JPH1088204A - 焼結部品用圧粉体及びその製造装置 - Google Patents

焼結部品用圧粉体及びその製造装置

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JPH1088204A
JPH1088204A JP24837596A JP24837596A JPH1088204A JP H1088204 A JPH1088204 A JP H1088204A JP 24837596 A JP24837596 A JP 24837596A JP 24837596 A JP24837596 A JP 24837596A JP H1088204 A JPH1088204 A JP H1088204A
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JP
Japan
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boss
green compact
flange
die
tapered surface
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Application number
JP24837596A
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Inventor
Michinari Oonishi
道成 大西
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ボス部とフランジ部との接続部におけるすべり
割れの発生を十分に抑えつつ、ボス部を他の部品に挿入
する際に干渉の問題が発生することを抑える。 【解決手段】ボス部2と、ボス部2からボス部の中心軸
線に対して略直角方向に延出するフランジ部3とを有す
る焼結部品用圧粉体であって、上記ボス部2と上記フラ
ンジ部3との接続部4には、フランジ部3側から、湾曲
断面でフランジ部3の表面3aに窪む凹状曲面部5と、
凹状曲面部5の終端からボス部2に向かって仰傾するよ
うに直線状に延在してボス部3の側面3aと連なるテー
パ面部6とが形成されていることを特徴とする。テーパ
面部6とともに凹状曲面部5を形成することにより、テ
ーパ面部6を小さくしてもすべり割れを効果的に抑制す
ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結部品用圧粉体
及びその製造装置に関し、より詳しくはボス部と、該ボ
ス部から該ボス部の中心軸線に対して略直角方向に延出
するフランジ部とを有する焼結部品用圧粉体及びその製
造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のアンチロックブレーキシステム
(ABS、Antilock Brake Syste
m)に用いられるスピードセンサロータは、一般に焼結
部品よりなり、円柱状のボス部と、ボス部の一端から遠
心方向(中心軸線に対して直角方向)に延出し円周外面
をもつフランジ部とを有する形状である。
【0003】このようなボス部とフランジ部とをもつ焼
結部品の圧粉体を原料粉末から圧縮成形する場合、図9
に示すように、ダイス80と、固定下パンチ81と、浮
動下パンチ82と、浮動下パンチ82の昇降を制御する
油圧シリンダ83と、浮動下パンチ82の下降量を制御
するストッパ84と、上パンチ85とからなる製造装置
を用いる。このように下パンチが、ボス部86を加圧圧
縮するための固定下パンチ81と、フランジ部87を加
圧圧縮するための浮動下パンチ82とに分割されている
のは、分割されていない一体型の下パンチを用いるとボ
ス部86の粉末密度がフランジ部87と比較して低くな
って、強度レベルが低下する等の不都合が生じるからで
ある。上記分割型の下パンチを用いることにより、ボス
部86における圧縮比とフランジ部87における圧縮比
を同等にして、粉末密度をボス部86とフランジ部87
とでほぼ均一にすることができる。
【0004】しかし、上記分割型の下パンチを用いた場
合、粉末圧縮成形時にボス部86とフランジ部87との
接続部にすべり割れが生じ易いという問題がある。すな
わち、図10に示すように、粉末圧縮過程において、固
定下パンチ81と上パンチ85とで圧縮成形されるボス
部86の粉末密度aは圧縮開始から終了まで比例的に上
昇する一方、浮動下パンチ82と上パンチ85とで圧縮
成形されるフランジ部87の粉末密度bは、浮動下パン
チ82がストッパ84に当接するまでは緩やかに上昇
し、浮動下パンチ82がストッパ84に当接した後は急
激に上昇する。このため、図11に示すように、浮動下
パンチ82がストッパ84に当接するまでにおいて、高
密度のボス部86から低密度のフランジ部87に粉末が
流れ込み、ボス部86とフランジ部87との接続部88
付近で高粉末密度の部分と低粉末密度の部分との境界線
が生じ、この境界線部分での粉末同士の圧着が不十分と
なってすべり割れ89に至る。
【0005】そこで、実公昭51−46416号公報に
は、ボス部とフランジ部とをもつ圧粉体としてのボス付
歯車を圧縮成形するに際し、上記接続部の形状を工夫し
て、接続部におけるすべり割れを防止する技術が開示さ
れている。すなわち、図12に示すように、このボス付
歯車90は、円柱状のボス部91と、ボス部91から遠
心方向に延出するフランジ部92と、中心軸孔93とを
有しており、ボス部91とフランジ部92との接続部に
は、ボス部91の中心軸線と30〜60度の角度θで傾
斜する円錐外面形状のテーパ面部94が形成されてい
る。
【0006】このように、接続部にテーパ面部94を形
成することにより、接続部における圧粉体表面に粉末を
十分に供給するようにして、すべり割れの発生を抑える
ことができる。なおテーパ面部94の角度θは、すべり
割れの発生を効果的に抑えるべく実験により求められた
もので、この角度θが上記30〜60度の範囲を外れる
と、すべり割れの発生を効果的に抑えることができな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術では、ボス部91をシャフト等の他の部品に挿入、嵌
合する場合に、テーパ面部94がシャフト等の端面と干
渉するという不都合がある。上記干渉の問題を抑えるた
めにテーパ面部94を小さくすると、すべり割れ発生を
抑制することができない。特に、テーパ面部94の高さ
(図12のc寸法)が0.5mm以下のとき、すべり割
れの発生が顕著になる。
【0008】また、上記すべり割れは粉末の圧縮過程に
発生するが、圧縮成形途中においては、圧粉体の粉体密
度が低いため、脆い圧粉体を脱型することができない。
このため、従来は成形した圧粉体を脱型した後でなけれ
ば、すべり割れの発生状況を観察することができず、す
べり割れの割れ解析を圧縮過程で行うことができなかっ
た。したがって、すべり割れの発生を効果的に抑えうる
ように、上記テーパ面部94の形状(角度)や大きさを
容易に決定することができなかった。
【0009】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、(1)ボス部とフランジ部との接続部におけるす
べり割れの発生を十分に抑えつつ、ボス部を他の部品に
挿入する際に干渉の問題が発生することを抑えることの
できる焼結部品用圧粉体を提供することを第1の課題と
し、(2)上記すべり割れの発生を効果的に抑えるうる
形状を容易に決定することのできる焼結部品用圧粉体の
製造装置を提供することを第2の課題とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記第1の課題を解決する請求項1記載の焼結部
品用圧粉体は、ボス部と、該ボス部から該ボス部の中心
軸線に対して略直角方向に延出するフランジ部とを有す
る焼結部品用圧粉体であって、上記ボス部と上記フラン
ジ部との接続部には、フランジ部側から、湾曲断面で該
フランジ部の表面に窪む凹状曲面部と、該凹状曲面部の
終端からボス部に向かって仰傾するように直線状に延在
して該ボス部の側面と連なるテーパ面部とが形成されて
いることを特徴とするものである。
【0011】(2)上記第2の課題を解決する請求項2
記載の焼結部品用圧粉体の製造装置は、軸孔を有するダ
イスと、該ダイスの該軸孔に摺動可能に配設されて該ダ
イスとともにキャビティを形成する上下パンチとを備
え、請求項1記載の焼結部品用圧粉体を製造する装置で
あって、上記ダイスの壁面の一部は、上記キャビティ内
における成形状態の観察を可能ならしめるべく、透明体
よりなる可視部により構成されていることを特徴とする
ものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を具体的
に説明する。 (1)本発明の焼結部品用圧粉体は、ボス部と、該ボス
部から該ボス部の中心軸線に対して略直角方向に延出す
るフランジ部とを有する。ボス部の形状としては特に限
定されず、円柱状、円筒状、角柱状等とすることができ
る。また、フランジ部の形状としては、ボス部の全周か
ら遠心方向に延出する円板状又は角板状としたり、ある
いはボス部の周囲の相対向する位置からそれぞれ逆方向
に延出する一対の帯状としたりすることができる。な
お、ボス部の長さや外径、及びフランジ部の長さ、幅や
厚さ等は適宜設定可能である。
【0013】そして、本発明の焼結部品用圧粉体は、上
記ボス部と上記フランジ部との接続部に、フランジ部側
から、湾曲断面で該フランジ部の表面に窪む凹状曲面部
と、該凹状曲面部の終端からボス部に向かって仰傾する
ように直線状に延在して該ボス部の側面と連なるテーパ
面部とが形成されていることを特徴とする。上記凹状曲
面部は、圧粉体の圧縮成形時に圧粉体表面(成形型面と
の当接面)における粉末の流動性を向上させる観点か
ら、曲線のなめらかな断面形状とすることが好ましく、
例えば部分円形断面とすることが好ましい。また、同様
の観点から、凹状曲面部及びフランジ部表面間、凹状曲
面部及びテーパ面部間、並びにテーパ部及びボス部間
は、いずれも曲線のなめらかな断面形状で接続されてい
ることが好ましい。
【0014】上記テーパ面部の仰角、すなわちテーパ面
部がフランジ部の表面となす角度θは、接続部における
すべり割れの発生を効果的に抑える観点から、圧縮過程
において上記接続部付近で生じる高粉末密度の部分と低
粉末密度の部分との境界線、すなわちすべり割れの角度
と同程度とすることが好ましい。具体的には、30〜6
0度程度とすることが好ましく、50度とすることが特
に好ましい。このように、テーパ面部の角度θをすべり
割れの角度と同程度とすることにより、圧縮過程におい
て生じる高粉末密度の部分と低粉末密度の部分との境界
線を圧粉体表面に効果的に押し出して、すべり割れの発
生を抑制することができる。
【0015】なお、上記凹状曲面部の深さや幅、及び上
記テーパ面部の大きさ等は適宜設定可能である。ただ
し、テーパ面部が大きくなってテーパ面部とボス部側面
との接続点がフランジ部表面から直角方向に離れるほ
ど、ボス部を他の部品に挿入する際に干渉の問題が発生
し易くなるので、すべり割れの発生を効果的に抑えるこ
とのできる範囲内でテーパ面部をできるだけ小さくする
ことが好ましい。
【0016】また、凹状曲面部及びテーパ面部の形状は
フランジ部の形状と対応するように適宜設定可能であ
る。例えば、フランジ部の形状がボス部の全周から遠心
方向に延出する円板状である場合には、テーパ面部の外
形状を円錐側面形状にするとともに、凹状曲面部をこの
円錐側面形状のテーパ面部の裾野の外周に延びる円形状
としたり、あるいはフランジ部の形状がボス部の全周か
ら遠心方向に延出する角板状である場合には、テーパ面
部の外形状を角錐側面形状にするとともに、凹状曲面部
をこの角錐側面形状のテーパ面部の裾野の外周に延びる
角形状としたりすることができる。
【0017】なお、本発明の焼結部品用圧粉体の全体形
状は、ボス部の端部にフランジ部が形成された断面T字
状としたり、ボス部の端部以外にフランジ部が形成され
た断面十字状としたりすることができる。上記構成を有
する本発明の焼結部品用圧粉体は、ボス部とフランジ部
との接続部にテーパ面部が形成されていることから、圧
縮過程において粉末の低密度部分を極力なくすことがで
き、これにより、圧縮過程において生じる粉末の高密度
部分と低密度部分との境界線、すなわちすべり割れを圧
粉体表面に押し出して、すべり割れの発生を抑制するこ
とが可能となる。また、このテーパ面部の先端(裾野の
部分)に形成された凹状曲面部により粉末流動が促進さ
れるので、テーパ面部だけでは抑制しきれなかったすべ
り割れを凹状曲面部の曲面に沿って押し出すことがで
き、すべり割れの発生を抑制することが可能となる。こ
のように本発明の焼結部品用圧粉体は、テーパ面部によ
るすべり割れ抑制効果に加えて凹状曲面部によるすべり
割れ抑制効果を発揮しうるので、凹状曲面部によるすべ
り割れ抑制効果の増加分だけテーパ面部を小さくするこ
とができる。
【0018】したがって、本発明の焼結部品用圧粉体に
よれば、すべり割れの発生を効果的に抑えつつ、ボス部
を他の部品に挿入する際に干渉の問題が発生することを
抑えることができる。 (2)本発明の焼結部品用圧粉体の製造装置は、本発明
の焼結部品用圧粉体を製造する装置であって、軸孔を有
するダイスと、該ダイスの該軸孔に摺動可能に配設され
て該ダイスとともにキャビティを形成する上下パンチと
を備えている。
【0019】上記ダイスの軸孔はフランジ部の外周側面
形状に対応した内面形状にするとともに、上記上下パン
チの外面形状はこの軸孔内で摺動可能となるように軸孔
の内面形状に対応した外面形状とすることができる。上
記上下パンチのうちの少なくとも一方は、棒状の固定パ
ンチと、この固定パンチを摺動可能に内設する筒状の浮
動パンチとから構成することができる。なお、棒状の固
定パンチと上下パンチのうちの他方のパンチとでボス部
を圧縮成形し、筒状の浮動パンチと上下パンチのうちの
他方のパンチとでフランジ部を圧縮成形する。また、上
記浮動パンチの昇降は、油圧シリンダ又はエアシリンダ
等により制御可能だが、浮動パンチの保持力を向上させ
てフランジ部における粉末密度をより向上させるる観点
から、より大きな保持力を浮動パンチに与えることので
きる油圧シリンダを用いることが好ましい。
【0020】そして、本発明の焼結部品用圧粉体の製造
装置は、上記ダイスの壁面の一部が、上記キャビティ内
における成形状態の観察を可能ならしめるべく、透明体
よりなる可視部により構成されていることを特徴とす
る。上記透明体よりなる可視部には、強化ガラスや透明
プラスチックス等を採用することができる。これらの可
視部は、ダイスの壁面の一部に設けられた貫孔に嵌め込
み、接着剤又はボルト締め等により固定することができ
る。
【0021】また本発明の製造装置は、好適な態様にお
いて、上記ダイスが昇降可能に配設される。この態様に
より、圧縮成形型時に圧粉体の側圧による可視部の破損
等を防止すべく、ダイスの壁面で圧縮成形を行った後、
可視部から圧粉体を観察可能な位置までダイスを上昇又
は下降させて、圧粉体を観察することができる。なお、
圧粉体の側圧による可視部の破損等を防止しつつダイス
の壁面で圧縮成形を行い、その後可視部により圧粉体を
観察可能な位置までダイスをずらす場合は、ダイスは上
昇又は下降のうち、どちらか一方が可能となるように配
設されていれば足りる。また、可視部自身の強度及び可
視部のダイスへの固着強度が圧分体の側圧に耐えうる場
合は、ダイスを昇降可能とする必要はない。
【0022】また、可視部から圧粉体の成形状態を観察
する場合、目視によっても観察可能であるが、マイクロ
スコープレンズを可視部に対向して配設し、このマイク
ロスコープレンズを介してモニター観察することが好ま
しい。上記構成を有する本発明の焼結部品用圧粉体の製
造装置では、ダイス及び上下パンチにより圧粉体を圧縮
成形した後、圧粉体を脱型することなく、圧粉体の成形
状態を可視部を介して観察することができるので、ボス
部とフランジ部との接続部におけるすべり割れ発生の現
象解析を行うことが可能となる。したがって、すべり割
れの発生を効果的に抑えうるテーパ面部や凹状曲面部の
形状や大きさ等を容易に決定することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 (実施例1)本実施例1は、本発明の焼結部品用圧粉体
を車両のアンチロックブレーキシステム(ABS)に用
いられるスピードセンサロータに適用したもので、この
圧粉体1は、図1及び図2に示すように、円柱状のボス
部2と、ボス部2の一端から遠心方向(中心軸線に対し
て直角方向)に延出し円周外面をもつフランジ部3とを
有している。なお、ボス部2は長さが10mm、外径が
9mmであり、フランジ部3は幅が5.4mm、外径が
51mmである。
【0024】そして、この圧粉体1は、図3の部分断面
図に示すように、ボス部2とフランジ部3との接続部4
に、フランジ部3側から、湾曲断面でフランジ部3の表
面3aに窪む凹状曲面部5と、凹状曲面部5の終端から
ボス部2に向かって仰傾するように直線状に延在してボ
ス部2の側面2aと連なるテーパ面部6とが形成されて
いる。このテーパ面部6の外形状は円錐側面形状とさ
れ、凹状曲面部5はこの円錐側面形状のテーパ面部6の
裾野の外周に延びる円形状とされている。
【0025】上記凹状曲面部5は、圧粉体1の圧縮成形
時に圧粉体1表面(成形型面との当接面)における粉末
の流動性を向上させる観点から、曲線のなめらかな断面
形状とされ、具体的には直径2mmの円の部分円形断面
とされている。また、同様の観点から、凹状曲面部5と
フランジ部3の表面3aとの間の接続部位7、凹状曲面
部5とテーパ面部6との間の接続部位8、及びテーパ部
6とボス部2との間の接続部位9は、いずれも曲線のな
めらかな断面形状で接続されている。
【0026】上記テーパ面部6の仰角、すなわちテーパ
面部6がフランジ部3の表面3aとなす角度θは、接続
部4におけるすべり割れの発生を効果的に抑える観点か
ら、50度とされている。また、上記テーパ面部6とボ
ス部2の側面2aとの接続部位9は、すべり割れの発生
を効果的に抑えることのできる範囲内でテーパ面部6を
できるだけ小さくして、ボス部2をシャフトに圧入する
際にテーパ面部6がシャフトと干渉しないようにする観
点から、フランジ部3の表面3aから0.5mmの高さ
hとされている。
【0027】なお、上記焼結部品用圧粉体1は、後述す
る実施例2に示す製造方法に準じた方法により製造する
ことができる。そして、1120℃×20分程度で焼結
して焼結部品とし、ABS用のスピードセンサロータと
することができる。この焼結部品用圧粉体1は、ボス部
2とフランジ部3との接続部4に所定角度のテーパ面部
6が形成され、かつ、このテーパ面部6の先端(裾野の
部分)に所定形状の凹状曲面部5が形成されていること
から、圧縮過程において生じる粉末の高密度部分と低密
度部分との境界線、すなわちすべり割れを圧粉体表面に
押し出して、すべり割れの発生を効果的に抑制すること
が可能となる。
【0028】また、凹状曲面部5は曲線のなめらかな部
分円断面とされるとともに、凹状曲面部5とフランジ部
3の表面3aとの間の接続部位7、凹状曲面部5とテー
パ面部6との間の接続部位8、及びテーパ部6とボス部
2との間の接続部位9はいずれも曲線のなめらかな断面
形状で接続されていることから、圧縮成形時に圧粉体1
表面(成形型面との当接面)における粉末の流動性が向
上し、上記すべり割れの抑制効果が向上している。
【0029】そして、本実施例1の焼結部品用圧粉体1
は、テーパ面部6によるすべり割れ抑制効果に加えて凹
状曲面部5によるすべり割れ抑制効果を発揮しうるの
で、凹状曲面部5によるすべり割れ抑制効果の増加分だ
けテーパ面部6を小さくすることができる。したがっ
て、本実施例1の焼結部品用圧粉体1によれば、すべり
割れの発生を効果的に抑えつつ、ボス部2をシャフトに
挿入する際にテーパ面部6がシャフトと干渉することを
抑えることができる。
【0030】(比較例1)図4に部分断面図に示すよう
に、ボス部2とフランジ部3との接続部4に、外形状が
円錐側面形状のテーパ面部6のみを形成した圧粉体とす
ること以外は上記実施例1と同様である。なお、テーパ
面部6がフランジ部3の表面3aとなす角度θは50度
とされ、また、テーパ面部6とボス部2の側面2aとの
接続部位9はフランジ部3の表面3aから0.5mmの
高さhとされている。
【0031】(すべり割れ評価)上記実施例1及び比較
例1に係る焼結部品について、接続部4におけるすべり
割れの発生を評価したところ、本実施例1に係る焼結部
品は接続部4におけるすべり割れの発生が認められなか
ったのに対し、比較例1に係る焼結部品は接続部4にす
べり割れの発生が認められた。
【0032】(テーパ面部の角度とすべり割れ抑制効果
との関係)上記実施例1及び比較例1において、テーパ
面部6の角度θを20度、50度、80度と変化させ
て、テーパ面部6の角度とすべり割れ抑制効果との関係
について調べた。なお、すべり割れの発生は、磁性体で
ある部品の欠陥を検出する磁気損傷法及び焼結後の切断
面観察により調査した。また、試験数は6とした。その
結果を表1に示す。表1中、○印は磁気損傷の割れ調査
が無反応であり、すべり割れの発生が認められなかった
ことを示し、×印は磁気損傷の割れ調査が反応し、すべ
り割れの発生が認められたことを示す。
【0033】
【表1】 表1から明らかなように、テーパ面部6の角度θを50
度とし、かつ、テーパ面部6とともに凹状曲面部5を形
成することにより、接続部4におけるすべり割れを効果
的に防止できた。
【0034】(実施例2)図5〜図8に示す本実施例
は、本発明の焼結部品用圧粉体の製造装置を、角柱状の
ボス部10の一端の周囲の相対向する位置からそれぞれ
逆方向に一対の帯状のフランジ部11が延出する、全体
形状がT字状の圧粉体12を圧縮成形する場合に適用し
たものである。
【0035】この製造装置は、ダイス13と、ダイス1
3を昇降可能に支持するダイス用油圧シリンダ14と、
棒状の固定下パンチ(コアロッド)15と、筒状の浮動
下パンチ16と、浮動下パンチ16の昇降を制御する下
パンチ用油圧シリンダ17と、浮動下パンチ16の下降
量を制御するストッパ18と、上パンチ19と、マイク
ロスコープレンズ20と、このマイクロスコープレンズ
20に接続されたモニター21とから主に構成されてい
る。
【0036】上記ダイス13は、フランジ部11の外周
側面形状(長方形状)に対応した内面形状の中心軸孔1
3aを有し、上記浮動下パンチ16及び上パンチ19は
この中心軸孔13a内を摺動可能とされている。また、
浮動下パンチ16は、ボス部10の外面形状(長方形
状)に対応した内面形状の中心軸孔16aを有し、上記
固定下パンチ15はこの中心軸孔16a内を摺動可能と
されている。
【0037】そして、本実施例のダイス13では、壁面
の一部、具体的には一側面13b(図8参照)の上端側
に中心軸孔13aに通じる断面長方形状の貫通孔13c
が貫設されており、この貫通孔13c内に強化ガラスよ
りなる可視部22が配設されている。なお、可視部22
は接着剤23によりダイス13に固定されている。ま
た、ダイス13の上面には段部13dが形成されてお
り、この段部13dの上に上記可視部22と対向させて
上記マイクロスコープレンズ20が水平方向に移動可能
に配設されている。
【0038】上記構成を有する本発明の焼結部品用圧粉
体の製造装置では、下パンチ用油圧シリンダ17を作動
させて浮動下パンチ16をストッパ18から所定距離上
昇させた状態で、ダイス13、下固定パンチ15及び下
浮動パンチ16により形成されるキャビティ内に原料粉
末を充填した後(図5の状態)、上パンチ19により加
圧圧縮する。このとき、浮動下パンチ16は上パンチ1
9の加圧力によりストッパ18に当接するまで下降す
る。そして、圧粉体12の側圧により可視部22が破損
等することを防止しつつ、成形ダイス13の下方部の壁
面で圧粉体12が圧縮成形される(図6の状態)。圧粉
体12を成形後、ダイス用油圧シリンダ14を作動させ
て、可視部22が圧粉体12と対向するまでダイス13
を下降させる(図7の状態)。この状態で、マイクロス
コープレンズ20を介してモニター21で圧粉体12を
観察する(図8の状態)。
【0039】このように、本実施例の製造装置によれ
ば、圧粉体12を圧縮成形した後、圧粉体12を脱型す
ることなく、圧粉体12の成形状態を可視部22を介し
て観察することができるので、ボス部10とフランジ部
11との接続部におけるすべり割れ発生の現象解析を行
うことが可能となる。したがって、すべり割れの発生を
効果的に抑えうるテーパ面部や凹状曲面部の形状や大き
さ等を容易に決定することができる。
【0040】なお、上記実施例2では、本発明の圧粉体
の製造装置を、全体形状がT字状の圧粉体を圧縮成形す
る場合に適用する例について説明したが、上記実施例1
で示した円板形状のフランジ部を有する圧粉体を圧縮成
形する場合にも、型構成の設計変更により、本発明の製
造装置を適用しうることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の焼結部品用
圧粉体は、ボス部とフランジ部との接続部にテーパ面部
とともに凹状曲面部を形成したものであるから、圧縮過
程において生じる粉末の高密度部分と低密度部分との境
界線、すなわちすべり割れを圧粉体表面に押し出して、
すべり割れの発生をきわめて効果的に抑制することが可
能となる。また、凹状曲面部によるすべり割れ抑制効果
の増加分だけテーパ面部を小さくすることができるの
で、すべり割れの発生を効果的に抑えつつ、ボス部を他
の部品に挿入する際に干渉の問題が発生することを抑え
ることができる。
【0042】また、本発明の焼結部品用圧粉体の製造装
置は、キャビティ内における成形状態の観察を可能なら
しめるべく、ダイスの壁面の一部に可視部を配設したも
のであるから、圧粉体の圧縮過程において上記接続部に
おけるすべり割れの発生状況を観察してすべり割れの割
れ発生解析を行うことができ、したがってすべり割れの
発生を効果的に抑えうるテーパ面部や凹状曲面部の形状
や大きさ等を容易に決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の焼結部品用圧粉体の側面図である。
【図2】本実施例の焼結部品用圧粉体の底面図である。
【図3】本実施例の焼結部品用圧粉体の部分断面図であ
る。
【図4】比較例の焼結部品用圧粉体の部分断面図であ
る。
【図5】本実施例の焼結部品用圧粉体の製造装置に係
り、粉末充填後の状態を模式的に示す説明図である。
【図6】本実施例の焼結部品用圧粉体の製造装置に係
り、圧縮成形後の状態を模式的に示す説明図である。
【図7】本実施例の焼結部品用圧粉体の製造装置に係
り、圧粉体観察時の状態を模式的に示す説明図である。
【図8】本実施例の焼結部品用圧粉体の製造装置に係
り、観察方法を模式的に示す説明図であり、(a)は平
面図、(b)は一部断面側面断面図である。
【図9】従来の焼結部品用圧粉体の製造方法を模式的に
示す説明図である。
【図10】従来の焼結部品用圧粉体について、圧縮成形
中における粉末密度の変化の示す線図である。
【図11】従来の焼結部品用圧粉体について、すべり割
れが発生する様子を模式的に示す説明図である。
【図12】従来の焼結部品用圧粉体の断面図である。
【符号の説明】
1、12は圧粉体、2、10はボス部、3、11はフラ
ンジ部、4は接続部、5は凹状曲面部、6はテーパ面
部、13はダイス、14はダイス用油圧シリンダ、15
は固定下パンチ、16は浮動下パンチ、17は下パンチ
用油圧シリンダ、18はストッパ、19は上パンチ、2
0はミクロスコープレンズ、21はモニター、22は可
視部である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボス部と、該ボス部から該ボス部の中心
    軸線に対して略直角方向に延出するフランジ部とを有す
    る焼結部品用圧粉体であって、 上記ボス部と上記フランジ部との接続部には、フランジ
    部側から、湾曲断面で該フランジ部の表面に窪む凹状曲
    面部と、該凹状曲面部の終端からボス部に向かって仰傾
    するように直線状に延在して該ボス部の側面と連なるテ
    ーパ面部とが形成されていることを特徴とする焼結部品
    用圧粉体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の焼結部品用圧粉体を製造
    する装置であって、軸孔を有するダイスと、該ダイスの
    該軸孔に摺動可能に配設されて該ダイスとともにキャビ
    ティを形成する上下パンチとを備え、 上記ダイスの壁面の一部は、上記キャビティ内における
    成形状態の観察を可能ならしめるべく、透明体よりなる
    可視部により構成されていることを特徴とする焼結部品
    用圧粉体の製造装置。
JP24837596A 1996-09-19 1996-09-19 焼結部品用圧粉体及びその製造装置 Pending JPH1088204A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008085163A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Hitachi Metals Ltd フェライトコア
CN106704550A (zh) * 2017-02-13 2017-05-24 马鞍山市华东粉末冶金厂 一种轻型高枝锯用一级传动带轮及其制造模具和方法

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