JPH1088176A - 水溶性しごき成形用潤滑剤原液組成物 - Google Patents

水溶性しごき成形用潤滑剤原液組成物

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JPH1088176A
JPH1088176A JP8267866A JP26786696A JPH1088176A JP H1088176 A JPH1088176 A JP H1088176A JP 8267866 A JP8267866 A JP 8267866A JP 26786696 A JP26786696 A JP 26786696A JP H1088176 A JPH1088176 A JP H1088176A
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JP
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branched
ironing
acid
linear
water
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JP8267866A
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English (en)
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Masahisa Hirobe
雅久 廣部
Hideto Nakada
秀人 中田
Hideo Yokota
秀雄 横田
Kazuhiko Endo
和彦 遠藤
Masaru Kametsuka
大 亀塚
Akira Kanai
亮 金井
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Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Eneos Corp
Original Assignee
Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Nippon Oil Corp
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Publication date
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M171/00Lubricating compositions characterised by purely physical criteria, e.g. containing as base-material, thickener or additive, ingredients which are characterised exclusively by their numerically specified physical properties, i.e. containing ingredients which are physically well-defined but for which the chemical nature is either unspecified or only very vaguely indicated
    • C10M171/04Specified molecular weight or molecular weight distribution
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 金属板を40℃における動粘度が5〜7
0mm2/sの不水溶性の絞り成形用潤滑剤を用いて絞
り成形し、次いで水溶性しごき成形用潤滑剤を用いてし
ごき成形または再絞り・しごき成形してDI缶を製造す
る際に用いられる水溶性しごき成形用潤滑剤の原液組成
物であって、(A)平均分子量300〜20000のポ
リオキシアルキレンおよび/またはそのモノアルキルエ
ーテルと(B)炭素数6〜24の脂肪酸とのエステルが
含まれる水溶性しごき成形用潤滑剤原液組成物 。 【効果】 品位の高いDI缶を製造することができると
共に、排水処理性の向上を達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DI缶を製造する
際に用いられる潤滑剤の原液組成物に関し、詳しくは金
属板を不水溶性の絞り成形用潤滑剤を用いて絞り成形
し、次いでしごき成形または再絞り・しごき成形してD
I缶を製造する際に用いられる水溶性しごき成形用潤滑
剤の原液組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】DI缶は、ビールや清涼飲料などの容器
として使用され、金属板を絞り成形(カッピング)し、
次いでこの絞り成形品をしごき成形または再絞り・しご
き成形して加工される缶であり、その胴体と底の部分が
つなぎ目なしの一体構造になっているものである。絞り
成形とは、円盤状に切り抜いた板をしわ押さえ装置によ
り固定し、ポンチとダイスの組み合わせからなる工具で
底付きのカップ状に成形する加工方法をいい、しごき成
形とは、絞り成形したカップの側壁を薄くして伸ばす加
工をいう。なお、円盤状に切り抜かれた板の直径がポン
チの直径に比べて過大である場合には、1回の絞り成形
では所要の形状のカップを得ることが困難なことがあ
り、このような場合には後工程であるしごき成形の前に
所要の形状となるように再絞り成形が行われる。DI缶
の製造時においては、カッピングプレスと称される絞り
成形機により比較的直径の大きなカップが製造され、次
いでボディメーカ(缶体成形機)において先ず再絞り成
形が行われ、その後直ちにしごき成形を実施する方法が
一般的である。このような絞り成形−しごき成形または
絞り成形−再絞り・しごき成形を行う際には、従来はい
ずれの工程も乳化液型潤滑剤が用いられてきた。即ち、
DI缶の成形工程における第一工程である絞り成形に使
用する潤滑剤(絞り成形用潤滑剤)と、第二工程である
しごき成形または再絞り・しごき成形に使用する潤滑剤
(しごき成形用潤滑剤)とにはいずれも乳化液型潤滑剤
が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、DI
缶の成形工程のうち、絞り成形時には乳化液型潤滑剤の
使用が一般的であったが、乳化液による潤滑時には、乳
化液中の油分をいかにして潤滑箇所に選択的かつ効果的
に付着させるかという課題がともなう。このような、油
分が潤滑箇所に付着する性質はプレートアウト性と呼ば
れており、いかに潤滑性に優れる成分からなる乳化液で
あってもプレートアウト性に劣る潤滑剤は実質的に使用
することができない。このような課題を解決するために
多くの検討が、多方面にわたって行われているが、プレ
ートアウト性を向上させるための画一的な結論は得られ
ておらず、試行錯誤的にプレートアウト性の高い乳化液
型潤滑剤が開発されている状況にある。しかし、このよ
うな方法で得られた乳化液型潤滑剤は缶の設計変更など
による成形条件の変化が生じた場合には対応できないこ
とがある。また、プレートアウト性の不十分さを過剰な
潤滑成分の添加などによって補うことも考えられる。し
かしながら、成形条件の変更にともなう潤滑剤の処方変
更は作業効率を低下させるものである。
【0004】また、絞り成形用潤滑剤として、不水溶性
のものを用いたとしても、その潤滑性が不十分な場合に
は絞り成形そのものが行えず、カップ状成形物に破断が
生じたり、破断が生じないまでも工具(ポンチ、ダイ
ス)と金属材料との間に過剰な摩擦が生じる結果カップ
状成形物の表面に部分的な傷が発生する。このようにし
て生じた傷はDI缶の成形工程における第二工程である
しごき成形が終了した後にも表面に残存する場合があ
り、缶の美観を著しく損ない商品価値を低下させる。
【0005】また、絞り成形後のカップ状成形物表面に
残存する絞り成形用潤滑剤はしごき成形時に工具(ポン
チ、ダイス)とカップ状成形物表面との間における潤滑
にも寄与するが、絞り成形用潤滑剤の潤滑性が不十分で
あるとしごき成形後の缶表面に傷が生じ、缶の美観を著
しく損ない商品価値を低下させる。一方、絞り成形用潤
滑剤の潤滑性が過剰な場合には以下に述べる障害が生じ
る。絞り成形用潤滑剤の潤滑性が過剰な場合には絞り成
形時に板固定部(しわ押さえ部)において板としわ押さ
え部との間に滑りが生じて固定性が低下するために缶フ
ランジ部(開口部)にしわが発生したり、部分的な板の
伸びが生じていわゆる「耳」が発生する。しわが発生す
ると缶フランジ部の板厚が不均一となるが、板厚が不均
一となると後工程のしごき成形において板厚の厚い部分
でのしごき率が高くなり、結果的に潤滑不足となって焼
き付きが生じ、ブリードスルーと称される表面欠陥が発
生する。さらに、板厚の不均一は最終成形段階であるネ
ッキング加工でのネッキング割れの原因ともなる。ま
た、「耳」の発生したカップは、後工程のしごき成形装
置に送られる搬送ラインに「耳」がひっ掛かり、しごき
成形装置にスムースに送れず、缶の生産性を阻害すると
いう問題を生じさせる。また、絞り成形用潤滑剤の潤滑
性が過剰な場合にはアルミニウム板あるいは鋼板を絞り
成形装置に送り込むために設置されている板送りロール
で板が滑って送れないという問題も生じさせる。
【0006】一方、しごき成形後の缶は界面活性剤を含
む水溶液(洗浄液)によって脱脂・洗浄され、腐食防止
のための表面化成処理が行われ、その後塗装、印刷を施
された後に開口部(口部)の絞り成形(ネッキング加
工)およびふち曲げ加工(フランジ加工)が行われて出
荷される。それゆえ、しごき成形用潤滑剤の組成が不適
切である場合には、缶体製造後の脱脂・洗浄工程におい
てしごき成形用潤滑剤洗浄液中の界面活性剤濃度の低減
が達成できず、その結果排水処理性の向上も達成できな
い。
【0007】近年、地球環境保護と省資源の観点から、
絞り成形、しごき成形、再絞り・しごき成形に使用され
る潤滑剤、特に製造の第二工程であるしごき成形または
再絞り・しごき成形において使用される潤滑剤(しごき
成形用潤滑剤)に対しては、潤滑性だけでなく、成形後
の缶の脱脂・洗浄性の良いこと、一日に数百トンにも達
する洗浄廃液の排水処理性の良いことなどが強く要求さ
れるようになってきた。また、品位の高いDI缶を製造
するためには、DI缶の成形工程における第一工程であ
る絞り成形に使用する潤滑剤(絞り成形用潤滑剤)と、
第二工程であるしごき成形または再絞り・しごき成形に
使用する潤滑剤(しごき成形用潤滑剤)の組み合わせが
重要であり、その組み合わせが不適切な場合には品位の
高いDI缶が得られない。
【0008】従って、潤滑性に優れるのみならず、従来
用いられてきた乳化液型潤滑剤より成形後の缶の脱脂・
洗浄性に一層優れ、かつ排水処理性の向上のため洗浄液
の界面活性剤濃度の低減を図ることが可能な、絞り成形
−しごき成形用または絞り成形−再絞り・しごき成形用
の潤滑剤の組み合わせが強く望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金属板を不水
溶性の絞り成形用潤滑剤を用いて絞り成形し、次いで特
定の構造を有するエステルを含有する水溶性しごき成形
用潤滑剤原液組成物を水で希釈して用いて絞り成形品を
しごき成形または再絞り・しごき成形することにより、
品位の高いDI缶を製造することができ、かつ、排水処
理性を向上することができることを見出し、本発明を完
成するに至ったのである。
【0010】すなわち、本発明の水溶性しごき成形用潤
滑剤原液組成物は、金属板を40℃における動粘度が5
〜70mm2/sの不水溶性の絞り成形用潤滑剤を用い
て絞り成形し、次いで水溶性しごき成形用潤滑剤を用い
てしごき成形または再絞り・しごき成形してDI缶を製
造する際に用いられる水溶性しごき成形用潤滑剤の原液
組成物であって、(A)平均分子量300〜20000
のポリオキシアルキレンおよび/またはそのモノアルキ
ルエーテルと(B)炭素数6〜24の脂肪酸とのエステ
ルが含まれるものである。上記ポリオキシアルキレン
が、(1)プロピレンオキシドの単独重合体または
(2)共重合体中のプロピレンオキシドの比率が10質
量%以上であるエチレンオキシドとプロピレンオキシド
の共重合体であることが好ましい。
【0011】このように、金属板を不水溶性の絞り成形
用潤滑剤を用いて絞り成形し、次いで特定の構造を有す
るエステルを含有する水溶性しごき成形用潤滑剤原液組
成物を水で希釈して用いて絞り成形品をしごき成形また
は再絞り・しごき成形することにより、絞り成形性、し
ごき成形性に優れるので、品位の高いDI缶を製造する
ことができ、また、洗浄性、脱脂性に優れるので、排水
処理性の向上を達成することができる。
【0012】
【発明の実施の態様】以下本発明を具体的に説明する。
本発明の水溶性しごき成形用潤滑剤原液組成物は、
(A)平均分子量300〜20000のポリオキシアル
キレンおよび/またはそのモノアルキルエーテルと
(B)炭素数6〜24の脂肪酸とのエステルを必須の成
分として含有するものである。
【0013】上記エステルを構成するポリオキシアルキ
レン(A−1)としては、エチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド、ブチレンオキシドをランダムもしくはブロ
ックに重合したもので、エチレンオキシド、プロピレン
オキシドの使用がさらに好ましい。ポリオキシアルキレ
ンとしては、平均分子量が300〜20000、好まし
くは500〜10000、さらに好ましくは600〜7
000のものである。平均分子量300未満のものは、
水溶性が高いために排水処理性に問題を起こし、平均分
子量が20000より大きいと粘度が高くなり過ぎ、取
り扱いが難しくなる。平均分子量は水酸基価より、数平
均分子量として算出できる。また、水への溶け難さ、つ
まり後工程での排水処理性を考えるとポリオキシアルキ
レンに含まれるプロピレンオキシドの比率は10質量%
以上、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは3
0質量%以上であることが望ましい。上記エステルを構
成するポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(A
−2)に用いるポリオキシアルキレンとしては、上記
(A−1)で説明したものが使用できる。(A−2)ポ
リオキシアルキレンモノアルキルエーテルのアルキル基
に用いられるアルコールとしては、炭素数1〜24の、
好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数4〜
18のものが望ましい。このようなアルコールとしては
直鎖のものでも分岐のものでもよい。炭素数1〜24の
アルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、
エタノール、直鎖状または分岐状のプロパノール、直鎖
状または分岐状のブタノール、直鎖状または分岐状のペ
ンタノール、直鎖状または分岐状のヘキサノール、直鎖
状または分岐状のヘプタノール、直鎖状または分岐状の
オクタノール、直鎖状または分岐状のノナノール、直鎖
状または分岐状のデカノール、直鎖状または分岐状のウ
ンデカノール、直鎖状または分岐状のドデカノール、直
鎖状または分岐状のトリデカノール、直鎖状または分岐
状のテトラデカノール、直鎖状または分岐状のペンタデ
カノール、直鎖状または分岐状のヘキサデカノール、直
鎖状または分岐状のヘプタデカノール、直鎖状または分
岐状のオクタデカノール、直鎖状または分岐状のノナデ
カノール、直鎖状または分岐状のイコサノール、直鎖状
または分岐状のヘンイコサノール、直鎖状または分岐状
のドコサノール、直鎖状または分岐状のトリコサノー
ル、直鎖状または分岐状のテトラコサノールおよびこれ
らの混合物などが挙げられる。
【0014】また、(A)ポリオキシアルキレンおよび
/またはそのモノアルキルエーテルとエステルを構成す
る(B)炭素数6〜24の脂肪酸としては、直鎖のもの
でも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和の
ものでも良い。具体的には例えば、直鎖状または分岐状
のヘキサン酸、直鎖状または分岐状のヘプタン酸、直鎖
状または分岐状のオクタン酸、直鎖状または分岐状のノ
ナン酸、直鎖状または分岐状のデカン酸、直鎖状または
分岐状のウンデカン酸、直鎖状または分岐状のドデカン
酸、直鎖状または分岐状のトリデカン酸、直鎖状または
分岐状のテトラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタ
デカン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン酸、直鎖
状または分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状または分岐状
のオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のノナデカン
酸、直鎖状または分岐状のイコサン酸、直鎖状または分
岐状のヘンイコサン酸、直鎖状または分岐状のドコサン
酸、直鎖状または分岐状のトリコサン酸、直鎖状または
分岐状のテトラコサン酸などの飽和脂肪酸、または、直
鎖状または分岐状のヘキセン酸、直鎖状または分岐状の
ヘプテン酸、直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状
または分岐状のノネン酸、直鎖状または分岐状のデセン
酸、直鎖状または分岐状のウンデセン酸、直鎖状または
分岐状のドデセン酸、直鎖状または分岐状のトリデセン
酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン酸、直鎖状また
は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状または分岐状のヘキ
サデセン酸、直鎖状または分岐状のヘプタデセン酸、直
鎖状または分岐状のオクタデセン酸、直鎖状または分岐
状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状または分岐状の
ノナデセン酸、直鎖状または分岐状のイコセン酸、直鎖
状または分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状または分岐状
のドコセン酸、直鎖状または分岐状のトリコセン酸、直
鎖状または分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪
酸、およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの中
でも、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、または炭素数
8〜20の不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物が好ま
しい。
【0015】また、(A)ポリオキシアルキレンおよび
/またはそのモノアルキルエーテルと(B)炭素数6〜
24の脂肪酸との組み合わせとしても、 ポリオキシアルキレンと脂肪酸とのモノエステル ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルと脂肪酸
とのエステル ポリオキシアルキレンと脂肪酸とのジエステル など、任意の組み合わせが可能であるが、本発明の水溶
性しごき成形用潤滑剤原液組成物としては、加工性およ
び希釈安定性をより高めるという点から、上記、お
よびの中から選ばれる1種または2種以上のエステル
を用いることが好ましい。
【0016】本発明の水溶性しごき成形用潤滑剤原液組
成物としては、上記(A)と(B)とのエステルの含有
量は任意であるが、加工性の点から下限値が原液組成物
全量基準で3質量%、好ましくは5質量%、より好まし
くは10質量%であることが望ましく、また、希釈安定
性、脱脂性、排水処理性の点から上限値が90質量%、
好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%であ
ることが望ましい。
【0017】本発明の水溶性しごき成形用潤滑剤原液組
成物は、上記(A)と(B)とのエステルを含有してい
れば、その他の成分については任意であるが、希釈安定
性、洗浄性、脱脂性の点から、界面活性剤を、しごき成
形用潤滑剤原液組成物全量基準で、3〜80質量%、好
ましくは5〜80質量%含んでいることが望ましい。本
発明において用いられる界面活性剤としては、アニオ
ン、ノニオン、カチオン系等の界面活性剤が挙げられ
る。アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、石油ス
ルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル
ナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ア
ルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキ
レンアルキルまたはアルキルアリル硫酸エステル塩、ナ
フタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、硫酸化油(ロー
ト油など)等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤とし
ては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオ
キシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシア
ルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキ
レンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレ
ンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙
げられる。カチオン系の界面活性剤としては、アルキル
アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、
アミンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも特
に、希釈安定性に優れる点から、アニオン、ノニオン系
の界面活性剤、およびその混合物が望ましい。
【0018】また、本発明において、水溶性しごき成形
用潤滑剤原液組成物は、必要に応じて適宜各種添加剤、
例えば、カルボン酸、油脂類、極圧添加剤、各種アミ
ン、アルコール、防錆剤、消泡剤、非鉄金属防食剤、酸
化防止剤、防腐剤、金属封鎖剤等を配合することができ
る。これらの中で代表的なものを挙げると、上記カルボ
ン酸としては、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸が挙
げられ、一塩基酸でも二塩基酸でも良く、直鎖のもので
も分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のも
のでも良い。このようなカルボン酸としては、具体的に
は例えば、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、パルミチン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の飽
和カルボン酸などが、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、リシノレイン酸等の不飽和カルボン酸などが挙げ
られる。油脂類としては、牛脂、豚脂、ナタネ油、大豆
油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、及びこれらの水素添加
物等が挙げられる。極圧添加剤としては、塩素化パラフ
ィン、塩素化脂肪酸、硫化脂肪油、ポリスルフィド、ア
ルキルリン酸エステル等が挙げられる。各種アミンとし
ては、アルカノールアミン、アルキルアミン等が挙げら
れ、アルコールとしては、炭素数10〜18の直鎖もし
くは分岐アルコールまたは各種グリコール等が挙げられ
る。防錆剤としては、脂肪族アミド、芳香族カルボン酸
等が挙げられる。消泡剤としてはシリコーン系化合物等
が、非鉄金属防食剤としてはベンゾトリアゾール系化合
物等が、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤
等が、防腐剤としては、チアゾール系、イソチアゾール
系、フェノール系、ハロゲン系添加剤等が、金属封鎖剤
としてはエチレンジアミン四酢酸塩等がそれぞれ挙げら
れる。
【0019】また、本発明の水溶性しごき成形用潤滑剤
原液組成物は、水を配合することができる。この際に用
いられる水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水な
ど任意のものが使用可能である。水を配合する場合の含
有量は任意であるが、通常しごき成形用潤滑剤原液組成
物全量基準で70質量%以下、好ましくは60質量%以
下であることが望ましい。本発明において、水溶性しご
き成形用潤滑剤原液組成物は水で希釈してしごき成形用
潤滑剤として用いられるが、その際の希釈率については
なんら制限はない。しかしながら、優れた加工性、洗浄
性、脱脂性をより発揮させるために、水溶性しごき成形
用潤滑剤全量を基準として、原液組成物が0.5〜30
質量%、好ましくは1〜20質量%となるように水で希
釈することが望ましい。ここで、希釈する際に用いられ
る水としては、任意のものが使用可能であり、具体的に
は例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水な
どが使用可能である。
【0020】上記水溶性しごき成形用潤滑剤原液組成物
は、水で希釈すれば必要な洗浄性、脱脂性を示すが、当
該組成物の水による希釈時の平均粒子径が1μm以下、
好ましくは、0.7μm以下、さらに好ましくは0.5
μm以下であるときにさらに優れた洗浄性、脱脂性を示
し、かつ希釈安定性がさらに向上し、より安定した操業
が望めるようになる。希釈時の平均粒子径は、レーザー
回折及び/または光散乱法を利用した装置、例えば大塚
電子製 粒度分布測定装置 LPA3000/LPA3
100等で測定することができる。
【0021】なお、本発明の水溶性しごき成形用潤滑剤
原液組成物において、鉱油、合成炭化水素油や合成エス
テルなどの合成油を含有させた場合、洗浄性、脱脂性に
悪影響を及ぼす場合があることから、これら鉱油、合成
油を含まないことが好ましい。
【0022】本発明の水溶性しごき成形用潤滑剤原液組
成物は、金属板を40℃における動粘度が5〜70mm
2/sの不水溶性の絞り成形用潤滑剤を用いて絞り成形
し、次いでしごき成形または再絞り・しごき成形してD
I缶を製造する際に用いられる水溶性しごき成形用潤滑
剤の原液組成物である。上記不水溶性絞り成形用潤滑剤
は、40℃における動粘度の上限値が、70mm2
s、好ましくは50mm2/s、より好ましくは40m
2/s、下限値が5mm2/s、好ましくは7mm2
s、より好ましくは10mm2/sである必要がある。
40℃における動粘度が、70mm2/sを越える場合
は、カップの張り付き、スリップ、しわ、耳等の発生の
原因となり好ましくない。また、40℃における動粘度
が5mm2/sに満たない場合は、加工性が不十分とな
り、カップの破断が起こる可能性があり好ましくない。
また、上記絞り成形用潤滑剤は、不水溶性のものであ
り、実質的に水を含まないものであることが必要であ
る。ここで、実質的に水を含まないものであるとは、使
用時に水で希釈することがなく、構成成分として水を含
まず、さらに吸湿などによる水分量が潤滑剤全量基準で
1質量%以下であることを表す。乳化液型潤滑剤等の水
を含むものを用いた場合には、成形条件を変えた際にプ
レートアウト性および加工性が低下する可能性があり、
これに対応するための潤滑剤の処方変更が必要となって
作業効率が低下し好ましくない。本発明において、不水
溶性絞り成形用潤滑剤としては上記粘度範囲にあれば任
意のものが使用可能である。基油としては、鉱油、合成
油および油脂の何れも使用できる。
【0023】絞り成形用潤滑剤に使用可能な鉱油系基油
を例示すれば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得ら
れた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素
化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗
浄、白土処理等の1種もしくは2種以上の精製手段を適
宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系またはナ
フテン系の鉱油を挙げることができる。また、油脂系基
油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、
ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素
添加物などが挙げられる。また、合成油系基油として
は、例えば、ポリオレフィン(エチレン−プロピレン共
重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デ
センオリゴマーなど)およびこれらの水素化物、アルキ
ルベンゼン、アルキルナフタレン、エステル、ポリオキ
シアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジア
ルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレ
ジルフォスフェートなど)、含フッ素化合物(パーフル
オロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィンなど)、シ
リコーン油等が挙げられる。絞り成形用潤滑剤の基油と
しては、上記した基油を単独で用いてもよいし、2種以
上組み合わせてもよい。絞り成形用潤滑剤の基油として
は、上記した中でも、加工性に優れている点から、エス
テルを潤滑剤全量基準で5質量%以上、好ましくは10
質量%以上、より好ましくは20質量%以上含んでいる
ことが望ましい。
【0024】上記エステルを構成するアルコールとして
は、一価アルコールでも多価アルコールでも良く、酸と
しては一塩基酸でも多塩基酸であっても良い。1価アル
コールとしては、通常炭素数1〜24、好ましくは1〜
12、より好ましくは1〜8のものが用いられ、このよ
うなアルコールとしては直鎖のものでも分岐のものでも
よい。炭素数1〜24のアルコールとしては、具体的に
は例えば、メタノール、エタノール、直鎖または分岐の
プロパノール、直鎖または分岐のブタノール、直鎖また
は分岐のペンタノール、直鎖または分岐のヘキサノー
ル、直鎖または分岐のヘプタノール、直鎖または分岐の
オクタノール、直鎖または分岐のノナノール、直鎖また
は分岐のデカノール、直鎖または分岐のウンデカノー
ル、直鎖または分岐のドデカノール、直鎖または分岐の
トリデカノール、直鎖または分岐のテトラデカノール、
直鎖または分岐のペンタデカノール、直鎖または分岐の
ヘキサデカノール、直鎖または分岐のヘプタデカノー
ル、直鎖または分岐のオクタデカノール、直鎖または分
岐のノナデカノール、直鎖または分岐のイコサノール、
直鎖または分岐のヘンイコサノール、直鎖または分岐の
ドコサノール、直鎖または分岐のトリコサノール、直鎖
または分岐のテトラコサノール、およびこれらの混合物
などが挙げられる。多価アルコールとしては、通常2〜
10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜
10価の多価アルコールとしては、具体的には例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール(エチレングリコールの3〜15量
体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコール
の3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2
−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−
ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4
−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、
ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグ
リセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなど)、
トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)およ
びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトールおよびこ
れらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、
1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサ
ントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソ
ルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合
物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マン
ニトールなどの多価アルコール;キシロース、アラビノ
ース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトー
ス、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオ
ース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シ
ュクロースなどの糖類、およびこれらの混合物等が挙げ
られる。これらの中でも特に、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレ
ングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−
プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオ
ール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグ
リセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン
など)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリ
オール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6
−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロ
ール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセ
リン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトー
ル、マンニトールなどの2〜6価の多価アルコール、お
よびこれらの混合物等がより好ましい。さらに好ましく
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ソルビタン、およびこれらの混合物等である。
【0025】一塩基酸としては、通常炭素数6〜24の
脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、直鎖
のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不
飽和のものでも良い。炭素数6〜24の脂肪酸として
は、具体的には例えば、直鎖状または分岐状のヘキサン
酸、直鎖状または分岐状のヘプタン酸、直鎖状または分
岐状のオクタン酸、直鎖状または分岐状のノナン酸、直
鎖状または分岐状のデカン酸、直鎖状または分岐状のウ
ンデカン酸、直鎖状または分岐状のドデカン酸、直鎖状
または分岐状のトリデカン酸、直鎖状または分岐状のテ
トラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン酸、
直鎖状または分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状または分
岐状のヘプタデカン酸、直鎖状または分岐状のオクタデ
カン酸、直鎖状または分岐状のノナデカン酸、直鎖状ま
たは分岐状のイコサン酸、直鎖状または分岐状のヘンイ
コサン酸、直鎖状または分岐状のドコサン酸、直鎖状ま
たは分岐状のトリコサン酸、直鎖状または分岐状のテト
ラコサン酸などの飽和脂肪酸、または、直鎖状または分
岐状のヘキセン酸、直鎖状または分岐状のヘプテン酸、
直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状または分岐状
のノネン酸、直鎖状または分岐状のデセン酸、直鎖状ま
たは分岐状のウンデセン酸、直鎖状または分岐状のドデ
セン酸、直鎖状または分岐状のトリデセン酸、直鎖状ま
たは分岐状のテトラデセン酸、直鎖状または分岐状のペ
ンタデセン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン酸、
直鎖状または分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状または分
岐状のオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のノナデセ
ン酸、直鎖状または分岐状のイコセン酸、直鎖状または
分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状または分岐状のドコセ
ン酸、直鎖状または分岐状のトリコセン酸、直鎖状また
は分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸、および
これらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、特に
炭素数8〜20の飽和脂肪酸、または炭素数8〜20の
不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物等が好ましい。多
塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸およびトリ
メリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸
としては、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽
和のものでも不飽和のものでもよい。具体的には例え
ば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状または分岐状の
ブタン二酸、直鎖状または分岐状のペンタン二酸、直鎖
状または分岐状のヘキサン二酸、直鎖状または分岐状の
ヘプタン二酸、直鎖状または分岐状のオクタン二酸、直
鎖状または分岐状のノナン二酸、直鎖状または分岐状の
デカン二酸、直鎖状または分岐状のウンデカン二酸、直
鎖状または分岐状のドデカン二酸、直鎖状または分岐状
のトリデカン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン
二酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン二酸、直鎖状
または分岐状のヘキサデカン二酸などの飽和二塩基酸、
直鎖状または分岐状のブテン二酸、直鎖状または分岐状
のペンテン二酸、直鎖状または分岐状のヘキセン二酸、
直鎖状または分岐状のヘプテン二酸、直鎖状または分岐
状のオクテン二酸、直鎖状または分岐状のノネン二酸、
直鎖状または分岐状のデセン二酸、直鎖状または分岐状
のウンデセン二酸、直鎖状または分岐状のドデセン二
酸、直鎖状または分岐状のトリデセン二酸、直鎖状また
は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状または分岐状のペ
ンタデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン二
酸などの不飽和二塩基酸、およびこれらの混合物等が挙
げられる。
【0026】また、アルコールと酸との組み合わせとし
ても、 一価アルコールと一塩基酸とのエステル 多価アルコールと一塩基酸とのエステル 一価アルコールと多塩基酸とのエステル 多価アルコールと多塩基酸とのエステル 一価アルコール、多価アルコールの混合物と多塩基酸
との混合エステル 多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸との混合物との
混合エステル 一価アルコール、多価アルコールとの混合物と一塩基
酸、多塩基酸との混合エステル など、任意の組み合わせが可能である。なお、アルコー
ル成分として多価アルコールを用いた場合、多価アルコ
ール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルで
も良く、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のまま
で残っている部分エステルであっても良い。また、酸成
分として多塩基酸を用いた場合、多塩基酸中のカルボキ
シル基全てがエステル化された完全エステルでも良く、
カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル
基のままで残っている部分エステルであっても良い。絞
り成形用潤滑剤の基油としては、加工性をより高めると
いう点から、上記、、およびの中から選ばれる
1種または2種以上のエステルを用いることが好まし
い。さらに、この中でも、およびの中から選ばれ
る1種または2種以上のエステルがより好ましく、お
よびの中から選ばれる1種または2種以上のエステル
がさらにより好ましく、のエステルを1種または2種
以上用いることが最も好ましい。
【0027】絞り成形用潤滑剤としては、上記した基油
のみからなるものを用いても良いが、基油に適宜添加剤
を含有させたものを用いてもよい。このような添加剤と
しては、油性剤、極圧剤、腐食防止剤、清浄剤、分散
剤、酸化防止剤、消泡剤等が挙げられる。上記油性剤と
しては、脂肪酸、高級アルコール、アミン、アミド等が
挙げられる。上記極圧剤としては、トリクレジルフォス
フェート等のりん系化合物、硫化油脂、ポリサルファイ
ド等の硫黄系化合物、塩素化パラフィン等の塩素系化合
物、亜鉛ジアルキルジチオフォスフェート、モリブデン
ジアルキルジチオフォスフェート、亜鉛ジアルキルジチ
オカルバメート、モリブデンジアルキルジチオカルバメ
ート等の有機金属化合物等が挙げられる。上記腐食防止
剤としては、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチ
アゾール、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、トリルトリアゾール等が挙げられる。上記清浄剤と
しては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属スルフォ
ネート、アルカリ金属またはアルカリ土類金属サリシレ
ート、アルカリ金属またはアルカリ土類金属フェネー
ト、脂肪酸石けん等が挙げられる。上記分散剤として
は、アルケニルコハク酸イミド(ほう酸変性させたもの
も含む)、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。上記
酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−
p−クレゾール(DBPC)等のフェノール化合物、フ
ェニル−α−ナフチルアミンなどの芳香族アミン等が挙
げられる。上記消泡剤としては、シリコン系化合物、高
級アルコール、金属石けん、アミド、エチレン−プロピ
レンコポリマー等が挙げられる。これら添加剤の含有量
は、それぞれ5質量%以下、好ましくは1質量%以下
(いずれも絞り成形用潤滑剤全量基準)であることが望
ましい。
【0028】本発明において、加工される金属として
は、アルミニウム、アルミニウム合金(アルミニウム−
マンガン合金等)、鋼板、表面処理鋼板(亜鉛メッキ鋼
板、錫メッキ鋼板)等が挙げられる。
【0029】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらに何等限定さ
れるものではない。
【0030】まず、表1の試料1〜4の各欄に示す配合
割合に従って、本発明に係るしごき成形用潤滑剤原液組
成物(試料1〜3)および比較のためのしごき成形用潤
滑剤原液組成物(試料4)の各試料を調製した。
【表1】
【0031】次に、これら調製した各試料と以下に示す
絞り成形用潤滑剤(試料5〜16)とを表2の実施例1
〜11および比較例1〜5の各欄に示す組み合わせで用
いて、下記に示す方法(DI缶製造方法)により内容積
350mlのDI缶を製造した。絞り成形用潤滑剤 試料 5:パラフィン系鉱油、@40℃ 2mm2/s 試料 6:パラフィン系鉱油、@40℃ 6mm2/s 試料 7:パラフィン系鉱油、@40℃ 23mm2
s 試料 8:パラフィン系鉱油、@40℃ 76mm2
s 試料 9:ネオペンチルグリコールジオレート、@40
℃ 21mm2/s 試料10:ペンタエリスリトールテトラオレート、@4
0℃ 64mm2/s 試料11:5と9の混合物(90:10、重量比)、@
40℃ 2.3mm2/s 試料12:6と9の混合物(90:10、重量比)、@
40℃ 6.7mm2/s 試料13:7と9の混合物(90:10、重量比)、@
40℃ 22.8mm2/s 試料14:7と10の混合物(45:55、重量比)、
@40℃ 39.1mm2/s 試料15:8と10の混合物(90:10、重量比)、
@40℃ 74.7mm2/s 試料16:9と10の混合物(60:40、重量比)、
@40℃ 32.0mm2/s
【0032】DI缶製造方法 直径120mmのアルミニウム合金板(JIS H
4000 3004−H19)に絞り成形用潤滑剤を塗
布した後、下記に示す条件(絞り成形条件)下で直径6
6mmのカップ状物となるように絞り成形を行った。絞り成形条件 ポンチ直径:66.00mm 絞りダイス直径:66.81mm しわ押さえ力:1000kgf 絞り成形速度:82m/min で得られたカップ状物をポンチにはめ込み、しごき
成形用潤滑剤原液組成物を水で30倍(重量比)に希釈
した潤滑剤を用いて、下記に示す条件(しごき成形条
件)下でしごき成形を行った。しごき成形条件 ポンチ直径:66.00mm 第1しごきダイス直径:66.63mm 第2しごきダイス直径:66.43mm 第3しごきダイス直径:66.32mm 第4しごきダイス直径:66.24mm しごき成形速度:82m/min
【0033】このようにして製造されたDI缶の評価を
絞り成形性、しごき成形性および洗浄性について行い、
その評価結果を表2に示した。なお、各評価方法は次の
通りである。絞り成形性 で得られたカップ状物の外観を目視で観察した。な
お、評価は以下の2段階で行った。 ○:しわの発生がないもの ×:しわの発生があるものしごき成形性 のしごき成形時の破断の有無、ならびにで得られた
DI缶の開口部および壁面の外観を目視で観察した。な
お、評価は以下の方法で行った。破断の有無 10缶製造したうち、破断が生じなかったものを○、破
断が一つでも生じたものを×とした。開口部 黒傷なしのものを5、開口部全面に黒傷が発生している
ものを0として6段階評価し、製造した10缶の平均値
をとった。壁面 傷がないものを○、傷が発生しているものを×とした洗浄性 で得られたDI缶を、界面活性剤の濃度を種々に変化
させた洗浄液を用いてスプレー洗浄し、洗浄後のDI缶
にさらに蒸留水をスプレー吹き付けし、残存する潤滑剤
の有無を目視で判定した。なお、本評価方法では、缶表
面に潤滑剤が残存している場合にはスプレー吹き付けし
た蒸留水ははじかれる。洗浄液は、日本ペイント(株)
製リドリンNHC100A(主成分:硫酸)および日本
ペイント(株)製リドリンNHC100M(主成分:界
面活性剤)の水溶液を下記に示す組成により調製したも
のを用いた。 洗浄液1:100A:3.8質量%、100M:0.6質量%、残部:水 洗浄液2:100A:3.8質量%、100M:0.4質量%、残部:水
【0034】また、しごき成形用潤滑剤原液組成物の各
試料(1〜4)の評価を排水処理性について行い、その
評価結果を表2の右欄に示した。なお、排水処理性の評
価方法は次ぎの通りである。排水処理性 原液組成物の各試料を蒸留水で500質量ppmに希釈
した試料液について、以下の方法により排水処理操作を
行い、排水水処理前と排水処理後のCODをそれぞれ測
定し、その低減率((排水処理前のCOD−排水処理後
のCOD)/排水処理前のCOD、%)を求めた。結果
を表2に示す。なお、CODはJISH 0102「工
場排水試験方法」の17.「100℃における過マンガ
ン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)」に準拠し
て測定した。排水処理操作 試料液1000mlに、水道水用ポリ塩化アルミニウム
(JIS K 1475相当品)を400質量ppmと
なるように添加して、120rpmで10分間攪拌し、
その後試料液のpHが7となるように水酸化カルシウム
を添加して120rpmで15分間攪拌した。攪拌後、
高分子凝集剤を2質量ppmとなるように添加してさら
に、120rpmで5分間攪拌した。その後、No.5
Aろ紙によりろ過を行い、ろ液についてCODを測定し
た。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果から明らかなように、本発明に
係る水溶性しごき成形用潤滑剤原液組成物を用いてDI
缶を製造した場合には、いずれも絞り成形性、しごき成
形性および洗浄性に優れている。特に、絞り成形用潤滑
剤の基油として、エステルを用いた実施例7、8、9、
10および11においては、しごき成形後の黒傷の発生
が特に少ないことが判る。これに対して、本発明で規定
するエステルの代わりにポリオキシアルキレンモノエー
テルを含有させたしごき成形用潤滑剤原液組成物を用い
た場合(比較例1)には、しごき成形性が劣ることが判
る。また、本発明で規定するよりも低粘度の絞り成形用
潤滑剤を用いた場合(比較例2および4)、しごき成形
の際に本発明に係るしごき成形用潤滑剤原液組成物を用
いたとしても、しごき成形性に劣ることが判る。また、
本発明で規定するよりも高粘度の絞り成形用潤滑剤を用
いた場合(比較例3および5)、しごき成形の際に本発
明に係るしごき成形用潤滑剤原液組成物を用いたとして
も、絞り成形性およびしごき成形性に劣ることが判る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、品
位の高いDI缶を製造することができると共に、排水処
理性の向上を達成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10N 40:24 80:00 (72)発明者 横田 秀雄 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 遠藤 和彦 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 亀塚 大 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 金井 亮 東京都港区西新橋一丁目3番12号 日本石 油株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板を40℃における動粘度が5〜7
    0mm2/sの不水溶性の絞り成形用潤滑剤を用いて絞
    り成形し、次いで水溶性しごき成形用潤滑剤を用いてし
    ごき成形または再絞り・しごき成形してDI缶を製造す
    る際に用いられる水溶性しごき成形用潤滑剤の原液組成
    物であって、(A)平均分子量300〜20000のポ
    リオキシアルキレンおよび/またはそのモノアルキルエ
    ーテルと(B)炭素数6〜24の脂肪酸とのエステルが
    含まれることを特徴とする水溶性しごき成形用潤滑剤原
    液組成物。
  2. 【請求項2】 上記ポリオキシアルキレンが、(1)プ
    ロピレンオキシドの単独重合体または(2)共重合体中
    のプロピレンオキシドの比率が10質量%以上であるエ
    チレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体である
    請求項1記載の原液組成物。
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