04〜0.15%、 B:0.0003〜0.0030%、 N:0.0050〜0.0100% を含み、さらに、 Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:1.0 %以下、M
    o:1.0 %以下の群、 Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.005 〜0.02%の群、および
    REM :0.02%以下の群の少なくとも1群から選ばれた1
    種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純
    物からなることを特徴とする材質ばらつきの少ない板厚
    40mm以上の非調質高張力厚肉鋼材。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.04〜0.18%未満、 Si:0.60%以下、 Mn:0.20〜1.80%、 Al:0.100 %以下、 V:0.04〜0.15%、 B:0.0003〜0.0030%、 N:0.0050〜0.0100% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材
    を、1050℃以上に加熱して、累積圧下率で30%以上の熱
    間加工を施し、1000℃以上で熱間加工を終了したのち、
    室温まで空冷することを特徴とする材質ばらつきの少な
    い板厚40mm以上の非調質高張力厚肉鋼材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記室温まで空冷するに代えて、室温ま
    で5℃/sec以下の冷却速度で冷却することを特徴とする
    請求項3記載の非調質高張力厚肉鋼材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記鋼素材が、重量%で、 C:0.04〜0.18%未満、 Si:0.60%以下、 Mn:0.20〜1.80%、 Al:0.100 %以下、 V:0.04〜0.15%、 B:0.0003〜0.0030%、 N:0.0050〜0.0100% を含み、さらに、 Cu:0.6 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:1.0 %以下、M
    o:1.0 %以下の群、 Nb:0.003 〜0.05%、Ti:0.005 〜0.02%の群、および
    REM :0.02%以下の群の少なくとも1群から選ばれた1
    種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純
    物からなることを特徴とする請求項3または4記載の非
    調質高張力厚肉鋼材の製造方法。
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