JPH1087608A - イソカルバサイクリン誘導体 - Google Patents

イソカルバサイクリン誘導体

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JPH1087608A
JPH1087608A JP8243122A JP24312296A JPH1087608A JP H1087608 A JPH1087608 A JP H1087608A JP 8243122 A JP8243122 A JP 8243122A JP 24312296 A JP24312296 A JP 24312296A JP H1087608 A JPH1087608 A JP H1087608A
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恭良 渡辺
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篤夫 羽里
Yumiko Watanabe
由美子 渡辺
Masaaki Suzuki
正昭 鈴木
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Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中枢神経系のプロスタサイクリン受容体のプ
ローブ等として有用な、新規なイソカルバサイクリン誘
導体と、その 3H,11C,14C標識化合物を提供する。 【解決手段】 次式 【化1】 (R1 は水素原子、アルキル基または1当量のカチオ
ン、R2 はアルキレン気、R3 は水素原子またはメチル
基を示す)で表わされるイソカルバサイクリン誘導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、イソカルバサイ
クリン誘導体とその製造法に関するものである。さらに
詳しくは、この発明は、脳内におけるプロスタサイクリ
ン受容体の機能探索、特に単離されていない新たな中枢
型プロスタサイクリン受容体のフォトアフィニティーラ
ベル化のプローブとしての役割や、中枢神経系における
プロスタサイクリン誘導体の適応領域の特定等において
有用な、新規イソカルバサイクリン誘導体とその製造
法、そして同位体元素によって標識したイソカルバサイ
クリン誘導体化合物等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、プロスタグランジン類は、強
い血小板凝集抑制作用、血管拡張性血圧降下作用、胃酸
分泌抑制作用、平滑筋収縮作用、細胞保護作用、利尿作
用等多彩な生理活性を有しており、心筋梗塞、狭心症、
動脈硬化、高血圧症、十二指腸潰瘍、分娩誘発、中絶等
の治療または予防に有用な化合物であることが知られて
いる。
【0003】ところで天然プロスタサイクリンは、生体
内において、主として血管内皮で産生される局所ホルモ
ンであり、その強力な生理活性、例えば血小板凝集抑制
作用、血管拡張作用等を利用して、このものを直接医薬
品として供する試みが行われてきた(P.J.Lewis, J.O.G
rady, Clinical Pharmacology of Prosutaglangin)。し
かしながら、天然プロスタサイクリンは分子内に加水分
解されやすいエノールエーテル結合を有するために、中
性または酸性条件下で容易に失活してしまうという問題
がある。従って、医薬品としてはその化学的不安定性の
ために好ましい化合物とは云えない。このために天然プ
ロスタサイクリンと同様の活性を示し、化学的に安定な
プロスタサイクリン誘導体の合成研究が鋭意行われてき
た(Synthesis, 1984,449)。その課程におい
て、プロスタサイクリンの6,9位の酸素原子をメチレ
ン基(−CH=)に置き換えることにより、化学的安定
性を充分に満足するプロスタサイクリンである9(O)
−メタノ−Δ6(9 α )−プロスタグラジンI1 類(イソ
カルバサイクリン類)が合成された(特開昭59−21
0044号参照)。
【0004】このようにプロスタサイクリン誘導体の合
成研究が進むなかで、プロスタサイクリンの受容体に関
する研究も精力的に行われてきた。プロスタサイクリン
の受容体はその生理活性から主に血管や血小板などに存
在し、循環器作用の調節に重要な役割を担っているもの
とされてきた。一方脳に関しては、PGD2 ,PG
2 、PGF2 α以外にもPGI2 やTXA2 の存在が
知られていた。しかしながらこの両者は、脳神経系にお
ける作用とともに、脳実質細胞で産生されるか否かもあ
まり明らかで無く、脳内の血管や血小板に由来するもの
と考えられてきた。これに対し、1985年、Kellerら
(Neurochem Int 7:655−665,1985)によ
り、一次培養細胞アストログリア細胞が上記3者のPG
以外にPGI2 やTXA2 の代謝物を多く産生すること
が明らかとなった。また、渡辺ら(Neurosci. Res.1
6,(Suppl) S21,1991)は、ラベル化されたプ
ロスタサイクリン誘導体(〔 3H〕iloprost-Schering)
を用いたニホンザル脳半球の大冠状切片でのin vitroオ
ートラジオグラフィー評価を行った結果、プロスタサイ
クリン結合部位を線条体、扁桃核、海馬、大脳皮質の一
部に見いだした。またここで見いだされた〔 3H〕ilop
rostの結合部位は〔 3H〕PGE2 の結合部位とは局在
が異なり、また、PGE2 とPGE1 が同一の受容体を
認識することが明らかになっている。血小板では、ilop
rostの結合部位はPGE1 とも反応し、PGE2 の受容
体とは全く異なることが知られている。以上の経緯から
も、中枢神経系での新たなPGI2 受容体の存在がクロ
ーズアップされている。さらに、iloprostの神経系の作
用としては、ドーパミンD1 受容体結合阻害、鎮静、抗
けいれん、抗低酸素(低酸素での延命効果)やアンフェ
タミンで拮抗される脳波の同期化誘導作用などが知られ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】たとえば以上のよう
に、従来は、プロスタサイクリン誘導体についての検討
の目的は、その強力な生理活性、例えば血小板凝集抑制
作用、血管拡張作用等を利用した循環器領域に対する医
薬品の開発が主たるものであった。しかしながらこのよ
うな作用はこれら化合物を中枢神経系に適用しようとし
た場合には副作用となるという問題があった。そこでこ
の発明の発明者らは上述した諸点に着目し、脳内のプロ
スタサイクリン受容体についての検討を課題とし、まず
なによりも、その受容体に対するプローブ、その受容体
取得のためのフォトアフィニティーラベル用化合物、あ
るいは中枢神経系医薬品として有用な9(O)−メタノ
−Δ6( 9 α) −プロスタグランジンI1 類(イソカルバ
サイクリン類)に着目してきた。
【0006】すなわち、この発明は、以上の通りの事情
からなされたものであって、従来の技術知識の限界を越
えて、脳内におけるプロスタサイクリン受容体の機能探
索研究に有用なばかりでなく、中枢神経系におけるプロ
スタサイクリン誘導体の適用領域特定に関しても有用な
化合物である、新規なイソカルバサイクリン誘導体とそ
の製造法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決する目的のために下記式〔I〕
【0008】
【化6】
【0009】〔式中、R1 は水素原子、アルキル基また
は1当量のカチオンを示し、R2 はアルキレン基を示
し、R3 は水素原子またはメチル基を示す。〕で表され
るイソカルバサイクリン誘導体を提供する。そしてま
た、この発明は、上記式〔I〕の化合物の製造法をも提
供する。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明は、上記のとおりの式
〔I〕で表わされる新規なイソカルバサイクリン誘導体
とその製造法を提供するものであるが、以下に詳しく発
明の実施の形態について説明する。化合物の構造 上記式〔I〕において、R1 は水素原子、直鎖状あるい
は分岐状のアルキル基または1当量のカチオンを示すも
のであるが、このうちアルキル基としては炭素数1〜5
の低級アルキル基がより具体的に例示され、たとえば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピ
ル基,n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基,n−ペンチル基等を挙げることができる。なか
でも炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。1当量のカ
チオンとしては、例えば、Na+、K+ 、などのアルカ
リ金属カチオン;1/2Ca2+、1/2Mg2+、1/3
Al3+などの2価もしくは3価の金属カチオン;アンモ
ニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオンなどの
アンモニウムイオンが挙げられる。そして、このR 1
しては、特に、水素原子、メチル基が好ましいものとし
て挙げることができる。
【0011】また上記〔I〕におけるR2 のアルキレン
基としては、直鎖状あるいは分岐状のアルキレン基、た
とえば−(CH2 n −(nは1〜4の数を表す)で表
されるものを例示することができ、このうち、好ましく
はnが1である。また、上記式〔I〕において、オメガ
鎖上のトリル基上のR3 は水素原子かメチル基を示す
が、R3 が水素原子を表す場合、アジド基の置換位置は
前記R2 に対してメタ位が好ましく、一方、R3 メチル
基の場合、その置換位置はメタ位が好ましく、アジド基
の置換位置はもう一方のメタ位が好ましい。
【0012】さらに、上記式〔I〕で表されるイソカル
バサイクリン類の8位、9位、11位、12位、15位
の立体配置は天然プロスタサイクリンと同一である。ま
た15位はR体、S体いずれの立体配置でもかまわない
が、特に、R体が好ましく、この立体配置を有するもの
が特に有用な異性体である。ただし、この発明に関わる
イソカルバサイクリン誘導体は、こうした立体配置であ
るもの、またはその鏡像体、あるいはそれらの不斉炭素
に由来するすべての異性体を含むものである。
【0013】この発明においてイソカルバサイクリン誘
導体の好ましい具体例を挙げれば、次のとおりである。 (1)16−(3−アジド−5−メチル)−17,1
8,19,20−テトラノル−9(O)−メタノ−Δ
6(9 α )−プロスタグランジンI1 (2)16−(3−アジド)−17,18,19,20
−テトラノル−9(O)−メタノ−Δ6(9 α )−プロス
タグランジンI1 (3)17−(3−アジド−5−メチル))−18,1
9,20−テトラノル−9(O)−メタノ−Δ6(9 α )
−プロスタグランジンI1 (4)(1)〜(3)のメチルエステル (5)(1)〜(3)の15R体 もちろん、この発明は、これらに限定されるものではな
い。製造法 そして、上記式〔I〕で表されるこの発明のイソカルバ
サイクリン誘導体は次のようにして製造される。
【0014】すなわち、下記式〔II〕
【0015】
【化7】
【0016】〔式中、R2 はアルキレン基を示し、R3
は水素原子またはメチル基を示す〕で表されるHorner-E
mmons 試薬と下記式〔III 〕
【0017】
【化8】
【0018】〔式中、R4 は炭素数1〜5の低級アルキ
ル基を示し、R5 は水素原子またはテトラヒドロピラニ
ル基を示す。〕で表される化合物を塩基の存在下に反応
させ、必要に応じて水酸基の保護基を脱保護し、下記式
〔IV〕
【0019】
【化9】
【0020】〔式中、R2 、R3 およびR4 は上記定義
に同じである。〕で表される化合物に変換し、ついで還
元反応、さらに必要に応じた加水分解反応に付すことを
特徴とする下記式〔I〕
【0021】
【化10】
【0022】〔式中、R1 は水素原子、アルキル基また
は1当量のカチオンを示し、R2 はアルキレン基を示
し、R3 は水素原子またはメチル基を示す。〕で表され
るイソカルバサイクリン誘導体を製造する。上記式〔I
I〕の化合物と上記〔III 〕の化合物との反応について
は、〔II〕で表されるホスホネート化合物を、塩基、例
えばNaH,NaNH2 ,LiN(iPr)2 ,CH3
ONaなどで処理した後、〔III 〕で表されるアルデヒ
ド化合物と反応せしめるいわゆるHorner-Emmons 反応
(新実験化学講座 14,p.238;丸善)を行うこ
とにより可能とされる。この際用いられる反応溶媒とし
ては、例えばベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン
(THF)、ジグライム、ジメトキシエタン(DM
E)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが用いら
れる。
【0023】ホスホネート化合物〔II〕に対しては、塩
基は0.1〜10倍当量、好ましくは0.9〜1.4倍
当量、アルデヒド化合物〔III 〕は0.1〜10倍当
量、好ましくは0.9〜1.4倍当量用いればよい。反
応温度は0℃〜150℃の範囲で行われ、好ましくは1
0℃〜80℃である。反応時間は化合物により異なるが
10分から24時間程度である。反応終了後、抽出やカ
ラムクロマトグラフィー等の通常の処理によって前記化
合物〔IV〕が得られる。原料となるアルデヒド体〔III
〕は、下記反応式Aに示すように、例えばイソカルバ
サイクリンメチルエステル(1)のシャープレス(Sharp
less) 酸化、水酸基のアセチル化、エポキシの開裂、脱
アセチル化によりテトラオール体(4)に変換し、この
ものをNaIO4 による酸化的開裂によってアルデヒド
体(5)とすることができる。
【0024】
【化11】
【0025】Horner-Emmons 反応にはアルデヒド体を直
接用いてもよいが、化合物(4)の酸化によって系内に
生じたアルデヒド体(5)をそのまま単離せずに用いて
もよい。一方、前記式〔II〕のHorner-Emmons 試薬は、
相当するエステル化合物より、例えば反応式Bに示すル
ートにて合成することができる。
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】
【化14】
【0029】たとえば以上のようにして原料合成された
式〔II〕の化合物と式〔III 〕の化合物とのHorner-Emm
ons 反応によって、前記式〔IV〕で表される化合物が得
ることができる。この化合物〔IV〕は次いで還元反応に
付し、必要に応じて加水分解反応に付すことができる。
還元反応はそれ自体公知の方法で行うことができる。還
元反応の試薬としては、金属水素錯化合物が用いられ
る。かかる金属水素錯化合物は、水素化アルミニウム錯
化合物、水素化ホウ素錯化合物が挙げられる。水素化ア
ルミニウム錯化合物としては、水素化アルミニウムリチ
ウム、水素化ジエトキシアルミニウムリチウム、水素化
トリ−t−ブトキシアルミニウムリチウム、水素化アル
ミニウムマグネシウム、水素化アルミニウム塩化マグネ
シウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化トリエ
トキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メト
キシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられ
る。水素化ホウ素錯化合物としては、水素化ホウ素ナト
リウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウム、硫化水
素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウ
ム、水素化ホウ素リチウム、シアン化水素化ホウ素リチ
ウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ホウ素
カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜
鉛、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム等が挙げら
れる。還元反応の試薬としては、これら金属水素錯化合
物のうち、水素化ホウ素錯化合物が好ましく、特に、水
素化ホウ素ナトリウムが好ましいものとして例示され
る。
【0030】水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元反応
は塩化ランタニド類存在下でおこなうのが好ましい。か
かる塩化ランタニド類としては三塩化セリウム、三塩化
サマリウム、三塩化ユーロピウム等が挙げられ、特に、
三塩化セリウムが好ましく用いられる。還元反応は、上
記式〔IV〕で表される合成中間体1当量に対し、金属水
素錯化合物が発生しうる水素化物イオンにして1当量か
ら100当量、好ましくは1〜50当量の範囲でおこな
われる。水素化ホウ素ナトリウムとともに用いられる塩
化ランタニド類は、水素化ホウ素ナトリウム1当量に対
して、塩化ランタニド類0.2〜50当量、好ましくは
0.5〜10当量用いられる。
【0031】反応溶媒は、用いる還元反応試薬によって
異なるが、通常メタノール、エタノール、2−プロパノ
ール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;テトラ
ヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメト
キシエタン、ジグライム等のエーテル類;ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホ
リックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;水、アセ
トニトリル等を単一あるいは任意の割合に混合して用い
る。好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノ
ール、t−ブチルアルコール等のアルコール類が用いら
れ、特にメタノールが好ましい。
【0032】還元反応の反応温度は、用いる試薬、反応
溶媒によって異なるが、好ましくは−10℃から100
℃、特に好ましくは20℃〜50℃の範囲である。還元
反応の反応時間は使用する試薬、反応溶媒、反応温度に
よって異なるが、通常5時間以内の範囲でおこなわれ、
好ましくは1分〜1時間の範囲である。エステル類の加
水分解反応は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムの水溶液もしく
は水−アルコール混合溶媒、あるいはナトリウムメトキ
シド、カリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナト
リウムエトキシドを含むメタノール、エタノール溶液中
で加水分解せしめることにより実施することができる。
【0033】目的物の単離精製は通常の方法、すなわ
ち、抽出、クロマトグラフィー等の一般的な手段によっ
て行うことができる。作用 以上、詳しく説明したとおりの製造法によって提供され
るこの発明のイソカルバサイクリン誘導体は脳内の視床
や線条体のプロスタサイクリン受容体(ここで、中枢神
経型という)に強く結合する。また、既に神経結紮実験
などで脳外の組織(末梢神経組織)と考えられる結節核
(Nodus ganglion)で生産されて延髄孤束核へ軸索輸送さ
れているプロスタサイクリン受容体(ここで末梢神経系
という)には、この発明のイソカルバサイクリン誘導体
はあまり結合しない。特筆すべきは、天然のイソカルバ
サイクリンとは15位の立体が反対の15R−16−
(3−アジド−5−メチル)−17,18,19,20
−テトラノルイソカルバサイクリンや15R−16−
(3−アジド)−17,18,19,20−テトラノル
イソカルバサイクリンが脳内の視床のプロスタサイクリ
ン受容体(中枢神経系)に強く結合したことである。従
って、本発明によって提供されるイソカルバサイクリン
誘導体は、脳内、特に中枢神経組織で産生されるプロス
タサイクリン受容体の探索研究に有用であるばかりでな
く、中枢神経系の疾患の治療薬として期待できる有用な
化合物である。
【0034】このような作用の特徴を踏まえ、この発明
では、前記の式〔I〕で表わされるイソカルバサイクリ
ン誘導体について、その任意の位置において、 3H、11
C、または14C標識されていることを特徴とするイソカ
ルバサイクリン誘導体標識化合物をも提供する。この標
識化合物によって、脳内、特に中枢神経組織におけるプ
ロスタサイクリン受容体のフォトアフィニティーラベル
化のプローブとしての役割が果たされ、また、中枢神経
系の疾患の治療への対応が容易となる。
【0035】標識化合物そのものは、サイクロトロン等
の利用によって製造されることになる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例により本発明をさらに
詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例になんら
限定されるものではない。実施例1 <16−(3−アジドフェニル)−15−デヒドロ−1
7,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリ
ンメチルエステルの合成>
【0037】
【化15】
【0038】10mlの丸底フラスコに2−オキソ−3
−(3−アジドフェニル)プロピルホスホン酸ジメチル
(5.3mg,19μmol)の0.4mlDME溶液
を調製した。この溶液にNaH(60% in oi
l,0.8mg,19μmol)を室温で加え、30分
間攪拌し、黄色サスペンジョンを得た。次いで、ここに
メチル−5−{(1S,5S,6R,7R)−6−ホル
ミル−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オ
クテン−3−イル}ペンタノエート(2.4mg,9.
4μmol)の0.4mlDME溶液を滴下し、1.5
時間攪拌した。反応後飽和塩化アンモニウム水溶液(2
ml)と酢酸エチル(1ml)を反応混合物に加え抽出
操作を行った。水層をさらに3回酢酸エチル(1.5m
l×3)で抽出し、あわせた有機層を無水硫酸ナトリウ
ム上で乾燥した。乾燥した有機層を濾別し、減圧下有機
溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(シリカゲル700mg,ヘキサ
ン:酢酸エチル=3:1)に供し、16−(3−アジド
フェニル)−15−デヒドロ−17,18,19,20
−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル
(4.3mg、93%)を淡黄色油状物として得た。
【0039】
【表1】
【0040】実施例2 <16−(3−アジドフェニル)−17,18,19,
20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル
およびその15位のエピマーの合成>
【0041】
【化16】
【0042】10mlのテストチューブに16−(3−
アジドフェニル)−15−デヒドロ−17,18,1
9,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエス
テル(8.1mg、19μmol)の0.8mlメタノ
ール溶液を調製した。この溶液にCeCl3 ・7H2
(9.0mg,24μmol)を室温で加え、この混合
物を0℃に冷却後NaBH4 (1.2mg,32μmo
l)を加え10分間攪拌した。反応混合物を飽和塩化ア
ンモニウム水溶液(1ml)にあけ、このものを5回酢
酸エチル(1ml×5)で抽出した。あわせた有機層を
無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。乾燥した有機層を
濾別し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル
1.5g,ヘキサン:酢酸エチル=3:2,1:2)に
供し、15−エピ−16−(3−アジドフェニル)−1
7,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリ
ンメチルエステル(15R体、低極性、3.9mg,4
8%)および16−(3−アジドフェニル)−17,1
8,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチ
ルエステル(15S体、高極性、4.0mg,49%)
を無色油状物として得た。
【0043】
【表2】
【0044】実施例3 <15−エピ−16−(3−アジドフェニル)−17,
18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンの
合成>
【0045】
【化17】
【0046】10mlのテストチューブに15−エピ−
16−(3−アジドフェニル)−17,18,19,2
0−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル
(1.6mg,3.8μmol)の0.5mlのメタノ
ール溶液を調製した。この溶液にNaOH水溶液(5N
溶液,0.1ml,0.5mmol)を室温で加え12
時間攪拌した。反応混合物を1mlの水で希釈し、Na
HSO4 を加えてpH4に調整した。得られた混合物を
5回酢酸エチル(1ml×5)で抽出し、あわせた有機
層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後濾別し、減圧
下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル700mg,ジ
クロロメタン:メタノール=9:1)に供し、15−エ
ピ−16−(3−アジドフェニル)−17,18,1
9,20−テトラノルイソカルバサイクリン(15R
体、1.5mg,97%)を淡黄色油状物とした得た。
【0047】
【表3】
【0048】同様にして16−(3−アジドフェニル)
−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイ
クリンメチルエステル(1.3mg,3.0μmol)
より16−(3−アジドフェニル)−17,18,1
9,20−テトラノルイソカルバサイクリン(15S
体、1.2mg,95%)を淡黄色油状物とした得た。
【0049】
【化18】
【0050】
【表4】
【0051】実施例4 <16−(3−アジド−5−メチルフェニル)−15−
デヒドロ−17,18,19,20−テトラノルイソカ
ルバサイクリンメチルエステルの合成>
【0052】
【化19】
【0053】10mlの丸底フラスコに2−オキソ−3
−(3−アジド−5−メチルフェニル)プロピルホスホ
ン酸ジメチル(9.8mg,33μmol)の0.5m
lDME溶液を調製した。この溶液にNaH(60%
in oil,1.3mg,33μmol)を室温で加
え、30分間攪拌し、黄色サスペンジョンを得た。次い
で、ここにメチル−5−{(1S,5S,6R,7R)
−6−ホルミル−7−ヒドロキシビシクロ[3.3.
0]−2−オクテン−3−イル}ペンタノエート(3.
9mg,15μmol)の0.5mlDME溶液を滴下
し、1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウ
ム水溶液(1.5ml)を加えて反応を終結させ、次い
で酢酸エチル(1ml)を加えた。有機層を分離し、水
層をさらに3回酢酸エチル(1.5ml×3)で抽出し
た。あわせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、濾別し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生
成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル700mg,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)に供
し、16−(3−アジド−5−メチルフェニル)−15
−デヒドロ−17,18,19,20−テトラノルイソ
カルバサイクリンメチルエステル(5.7mg,85
%)を淡黄色油状物として得た。
【0054】
【表5】
【0055】実施例5 <16−(3−アジド−5−メチルフェニル)−17,
18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメ
チルエステルおよびその15位のエピマーの合成>
【0056】
【化20】
【0057】10mlのテストチューブに16−(3−
アジド−5−メチルフェニル)−15−デヒドロ−1
7,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリ
ンメチルエステル(4.3mg,9.8μmol)の
0.5mlのメタノール溶液を調製した。この溶液にC
eCl3 ・7H2 O(6.7mg,18μmol)を室
温で加え、この混合物を0℃に冷却後NaBH4 (0.
5mg,13μmol)を加え10分間攪拌した。反応
混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(1ml)にあ
け、このものを5回酢酸エチル(1ml×5)で抽出し
た。あわせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し
た。乾燥した有機層を濾別し、減圧下有機溶媒を留去し
た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(シリカゲル0.5g,ヘキサン:酢酸エチル=
3:1,1:1)に供し、15−エピ−16−(3−ア
ジド−5−メチルフェニル)−17,18,19,20
−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル(1
5R体、低極性、2.2mg,50%)および16−
(3−アジド−5−メチルフェニル)−17,18,1
9,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエス
テル(15S体、高極性、2.2mg,50%)淡黄色
油状物とした得た。
【0058】
【表6】
【0059】実施例6 <15−エピ−16−(3−アジド−5−メチルフェニ
ル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバ
サイクリンの合成>
【0060】
【化21】
【0061】10mlのテストチューブに15−エピ−
16−(3−アジド−5−メチルフェニル)−17,1
8,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチ
ルエステル(2.0mg,4.6μmol)の0.5m
lのメタノール溶液を調製した。この溶液にNaOH水
溶液(5N溶液,0.1ml,0.5μmol)を室温
で加え18時間攪拌した。反応混合物を1mlの水で希
釈し、NaHSO4 を加えてpH4に調整した。得られ
た混合物を5回酢酸エチル(1ml×5)で抽出し、あ
わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後濾
別し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50
0mg,ジクロロメタン:メタノール=9:1)に供
し、15−エピ−16−(3−アジド−5−メチルフェ
ニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカル
バサイクリン(15R体、1.9mg,98%)を得
た。
【0062】
【表7】
【0063】同様にして16−(3−アジド−5−メチ
ルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイ
ソカルバサイクリンメチルエステル(1.3mg,3.
0μmol)より16−(3−アジドフェニル)−1
7,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリ
ン(15S体、1.2mg,95%)を得た。
【0064】
【化22】
【0065】
【表8】
【0066】実施例7 <17−(3−アジド−5−メチルフェニル)−15−
デヒドロ−18,19,20−トリノルイソカルバサイ
クリンメチルエステルの合成>
【0067】
【化23】
【0068】10mlのシュレンクチューブにメチル−
5−{(1S,5S,6R,7R)−6−ヒドロキシメ
チル−7−テトラヒドロピラン−2−イルオキシビシク
ロ[3.3.0]−2−オクテン−3−イル}ペンタノ
エート(26.2mg,74.3μmol)の0.8m
lDMSO溶液を調製した。この溶液にトリエチルアミ
ン(104μL,0.743μmol)とSO3 ・ピリ
ジン(55.7mg,0.371μmol)を常温で加
え、混合物を3時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル
(1.0ml)と冷水(1.5ml)にあけ、有機層を
分離し、水層をさらに3回酢酸エチル(1.5ml×
3)で抽出した。あわせた有機層を無水硫酸マグネシウ
ム上で乾燥、濾別し、減圧下有機溶媒を留去しメチル−
5−{(1S,5S,6R,7R)−6−ホルミル−7
−テトラヒドロピラン−2−イルオキシビシクロ[3.
3.0]−2−オクテン−3−イル}ペンタノエート
(22mg)を粗生成物として得た。これをアルゴン気
下におき、精製せずに次の反応に用いた。
【0069】10mlの丸底フラスコに3−オキソ−4
−(3−アジド−5−メチルフェニル)ブチルスルホン
酸ジメチル(59.3mg,0.2μmol)の0.7
mlDME溶液を調製した。この溶液にNaH(60%
in oil,8mg,0.2μmol)を室温で加
え、1時間攪拌し、黄色サスペンジョンを得た。次い
で、ここに先に得られたメチル−5−{(1S,5S,
6R,7R)−6−ホルミル−7−テトラヒドロピラン
−2−イルオキシビシクロ[3.3.0]−2−オクテ
ン−3−イル}ペンタノエート粗生成物(22mg)の
0.7mlDME溶液を滴下し、10時間攪拌した。反
応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液((2ml)を
加えて反応を終結させ、次いで酢酸エチル(1ml)を
加えた。有機層を分離し、水層をさらに3回酢酸エチル
(1ml×3)で抽出した。あわせた有機層を無水硫酸
マグネシウム上で乾燥し、濾別し、減圧下有機溶媒を留
去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(シリカゲル2g,ヘキサン:酢酸エチル=
10:1)に供し、17−(3−アジド−5−メチルフ
ェニル)−15−デヒドロ−11−O−(テトラヒドロ
ピラン−2−イル)−18,19,20−トリノルイソ
カルバサイクリンメチルエステル(27.1mg,8
0.6%)を淡黄色油状物として得た。
【0070】
【表9】
【0071】10mlのテストチューブに得られた17
−(3−アジド−5−メチルフェニル)−15−デヒド
ロ−11−O−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1
8,19,20−トリノルイソカルバサイクリンメチル
エステル(16.6mg,30μmol)の酢酸:TH
F:水=3:2:1(1.2ml)混合溶媒溶液を調製
し、40℃にて26時間攪拌した。室温に冷却後、反応
混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(1ml)と酢酸
エチル(1ml)を加えた。有機層を分離し、水層をさ
らに3回酢酸エチル(1ml×3)で抽出した。あわせ
た有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液ついで飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾別
し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル600
mg,ヘキサン:酢酸エチル=10:1,5:1)に供
し、17−(3−アジド−5−メチルフェニル)−15
−デヒドロ−18,19,20−トリノルイソカルバサ
イクリンメチルエステル(11.3mg,80.8%)
を淡黄色油状物として得た。
【0072】
【表10】
【0073】実施例8 <17−(3−アジド−5−メチルフェニル)−18,
19,20−トリノルイソカルバサイクリンメチルエス
テルおよびその15位のエピマーの合成>
【0074】
【化24】
【0075】10mlのテストチューブに17−(3−
アジド−5−メチルフェニル)−15−デヒドロ−1
8,19,20−トリノルイソカルバサイクリンメチル
エステル(11.2mg,24.8μmol)の1.0
mlのメタノール溶液を調製した。この溶液にCeCl
3 ・7H2 O(11.9mg,29μmol)を室温で
加え、この混合物を0℃に冷却後NaBH4 (1.1m
g,2.9μmol)を加え10分間攪拌した。反応混
合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(1ml)にあけ、
このものを5回酢酸エチル(1ml×5)で抽出した。
あわせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。
乾燥した有機層を濾別し、減圧下有機溶媒を留去した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(シリカゲル0.7g,ヘキサン:酢酸エチル=3:
1,2:1,1:2)に供し、15−エピ−17−(3
−アジド−5−メチルフェニル)−18,19,20−
トリノルイソカルバサイクリンメチルエステル(15R
体、低極性、5.6mg,50%)および17−(3−
アジド−5−メチルフェニル)−18,19,20−ト
リノルイソカルバサイクリンメチルエステル(15S
体、高極性、5.6mg,50%)を無色油状物として
得た。
【0076】
【表11】
【0077】実施例9 <15−エピ−17−(3−アジド−5−メチルフェニ
ル)−18,19,20−トリノルイソカルバサイクリ
ンの合成>
【0078】
【化25】
【0079】10mlのテストチューブに15−エピ−
17−(3−アジド−5−メチルフェニル)−18,1
9,20−トリノルイソカルバサイクリン(5.6m
g,12μmol)の0.7mlのメタノール溶液を調
製した。この溶液にNaOH水溶液(5N溶液,0.1
ml,0.5μmol)を室温で加え18時間攪拌し
た。反応混合物を1mlの水で希釈し、NaHSO4
加えてpH4に調整した。得られた混合物を5回酢酸エ
チル(1ml×5)で抽出し、あわせた有機層を無水硫
酸マグネシウム上で乾燥した後濾別し、減圧下有機溶媒
を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(シリカゲル500mg,ジクロロメタ
ン:メタノール=9:1)に供し、15−エピ−17−
(3−アジド−5−メチルフェニル)−18,19,2
0−トリノルイソカルバサイクリン(15R体、4.5
mg,83%)を得た。
【0080】
【表12】
【0081】同様にして17−(3−アジド−5−メチ
ルフェニル)−18,19,20−トリノルイソカルバ
サイクリン(5.6mg,12μmol)より17−
(3−アジドフェニル)−18,19,20−トリノル
イソカルバサイクリン(15S体、4.5mg,83
%)を得た。
【0082】
【化26】
【0083】
【表13】
【0084】実施例103 H標識16−m−アジドフェニル体および16−m
−アジドトリル体の製造例>16−m−アジドフェニル
−イソカルバサイクリン、および16−m−アジドトリ
ル−イソカルバサイクリンの15−ケト、α−メチルエ
ステル体をそれぞれ前駆体として、常法により、
3 H〕NaBH4 で15−ケト基の還元反応を行い、
15−RS−OH−体の3 H標識混合物を得た。この混
合物をHPLC(条件1、下記に記載)を用いて、15
R−体と15S−体に分離精製し(図1)、それぞれを
分取した。各画分を酢酸エチルで抽出後、合わせた有機
溶媒層を減圧下、有機溶媒を除去した。得られた生成物
をエタノールに溶解し、約1/5量の5N NaOHを
加えて、約4時間加水分解反応を行った。加水分解物
は、さらにHPLCを用いて精製し(条件2、下記に記
載)、この精製画分を上記の抽出・乾固法によりエタノ
ール溶液として保存し、実施例11の実験に供した。 HPLC条件1 カラム:コスモシール5C18(ナカライテスク社)
4.6×250mm 移動相:75% メタノール 流 速:0.7ml/min HPLC条件2 カラム:条件1と同一 移動相:55% アセトニトリル+0.02%酢酸 流 速:1.0ml/min実施例11 <イソカルバサイクリン誘導体のトリチウムラベル15
S−(16−メタ−トリル)−17,18,19,20
−テトラノルイソカルバサイクリンに対するdisplaceme
nt実験>ラット脳から全身生食灌流により血液成分を除
去し、これを凍結して10μm厚の凍結切片を作成し
た。これを50mM Tris/HCl pH7.4,
20mM MgCl2 液中で10nMの、15位にトリ
チウムが入っているトリチウムラベル15S−(16−
メタ−トリル)−17,18,19,20−テトラノル
イソカルバサイクリンおよび種々の濃度のイソカルバサ
イクリン誘導体とともに4℃で2時間Incubationした。
Incubation洗浄後、乾燥を行い、切片のオートラジオグ
ラフィーのフィルムを作成した。このオートラジオグラ
フィー(n=4以上)の定量解析により、各イソカルバ
サイクリンのdisplacement値を算出した。
【0085】表14に視床(中枢神経系)での結果を示
した。
【0086】
【化27】
【0087】
【化28】
【0088】
【化29】
【0089】
【化30】
【0090】
【化31】
【0091】
【化32】
【0092】
【化33】
【0093】
【化34】
【0094】
【表14】
【0095】以上の結果より、視床でのプロスタサイク
リン受容体(中枢神経系)に対して、この発明化合物
(特に化合物A、C)が非天然型立体配置(15位)を
もつにも関わらず強い活性を示すことがわかる。
【0096】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
より、脳内、特に中枢組織で産生されるプロスタサイク
リン受容体の探索研究(特に、構造未知の中枢型プロス
タサイクリン受容体のフォトアフィニティーラベル化に
よる取得)や、中枢神経系の疾患の治療薬として有用な
イソカルバサイクリン誘導体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】3 H標識化合物のHPLC分離ピーク図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07M 5:00 (72)発明者 鈴木 正昭 愛知県名古屋市東区徳川町1010−1202

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式〔I〕〔式中、R1 は水素原子、
    アルキル基または1当量のカチオンを示し、R2 はアル
    キレン基を示し、R3 は水素原子またはメチル基を示
    す。〕で表されるイソカルバサイクリン誘導体。 【化1】
  2. 【請求項2】 式〔I〕においてR1 が水素原子または
    炭素数1〜5の低級アルキル基である請求項1のイソカ
    ルバサイクリン誘導体。
  3. 【請求項3】 R1 がメチル基である請求項2のイソカ
    ルバサイクリン誘導体。
  4. 【請求項4】 R1 が水素原子である請求項2のイソカ
    ルバサイクリン誘導体。
  5. 【請求項5】 式〔I〕においてR2 が−(CH2 n
    −(nは1〜4の数を示す)で表されるアルキレン基で
    ある請求項1から4のいずれかのイソカルバサイクリン
    誘導体。
  6. 【請求項6】 nが1である請求項5のイソカルバサイ
    クリン誘導体。
  7. 【請求項7】 R3 が水素原子であり、式〔I〕のベン
    ゼン環上のアジド基がR2 に対してメタ位で結合してい
    る特許請求項1から6のいずれかのイソカルバサイクリ
    ン誘導体。
  8. 【請求項8】 R3 がR2 に対してメタ位に結合したメ
    チル基であり、式〔I〕のベンゼン環上のアジド基がも
    う一方のメタ位に結合している特許請求項1から6のい
    ずれかのイソカルバサイクリン誘導体。
  9. 【請求項9】 式〔I〕の15位の水酸基の立体配置が
    R配置である請求項1から8のいずれかのイソカルバサ
    イクリン誘導体。
  10. 【請求項10】 下記式〔II〕 【化2】 〔式中、R2 はアルキレン基を表し、R3 は水素原子ま
    たはメチル基を示す〕で表されるHorner-Emmons 試薬と
    下記式〔III 〕 【化3】 〔式中、R4 は炭素数1〜5の低級アルキル基を示し、
    5 は水素原子またはテトラヒドロピラニル基を示
    す。〕で表される化合物を塩基の存在下に反応させ、必
    要に応じて水酸基の保護基を脱保護し、下記式〔IV〕 【化4】 〔式中、R2 、R3 およびR4 は上記定義に同じであ
    る。〕で表される化合物に変換し、ついで還元反応、さ
    らに必要に応じた加水分解反応に付すことを特徴とする
    下記式〔I〕 【化5】 〔式中、R1 は水素原子、アルキル基または1当量のカ
    チオンを示し、R2 はアルキレン基を示し、R3 は水素
    原子またはメチル基を示す。〕で表されるイソカルバサ
    イクリン誘導体の製造法。
  11. 【請求項11】 請求項1から9のいずれかのイソカル
    バサイクリン誘導体において、任意の位置が 3H、
    11C、または14C標識されていることを特徴とするイソ
    カルバサイクリン誘導体標識化合物。
  12. 【請求項12】 請求項11の標識化合物を、フォトア
    フィニティラベリングのプローブとする標識化方法。
  13. 【請求項13】 プロスタサイクリン受容体のプローブ
    とする請求項12の方法。
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